JP2001288698A - 自他識別能を有した機能性粒子、及び自他識別能を有した製品 - Google Patents

自他識別能を有した機能性粒子、及び自他識別能を有した製品

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JP2001288698A
JP2001288698A JP2000102515A JP2000102515A JP2001288698A JP 2001288698 A JP2001288698 A JP 2001288698A JP 2000102515 A JP2000102515 A JP 2000102515A JP 2000102515 A JP2000102515 A JP 2000102515A JP 2001288698 A JP2001288698 A JP 2001288698A
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paper
special
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weight
fluorescent
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JP2000102515A
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English (en)
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Toru Murakami
徹 村上
Shinichi Akahori
慎一 赤堀
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Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来にない自他識別機能のある機能性粒子を
得ること、及びこれを含ませて自他識別能を有した製品
を得ること。 【解決手段】 機能性粒子を構成する主要成分の他に、
顕微鏡で観察した際に特異な形状を視認できる粉体を併
用して粒子化し自他識別能を有した機能性粒子を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自他識別能を有し
た機能性粒子、及び自他識別能を有した製品に関する。
詳しくは、顕微鏡を用いて観察し、特異な形状の粉体の
有無で自他を識別できるという機能を有した機能性粒
子、及びこれを含ませた製品に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の代表的な例として、自他識別能
を有した紙を例として説明する。紙や紙製品が市場に出
荷され、末端ユーザーでトラブルを生じた場合に、これ
らの紙や紙製品が自他識別能(紙や紙製品が自社の製品
であることや、これらを製造した時期を後で特定できる
能力)があることが好ましい場合がある。例えばOCR
用紙は複数の会社で製造されており、商品券等の偽造防
止印刷物の用途に使用されているが、仮に偽造券が出回
った場合に、偽造券に使用された用紙を何らかの手段で
分析し、用紙の出所を特定できる機能を有していると犯
罪に対して迅速に対応でき、また真贋を迅速に判定でき
ることとなる。
【0003】紙や紙製品に自他識別能を与える手段は、
基本的にはこれらに目に見えない何らかの一種のコード
をつけ、物理的若しくは化学的手段でこれを検知すれば
よい。これらの技術は種々提案されている。
【0004】例えば、特公昭54−36686号には、
紙製品の製造工程で1〜3μmの着色した微細な粒子を
紙料若しくは塗料に対し0.0001〜1%添加し、顕
微鏡的なコードをつけ紙製品の識別を容易にする方法が
提案されている。この方法は顕微鏡観察という物理的な
手段で紙製品中の着色微細繊維を検知できる特徴があ
る。
【0005】また、特公昭56−16238号には、蛍
光染色繊維を紙に対して50%以下、好ましくは5%以
下抄込む偽造防止用紙が提案されている。この方法は紫
外線の照射という物理的な手段で紙中の蛍光染色繊維の
発色を検知できる特徴がある。
【0006】また、特開平1−227059号では、肉
眼で見えない標識化合物を紙に添加し、水で抽出して生
化学反応で検出することで真贋を判定する技術が開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記した特公昭54−
36686号に提案された方法は、着色した微細な粒子
の存在を顕微鏡で検知することが困難で、紙製品が着色
して見えるという問題点があった。
【0008】また、特公昭56−16238号に提案さ
れた方法は、蛍光染色繊維の製造が比較的容易であるた
め偽造防止効果として有効性に欠くという問題点があっ
た。また、特開平1−227059号に提案された方法
は、標識化合物を抽出するために広い面積の紙を切り取
る必要があり、検査物の原型を破壊したくない目的には
使用できない問題点があった。
【0009】これら従来の技術は、それなりに特徴のあ
る自他識別機能であるが、常に新規な技術が求められて
いるのが現状である。本発明はこれら従来技術と異なっ
た新規な自他識別能を有した紙(製品)を開発すること
を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、機能性粒子を構成する主要成分の他に、顕微鏡で
観察した際に特異な形状を視認できる粉体を併用して粒
子化されていることを特徴とする自他識別能を有した機
能性粒子を得ることにあり、また、この自他識別能を有
した機能性粒子を紙中に含ませることで自他識別能を有
した紙等の製品を得ることにある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、先ず「顕微鏡で観察
した際に特異な形状を視認できる粉体を併用して粒子化
されている自他識別能を有した機能性粒子」(以下、本
発明では単に「特殊粒状物」という)を製造する。
【0012】すなわち本発明で使用する特殊粒状物は、
顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体と粉状物質
との混合物の造粒物からなるものであり、両者の混合物
を造粒することにより製造できる。
【0013】さらに本発明で使用する特殊粒状物は、粉
状物質の造粒物と、この造粒物の表面に形成した顕微鏡
で観察した際に特異な形状を示す粉体のコーティング層
とからなるものであって、この特殊粒状物は、粉状物質
を造粒し、この造粒物の表面に顕微鏡で観察した際に特
異な形状を示す粉体をコーティングすることにより製造
できる。
【0014】さらに本発明で使用する特殊粒状物は、顕
微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体と粉状物質と
白色顔料との混合物の造粒物からなるものであって、こ
の特殊粒状物は、顕微鏡で観察した際に特異な形状を示
す粉体と粉状物質と白色顔料とを混合し、この混合物を
造粒することにより製造できる。
【0015】さらに本発明の特殊粒状物は、粉状物質と
白色顔料との混合物の造粒物と、この造粒物の表面に形
成した顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体のコ
ーティング層とからなるものであって、この特殊粒状物
は、粉状物質と白色顔料との混合物を造粒し、この造粒
物の表面に顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体
をコーティングすることにより製造できる。
【0016】さらに本発明の特殊粒状物は、粉状物質の
造粒物と、この造粒物の表面に形成した白色顔料のコー
ティング層と、さらにこの白色顔料コーティング層の外
側に形成した顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉
体のコーティング層とからなるものであって、この特殊
粒状物は、粉状物質を造粒し、この造粒物の表面に白色
顔料をコーティングし、さらにこの白色顔料コーティン
