JP3449262B2 - クリーンルーム用空調フィルタユニットの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、半導体工場、精密
機械工場および薬品製造工場などのクリーンルームの天
井に設置される空調フィルタユニットの取付構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来の半導体工場、精密機械工場
および薬品製造工場などのクリーンルームの天井に設置
される空調フィルタユニットの一例を示すものである。
（ａ）はこの空調フィルタユニット１０１を天井に設置
した状態を表す正面図、（ｂ）は（ａ）のＡ部の拡大断
面図である。

【０００３】クリーンルームの天井材１０２には開口部
が設けられ、この開口部に空調フィルタユニット１０１
の本体である給気ボックス１０３が取付られる。給気ボ
ックス１０３の上部には給気取り入れ口１０４が形成さ
れ、図示されない給気ダクトが連結されている。給気ボ
ックス１０３は、上端が上階床スラブに固定された吊り
ボルトＢにより吊り下げ支持されている。

【０００４】また、給気ボックス１０３の内部にはフィ
ルタユニット１０１が配置され、このフィルタユニット
１０１は、給気ボックス１０３の内側に固定された支持
金具１０５から垂下状態で固定されたボルト１０６に嵌
合される円筒部１０７ａと、該円筒部１０７ａの下端か
ら水平に延びる載置片１０７ｂとを有する載置部材１０
７の載置片１０７ｂに載置され、ボルト１０６にナット
１０８を締結することにより給気ボックス１０３に吊下
げ支持されている。また、フィルタユニット１０１と支
持金具１０５との間にはシール材Ｓ０が設けられてい
て、フィルタユニット１０１の上流側未清浄化空気が下
流側に侵入することを防止している。

【０００５】給気ボックス１０３の下方にはフィルタユ
ニット１０１で清浄化された空気をクリーンルーム室内
に均一に拡散させるための拡散ユニット１０９が取付ら
れている。拡散ユニット１０９はその縁部がボルト１１
０により給気ボックス１０３の下部フランジ１１１に固
定され、この下部フランジ１１１と拡散ユニット１０９
の縁部は合わせて天井材１０２の下面に当接されてい
る。

【０００６】ダクトから給気取り入れ口１０４に導かれ
た空気は給気ボックス１０３内部のフィルタユニット１
０１に供給され、フィルタユニット１０１で濾過された
清浄空気は、給気ボックス１０３の下部に形成される吹
き出し用空間１１２に供給され、それから拡散ユニット
１０９に多数穿孔された小孔を通り室内１１３へ供給さ
れる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のクリーンルーム用空調フィルタユニットの取
付構造にあっては、種々の解決されるべき課題があっ
た。以下、図２を参照しつつ、従来のクリーンルーム用
空調フィルタユニットの取付構造について、その解決さ
れるべき課題例を（１）〜（４）に分けて説明する。

【０００８】（１）フィルタユニット１０１は一定期間
ごとに交換する必要があるが、その交換作業は、フィル
タユニット下方の床に組んだ足場に乗り、上を向いたま
まで、ボルト１１０をはずして拡散ユニット１０９を取
り外した後、フィルタユニット１０１を下から押さえな
がらナット１０８をボルト１０６から外してフィルタユ
ニット１０１を取り外し、次いで、新しいフィルタユニ
ット１０１を下から押さえながらナット１０８を締め付
けてフィルタユニット１０１を固定した後、ボルト１１
０を締結することにより拡散ユニット１０９を取付、最
後に、足場を撤去するといった煩雑な作業を行う必要が
あり、ほとんどの作業が高所作業となることもあって、
作業が容易ではない。

【０００９】（２）フィルタユニット１０１の交換作業
がクリーンルーム側から行われるため、交換作業が終了
した後、クリーンルーム全体を元の清浄度に回復させる
までに時間がかかる。このため、交換作業自体に時間が
かかるほか、その後の清浄度回復までに長時間を要し、
その間は、クリーンルームの利用が制限される。

【００１０】（３）クリーンルームにおいては、清浄化
されていない未清浄化空気が室内１１３へ侵入するのを
確実に防ぐ必要があるが、給気ボックス１０３の下部フ
ランジ１１１と天井材１０２との間隙を通じて、また、
シール材Ｓ０の不具合によって給気ボックス１０３内の
加圧された未清浄化空気がクリーンルーム室内１１３へ
侵入する惧れがある。

【００１１】（４）給気ボックス１０３の側壁とフィル
タユニット１０１との間に空間が形成されているため、
フィルタユニット１０１から吹き出される清浄空気流に
乱流が生じる惧れがある。この場合、フィルタユニット
交換時などにボルト１０６などに付着した塵埃を剥落さ
せ室内１１３を汚染することもある。

