JP3450380B2 - 軸線方向電磁気軸受構造体 - Google Patents

軸線方向電磁気軸受構造体

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JP3450380B2
JP3450380B2 JP20595693A JP20595693A JP3450380B2 JP 3450380 B2 JP3450380 B2 JP 3450380B2 JP 20595693 A JP20595693 A JP 20595693A JP 20595693 A JP20595693 A JP 20595693A JP 3450380 B2 JP3450380 B2 JP 3450380B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、長手方向軸線に沿って
作用するスラスト力に抗して回転可能な軸を支持する電
磁気軸受構造体に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】かかる軸線方向電磁気軸受すなわち電磁
気スラスト軸受では、軸に固定され且つこの軸から半径
方向に突き出た強磁性ディスクがロータを構成してい
る。ロータの少なくとも一方の表面に隣接して、１また
はそれ以上の電磁石を備えたステータが配置されてい
る。電磁石は、外部スラスト荷重により軸が変位したこ
とを検知すると、軸線方向の力でロータを引き寄せ、軸
に加わる外部スラスト荷重に抗し且つこの荷重と釣り合
うようになる。そうした外部荷重が単一方向にのみ加わ
る場合には単一電磁石でよいが、外部スラスト荷重が両
方向に作用するならば、ロータの両側に電磁石を配置す
る必要がある。
【０００３】ロータとステータの半径方向寸法は、バラ
ンスを取ろうとする軸線方向外部荷重の大きさにより決
まる。縦断面として図１に示される軸１１に装着した代
表的な軸線方向軸受構造体の例では、ロータ１４の半径
方向延長面１３に対面する各ステータ１２が、環状コア
１５を含む電磁石から構成されている。環状コア１５
は、軸の周囲を取り囲んでおり、半径方向内側端部１６
と外側端部１７の間に位置して、ロータに対面する側
に、環状電磁石コイルを収容する環状溝１８が設けられ
ている。ステータコアの軸線方向延長部２０、２１が溝
によって半径方向で隔てられており、これら軸線方向延
長部２０、２１の各々は、ロータ表面１３に対面した関
係で電磁石用のステータ極２２、２３を形成している。
仮想線で示す別のステータ１２'をロータ１４の反対側
表面に接して配置し、両方向に作用する軸スラスト力を
緩和するようにもできる。
【０００４】軸の軸線方向荷重に抗する電磁石からロー
タに加えられる軸線方向力は、ステータコアとロータに
より形成した磁気回路を磁束が通ることにより生じる。
そうした磁束は、ステータ極とロータの間の隙間をでき
るだけ狭め、極表面積およびコアとロータの材質を適宜
選択し、また電磁石コイルの作用により最大となるよう
に設定される。ロータは強磁性材料で形成されるのが普
通であるが、使用材料の機械的強度を超えて超高速で軸
が回転しロータに加わる遠心応力を軽減しようとする際
に問題となる。かかる遠心応力は軸の回転軸線からの距
離の関数であり、したがって、ロータの有効径を小さく
することが提案されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】図示の構造体１０で
は、十分な巻数を確保し必要な電流容量の得られる電磁
石コイルを収容するために、ステータ極表面２２、２３
が必要とする半径方向寸法および溝１８の半径方向寸法
を確保しようとするとロータ径が大きくなり小型化には
制約がある。
【０００６】ステータに原因したロータ径の前述のよう
な制約をなくするために、英国特許第２２１８３５７号
明細書および同２２３５７３５号明細書に記載のよう
に、ロータの軸線方向の厚さを半径方向外側端部に向け
て階段状にまたはテーパーを設け、あるいはこれら両方
の手法を取り入れて薄くすることが提案されている。し
かしながら、そうした構造体によるとロータ周縁部から
