JP4160537B2 - 連結具 - Google Patents

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本発明は、例えば建築現場等において、防護シートや防護ネット等の防護部材を支柱や梁等の固定部材に連結するための連結具に関する。
防護シートを支柱に連結する方法として、従来、防護シートの端縁に設けられた鳩目金具に連結用の紐を挿通して、支柱に巻き付けるようにしたものが提案されている。この方法は、手作業によって鳩目金具に、紐を通したり、支柱に巻き付けたりする非常に面倒な作業が必要であるため、作業能率が低いばかりでなく、連結上の信頼性も低いという問題がある。
上記問題を解消するため、従来、特許文献1に開示されたものが提案されている。この連結具は、支柱に装着される連結具本体の左右両端部に対し防護シートの端縁に設けられた孔部に貫通される軸部を一体に張り出し形成し、両軸部に前記防護シートを掛止するための掛止突起をヒンジ部を介して一体に連結している。前記掛止突起は、常には軸部の上方に突出した突出位置に保持され、前記軸部を防護シートの孔部に貫通する際に突出位置から軸部の軸心側に近付いた退入位置にヒンジ部を中心に弾性変形させ、掛止突起が前記防護シートの孔部を乗り越えると、前記掛止突起がヒンジ部を中心に上方に復元され、防護シートを所定位置に掛止するようになっている。
実開平6−76550号公報
特許文献1に開示された連結具は、防護シートを所定位置に掛止することができる。しかし、連結具の軸部から防護シートを取り外す際に、防護シートの裏側、つまり前記掛止突起側から該掛止突起を作業者の手によって突出位置から退入位置へ移動させる必要があるので、防護シートの表側、つまり連結具本体側において、掛止突起を突出位置から退入位置へ切り換えることができないという問題があった。このため、防護シートの取り外し作業が非常に面倒で、作業能率を向上することができないという問題があった。
本発明は上記従来の技術に存する問題点を解消して、防護部材の取り外しの際に、その防護部材の表側、つまり連結具本体側において掛止部材の位置を切り換えることができ、防護部材の取り外し作業の能率を向上することができる連結具を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、固定部材に取り付けられる連結具本体に対して、防護部材に設けられた孔部に貫通される軸部を設け、この軸部に対し該軸部の側方に突出して前記防護部材を掛止する掛止位置と、軸部の軸心側に近付いた退入位置との間で位置切り換え可能に掛止部材を設け、前記連結具本体又は軸部の基端部に対し前記掛止部材を位置切り換え操作するための操作手段を設け、前記掛止部材と操作手段との間の軸部に前記防護部材が装着されるようにした連結具において、前記軸部は複数箇所に設けられ、各軸部にはそれぞれ掛止部材が設けられ、各掛止部材は一つの操作手段によって位置切り換え可能に構成されていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1において、前記連結具本体、軸部及び掛止部材は合成樹脂により一体形成され、掛止部材は弾性変形可能なヒンジ部によって軸部に一体に連結され、前記操作手段は前記掛止部材に一体に連結されていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2において、前記連結具本体には左右一対の軸部が一体に形成され、該本体及び両軸部には平面視U字状の貫通溝が形成され、該貫通溝の両軸部の先端側の内端面にはそれぞれヒンジ部を介して掛止部材が連結され、両掛止部材は平面視U字状の操作レバーによって一体に連結され、該操作レバーには操作ノブが設けられていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項において、前記連結具本体の下面には軽量化のための凹部が形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、連結具本体に設けた軸部の基端部又は本体に対して、前記掛止部材の位置を切り換えるための操作手段を、防護部材の表側、つまり連結具本体側に設けたので、連結具本体側において操作手段を操作することにより、掛止部材の位置を容易に切り換えることができる。このため、防護部材の取り外し作業の能率を向上することができる。
