JP3448747B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

多層セラミック基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体LSIやチップ部
品などを搭載し、かつそれらを容易に相互配線できる低
温焼結の多層セラミック基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】低温焼結の多層セラミック基板の製造方
法には、導電ペーストの組成物に酸化銅ペーストを用
い、脱バインダ工程,還元工程,焼成工程の3段階とす
る方法がある(たとえば特開昭61−26293号公報
参照)。
【0003】この方法によれば、銅電極を使用すること
ができ、銀・パラジウム電極を使用したときに比べて低
いインピーダンスで優れた半田濡れ性を有する点で有効
である。また、従来の銅ペーストを使用するときのよう
に、酸素分圧を制御した窒素雰囲気でペースト中の有機
成分を燃焼させる必要がないなどの利点がある。
【0004】以下に従来の酸化銅ペーストを用いた3層
のセラミック基板の製造方法について、説明する。
【0005】まず、図3(a)に示すように、低温焼結
材料のガラス・セラミックの無機組成物と、有機バイン
ダと、可塑剤と、溶剤とを各所定量で混合したスラリー
をドクターブレード法により有機フィルム1上に形成し
てガラス・セラミックグリーンシート14とする。
【0006】次に、図3(b)に示すように、3個のガ
ラス・セラミックグリーンシート14の各々に必要に応
じて所定のビアホール4を形設し、ビアホール4の加工
済みのガラス・セラミックグリーンシート15とする。
【0007】次に、図3(c)に示すように、酸化銅ペ
ースト6cをビアホール4に埋設し、印刷法によって電
極パターン6aを形成し、電極パターン形成済みのガラ
ス・セラミックグリーンシート16,16aとする。
【0008】両面に電極パターンを形成させる電極パタ
ーン形成済みのガラス・セラミックグリーンシート16
aは水平方向に180度回転、かつ上下を反転して図3
(d)に示すように、電極パターン6bを形成して両面
電極パターン形成済みのガラス・セラミックグリーンシ
ート17とする。
【0009】すなわち、ガラス・セラミックグリーンシ
ート17の両面に電極パターン6a,6bを形成するに
は、ガラス・セラミックグリーンシート16aの片面に
導体ペーストで電極パターン6aを形成して加熱により
導体ペーストを乾燥し、さらに、片面に電極パターン6
aを形成したガラス・セラミックグリーンシート16a
を水平方向に180度回転、かつ上下を反転し、電極パ
ターン6bを形成して加熱乾燥し、ガラス・セラミック
グリーンシート17の両面に電極パターン6a,6bを
形成する。
【0010】次に、図3(e)に示すように、複数枚数
の電極パターン形成済みガラス・セラミックグリーンシ
ート16と両面電極パターン形成済みのガラス・セラミ
ックグリーンシート17を積層し、熱圧着してガラス・
セラミックの積層体18を形成し、脱バインダ,酸化銅
還元,焼成の各処理をして図3(f)に示すように、多
層セラミック基板19を作製する。図中の11は内層電
極パターン、12は表層電極パターンを示す。
【0011】上記のようにして、多層セラミック基板1
9の脱バインダ−焼成時に雰囲気制御が容易に、かつ、
銅電極の使用が可能になり、表層電極パターン12と内
層電極パターン11を同時焼成により形成できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の方法では、ガラス・セラミックグリーンシート1
6aを反転する工程を加えねばならず、また、1枚のガ
ラス・セラミックグリーンシート17に乾燥工程を2度
行なうため、加熱乾燥によりガラス・セラミックグリー
ンシート17を劣化させるという問題点、また、基板焼
成時に両面に電極パターン6aを形成したガラス・セラ
ミックの積層体18を敷板に載せて焼成するため、敷板
とガラス・セラミックの積層体18に挟まれた電極パタ
ーン6aが敷板に転写して不良が発生するという問題点
を有していた。
【0013】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、焼成時に用いる敷板に導体ペーストで形成するパタ
ーンが転写することなく、かつ多層セラミック基板を構
成するグリーンシートを反転工程なく同方向に積み重ね
ていく簡単な手段により各層にパターンが同時焼成で形
成できる多層セラミック基板の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の多層セラミック基板の製造方法は、ガラス・
セラミック製の基板材料からなり、上面に導体ペースト