材料を取り除くことによるロータ応力の問題があり、ロ
ータ自体は半径が小さくならず製造がより複雑化する問
題が生じる。本発明の目的は、ロータの遠心応力を簡単
な方法で極力小さくできる軸線方向電磁気軸受構造体を
提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、共に回
転する軸に支持され、この軸から半径方向に突出する強
磁性材料製ロータと、ロータの少なくとも一方の軸線方
向表面に隣接して配置されたステータとを有し、このス
テータが電磁石を含み、該電磁石が、前記軸の周囲に位
置する環状コアと、半径方向内側および外側の端部の間
にあってロータに面した表面に設けられている、環状電
磁石コイルを収容した少なくとも１つの環状溝とを有
し、ステータの軸線方向延長部が溝により半径方向で隔
てられて電磁石のステータ極を形成し、ステータの半径
方向内側の軸線方向延長部が、前記軸と平行に伸長して
電磁極面を形成し、該電磁極面は前記軸に隣接するとと
もに、ロータ表面の半径方向内側部分と整合しており、
ステータの前記半径方向外側の軸線方向延長部が、半径
方向内向きに向けられロータ表面の半径方向外側部分に
整合する電磁極面を形成するとともに、付属の電磁石コ
イルの少なくとも一部を半径方向で覆い、また、前記半
径方向外側の軸線方向延長部の前記電磁極面が他の電磁
極面に対して軸線方向で偏位しており、ロータは、前記
半径方向外側のステータ極に対面する半径方向外側端部
が、別のステータ極に対面する半径方向内側端部に比べ
て軸線方向で薄肉に形成されるとともに、該ロータの外
径がステータの外径よりも小さくなされている軸線方向
電磁気軸受構造体が提供される。ステータの半径方向外
側の軸線方向延長部は、このステータの半径方向外側の
軸線方向延長部に固定され軸線方向連続部を形作る別体
の環状ステータ極部材を構成するようにしておくと都合
がよい。以下、添付図面を引用して本発明の実施例につ
いて説明する。なお、図１は従来の軸線方向電磁気軸受
構造体を示し、図２および図３は参考例としての軸線方
向電磁気軸受構造体を示すが、この軸線方向電磁気軸受
構造体の構造の一部は、本発明軸線方向電磁気軸受構造
体の構造と共通の特徴を有し、共通する特徴部分には、
同一の符号（図面中の符号）を付している。
【０００８】
【実施例】参考例を示す図２を参照されたい。軸線方向
電磁気軸受構造体５０が、図１に示す従来技術のベアリ
ング構造体１０とほぼ類似する構造を有しており、類似
部分には同一符号が付されている。図２の例では、電磁
ロータ１４'の半径方向の長さがロータ１４に比べて短
く、コア１５の半径方向外側の軸線方向延長ステータリ
ム２０'はリム２０に比べて軸線方向に短い点で、図１
に示したものと異なっている。
【０００９】リム２０'は、軸線方向に突き出た延長部
である別体の環状ステータ極部材５１を支持している。
環状ステータ極部材５１はリムに固定され、磁気回路の
一部を形成している。さらに部材５１は半径方向内側に
向けられ（すなわち、屈曲され）、リム２０'の連続部
をなす軸線方向延長部５３と軸線方向延長部５４との間
に半径方向内向きの延長部５２を形成し、半径方向外側
のステータ極表面２２'で終わっている。この半径方向
外側のステータ極表面２２'は小さくしたロータ表面１
３の半径方向外側部分に整合し、また電磁石コイル１９
を半径方向で覆っている。
【００１０】前記構造体によれば、ロータの半径を電磁
石コイルの半径方向寸法に関係なく小さくすることがで
きる。従って、コイルを半径方向で大きくして、コイル
に加えられる所定の電流密度の下で磁束レベルを増加さ
せることができる。このため、コイル形状またはステー
タ極部材との接触に起因する効率ロスを補償することが
できる。また軸線方向コイル寸法を小さくしてステータ
極部材を設置することもできる。
【００１１】前述したような別体のステータ極部材を使
用すれば電磁石の巻線を簡単に行なうことができ、ある
いは電磁石をステータ溝１８内に配置してから部材をコ
アに取り付けることができる。実際にコイルを効率よく
巻くことは難しいが、原理的にはステータ極部材を所定