グ層の外側に顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉
体をコーティングすることにより製造できる。
【0017】本発明においては、造粒あるいはコーティ
ングに際して、粉状物質が有する水酸基と反応する反応
性基を2個以上有する樹脂バインダーを使用することに
より、耐水性を有する特殊粒状物を製造できる。
【0018】すなわち本発明で使用する耐水性を有する
特殊粒状物は、水酸基を有する粉状物質と顕微鏡で観察
した際に特異な形状を示す粉体と前記粉状物質が有する
水酸基と反応する反応性基を2個以上有する樹脂バイン
ダー(以下「樹脂バインダー」と略記する)との混合物
の造粒物からなるものであって、この特殊粒状物は、粉
状物質と顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体と
樹脂バインダーとを混合し、この混合物を造粒すること
により製造できる。
【0019】さらに本発明で使用する耐水性を有する特
殊粒状物は、水酸基を有する粉状物質と白色顔料と顕微
鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体と樹脂バインダ
ーとの混合物の造粒物からなるものであって、この特殊
粒状物は、粉状物質と白色顔料と顕微鏡で観察した際に
特異な形状を示す粉体と樹脂バインダーとを混合し、こ
の混合物を造粒することにより製造できる。
【0020】さらに本発明で使用する耐水性を有する特
殊粒状物は、水酸基を有する粉状物質の造粒物と、この
造粒物の表面に形成した顕微鏡で観察した際に特異な形
状を示す粉体と樹脂バインダーとの混合物のコーティン
グ層とからなるものであって、この特殊粒状物は、粉状
物質を造粒し、この造粒物の表面に顕微鏡で観察した際
に特異な形状を示す粉体を樹脂バインダーでコーティン
グすることにより製造できる。
【0021】さらに本発明で使用する特殊粒状物は、水
酸基を有する粉状物質と白色顔料との混合物の造粒物
と、この造粒物の表面に形成された顕微鏡で観察した際
に特異な形状を示す粉体と樹脂バインダーとの混合物の
コーティング層とからなるものであって、この特殊粒状
物は、粉状物質と白色顔料とを混合して造粒し、この造
粒物の表面に顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉
体を樹脂バインダーでコーティングすることにより製造
できる。
【0022】さらに本発明に使用する耐水性を有する特
殊粒状物は、水酸基を有する粉状物質の造粒物と、この
造粒物の表面に形成した白色顔料のコーティング層と、
さらにこの白色顔料コーティング層の外側に形成した顕
微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体と樹脂バイン
ダーとの混合物のコーティング層とからなるものであっ
て、この特殊粒状物は、粉状物質を造粒し、この造粒物
の表面に白色顔料をコーティングし、さらにこの白色顔
料コーティング層の外側に顕微鏡で観察した際に特異な
形状を示す粉体を樹脂バインダーでコーティングするこ
とにより製造できる。
【0023】さらに本発明においては、造粒あるいはコ
ーティングに際して、造粒物中に含有させたアニオン性
バインダーまたはカチオン性バインダーと、コーティン
グ層中に含有させたカチオン性物質またはアニオン性物
質との相互作用を利用することにより、耐水性を有する
特殊粒状物を製造できる。
【0024】すなわち本発明で使用する耐水性を有する
特殊粒状物は、粉状物質とアニオン性バインダーとの混
合物の造粒物と、この造粒物の表面に形成した顕微鏡で
観察した際に特異な形状を示す粉体とカチオン性物質と
の混合物のコーティング層とからなるものであって、こ
の特殊粒状物は、粉状物質をアニオン性バインダーで造
粒し、この造粒物の表面に顕微鏡で観察した際に特異な
形状を示す粉体をカチオン性物質でコーティングするこ
とにより製造できる。
【0025】さらに本発明で使用する特殊粒状物は、粉
状物質と白色顔料とアニオン性バインダーとの混合物の
造粒物と、この造粒物の表面に形成した顕微鏡で観察し
た際に特異な形状を示す粉体とカチオン性物質との混合
物のコーティング層とからなるものであって、この特殊
粒状物は、粉状物質と白色顔料とをアニオン性バインダ
ーで造粒し、この造粒物の表面に顕微鏡で観察した際に
特異な形状を示す粉体をカチオン性物質でコーティング
することにより製造できる。
【0026】さらに本発明で使用する特殊粒子は、粉状
物質とカチオン性バインダーとの混合物の造粒物と、こ
の造粒物の表面に形成した顕微鏡で観察した際に特異な
形状を示す粉体とアニオン性物質との混合物のコーティ
ング層とからなるものであって、この特殊粒状物は、粉
状物質をカチオン性バインダーで造粒し、この造粒物の
表面に蛍光染料及び/または蛍光顔料をアニオン性物質
でコーティングすることにより製造できる。
【0027】さらに本発明の特殊粒状物は、粉状物質と
白色顔料とカチオン性バインダーとの混合物の造粒物
と、この造粒物の表面に形成した顕微鏡で観察した際に
特異な形状を示す粉体とアニオン性物質との混合物のコ
ーティング層とからなるものであって、この特殊粒状物
は、粉状物質と白色顔料とをカチオン性バインダーで造
粒し、この造粒物の表面に顕微鏡で観察した際に特異な
形状を示す粉体をアニオン性物質でコーティングするこ
とにより製造できる。
【0028】上述したように本発明の特殊粒状物は、粉
状物質や顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体な
どの粒子構成成分をすべて含む混合物を造粒するタイプ
(混合物タイプ)と、粉状物質を含む造粒物の外側に顕
微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉体を含むコーテ
ィング層を形成するタイプ(コア・シェルタイプ)の2
つに大別できる。混合物タイプの粒子は、製造が簡単で
ある利点を有するが、顕微鏡観察のし易さの観点から考
えると、粒子表面近くに存在している顕微鏡で観察した
際に特異な形状を示す粉体は観察できるものの、粒子内
部に存在するものは観察できなくなる。これに対してコ
ア・シェルタイプの粒子は、顕微鏡で観察した際に特異
な形状を示す粉体がコアとなる造粒物の外側のコーティ
ング層のみに存在しているため、そのすべてが顕微鏡観
察できることになる。従って、同量の顕微鏡で観察した
際に特異な形状を示す粉体を使用する場合には、混合物
タイプの粒子よりもコア・シェルタイプの粒子の方が、
本発明の目的を容易に達成できるという利点がある。
【0029】本発明に使用する粉状物質としては、代表
的なものとして澱粉が挙げられる。具体的には馬鈴薯澱
粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱
粉、米澱粉、アマランサス澱粉、サトイモ澱粉、道鑑草
澱粉等の天然澱粉、それらの化工澱粉(デキストリン、
酸分解澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉、エーテル
化、エステル化、架橋等の澱粉誘導体、グラフト化澱
粉、湿熱処理澱粉等)が挙げられる。また、小麦粉、米
粉、コーンフラワー等の穀粉;粉末セルロース、バクテ
リアセルロース、微小繊維状セルロース、結晶セルロー
ス、等の水不溶性の粉状セルロース;木粉;カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、4級カチオン化ヒド
ロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;アルギ
ン酸、寒天、ふのり、カラギーナン、ファーセレラン、
ペクチン、キチン、キトサン、グアガム、ローカストビ
ーンガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガント
ガム、カラヤガム、タラガム、コンニャク、トロロアオ
イ、プルラン、デキストラン等の多糖類及びこれらの誘
導体;ブドウ糖、ショ糖、乳糖等の粉末糖類;高重合度
