JP3449971B2 - 固定具 - Google Patents

固定具

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JP3449971B2
JP3449971B2 JP2000231286A JP2000231286A JP3449971B2 JP 3449971 B2 JP3449971 B2 JP 3449971B2 JP 2000231286 A JP2000231286 A JP 2000231286A JP 2000231286 A JP2000231286 A JP 2000231286A JP 3449971 B2 JP3449971 B2 JP 3449971B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーブルの束を包
縛して固定する固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ケーブルの束を包縛してシャ
ーシやパネル等の板材に固定するための固定具が広く用
いられている。このような固定具としては、本体部材と
横板部材との2部品からなるものもある。この固定具に
おいて、本体部材は、左右方向に延設された基底部と、
この基底部の左右両端から上方に夫々延設された第1腕
部及び第2腕部と、これらの第1腕部及び第2腕部に対
し上下方向に凹凸が連続する部分として夫々設けられた
第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部と、を備えてい
る。また、横板部材は、第1腕部と第2腕部との間にさ
し渡された横板と、この横板の左右両端に夫々設けら
れ、第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部に夫々係合
するよう構成された第1係合片及び第2係合片と、を備
えている。
【0003】この固定具は、例えば、下記のように使用
される。即ち、まず、本体部材における基底部をボルト
等を用いて板材に固定した後、基底部上にケーブル束を
配置する。次に、横板を第1腕部と第2腕部との間にさ
し渡して、第1係合片及び第2係合片を第1鋸歯状凹凸
部及び第2鋸歯状凹凸部に夫々係合させ、基底部と横板
(横板部材)との間でケーブルが挟持された状態にすれ
ば、ケーブル束を板材に包縛固定することができる。
【0004】つまり、この固定具では、横板を第1腕部
と第2腕部との間にさし渡した後、横板部材を本体部材
に対して所定の大きさ以上の力を掛けて押し下げれば、
横板の弾性変形を伴って第1鋸歯状凹凸部上及び第2鋸
歯状凹凸部上で第1係合片及び第2係合片を夫々下方に
移動させることができる。そして、基底部と横板との間
でのケーブル束の挟持が可能となる位置で第1鋸歯状凹
凸部及び第2鋸歯状凹凸部に第1係合片及び第2係合片
を夫々係合させることにより、ケーブル束を板材に包縛
固定することができる。
【0005】即ち、この固定具を用いれば、包縛固定す
べきケーブルの太さや本数が変化しても、ケーブル束を
挟持する基底部と横板との間の距離を変化させることに
より、当該ケーブル束の包縛固定を確実に行うことがで
きる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の固定具においては、当該固定具によるケーブル束の
包縛固定を解除する際に行う操作が煩わしいという問題
があった。つまり、まず、この固定具によるケーブル束
の包縛固定を解除する際には、作業者の手等で横板を弾
性変形させることにより(詳しくは、横板における第1
係合片近傍の箇所と第2係合片近傍の箇所とを弾性変形
させることにより)、第1係合片及び第2係合片の第1
鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合状
態を解除した後、横板部材を本体部材に対して上方に移
動させて、横板部材を本体部材から引き抜かなければな
らなかった。
【0007】従って、例えば、包縛固定していたケーブ
ル束をなすケーブルの太さが細く、本数が少ない場合等
のように、ケーブル束の包縛固定時に横板部材が本体部
材に対して比較的下方に位置していた場合においては、
第1係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2
鋸歯状凹凸部夫々に対する係合を解除した後であって
も、横板部材を本体部材に対して上方に大きく移動させ
なければ、横板部材を本体部材から引き抜くことができ
ないこととなっていた。即ち、横板部材を本体部材から
取り外す際に横板部材を本体部材に対して上方に移動さ
せなければならない分だけ、ケーブル束の包縛固定を解
除する際の操作が煩わしいものとなっていたのである。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、ケーブルの包縛固定を解
除する際の操作を容易に行うことができるよう構成され
た固定具を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】かかる目
的を達成するために、請求項1に記載の固定具は、左右
方向に延設された基底部と、前記基底部上で左右に所定
の間隔を置いた2箇所から上方に夫々延設された第1腕
部及び第2腕部と、前記第1腕部及び前記第2腕部に上
下方向に凹凸が連続する部分として夫々設けられた第1
鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部と、を備えた本体部
材と、前記第1腕部と前記第2腕部との間にさし渡さ
れ、前記基底部との間でケーブルを挟持する横板と、前
記横板の左右の両端部に夫々設けられ、前記第1鋸歯状
凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部に夫々係合する第1係
合片及び第2係合片と、を備えた横板部材と、からな
り、前記本体部材と前記横板部材とによりケーブルを包
縛固定する固定具であって、前記第1腕部と前記第2腕
部との間に前記横板をさし渡して、前記第1係合片及び
前記第2係合片を前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸
歯状凹凸部に夫々係合させた後に、上下方向を回転軸と
して前記横板部材を前記本体部材に対して回転させれ
ば、前記横板部材を前記本体部材から取り外せるように
構成したことを特徴とする。
【0010】このように構成された本発明の固定具によ
れば、例えば、所定の方法で板材に固定された基底部上
にケーブル(或いはケーブル束)を配置した後、横板を
第1腕部と第2腕部との間にさし渡して、第1係合片及
び第2係合片を第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部
に夫々係合させ、基底部と横板との間でケーブルが挟持
された状態にすれば、ケーブルを包縛固定することがで
きる。
【0011】そして、本発明の固定具では、包縛固定す
べきケーブルの太さや本数が変化しても、第1係合片及
び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部
夫々に対する係合位置を変化させて、基底部と横板との
間の距離を変化させれば、このような場合のケーブルの
包縛固定も確実に行うことができる。
【0012】また、本発明の固定具では、例えば、当該
固定具にて包縛固定していたケーブルの太さが細く、本
数が少ない場合等のように、ケーブルの包縛固定時に横
板部材が本体部材に対して比較的下方に位置していた場
合においても、ケーブルの包縛固定を解除する際の操作
を容易に行うことができる。
【0013】つまり、本発明の固定具においては、第1
腕部と第2腕部との間に横板をさし渡して、第1係合片
及び第2係合片を第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸
部に夫々係合させた後においても、本体部材に対して、
上下方向を回転軸として横板部材を回転させるだけで、
本体部材から横板部材を取り外せるので、当該固定具に
てケーブルを包縛固定したときに横板部材が本体部材に
対して比較的下方に位置した場合においても、ケーブル
の包縛固定を解除する際の操作を容易に行うことができ
るのである。
【0014】次に、請求項2に記載の固定具は、上記請
求項1に記載の構成に加え、前記第1鋸歯状凹凸部及び
前記第2鋸歯状凹凸部は、前記第1腕部及び前記第2腕
部の互いに向き合う面、或いは当該互いに向き合う面と
反対側の面に夫々設けられ、前記第1鋸歯状凹凸部は、
前記回転の際に当該第1鋸歯状凹凸部に係合された前記
第1係合片を当該第1鋸歯状凹凸部から離脱させるべ
く、前記第1係合片の前記回転時の移動方向側の端部に
第1鋸歯状凹凸部側逃がし部を有し、前記第2鋸歯状凹
凸部は、前記回転の際に当該第2鋸歯状凹凸部に係合さ
れた前記第2係合片を当該第2鋸歯状凹凸部から離脱さ
せるべく、前記第2係合片の前記回転時の移動方向側の
端部に第2鋸歯状凹凸部側逃がし部を有することを特徴
とする。
【0015】請求項2に記載の固定具によれば、当該固
定具によるケーブルの包縛固定を解除する際の上記のよ
うな横板部材の回転操作を行い易くなる。つまり、請求
項2に記載の固定具では、まず、第1鋸歯状凹凸部及び
第2鋸歯状凹凸部が、第1腕部及び第2腕部の互いに向
き合う面、或いは当該互いに向き合う面と反対側の面に
