JP3448425B2 - マグネトロン - Google Patents

マグネトロン

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JP3448425B2
JP3448425B2 JP10708796A JP10708796A JP3448425B2 JP 3448425 B2 JP3448425 B2 JP 3448425B2 JP 10708796 A JP10708796 A JP 10708796A JP 10708796 A JP10708796 A JP 10708796A JP 3448425 B2 JP3448425 B2 JP 3448425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子レンジなどのマ
イクロ波加熱機器などに用いられるマグネトロンに関す
る。さらに詳しくは、マグネトロンの動作時に発生する
高調波などの不要電磁波が出力側から輻射されるのを抑
制し、低雑音化が図られたマグネトロンに関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波装置の1つとして電子レンジ
が普及し、世界的に多用されているが、電子レンジから
不要電磁波が輻射されると、ラジオ、テレビや通信機器
などに雑音が入り、正常な動作が妨げられれる。そのた
め、電子レンジからの雑音を防止する必要があるが、電
子レンジからの雑音は、主としてマイクロ波発振源とし
て使用されているマグネトロンから発生する。そしてマ
グネトロンから発生する雑音の主なものは、基本波(マ
グネトロンの本来の発振周波数のマイクロ波で、たとえ
ば2450MHzの電磁波)の整数倍の周波数の電磁波
である高調波であり、その周波数は数十GHzに至るま
での広帯域となっている。
【0003】電子レンジなどに用いられるマグネトロン
において、出力側からの高調波の輻射を抑制する従来の
手段としては、たとえば図6にマグネトロンの出力部の
断面説明図が示されているように、出力アンテナリード
の近傍にチョーク構造を形成する手段が提案されてい
る。
【0004】図6において、17は出力アンテナリード
で、その一端は図示されない陽極部のベインに接続さ
れ、その他端が真空壁の一部を構成する排気管16の封
止部で固定され、陽極部で発生したマイクロ波電力を伝
導し、その他端部である先端から放射する。出力アンテ
ナリード17は真空壁の一部を構成する絶縁筒15およ
び陽極部と電気的に接続された出力側金属筒13により
覆われている。この出力側金属筒13の内側に、チョー
ク用金属円筒14a、14bが設けられており、その長
さを輻射が抑制される電磁波の波長λの約1/4にする
ことにより、その波長に対してインピーダンスが無限大
となり、その波長の電磁波を遮断するチョーク構造にな
っている。すなわち、図6に示される例では、金属円筒
14aの円筒の長さが第5高調波の波長の約1/4の長
さに合わせられ、金属円筒14bの円筒の長さが第3高
調波の波長の約1/4の長さに合わせられることによ
り、第3および第5高調波の輻射を抑制している。
【0005】出力アンテナリード側からの高調波の輻射
を抑制する他の方法として、たとえば特開平1−276
540号公報に記載されているように、出力側金属筒に
第n高調波(nは2以上の整数)成分の約1/4波長に
相当する電気長のスロットを有する金属板を設けたり、
実開昭59−130360号公報に示されるように、出
力アンテナリードに直接チョーク構造を設けたり、出力
アンテナリードに特定高調波の波長の約1/4の長さの
折り返し部を設けることにより、同様に各高調波の電磁
波の輻射を抑制する方法も用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のマグネトロンの
不要電磁波の輻射(雑音)の抑制は、衛星放送の帯域
(11.7〜12.7GHz)と重複する第5高調波(1
2.25GHz)の輻射を抑制することに主眼がおか
れ、前述のように特定の周波数の高調波をチョーク構造
により抑制する方法が採られている。しかし、最近の通
信技術の発達により、通信に使用される周波数帯域は広
がり、現在では18GHzまでの広範囲の帯域での雑音
を抑制する必要が生じている。この帯域では、発振周波
数が2.45GHzのマグネトロンの第7高調波(17.