かつ高鹸化度のポリビニルアルコール等の粉状有機物質
も粉状物質として使用できる。
【0030】さらに粉状無機物質も粉状物質として使用
できる。粉状無機物質としては、充填剤として知られる
二酸化チタン、珪酸塩(カオリン、クレイ、ベントナイ
ト、タルク、合成珪酸アルミ、合成珪酸カルシウム
等)、珪酸(珪藻土、珪石粉、含水微粉珪酸、無水微粉
珪酸)、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム・マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウ
ム、酸化鉄等が挙げられる。
【0031】これらの粉状物質は単独で用いてもよく、
2種以上を混合して用いてもよい。粉状物質として、澱
粉、穀粉、セルロース、その他の多糖類、糖、ポリビニ
ルアルコール等の水酸基を有する粉状物質を用いた場合
には、水酸基と反応する反応性基を有する樹脂バインダ
ーと併用することにより特殊粒状物に耐水性を付与させ
るのに有効である。
【0032】粉状物質に澱粉類や粉末糖類やポリビニル
アルコール等を用いて調製した特殊粒状物を用紙中に含
ませて自他識別能を有する特殊紙を製造した場合には、
粒子の存在する個所が部分的に透明になる傾向がある。
かような透明部分は普通光のもとで視認することができ
るため、用紙に印刷などを施す場合に印刷の美観が損な
われることもある。
【0033】特殊粒状物が用紙中で透明になるのを防止
するためは、澱粉等の粉状物質とともに白色顔料を併用
すればよい。これにより、普通光のもとでは用紙中の特
殊粒状物の存在を視認しにくくなり、印刷などの美観が
損なわれることがないだけでなく、偽造防止手段が講じ
られていることも判別しにくくなるため、偽造防止効果
をより一層高めることができる。
【0034】白色顔料としては、前記した粉状無機物質
の中から白色度の高いもの、例えば、二酸化チタン、カ
オリン、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、塩化亜鉛、
硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム・マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム
等が使用できる。本発明ではこれらの白色顔料は単独で
用いても2種類以上を併用してもよい。
【0035】本発明ではこれらの白色顔料の中で光の屈
折率が大きなもの、即ち屈折率が2.0以上のものを使
用すると前述した特殊粒状物が用紙中で透明になるのを
防止する効果が大きい。例示すると、二酸化チタン(屈
折率約2.6)、硫化亜鉛(同2.3)、酸化亜鉛(同
2.0)、等である。
【0036】次に本発明で使用する顕微鏡で観察した際
に特異な形状を示す粉体について説明する。その具体的
な例としては、紡錘型の形状を示すカルサイト型結晶構
造の炭酸カルシウム、薄片板の形状を示すマイカ粉やパ
ール顔料、針状の形状を示すウォラストナイトやチタン
酸カリウム、球状の形状を示すガラスビーズやシリカビ
ーズやバルーン(球形をした中空体の総称)、アルミニ
ウム、チタン等の金属の球状粉末、スチレン系、ホルマ
ール樹脂系、ポリメチルメタクリレート系、ポリアミド
イミド系等の球形の有機フィラー、各種の植物花粉、バ
クテリアセルロース、珪藻土、等々であり、本発明では
これらの1種以上を使用する。特に2種類以上を使用す
るとそれだけ特殊粒状物のバリエーションを増やすこと
ができる。粉体の粒径は通常数μmから数百μmのもの
を使用する。粒径がこれより小さいと顕微鏡観察で特異
な形状を観察しにくくなり、これより大きいと特殊粒状
物の製造が困難となるからである。
【0037】本発明の特殊粒状物を製造するに際して、
水に不溶性の蛍光染料や蛍光顔料を併用することもで
き、こうすることで偽造防止効果をより高めることがで
きる。また紙に抄き込んだ特殊粒状物の存在箇所を紫外
線の照射で簡単に確定でき、顕微鏡観察が容易となる利
点もある。本発明で使用する蛍光剤は水に不溶性である
ことが必要である。水に可溶性であると、後に詳しく述
べるように偽造防止用紙を製造する際にスラリーに添加
された特殊粒状物からこれらの蛍光剤が溶出してしまう
からである。
【0038】なお、本発明で使用する「水に不溶性であ
る」と言う意味は、蛍光剤単独の性質ではなく、蛍光粒
子を製造した後に該蛍光剤が水に溶出しないことを意味
する。即ち、スピロフラン系蛍光染料のように水に可溶
な蛍光染料であっても特殊粒状物の製造時に併用する耐
水化剤と反応し水不溶性となるタイプや、バインダーと
反応し水不溶性となるタイプや、紙を製造する際にスラ
リーに添加された硫酸バンド等の影響で特殊粒状物に定
着し水不溶性となるタイプの蛍光剤はいずれも本発明の
水不溶性の蛍光染料や蛍光顔料の範疇に入るものとす
る。
【0039】本発明で使用する紫外線照射により蛍光発
色する水不溶性の染料、すなわち蛍光染料としては、フ
ルオレッセイン、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾ
リン系、チアジアゾール系、スピロピラン系、ピレンス
ルホン酸系、ベンゾイミダゾール系、ジアミノスチルベ
ン系等の周知の蛍光染料を使用できる。
【0040】紫外線照射により蛍光発色する水不溶性の
顔料、すなわち蛍光顔料としては、有機または無機の蛍
光顔料を使用する。有機の蛍光顔料としては具体的に
は、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリメタク
リル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹
脂にフルオレッセイン、エオシン、ローダミン6G、ロ
ーダミンB、ベーシックイエローHG等の染料を均一に
溶解して粉砕したもの等を挙げることができる。
【0041】また、無機の蛍光顔料としては具体的に
は、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛;マンガ
ン等で活性化したケイ酸亜鉛;銀、銅等で活性化した硫
化亜鉛;カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カル
シウム;サマリウム、セリウム等で活性化した硫化スト
ロンチウム;鉛等で活性化したタングステン酸カルシウ
ム;ユーロピウム等で活性化したSr5 (PO43
l;マンガン等で活性化したZn2 GeO2 ;ユーロピ
ウム等で活性化したY22 S;ユーロピウム等で活性
化したY23 等を挙げることができる。また、必要に
応じて、これらにアントラキノン系やアセトフェノン系
等の増感剤を併用することもできる。
【0042】本発明では、これらの蛍光顔料は、通常平
均粒径が0.5〜5μmのものを使用することが望まし
い。平均粒径が0.5μm未満の場合には、紫外線の照
射による発光強度が弱まるおそれがあり、一方粒径が5
μmを越えると混合造粒、コーティングによって得られ
る造粒物の蛍光発色が不均一になりやすくなるからであ
る。
【0043】また、これらの蛍光顔料は単独で用いても
2種類以上を併用してもよい。蛍光顔料を2種類以上併
用した場合に得られる蛍光発色の色相は、いわゆる「加
法混色」の現象を示す。例えば赤色に蛍光発色する顔料
と青紫色に蛍光発色する顔料を併用すると藍色に蛍光発
色し、同様に、緑色+赤色は黄色に、赤色+青紫色は紅
色に、赤色+緑色+青紫色は白に蛍光発色する。この現
象は、絵の具を混ぜ合わせた時の現象である「減法混
色」と全く異なる。蛍光顔料は蛍光染料と異なり、蛍光
発色する色相の種類が豊富であるので、蛍光顔料を数種
類併用して得られる蛍光色は非常に豊富となる特徴があ
る。
【0044】本発明で用いる蛍光剤として、水不溶性で
有機溶剤可溶性の蛍光染料や蛍光顔料を使用して特殊粒
状物を製造する場合には、以下のような特異な効果を奏
することができる。すなわち、この特殊粒状物を用紙中
に含ませてから印刷を施して偽造防止印刷物を製造する
と、有機溶剤によって印刷表示の改竄を試みた場合に、
特殊粒状物から有機溶剤可溶性の蛍光剤が溶出して周囲
