JP2003129396A - 赤外線吸収粒子及び該粒子を利用した偽造防止用紙 - Google Patents

赤外線吸収粒子及び該粒子を利用した偽造防止用紙

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JP2003129396A
JP2003129396A JP2001324679A JP2001324679A JP2003129396A JP 2003129396 A JP2003129396 A JP 2003129396A JP 2001324679 A JP2001324679 A JP 2001324679A JP 2001324679 A JP2001324679 A JP 2001324679A JP 2003129396 A JP2003129396 A JP 2003129396A
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absorbing particles
particles
infrared
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Toru Murakami
徹 村上
Shinichi Akahori
慎一 赤堀
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Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線吸収顔料を利用した新規な赤外線吸収
粒子と、それを使用した偽造防止用紙を製造することを
課題とする。 【解決手段】 粉状物質の造粒物と、この造粒物の表面
に形成した赤外線吸収顔料のコーティング層とからなる
赤外線吸収粒子。コーティングに際して、粉状物質の水
酸基と反応する反応性基を有する樹脂をバインダーとし
て併用することによって、あるいは、造粒物中にアニオ
ン性バインダーまたはカチオン性バインダーを含ませ、
コーティング層中にカチオン性物質またはアニオン性物
質を含ませることによって、粒子に耐水性を付与するこ
ともできる。赤外線吸収顔料に紫外線照射で蛍光発色す
る水不溶性の紫外蛍光発色顔料を混合して併用すれば、
紫外線照射時に紫外蛍光発色顔料が発色する粒子が得ら
れる。これらの赤外線吸収粒子を用紙に含ませることに
より偽造防止効果に優れた偽造防止用紙が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線により検知
可能な赤外線吸収粒子及びこれを使用した偽造防止用紙
に関し、詳しくは赤外線領域は吸収するが可視光領域に
は吸収の非常に少ない赤外線吸収粒子及びこれを使用し
た偽造防止用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から株券、小切手、商品券等の証券
類に記された情報を機械により読み取る手段として、バ
ーコードやOCR文字等の機械読み取り可能なマークが
設けられることが多く、通常、近赤外線領域の光を反射
する基材面に、近赤外線領域の光を吸収するカーボンブ
ラック等を含む黒色インキを用いてマークを形成するも
のが用いられている。
【0003】例えば、特開昭58−45999号公報に
は、可視領域および赤外領域での分光吸収特性が比較的
平坦なインクを用いて投票券上に印刷するバーコードエ
リアを、可視領域の分光吸収が赤外領域での分光吸収に
比べはるかに大きい特性を有するインクにより塗りつぶ
すことによって、目視不可能であるが赤外光検知素子を
用いてバーコードを読み取ることができるようにした投
票券が提案されている。
【0004】しかしながら、最近は複写機やパソコン周
辺機器であるスキャナーやプリンターの技術的進歩が著
しく、これを利用すれば、上述の証券類は本物とほぼ同
じ様に複写やプリントアウトすることが可能となり、こ
れらを利用した偽造証券類が現れるようになった。
【0005】このような犯罪を防ぐことを目的に、特開
2000−309736号公報では、可視領域でマーク
が視認されにくく、従って複写機やパソコン周辺機器で
の複写やプリントアウトが不可能な、赤外吸収特性が優
れた印刷物の提案がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記したよう
な偽造を防止でき、赤外線で検知できる新規な偽造防止
手段を開発することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による赤外線吸収
粒子は、粉状物質を含む造粒物と、この造粒物の表面に
形成した可視光領域で実質的に白色で水不溶性の赤外線
吸収顔料(以下、本発明では特に断らない限り、「可視
光領域で実質的に白色で水不溶性の赤外線吸収顔料」を
単に「赤外線吸収顔料」と呼ぶ)を含むコーティング層
とからなることを特徴とする。
【0008】本発明においては、コーティングに際し
て、粉状物質が有する水酸基と反応する反応性基を2個
以上有する樹脂バインダーを使用することにより、耐水
性を有する赤外線吸収粒子を得ることができる。すなわ
ち本発明による赤外線吸収粒子は、前記粉状物質が水酸
基を有するものであり、前記コーティング層中に前記粉
状物質が有する水酸基と反応する反応性基を2個以上有
する樹脂バインダーをさらに含有させたことを特徴とす
る。
【0009】また本発明においては、コーティングに際
して、造粒物中に含有させたアニオン性バインダーまた
はカチオン性バインダーと、コーティング層中に含有さ
せたカチオン性物質またはアニオン性物質との相互作用
を利用することにより、耐水性を有する赤外線吸収粒子
を得ることができる。すなわち本発明による赤外線吸収
粒子は、前記造粒物中にアニオン性バインダーをさらに
含有させ、前記コーティング層中にカチオン性物質をさ
らに含有させたことを特徴とする。さらに本発明による
赤外線吸収粒子は、前記造粒物中にカチオン性バインダ
ーをさらに含有させ、前記コーティング層中にアニオン
性物質をさらに含有させたことを特徴とする。
【0010】本発明においては、前記した赤外線吸収顔
料に、紫外線の照射で蛍光発色する水不溶性の紫外蛍光
発色顔料を混合して併用することもできる。すなわち本
発明による赤外線吸収粒子は、前記コーティング層中