15GHz)までの雑音が含まれることになり、第2〜
7高調波および高調波以外のこの範囲の周波数の雑音の
すべてを抑制する必要がある。
【0007】このような広帯域の雑音の抑制を従来のチ
ョーク構造で対応しようとすると、それぞれの高調波の
周波数に対応したチョーク構造を形成しなければならな
い。しかし、限られた空間に多くのチョーク構造を多段
に形成することは、その構成が複雑になると共に、個々
のチョークの減衰特性が制約されて十分な抑制効果が得
られない。さらにチョーク間の干渉により、減衰周波数
特性が設計値からずれやすくなる。
【0008】また、チョーク構造では、図7に周波数に
対する減衰特性が示されるように、設定された周波数
(通常はマグネトロンの高調波の周波数)では大きな減
衰量が得られるが、それ以外の周波数では減衰量が小さ
く、設定された周波数の中間の周波数の不要な電磁波の
輻射に対しては全く効果が得られない。図7は、第2〜
5高調波用の4つのチョーク構造が設けられたマグネト
ロンの周波数に対する減衰特性を示す図で、第2高調波
(4.9GHz)、第3高調波(7.35GHz)、第4
高調波(9.8GHz)、および第5高調波(12.25
GHz)の各周波数のところで大きな減衰が生じている
が、その中間の周波数では減衰量が小さいことを示して
いる。
【0009】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、従来より考慮されている高調波より
さらに高次の高調波に対しても、かつ、特定の高調波の
抑制だけでなく、広帯域の周波数の全体に亘って、簡単
な構造で不要な電磁波の輻射(雑音)を抑制することが
できるマグネトロンを提供することを目的とする。
【0010】本発明のさらに他の目的は、前述の不要電
磁波の輻射を抑制するためのローパスフィルタのインダ
クタ成分やキャパシタ成分を大きくする手段を提供し、
ローパスフィルタの各成分を最適化してフィルタ特性を
向上させると共に、ローパスフィルタを有するマグネト
ロンの設計の自由度を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるマグネトロ
ンは、出力アンテナリードを覆う出力側金属筒の内側に
金属板が設けられ、該金属板と出力アンテナリードとの
間に形成されるキャパシタ成分と出力アンテナリードの
インダクタ成分とによりローパスフィルタが形成されて
いる。その結果、該ローパスフィルタにより基本波を減
衰させることなく、高調波を減衰させて不要な電磁波の
輻射を抑制することができる。
【0012】前記金属板が複数枚、取分け2枚であれ
ば、π型ローパスフィルタが形成される。すなわち、前
記金属板は陽極部と接続された出力側金属筒に電気的に
接続されており、隣接する金属板間にキャパシタ成分は
形成されない。そのため、出力アンテナリードのインダ
クタ成分およびその両側の隣接する金属板の先端と出力
アンテナリードとの間隙にそれぞれ形成されるキャパシ
タ成分によりπ型ローパスフィルタが形成される。その
結果、楕円関数型フィルタで生じるような通過帯域であ
る低い周波数での減衰特性のリップルが現れず、高特性
のローパスフィルタが得られる。
【0013】出力アンテナリードに、その断面積を部分
的に小さくしたアンテナリード狭窄部が設けられること
により、他の電気的特性に影響を与えることなくインダ
クタンスを大きくすることができる。そのため、出力ア
ンテナリードを長くすることなく、インダクタンスを調
整して所望のフィルタ特性を得ることができる。
【0014】前記フィルタがマグネトロンの基本波の周
波数(たとえば2.45GHz)に対して共振するよう
に、前記出力アンテナリードのインダクタンスおよび金
属板により形成されるキャパシタンスが調整されて前記
金属板が設けられることにより、基本波の減衰は殆ど0
になり、それより高い第2高調波以上の不要電磁波に対
する減衰量が大きくなるため好ましい。
【0015】ここに基本波とは、マグネトロン本来の発