に拡散することになり、その痕跡を紫外線の照射で視認
することができる。これによって、改竄の有無を確実に
認知することができる。水不溶性で有機溶剤可溶性の蛍
光剤としては、例えばアミノケトン系染料等が好ましく
使用できる。
【0045】後述するように本発明の特殊粒状物を用紙
中に含ませて偽造防止用紙を製造する際に、抄紙工程で
特殊粒状物を紙料に添加する場合、抄紙工程の湿紙に特
殊粒状物を振りかける場合、さらには特殊粒状物を塗工
液中に添加して用紙表面に塗工する場合等には、特殊粒
状物が水中で崩壊しないようにするために耐水性を有し
ている必要がある。
【0046】本発明においては、特殊粒状物に耐水性を
付与するために、澱粉、穀粉、セルロース、その他の多
糖類、糖、ポリビニルアルコール等の粉状物質が有する
水酸基と反応する反応性基を2個以上有する樹脂をバイ
ンダーとして使用する。本明細書中では、この種の樹脂
を“樹脂バインダー”と称している。かような樹脂バイ
ンダーとしては、例えばポリアミン・エピクロルヒドリ
ン系樹脂、水溶性アルキル化アミノ樹脂、水溶性メチル
化メラミン系樹脂、水溶性フェノール樹脂、尿素樹脂、
エポキシ化ポリアミド樹脂、メチロール化ポリアクリル
アミド樹脂等を挙げることができる。
【0047】樹脂バインダーを用いて特殊粒状物に耐水
性を付与させるには、特殊粒状物の構成成分に樹脂バイ
ンダーを混合して造粒すればよく、あるいは、蛍光剤以
外の成分の造粒物表面に蛍光剤を樹脂バインダーでコー
ティングすればよい。
【0048】本発明においては、特殊粒状物に耐水性を
付与する別の方法として、造粒物中に含有させたアニオ
ン性バインダーとコーティング層中に含有させたカチオ
ン性物質との相互作用、あるいは造粒物中に含有させた
カチオン性バインダーとコーティング層中に含有させた
アニオン性物質との相互作用を利用する方法が採用でき
る。すなわち、蛍光剤を除く特殊粒状物の構成成分をア
ニオン性バインダーにより造粒し、造粒物表面に蛍光剤
をカチオン性物質でコーティングすることによりアニオ
ン性バインダーに耐水性を付与することができる。ある
いは、蛍光剤を除く特殊粒状物の構成成分をカチオン性
バインダーにより造粒し、造粒物表面に蛍光剤をアニオ
ン性物質でコーティングすることによりカチオン性バイ
ンダーに耐水性を付与することができる。
【0049】本発明で用いるアニオン性バインダーとし
ては、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシ
メチルグアーガム、カルボキシメチルキサンタンガム、
カルボキシメチルタラガム、低メトキシルペクチン、カ
ラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等
のアニオン性基を有する多糖類またはアニオン性基を有
する合成高分子が挙げられる。
【0050】このアニオン性バインダーに耐水性を付与
するために、造粒物表面に蛍光剤とともにコーティング
するカチオン性物質としては、多価金属イオンの塩、例
えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ホウ素、
アルミニウム、チタン等の塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リ
ン酸塩、乳酸塩、水酸化物が使用できる。
【0051】また、カチオン性の水溶性高分子物質、例
えば、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイ
ミン、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹
脂、ポリアリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化
澱粉、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオ
ン化キサンタンガム、カチオン化タラガム等もカチオン
性物質として使用できる。
【0052】本発明で用いるカチオン性バインダーとし
ては、上記でカチオン性物質として示したカチオン性の
水溶性高分子物質を用いることができる。すなわち、カ
チオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポ
リビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹脂、ポリ
アリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化澱粉、カ
チオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化キサ
ンタンガム、カチオン化タラガム等のカチオン性の水溶
性高分子物質をカチオン性バインダーとして使用でき
る。
【0053】このカチオン性バインダーに耐水性を付与
するために、造粒物表面に蛍光剤とともにコーティング
するアニオン性物質としては、上記でアニオン性バイン
ダーとして示したアニオン性基を有する多糖類またはア
ニオン性基を有する合成高分子を用いることができる。
すなわち、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボ
キシメチルグアーガム、カルボキシメチルキサンタンガ
ム、カルボキシメチルタラガム、低メトキシルペクチ
ン、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソ
ーダ等をアニオン性物質として使用できる。
【0054】本発明において、粉状物質、粉状物質と白
色顔料、粉状物質と蛍光剤、粉状物質と白色顔料と蛍光
剤等の粒子構成成分に、顕微鏡で観察した際に特異な形
状を視認できる粉体を混合して造粒するに際しては、従
来から澱粉等の造粒方法として一般的に慣用されている
方法が採用できる。すなわち、転動造粒法、押出造粒
法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、圧縮造粒法、溶融
造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法等を用いることができ
る。このうち噴霧乾燥造粒法は、小さい球形の粒が製造
できるという特徴がある。
【0055】押出造粒法においては、バインダーの種類
や用いる量により造粒性が不十分な場合もある。この様
な場合に造粒性を改善するために、前述した各種のバイ
ンダー以外に、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、酸化澱粉、デキストリン等
の一般的バインダーを必要に応じて併用して混練し、押
出造粒すればよい。押出造粒で得られた造粒物は、一般
的には整粒機にかけて整粒した後使用されるが、バイン
ダーの種類や用いる量により整粒性が悪いときには、界
面活性剤や潤滑剤を必要に応じて添加することにより造
粒物の整粒性を改良することができる。
【0056】また、本発明において、造粒物の表面に蛍
光剤や白色顔料をコーティングするに際しては、造粒物
を乾燥した後、蛍光剤や白色顔料をバインダーとともに
液状(分散液)でコーティング処理するか、または、バ
インダーを液体で吹きつけながら蛍光剤や白色顔料を粉
体状でコーティングする方法が採用できる。コーティン
グ装置としては、コーティング専用機はもちろん、上記
の造粒法で用いる造粒機でコーティング処理を行なえる
もの(例えば、転動造粒機、流動層造粒機あるいは乾燥
機で乾燥中に液体の噴霧が行なえるもの)も使用するこ
とができ、さらには、コーティング専用機以外でもコー
ティング処理に用いることができるものであればいかな
る装置も使用することができる。
【0057】以上述べた方法で製造される本発明の特殊
粒状物の形状は、用いる造粒方法により形状が異なって
くる。例えば押出造粒後、整粒したものは角がとれた円
柱状の形状を有する。断面は円形か円形に近い形状を有
し、この直径に対して長さが同じかほぼ同じ場合には球
状に発光して見え、また長さが長い場合は繭状に発光し
て見える。また、噴霧乾燥造粒法により得たものは略真