夫々設けられているので、当該固定具にてケーブルの包
縛固定を行った上で横板部材を上記のように回転させる
と、第1係合片は、第1鋸歯状凹凸部上を当該第1鋸歯
状凹凸部の幅(換言すれば、当該第1鋸歯上凹凸部の前
後方向の幅)方向に移動して、当該第1鋸歯状凹凸部に
おける第1係合片の移動方向側の端部から外部に離脱す
ることになり、第2係合片は、第2鋸歯状凹凸部上を当
該第2鋸歯状凹凸部の幅(換言すれば、当該第2鋸歯上
凹凸部の前後方向の幅)方向に移動して、当該第2鋸歯
状凹凸部における第2係合片の移動方向側の端部から外
部に離脱することになる。
【0016】そして、この固定具においては、第1係合
片が離脱する第1鋸歯状凹凸部における端部が第1鋸歯
状凹凸部側逃がし部となっているので、例えば、第1係
合片が離脱する第1鋸歯状凹凸部における端部が、第1
係合片が当接する壁部となっており、当該壁部を乗り越
えなければ第1係合片が第1鋸歯状凹凸部から離脱でき
ないよう構成されている場合等に比べ、第1鋸歯状凹凸
部から第1係合片を離脱させる際に当該第1係合片(延
いては、横板部材)にかけなければならない負荷を小さ
くすることができる。
【0017】また、第2係合片が離脱する第2鋸歯状凹
凸部における端部が第2鋸歯状凹凸部側逃がし部となっ
ているので、例えば、第2係合片が離脱する第2鋸歯状
凹凸部における端部が、第2係合片が当接する壁部とな
っており、当該壁部を乗り越えなければ第2係合片が第
2鋸歯状凹凸部から離脱できないよう構成されている場
合等に比べ、第2鋸歯状凹凸部から第2係合片を離脱さ
せる際に当該第2係合片(延いては、横板部材)にかけ
なければならない負荷を小さくすることができる。
【0018】即ち、請求項2に記載の固定具によれば、
上記のように横板部材を回転させるときに当該横板部材
(第1係合片及び第2係合片)にかけなければならない
負荷を小さくできる分だけ、横板部材を回転させる操作
が行い易くなるのである。次に、請求項3に記載の固定
具は、上記請求項2に記載の構成に加え、前記横板部材
は、当該横板部材を弾性変形させることにより前記第1
係合片と前記第2係合片との間の距離を変化させること
ができるように構成され、前記第1鋸歯状凹凸部及び前
記第2鋸歯状凹凸部が前記第1腕部及び前記第2腕部の
互いに向き合う面に夫々設けられている場合は、前記第
1係合片の形状と前記第1鋸歯状凹凸部の形状との組合
わせ及び前記第2係合片の形状と前記第2鋸歯状凹凸部
の形状との組合わせが、前記回転の際に、前記第1係合
片及び前記第2係合片の前記第1鋸歯状凹凸部及び前記
第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合が解除されるまで、
当該回転の角度が大きくなる程、前記第1係合片と前記
第2係合片との間の距離が短くなるよう前記横板部材を
弾性変形させる組合わせとして構成され、前記第1鋸歯
状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部が前記第1腕部及び
前記第2腕部の互いに向き合う面と反対側の面に夫々設
けられている場合は、前記第1係合片の形状と前記第1
鋸歯状凹凸部の形状との組合わせ及び前記第2係合片の
形状と前記第2鋸歯状凹凸部の形状との組合わせが、前
記回転の際に、前記第1係合片及び前記第2係合片の前
記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部夫々に対
する係合が解除されるまで、当該回転の角度が大きくな
る程、前記第1係合片と前記第2係合片との間の距離が
長くなるよう前記横板部材を弾性変形させる組合わせと
して構成されたことを特徴とする。
【0019】請求項3に記載の固定具によれば、当該固
定具の使用時に当該固定具に加えられる衝撃・振動等に
よって横板部材の本体部材に対する相対位置が変化して
しまうこと(詳しくは、固定具に加えられる衝撃・振動
等によって横板部材が上下方向を回転軸として本体部材
に対して回転移動してしまうこと)が防止される。
【0020】つまり、請求項3に記載の固定具では、横
板部材の回転角度が大きくなる程、第1係合片と第2係
合片との間の距離が大きく変化するよう(横板部材が大
きく弾性変形されるよう)、第1係合片の形状と第1鋸
歯状凹凸部の形状との組合わせ及び第2係合片の形状と
第2鋸歯状凹凸部の形状との組合わせが構成されている
ので、当該固定具の使用時に当該固定具に衝撃・振動等
が加えられた場合においても、横板部材の本体部材に対
する相対位置が変化することは防止される。また、仮に
この相対位置が変化した場合であっても、上記構成か
ら、横板部材の本体部材に対する相対位置は、第1係合
片及び第2係合片が第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹
凸部に夫々確実に係合される適切な位置に戻されること
になる。
【0021】次に、請求項4に記載の固定具は、上記請
求項1〜請求項3のいずれかに記載の構成に加え、前記
横板部材における前記第1腕部側の端部と前記第2腕部
側の端部とには、前記横板を前記第1腕部と前記第2腕
部との間にさし渡した際に前記第1腕部と前記第2腕部
とを夫々嵌挿できるように第1嵌挿溝と第2嵌挿溝とが
夫々設けられ、前記第1嵌挿溝は、当該第1嵌挿溝に嵌
挿された前記第1腕部を前記回転の際に当該第1嵌挿溝
から離脱させるべく、当該第1嵌挿溝の前記回転時の移
動方向と反対方向側に第1嵌挿溝側開口を有し、前記第
2嵌挿溝は、当該第2嵌挿溝に嵌挿された前記第2腕部
を前記回転の際に当該第2嵌挿溝から離脱させるべく、
当該第2嵌挿溝の前記回転時の移動方向と反対方向側に
第2嵌挿溝側開口を有することを特徴とする。
【0022】請求項4に記載の固定具によれば、横板を
第1腕部と第2腕部との間にさし渡して、本体部材と横
板部材とによりケーブルを包縛固定した際に、第1腕部
と第2腕部とが第1嵌挿溝と第2嵌挿溝とに夫々嵌挿さ
れた状態にすることによって、横板部材が本体部材に対
してより安定して保持されることになる。
【0023】つまり、例えば、第1腕部と第2腕部とが
第1嵌挿溝と第2嵌挿溝とに夫々嵌挿された状態におい
て当該固定具に衝撃・振動が加えられたとしても、第1
腕部と第2腕部とが第1嵌挿溝内の壁面と第2嵌挿溝内
の壁面とに夫々当接することにより、横板部材の本体部
材に対する相対位置が変化することは防止され、第1嵌
挿溝と第2嵌挿溝とを横板部材に設けない態様に比べ、
横板部材が本体部材に対してより安定して保持されるこ
とになるのである。
【0024】また、請求項4に記載の固定具において
は、第1嵌挿溝が第1嵌挿溝側開口を有し、第2嵌挿溝
が第2嵌挿溝側開口を有しているので、上記のように横
板部材を本体部材に対して回転させた場合には、第1腕
部及び第2腕部が第1嵌挿溝側開口及び第2嵌挿溝側開
口から夫々離脱され、横板部材が本体部材から容易に取
り外されることになる。
【0025】次に、請求項5に記載の固定具は、上記請
求項1〜請求項4のいずれかに記載の構成に加え、前記
横板は、前記第1腕部と前記第2腕部との間で左右方向
に延在する横板本体部と、前記横板本体部の前記第1腕
部側の端部から前記第1腕部の前記第1鋸歯状凹凸部が
設けられた面に沿って下方に設けられた第1下方延設片
と、前記横板本体部の前記第2腕部側の端部から前記第
2腕部の前記第2鋸歯状凹凸部が設けられた面に沿って
下方に設けられた第2下方延設片と、を備え、前記第1
係合片と前記第2係合片とは、前記第1下方延設片の前
記第1鋸歯状凹凸部に対向する面と前記第2下方延設片
の前記第2鋸歯状凹凸部に対向する面とに夫々設けられ
たことを特徴とする。
【0026】請求項5に記載の固定具によれば、横板を
第1腕部と第2腕部との間にさし渡して、本体部材と横
板部材とによりケーブルを包縛固定した際に、第1腕部
の第1鋸歯状凹凸部が設けられた面が第1下方延設片に
当接し、第2腕部の第2鋸歯状凹凸部が設けられた面が
第2下方延設片に当接した状態になるので、この状態の
固定具に衝撃・振動等が加えられても、第1下方延設片
と第2下方延設片とによって、横板部材の本体部材に対
する相対位置が変化することは防止される。
【0027】即ち、請求項5に記載の固定具によれば、
第1下方延設片と第2下方延設片とを設けない態様に比
べ、横板部材が本体部材に対してより安定して保持され
ることになる。次に、請求項6に記載の固定具は、上記
請求項5に記載の構成に加え、前記第1下方延設片に
は、前記第1腕部の前記第1鋸歯状凹凸部が設けられた
面に連接した一側面であって、前記第1下方延設片の前
記回転時の移動方向を向いた一側面に沿って延び、前記
横板部材が前記本体部材に対して上下方向に移動する際
に前記第1腕部をガイドする第1側壁ガイド部が設けら
れ、前記第2下方延設片には、前記第2腕部の前記第2
鋸歯状凹凸部が設けられた面に連接した一側面であっ
て、前記第2下方延設片の前記回転時の移動方向を向い
た一側面に沿って延び、前記横板部材が前記本体部材に
対して上下方向に移動する際に前記第2腕部をガイドす
る第2側壁ガイド部が設けられたことを特徴とする。
【0028】請求項6に記載の固定具によれば、横板部
材を本体部材に対して上下方向に移動させる際(例え
ば、横板部材を本体部材に対して押し下げる際)に、第
1側壁ガイド部及び第2側壁ガイド部を第1腕部及び第
2腕部夫々に対するガイドとしながら横板部材を移動さ
せることができるので、当該固定具の操作が行い易くな
る。