振周波数のマイクロ波を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明のマグネトロンについて説明をする。
【0017】図1は本発明のマグネトロンの本体部の断
面説明図である。図1において、1は無酸素銅などから
なり真空壁(真空容器の壁面、以下同じ)の一部となる
陽極円筒で、その内周に複数個のベイン2が放射状に設
けられ、各ベイン2は1個おきに大径および小径のスト
ラップリング3、4により接続されて、πモード発振の
安定化が図られている。陽極円筒1の両端にはベイン2
の先端と陽極円筒1の中心部に設けられる陰極5との間
の作用空間に磁界を集中させるためのポールピース1
0、11がそれぞれ設けられており、これらにより陽極
部が形成されている。
【0018】陰極5は、たとえばトリウムタングステン
線などがコイル状に巻かれたフィラメントからなり、各
ベイン2の先端で囲まれた空間で、陽極円筒1の中心部
に設けられている。そしてその両端にはエンドハット
6、7が固着され、エンドハット6、7はそれぞれ陰極
リード8、9に接続されている。陰極リード8、9はセ
ラミックスなどの絶縁体からなる陰極ステム19を経て
外部リード20に接続され、これらにより陰極部が形成
されている。陰極ステム19は入力側金属筒12を介し
て陽極円筒1に固定されている。なお、入力側金属筒1
2および陰極ステム19が入力側の真空壁を構成してい
る。
【0019】ベイン2の1つには出力アンテナリード1
7の一端が電気的に接続され、その他端はポールピース
11の貫通孔18、出力側金属筒13およびセラミック
円筒などからなる絶縁筒15の中心部を貫通して排気管
16の封止部で固定されている。この封止部には図示し
ないキャップが被せられる。出力側金属筒13は陽極円
筒1と直接電気的に接続されており、陽極部で発振した
マイクロ波電力は、出力側金属筒13の中心軸上を延び
る出力アンテナリード17を同軸線路として進みその先
端から放射される。この出力側金属筒13、絶縁筒1
5、および排気管16が出力側の真空壁を構成してい
る。17aは出力アンテナリード17が他の部分より細
く形成され、その断面積が小さくされたアンテナリード
狭窄部である。21、22は出力側金属筒13の内側に
ロウ付けなどにより電気的に接続された金属板で、たと
えば無酸素銅からなるドーナツ状の円盤である。
【0020】ドーナツ状の円盤21、22は、その内周
端部が出力アンテナリード17と一定間隙を有するよう
に対向し、その間隙に形成されるキャパシタ成分と出力
アンテナリード17のインダクタ成分とによりローパス
フィルタが形成されている。このローパスフィルタによ
り第2高調波以上の高周波数の不要電磁波の輻射を抑制
していることに本発明の特徴がある。また、本発明で
は、ローパスフィルタを構成するキャパシタ成分を形成
するためのドーナツ状の円盤21、22が出力側金属筒
13の内側に接続されている。そのため、従来のチョー
ク構造の取り付けと同様の製造工程で製作することがで
き、簡単に製造することができると共に、出力側金属筒
13は陽極部と電気的に接続されているため、2枚のド
ーナツ状の円盤21、22間にはキャパシタ成分が生じ
ない。その結果、以下に説明するようにπ型ローパスフ
ィルタを形成することができる。
【0021】本発明のマグネトロンにおけるローパスフ
ィルタは、図2に出力側金属筒13と出力アンテナリー
ド17の部分の一部の構造と共に、その等価回路が示さ
れるように、アンテナリード狭窄部17aのインダクタ
ンス(2枚のドーナツ状の円盤21、22で挟まれる部
分の出力アンテナリード17のインダクタンス)L1
よびドーナツ状の円盤21、22の内周端と出力アンテ
ナリード17との間の間隙にそれぞれ形成されるキャパ
シタンスC1 を主として形成されている。そこで、マグ
ネトロンの基本波の発振周波数で共振するようなインダ
クタンスL1 とキャパシタンスC1 が得られるように、
アンテナリード狭窄部17aの太さ、およびドーナツ状
の円盤21、22の間隔や直径が設定されることによ
り、基本波に対しては減衰しないで、第2高調波の4.
