JP3448596B2 - 電子レンジ調理用の容器の蓋とトレイ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジを利用
して実施する調理に際して用いる容器の蓋およびトレイ
に関する。

【０００２】

【従来の技術】低価格の電子レンジの普及と相俟って、
電子レンジで調理できるように調整された多種多様なフ
ァーストフードが提供されている。そして、これらの即
席食品は、スープを伴うか否かによって、蒸し物と汁物
とに大別することができ、いずれの種類の食品において
も、電子レンジを利用しての調理に際しては、食品を入
れた容器の開口部を塞ぐ蓋が用いられる。また、調理物
が汁物である場合には、蓋に加えて、吹き零れが生じた
場合に備えてのトレイが用いられる。

【０００３】この際に用いられる容器の蓋およびトレイ
には、電子レンジ内の高周波加熱条件下において食品を
扱う器具として、材質的および構造的に多くの特性を要
求される。すなわち、材質的には、高周波加熱に耐える
ことができる材料によって製造され、かつ、高周波加熱
条件下での変形や有害な揮発物質、臭気、溶出物質を伴
わないこと。交番熱負荷に耐える耐久性を有すること。
調理完了時点での温度上昇が安全温度内に止まること。
汚れ落ちがよく洗浄し易いこと等である。

【０００４】また、構造に関して、容器の蓋は、調理物
から発生する蒸気を程よく逃がし、吹き零れを適正にコ
ントロールできること。容器に対しての着脱が容易であ
ること。また、構造に関して、容器のトレイは、過って
トレイを斜めにしてもトレイ上の容器が滑らないこと。
万一、吹き零れが生じた場合においても電子レンジ内を
汚さないこと等の諸特性が求められる。そして、これら
の諸要求全体を同時に満足することは、従来、提案され
ている様々な電子レンジ調理用の容器の蓋およびトレイ
を参照するところ、現実には、なかなか困難なことであ
ると言える。

【０００５】例えば、電子レンジ調理用の容器の蓋に関
し、容器本体と嵌合する周縁部を有し、かつ常時は閉鎖
されたスリットによる蒸気噴出部を、薄肉天板の任意の
部分に設けてなるものが提案されている（実開昭６３−
８３５０６号公報）。この考案は、上記、調理物から発
生する蒸気を程よく逃がし、吹き零れを適正にコントロ
ールできることという要求に対応する考案であり、同公
報に示された図面には、蓋の中央部に十文字形のスリッ
トを設けたものが図示されている。そして、この蓋は、
使用上、調理物から蒸気が発生し、容器の内部圧力が高
まると、蒸気がスリットを中心とする蓋の一部分を周囲
に押し開くようにして弾性変形させ、この変形によって
蒸気噴出口が形成されるようにしたものである。

【０００６】しかし、この蓋には、特定の外径寸法の容
器にしか利用できず、また、長期間の繰り返し使用に耐
えられず、動作が不安定である等の問題点がある。つま
り、この蓋を一般家庭において電子レンジ調理に使用さ
れる磁器、陶器、耐熱ガラス等の特定の外径寸法の容器
以外の容器に使用する場合、蓋の周縁部と容器の周縁部
とは、緊密に嵌合せず、したがって、調理物から蒸気が
発生しても容器の内部圧力が高まらず、蒸気噴出部は作
動し得ないのである。また、蒸気噴出部は、弾性変形に
よって作動するので、他の部分をいかに丈夫にしても蒸
気噴出部の周辺は、極く薄肉に形成する必要があり、こ
のため、蒸気噴出部は、取扱いによっては、簡単に破損
する状況にある。さらに、樹脂材料は、一般に、交番熱
負荷が加わる経時使用によって劣化し、初期の弾性を失
うので、反復使用によって蒸気噴出部の動作は、徐々に
円滑性を欠くこととなるのである。

【０００７】一方、電子レンジ調理用の容器のトレイに
関しては、皿体の中央部に液受け用の凹部を形成し、ま
たは、液受け用の凹部とともに、凹部に連続する放射方
向の溝条を形成したものが提案されている（実開昭５３
−１３３２４８号公報）。同公報に示された図面によれ
ば、皿体は、全体として、周縁部から中央の凹部に向か
って下がる向きの緩い傾斜をもたせるように形成されて
いる。