球状であり、転動造粒法、撹拌造粒法により得たものは
略球状であり、流動層造粒法で得たものはコンペイ糖の
ような多角形状となる傾向があるが、条件によっては同
じ造粒法によっても違う形状になることがある。
【0058】特殊粒状物の粒径は数μmから数百μmま
で適宜コントロールすることは可能であるが、本発明に
おいては粒径は50〜800μmの範囲に調整すること
が好ましい。粒径が50μm未満であると、紙に含ませ
た場合に普通光の下で紫外線を照射しても、その発光を
視認することが困難となる傾向が大きくなるからであ
る。粒径がこれより大きくなるに従い視認することが容
易になる反面、粒子が存在する部分が盛り上がること
で、手触りが悪くなり、印刷適性に悪影響を与えるよう
になる。この両者のバランスを考えると粒径は上記範囲
に調整することが好ましい。
【0059】本発明においては特殊粒状物を着色せずに
用いてもよく、或いは着色して用いてもよい。着色して
いない特殊粒状物は普通光のもとで白色か白色に近似し
た色相であるため、着色されていない紙中に含ませた場
合には、紙中に特殊粒状物が存在していることを視認し
にくくなる。特殊粒状物を着色する場合には、紙の着色
度合いに近似させて特殊粒状物の色相を調整することに
より、紙中に特殊粒状物が存在していることを視認しに
くくなる。また着色した特殊粒状物を着色されていない
紙中に含ませた場合は、特殊粒状物の存在が普通光のも
とで視認できる。
【0060】本発明においては、特殊粒状物が着色され
ている場合は、特にカラーコピー機でその色相が再現で
きない程度に淡く着色されていることが好ましい。淡く
着色された特殊粒状物を含ませた偽造防止用紙を使用し
て製造した偽造防止印刷物(例えば商品券)をカラーコ
ピー機を使用して偽造を試みても、特殊粒状物がコピー
されるように濃度調整を行うと、印刷部分に相当するコ
ピー部の濃度が上がってしまい、それだけで偽造券であ
ることが容易に判定できるからである。
【0061】また本発明においては、特殊粒状物の着色
が光学的読み取りにおけるドロップアウトカラーである
ことが好ましい。各種の商品券やチケット等の偽造防止
印刷物の表面には、OMRやOCR読み取りのための印
刷が施されることが多い。これらは、商品券やチケット
が使用された後に、自動集計するために施されている。
OMRとは、「Optical Mark Recog
nition」の略で、光源からの光を用紙に照射して
受光素子で受光することで、用紙に設けたマークの位置
を認識することによって、その位置を数字や記号と対比
させて結びつけ、集計や分類に使うシステムの総称であ
り、これに使用する用紙をOMR用紙と呼んでいる。ま
た、OCRとは、「Optical Characte
r Recognition」の略で、同様にして光学
的に文字や数字を読みとるシステムの総称であり、これ
に使用する用紙をOCR用紙と呼んでいる。
【0062】OMRやOCR読み取りをさせるために、
用紙の表面には、枠、けい線、説明文等の所定事項がド
ロップアウトカラーで印刷されることが多い。ドロップ
アウトカラー(Dropout Color)とは、光
源と受光素子の組み合わせで、人間の目には印刷部分は
白地と全く異なった色として認識されるのに受光素子で
は差が消え失せて白地と同一に感じ取るような色をい
う。OMR用紙やOCR用紙の場合、使用する光源の種
類と受光素子の組み合わせで適当な波長領域の色光を設
定し、それに対応するドロップアウトカラーを使用する
こととなる。JIS・C6253「光学的文字認識のた
めの印字仕様」には8種類の波長領域と対応する受光装
置を制定している。
【0063】本発明では、特殊粒状物の色相を光学的読
み取りにおけるドロップアウトカラーとすることで、人
間の目には粒子が存在する部分は白地と全く異なった色
として認識されるのに、OMRやOCR読み取りの際
に、受光素子では差が消え失せて白地と同一に感じ取る
ようになる。
【0064】本発明で使用する特殊粒状物は、紫外線の
照射で発色する時の色相が普通光のもとでの色相と異な
っているような構成にすることで、意外性も高まり偽造
防止能もより高まる効果がある。例えば、特殊粒状物が
普通光のもとでは赤色に着色して見え、紫外線を照射す
ると緑や青に発光して見えると意外性が高まる。特殊粒
状物を着色させるには、前述したような特殊粒状物を製
造する際の種々の段階で着色剤を併用する方法、また特
殊粒状物を製造後に染料で染着する方法、等で行う。着
色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料等の着
色染料や無機、有機の着色顔料を使用できる。耐光性を
有する着色を施す場合には無機系の顔料を着色剤として
使用することが好ましい。
【0065】特殊粒状物の着色剤として、水不溶性で有
機溶剤可溶性の染料を使用した場合には、以下のような
特異な効果を奏することができる。すなわちこの着色さ
れた特殊粒状物を用紙中に含ませてから印刷を施して偽
造防止印刷物を製造すると、有機溶剤によって印刷表示
の改竄を試みた場合に、特殊粒状物から有機溶剤可溶性
の染料が溶出して周囲に拡散した痕跡を目視で視認する
ことができ、改竄の有無を確実に認知することができ
る。
【0066】粉状物質を含む造粒物の表面に蛍光剤を含
むコーティング層を形成する構造の本発明の特殊粒状物
においては、水に不溶性で有機溶剤可溶性の染料を粉状
物質とともに造粒物中に含有させ、コーティング層中の
蛍光剤として普通光のもとで白色か白色に近似した色相
の蛍光顔料を使用する実施態様とすることもできる。か
ような特殊粒状物は、造粒物中の有機溶剤可溶性染料の
色がコーティング層中の白色か白色に近似した色相の蛍
光顔料により隠蔽されるため、この粒子を用紙中に含ま
せてから印刷を施して偽造防止印刷物(例えばパスポー
ト)を製造すると、普通光のもとでは特殊粒状物の存在
を視認しにくいため偽造防止手段が講じられていること
が判別しにくくなり、偽造防止効果をより一層高めるこ
とができる。さらに、有機溶剤を用いて印刷表示の改竄
を試みた場合には、特殊粒状物のコアである造粒物中か
ら有機溶剤可溶性染料が溶出して周囲に拡散した痕跡を
目視で視認することができ、改竄の有無を確実に認知す
ることができる。
【0067】水不溶性で有機溶剤可溶性の染料として
は、例えばモノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノア
ゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリ
ルメタン系等の染料が使用できる。これらの染料がどの
有機溶剤に溶解するかは「染料便覧」に記載されてお
り、カラーインデックス(C.I.番号)でその種類を
特定できる。
【0068】なお、上述したような水不溶性で有機溶剤
可溶性の染料を使用する場合、この染料として紫外線の
照射で蛍光発色する染料を用いると、有機溶剤を用いて
改竄した際に染料が溶出して拡散した痕跡を紫外線照射
下で視認しやすくなるため、改竄の有無をより一層確実
に認知することができる。かような染料としては、普通
光で有彩色で、紫外線照射下で各種色相に発色するアミ
ノケトン系染料等が使用できる。
【0069】本発明の特殊粒状物を用いた偽造防止用紙
の製造について以下に説明する。すなわち、本発明の偽
造防止用紙は、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルフ
ァイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ
(TMP)等の製紙用パルプを主体とし、これに必要に
応じて、コットン、麻、竹、ワラ、ケナフ等の非木材パ
ルプや合成繊維を適宜併用し、これに乾燥紙力増強剤、
湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、濾
水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料などを適宜添加し
て紙料を調製し、この紙料にチェスト等で特殊粒状物を
添加して、通常フリーネス550〜250mlC.S.