9GHz以上の高い周波数に対しては大きな減衰特性が
得られるπ型ローパスフィルタとして機能する。
【0022】出力アンテナリード17は、マイクロ波に
対してインダクタ成分を有しており、その断面積を小さ
くすることによりインダクタンスが大きくなることが知
られている。したがって、図1〜2に示されるように、
アンテナリード狭窄部17aを設けることにより大きな
インダクタンスが得られ、2枚のドーナツ状の円盤2
1、22の間隔を狭くしても同じ特性を得ることができ
る。なお、出力アンテナリード17はその断面形状が円
形でも矩形でも構わない。この出力アンテナリード17
の断面積は、出力インピーダンスとのマッチングをとる
場合に制約を受けるが、部分的に細くする分には影響が
小さい。そのため、機械的強度が耐えられる範囲でアン
テナリード狭窄部17aを細くすることができ、所望の
インピーダンスに設定され得る。機械的強度の関係から
は、アンテナリード狭窄部17aの断面が円形の場合、
直径が1mm以上であることが好ましい。この場合、そ
の断面積の小さい部分の長さを長くすることにより、イ
ンダクタンスL1 を大きくすることができる。
【0023】出力アンテナリード17により所望のイン
ダクタンスを得るためにその断面積を小さくする場合、
マグネトロンの他の電気的特性に影響しない限り、出力
アンテナリード17の全体を細くしたり、2枚の円盤2
1、22の間の全体ではなく、その間の一部のみの出力
アンテナリード17を細くすることもできる。これらの
場合、π型ローパスフィルタを構成するインダクタンス
1 は、2枚のドーナツ状の円盤21、22の間の出力
アンテナリード17のインダクタ成分がインダクタンス
1 として作用する。
【0024】また、ドーナツ状の円盤21、22と出力
アンテナリード17との間のキャパシタンスC1 は両者
の間隔を狭くする程大きくなる。しかし、あまり近づき
過ぎると両者間で放電が発生し、電気特性上好ましくな
い。そのため、両者の間隔は1mm以上設けられること
が好ましく、その範囲で基本波に対して共振するアンテ
ナリード狭窄部17aのインダクタンスL1 およびキャ
パシタンスC1 が得られるようにドーナツ状の円盤2
1、22の内径と2枚の円盤21、22の間隔が設定さ
れる。
【0025】一方、ドーナツ状の円盤21、22と出力
アンテナリード17との間のキャパシタンスC1 は、図
3に示されるように、ドーナツ状の円盤21、22の内
周端と出力アンテナリード17との間隙にセラミックス
リーブ25のような誘電体材料を介在させることにより
大きくなる。たとえばセラミックスの比誘電率は約10
であり、セラミックスリーブ25を挿入することによ
り、同じ間隔でも真空の場合よりキャパシタンスは約1
0倍になる。しかも、両者間にセラミックスリーブ25
のような誘電体材料が介在されることにより、両者間の
放電が抑制され、狭い間隔でも放電が生じることがなく
電気特性が劣化しない。しかし、セラミックスリーブ2
5の強度の点からその厚さは1mm程度以上あることが
好ましい。
【0026】このように、誘電体材料をドーナツ状の円
盤21、22の内周端と出力アンテナリード17との間
隙に介在させることにより、キャパシタンスC1 が大き
くなり、同じ共振周波数を得るのにインダクタンスを小
さくすることができる。そのため、出力アンテナリード
17の長さを短くすることができたり、アンテナリード
狭窄部17aを太くすることができる。その結果、出力
アンテナリード17を短くすることにより、マグネトロ
ンを小形化することができ低コスト化することができ
る。さらに、出力アンテナリード17を太くすることに
より、組立作業を簡易化することができ、低コスト化す
ることができると共に、機械的強度が充分に保たれ信頼
性を高くすることができる。
【0027】前述のセラミックスリーブ25の取付方法