【０００８】この考案は、上記した、万一、吹き零れが
生じた場合においても電子レンジ内を汚さないこととい
う要求に応えようとするものであるが、この要求を満た
す反面において、皿体の上に載せ置いた電子レンジ調理
用の容器が、少しの外力によって傾いて危険であるとい
う問題がある。つまり、この皿体は、吹き零れを中央部
の凹部に流し集めることによって、吹き零れが電子レン
ジ内に流れ出ることを阻止しようとするものであり、こ
のためには、皿体全体を浅いすり鉢状に傾斜したものと
せざるを得ないのである。そして、この傾斜は、皿体の
上に載せ置いた容器が、皿体の中央位置から僅かに位置
ずれするだけでも、容器の一方側を高くするとともに他
方側を低くするように作用するので、容器が安定を欠く
こととなるのである。また、溝条を設けたものについて
は、洗浄に困難が伴うという問題もある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子レンジ
調理用の容器の蓋、トレイに一般的に要求される諸特性
を満たすことを課題とする。殊に、従来の提案に係る電
子レンジ調理用の容器の蓋およびトレイないし皿体が有
する問題点に鑑み、蓋については、繰り返し利用できる
耐久性を備えるとともに、一般家庭において、電子レン
ジ調理に用いられる磁器、陶器、耐熱ガラス等の容器に
適合できる汎用性を維持させながら、適度に蒸気を逃が
し、吹き零れをコントロールすること。また、トレイに
ついては、吹き零れが生じた場合に、電子レンジ内を汚
損させない機能を維持しながら、トレイ上の容器を安定
に支持することができること等を課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段として本発明は、次のような構成を採用する。

【００１１】

【００１２】

【００１３】 電子レンジ用容器の蓋は、その容器に被
せたときに、この容器の開口部全体を覆う外径寸法を有
する円形の蓋面と、蓋面の周縁部に下垂させて形成する
短円筒形のフランジ部とからなり、そして、蓋面は、中
心部に略球面形に形成した凹陥部と、凹陥部内に凹陥部
を横断して突設する把持部と、周縁部と凹陥部との間に
放射状に分散配置する少なくとも３箇所の補強リブと、
これらの補強リブと補強リブとの間に蓋面の周方向に沿
って形成する少なくとも３箇所の長孔状の蒸気抜き孔
と、蒸気抜き孔の周囲に上向きに形成するダクトリブと
を備え、さらに、蓋面とフランジ面とは、ＰＰ樹脂から
一体成形するとともに、補強リブは、周縁部からフラン
ジ部の厚み相当内側に形成し、蒸気抜き孔は、電子レン
ジ調理用容器との間で蓋の凹陥部を中心として蒸気通路
を形成する構成としている。

【００１４】この構成によれば、放射状に分散配置され
た少なくとも３箇所の補強リブは、蓋面の径方向の曲げ
剛性を高めるとともに、この補強リブ間に周方向に沿っ
て配設する長孔状の蒸気抜き孔の周囲に形成されるダク
トリブは、蓋面の周方向の曲げ剛性を高める。したがっ
て、蓋面は、反り等が生じることなく高い平面性を保つ
ことができ、電子レンジ調理用の容器に蓋を被せたとき
に、蓋面は、容器の上端縁に間隙を生じることなく密着
することができる。したがって、容器と蓋との間には、
蓋面の中心部に設けられた凹陥部を中心とし、凹陥部を
取り囲むように配置された蒸気抜き孔を介して外部に抜
ける蒸気通路が形成される。そこで、調理物から発生し
た蒸気は、凹陥部によって周方向に分散され、蒸気抜き
孔のダクトリブを経由して蓋面の上方に均等に導出され
ることとなる。この結果、蒸気の排出が円滑に行われ、
しかも、蓋の周方向に均等に分散されるので、容器の内
部圧力の上昇が一定限度に抑えられるので、蓋が容器か
ら脱落することがなく、吹き零れ現象も良好に抑制され
る。

【００１５】 電子レンジ調理用の容器のトレイは、底
面と、面の周囲に上側に向かって開拡する傾斜を付与し
て形成する側面とからなり、そして、この側面は、上端
縁に側方に向けて突出する環状の指掛けフランジを備
え、底面は、裏面側の３箇所に電子レンジの回転受け台
に当接する安定突起を形成するとともに、表面側に、電
子レンジ調理用容器の糸底の内側に位置する少なくとも
１条の環状位置決めリブを備え、かつ、底面と側面と
は、ＰＰ樹脂から無孔に一体成形したことを特徴として
いる。