に、紫外線の照射で蛍光発色する水不溶性の紫外蛍光発
色顔料をさらに含有させたことを特徴とする。
【0011】さらにまた本発明においては、顕微鏡で観
察した際に特異な形状を視認できる粉体をコーティング
層に含有させて併用することもできる。すなわち本発明
による赤外線吸収粒子は、前記コーティング層中に、顕
微鏡で観察した際に特異な形状を視認できる粉体をさら
に含有させたことを特徴とする。
【0012】上記のごとき本発明の赤外線吸収粒子を用
いることにより、偽造のしにくい偽造防止用紙を得るこ
とができる。すなわち、本発明による偽造防止用紙は、
上記したごとき赤外線吸収粒子を用紙中に含ませたこと
を特徴とするものである。かような偽造防止用紙は、普
通光(自然光、白熱電球の光、蛍光灯の光などの通常の
光)のもとでは用紙中に含ませた赤外線吸収粒子が視認
できないか視認しにくいが、赤外線を照射しその画像を
赤外線の画像として観察できる赤外線CCDカメラなど
の検知装置で観察することにより粒子の存在を検知する
ことで、用紙の真贋を判別することが可能となる。
【0013】また、赤外線吸収顔料と紫外蛍光発色顔料
とをコーティング層に含有させた赤外線吸収粒子を用紙
に含ませた偽造防止用紙は、赤外線を照射した場合には
紫外蛍光発色顔料は発色せず、紫外線を照射した場合に
は紫外蛍光発色顔料のみが発色して赤外線吸収顔料は発
色しない。つまり、赤外線照射と紫外線照射の二重チェ
ックを行うことで偽造防止効果を向上させることができ
る。
【0014】さらにまた、顕微鏡で観察した際に特異な
形状を視認できる粉体をコーティング層に含有させた赤
外線吸収粒子を用紙に含ませた偽造防止用紙は、用紙を
顕微鏡で観察して、用紙中の粒子表面に特異な粉体形状
が視認できるか否かをチェックすることで、偽造防止効
果を一層高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に使用する粉状物質として
は、代表的なものとして澱粉が挙げられる。具体的には
馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、タピオカ澱
粉、サゴ澱粉、米澱粉、アマランサス澱粉、サトイモ澱
粉、道鑑草澱粉等の天然澱粉、それらの化工澱粉(デキ
ストリン、酸分解澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉、
エーテル化、エステル化、架橋等の澱粉誘導体、グラフ
ト化澱粉、湿熱処理澱粉等)が挙げられる。また、小麦
粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉;粉末セルロース、
バクテリアセルロース、微小繊維状セルロース、結晶セ
ルロース、等の水不溶性の粉状セルロース;木粉;カル
ボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、4級カチオ
ン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体;アルギン酸、寒天、ふのり、カラギーナン、ファー
セレラン、ペクチン、キチン、キトサン、グアガム、ロ
ーカストビーンガム、タマリンドガム、アラビアガム、
トラガントガム、カラヤガム、タラガム、コンニャク、
トロロアオイ、プルラン、デキストラン等の多糖類及び
これらの誘導体;ブドウ糖、ショ糖、乳糖等の粉末糖
類;高重合度かつ高鹸化度のポリビニルアルコール等の
粉状有機物質も粉状物質として使用できる。
【0016】さらに粉状無機物質も粉状物質として使用
できる。粉状無機物質としては、充填剤として知られる
二酸化チタン、珪酸塩(カオリン、クレイ、ベントナイ
ト、タルク、合成珪酸アルミ、合成珪酸カルシウム
等)、珪酸(珪藻土、珪石粉、含水微粉珪酸、無水微粉
珪酸)、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム・マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウ
ム、酸化鉄等が挙げられる。
【0017】これらの粉状物質は単独で用いてもよく、
2種以上を混合して用いてもよい。粉状物質として、澱
粉、穀粉、セルロース、その他の多糖類、糖、ポリビニ
ルアルコール等の水酸基を有する粉状物質を用いた場合
には、水酸基と反応する反応性基を有する樹脂バインダ
ーと併用することにより赤外線吸収粒子に耐水性を付与
させるのに有効であり、さらに、赤外線吸収顔料と共に
コーティングしても赤外線を吸収する性能を殆ど低下さ
せないため高価な赤外線吸収顔料の増量の役目も果たす
ことができるので、本発明の目的を阻害しない範囲で、
樹脂バインダーをコーティングするときにコーティング
液に添加することもできる。
【0018】次に本発明で使用する赤外線吸収顔料につ
いて説明する。本発明で使用する赤外線吸収顔料は水に
不溶性であることが必要である。水に可溶性であると、
後に詳しく述べるように偽造防止用紙を製造する際にス
ラリーに添加された赤外線吸収顔料からこれらの顔料が
溶出してしまい本発明の目的を達成できなくなるからで
ある。
【0019】なお、本発明で使用する「水に不溶性であ
る」と言う意味は、赤外線吸収顔料単独の性質ではな
く、赤外線吸収粒子を製造した後に粒子中の赤外線吸収
顔料が水に溶出しないことを意味する。
【0020】赤外線を吸収する顔料は種々知られてい
る。例えばカーボン粉末は赤外線を吸収するが可視光線
も吸収するので黒色に見えるが、このような赤外線吸収
顔料は本発明では使用できない。本発明で使用する赤外
線吸収顔料としては、可視光領域で実質的に白色である
ことが必要である。実質的に白色とは、後に述べるよう
に赤外線吸収顔料を使用して赤外線吸収粒子を製造し紙
に抄き込んだりした場合に、粒子の存在を視認できない
くらいに白色であると言う意味である。
【0021】本発明では周知の赤外線吸収顔料をいずれ
も使用することができる。例えば、ITO粉末(錫ドー
プ酸化インジウム粉末)や、特開平5−279078号
に開示されているような、銅を含有するリン酸化合物を
10重量%以上含有する赤外線吸収顔料や、特開平5−
331449号に開示されているような、銅の硫酸化合