以下、本発明を具体化した連結具の一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、連結具11を上から見た斜視図、図2は連結具11を下から見た斜視図である。図3は連結具11の正面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図である。この連結具11は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂により一体に型成形されている。連結具本体12の後端面には、図7に示すように固定部材としての支柱21の外周面に沿うように係合される係合凹部12aが形成され、この係合凹部12aの中央部下縁には、図2及び図3,4に示すようにブラケット12bが一体に下方に形成されている。このブラケット12bの下端部には、係止爪12cが一体に支柱21と反対方向及び上方向に向けて折り曲げ形成されている。このブラケット12b及び係止爪12cを用いて、図6及び図7に示すように連結具本体12が紐22によって前記支柱21に装着されるようになっている。
前記連結具本体12の左右両端部には、第1及び第2軸部13,14が互いに平行に、かつ一体に突出形成されている。前記連結具本体12と第1及び第2軸部13,14には、上下方向に貫通する平面視U字状の貫通溝15が形成されている。前記貫通溝15の第1軸部13の先端面寄り内端面には、第1ヒンジ部16aを介して、掛止部材としての第1掛止突起16が上下方向の往復傾動可能に一体に連結されている。同様に、前記貫通溝15の前記第2軸部14の先端面寄り内端面には、第2ヒンジ部17aを介して掛止部材としての第2掛止突起17が上下方向の往復傾動可能に一体に連結されている。前記両第1及び第2掛止突起16,17には第1及び第2軸部13,14の先端から遠ざかるほど高くなる傾斜面16b,17bが形成され、第1及び第2掛止突起16,17の先端には防護シート23に設けた鳩目金具24を掛止可能な掛止面16c,17cが垂直に形成されている。
前記第1及び第2掛止突起16,17の先端面には、平面視U字状の操作レバー18が一体に連結され、該操作レバー18は常には貫通溝15の内部に収容されている。前記操作レバー18の中央部の上面には、操作ノブ19が図4に示すように貫通溝15から上方に突出するように一体に連結されている。
この実施形態では前記操作レバー18と操作ノブ19によって、前記第1及び第2掛止突起16,17を第1及び第2軸部13,14の上面から突出する突出位置から貫通溝15内に没入する退入位置へ切り換えるための操作手段が構成されている。
前記連結具本体12の基端部には図4に示すように軽量化と、ブラケット12b及び係止爪12cの型成形時に成形型(図示せず)を挿入するための貫通溝12dが形成され、左右両側部には図2に示すように軽量化のための凹部12eが形成され、前記本体12の第1及び第2軸部13,14側の下面にも図4,5に示すように軽量化のための凹部12fが形成されている。
次に、前記のように構成された連結具11を用いて建築現場等に装設された支柱21に、防護部材としての防護シート23を装着するための方法について説明する。
最初に、図6に示すように、支柱21に対し連結具11の本体12の係合凹部12aを支柱21の外周面に接合し、前記ブラケット12bを紐22によって支柱21に取り付ける。次に、防護シート23に設けられた鳩目金具24を図7に示すように第1軸部13の先端部から第1軸部13に嵌合する。このとき、鳩目金具24によって、第1掛止突起16の傾斜面16bが下方に押圧されるので、第1掛止突起16が、そのヒンジ部16aを中心に下方に回動される。そして、鳩目金具24が第1掛止突起16を乗り越えると、第1掛止突起16がヒンジ部16aを中心に上方向に回動されて元の位置に復元され、鳩目金具24が第1掛止突起16の掛止面16cによって掛止される。
上記防護シート23及び鳩目金具24の装着動作と同様に、他方の第2軸部14に対して、別の防護シート23の鳩目金具24が装着される。
建築現場において、建物の施工作業が終わり、防護シート23,23を連結具11の第1及び第2軸部13,14から取り外す場合には、図6において操作ノブ19の上端部を指によって下方に押圧する。すると、図8に示すように前記第1及び第2掛止突起16,17及び操作レバー18、操作ノブ19が、前記ヒンジ部16a,17aを中心に時計回り方向に回動され、前記第1及び第2掛止突起16,17が、前記第1及び第2軸部13,14に形成された貫通溝15の内部に没入する。このため、第1及び第2掛止突起16,17による防護シート23,23の鳩目金具24,24の掛止状態が解除される。この状態で、防護シート23を図8において前方に移動すると、防護シート23が二点鎖線で示すように第1及び第2軸部13,14から離隔される。なお、前記操作ノブ19の押圧を解除すると、第1及び第2掛止突起16,17は、図6に示す元の位置に復元される。