【0029】つまり、第1側壁ガイド部によって、第1
鋸歯状凹凸部上を移動する第1係合片の第1鋸歯状凹凸
部に対する位置が、第1鋸歯状凹凸部に適切に係合され
得る位置に保持されることになると共に、第2側壁ガイ
ド部によって、第2鋸歯状凹凸部上を移動する第2係合
片の第2鋸歯状凹凸部に対する位置が、第2鋸歯状凹凸
部に適切に係合され得る位置に保持されることになるの
で、当該固定具の操作が行い易くなるのである。
【0030】また、請求項6に記載の固定具では、横板
を第1腕部と第2腕部との間にさし渡して、本体部材と
横板部材とによりケーブルを包縛固定した際に、第1腕
部の第1鋸歯状凹凸部が設けられた面が第1下方延設片
に当接し、第2腕部の第2鋸歯状凹凸部が設けられた面
が第2下方延設片に当接した状態になる上、第1腕部の
第1鋸歯状凹凸部が設けられた面に連接した一側面が第
1側壁ガイド部に当接し、第2腕部の第2鋸歯状凹凸部
が設けられた面に連接した一側面が第2側壁ガイド部に
当接した状態になるので、請求項5に記載の固定具に比
べ、横板部材が本体部材に対して一層安定して保持され
ることになる。
【0031】次に、請求項7に記載の固定具は、上記請
求項5または請求項6に記載の構成に加え、前記横板本
体部は弾性変形可能な材質にて構成され、前記横板本体
部の前記第1下方延設片近傍の部分と前記第2下方延設
片近傍の部分とにおける板厚を当該横板本体部の他の部
分における板厚よりも薄くしたことを特徴とする。
【0032】請求項7に記載の固定具によれば、例え
ば、横板を第1腕部と第2腕部との間にさし渡して、本
体部材と横板部材とによりケーブルを包縛固定した後
に、第1係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び
第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合を解く操作を、横板
本体部における上記板厚を薄くした部分を弾性変形させ
ることにより容易に行うことができる。
【0033】具体的には、例えば、請求項3に記載の固
定具の場合のように、第1係合片の形状と第1鋸歯状凹
凸部の形状との組合わせ及び第2係合片の形状と第2鋸
歯状凹凸部の形状との組合わせが、横板部材の回転角度
が大きくなる程、第1係合片と第2係合片との間の距離
を大きく変化させるような組合せ(横板部材を大きく弾
性変形させるような組合せ)として構成されていても、
比較的小さな力をかけるだけで横板本体部における上記
板厚を薄くした部分を弾性変形させることができるの
で、横板部材を比較的容易に回転させることができるこ
とになる。
【0034】即ち、横板本体部に上記のように板厚を薄
くした部分を設けない場合に比べ、第1係合片と第1鋸
歯状凹凸部との間に作用する摩擦力、及び第2係合片と
第2鋸歯状凹凸部との間に作用する摩擦力を、横板部材
の回転の際に小さめに抑えることができ、第1係合片及
び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部
夫々に対する係合を解く操作が容易に行えることとな
る。
【0035】また、例えば、第1係合片が、第1腕部の
第1鋸歯状凹凸部が設けられた面から当該面に略垂直な
方向に離れるように移動し、第2係合片が、第2腕部の
第2鋸歯状凹凸部が設けられた面から当該面に略垂直な
方向に離れるように移動するように、横板本体部におけ
る上記板厚を小さくした部分を弾性変形させることによ
り、第1係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び
第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合が解かれるようにす
ることも可能となる。
【0036】そして、この場合は、このように第1係合
片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹
凸部夫々に対する係合を解いた後に、例えば、上記のよ
うに横板部材を本体部材に対して回転させれば、横板部
材と本体部材との間に作用する摩擦力を排除した状態で
横板部材を本体部材から取り外すことができる。
【0037】次に、請求項8に記載の固定具は、上記請
求項1〜請求項7のいずれかに記載の構成に加え、前記
横板部材における前記第1係合片近傍の箇所と前記第2
係合片近傍の箇所とに、前記第1係合片及び前記第2係
合片の前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部
夫々に対する係合状態を解除するための第1操作用突起
片と第2操作用突起片とを夫々設けたことを特徴とす
る。
【0038】請求項8に記載の固定具によれば、当該固
定具にてケーブルを包縛固定した後に、第1操作用突起
片と第2操作用突起片とを操作することによって、第1
係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯
状凹凸部夫々に対する係合状態を容易に解くことができ
る。
【0039】つまり、上述の横板部材の回転操作を行わ
ない状態で第1係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸
部及び第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合状態を解除す
るには、例えば、横板部材における第1係合片近傍の箇
所と第2係合片近傍の箇所とを作業者等が摘んで弾性変
形させることにより、第1係合片及び第2係合片の第1
鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合状
態を解除すればよいが、請求項8に記載の固定具では、
この場合に作業者等が手で摘む箇所に第1操作用突起片
と第2操作用突起片とが夫々設けられているので、第1
係合片及び第2係合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯
状凹凸部夫々に対する係合状態を解く際の操作が行い易
くなるのである。
【0040】そして、このように第1係合片及び第2係
合片の第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部夫々に対
する係合状態を解除できれば、その後に、例えば、横板
部材を本体部材から完全に取り外す操作等を行い易くな
る。つまり、例えば、この状態で横板部材を上述の如く
回転させれば、横板部材と本体部材との間に摩擦力が作
用しない状態で横板部材を回転させることができるの
で、横板部材を本体部材から取り外す操作が行い易くな
るのである。
【0041】次に、請求項9に記載の固定具は、上記請
求項1〜請求項8のいずれかに記載の構成に加え、固定
具としての使用前に、前記本体部材と前記横板部材と
が、一部分で一体に接合されたものとして一体成形さ
れ、当該一体成形された前記本体部材と前記横板部材と
において、前記第1係合片及び前記第2係合片は、前記
第1鋸歯状凹凸部の上側及び前記第2鋸歯状凹凸部の上
側に夫々位置し、前記横板部材を前記本体部材側に押し
下げれば、前記接合された部分が剥がれて前記本体部材
と前記横板部材とが別体となり、前記第1係合片及び前
記第2係合片を前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯
状凹凸部に夫々係合させた状態とし得るよう構成したこ
とを特徴とする。
【0042】請求項9に記載の固定具によれば、本体部
材と横板部材とが一体成形されるので、当該固定具を固
定具として使用する前においては、本体部材と横板部材
とを一部品として管理することができる。即ち、本体部
材と横板部材とが別々に成形されるよう構成された場合
に比べ、当該固定具を構成する部品の管理が行い易くな
る。
【0043】また、請求項9に記載の固定具において
は、横板部材を本体部材側に押し下げるだけで、横板部
材と本体部材とを分離することができる上、第1係合片
及び第2係合片を第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸
部に夫々係合させた状態にすることができる。
【0044】従って、例えば、横板部材と本体部材とを
分離した後に第1係合片及び第2係合片を第1鋸歯状凹
凸部及び第2鋸歯状凹凸部夫々に対応する箇所に配置し
直さなければ第1係合片及び第2係合片を第1鋸歯状凹
凸部及び第2鋸歯状凹凸部の夫々に係合させることがで
きないように構成されている場合等に比べ、当該固定具
を固定具として使用する際に必要な操作が合理的なもの
となる。
【0045】尚、本体部材と横板部材とを、夫々の部材
が一部分で一体に接合されたものとして一体成形する具
体的態様としては、上記のように横板部材を本体部材側
に押し下げたときに、当該接合部分が剥がれるよう構成
できるものであれば、特に具体的なものに限定されな
い。
【0046】従って、例えば、請求項9に記載の固定具
を、射出成形法にて成形される樹脂製品として構成して
も良く、この場合には、上記接合部分でウェルドライン
が発生するように、本体部材と横板部材とが成形される
ようにしても良い。つまり、本体部材と横板部材とを、
このようにウェルドライン発生部分で一体に接合された
ものとして構成すれば、ウェルドライン発生部分は他の
部分に比べて顕著に材料強度が低い部分となるので、横
板部材を本体部材側に押し下げたときに、本体部材と横
板部材とが、当該ウェルドライン発生部分で容易に分離