物の粉末を10重量%以上含有する赤外線吸収顔料や、
特開平6−206714号に開示されているような銅を
CuO、リン酸をPに換算してCuO/P
のモル比が0.05〜4である銅含有リン酸化合物を湿
式粉砕した赤外線吸収顔料や、特開平6−207161
号に開示されているような、銅をCuO、リン酸をP
に換算してCuO/Pのモル比が0.05〜
4である銅含有リン酸化合物にコバルト成分やネオジウ
ムなどを含有させた赤外線吸収顔料や、特開平7−53
945号に開示されているような、銅リン酸結晶化ガラ
スを10重量%以上含有する赤外線吸収顔料、などを挙
げることができる。本発明では、これらの赤外線吸収顔
料は、通常平均粒径が0.5〜5μmのものを使用す
る。
【0022】後述するように本発明の赤外線吸収粒子を
用紙中に含ませて偽造防止用紙を製造する際に、抄紙工
程で赤外線吸収粒子を紙料に添加する場合、抄紙工程の
湿紙に赤外線吸収粒子を振りかける場合、さらには赤外
線吸収粒子を塗工液中に添加して用紙表面に塗工する場
合等には、赤外線吸収粒子が水中で崩壊しないようにす
るために耐水性を有している必要がある。
【0023】本発明においては、赤外線吸収粒子に耐水
性を付与するために、澱粉、穀粉、セルロース、その他
の多糖類、糖、ポリビニルアルコール等の粉状物質が有
する水酸基と反応する反応性基を2個以上有する樹脂を
バインダーとして使用する。本明細書中では、この種の
樹脂を“樹脂バインダー”と称している。かような樹脂
バインダーとしては、例えばポリアミン・エピクロルヒ
ドリン系樹脂、水溶性アルキル化アミノ樹脂、水溶性メ
チル化メラミン系樹脂、水溶性フェノール樹脂、尿素樹
脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、メチロール化ポリアク
リルアミド樹脂等を挙げることができる。
【0024】樹脂バインダーを用いて赤外線吸収粒子に
耐水性を付与させるには、粉状物質からなる造粒物表面
に赤外線吸収顔料を樹脂バインダーでコーティングすれ
ばよい。
【0025】本発明においては、赤外線吸収粒子に耐水
性を付与する別の方法として、造粒物中に含有させたア
ニオン性バインダーとコーティング層中に含有させたカ
チオン性物質との相互作用、あるいは造粒物中に含有さ
せたカチオン性バインダーとコーティング層中に含有さ
せたアニオン性物質との相互作用を利用する方法が採用
できる。すなわち、粉状物質をアニオン性バインダーに
より造粒し、造粒物表面に赤外線吸収顔料をカチオン性
物質でコーティングすることによりアニオン性バインダ
ーに耐水性を付与することができる。あるいは、粉状物
質をカチオン性バインダーにより造粒し、造粒物表面に
赤外線吸収顔料をアニオン性物質でコーティングするこ
とによりカチオン性バインダーに耐水性を付与すること
ができる。
【0026】本発明で用いるアニオン性バインダーとし
ては、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシ
メチルグアーガム、カルボキシメチルキサンタンガム、
カルボキシメチルタラガム、低メトキシルペクチン、カ
ラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等
のアニオン性基を有する多糖類またはアニオン性基を有
する合成高分子が挙げられる。
【0027】このアニオン性バインダーに耐水性を付与
するために、造粒物表面に赤外線吸収顔料とともにコー
ティングするカチオン性物質としては、多価金属イオン
の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、
ホウ素、アルミニウム、チタン等の塩酸塩、硫酸塩、炭
酸塩、リン酸塩、乳酸塩、水酸化物が使用できる。_
【0028】また、カチオン性の水溶性高分子物質、例
えば、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイ
ミン、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹
脂、ポリアリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化
澱粉、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオ
ン化キサンタンガム、カチオン化タラガム等もカチオン
性物質として使用できる。
【0029】本発明で用いるカチオン性バインダーとし
ては、上記でカチオン性物質として示したカチオン性の
水溶性高分子物質を用いることができる。すなわち、カ
チオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポ
リビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹脂、ポリ
アリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化澱粉、カ
チオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化キサ
ンタンガム、カチオン化タラガム等のカチオン性の水溶
性高分子物質をカチオン性バインダーとして使用でき
る。
【0030】このカチオン性バインダーに耐水性を付与
するために、造粒物表面に赤外線吸収顔料とともにコー
ティングするアニオン性物質としては、上記でアニオン
性バインダーとして示したアニオン性基を有する多糖類
またはアニオン性基を有する合成高分子を用いることが
できる。すなわち、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、カ
ルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスター
チ、カルボキシメチルグアーガム、カルボキシメチルキ
サンタンガム、カルボキシメチルタラガム、低メトキシ
ルペクチン、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸ソーダ等をアニオン性物質として使用できる。
【0031】本発明において、粉状物質、あるいは粉状
物質とアニオン性バインダーまたはカチオン性バインダ