【００１２】本発明は、係る従来の問題点を解決するた
めになされたもので、その目的は、取付けやフィルタユ
ニットの交換が簡便で、未清浄化空気の室内への侵入を
防止し、清浄空気を室内に均一に供給できるクリーンル
ーム用空調フィルタユニットの取付構造を提供すること
にある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１にかかる発明は、天井材と、この天井材に
形成された開口部の内側に固定されフィルタユニットが
載置される下側支持枠と、この下側支持枠との間で前記
フィルタユニットを挟持し該フィルタユニットに空気を
供給する給気ボックスに固定される上側支持金具と、前
記下側支持枠と上側支持金具との間を締結することで両
支持金具により前記フィルタユニットを挟持固定する締
結具と、前記天井材と下側支持枠との間、前記下側支持
枠とフィルタユニットとの間、および前記フィルタユニ
ットと上側支持金具との間に介在されるシール材とを備
えてなることを特徴とするものである。

【００１４】また、請求項２にかかる発明は、前記天井
材が、人がその上に乗って作業ができる程度の強度を有
していることを特徴とするものである。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を用いて説明する。図１は本発明のクリーンルーム用
空調フィルタユニット取付構造の一実施例を示すもので
ある。（ａ）はこの空調フィルタユニットを天井に配置
した状態を表す左半分を切り欠いた正面図であり、
（ｂ）は（ａ）のＢ部を拡大した断面図である。

【００１６】この空調フィルタユニットの取付構造は、
主として、天井材１に固定される下側支持枠３と、その
上に載置されるフィルタユニット５と、フィルタユニッ
ト５の上に配置される給気ボックス７と、給気ボックス
７に取り付けられて下側支持枠３との間でフィルタユニ
ット５を挟持する上側支持金具８とから構成されてい
る。

【００１７】天井材１は、この実施例では厚いパネル材
で構成され、人がその上に乗って作業ができる程度の強
度、より好ましくは複数の人が乗って作業ができる程度
の強度を有している。天井材１の所定位置には、フィル
タユニット取付用の開口部１ａが形成されている。

【００１８】天井材１に形成された開口部１ａの内側縁
部には、平面視で枠状の下側支持枠３が取付られてい
る。この下側支持枠３は、天井材１の下面に当接される
下側水平片３ａ、下側水平片３ａの中間部から上方に向
けて突出し内ねじが形成された内ねじ突出部３ｂ、およ
びフィルタユニット５を載置するためのユニット支持片
３ｃとが一体形成されてなる。

【００１９】内ねじ突出部３ｂの内ねじにはねじロッド
９の下端がねじ結合され、ねじロッド９には支持材１１
（下側支持枠３と同様に枠状であってもよいし、図１中
で左右方向に長い短冊状であってもよいし、図１の紙面
と直交する方向に長いプレート状であってもよい）の一
端に形成された貫通孔（図示しない）を挿通し、かつ支
持材１１の他端を天井材１の上面に当接した状態で第１
のナット１３をねじロッド９に締め付けて下側支持枠３
の下側水平片３ａと支持材１１との間で天井材１を挟持
することにより、下側支持枠３が天井材１に形成された
開口部１ａの内側に固定される。下側水平片３の天井材
１と当接する部位にはシール材Ｓ１が設けられている。

【００２０】下側支持枠３の下部には拡散ユニット１５
の縁部が嵌め込まれ、拡散ユニット１５は下側支持枠３
の開口部全面を覆っている。拡散ユニット１５には、フ
ィルタユニット５で清浄化された空気が均一にクリーン
ルーム室内に供給されるように定められた小孔（図示し
ない）が多数穿孔されている。

【００２１】フィルタユニット５は、金属製の外側フレ
ーム５ａの中にＨＥＰＡフィルタなどのフィルタエレメ
ント５ｂが装填されてなっている。外側フレーム５ａの
下側にはシール材Ｓ２が固着されている。下側支持枠３
のユニット支持片３ｃの上に、シール材Ｓ２を介してフ
ィルタユニット５の外側フレーム５ａが載せられること
により、フィルタユニット５が下側支持枠３上に載置さ
れる。

【００２２】フィルタユニット５の上には給気ボックス
７が配置される。給気ボックス７の側壁の下部にはフラ
ンジ部７ａが外方に向けて張り出され、さらにフランジ
部７ａの先端から垂下片７ｂが下方に向けて延びてい
る。フランジ部７ａの下側にはシール材Ｓ３が固着され
ており、フィルタユニット５の外側フレーム５ａの上
に、シール材Ｓ３を介して給気ボックス７のフランジ部
７ａが載せられる。この実施例では、フィルタユニット
５の外側フレーム５ａの外側面に垂下片７ｂの内側面が
当接しているが、これは本発明において必須ではない。

【００２３】なお、給気ボックス７の上部には給気取入
口７Ａが形成され、給気取入口７Ａには図示されない給
気ダクトが連結される。

【００２４】給気ボックス７のフランジ部７ａ上には上
側支持金具８が固定されている。上側支持金具８は、断
面コ字状となっていて、その上側水平片８ａおよび下側
水平片８ｂに形成された貫通孔（図示しない）を前記ね
じロッド９に挿通した状態で第２のナット１７を締め付
けることにより、給気ボックス７のフランジ部７ａと下
側支持枠３のユニット支持片３ｃとの間でフィルタユニ
ット５の外側フレーム５ａを挟持している。