でパターンを形成した第1のグリーンシートを積層し、
この積層された第1のグリーンシートの最上部のパター
ン形成面側に無機組成物からなり両面にパターンのない
第2のグリーンシートを配設するとともに、上面にパタ
ーンが形成された第2のグリーンシートを前記積層され
た第1のグリーンシートの最下部のパターンが形成され
ていない面に前記第2のグリーンシートのパターン形成
面が当接するように配設して複合積層体を形成し、この
複合積層体を前記第1のグリーンシートが焼結し、かつ
前記第2のグリーンシートが焼結しない温度で焼成した
後、前記複合積層体上の前記無機組成物を除去すること
としたものである。
【0015】
【作用】この方法において、第1のグリーンシートに転
写されるパターンと敷板間に第2のグリーンシートが介
在するので、敷板にパターンが接触しないこととなり、
かつグリーンシートの反転工程なく同方向にグリーンシ
ートを積み重ねるのみで目的の多層セラミック基板を製
造できる。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の一実施例の3層のセラミッ
ク基板の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0017】本発明の一実施例を示す図1および図2で
は、従来例と同一部品に同一符号を付して説明は省略す
る。
【0018】図1(a)に示すようにホウ珪酸鉛ガラス
粉末にセラミック材料としてのアルミナ粉末を両者が重
量比で50対50とした無機組成物(日本電極硝子社製
MLS−19)と、ポリビニルブチラールの有機バイン
ダと、ヂ−n−ブチルフタレートの可塑剤と、トルエン
30重量比とイソプロピルアルコール70重量比の混合
液の溶剤とを混合したスラリーをドクターブレード法で
有機フィルム1上にシート成型して第1のグリーンシー
ト2とした。
【0019】また、図1(b)に示すように、上述の第
1のグリーンシート2の焼結温度よりも焼結温度の高い
アルミナ(住友アルミ社製AL−41,平均粒径1.9μ
m)の粉末を無機組成物とし、他は第1のグリーンシー
ト2と同じ材料を用いたスラリーを第1のグリーンシー
ト2と同様にドクターブレード法で有機フィルム1上に
シート成型して第2のグリーンシート3とした。なお第
1のグリーンシート2と第2のグリーンシート3の厚み
は共に200μmである。
【0020】第1のグリーンシート2については、前述
従来例で説明したと同様に処理して、図1(c),
(d)に示すように、ビアホール4の加工済みの第1の
グリーンシート5に酸化銅ペースト6cを埋設し、つい
で、印刷法で電極パターン6aを形成した第1のグリー
ンシート7を作製した。また、図1(e)に示すよう
に、第2のグリーンシート3に、酸化銅ペーストを用い
て電極パターン6bを印刷法で形成し、電極パターン形
成済みの第2のグリーンシート8を作製した。次に、図
1(f)に示すように、複数枚数の電極パターン形成済
みの第1のグリーンシート7を積み重ねて内層とし、電
極パターン形成済みの第1のグリーンシート7の電極パ
ターンの形成面に電極パターンのない第2のグリーンシ
ート3を、電極パターン形成済みの第1のグリーンシー
ト7の電極のない面に電極パターンの形成済みの第2の
グリーンシート8の電極パターン6bが接するように積
層して複合積層体10を形成した。積層熱圧着条件は、
温度が80℃、圧力が200kg/cm2 である。
【0021】次に、図1(g)に示すように、複合積層
体10を脱バインダ,酸化銅還元,焼成処理した。脱バ
インダは空気中で500℃で行い酸化銅還元は水素雰囲
気中で200℃で行い、焼成は窒素雰囲気中で第1のグ
リーンシートが焼結し、第2のグリーンシートが焼結し
ない中間の温度の900℃で行なった。
【0022】次に、焼成後の複合積層体10aに存する
第2のグリーンシート3,8を酢酸ブチル溶剤中で超音
波洗浄を行なって取り除き、図1(h)に示すように、
多層セラミック基板13を作製した。この多層セラミッ
ク基板13には、第2のグリーンシート8に形成した電
極パターン6bが転写されており、内層電極パターン1
1と表層電極パターン12を同時焼成して形成される。
【0023】以上のように本実施例によれば、基板材料
となる複数枚数の電極パターン形成済みの第1のグリー
ンシート7を積み重ねて、内層とし、第1のグリーンシ
ート2の焼結温度では焼結しない無機組成物で作製し電
極パターン6bを形成した第2のグリーンシート8を第
1のグリーンシートの電極パターンのない面に接するよ
うに積層し、第1のグリーンシートが焼結し、第2のグ
リーンシートが焼結しない温度で焼成した後、未焼結の
第2のグリーンシート8中の無機組成物を取り除き、基
板面に電極パターン6bを転写する方法により、従来の
ようにグリーンシートに、反転工程を加えて、両面に電