ーとの混合物を造粒するに際しては、従来から澱粉等の
造粒方法として一般的に慣用されている方法が採用でき
る。すなわち、転動造粒法、押出造粒法、噴霧乾燥造粒
法、流動層造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、破砕造粒
法、撹拌造粒法等を用いることができる。このうち噴霧
乾燥造粒法は、小さい球形の粒が製造できるという特徴
がある。
【0032】押出造粒法においては、バインダーの種類
や用いる量により造粒性が不十分な場合もある。この様
な場合に造粒性を改善するために、前述した各種のバイ
ンダー以外に、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、酸化澱粉、デキストリン等
の一般的バインダーを必要に応じて併用して混練し、押
出造粒すればよい。押出造粒で得られた造粒物は、一般
的には整粒機にかけて整粒した後使用されるが、バイン
ダーの種類や用いる量により整粒性が悪いときには、界
面活性剤や潤滑剤を必要に応じて添加することにより造
粒物の整粒性を改良することができる。
【0033】また、本発明において、造粒物の表面に赤
外線吸収顔料をコーティングするに際しては、造粒物を
乾燥した後赤外線吸収顔料をバインダーとともに液状
(分散液)でコーティング処理するか、または、バイン
ダーを液体で吹きつけながら赤外線吸収顔料を粉体状で
コーティングする方法が採用できる。コーティング装置
としては、コーティング専用機はもちろん、上記の造粒
法で用いる造粒機でコーティング処理を行なえるもの
(例えば、転動造粒機、流動層造粒機あるいは乾燥機で
乾燥中に液体の噴霧が行なえるもの)も使用することが
でき、さらには、コーティング専用機以外でもコーティ
ング処理に用いることができるものであればいかなる装
置も使用することができる。
【0034】以上述べた方法で製造される本発明の赤外
線吸収粒子の形状は、用いる造粒方法により形状が異な
ってくる。例えば押出造粒後、整粒したものは角がとれ
た円柱状の形状を有する。断面は円形か円形に近い形状
を有し、この直径に対して長さが同じかほぼ同じ場合に
は球状に吸収して見え、また長さが長い場合は繭状に吸
収して見える。また、噴霧乾燥造粒法により得たものは
略真球状であり、転動造粒法、撹拌造粒法により得たも
のは略球状であり、流動層造粒法で得たものはコンペイ
糖のような多角形状となる傾向があるが、条件によって
は同じ造粒法によっても違う形状になることがある。
【0035】赤外線吸収粒子の粒径は数μmから数百μ
mまで適宜コントロールすることは可能であるが、本発
明においては粒径は50〜800μmの範囲に調整する
ことが好ましい。50μm未満では粒子の存在を検知し
難くなり、800μmを超えると紙に含ませた場合その
存在が触感で判るようになるからである。
【0036】本発明においては赤外線吸収粒子を着色せ
ずに用いてもよく、或いは着色して用いてもよい。着色
していない赤外線吸収粒子は普通光のもとで白色か白色
に近似した色相であるため、白色か白色に近似したごく
淡く着色された紙中に含ませた場合には、紙中に赤外線
吸収粒子が存在していることを視認しにくくなる。赤外
線吸収粒子を着色する場合には、紙の着色度合いに近似
させて赤外線吸収粒子の色相を調整することにより、紙
中に赤外線吸収粒子が存在していることを視認しにくく
なる。また着色した赤外線吸収粒子を着色されていない
紙中に含ませた場合は、赤外線吸収粒子の存在が普通光
のもとで視認できる。
【0037】本発明においては、赤外線吸収粒子が着色
されている場合は、特にカラーコピー機でその色相が再
現できない程度に淡く着色されていることが好ましい。
淡く着色された赤外線吸収粒子を含ませた偽造防止用紙
を使用して製造した偽造防止印刷物(例えば商品券)を
カラーコピー機を使用して偽造を試みても、赤外線吸収
粒子がコピーされるように濃度調整を行うと、印刷部分
に相当するコピー部の濃度が上がってしまい、それだけ
で偽造券であることが容易に判定できるからである。
【0038】また本発明においては、赤外線吸収粒子の
着色が光学的読み取りにおけるドロップアウトカラーで
あることが好ましい。各種の商品券やチケット等の偽造
防止印刷物の表面には、OMRやOCR読み取りのため
の印刷が施されることが多い。これらは、商品券やチケ
ットが使用された後に、自動集計するために施されてい
る。OMRとは、「Optical Mark Rec
ognition」の略で、光源からの光を用紙に照射
して受光素子で受光することで、用紙に設けたマークの
位置を認識することによって、その位置を数字や記号と
対比させて結びつけ、集計や分類に使うシステムの総称
であり、これに使用する用紙をOMR用紙と呼んでい
る。また、OCRとは、「Optical Chara
cterRecognition」の略で、同様にして
光学的に文字や数字を読みとるシステムの総称であり、
これに使用する用紙をOCR用紙と呼んでいる。
【0039】OMRやOCR読み取りをさせるために、
用紙の表面には、枠、けい線、説明文等の所定事項がド
ロップアウトカラーで印刷されることが多い。ドロップ
アウトカラー(Dropout Color)とは、光
源と受光素子の組み合わせで、人間の目には印刷部分は
白地と全く異なった色として認識されるのに受光素子で
は差が消え失せて白地と同一に感じ取るような色をい
う。OMR用紙やOCR用紙の場合、使用する光源の種
類と受光素子の組み合わせで適当な波長領域の色光を設
定し、それに対応するドロップアウトカラーを使用する
こととなる。JIS・C6253「光学的文字認識のた
めの印字仕様」には8種類の波長領域と対応する受光装
置を制定している。
【0040】本発明では、赤外線吸収粒子の色相を光学
的読み取りにおけるドロップアウトカラーとすること
で、人間の目には粒子が存在する部分は白地と全く異な
った色として認識されるのに、OMRやOCR読み取り
の際に、受光素子では差が消え失せて白地と同一に感じ
取るようになる。
【0041】赤外線吸収粒子を着色させるには、前述し
たような赤外線吸収粒子を製造する際の種々の段階で着
色剤を併用する方法、また赤外線吸収粒子を製造後に染
料で染着する方法、等で行う。着色剤としては、直接染