されることになり、当該固定具が扱い易いものとなるの
である。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1(a)は、本発明の一実施例
としての固定具1の全体的構成を示す斜視図であり、図
1(b)は、固定具1における第1腕部12(後述)近
傍部分の形状を示す斜視図である。
【0048】図1(a)に示す如く、本実施例の固定具
1は、シャーシやパネル等の板材80に固定される固定
部31を下端に備える本体部材10と、左右の両端下端
部が後述の如く本体部材10に一体に接合された横板部
材40と、からなる。この固定具1においては、横板部
材40を本体部材10側に押し下げれば、両者間の接合
部分を引き剥がすことができ、横板部材40の左右両端
部を本体部材10に係合固定させることができる。
【0049】そして、この固定具1では、本体部材10
における基底部11(後述)と横板部材40における横
板本体部42(後述)との間にケーブル束を挟持させる
ことにより、ケーブル束を板材80に包縛固定すること
ができる。上記のように一部分で一体に接合された本体
部材10と横板部材40とは、弾性変形可能な合成樹脂
(例えば、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂等)にて
一体成形されている。
【0050】まず、図1〜図4を用いて、固定具1の構
成について説明する。ここで、図2(a)は固定具1の
平面図であり、図2(b)は固定具1の正面図であり、
図2(c)は固定具1の底面図である。また、図3
(a)は固定具1の右側面図であり、図3(b)は固定
具1の背面図であり、図3(c)は固定具1の左側面図
である。また、図4(a)は図2(b)の固定具1をA
−A切断面で切断した状態を示す図であり、図4(b)
は図2(b)の固定具1をB−B切断面で切断した状態
を示す図である。
【0051】本体部材10は、左右方向(図中に示すX
方向)に延設された基底部11と、基底部11上で左右
に所定の間隔を置いた2箇所(本実施例では、基底部1
1の左右両端)から上方(図中に示すZ方向)に夫々延
設された第1腕部12及び第2腕部16と、を有してい
る。本実施例では、第1腕部12と第2腕部16との上
下方向の長さは略同じである。
【0052】基底部11の上面は、その中央部分11a
が左右両端部分11b、11b’に比べて上方に盛り上
がった形状を有している(図2(b)参照)。また、基
底部11には、当該基底部11を前後方向(図中に示す
Y方向)に貫通する基底部側貫通孔11cが設けられて
いる。基底部側貫通孔11cは、基底部11における第
1腕部12近傍の箇所から第2腕部16近傍の箇所まで
の部分に渡って延在する横長の貫通孔である。
【0053】一方、第1腕部12及び第2腕部16の互
いに向き合う面12a,16aと反対側の面12b,1
6bには、第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部
17が夫々設けられている。第1鋸歯状凹凸部13及び
第2鋸歯状凹凸部17は、共に上下方向に凹凸が連続す
る部分として構成されている。第1鋸歯状凹凸部13を
構成する複数の凸片14は、上下に連続する2つの凸片
14間に横板部材40における第1係合片51(後述)
を係合させ得るよう構成されており、第2鋸歯状凹凸部
17を構成する複数の凸片18は、上下に連続する2つ
の凸片18間に横板部材40における第2係合片52
(後述)を係合させ得るよう構成されている。
【0054】そして、本実施例では、夫々の凹凸部1
3,17を構成する凸片14,18の形状が略同じとな
るよう構成されている。つまり、まず、第1鋸歯状凹凸
部13側の凸片14は、第1腕部12の左側面12bか
ら左方(X方向と反対方向)に突出するように設けられ
た凸片であり、当該凸片14は左方側の突端14aを挟
んで上側に上面14b、下側に下面14cを有してい
る。また、第2鋸歯状凹凸部17側の凸片18は、第2
腕部16の右側面16bから右方(X方向)に突出する
ように設けられた凸片であり、当該凸片18は右方側の
突端18aを挟んで上側に上面18b、下側に下面18
cを有している。
【0055】そして、図2(b)及び図3(b)に示す
ように、第1鋸歯状凹凸部13側の凸片14における上
面14bと第2鋸歯状凹凸部17側の凸片18における
上面18bとは、夫々の上面14b,18bの法線で夫
々の凸片14,18から離れる方向のものP,Rと上方
向Zとの間の角度が共に鋭角α(0゜<α<90゜)で
ある点で共通している。
【0056】また、第1鋸歯状凹凸部13側の凸片14
における下面14cと第2鋸歯状凹凸部17側の凸片1
8における下面18cとは、夫々の下面14c,18c
の法線で夫々の凸片14,18から離れる方向のもの
Q,Sと上方向Zとの間の角度が共に略180゜である
点で共通している。
【0057】更に、第1鋸歯状凹凸部13側の凸片14
における突端14a、及び第2鋸歯状凹凸部17側の凸
片18における突端18aは、共に前後方向に延びる線
状端部であり、夫々には面取りが施されている(図3
(a)及び図3(c)参照)。また、一方、第1鋸歯状
凹凸部13は、当該第1鋸歯状凹凸部13の前方向(Y
方向と反対方向)側の端部に第1鋸歯状凹凸部側逃がし
部15aを有し、後方向(Y方向)側の端部に第1鋸歯
状凹凸部側壁部15bを有している。また、第2鋸歯状
凹凸部17は、当該第2鋸歯状凹凸部17の後方向側の
端部に第2鋸歯状凹凸部側逃がし部19aを有し、前方
向側の端部に第2鋸歯状凹凸部側壁部19bを有してい
る。
【0058】つまり、第1鋸歯状凹凸部13を構成する
各凸片14間の空間(詳しくは、上下に連続する2つの
凸片14において、上側の凸片14の下面14cと下側
の凸片14の上面14bとの間の空間)は、前端が第1
鋸歯状凹凸部側逃がし部15aとなっているため前方向
に抜けているが、後端は上下方向に延在する第1鋸歯状
凹凸部側壁部15bによって塞がれた状態になっている
(図3(c),図4(b)参照)。
【0059】また、第2鋸歯状凹凸部17を構成する各
凸片18間の空間(詳しくは、上下に連続する2つの凸
片18において、上側の凸片18の下面18cと下側の
凸片18の上面18bとの間の空間)は、後端が第2鋸
歯状凹凸部側逃がし部19aとなっているため後方向に
抜けているが、前端は上下方向に延在する第2鋸歯状凹
凸部側壁部19bによって塞がれた状態になっている
(図3(a)参照)。
【0060】尚、第1腕部12及び第2腕部16には、
当該第1腕部12及び第2腕部16を夫々前後方向に貫
通する第1腕部側貫通孔21a及び第2腕部側貫通孔2
1bも夫々設けられている。第1腕部側貫通孔21a及
び第2腕部側貫通孔21bは、第1腕部12及び第2腕
部16夫々において上端近傍の箇所から下端近傍の箇所
までの部分に渡って延在する縦長の貫通孔である。
【0061】一方、本体部材10における固定部31
は、基底部11の下端の中央付近に設けられており、シ
ャーシやパネル等の板材に穿設された取付穴81と2つ
の係合穴83と(図1(a)、図5参照)に一部を係合
させることにより板材に固定されるよう構成されてい
る。ここで、取付穴81は、板材を貫通する円形穴81
aと、円形穴81aに連通するよう円形穴81aの周囲
に180゜間隔で形成された一対の矩形穴81bと、か
らなる。また、2つの係合穴83は、共に円形穴81a
より径が小さい透孔であり、一方の係合穴83は一方の
矩形穴81bに対し円形穴81aと反対側となる箇所に
形成されており、他方の係合穴83は他方の矩形穴81
bに対し円形穴81aと反対側となる箇所に形成されて
いる。
【0062】固定部31は、基底部11の下端から下方
に突出し円形穴81aに回転可能に挿入される脚片32
と、脚片32の下端の前後両端に突設された一対の係止
突片33と、脚片32の上端近傍の左右両端に突設され
た一対の押圧翼部34と、からなり、夫々の押圧翼部3
4における脚片32と反対側の端部の下側には係合穴8
3に対応した突起35が設けられている。また、脚片3
2の前面及び背面の夫々には凹部32aが設けられてい
る(図4(a)参照)。
【0063】一方、横板部材40は横板41を有してお
り、当該横板は、左右方向に延設された横板本体部42
と、横板本体部42の左端部(第1腕部12側の端部)
から下方向に延設された第1下方延設片44と、横板本
体部42の右端部(第2腕部16側の端部)から下方向
に延設された第2下方延設片47と、からなる。
【0064】第1下方延設片44と第2下方延設片47
とは、本体部材10と横板部材40との間の接合部分
(後述)を引き剥がして横板部材40を本体部材10に
対して下方に押し下げたときに、第1腕部12の第1鋸
歯状凹凸部13が設けられた面12bと第2腕部16の
第2鋸歯状凹凸部17が設けられた面16bとの夫々に
沿って下方に移動するよう構成されている。
【0065】そして、この移動の際に第1鋸歯状凹凸部
13に対向する第1下方延設片44における面の下端に
は第1係合片51が設けられ、第2鋸歯状凹凸部17に
対向する第2下方延設片47における面の下端には第2
係合片52が設けられている。
【0066】第1係合片51は、上記の如く横板部材4
0を押し下げて横板41を第1腕部12と第2腕部16
との間にさし渡した際に、第1腕部12の第1鋸歯状凹
凸部13に係合されるよう構成されたものであり、第2
係合片52は、横板41を第1腕部12と第2腕部16