【００２５】本実施例におけるフィルタユニット５の交
換作業は、次のようにして行われる。まず、第２のナッ
ト１７を外して上側支持金具８および給気ボックス７を
上方に取り外し、交換すべきフィルタユニット５を上方
に取り外す。次いで、新しいフィルタユニットをその外
側フレームが下側支持枠３のユニット支持片３ｃ上にシ
ール材Ｓ２を介して載るように載置し、上側支持金具８
の貫通孔がねじロッド９に挿通するように給気ボックス
７を新しいフィルタユニットの上にシール材Ｓ３を介し
て載せてねじロッド９に第２のナット１７を締め付ける
ことにより新しいフィルタユニットが下側支持枠３と給
気ボックス７との間で挟持される。

【００２６】以上の作業は、作業員が天井材１の上に乗
って天井裏で行なわれる。このため、足下の確かなとこ
ろで下を向いての作業となるので、作業が容易かつ迅速
である。また、フィルタユニット５の交換の際に、フィ
ルタエレメント５ｂに付いた塵埃や天井裏からの塵埃で
クリーンルーム室内を汚染することもない。

【００２７】給気ダクト７から給気取入口７Ａを通じて
給気ボックス７内に供給された未清浄化空気は、フィル
タユニット５に装填されたフィルタエレメント５ｂによ
り濾過される。濾過された清浄化空気は、拡散ユニット
１５の表面に多数穿孔された小孔を通じてクリーンルー
ム室内へと拡散される。

【００２８】このとき、天井材１と下側支持枠３との
間、下側支持枠３とフィルタユニット５の外側フレーム
５ａとの間、およびフィルタユニット５の外側フレーム
５ａと給気ボックス７のフランジ部７ａとの間にシール
材Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３が介在されているので、クリーンル
ーム室内側に天井裏の未清浄化空気が侵入するおそれは
ない。特に、シール材Ｓ２，Ｓ３の不具合が発生し、空
気の漏れが生じても、未清浄化空気はクリーンルーム室
内側ではなく天井裏に流れ、クリーンルーム側にとって
安全である。

【００２９】また、給気ボックス７からフィルタユニッ
ト５を経て拡散ユニット１５に至る空気流路がほぼ同じ
面積となっているため、フィルタユニット５から供給さ
れる清浄化空気は乱流を生ずることなく、層流として均
一に拡散ユニット１５の表面を通ってクリーンルーム室
内に供給される。

【００３０】上記実施例では１つのねじロッド９に第１
および第２のナット１３，１７を締結することで、天井
材１への下側支持枠３の取付けと、フィルタユニット５
の取付けとを行ったが、本発明の実施形態はこれに限定
されるものではなく、下側支持枠３の取付けとフィルタ
ユニット５の取付けにあたって別のねじロッドを用いて
もよい。

【００３１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の空調フィル
タユニットの取付構造によれば、次のような効果が得ら
れる。すなわち、天井裏から天井材の上に乗ってフィル
タユニットの交換を行うことができるので、その作業は
容易かつ迅速である。また、その際にクリーンルーム室
内を汚染することがない。未清浄化空気がクリーンルー
ム室内に侵入しない。清浄化空気に乱流が発生せず、清
浄化された空気が室内に均一に流出する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本発明にかかる空調フィルタユニッ
トの取付構造の一部を切り欠いた側面図である。（ｂ）
は、（ａ）のＢ部拡大図である。

【図２】（ａ）は、従来技術にかかる空調フィルタユニ
ットの取り付け構造の側面図である。（ｂ）は、（ａ）
のＡ部拡大図である。

【符号の説明】

１ 天井材（１ａ開口部） ３ 下側支持枠（３ａ下側水平片、３ｂ内ねじ突出部、
３ｃユニット支持片） ５ フィルタユニット（５ａ外側フレーム、５ｂフィル
タエレメント） ７ 給気ボックス（７ａフランジ部、７ｂ垂下片、７Ａ
給気取入口） ８ 上側支持金具（８ａ上側水平片、８ｂ下側水平片） ９ ねじロッド １１ 支持材 １３ 第１のナット １５ 拡散ユニット １７ 第２のナット Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３ シール材

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平９−206527（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−103730（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−94915（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−128812（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−74516（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24F 7/04 - 7/06

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天井材と、この天井材に形成された開口
   部の内側に固定されフィルタユニットが載置される下側
   支持枠と、この下側支持枠との間で前記フィルタユニッ
   トを挟持し該フィルタユニットに空気を供給する給気ボ
   ックスに固定される上側支持金具と、前記下側支持枠と
   上側支持金具との間を締結することで両支持金具により
   前記フィルタユニットを挟持固定する締結具と、前記天
   井材と下側支持枠との間、前記下側支持枠とフィルタユ
   ニットとの間、および前記フィルタユニットと上側支持
   金具との間に介在されるシール材とを備えてなることを
   特徴とするクリーンルーム用空調フィルタユニットの取
   付構造。
2. 【請求項２】 前記天井材が、人がその上に乗って作業
   ができる程度の強度を有していることを特徴とする請求
   項１に記載のクリーンルーム用空調フィルタユニットの
   取付構造。