料、酸性染料、塩基性染料等の着色染料や無機、有機の
着色顔料を使用できる。耐光性を有する着色を施す場合
には無機系の顔料を着色剤として使用することが好まし
い。
【0042】赤外線吸収粒子の着色剤として、水不溶性
で有機溶剤可溶性の染料を使用した場合には、以下のよ
うな特異な効果を奏することができる。すなわちこの着
色された赤外線吸収粒子を用紙中に含ませてから印刷を
施して偽造防止印刷物を製造すると、有機溶剤によって
印刷表示の改竄を試みた場合に、赤外線吸収粒子から有
機溶剤可溶性の染料が溶出して周囲に拡散した痕跡を目
視で視認することができ、改竄の有無を確実に認知する
ことができる。
【0043】粉状物質を含む造粒物の表面に赤外線吸収
顔料を含むコーティング層を形成した構造の本発明の赤
外線吸収粒子においては、水に不溶性で有機溶剤可溶性
の染料を粉状物質とともに造粒物中に含有させ、コーテ
ィング層中の赤外線吸収顔料として普通光のもとで白色
か白色に近似した色相の赤外線吸収顔料を使用する実施
態様とすることもできる。かような赤外線吸収粒子は、
造粒物中の有機溶剤可溶性染料の色がコーティング層中
の白色か白色に近似した色相の赤外線吸収顔料により隠
蔽されるため、この粒子を用紙中に含ませてから印刷を
施して偽造防止印刷物(例えばパスポート)を製造する
と、普通光のもとでは赤外線吸収粒子の存在を視認しに
くいため偽造防止手段が講じられていることが判別しに
くくなり、偽造防止効果をより一層高めることができ
る。さらに、有機溶剤を用いて印刷表示の改竄を試みた
場合には、赤外線吸収粒子のコアである造粒物中から有
機溶剤可溶性染料が溶出して周囲に拡散した痕跡を目視
で視認することができ、改竄の有無を確実に認知するこ
とができる。
【0044】水不溶性で有機溶剤可溶性の染料として
は、例えばモノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノア
ゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリ
ルメタン系等の染料が使用できる。これらの染料がどの
有機溶剤に溶解するかは「染料便覧」に記載されてお
り、カラーインデックス(C.I.番号)でその種類を
特定できる。
【0045】本発明においては、赤外線吸収顔料に、紫
外線の照射で蛍光発色する水不溶性の紫外蛍光発色顔料
を混合し、この混合物を造粒物の表面にコーティングす
ることにより、赤外線吸収顔料と紫外蛍光発色顔料とを
併用することもできる。これにより、赤外線を照射した
場合には赤外線吸収顔料のみが赤外線を吸収して紫外蛍
光発色顔料は発色せず、紫外線を照射した場合には紫外
蛍光発色顔料のみが発色して赤外線吸収顔料は発色しな
い赤外線吸収粒子を製造することができる。かような赤
外線吸収粒子を用紙に含有させて偽造防止用紙を製造し
た場合には、この用紙に赤外線を照射して赤外線画像を
検知できるような検知装置で観察したときに粒子中の赤
外線吸収顔料が赤外線を吸収した状態の画像を観察で
き、紫外線を照射したときに粒子中の紫外蛍光発色顔料
が、例えば赤色に発色するようにできる。つまり赤外線
照射と紫外線照射の二重チェックを行うことで偽造防止
効果をより向上させることができる。
【0046】紫外蛍光発色顔料としては具体的には、
銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛;マンガン等
で活性化したケイ酸亜鉛;銀、銅等で活性化した硫化亜
鉛;カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウ
ム;サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロン
チウム;鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム;
ユーロピウム等で活性化したSr (PO
l;マンガン等で活性化したZnGeO;ユーロピ
ウム等で活性化したYS;ユーロピウム等で活性
化したY等を挙げることができる。これらの紫外
蛍光発色顔料は、通常平均粒径が0.5〜5μmのもの
を使用することが望ましい。
【0047】さらに本発明においては、赤外線吸収顔
料、あるいは紫外蛍光発色顔料等の混合物に、顕微鏡で
観察した際に特異な形状を視認できる粉体を混合し、こ
の混合物を造粒物の表面にコーティングすることもでき
る。このようにして得られた赤外線吸収粒子を用紙に含
有させて偽造防止用紙を製造した場合には、用紙を顕微
鏡で観察して、用紙中の粒子表面に特異な粉体形状が視
認できるか否かをチェックすれば、偽造防止効果を一層
高めることができる。
【0048】顕微鏡で観察した際に特異な形状を示す粉
体の具体的な例としては、紡錘型の形状を示すカルサイ
ト型結晶構造の炭酸カルシウム、薄片板の形状を示すマ
イカ粉やパール顔料、針状の形状を示すウォラストナイ
トやチタン酸カリウム、球状の形状を示すガラスビーズ
やシリカビーズやバルーン(球形をした中空体の総
称)、アルミニウム、チタン等の金属の球状粉末、スチ
レン系、ホルマール樹脂系、ポリメチルメタクリレート
系、ポリアミドイミド系等の球形の有機フィラー、各種
の植物花粉、バクテリアセルロース、珪藻土、等を挙げ
ることができ、本発明ではこれらの1種以上を使用す
る。特に2種類以上を使用するとそれだけ特異な粉体形
状のバリエーションを増やすことができる。粉体の粒径
は通常数μmから数百μmのものを使用する。粒径がこ
れより小さいと顕微鏡観察で特異な形状を観察しにくく
なり、これより大きいと粉体の製造が困難となるからで
ある。_
【0049】本発明の赤外線吸収粒子を用いた偽造防止
用紙の製造について以下に説明する。すなわち、本発明
の偽造防止用紙は、針葉樹晒クラフトパルプ(NBK
P)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒
サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパ
ルプ(TMP)等の製紙用パルプを主体とし、これに必
要に応じて、コットン、麻、竹、ワラ、ケナフ等の非木
材パルプや合成繊維を適宜併用し、これに乾燥紙力増強
剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上
剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料などを適宜
添加して紙料を調製し、この紙料にチェスト等で赤外線
吸収粒子を添加して、通常フリーネス550〜250m
lC.S.F.で長網抄紙機や円網抄紙機等の公知の抄
紙機を使用して抄紙することにより製造することができ
る。
【0050】赤外線吸収粒子が表面に露出した状態で用
紙に含まれている場合は、用紙に印刷を施す際に赤外線
吸収粒子が用紙から脱落する問題を引き起こすことがあ
る。この現象は印刷インキのタックの大きなオフセット
印刷で起こりやすくなる。従って、オフセット印刷を施
す用紙の場合には、偽造防止用紙を少なくとも3層以上
の紙層の抄合わせ紙とし、その内層の紙層に赤外線吸収
粒子を含ませるようにすることが好ましい。かような抄
合わせ紙とした場合でも、赤外線照射時に赤外線が表裏
の最外層を通過して内層に到達し、そこに存在する赤外
線吸収粒子に含まれている赤外線吸収顔料に赤外線を吸
収させることができる。しかしながら表裏最外層の紙層
の坪量が大きくなると赤外線が通過しにくくなるので、
最外層の紙層の坪量は15〜150g/mの範囲とす
ることが好ましい。
【0051】赤外線吸収粒子入りの偽造防止用紙の製造
には、前記のように紙料中に予め赤外線吸収粒子を添加
しておく方法の他にも、長網抄紙機や円網抄紙機の紙料
の流送途中で赤外線吸収粒子を添加し抄紙する方法を採
用することもでき、あるいは、円網抄紙機のバット中に
赤外線吸収粒子を流送して抄紙したり、ワイヤ上の紙匹
にノズルを使用して赤外線吸収粒子を間欠的にまたはス
トライプ状に振りかける方法も採用できる。この際、抄
紙途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコール、各種表面
サイズ剤等をサイズプレス装置等で塗工することも可能
である。さらに必要に応じてマシンカレンダー処理やス
ーパーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させる
ことも適宜行える。
【0052】また、本発明の偽造防止用紙はいわゆる塗
工法によっても製造できる。すなわち、赤外線吸収粒子
を澱粉、ポリビニルアルコール、合成ゴムラテックス、
合成樹脂エマルジョン等の慣用的な塗工用バインダーに
添加して赤外線吸収粒子入りの塗工液を調製し、あるい
はこれらバインダーとカオリン、炭酸カルシウム等の塗
工用白色顔料を主体とした塗工液を調製し、この塗工液
を紙の表面にエアナイフコーター等の公知の塗工機を使
用して塗工すればよい。また、ストライプ塗工機を使用
して赤外線吸収粒子入り塗工液を用紙の表面にストライ
プ状に塗工することもできる。
【0053】さらに、和紙などの薄紙に、赤外線吸収粒
子とバインダー等で構成される塗工液を塗工し、これを
細片化して用紙に抄き込むことによっても赤外線吸収粒
子入り偽造防止用紙を製造することができる。この場合
には細片を抄き込んだ部分のみが細片の形状、例えば円
形、正方形、長方形、星形等に赤外線吸収するという特
異な効果を有した偽造防止用紙となる。
【0054】また、本発明の偽造防止用紙はいわゆる印
刷法によっても製造できる。すなわち、赤外線吸収粒子
を適当なビヒクルに混合してスクリーン印刷機やグラビ
ア印刷機等の公知の印刷機を用いて紙の表面に印刷すれ
ばよい。この場合の印刷は、紙の全面に施しても、ある
パターンを形成して施してもよい。この場合には印刷部
分のみが印刷パターンに応じて赤外線を吸収するという
特異な効果を有した偽造防止用紙となる。
【0055】さらにまた、本発明の偽造防止用紙はいわ
ゆる含浸法によっても製造できる。すなわち、赤外線吸
収粒子を合成ゴムラテックスや合成樹脂エマルジョン等
の公知のバインダーに添加して、これを紙に含浸させれ
ばよい。
【0056】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述
する。実施例において、重量部、重量%はいずれも乾燥
重量部、乾燥重量%を意味する。 [実施例1] 普通光のもとでは無色であり、赤外線を
吸収する赤外線吸収粒子の製造例。コーンフラワー10
0重量部をポリエチレンイミン[カチオン性バインダ
ー](「エポミンP−1000」、日本触媒(株)製)
10重量部をバインダーにしてスプレー乾燥し、細粒状
澱粉を得た。この細粒状澱粉の表面に、平均粒径0.7
μmの赤外線吸収顔料(ITO粉末(錫ドープ酸化イン
ジウム粉末))25重量部とカルボキシメチルスターチ
[アニオン性物質]2重量部とを水50重量部に分散し
たコーティング液を、流動層造粒コーティング装置
(「フローコーター」、フロイント産業(株)製)にて
流動層コーティングし、粒径300〜500μmの真球
状の赤外線吸収粒子を得た。この赤外線吸収粒子は、普
通光のもとでは無色であるが、赤外画像をモニターでき
る構造のビデオカメラで観察したところ、液晶モニター
には赤外線を吸収し、暗く写っている粒子を視認でき
た。この赤外線吸収粒子5重量部を水100重量部に分
散し、回転速度300rpmで10分間撹拌したが崩壊
しなかった。
【0057】[実施例2] 普通光のもとでは無色であ
り、紫外線照射で赤色に発色する赤外吸収粒子の製造
例。コーンフラワー100重量部をポリエチレンイミン
[カチオン性バインダー](「エポミンP−100
0」)10重量部をバインダーにしてスプレー乾燥し、
細粒状澱粉を得た。この細粒状澱粉の表面に、赤外線吸
収顔料(燐酸塩ガラス(商品名「ブリルライト」、旭硝
子(株)製造の粉砕品、平均粒径1.0μmに分級)10
重量部と、紫外蛍光発色顔料(Eu活性化Y
粒子、平均粒径2.2μm)30重量部と、カルボキシ
メチルスターチ[アニオン性物質]2重量部とを水50
重量部に分散したコーティング液を、流動層造粒コーテ
ィング装置(「フローコーター」)にて流動層コーティ
ングし、粒径200〜500μmの真球状の赤外線吸収
粒子を得た。この粒子は、普通光のもとでは無色である
が、赤外画像をモニターできる構造のビデオカメラで観
察したところ、液晶モニターには赤外線を吸収し、暗く
写っている粒子を視認できた。また、紫外線(ブラック