との間にさし渡した際に、第2腕部16の第2鋸歯状凹
凸部17に係合されるよう構成されたものである。
【0067】本実施例では、第1係合片51の形状と第
2係合片52の形状とが略同じとなるよう構成されてい
る。つまり、図2(b)及び図3(b)に示すように、
第1係合片51は、右方側の突端51aを挟んで上側に
上面51b、下側に下面51cを有しており、第2係合
片52は、左方側の突端52aを挟んで上側に上面52
b、下側に下面52cを有している。
【0068】そして、第1係合片51における上面51
bと第2係合片52における上面52bとは、夫々の上
面51b,52bの法線で夫々の係合片51,52から
離れる方向のものT,Uと上方向Zとの間の角度が共に
略0゜である点で共通している。
【0069】また、第1係合片51における下面51c
と第2係合片52における下面52cとは、夫々の下面
51c,52cの法線で夫々の係合片51,52から離
れる方向のものV,Wと上方向Zとの間の角度が共に鈍
角β(90゜<β<180゜)である点で共通してい
る。
【0070】更に、第1係合片51における突端51a
及び第2係合片52における突端52aは、共に前後方
向に延びる線状端部であり、夫々には面取りが施されて
いる。また、一方、第1下方延設片44には、上記の如
く横板部材40を押し下げた際に第1腕部12の前面1
2cに沿って移動するべく第1側壁ガイド部45が設け
られている。また、第2下方延設片47には、上記の如
く横板部材40を押し下げた際に第2腕部16の後面1
6dに沿って移動するべく第2側壁ガイド部48が設け
られている。つまり、横板部材40が本体部材10に対
して上下方向に移動した際に、第1側壁ガイド部45の
後面である第1ガイド面45aが第1腕部12の前面1
2cに当接して第1腕部12をガイドし、第2側壁ガイ
ド部48の前面である第2ガイド面48aが第2腕部1
6の後面16dに当接して第2腕部16をガイドする。
【0071】また、第1下方延設片44の上端には、横
板本体部42よりも上方に突出する第1突出部46a
と、第1突出部46aの上端から左方に突出する第1側
方突出部46bと、からなる第1操作用突起片46が設
けられ、第2下方延設片47の上端には、横板本体部4
2よりも上方に突出する第2突出部49aと、第2突出
部49aの上端から右方に突出する第2側方突出部49
bと、からなる第2操作用突起片49が設けられてい
る。
【0072】一方、横板本体部42(横板部材40)に
おける第1腕部12側の端部と第2腕部16側の端部と
には、横板部材40を上記のように押し下げて横板41
を第1腕部12と第2腕部16との間にさし渡した際
(詳しくは、第1腕部12の上端と第2腕部16の上端
とが横板本体部42に達する程横板部材40を本体部材
10に対して押し下げた際)に、第1腕部12と第2腕
部16とを夫々嵌挿できるように第1嵌挿溝43aと第
2嵌挿溝43cとが夫々設けられている。
【0073】第1嵌挿溝43aと第2嵌挿溝43cと
は、共に横板本体部42を上下方向に貫通してなる溝で
ある。第1嵌挿溝43aは、当該第1嵌挿溝43aに嵌
挿される第1腕部12を当該第1嵌挿溝43aから後方
側に離脱させ得るように後方側に第1嵌挿溝側開口43
bを有しており、第2嵌挿溝43cは、当該第2嵌挿溝
43cに嵌挿される第2腕部16を当該第2嵌挿溝43
cから前方側に離脱させ得るように前方側に第2嵌挿溝
側開口43dを有している。
【0074】横板本体部42では、第1下方延設片44
近傍の部分と第2下方延設片47近傍の部分とにおける
板厚が当該横板本体部42の他の部分における板厚より
も薄くなっている。即ち、上記のように第1腕部12側
の端部(第1下方延設片44近傍の部分)と第2腕部1
6側の端部(第2下方延設片47近傍の部分)とに第1
嵌挿溝43aと第2嵌挿溝43cとが設けられているの
で、横板本体部42では当該部分における前後方向の板
厚が他の部分に比べて小さくされている上、当該部分に
おける下端には、当該部分における横板本体部42の上
下方向の板厚を小さくすべく第1下方延設片側凹部53
aと第2下方延設片側凹部53bとが夫々設けられてい
るのである。
【0075】尚、本実施例の固定具1では、第1腕部1
2の前面12cにおける上端部分と第1側壁ガイド部4
5の第1ガイド面45aにおける下端部分とが一体に接
合され、第2腕部16の後面16dにおける上端部分と
第2側壁ガイド部48の第2ガイド面48aにおける下
端部分とが一体に接合された状態で、本体部材10と横
板部材40とが一体成形されている。
【0076】つまり、本実施例では、一体成形された固
定具1において、第1係合片51及び第2係合片52
が、第1鋸歯状凹凸部13の上側及び第2鋸歯状凹凸部
17の上側に夫々位置し、横板部材40を上記のように
本体部材10側に押し下げて上記2箇所の接合部分を引
き剥がせば、第1係合片51と第2係合片52とを第1
鋸歯状凹凸部13と第2鋸歯状凹凸部17とに夫々係合
させることができるよう構成されている。
【0077】そして、本実施例では、本体部材10と横
板部材40とが射出成形法にて一体成形されている。具
体的には、例えば、本体部材10と横板部材40とを成
形するための金型において横板本体部42の上面におけ
る中央部42aと、脚片32の下面における中央部32
bとに相当する箇所に固定具1成形用の溶融樹脂を射出
するゲートを設けることにより、上記2箇所の接合部分
でウェルドラインが発生するよう構成されている。
【0078】このように成形される固定具1において
は、ウェルドライン発生部分は他の部分に比べ顕著に材
料強度が低い部分となるので、本実施例では、横板部材
40を本体部材10側に押し下げた際に、本体部材10
と横板部材40とが、当該ウェルドライン発生部分で容
易に分離されることになり、当該固定具1が扱いやすく
なっている。また、本実施例の固定具1をケーブル束を
包縛固定するために使用する前においては、本体部材1
0と横板部材40とを一部品として管理することができ
るので、本体部材10と横板部材40とが別々に成形さ
れるよう構成された場合等に比べ、固定具1の構成部品
の管理が行い易くなっている。
【0079】また、本実施例では、固定具1(本体部材
10と横板部材40との全体)の形状が、下記の〜
に示した形状的特徴等により前後方向に2分割された抜
き型にて成形可能な形状として構成されている。 本体部材10における第1鋸歯状凹凸部13及び第
2鋸歯状凹凸部17の夫々を構成する凸片14,18
は、共に前後方向に延びる突端14a,18aを有する
凸片である上、各凹凸部13,17は前方側及び後方側
に第1鋸歯状凹凸部側逃がし部15a及び第2鋸歯状凹
凸部側逃がし部19aを夫々有しているので、第1鋸歯
状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部17の夫々が上記2
分割の抜き型にて成形可能となっていること。
【0080】 本体部材10に設けられた貫通孔(基
底部側貫通孔11c、第1腕部側貫通孔21a、及び第
2腕部側貫通孔21b)は、全て前後方向に貫通する貫
通孔であるので、上記2分割の抜き型にて成形可能とな
っていること。 横板部材40における第1係合片51及び第2係合
片52は、共に前後方向に延びる突端51a,52aを
有する係合片であるので、上記2分割の抜き型にて成形
可能となっていること。
【0081】 横板部材40における第1嵌挿溝43
a及び第2嵌挿溝43cは、後方側及び前方側に第1嵌
挿溝側開口43b及び第2嵌挿溝側開口43dを夫々有
しているので、上記2分割の抜き型にて成形可能となっ
ていること。 本体部材10と横板部材40とが上記2箇所の接合
部分で接合されており、上記〜に掲げた各構成要素
が、前後方向に重なって配置されないよう構成されてい
るので、これらの各構成要素が上記2分割の抜き型にて
確実に成形可能となっていること。
【0082】次に、上記のように構成された固定具1の
使用方法の一例について、図1、図6等を参照して説明
する。ここで、図6は、本実施例の固定具1にてケーブ
ル束を包縛固定した状態を説明するための概略的な説明
図である。尚、図6中では、本体部材10と横板部材4
0との位置関係を分かり易く示すために当該固定具1の
構成要素のうちの要部のみを示し、各構成要素について
の詳細な図示は行っていない。また、固定部31につい
てもその図示を省略している。
【0083】まず、固定具1(本体部材10)を板材8
0に固定する。具体的には、まず、矩形穴81bに係止
突片33を挿通させて、円形穴81aに脚片32を挿通
可能な状態にする。つまり、係止突片33を上方または
下方から見た形状は、矩形穴81bに対応した略矩形の
形状となっているので(図2(c)参照)、係止突片3
3を矩形穴81bに挿通させれば、脚片32を円形穴8
1aに挿入することが可能な状態となる。
【0084】次に、脚片32を円形穴81aに所定量以
上挿入することにより、押圧翼部34を板材80の表面
に当接させて弾性変形させ、係止突片33が板材80の
裏面側に配設された状態にする。次に、脚片32を円形
穴81a内で回動させ、係止突片33が押圧翼部34か
ら加わる弾性力によって板材80の裏面に圧接された状
態にした上、2つの突起35を2つの係合穴83に夫々
係合させれば、固定部31の板材80に対する固定は完
了である。つまり、係止突片33と押圧翼部34とで板
材80が挟持された状態にし、突起35と係合穴83と
の係合により脚片32の円形穴81a内での回動が防止