F.で長網抄紙機や円網抄紙機等の公知の抄紙機を使用
して抄紙することにより製造することができる。
【0070】特殊粒状物が表面に露出している状態で用
紙に含まれた場合は、用紙に印刷を施す際に特殊粒状物
が用紙から脱落する問題を引き起こすことがある。この
現象は印刷インキのタックの大きなオフセット印刷で起
こりやすくなる。従って、オフセット印刷を施す用紙の
場合には、偽造防止用紙を少なくとも3層以上の紙層の
抄合わせ紙とし、その内層に特殊粒状物を含ませるよう
にすることが好ましい。かような抄合わせ紙とした場合
でも、紫外線照射時に紫外線が表裏の最外層を通過して
内層に到達し、そこに存在する特殊粒状物に含まれてい
る蛍光顔料を励起させ発光させることができる。しかし
ながら表裏最外層の坪量が大きくなると紫外線が通過し
にくくなるので、最外層の坪量は15〜40g/m2
範囲とすることが好ましい。
【0071】特殊粒状物入りの偽造防止用紙の製造に
は、前記のように紙料中に予め特殊粒状物を添加してお
く方法の他にも、長網抄紙機や円網抄紙機の紙料の流送
途中で特殊粒状物を添加し抄紙する方法を採用すること
もでき、あるいは、円網抄紙機のバット中に特殊粒状物
を流送して抄紙したり、ワイヤ上の紙匹にノズルを使用
して特殊粒状物を間欠的にまたはストライプ状に振りか
ける方法も採用できる。この際、抄紙途上で紙面に澱
粉、ポリビニルアルコール、各種表面サイズ剤等をサイ
ズプレス装置等で塗工することも可能である。さらに必
要に応じてマシンカレンダー処理やスーパーカレンダー
処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行え
る。
【0072】また、本発明の偽造防止用紙はいわゆる塗
工法によっても製造できる。すなわち、特殊粒状物を澱
粉、ポリビニルアルコール、合成ゴムラテックス、合成
樹脂エマルジョン等の慣用的な塗工用バインダーに添加
して特殊粒状物入りの塗工液を調製し、あるいはこれら
バインダーとカオリン、炭酸カルシウム等の塗工用白色
顔料を主体とした塗工液を調製し、この塗工液を紙の表
面にエアナイフコーター等の公知の塗工機を使用して塗
工すればよい。また、ストライプ塗工機を使用して特殊
粒状物入り塗工液を用紙の表面にストライプ状に塗工す
ることもできる。
【0073】さらに、和紙などの薄紙に、特殊粒状物と
バインダー等で構成される塗工液を塗工し、これを細片
化して用紙に抄き込むことによっても特殊粒状物入り偽
造防止用紙を製造することができる。この場合には細片
を抄き込んだ部分のみが細片の形状、例えば円形、正方
形、長方形、星形等に蛍光発色するという特異な効果を
有した偽造防止用紙となる。
【0074】また、本発明の偽造防止用紙はいわゆる印
刷法によっても製造できる。すなわち、特殊粒状物を適
当なビヒクルに混合してスクリーン印刷機やグラビア印
刷機等の公知の印刷機を用いて紙の表面に印刷すればよ
い。この場合の印刷は、紙の全面に施しても、あるパタ
ーンを形成して施してもよい。この場合には印刷部分の
みが印刷パターンに応じて蛍光発色するという特異な効
果を有した偽造防止用紙となる。
【0075】さらにまた、本発明の偽造防止用紙はいわ
ゆる含浸法によっても製造できる。すなわち、特殊粒状
物を合成ゴムラテックスや合成樹脂エマルジョン等の公
知のバインダーに添加して、これを紙に含浸させればよ
い。
【0076】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述す
る。実施例において、重量部、重量%はいずれも乾燥重
量部、乾燥重量%を意味する。
【0077】実施例1(特殊粒状物の製造例) 球形細粒状澱粉(商品名「グラフローM」、日澱化學
(株)製造)100重量部に、珪藻土(商品名「800
S」、昭和化学工業(株)製造)10重量部とヒドロキ
シプロピルセルロース1部を水40部に分散した液をフ
ロイント産業株式会社製遠心流動型コーチング造粒装置
CFを使用してスプレーし、細粒状澱粉表面にコーティ
ングした。続いてポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂
(商品名「WS564」、日本PMC(株)製造)2重
量部、コーンスターチ5重量部、10%水酸化ナトリウ
ム溶液1重量部を水50重量部に分散したコーティング
液を同様にコーティングし、粒径200〜400μmの
特殊粒状物を得た。この特殊粒状物5重量部を水100
重量部に分散し、回転速度300rpmで10分間撹拌
したが崩壊しなかった。
【0078】実施例2(自他識別能を有した特殊紙の製
造例) NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業
(株)製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパ
インE」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸
バンド適量を加え紙料を調製した。
【0079】この紙料に実施例1で得られた特殊粒状物
を用紙に対して0.5重量%となるように添加して、長
網抄紙機を使用して坪量100g/m2 の自他識別能を
有した特殊紙を常法により製造した。抄紙機の乾燥ゾー
ン通過後にマシンカレンダー処理したところ、用紙の表
面を手で触っても特殊粒状物の存在を感知できなかっ
た。この特殊紙の表面に、沃化カリウム5.7重量部、
沃素5重量部を水1000mlに溶解して適宜水で薄め
た液を滴下し塗り広げたところ、特殊粒状物が青紫色に
染まった(沃素−澱粉反応)。紙表面に露出した特殊粒状
物を沃素−澱粉反応によって検出しこれを電子顕微鏡で
観察すると、特殊粒状物の表面に分布している珪藻土が
明瞭に観察できた。
【0080】実施例3(特殊粒状物の製造例) コーンフラワー100重量部をポリエチレンイミン(カ
チオン性バインダー)(商品名「エポミンP−100
0」、日本触媒(株)製造)10重量部をバインダーに
してスプレー乾燥し、細粒状澱粉を得た。
【0081】この細粒状澱粉の表面に、蛍光顔料(Eu
活性化St5 (PO43 Cl粒子、平均粒径0.8μ
m)20重量部と、珪藻土(商品名「800S」、昭和
化学工業(株)製造)10重量部とカルボキシメチルス
ターチ[アニオン性物質]3重量部とを水50重量部に
分散したコーティング液を、流動層造粒コーティング装
置(「フローコーター」、フロイント産業(株)製)を
使用して流動層コーティングし、粒径200〜500μ
mの真球状の特殊粒状物を得た。
【0082】この特殊粒状物は、普通光のもとでは無色
であるが、紫外線の照射で青色に発色した。この特殊粒
状物5重量部を水100重量部に分散し、回転速度30
0rpmで10分間撹拌したが崩壊しなかった。また、
この特殊粒状物を電子顕微鏡で観察すると珪藻土特有の
骨格形状が観察できた(図1参照)。
【0083】実施例4(自他識別能を有した特殊紙の製
造例) NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業
(株)製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパ
インE」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸
バンド適量を加え紙料を調製した。