ライト。以下同じ)の照射では赤色に発色した。この赤
外及び紫外蛍光発色粒子5重量部を水100重量部に分
散し、回転速度300rpmで10分間撹拌したが崩壊
しなかった。
【0058】[実施例3] 特異な形状の粉体を添加し
た赤外線吸収粒子の製造例。実施例2のコーティング液
に、ガラスビーズ(商品名「MB−10」、東芝(株)製
造)20重量部を添加した以外は、実施例2と全く同様
にして赤外線吸収粒子を製造した。この粒子は、普通光
のもとでは無色であるが、赤外画像をモニターできる構
造のビデオカメラで観察したところ、液晶モニターには
赤外線を吸収し、暗く写っている粒子を視認できた。ま
た、紫外線(ブラックライト。以下同じ)の照射では赤
色に発色した。また、この粒子を電子顕微鏡で観察する
と、ガラスビーズ特有の真球状の形状が観察できた。
【0059】[実施例4] 水不溶性、有機溶剤可溶性
の染料で着色した赤外線吸収粒子の製造例。実施例2の
コーティング液に、水不溶性で有機溶剤可溶性の赤色染
料(商品名「Kayaset Red SF−4G」、
日本化薬(株)製造)2重量部を添加した以外は、実施例
2と全く同様にして赤外線吸収粒子を製造した。この粒
子は、普通光のもとでは無色であるが、紫外線の照射で
は赤色に発色した。またアセトンを滴下すると粒子から
赤色の染料が溶出した。この粒子5重量部を水100重
量部に分散し、回転速度300rpmで10分間撹拌し
たが崩壊しなかった。
【0060】[実施例5] 偽造防止用紙の製造例。N
BKP20重量部、LBKP80重量部を350ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業
(株)製)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパ
インE」、荒川化学工業(株)製)1.0重量部、硫酸
バンド適量を加え紙料を調製した。この紙料を用いて長
網抄紙機で坪量110g/m の用紙を抄造する途中
の、抄紙網上に形成された紙匹に前記実施例1で得られ
た赤外線吸収粒子(篩別機で粒径300〜500μmに
篩い分けたものを使用)を用紙に対して0.5重量%に
なるように全面に振りかけて偽造防止用紙を抄造した。
抄紙機の乾燥ゾーン通過後にマシンカレンダー処理した
ところ、用紙の表面を手で触っても赤外線吸収粒子の存
在を感知できなかった。得られた偽造防止用紙は、普通
光のもとでは赤外線吸収粒子が視認できなかったが、赤
外画像をモニターできる構造のビデオカメラで観察した
ところ、液晶モニターには赤外線を吸収し、暗く写って
いる粒子を視認できた。この偽造防止用紙の表面に、沃
化カリウム5.7重量部、沃素5重量部を水1000m
lに溶解して適宜水で薄めた液を滴下し塗り広げたとこ
ろ、赤外線吸収粒子が青紫色に染まった。
【0061】[実施例6] 偽造防止用紙の製造例。N
BKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」)0.3重量部、
サイズ剤(商品名「サイズパインE」)1.0重量部、
硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。この紙料に前記
実施例2で得られた赤外線吸収粒子を用紙に対して0.
5重量%となるように添加して、長網抄紙機を使用して
坪量100g/mの偽造防止用紙を常法により製造し
た。抄紙機の乾燥ゾーン通過後にマシンカレンダー処理
したところ、用紙の表面を手で触っても赤外線吸収粒子
の存在を感知できなかった。得られた偽造防止用紙は、
普通光のもとでは粒子が視認できないが、赤外画像をモ
ニターできる構造のビデオカメラで観察したところ、液
晶モニターには赤外線を吸収し、暗く写っている粒子を
視認できた。また、紫外線(ブラックライト)の照射で
は赤色に発色した。この偽造防止用紙の表面に、沃化カ
リウム5.7重量部、沃素5重量部を水1000mlに
溶解して適宜水で薄めた液を滴下し塗り広げたところ、
赤外線吸収粒子が青紫色に染まった。
【0062】[実施例7] 偽造防止用紙の製造例_。
カオリン(商品名「UW90」、エンゲルハード(株)
製造)50重量部、炭酸カルシウム(商品名「タマパー
ルTP222H」、奥多摩工業(株)製造)50重量
部、分散剤(トリポリリン酸ナトリウム)0.25重量
部、酸化澱粉(日澱化学(株)製造)6重量部、スチレ
ン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名「ニポールL
X407C」、日本ゼオン(株)製造)14重量部より
なる塗工液に、前記実施例3で得られた赤外線吸収粒子
を塗工液に対して0.1重量%混合し、基紙の表面にカ
ーテンフローコーターを使用して15g/mとなるよ
うに塗工し、次いでスーパーカレンダー処理して偽造防
止用紙を製造した。この用紙の表面を手で触っても粒子
の存在を感知できなかった。得られた偽造防止用紙は、
普通光のもとでは粒子が視認できないが、赤外画像をモ
ニターできる構造のビデオカメラで観察したところ、液
晶モニターには赤外線を吸収し、暗く写っている粒子を
視認できた。また、紫外線を照射するとこの粒子は赤色
の蛍光色を発した。またこの用紙の表面に露出している
粒子を電子顕微鏡観察したところ、赤外線吸収顔料や紫
外蛍光発色顔料の粉末形状とは明確に区別できる、ガラ
スビーズ特有の真球形状が観察できた。
【0063】[実施例8] 偽造防止用紙の製造例。実
施例6で調製した紙料に、前記実施例4で得られた赤外
線吸収粒子を添加した以外は、実施例6と全く同様にし
て、長網抄紙機を使用して偽造防止用紙を製造した。得
られた偽造防止用紙は、普通光のもとでは粒子が視認で
きないが、赤外画像をモニターできる構造のビデオカメ
ラで観察したところ、液晶モニターには赤外線を吸収
し、暗く写っている粒子を視認できた。また、紫外線を
照射するとこの粒子は赤色の蛍光色を発した。また用紙
表面をアセトンを含ませた脱脂綿で数回擦ると、用紙内
の粒子から赤色の染料が溶出し、用紙表面に赤色の斑点
が多数現れた。
【0064】
【発明の効果】上述したごとき本発明によれば、次のよ
うな効果が奏せられる。1)本発明の赤外線吸収粒子
は、例えば抄紙機の乾燥ゾーンのような高温でも溶解す
ることなく粒子形状を保つことができるため、この粒子