された状態にすることにより、固定部31は板材80に
対し動かないよう固定されるのである。
【0085】続いて、このように板材80に固定された
固定具1にケーブル束を包縛固定させる。即ち、例え
ば、横板本体部42と基底部11との間の空間にケーブ
ル束を通した後、横板部材40を本体部材10に対して
押し下げて、上記2箇所の接合部分を引き剥がし、第1
係合片51と第2係合片52とを第1鋸歯状凹凸部13
と第2鋸歯状凹凸部17とに夫々係合させて横板本体部
42と基底部11との間にケーブル束が挟持された状態
にすれば、ケーブル束の包縛固定は完了である(図6
(a)及び図6(b)参照)。
【0086】つまり、本実施例では、第1鋸歯状凹凸部
13側の凸片14における上面14bの法線Pと上方向
Zとの間の角度と、第2鋸歯状凹凸部17側の凸片18
における上面18bの法線Rと上方向Zとの間の角度と
が共に鋭角αであり、第1係合片51における下面51
cの法線Vと上方向Zとの間の角度と、第2係合片52
における下面52cの法線Wと上方向Zとの間の角度と
が共に鈍角βであるため、上記2箇所の接合部分が引き
剥がされた後における横板部材40の本体部材10に対
する下方への移動の際に、横板部材40の第1係合片5
1及び第2係合片52が、第1腕部12の第1鋸歯状凹
凸部13上及び第2腕部16の第2鋸歯状凹凸部17上
を横板本体部42等の弾性変形を伴って夫々移動するこ
とができる。
【0087】そして、適当な位置で第1係合片51及び
第2係合片52を第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状
凹凸部17に夫々係合させ、横板本体部42と基底部1
1との間でケーブル束が挟持された状態にすれば、ケー
ブル束が板材80に包縛固定された状態になるのであ
る。
【0088】従って、本実施例の固定具1によれば、図
6(a)及び図6(b)に示すように、包縛固定すべき
ケーブル束をなすケーブルの太さや本数が変化しても、
第1係合片51及び第2係合片52の第1鋸歯状凹凸部
13及び第2鋸歯状凹凸部17夫々に対する係合位置を
変化させて、横板本体部42と基底部11との間の距離
を変化させれば、このような場合のケーブル束の包縛固
定も確実に行うことができる。
【0089】また、本実施例の固定具1では、ケーブル
束を上記のように一旦包縛固定してしまえば、ケーブル
束に上向きの負荷がかかった場合においても、当該固定
具1からケーブル束が外れることが防止される。つま
り、第1鋸歯状凹凸部13側の凸片14における下面1
4cの法線Qと上方向Zとの間の角度と、第2鋸歯状凹
凸部17側の凸片18における下面18cの法線Sと上
方向Zとの間の角度とが共に略180゜であり、第1係
合片51における上面51bの法線Tと上方向Zとの間
の角度と、第2係合片52における上面52bの法線U
と上方向Zとの間の角度とが共に略0゜であるため、第
1係合片51及び第2係合片52が第1鋸歯状凹凸部1
3及び第2鋸歯状凹凸部17に夫々係合された状態にお
いては、ケーブル束(延いては横板部材40)に上向き
の負荷(力)がかかっても、第1係合片51及び第2係
合片52が、第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸
部17によって夫々係止され、本体部材10から横板部
材40が外れることが防止されるので、当該固定具1か
らケーブル束が外れることが防止されることになるので
ある。
【0090】尚、本実施例では、横板部材40を本体部
材10に対して押し下げる際に、第1側壁ガイド部45
及び第2側壁ガイド部48を第1腕部12及び第2腕部
16夫々に対するガイドにすると共に、第1鋸歯状凹凸
部側壁部15b及び第2鋸歯状凹凸部側壁部19bを第
1係合片51及び第2係合片52夫々に対するガイドに
しながら横板部材40を移動させることができるので、
当該固定具1の操作が行い易くなっている。
【0091】つまり、本実施例では、第1側壁ガイド部
45及び第1鋸歯状凹凸部側壁部15bによって、第1
鋸歯状凹凸部13上を移動する第1係合片51の第1鋸
歯状凹凸部13に対する位置が、第1鋸歯状凹凸部13
に適切に係合され得る位置に確実に保持されると共に、
第2側壁ガイド部48及び第2鋸歯状凹凸部側壁部19
bによって、第2鋸歯状凹凸部17上を移動する第2係
合片52の第2鋸歯状凹凸部17に対する位置が、第2
鋸歯状凹凸部17に適切に係合され得る位置に確実に保
持されるので、当該固定具1の操作が行い易くなってい
るのである。
【0092】また、本実施例の固定具1では、本体部材
10と横板部材40とによりケーブル束を包縛固定した
際に、第1腕部12の左側面12bが第1下方延設片4
4に当接し、第2腕部16の右側面16bが第2下方延
設片47に当接した状態になる上、第1腕部12の第1
鋸歯状凹凸部13が設けられた面に連接した一側面であ
る前面12cが第1側壁ガイド部45(詳しくは第1ガ
イド面45a)に当接し、第2腕部16の第2鋸歯状凹
凸部17が設けられた面に連接した一側面である後面1
6dが第2側壁ガイド部48(詳しくは第2ガイド面4
8a)に当接した状態になるので、横板部材40は本体
部材10に対して安定して保持される。
【0093】また、本実施例の固定具1では、包縛固定
すべきケーブル束をなすケーブルの太さが細い場合(例
えば、図6(b)の場合)等のように、ケーブル束の包
縛固定時に横板部材40が本体部材10に対して比較的
下方に位置する場合は、ケーブル束の固定時に第1腕部
12と第2腕部16とが第1嵌挿溝43aと第2嵌挿溝
43cとに夫々嵌挿された状態になり、横板部材40が
本体部材10に対して一層安定して保持されることにな
る。
【0094】つまり、例えば、第1腕部12と第2腕部
16とが第1嵌挿溝43aと第2嵌挿溝43cとに夫々
嵌挿された状態において固定具1に衝撃・振動が加えら
れたとしても、第1腕部12と第2腕部16とが第1嵌
挿溝43a内の壁面と第2嵌挿溝43c内の壁面とに夫
々当接することにより、横板部材40の本体部材10に
対する相対位置が変化することは防止され、第1嵌挿溝
43aと第2嵌挿溝43cとに第1腕部12と第2腕部
16とを嵌挿させない場合に比べ、横板部材40が本体
部材10に対してより安定して保持されることになるの
である。
【0095】次に、本実施例の固定具1によるケーブル
束の包縛固定を解除する際の手順について説明する。本
実施例の固定具1では、ケーブル束の包縛固定を解除す
るのに必要な操作が、上下方向(Z方向)を回転軸とし
て横板部材40を本体部材10に対して回転させる操作
(本実施例では、固定具1を上から見た際に反時計周り
となる方向(図1中のイ方向)に横板部材40を回転さ
せる操作)だけとなるよう構成されている。
【0096】具体的には、本実施例では、本体部材10
における第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部1
7が、第1腕部12及び第2腕部16の互いに向き合う
面と反対側の面12b,16bに夫々設けられているの
で、横板部材40を上記のように回転させると、第1係
合片51は、第1鋸歯状凹凸部13上を当該第1鋸歯状
凹凸部13の前後方向の幅方向に移動して、当該第1鋸
歯状凹凸部13における前方側の端部(第1係合片51
の移動方向側の端部)から外部に離脱し、第2係合片5
2は、第2鋸歯状凹凸部17上を当該第2鋸歯状凹凸部
17の前後方向の幅方向に移動して、当該第2鋸歯状凹
凸部17における後方側の端部(第2係合片52の移動
方向側の端部)から外部に離脱し、本体部材10から横
板部材40が取り外される。
【0097】従って、本実施例の固定具1では、図6
(b)に示すようにケーブル束の包縛固定時に横板部材
40が本体部材10に対して比較的下方に位置していた
場合においても、ケーブル束の包縛固定を解除する際の
操作を容易に行うことができる。
【0098】つまり、従来の固定具の場合のように横板
部材40を本体部材10に対して大きく上方に移動させ
るような操作を行わなくても良い分だけ、ケーブル束の
包縛固定を解除する際の操作が行い易くなっているので
ある。そして、本実施例では、上記のように第1係合片
51及び第2係合片52が離脱する際に通過する第1鋸
歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部17夫々における
端部が第1鋸歯状凹凸部側逃がし部15a及び第2鋸歯
状凹凸部側逃がし部19aとなっているので、当該端部
が第1係合片51及び第2係合片52が乗り越えなけれ
ばならない壁部として構成されている場合等に比べ、第
1係合片51及び第2係合片52を離脱させる際に横板
部材40にかけなければならない負荷が小さくされてい
る。
【0099】また、本実施例では、第1腕部12の第1
鋸歯状凹凸部13が設けられた面12bに連接した一側
面であって、横板部材40を上記のように回転させた際
に第1下方延設片44が移動する方向(前方向)を向い
た一側面である前面12cに沿って第1側壁ガイド部4
5が設けられ、第2腕部16の第2鋸歯状凹凸部17が
設けられた面16bに連接した一側面であって、横板部
材40を上記のように回転させた際に第2下方延設片4
7が移動する方向(後方向)を向いた一側面である後面
16dに沿って第2側壁ガイド部48が設けられている
ので、上記のように横板部材40を回転させた際に第1
側壁ガイド部45と第2側壁ガイド部48とが横板部材