極パターンを形成し、そのときに、1枚のグリーンシー
トに2度の乾燥をしてグリーンシートを劣化させること
もない。また、電極パターンと敷板間に基板の焼成時に
焼結しない第2のグリーンシート3,8が介在するの
で、敷板に電極パターンが転写することもなく、表層電
極パターン12と内層電極パターン11の同時焼成によ
る形成が可能となる。
【0024】なお、上述のようにして形成した図2
(a)に示す複数枚数の電極パターン形成済みの第1の
グリーンシート7を、図2(b)に示すように、積み重
ねて積層して第1のグリーンシートの積層体9を形成し
た後、さらに図2(c)に示すように、第1のグリーン
シートの積層体9の電極パターン形成面に電極パターン
のない第2のグリーンシート3を、かつ第1のグリーン
シートの積層体9の電極パターンのない面に、電極形成
済みの第2のグリーンシート8の電極パターン形成面が
接するように、すなわち、最終的に、複合積層体10の
表層に第2のグリーンシート3,8を配するように積層
してもよい。
【0025】また、本実施例では導体ペーストとして酸
化銅を用いたが、酸化銅以外に銅,銀,金,銀とパラジ
ウムとの合金,銀と白金との合金のいずれかを主成分と
する無機物を使用することができる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
は、ガラス・セラミック製の基板材料からなり、上面に
導体ペーストでパターンを形成した第1のグリーンシー
トを積層し、この積層された第1のグリーンシートの最
上部のパターン形成面側に無機組成物からなり両面にパ
ターンのない第2のグリーンシートを配設するととも
に、上面にパターンが形成された第2のグリーンシート
を前記積層された第1のグリーンシートの最下部のパタ
ーンが形成されていない面に前記第2のグリーンシート
のパターン形成面が当接するように配設して複合積層体
を形成し、この複合積層体を前記第1のグリーンシート
が焼結し、かつ前記第2のグリーンシートが焼結しない
温度で焼成した後、前記複合積層体上の前記無機組成物
を除去する方法により、焼成時に用いる敷板にパターン
が転写することなく、かつグリーンシートの反転工程な
く同方向にグリーンシートを積み重ねるのみで優れた多
層セラミック基板の製造方法を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の多層セラミック基板の製造
方法を工程順に示した要部断面図
【図2】同多層セラミック基板の製造方法の他の特定工
程を示した要部断面図
【図3】従来の多層セラミック基板の製造方法を工程順
に示した要部断面図
【符号の説明】
2 第1のグリーンシート 3 第2のグリーンシート 6a,6b 電極パターン 7 電極パターン形成済みの第1のグリーンシート 8 電極パターン形成済みの第2のグリーンシート 10 複合積層体 11 内層電極パターン 12 表層電極パターン 13 多層セラミック基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−53636(JP,A) 特開 平1−262696(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/46 B32B 18/00 C04B 35/64 H01L 23/12 H05K 3/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス・セラミック製の基板材料からな
    り、上面に導体ペーストでパターンを形成した第1のグ
    リーンシートを積層し、この積層された第1のグリーン
    シートの最上部のパターン形成面側に無機組成物からな
    り両面にパターンのない第2のグリーンシートを配設す
    るとともに、上面にパターンが形成された第2のグリー
    ンシートを前記積層された第1のグリーンシートの最下
    部のパターンが形成されていない面に前記第2のグリー
    ンシートのパターン形成面が当接するように配設して複
    合積層体を形成し、この複合積層体を前記第1のグリー
    ンシートが焼結し、かつ前記第2のグリーンシートが焼
    結しない温度で焼成した後、前記複合積層体上の前記無
    機組成物を除去することを特徴とする多層セラミック基
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 導体ペーストとして、酸化銅、銅、銀、
    金とパラジウムとの合金、銀と白金との合金のいずれか
    を主成分とする無機物を使用する請求項1記載の多層セ
    ラミック基板の製造方法。
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