位置に設置した後に溝１８内にコイルを巻線することに
つき障害となるものはない。この方式による場合、ステ
ータの半径方向外側の軸線方向延長部を、別体のステー
タ極部材に代えてコアと一体の部品から作ることもでき
る。
【００１２】また、ステータの半径方向外側の軸線方向
延長部を前述した屈曲部材とは異なる形態のもの、例え
ば後続して行なわれる電磁石コイルの巻線作業を容易に
行ない得る一体構造または別体の部材として製作してお
くことができる。
【００１３】参考例を示す図３を参照されたい。図３
は、軸線方向軸受構造体６０を示す断面立面図である。
図示の構造体は参考例としての図２の構造体５０に似て
おり、類似の部品には同一符号が付されている。この構
造体６０では、コイル１９を配置した後、截頭円錐環状
部材の形態をしたステータ極部材６１が短い方のステー
タリム２０'の端部に取り付けられる。截頭円錐環状部
材の軸線方向端部は半径方向延長面６２、６３を備え、
これら表面の一方はリム２０'に取り付けられ、また他
方の表面は半径方向外側ステータ極表面２２'を形成し
ている。半径方向外側ステータ極表面２２'はロータの
半径方向外側部分に対面して配置され、電磁石コイル１
９を覆っている。
【００１４】前記構造に代えて、ステータの半径方向外
側の軸線方向延長部をステータコアと一体に形成してお
くこともできる。また図２の構造体５０が軸線方向にコ
ンパクト化できなかったのとは違い、この構造によれば
構造体は軸線方向にコンパクト化され図２の構造体５０
よりも電磁石コイルを簡単に巻線することができる。
【００１５】コアリム２０'と別体の部材６１の間の６
２で示す境界面は、磁束を効果的に連続させることので
きるものであれば半径方向平坦面以外にも利用すること
ができる。例えば、リムの端部を截頭円錐状にし、部材
の端面を点線６４で示すように側面に対し直交するよう
に形成しておくこともできる。
【００１６】参考例に係わる図２および図３に示す軸受
構造体によれば、軸受ロータは従来使用してきたものよ
り直径を小さくできる。またこの構造体は、前述した特
許明細書に記載の技術に組み合わせて、すなわち、半径
方向外側部分の軸線方向の厚みを薄くしたロータに組み
合わせて使用することができる。
【００１７】本発明例を示す図４を参照されたい。図４
の構造は図３のものに類似しており、対応する部分には
同一符号が付されている。本発明例である構造体７０に
使用した半径方向ロータ１４''は径が小さく、半径方向
外側部分は１４1''の位置で薄肉になされている。屈曲
ステータ極部材７１は、半径方向内側ステータ極２３に
比べて軸線方向に突き出た単一の軸線方向延長リム７２
を備え、また厚みの薄いロータ部分１４1''に隣接して
半径方向外側ステータ極２２''が設置されている。この
ようにロータの半径方向先端部寸法を小さくすれば、慣
性および遠心応力が大幅に減少する。
【００１８】本発明例を示す図５を参照されたい。図示
の構造体８０は図４に示す構造体の変形例である。屈曲
ステータ極部材８１は、半径方向に傾斜し、かつ小径の
半径方向ロータ１４'''の円錐状テーパー周縁部１
４1'''に整合する極表面部分８２を備えている。
【００１９】本発明例を示す図６は、図５のテーパーロ
ータ構造体に図３（参考例）に示すコアの傾斜した半径
方向外側の軸線方向延長部６１を組み合わせた変形例に
係わる構造体９０を示している。
【００２０】前記本発明例のいずれの場合でも、コアの
半径方向外側の軸線方向延長部は別体のステータ極部材
から構成できるが、コアと一体的に形成することもでき
る。その他の構造形態については、特許請求の範囲で定
義された範囲内で如何ようにも変形することができる。
【００２１】前述した軸線方向軸受構造体はすべて単一
環状電磁石コイルを内蔵したＣ字形断面のステータコア
を備えているが、本発明の構造は３つのステータ極表面
の間に２つの電磁コアを設けたＥ字形断面のステータコ
アにもそのまま適用することができる。
【００２２】本発明に係る軸線方向軸受は、一方向の軸
線方向軸スラスト力に抗する単一ステータ構造体から構
成されたものとして説明されているが、第２のステータ