【0084】この紙料に実施例3で得られた特殊粒状物
を用紙に対して0.5重量%となるように添加して、長
網抄紙機を使用して坪量100g/m2 の自他識別能を
有した特殊紙を常法により製造した。抄紙機の乾燥ゾー
ン通過後にマシンカレンダー処理したところ、用紙の表
面を手で触っても特殊粒状物の存在を感知できなかっ
た。得られた特殊紙は、普通光のもとでは特殊粒状物が
含まれている箇所が部分的に透明化して見え、紫外線を
照射することで緑色の蛍光色を発する粒子が視認でき
た。この特殊紙の表面に、沃化カリウム5.7重量部、
沃素5重量部を水1000mlに溶解して適宜水で薄め
た液を滴下し塗り広げたところ、特殊粒状物が青紫色に
染まった。この特殊粒状物は紫外線の照射で緑色に発色
した。また紙に紫外線を照射することで、紙の表面に露
出している特殊粒状物の位置を特定し、この部分を電子
顕微鏡で観察すると、特殊粒状物の表面に分布している
珪藻土が明瞭に観察できた。
【0085】実施例5(特殊粒状物の製造例) 小麦粉100重量部と炭酸カルシウム(白色顔料)15
重量部とをヒドロキシプロピルセルロース(一般的バイ
ンダー)(商品名「HPC−L」、日本曹達(株)製)
の10重量%糊液30重量部をバインダーにして、流動
層造粒・コーティング装置(「ニューマルメライザ
ー」、不二パウダル(株)製)を使用して流動層造粒し
た。この造粒物の表面に、蛍光顔料(Eu活性化Y22
S粒子、平均粒径2.2μm)20重量部、パール顔料
(商品名「マーリンハイライトスーパーゴールド923
0Z」、マール社製造)10重量部をポリアミン・エピ
クロルヒドリン系樹脂[樹脂バインダー](「WS56
4」、日本PCM(株)製)3重量部、デキストリン
[一般的バインダー]8重量部、10重量%水酸化ナト
リウム溶液1.5重量部とともに水80重量部に分散し
たコーティング液を、上記の流動層造粒・コーティング
装置にて流動層コーティングし、粒径200〜400μ
mの球形の特殊粒状物を得た。
【0086】この特殊粒状物は、普通光のもとでは無色
であるが、紫外線の照射で赤色に発色した。この特殊粒
状物5重量部を水100重量部に分散し、回転速度30
0rpmで10分間撹拌したが崩壊しなかった。また、
この特殊粒状物を電子顕微鏡で観察するとパール顔料特
有の形状が観察できた(図3参照)。
【0087】実施例6(自他識別能を有した特殊紙の製
造例) NBKP20重量部、LBKP80重量部を350ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」)0.3重量部、
サイズ剤(商品名「サイズパインE」)1.0重量部、
硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。
【0088】この紙料を用いて長網抄紙機で坪量110
g/m2 の用紙を抄造する途中の、抄紙網上に形成され
た紙匹に実施例5で得られた特殊粒状物(篩別機で粒径
300〜800μmに篩い分けたものを使用)を用紙に
対して0.5重量%になるように全面に振りかけて自他
識別能を有した特殊紙を抄造した。抄紙機の乾燥ゾーン
通過後にマシンカレンダー処理したところ、用紙の表面
を手で触っても特殊粒状物の存在を感知できなかった。
得られた特殊紙は、普通光のもとでは特殊粒状物が視認
できず、紫外線を照射することで白色の蛍光色を発する
粒子が視認できた。また紫外線を照射することで、表面
に露出している特殊粒状物の位置を特定し、この部分を
電子顕微鏡で観察すると、特殊粒状物の表面に分布して
いるパール顔料が明瞭に観察できた。
【0089】実施例7(特殊粒状物の製造例) 小麦粉100重量部、炭酸カルシウム(白色顔料)15
重量部、水不溶性で有機溶剤可溶性の赤色染料(商品名
「Kayaset Red SF−4G」、日本化薬
(株)製造)2重量部を、ヒドロキシプロピルセルロー
ス(一般的バインダー)(「HPC−L」)の10重量
%糊液30重量部をバインダーにして、流動層造粒・コ
ーティング装置(「ニューマルメライザー」)にて流動
層造粒した。
【0090】この造粒物の表面に、ポリアミン・エピク
ロルヒドリン系樹脂(樹脂バインダー)(「WS56
4」)20重量部、デキストリン(一般的バインダー)
50重量部、白色の無機蛍光顔料(Eu活性化St5
(PO43 Cl粒子、平均粒径0.8μm)10重量
部、ガラスビーズ(商品名「MB−10」、東芝(株)製
造)5重量部を水60重量部に分散したコーティング液
を、上記の流動層造粒・コーティング装置にて流動層コ
ーティングし、粒径200〜400μmの球形の特殊粒
状物を得た。
【0091】この特殊粒状物は、普通光のもとでは白色
であるが、紫外線の照射で青白色に発色した。またアセ
トンを滴下すると粒子から赤色の染料が溶出した。
【0092】この特殊粒状物5重量部を水100重量部
に分散し、回転速度300rpmで10分間撹拌したが
崩壊しなかった。また、この特殊粒状物を電子顕微鏡で
観察するとガラスビーズ特有の真球形状が観察できた
(図4参照)。
【0093】実施例8(自他識別能を有した特殊紙の製
造例) NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」)0.3重量部、
サイズ剤(商品名「サイズパインE」)1.0重量部、
硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。
【0094】この紙料に実施例7で得られた特殊粒状物
(篩別機で粒径800〜1000μmに篩い分けたもの
を使用)を用紙に対して0.5重量%となるように添加
して、長網抄紙機を使用して坪量100g/m2 の自他
識別能を有した特殊紙を常法により製造した。抄紙機の
乾燥ゾーン通過後にマシンカレンダー処理した。
【0095】得られた紙は、普通光のもとでは特殊粒状
物が視認できないが粒子が存在する箇所が多少盛り上
り、その部分が透明になって観察され、紫外線を照射す
ることで白色の蛍光色を発する粒子が明瞭に視認でき
た。
【0096】また紙に紫外線を照射することで、紙の表
面に露出している特殊粒状物の位置を特定し、この部分
を電子顕微鏡で観察すると、特殊粒状物の表面に分布し
ているガラスビーズが明瞭に観察できた。
【0097】
【発明の効果】本発明は、以上述べたように構成され、
下記に述べるような効果を有する。
【0098】1)本発明ので得られる自他識別能を有し
た機能性粒子は、顕微鏡観察という特殊な方法を使用す
ることで初めてこの粒子に隠された“秘密”を検知でき
る。この機能性粒子を用紙に含ませた特殊紙を製造し、
これを用いて偽造防止印刷物、例えば商品券に使用した
場合、極めて精巧な偽造券が出ても顕微鏡観察すること
でその真贋を判定できることとなる。
【0099】2)粉状物質として末端に水酸基を有する
粉状物質を使用した特殊粒状物を用紙中に抄き込む場
合、用紙の主成分であるセルロース繊維と粉状物質の水
酸基との間で水素結合を生成し、特殊粒状物が用紙中に
固着される。このことは、後の印刷工程で特殊粒状物が
脱落しないと言う長所につながる。
【0100】3)粒状の蛍光顔料そのものを用紙に含ま
せることを試みても、無機蛍光顔料の場合その比重は約
4〜5と大きいため、顔料を含むスラリーの流送中に顔
料が沈殿しやすいという大きな欠点があり、またその粒
径も市販されているものは0.5〜5μmと小さいもの