【００１６】このような構成を有するトレイは、裏面側
の３箇所に形成する安定突起を介して電子レンジ内に安
定に据え置くことができ、トレイ上の容器は、環状位置
決めリブによってトレイ上に正しく位置決めすることが
できる。また、調理物の状態によって吹き零れが生じた
場合には、底面の周囲に上側に向かって開拡する傾斜で
立ち上がっている側面が、吹き零れがトレイ外に流出す
るのを有効に阻止するとともに、調理完了に際しては、
ＰＰ樹脂からなるトレイは、陶器、磁器、耐熱ガラス等
からなる容器と比較して、比熱と熱伝導率が格段に低い
ので、容器が手で触ると危険な温度に上昇している場合
にも、トレイ自体の温度上昇は少なく、したがって、ト
レイを持つて安全に容器を電子レンジから取り出し、そ
のまま、食卓上に運ぶことができる。この際、トレイの
側面の指掛けフランジは、トレイが指から滑るのを防止
しするとともに、環状位置決めリブは、トレイが傾いた
場合にも、トレイ上の容器の滑走を阻止し、容器の転落
を防止することができる。

【００１７】

【００１８】

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、図面を引用しながら本発明
の実施の形態例を説明する。

【００２０】電子レンジ調理用の容器の蓋１０Ａは、Ｐ
Ｐ樹脂（ポリプロピレン樹脂、以下同じ）材料から無孔
に一体成形した蓋面１１と、フランジ部１２とからなる
（図１（Ａ），（Ｂ），（Ｃ））。なお、同図（Ａ）
は、蓋１１の平面図、（Ｂ）は、（Ａ）のＸ−Ｏ−Ｘ線
矢視断面図、（Ｃ）は、（Ａ）のＹ−Ｏ−Ｙ線矢視断面
図である。

【００２１】蓋面１１は、一般家庭において電子レンジ
調理に多用される磁器、陶器、耐熱ガラス等の容器の開
口部の外径寸法を考慮し、これらの容器の外径寸法より
一回り大きい外径寸法を有する円形に形成されている。
したがって、蓋面１１は、通常の容器の開口部全体を覆
うことができるサイズである。また、フランジ部１２
は、短円筒形に形成されて蓋面１１の裏面側に下垂し、
蓋面１１とフランジ部１２との接合位置、すなわち、蓋
面１１の外周部には、全周にわたって外周部下がり段１
１ｄが形成されている。

【００２２】蓋面１１の中心部には、略球面形をなすよ
うに窪んだ凹陥部１１ａが形成され、この凹陥部１１ａ
内には、凹陥部１１ａを横断する態様で把持部１１ｂが
突設されている。また、凹陥部１１ｂと外周部下がり段
１１ｄの中間位置には、蓋面１１が中心部に向かって段
をなして下がる環状の中間部下がり段１１ｃが形成され
ている。

【００２３】蓋面１１の裏面側のフランジ部１２寄りに
は、フランジ部１２と同心円をなす２条の環状リブ１１
ｅ，１１ｅが下垂するようにして形成されている。そし
て、外側に位置する環状リブ１１ｅとフランジ部１２と
の間には、蓋面１１の中心から１２０度の角度間隔に振
り分けて、３個の位置決めリブ１１ｆ，１１ｆ…がラジ
アル方向に向けて分散配置されている。ここで、各位置
決めリブは１１ｆは、蓋面１１に平行である上下当接端
面ｆ１と、フランジ部１２に平行である左右当接端面ｆ
２とを有する鈎型に形成され、左右当接端面ｆ２に対し
て上下当接端面ｆ１の方がより長く形成されている。

【００２４】そして、この形態の蓋１０Ａは、上下当接
端面ｆ１の範囲内に収まる各種の電子レンジ調理用の容
器３０Ａに適合することが可能であり、容器３０Ａとの
間に凹陥部１１ａを中心とする蒸気通路を形成すること
ができる（図２）。なお、同図に例示する容器３０Ａ
は、底面３１と側面３２と糸底３３とからなる陶器製の
ドンブリである。すなわち、このように、上下当接端面
ｆ１の範囲内に収まる外径寸法の容器３０Ａに対して、
蓋１０Ａを被せたとき、蓋１０Ａは、３箇所の位置決め
リブ１１ｆ，１１ｆ…の上下当接端面ｆ１，ｆ１…を介
して容器３０Ａ側面３２上端縁に当接することとなる。
この結果、容器３０Ａの上端縁と蓋面１１の裏面側との
間には、各位置決めリブ１１ｆの上下幅相当の間隙が強
制的に形成されるとともに、蓋１０Ａが左右に位置ずれ
した場合においても、フランジ部１２と容器３０Ａの側
面３２とが左右当接端面ｆ２，ｆ２…を介して当接する
のであり、、両者間には、位置決めリブ１１ｆの左右幅
相当の間隙が強制的に形成されることとなる。