を用紙中に混抄すると、赤外線を照射しその画像を検知
すると赤外線を吸収し、暗く写る粒子を検知でき、偽造
防止用紙の用途に好適に利用できる。
【0065】2)粒状の赤外線吸収顔料そのものを用紙
に含ませることを試みても、無機赤外線吸収顔料の場合
その比重は約4〜5と大きいため、顔料を含むスラリー
の流送中に顔料が沈殿しやすいという大きな欠点があ
り、またその平均粒径も市販されているものは0.5〜
5μmと小さいものが大部分であり、赤外線を照射して
もその吸収を視認できない欠点もある。これに対して本
発明で得られる赤外線吸収粒子は比重が1.2〜1.8
の範囲にあり、50μm以上の粒径の粒子を容易に得る
ことができるので上記欠点を解消することができる。
【0066】3)粉状物質に水酸基を有する物質を使用
し、この水酸基と反応する反応性基を有する樹脂をバイ
ンダーとして併用することにより、耐水性の優れた赤外
線吸収粒子を得ることができる。さらに、アニオン性バ
インダーとカチオン性物質、あるいはカチオン性バイン
ダーとカチオン性物質との相互作用を利用することによ
っても、耐水性の優れた赤外線吸収粒子を得ることがで
きる。
【0067】4)コーティング層中に、沃素を含む水溶
液で呈色する澱粉類、ポリビニルアルコールを含ませた
赤外線吸収粒子を偽造防止用紙に利用した場合には、粒
子中の澱粉類やポリビニルアルコールの検出を容易に行
うことができる特徴があり、これによって用紙の出所を
簡便に特定することができる。
【0068】5)水不溶性で有機溶剤可溶性の染料から
なる着色剤を使用して赤外線吸収粒子を着色し、これを
用紙中に含ませてから印刷を施し偽造防止印刷物を製造
すると、有機溶剤によって改竄を試みた場合に赤外線吸
収粒子から着色剤の染料が溶出して周囲に拡散した痕跡
を目視で視認することができる。この性質を利用して本
発明の偽造防止用紙は、改竄されやすい偽造防止印刷物
に好適に使用できる。
【0069】6)コーティング層に、顕微鏡で観察する
と特異な形状にみえる粉体を混合して併用した場合、顕
微鏡観察して特異な形状の粉体が見えるか否かをチェッ
クすることにより、偽造防止効果をさらに一層高めるこ
とができる。
【0070】7)赤外線吸収粒子を含ませた本発明の偽
造防止用紙に、所定の印刷を施すことにより偽造防止印
刷物を得ることができ、例えば、商品券、株券、紙幣、
身分証明書、各種チケット類、パスポート等、偽造防止
を要求される分野に有効に利用できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 HA04 HB10 JA09 JB40 KA03 KA24 KA40 3E041 AA01 AA03 BA08 BB06 BC06 CA01 DB01 4L055 AA02 AA03 AC06 AG10 AG27 AG47 AG50 AG63 AG75 AG89 AG97 AG99 AH01 AH02 AH10 AH16 AH37 AH50 EA08 FA30 GA45

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉状物質を含む造粒物と、この造粒物の
    表面に形成した可視光領域で実質的に白色で水不溶性の
    赤外線吸収顔料を含むコーティング層とからなることを
    特徴とする赤外線吸収粒子。
  2. 【請求項2】 前記粉状物質が水酸基を有するものであ
    り、前記コーティング層中に前記粉状物質が有する水酸
    基と反応する反応性基を2個以上有する樹脂バインダー
    をさらに含有させたことを特徴とする請求項1記載の赤
    外線吸収粒子。
  3. 【請求項3】 前記造粒物中にアニオン性バインダーを
    さらに含有させ、前記コーティング層中にカチオン性物
    質をさらに含有させたことを特徴とする請求項1記載の
    赤外線吸収粒子。
  4. 【請求項4】 前記造粒物中にカチオン性バインダーを
    さらに含有させ、前記コーティング層中にアニオン性物
    質をさらに含有させたことを特徴とする請求項1記載の
    赤外線吸収粒子。
  5. 【請求項5】 前記コーティング層中に、紫外線の照射
    で蛍光発色する水不溶性の紫外蛍光発色顔料をさらに含
    有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    記載の赤外線吸収粒子。
  6. 【請求項6】 前記コーティング層中に、顕微鏡で観察
    した際に特異な形状を視認できる粉体をさらに含有させ
    たことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の
    赤外線吸収粒子。
  7. 【請求項7】 前記赤外線吸収粒子が着色されているこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の赤外
    線吸収粒子。
  8. 【請求項8】 前記赤外線吸収粒子がカラーコピー機で
    その色相が再現できない程度に淡く着色されていること
    を特徴とする請求項7記載の赤外線吸収粒子。
  9. 【請求項9】 前記赤外線吸収粒子の着色が光学的読み
    取りにおけるドロップアウトカラーであることを特徴と
    する請求項7または8記載の赤外線吸収粒子。
  10. 【請求項10】 前記赤外線吸収粒子の着色剤として、
    水不溶性で有機溶剤可溶性の染料を使用したことを特徴
    とする請求項9記載の赤外線吸収粒子。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    赤外線吸収粒子を用紙中に含ませたことを特徴とする偽
    造防止用紙。
  12. 【請求項12】 前記偽造防止用紙が少なくとも3層以
    上の紙層から形成されており、内層に前記赤外線吸収粒
    子が含まれていることを特徴とする請求項11記載の偽
    造防止用紙。
  13. 【請求項13】 最外層の紙層の坪量が15〜150g
    /m であることを特徴とする請求項12載の偽造防
    止用紙。
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