上記実施形態の連結具によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記連結具本体12の左右両側部に第1及び第2軸部13,14を一体に突出形成した。又、第1及び第2軸部13,14の内部に第1及び第2掛止突起16,17をヒンジ部16a,17aを介して上下方向の往復傾動可能に連結し、前記第1及び第2掛止突起16,17を貫通溝15内において操作レバー18によって連結し、該操作レバー18の上面に操作ノブ19を立設した。このため、前記第1及び第2軸部13,14に防護シート23の鳩目金具24を掛止した状態で、前記防護シート23の表側、つまり連結具本体12側から操作ノブ19を操作することによって、前記第1及び第2掛止突起16,17の掛止状態を解除することができる。従って、防護シート23の連結具11からの取り外し作業を容易に行うことができ、その作業能率を向上することができる。
(2)上記実施形態では、前記連結具11の第1,第2軸部13,14、第1,第2掛止突起16,17、操作レバー18及び操作ノブ19等を合成樹脂材により一体に型成形するようにしたので、連結具11の製造を容易に、かつ能率的に行うことができる。
(3)上記実施形態では、連結具本体12に対して左右一対の第1,第2軸部13,14及び第1,第2掛止突起16,17を設けたので、隣接する防護シート23,23の鳩目金具24,24を一つの連結具11によって掛止することができる。
(4)上記実施形態では、第1,第2掛止突起16,17に対して、共通の操作レバー18を連結し、この操作レバー18に操作ノブ19を装着したので、第1,第2掛止突起16,17を同時に位置切り換えすることができ、防護シート23の取り外し作業を能率的に行うことができる。
(5)上記実施形態では、連結具本体12に対し係合凹部12aを形成すると共に、連結具本体12の下部にブラケット12b及び係止爪12cを形成したので、支柱21に対し本体12を紐22によって容易に装着することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○図示しないが、前記本体12に対して、支柱21を本体12との間でクランプするためのクランプ部材を連結するようにしてもよい。
○第1,第2軸部13,14及び第1,第2掛止突起16,17を一つのみにしてもよい。
○前記第1,第2掛止突起16,17をそれぞれ位置切り換え動作するための操作レバー18及び操作ノブ19を別々に設けてもよい。
○前記第1,第2軸部13,14に対して、別体で構成された第1,第2掛止突起16,17を付勢部材を介して取り付けるようにしてもよい。
○掛止部材として、掛止突起以外に掛止爪、掛止ピン等を用いてもよい。
○操作手段として、操作レバー18及び操作ノブ19以外にプッシュプルロッド等を用いてもよい。
○掛止突起を有する前記軸部を三箇所或いは四箇所以上に設けてもよい。
○固定部材として、支柱以外に水平梁、傾斜梁等がある。
○防護部材として、防護シート以外に、防護ネット或いは防護柵等がある。
この発明の連結具を示す上から見た斜視図。 連結具を下方から見た斜視図。 連結具の正面図。 図3のA−A線断面図。 図3のB−B線断面図 支柱に連結具を装着した状態を示す側面図。 支柱に連結具を装着した状態を示す平面図。 防護シートの掛止解除動作を示す側面図。
符号の説明
12…連結具本体、15…貫通溝、12e,12f…凹部、16a,17a…ヒンジ部、18…操作レバー、19…操作ノブ、21…固定部材としての支柱、23…防護部材としての防護シート。

Claims (4)

  1. 固定部材に取り付けられる連結具本体に対して、防護部材に設けられた孔部に貫通される軸部を設け、この軸部に対し該軸部の側方に突出して前記防護部材を掛止する掛止位置と、軸部の軸心側に近付いた退入位置との間で位置切り換え可能に掛止部材を設け、前記連結具本体又は軸部の基端部に対し前記掛止部材を位置切り換え操作するための操作手段を設け、前記掛止部材と操作手段との間の軸部に前記防護部材が装着されるようにした連結具において、
    前記軸部は複数箇所に設けられ、各軸部にはそれぞれ掛止部材が設けられ、各掛止部材は一つの操作手段によって位置切り換え可能に構成されていることを特徴とする連結具。
  2. 請求項1において、前記連結具本体、軸部及び掛止部材は合成樹脂により一体形成され、掛止部材は弾性変形可能なヒンジ部によって軸部に一体に連結され、前記操作手段は前記掛止部材に一体に連結されていることを特徴とする連結具。
  3. 請求項1又は2において、前記連結具本体には左右一対の軸部が一体に形成され、該本体及び両軸部には平面視U字状の貫通溝が形成され、該貫通溝の両軸部の先端側の内端面にはそれぞれヒンジ部を介して掛止部材が連結され、両掛止部材は平面視U字状の操作レバーによって一体に連結され、該操作レバーには操作ノブが設けられていることを特徴とする連結具。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記連結具本体の下面には軽量化のための凹部が形成されていることを特徴とする連結具。
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