が大部分であり、普通光のもとで紫外線を照射してもそ
の発光を視認できない欠点もある。これに対して本発明
で得られる特殊粒状物は比重が1.2〜1.8の範囲に
あり、50μm以上の粒径の粒子を容易に得ることがで
きるので上記欠点を解消することができる。
【0101】4)本発明の特殊粒状物の蛍光剤として蛍
光顔料を使用した場合には、澱粉粒子を蛍光染料で染着
させた従来の特殊粒状物と比較してはるかに大きな発色
強度が得られる。
【0102】5)粉状物質に水酸基を有する物質を使用
し、この水酸基と反応する反応性基を有する樹脂をバイ
ンダーとして併用することにより、耐水性の優れた特殊
粒状物を得ることができる。さらに、アニオン性バイン
ダーとカチオン性物質、あるいはカチオン性バインダー
とカチオン性物質との相互作用を利用することによって
も、耐水性の優れた特殊粒状物を得ることができる。
【0103】6)粉状物質として、沃素を含む水溶液で
呈色する澱粉類、ポリビニルアルコールを使用した特殊
粒状物を偽造防止用紙に利用した場合には、用紙中の澱
粉類やポリビニルアルコールの検出を容易に行うことが
できる特徴があり、これによって用紙の出所を簡便に特
定することができる。
【0104】7)特殊粒状物の構成成分として白色顔料
を用いることにより粒子の不透明度を高めることができ
る。かような特殊粒状物を偽造防止用紙に用いた場合に
は、特殊粒状物の存在を普通光のもとでは視認すること
が困難となり、偽造防止手段が講じられていることが判
別しにくくなるため、偽造防止効果をより一層高めるこ
とができる。
【0105】8)本発明では、特殊粒状物の製造時に着
色剤を併用したり、特殊粒状物を着色したりして用紙に
含ませることができる。この場合、通常光のもとでは特
定の色相に着色した粒子が視認でき、また紫外線の照射
でこれとは異なった色相に発色させるようにすることが
できるので、意外感のある偽造防止用紙を製造できる。
また、着色剤を光学的読み取りにおけるドロップアウト
カラーとすることで、OCR読み取りや、OMR読み取
りに好適な偽造防止用紙を製造できる。
【0106】9)本発明で使用する蛍光剤として、水不
溶性で有機溶剤可溶性の蛍光染料、蛍光顔料を使用して
特殊粒状物を製造し、これを用紙中に含ませてから印刷
を施し偽造防止印刷物を製造すると、有機溶剤によって
改竄を試みた場合に特殊粒状物から有機溶剤可溶性の蛍
光剤が溶出して周囲に拡散した痕跡を紫外線の照射で視
認することができる。この性質を利用して本発明の偽造
防止用紙は、改竄されやすい偽造防止印刷物に好適に使
用できる。
【0107】10)水不溶性で有機溶剤可溶性の染料か
らなる着色剤を使用して特殊粒状物を着色し、これを用
紙中に含ませてから印刷を施し偽造防止印刷物を製造す
ると、有機溶剤によって改竄を試みた場合に特殊粒状物
から着色剤の染料が溶出して周囲に拡散した痕跡を目視
で視認することができる。この性質を利用して本発明の
偽造防止用紙は、改竄されやすい偽造防止印刷物に好適
に使用できる。
【0108】11)粉状物質を含む造粒物の表面に蛍光
剤を含むコーティング層を形成する構造の本発明の特殊
粒状物において、水に不溶性で有機溶剤可溶性の染料を
粉状物質とともに造粒物中に含有させ、コーティング層
中の蛍光剤として普通光のもとで白色か白色に近似した
色相の蛍光顔料を使用した場合には、かような特殊粒状
物は、造粒物中の有機溶剤可溶性染料の色がコーティン
グ層により隠蔽されるため、この粒子を用紙中に含ませ
てから印刷を施して偽造防止印刷物を製造すると、普通
光のもとでは特殊粒状物の存在を視認しにくいため偽造
防止手段が講じられていることが判別しにくくなり、偽
造防止効果をより一層高めることができる。さらに、有
機溶剤を用いて改竄を試みた場合には、特殊粒状物のコ
アである造粒物中から有機溶剤可溶性染料が溶出して周
囲に拡散した痕跡を目視で視認することができ、改竄の
有無を確実に認知することができる。
【0109】12)本発明の偽造防止用紙に所定の印刷
を施すことにより偽造防止印刷物を得ることができ、例
えば、商品券、株券、紙幣、身分証明書、各種チケット
類、パスポート等、偽造防止を要求される分野に有効に
利用できる。
【0110】13)本発明の特殊粒状物は、上述のよう
な特殊紙への利用以外に種々の製品に利用できる。例え
ば、電子写真のトナー、合成樹脂フィルム、合成樹脂シ
ート、合成樹脂成形体、不織布、織布、撚糸、アパレル
製品、医薬品、食品、その他種々の製品に添加すること
でその製品に製造日を特定できるある種のコードを付与
することが出来、自他を容易に識別できる。
【0111】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例3における特殊粒状物の電子
顕微鏡写真であり、不定形に砕かれた多数の蛍光顔料の
他に、図の左下及び右上に珪藻土特有の円盤状の骨格形
状を観察できる。
【図2】 実施例1の倍率を下げた特殊粒状物の電子顕
微鏡写真である。
【図3】 本発明の実施例5における特殊粒状物の電子
顕微鏡写真であり、蛍光顔料の他にパール顔料特有の扁
平状の形状を観察できる。
【図4】 本発明の実施例7における特殊粒状物の電子
顕微鏡写真であり、蛍光顔料の他にガラスビーズ特有の
真球状の形状を観察できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 23/02 D21H 23/02 Fターム(参考) 2C005 HA02 HB10 JB40 LB16 LB22 4L055 AA02 AA03 AC06 AG05 AG07 AG09 AG11 AG12 AG27 AG30 AG32 AG46 AG47 AG77 AG94 AG96 AG98 AH01 AH02 AH03 AH37 AJ04 BD11 GA45

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性粒子を構成する主要成分の他に、
    顕微鏡で観察した際に特異な形状を視認できる粉体を併
    用して粒子化されていることを特徴とする自他識別能を
    有した機能性粒子。
  2. 【請求項2】 顕微鏡で観察した際に特異な形状を視認
    できる粉体を2種類以上併用して粒子化されていること
    を特徴とする請求項1記載の自他識別能を有した機能性
    粒子。
  3. 【請求項3】 前記機能性粒子が紫外線の照射で発色す
    ることを特徴とする請求項1記載の自他識別能を有した
    機能性粒子。
  4. 【請求項4】 前記機能性粒子が澱粉を含むことを特徴
    とする請求項1記載の自他識別能を有した機能性粒子。
  5. 【請求項5】 前記機能性粒子が抄紙工程で自着性を有
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載
    の自他識別能を有した機能性粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の自他
    識別能を有した機能性粒子を含むことを特徴とする自他
    識別能を有した製品。
  7. 【請求項7】 前記自他識別能を有した機能性粒子を2
    種類以上含むことを特徴とする自他識別能を有した製
    品。
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