【００２５】 つまり、蒸気通路とは、容器３０Aの内
部から容器３０Ａの外部に至る間隙の連続を示し、調理
の進行によって、調理物Ｆから立ち上がった蒸気は、蓋
面１１の中心部の凹陥部１１ａによって歌面１１の周方
向に分散された後、２本の環状リブ１１ｅ．１１ｅの下
方を経由し、蓋面１１と容器３０Ａとの間の間隙とフラ
ンジ部１２の内壁面と容器３０Ａとの間の間隙を通過し
て容器３０Ａの外部に排出される。この際、位置決めリ
ブ１１ｆ、１１ｆ…が蓋１０Ａの周囲に均等に振り分け
て配設されていることから、蓋１０Ａに加わる蒸気圧は
均等であり、集中的な吹き零れや、蓋１０Ａの片浮き、
それに起因する脱落が防止される。

【００２６】なお、蓋１０Ａに設けるた中間部下がり段
１１ｃおよび外周部下がり段１１ｄは、調理には無関係
であり、もっぱら、蓋面１１に構造強度を付与する目的
と、多数の蓋１０Ａを重ね置くときの位置決め目的を有
する。つまり、上側の蓋１０Ａのフランジ部１２の下端
縁が、下側の蓋１０Ａの外周部下がり段１１ｄに嵌合す
る仕組みである。

【００２７】電子レンジ調理用の容器の蓋における蒸気
通路は、蓋面１１に複数の蒸気抜き孔１１ｈ，１１ｈ…
を設ける手段によって形成することもできる（図３
（Ａ），（Ｂ），（Ｃ））。この形態の蓋１０Ｂは、上
記実施の形態の蓋１０Ａと同様に、ＰＰ樹脂から一体成
形された蓋面１１とフランジ部１２とを備え、蓋面１１
は中間部下がり段１１ｃを有する。なお、同図（Ａ）
は、蓋１０Ｂの平面図、（Ｂ）は、（Ａ）のＸ−Ｏ−Ｘ
線矢視断面図、（Ｃ）は、（Ａ）のＹ−Ｏ−Ｙ線矢視断
面図である。

【００２８】 蓋面１１の表面側には、蓋面１１の周縁
部と中間部下がり段１１ｃとの間に４本の補強リブ１１
ｇ、１１ｇ…が、中心から９０度の角度間隔を保って放
射状に分散配置され、隣り合う補強リブ１１ｇと補強リ
ブ１１ｇとの間には、それぞれ蓋面１１の周方向に沿っ
て長孔状の蒸気抜き孔１１ｈが設けられている。この補
強リブ１１ｇは、蓋面１１の周縁部からフランジ部１２
の厚み相当内側に下げて形成されている。また、各蒸気
抜き孔１１ｈの周囲には、上向きにダクトリブ１１ｋを
突出状に一体成形されている（図３（Ｃ）参照）。

【００２９】そして、４箇所の蒸気抜き孔１１ｈ，１１
ｈ…は、容器３０Ｂに被せたときにおいて、容器３０Ｂ
との間に、凹陥部１１ａを中心とする蒸気通路を形成す
る。なお、容器３０Ｂは、底面３１と側面３２と糸底３
３とからなり、容器３０Ａとは形状が若干異なる同等の
外径寸法を有するラーメン椀であり、容器３０Ｂの上端
縁は、蒸気抜き孔１１ｈ，１１ｈ…の外側位置において
蓋面１１の裏面に当接する位置関係となっている。

【００３０】そして、調理の進行によって、調理物Ｆか
ら発生した蒸気は、蓋１０Ｂの中心に位置する凹陥部１
１ａによって蓋面１１の周方向に分散され、蒸気抜き孔
１１ｈ，１１ｈ…を介して外部に排出される。このとき
各ダクトリブ１１ｋは、上昇しようとする蒸気を円滑に
通過させる作用の他、蒸気抜き孔１１ｈの周縁部からク
ラックが進行するのを効果的に防止する。