としては、たとえばセラミックスリーブ25の形状を出
力アンテナリード17の形状に合わせて形成し、出力ア
ンテナリード17に挿入し、出力アンテナリード17の
カシメまたはロウ付けなどの接着により固定することに
より行われる。さらに、出力アンテナリード17の該当
部分の外周面に誘電体材料を塗布または堆積などにより
付着してもよい。なお、セラミックスリーブ25は図3
に示されるように、一体の形状でなくても、誘電体材料
はドーナツ状の円盤21、22の内周端と出力アンテナ
リード17との間隙部分にあればよいため、円盤21の
部分と円盤22の部分とにそれぞれ別のセラミック部品
を介在させたり、その部分のみに誘電体材料を付着させ
てもよい。
【0028】つぎに、図1に示される構造の2枚のドー
ナツ状の円盤21、22からなるπ型ローパスフィルタ
を構成するマグネトロンで、具体的な数値によるシミュ
レーションの結果を図4に示す。たとえば発振周波数が
2.45GHz、出力が800W用のマグネトロンで、
円盤21、22の厚さが1mm、内径が7mm(出力側
金属筒13の内径は16mm)で、2枚の円盤21、2
2の間隔を9mmとし、アンテナリード狭窄部17aの
直径を1.4mm(他の出力アンテナリード17の太さ
は直径が4mm)とした。この出力部の構造のマグネト
ロンを電磁界シミュレータで解析すると、図4に示す減
衰特性が得られた。
【0029】図4からも明らかなように、この構造にす
ることにより、マグネトロンの基本波(2.45GH
z)の近傍の周波数に対しては減衰特性にリップルも生
じなく、基本波付近の周波数に対しては減衰が殆ど0で
ある。一方、第2高調波(4.9GHz)以上の高い周
波数に対しては徐々に減衰量も大きくなり、高い周波数
帯域では要求される減衰量10dB以上の減衰が得られ
ている。その結果、第7高調波を含む4.5〜18GH
zまでの広範囲の周波数に対して、不要電磁波の輻射を
抑制することができる。しかも、高調波などの特定周波
数の雑音だけでなく、高調波の間の周波数も含む全体の
周波数に亘って雑音を抑制することができる。
【0030】図5は、本発明のマグネトロンの他の実施
形態のフィルタ部の等価回路図を図2と同様に部品との
関係で示した図である。図1に示される例では、ローパ
スフィルタを構成するキャパシタを2枚の金属板(ドー
ナツ状の円盤)により形成し、π型ローパスフィルタを
構成したが、図5に示される例は1枚のドーナツ状の円
盤21で最も簡単なLC回路のローパスフィルタを構成
したものである。すなわち、図5に示される出力アンテ
ナリード17のアンテナリード狭窄部17aのインダク
タンスL1 と、ドーナツ状の円盤21の内周端と出力ア
ンテナリード17との間に形成されるキャパシタンスC
1 とがマグネトロンの基本波の発振周波数fに対して次
式(1)の関係を満たすように、アンテナリード狭窄部
17aの太さとドーナツ状の円盤21の内径が設定され
れば、基本波に対しては共振し、それより高い周波数に
対しては減衰量が増大するローパスフィルタを構成す
る。
【0031】 f=1/{2π(L1 1 1/2 } (1) この構造では、共振周波数より高い周波数に対する減衰
特性の変化がなだらかで、π型ローパスフィルタの減衰
特性よりは劣るが、高次の高調波などに対しては充分な
減衰量が得られ、簡単な構造で確実に高い周波数の不要
輻射を抑制することができる。なお、図3に示されるよ
うに、ドーナツ状の円盤21の内周端と出力アンテナリ
ード17との間隙に誘電体材料が介在されれば、その間
のキャパシタンスC1 が大きくなることは前述と同様で
ある。また、金属板(ドーナツ状の円盤)を3枚以上の
複数枚でローパスフィルタを構成することもできる。
【0032】
【発明の効果】本発明のマグネトロンによれば、出力ア
ンテナリードとその近傍にローパスフィルタが設けられ
ているため、マグネトロンの基本波より高い周波数の不