構造体をロータの反対側の半径方向延長面に接して配置
し、両軸線方向の力を緩和するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】周知構造の軸線方向電磁気軸受構造体を示す断
面立面図。
【図２】参考例に係わる、均一な厚みのロータと屈曲し
たステータ極部材を持つ軸線方向電磁気軸受構造体を示
す断面立面図。
【図３】参考例に係わる、均一厚さのロータと傾斜した
ステータ極部材を持つ図２に類似の構造体を示す断面立
面図。
【図４】本発明例（第１例）に係わる、屈曲したステー
タ極部材と均一に厚さの減少する外側半径方向部分を持
つロータとを備えた図２（参考例）に類似の構造体を示
す断面立面図。
【図５】本発明例（第２例）に係わる、ロータのテーパ
ー付き外側半径方向部分を有する図４に類似の構造体を
示す断面立面図。
【図６】本発明例（第３例）に係わる、ロータのテーパ
ー付き外側半径方向部分と傾斜したステータ極部材を有
する構造体の断面立面図。
【符号の説明】
１１ 軸 １２ ステータ １３ ロータの半径方向延長面 １４' ロータ １５ 環状コア １６ 環状コアの内側端部 １７ 環状コアの外側端部 １８ 環状溝 １９ 電磁石コイル ２０' 半径方向外側の軸線方向延長ステータリム ２２' 半径方向外側のステータ極（表面） ２３ 半径方向内側のステータ極（表面） ５０ 軸線方向軸受構造体 ５１ 別体の環状ステータ極部材 ５２ 半径方向内向きの延長部 ５３ 環状ステータ極部材の軸線方向延長部 ５４ 環状ステータ極部材の軸線方向延長部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F16C 32/00 - 32/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 共に回転する軸に支持され、該軸から半
    径方向に突出する強磁性材料製ロータと、ロータの少な
    くとも一方の軸線方向表面に隣接して配置されたステー
    タとを有し、 前記ステータが電磁石を含み、 該電磁石が、前記軸の周囲に位置する環状コアと、半径
    方向内側および外側の端部の間にあって前記ロータに面
    した表面に設けられている、環状電磁石コイルを収容し
    た少なくとも１つの環状溝とを有し、 前記ステータの軸線方向延長部が溝により半径方向で隔
    てられて電磁石のステータ極を形成し、 前記ステータの半径方向内側の軸線方向延長部が、前記
    軸と平行に伸長して電磁極面を形成し、該電磁極面は前
    記軸に隣接するとともに、前記ロータ表面の半径方向内
    側部分と整合しており、 前記ステータの前記半径方向外側の軸線方向延長部が、
    半径方向内向きに向けられロータ表面の半径方向外側部
    分に整合する電磁極面を形成するとともに、付属の電磁
    石コイルの少なくとも一部を半径方向で覆い、また、前
    記半径方向外側の軸線方向延長部の前記電磁極面が他の
    電磁極面に対して軸線方向で偏位しており、 前記ロータは、前記半径方向外側のステータ極に対面す
    る半径方向外側端部が、別のステータ極に対面する半径
    方向内側端部に比べて軸線方向で薄肉に形成されるとと
    もに、該 ロータの外径が前記ステータの外径よりも小さ
    くなされている軸線方向電磁気軸受構造体。
  2. 【請求項２】 前記ステータの前記半径方向外側の軸線
    方向延長部が、該軸線方向延長部に固定されて軸線方向
    連続部を形作る別体の環状ステータ磁極部材を有し、該
    環状ステータ極部材は、前記溝内に前記環状電磁石コイ
    ルを配置した後に前記ステータの前記半径方向外側の軸
    線方向延長部に固定される部材である請求項１に記載さ
    れた軸線方向電磁気軸受構造体。
JP20595693A 1992-08-22 1993-08-20 軸線方向電磁気軸受構造体 Expired - Lifetime JP3450380B2 (ja)

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