【００３１】本発明に係る電子レンジ調理用の容器のト
レイ２０Ａは、極く僅かな中窪みに形成した底面２１
と、底面２１の周囲に一体成形する側面２２とからなる
（図５（Ａ），（Ｂ））。同図（Ａ）は、トレイ２０Ａ
の平面図、（Ｂ）は、（Ａ）の中央縦断面図である。

【００３２】 トレイ２０Ａの底面２１の表面側には、
同心配置された２条の環状位置決めリブ２１ａ，２１ａ
が突設され、裏面側には、１２０度間隔に分散配置され
た３個の安定突起２１ｂ、２１ｂ…が形成されている。
また、側面２２には、上側に向かって開拡する傾斜が付
与され、側面２２の上端縁には、側方に向けて突出する
環状の指掛けフランジ２２ｆが形成されている。なお、
図２及び図５では２条の環状位置決めリブ２１ａ、２１
ａを設けた例が図示されている。

【００３３】 トレイ２０Ａは、電子レンジ調理用の容
器の蓋１０Ａ、１０Ｂと組み合わせて使用でき、トレイ
２０Ａの直径は、蓋１０Ａ、１０Ｂより一回り大きい
（図２）。トレイ２０Ａは、安定突起２１ｂ、２１ｂ…
を介して電子レンジの回転受け台上に安定に着座させる
ことができる。そして、トレイ２０Ａ上に例えば、容器
３０Ａを載せ置くと、容器３０Ａの糸底３３は、糸底３
３と環状位置決めリブ２１ａとが係合しているので、電
子レンジから容器３０Ａを取り出す際に、トレイ２０Ａ
が傾斜しても容器３０Ａは、環状位置決めリブ２１ａに
係止されてトレイ２０Ａの中央位置からずれないので、
容器３０Ａが転落することはない。また、トレイ２０Ａ
は、ＰＰ樹脂から成形され、調理する程度の時間では短
時間でもあり温度上昇はほとんどなく、火傷の危険もな
く素手であっても取り出せ、安全に容器３０Ａを取り扱
うことができる。

【００３４】この容器３０を、例えば、特許第３１１９
６５４号公報に記載されているＰＥＴ樹脂を主原料とし
た複合樹脂から製造された容器とし、その容器中に即席
ラーメンまたはうどんのような麺類を入れ、ポットの湯
を注入し、蓋１０Ａまたは１０Ｂを被せてトレイ２０上
に定置して、電子レンジ（ここでは、出力６００Ｗ）内
で沸騰状態になったとき、該電子レンジのスイッチを切
った。その蓋１０は、容器３０内の水分が沸騰したとき
であるので、発生した蒸気によってかなりの熱さになっ
ており、容器３０を測定すると８０℃〜８３℃程度であ
るにもかかわらず、トレイ２０は素手でも持てる温度で
ある。すなわち、トレイ２０を金属、陶磁器あるいは耐
熱ガラスで製造しているときは、かなりの高温で、素手
では到底持ち出すことはできない。

【００３５】

【００３６】

【００３７】 以上、蓋３０Ａ、３０Ｂおよびトレイ２
０Ａは、ＰＰ樹脂が使用され、そのＰＰ樹脂は、耐熱Ｐ
Ｐ樹脂として市販されているものをよく乾燥して用いれ
ば足りる。射出成形に際してのＰＰ樹脂の含水率が高す
ぎる場合、電子レンジでの繰り返し使用によって、ＰＰ
樹脂が加水分解によって劣化する虞があるためである。
また、ＰＰ樹脂の着色の有無は、任意である。

【００３８】また、トレイ２０Ａ，２０Ｂは、いずれも
円形としているが、これは、四角形、長方形あるいは六
角形のように多角形としても良い。さらに、蓋１０Ａ，
１０Ｂ及びトレイ２０Ａ，２０ＢをＰＰ樹脂としたの
は、環境ホルモンを含まず、焼却してもダイオキシンの
発生もなく、加えて、電子レンジで加熱してもその加熱
によって異臭を放出することもなく、成形性にも優れて
いるからである。