40の回転を阻むことはない。
【0100】また、図6(b)に示すように、ケーブル
束を包縛固定した際に第1腕部12と第2腕部16とが
第1嵌挿溝43aと第2嵌挿溝43cとに夫々嵌挿され
た場合であっても、横板部材40を上記のように回転さ
せた際には、横板部材40における第1嵌挿溝43aの
移動方向と反対方向側(後方側)に設けられた第1嵌挿
溝側開口43bから第1腕部12が離脱され、第2嵌挿
溝43cの移動方向と反対方向側(前方側)に設けられ
た第2嵌挿溝側開口43dから第2腕部16が離脱され
るので、第1嵌挿溝43aと第2嵌挿溝43cとが横板
部材40の回転を阻むことはない。
【0101】また、本実施例の固定具1では、上述の如
く、第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部17を
構成する凸片14,18が前後方向に延びる線状端部た
る突端14a,18aを有する凸片として構成され、第
1係合片51及び第2係合片52が前後方向に延びる線
状端部たる突端51a,52aを有する係合片として構
成されている。
【0102】従って、本実施例の固定具1では、第1係
合片51の形状と第1鋸歯状凹凸部13(凸片14)の
形状との組合わせ、及び第2係合片52の形状と第2鋸
歯状凹凸部17(凸片18)の形状との組合わせが、上
記のように横板部材40を回転させた際に、第1係合片
51及び第2係合片52の第1鋸歯状凹凸部13及び第
2鋸歯状凹凸部17夫々に対する係合が解除されるま
で、当該回転の角度が大きくなる程、第1係合片51と
第2係合片52との間の距離が長くなるよう横板部材4
0を弾性変形させる組合わせとして構成されている。
【0103】そして、本実施例では、固定具1にてケー
ブル束を包縛固定させた際には、第1鋸歯状凹凸部13
側の凸片14の突端14a全体が第1下方延設片44に
当接し、第2鋸歯状凹凸部17側の凸片18の突端18
a全体が第2下方延設片47に当接すると共に、第1係
合片51の突端51a全体が上下に連続する2つの凸片
14間における第1腕部12の左側面12bに当接し、
第2係合片52の突端52a全体が上下に連続する2つ
の凸片18間における第2腕部16の右側面16bに当
接する。
【0104】そして、その結果、本実施例の固定具1で
は、当該固定具1にケーブル束を包縛固定させた後に当
該固定具1に衝撃・振動等が加えられても、横板部材4
0の本体部材10に対する相対位置が変化してしまうこ
と(詳しくは、固定具1に加えられる衝撃・振動等によ
って横板部材40が上下方向を回転軸として本体部材1
0に対して回転移動してしまうこと)が防止されること
になる。
【0105】つまり、本実施例の固定具1では、横板部
材40の回転角度が大きくなる程、第1係合片51と第
2係合片52との間の距離が大きく変化するよう(横板
部材40が大きく弾性変形されるよう)、第1係合片5
1の形状と第1鋸歯状凹凸部13の形状との組合わせ、
及び第2係合片52の形状と第2鋸歯状凹凸部17の形
状との組合わせが構成されているので、当該固定具1の
使用時に当該固定具1に衝撃・振動等が加えられた場合
においても、横板部材40の本体部材10に対する相対
位置が変化することは防止される。また、仮にこの相対
位置が変化した場合であっても、上記構成から、横板部
材40の本体部材10に対する相対位置は、第1係合片
51及び第2係合片52が第1鋸歯状凹凸部13及び第
2鋸歯状凹凸部17に夫々確実に係合される適切な位置
に戻されることになる。
【0106】尚、本実施例では、上述の如く、横板本体
部42における第1下方延設片44近傍の部分と第2下
方延設片47近傍の部分とにおける板厚が当該横板本体
部42の他の部分における板厚よりも薄くされているの
で、上記のように横板部材40を回転させる操作が比較
的容易に行えるようになっている。
【0107】つまり、本実施例では、横板部材40の本
体部材10に対する回転角度が大きくなる程、第1係合
片51と第2係合片52との間の距離が大きく変化する
よう(横板部材40が大きく弾性変形されるよう)構成
されているが、この回転の際には、上記板厚が薄くされ
た部分が比較的容易に弾性変形されるので、当該板厚が
薄くされた部分を設けない場合に比べ、第1係合片51
と第1鋸歯状凹凸部13との間に作用する摩擦力、及び
第2係合片52と第2鋸歯状凹凸部17との間に作用す
る摩擦力を、横板部材40の回転の際に小さめに抑える
ことができ、横板部材40を上記のように回転させる操
作が容易に行えるのである。
【0108】また、本実施例の固定具1においては、横
板部材40における第1係合片51近傍の箇所(第1下
方延設片44の上端)と第2係合片52近傍の箇所(第
2下方延設片47の上端)とに、第1操作用突起片46
と第2操作用突起片49とが設けられているので、当該
突起片46,49を操作することによって、上述の横板
部材40の回転操作を行うことなく第1係合片51及び
第2係合片52の第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状
凹凸部17夫々に対する係合状態を解くこともできる。
【0109】具体的には、第1操作用突起片46及び第
2操作用突起片49を摘んでロ方向及びロ’方向(図1
(a)参照)に夫々回動させれば、上記板厚が薄くされ
た部分が弾性変形されて、第1係合片51及び第2係合
片52の第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部1
7夫々に対する係合状態が解除されるのである。
【0110】そして、このように第1係合片51及び第
2係合片52の第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹
凸部17夫々に対する係合状態を解除できれば、その後
に行う操作、即ち、横板部材40を本体部材10から完
全に取り外す操作が行い易くなる。
【0111】つまり、例えば、この状態で横板部材40
を上述の如く回転させれば、横板部材40と本体部材1
0との間に摩擦力が作用しない状態で横板部材40を回
転させることができるので、横板部材40を本体部材1
0から取り外す操作が行い易くなる。また、この状態か
ら横板部材40を本体部材10に対して上方に移動させ
ることにより、横板部材40を本体部材10から取り外
すことも可能である。
【0112】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、
種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例で
は、第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部17を
第1腕部12及び第2腕部16の互いに向き合う面12
a,16aと反対側の面12b,16bに夫々設けた
が、これらを第1腕部12及び第2腕部16の互いに向
き合う面12a,16aに夫々設けても良い。
【0113】この場合は、第1鋸歯状凹凸部13に係合
可能な第1係合片51を備えた第1下方延設片44、及
び第2鋸歯状凹凸部17に係合可能な第2係合片52を
備えた第2下方延設片47が、第1腕部12及び第2腕
部16の互いに向き合う面12a,16aの夫々に沿っ
て設けられることとなるが、このように構成された固定
具1においても、上記実施例と同様の効果が得られるこ
ととなる。
【0114】尚、このように構成された固定具1にてケ
ーブル束を包縛固定した後、当該包縛固定を解除するた
め横板部材40を上記実施例の場合と同様に回転させる
と、上記実施例の固定具1とこの態様の固定具1とにお
ける第1腕部12及び第2腕部16と横板部材40との
位置関係の違いから、第1係合片51及び第2係合片5
2の第1鋸歯状凹凸部13及び第2鋸歯状凹凸部17夫
々に対する係合が解除されるまで、当該回転の角度が大
きくなる程、第1係合片51と第2係合片52との間の
距離が短くなるよう横板部材40が弾性変形されること
となるが、上記実施例の場合と得られる効果において違
いはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、実施例の固定具の全体的構成を示
す斜視図であり、(b)は、当該固定具の第1腕部近傍
部分の形状を示す斜視図である。
【図2】 (a)は、実施例の固定具の平面図であり、
(b)はその正面図であり、(c)はその底面図であ
る。
【図3】 (a)は、実施例の固定具の右側面図であ
り、(b)はその背面図であり、(c)はその左側面図
である。
【図4】 (a)は、図2(b)の固定具をA−A切断
面で切断した状態を示す説明図であり、(b)は、図2
(b)の固定具をB−B切断面で切断した状態を示す説
明図である。
【図5】 実施例の固定具を板材に固定するため板材に
穿設される穴の形状を示す平面図である。
【図6】 実施例の固定具にてケーブル束を包縛固定し
た状態を説明するための概略説明図であり、(a)は包
縛固定すべきケーブル束をなすケーブルの太さが太い場
合を示す図、(b)は包縛固定すべきケーブル束をなす
ケーブルの太さが細い場合を示す図である。
【符号の説明】
1…固定具、10…本体部材、11…基底部、12…第
1腕部、13…第1鋸歯状凹凸部、15a…第1鋸歯状
凹凸部側逃がし部、16…第2腕部、17…第2鋸歯状
凹凸部、19a…第2鋸歯状凹凸部側逃がし部、40…
横板部材、41…横板、42…横板本体部、43a…第