要電磁波の輻射を広範囲に亘って安定して抑制すること
できる。また、マグネトロンの基本波の発振周波数に対
して共振させることにより、基本波に対しては減衰を殆
ど0にすることができる。また、基本波の周波数の近傍
においても減衰が生じる周波数(減衰特性でのリップ
ル)がないため、製造段階のバラツキに対しても安定し
た減衰特性が得られる。しかも本発明によれば、特定の
周波数における電磁波の輻射を抑制するものではないた
め、広い範囲の周波数帯域の全体において、確実に不要
電磁波の輻射(雑音)を抑制することができる。
【0033】さらに、本発明によれば、特定の周波数ご
とに抑制するための多段の構造を設ける必要がなく、し
かもチョーク構造のように部品の寸法公差による周波数
特性の変動も小さい。また従来のチョーク構造と同様に
出力側金属筒の内周にドーナツ状の金属板を取り付ける
だけでよいため、従来の製造工程と同様に製造すること
ができる。そのため、製造が簡単で、安価なマグネトロ
ンが得られる。
【0034】その結果、マグネトロン、ひいては電子レ
ンジなどのマイクロ波加熱機器などのコストダウンを達
成することができると共に、家庭で電子レンジなどのマ
イクロ波加熱機器を使用しても、衛星テレビや通信機器
などに雑音が入ることに伴なう通信システムを妨害する
ことがない。また、たとえばマイクロ波加熱用のマグネ
トロンの第7高調波(17.15GHz)のような高周
波に対しても確実にその雑音の発生を抑制することがで
き、最近の通信システムの発展による周波数の高い新規
の通信機器に対しても有効にその妨害を排除することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネトロンの一実施形態の本体部の
断面説明図である。
【図2】図1のマグネトロンのフィルタ部の等価回路図
である。
【図3】本発明のマグネトロンの他の実施形態の出力ア
ンテナ部の断面説明図である。
【図4】図1のマグネトロンの出力の周波数に対する減
衰特性を示す図である。
【図5】本発明のマグネトロンの他の実施形態のフィル
タ部の等価回路図である。
【図6】従来のマグネトロンの本体部の断面説明図であ
る。
【図7】従来の多段のチョーク構造が設けられたマグネ
トロンの周波数に対する減衰特性を示す図である。
【符号の説明】
1 陽極円筒 2 ベイン 5 陰極 13 出力側金属筒 17 出力アンテナリード 17a アンテナリード狭窄部 21、22 ドーナツ状の円盤 25 セラミックスリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 23/54 H01J 23/40 H01P 1/202

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極部と、 該陽極部の中心に設けられる陰極部と、 前記陽極部で発振するマイクロ波を導出する出力アンテ
    ナリードと 前記出力アンテナリードの一部の周囲に、前記陽極部と
    電気的に接続され真空壁の一部とする出力側金属筒とを
    有し、 前記出力側金属筒の内側に電気的に接続された2つの金
    属板と前記出力アンテナリードとの間にπ型ローパスフ
    ィルタを構成するキャパシタ成分が形成されることを特
    徴としたマグネトロン。
  2. 【請求項2】 前記金属板の先端と前記出力側金属筒と
    の間に誘電体材料が介在されてなる請求項1記載のマグ
    ネトロン。
  3. 【請求項3】 前記金属板の近傍の前記出力アンテナリ
    ードに該出力アンテナリードの断面積を小さくしたアン
    テナリード狭窄部が設けられてなる請求項1または2
    載のマグネトロン。
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