【００３９】

【発明の効果】 以上説明したように、本発明にかかる
電子レンジ調理用容器の蓋は、蓋面の外周側に複数の蒸
気抜き孔を分散配置し、容器内から容器外へ抜ける蒸気
通路を蓋の外周側に分散的に形成することによって、調
理物から発生する蒸気により高まる圧力を低くするか
ら、容器内の蒸気圧を適圧に維持し、蒸気圧による蓋の
突き上げ、それに起因する脱落、吹き零れを効果的に抑
制するとともに、蒸気通路は、容器の外径寸法に関わら
ず形成されるので、一般家庭において、電子レンジ調理
用として用いられる合成樹脂製漆器、あるいは磁器、陶
器、耐熱性ガラス等の容器にも広く適合できるという効
果を奏する。

【００４０】 また、本発明にかかる電子レンジ用容器
の合成樹脂製トレイは、該容器に水分があって、それを
電子レンジ加熱によって吹き零れが発生した場合、これ
をトレイ外に流出しないように収納するとともに、調理
済みの高温容器はトレイを介して安全に電子レンジから
取り出せることができ、この際、トレイが傾いても容器
の糸底が環状位置決めリブと係止して、容器はトレイ上
を滑らないので、安定に容器を運搬することができる。
そしてまた、トレイに載せたまま食卓に運ぶことがで
き、盆の代わりもできるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】電子レンジ調理用容器の蓋の実施形態を示す平
面図と断面図。

【図２】電子レンジ調理用容器の蓋とトレイの動作説明
図。

【図３】本発明にかかる電子レンジ調理用容器の蓋を示
す平面図と断面図 。

【図４】電子レンジ調理用容器の蓋とトレイの動作説明
図。

【図５】本発明にかかる電子レンジ調理用容器のトレイ
を示す平面図と断面図。

【符号の説明】

１０Ｂ 蓋 １１ 蓋面 １１ａ 凹陥部 １１ｂ 把持部 １１ｈ 蒸気抜き孔 １１ｋ ダクトリブ １２ フランジ部 ２０Ａ トレイ ２１ 底面 ２１ａ 環状位置決めリブ ２１ｂ 安定突起 ２２ 側面 ２２ｆ 指掛けフランジ ３０Ａ、３０Ｂ 容器 ３３ 糸底

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ Ｆ２４Ｃ 7/02 ５５１ Ｆ２４Ｃ 7/02 ５５１Ｊ ５５１Ｔ (56)参考文献 特開2001−287776（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−216649（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−204386（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−123881（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−83506（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−133248（ＪＰ，Ｕ) 実開 平５−95845（ＪＰ，Ｕ) 特公 平７−110258（ＪＰ，Ｂ２) 実公 平６−376（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平５−35822（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭53−53956（ＪＰ，Ｙ１) 特許3053804（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47J 27/00 B65D 43/00 B65D 43/02 B65D 77/20 B65D 81/34 F24C 7/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子レンジ調理用の容器に被せたとき
   に、該容器の開口部全体を覆う外形寸法を有する円形の
   蓋面と、該蓋面の周縁部に該蓋面の裏面側に下垂させて
   形成する短円筒形のフランジ部とからなり、 前記蓋面は、中心部に略球面形に形成した凹陥部と、該
   凹陥部内に該凹陥部を横断して突設する把持部と、周縁
   部と前記凹陥部との間に放射状に分散配置する少なくと
   も３箇所の補強リブと、該補強リブと補強リブとの間に
   前記蓋面の周方向に沿って形成する少なくとも３箇所の
   長孔状の蒸気抜き孔と、該蒸気抜き孔の周囲上向きに形
   成するダクトリブと、を備え、 前記蓋面と前記フランジ部とは、ＰＰ樹脂から一体成形
   するとともに、前記補強リブは、前記周縁部から前記フ
   ランジ部の厚み相当内側に形成し、前記蒸気抜き孔は、
   電子レンジ調理用の容器 との間に前記凹陥部を中心とす
   る蒸気通路を形成すること、を特徴とする、 電子レンジ調理用の容器の蓋。
2. 【請求項２】 底面と該底面の周囲に上側に向かって開
   拡する傾斜を付与して形成する側面からなり、 前記側面は、上端縁に側方に向けて突出する環状の指掛
   けフランジを備え、 前記底面は、裏面側の３箇所に電子レンジの回転受け台
   に当接する安定突起を形成するとともに、 表面側に、電子レンジ調理用容器の糸底内に位置するよ
   う少なくとも１条の環状位置決めリブを備え、 前記底面と前記側面とはＰＰ樹脂から一体に成形し、請
   求項１に記載した電子レンジ調理用の容器の蓋と組み合
   わせること、を特徴とする、 電子レンジ調理用の容器のトレイ。