1嵌挿溝、43b…第1嵌挿溝側開口、43c…第2嵌
挿溝、43d…第2嵌挿溝側開口、44…第1下方延設
片、45…第1側壁ガイド部、46…第1操作用突起
片、47…第2下方延設片、48…第2側壁ガイド部、
49…第2操作用突起片、51…第1係合片、52…第
2係合片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 7/00 H02G 3/26 E (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16B 2/08 F16B 2/12 F16L 3/08 F16L 3/10 H02G 3/30 H05K 7/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右方向に延設された基底部と、前記基
    底部上で左右に所定の間隔を置いた2箇所から上方に夫
    々延設された第1腕部及び第2腕部と、前記第1腕部及
    び前記第2腕部に上下方向に凹凸が連続する部分として
    夫々設けられた第1鋸歯状凹凸部及び第2鋸歯状凹凸部
    と、を備えた本体部材と、 前記第1腕部と前記第2腕部との間にさし渡され、前記
    基底部との間でケーブルを挟持する横板と、前記横板の
    左右の両端部に夫々設けられ、前記第1鋸歯状凹凸部及
    び前記第2鋸歯状凹凸部に夫々係合する第1係合片及び
    第2係合片と、を備えた横板部材と、 からなり、前記本体部材と前記横板部材とによりケーブ
    ルを包縛固定する固定具であって、 前記第1腕部と前記第2腕部との間に前記横板をさし渡
    して、前記第1係合片及び前記第2係合片を前記第1鋸
    歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部に夫々係合させた
    後に、上下方向を回転軸として前記横板部材を前記本体
    部材に対して回転させれば、前記横板部材を前記本体部
    材から取り外せるように構成したことを特徴とする固定
    具。
  2. 【請求項2】 前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯
    状凹凸部は、前記第1腕部及び前記第2腕部の互いに向
    き合う面、或いは当該互いに向き合う面と反対側の面に
    夫々設けられ、 前記第1鋸歯状凹凸部は、前記回転の際に当該第1鋸歯
    状凹凸部に係合された前記第1係合片を当該第1鋸歯状
    凹凸部から離脱させるべく、前記第1係合片の前記回転
    時の移動方向側の端部に第1鋸歯状凹凸部側逃がし部を
    有し、 前記第2鋸歯状凹凸部は、前記回転の際に当該第2鋸歯
    状凹凸部に係合された前記第2係合片を当該第2鋸歯状
    凹凸部から離脱させるべく、前記第2係合片の前記回転
    時の移動方向側の端部に第2鋸歯状凹凸部側逃がし部を
    有することを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  3. 【請求項3】 前記横板部材は、当該横板部材を弾性変
    形させることにより前記第1係合片と前記第2係合片と
    の間の距離を変化させることができるように構成され、 前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部が前記
    第1腕部及び前記第2腕部の互いに向き合う面に夫々設
    けられている場合は、前記第1係合片の形状と前記第1
    鋸歯状凹凸部の形状との組合わせ及び前記第2係合片の
    形状と前記第2鋸歯状凹凸部の形状との組合わせが、前
    記回転の際に、前記第1係合片及び前記第2係合片の前
    記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部夫々に対
    する係合が解除されるまで、当該回転の角度が大きくな
    る程、前記第1係合片と前記第2係合片との間の距離が
    短くなるよう前記横板部材を弾性変形させる組合わせと
    して構成され、 前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部が前記
    第1腕部及び前記第2腕部の互いに向き合う面と反対側
    の面に夫々設けられている場合は、前記第1係合片の形
    状と前記第1鋸歯状凹凸部の形状との組合わせ及び前記
    第2係合片の形状と前記第2鋸歯状凹凸部の形状との組
    合わせが、前記回転の際に、前記第1係合片及び前記第
    2係合片の前記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹
    凸部夫々に対する係合が解除されるまで、当該回転の角
    度が大きくなる程、前記第1係合片と前記第2係合片と
    の間の距離が長くなるよう前記横板部材を弾性変形させ
    る組合わせとして構成されたことを特徴とする請求項2
    に記載の固定具。
  4. 【請求項4】 前記横板部材における前記第1腕部側の
    端部と前記第2腕部側の端部とには、前記横板を前記第
    1腕部と前記第2腕部との間にさし渡した際に前記第1
    腕部と前記第2腕部とを夫々嵌挿できるように第1嵌挿
    溝と第2嵌挿溝とが夫々設けられ、 前記第1嵌挿溝は、当該第1嵌挿溝に嵌挿された前記第
    1腕部を前記回転の際に当該第1嵌挿溝から離脱させる
    べく、当該第1嵌挿溝の前記回転時の移動方向と反対方
    向側に第1嵌挿溝側開口を有し、 前記第2嵌挿溝は、当該第2嵌挿溝に嵌挿された前記第
    2腕部を前記回転の際に当該第2嵌挿溝から離脱させる
    べく、当該第2嵌挿溝の前記回転時の移動方向と反対方
    向側に第2嵌挿溝側開口を有することを特徴とする請求
    項1〜請求項3のいずれかに記載の固定具。
  5. 【請求項5】 前記横板は、 前記第1腕部と前記第2腕部との間で左右方向に延在す
    る横板本体部と、 前記横板本体部の前記第1腕部側の端部から前記第1腕
    部の前記第1鋸歯状凹凸部が設けられた面に沿って下方
    に設けられた第1下方延設片と、 前記横板本体部の前記第2腕部側の端部から前記第2腕
    部の前記第2鋸歯状凹凸部が設けられた面に沿って下方
    に設けられた第2下方延設片と、 を備え、 前記第1係合片と前記第2係合片とは、前記第1下方延
    設片の前記第1鋸歯状凹凸部に対向する面と前記第2下
    方延設片の前記第2鋸歯状凹凸部に対向する面とに夫々
    設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいず
    れかに記載の固定具。
  6. 【請求項6】 前記第1下方延設片には、前記第1腕部
    の前記第1鋸歯状凹凸部が設けられた面に連接した一側
    面であって、前記第1下方延設片の前記回転時の移動方
    向を向いた一側面に沿って延び、前記横板部材が前記本
    体部材に対して上下方向に移動する際に前記第1腕部を
    ガイドする第1側壁ガイド部が設けられ、 前記第2下方延設片には、前記第2腕部の前記第2鋸歯
    状凹凸部が設けられた面に連接した一側面であって、前
    記第2下方延設片の前記回転時の移動方向を向いた一側
    面に沿って延び、前記横板部材が前記本体部材に対して
    上下方向に移動する際に前記第2腕部をガイドする第2
    側壁ガイド部が設けられたことを特徴とする請求項5に
    記載の固定具。
  7. 【請求項7】 前記横板本体部は弾性変形可能な材質に
    て構成され、前記横板本体部の前記第1下方延設片近傍
    の部分と前記第2下方延設片近傍の部分とにおける板厚
    を当該横板本体部の他の部分における板厚よりも薄くし
    たことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の固
    定具。
  8. 【請求項8】 前記横板部材における前記第1係合片近
    傍の箇所と前記第2係合片近傍の箇所とに、前記第1係
    合片及び前記第2係合片の前記第1鋸歯状凹凸部及び前
    記第2鋸歯状凹凸部夫々に対する係合状態を解除するた
    めの第1操作用突起片と第2操作用突起片とを夫々設け
    たことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記
    載の固定具。
  9. 【請求項9】 固定具としての使用前に、前記本体部材
    と前記横板部材とが、一部分で一体に接合されたものと
    して一体成形され、 当該一体成形された前記本体部材と前記横板部材とにお
    いて、 前記第1係合片及び前記第2係合片は、前記第1鋸歯状
    凹凸部の上側及び前記第2鋸歯状凹凸部の上側に夫々位
    置し、 前記横板部材を前記本体部材側に押し下げれば、前記接
    合された部分が剥がれて前記本体部材と前記横板部材と
    が別体となり、前記第1係合片及び前記第2係合片を前
    記第1鋸歯状凹凸部及び前記第2鋸歯状凹凸部に夫々係
    合させた状態とし得るよう構成したことを特徴とする請
    求項1〜請求項8のいずれかに記載の固定具。
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