JP3448424B2 - マグネトロン - Google Patents

マグネトロン

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JP3448424B2
JP3448424B2 JP10708696A JP10708696A JP3448424B2 JP 3448424 B2 JP3448424 B2 JP 3448424B2 JP 10708696 A JP10708696 A JP 10708696A JP 10708696 A JP10708696 A JP 10708696A JP 3448424 B2 JP3448424 B2 JP 3448424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子レンジなどのマ
イクロ波加熱機器などに用いられるマグネトロンに関す
る。さらに詳しくは、マグネトロンの動作時に発生する
高調波などの不要電磁波が出力側から輻射されるのを抑
制し、低雑音化が図られたマグネトロンに関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波装置の1つとして電子レンジ
が普及し、世界的に多用されているが、電子レンジから
不要電磁波が輻射されると、ラジオ、テレビや通信機器
などに雑音が入り、正常な動作が妨げられれる。そのた
め、電子レンジからの雑音を防止する必要があるが、電
子レンジからの雑音は、主としてマイクロ波発振源とし
て使用されているマグネトロンから発生する。そしてマ
グネトロンから発生する雑音の主なものは、基本波(マ
グネトロンの本来の発振周波数のマイクロ波で、たとえ
ば2.45GHzの電磁波)の整数倍の周波数の電磁波
である高調波であり、その周波数は数十GHzに至るま
での広帯域となっている。
【0003】電子レンジなどに用いられるマグネトロン
において、出力側からの高調波の輻射を抑制する従来の
手段としては、たとえば図8に示されるように、出力ア
ンテナリードの近傍にチョーク構造を形成する手段が提
案されている。
【0004】図8はマグネトロンの本体部の断面説明図
で、1は無酸素銅などからなり真空壁(真空容器の壁
面、以下同じ)の一部となる陽極円筒で、その内周に複
数個のベイン2が放射状に設けられ、各ベイン2は1個
おきに大径および小径のストラップリング3、4により
接続されて、πモード発振の安定化が図られている。陽
極円筒1の両端にはベイン2の先端と陽極円筒1の中心
部に設けられる陰極5との間の作用空間に磁界を集中さ
せるためのポールピース10、11がそれぞれ設けられ
ており、これらにより陽極部が形成されている。
【0005】陰極5は、たとえばトリウムタングステン
線などがコイル状に巻かれたフィラメントからなり、各
ベイン2の先端で囲まれた空間で、陽極円筒1の中心部
に設けられている。そしてその両端にはエンドハット
6、7が固着され、エンドハット6、7はそれぞれ陰極
リード8、9に接続されている。陰極リード8、9はセ
ラミックスなどの絶縁体からなる陰極ステム19を経て
外部リード20に接続され、これらにより陰極部が形成
されている。陰極ステム19は陰極側金属筒12を介し
て陽極円筒1に固定されている。なお、陰極側金属筒1
2および陰極ステム19が入力側の真空壁を構成してい
る。
【0006】ベイン2の1つには出力アンテナリード1
7の一端が電気的に接続され、その他端はポールピース
11の貫通孔18、出力側金属筒13およびセラミック
円筒などからなる絶縁筒15の中心部を貫通して排気管
16の封止部で固定されている。この封止部には図示し
ないキャップが被せられる。出力側金属筒13は陽極円
筒1と直接電気的に接続されており、陽極部で発振した
マイクロ波電力は、出力側金属筒13の中心軸上を延び
る出力アンテナリード17を同軸線路として進みその先
端から放射される。この出力側金属筒13、絶縁筒1
5、および排気管16が出力側の真空壁を構成してい
る。
【0007】出力アンテナリード17を覆う出力側金属
筒13の内側には、チョーク用金属円筒14a、14b
が設けられており、波長λの約1/4の長さによるチョ
ーク構造を形成することにより、その波長に対してイン
ピーダンスを無限大にしてその波長の電磁波を遮断する
構造になっている。すなわち、図8に示される例では、
金属円筒14aの円筒の長さが第5高調波の波長の約1
/4の長さに合わせられ、金属円筒14bの円筒の長さ
が第3高調波の波長の約1/4の長さに合わせられるこ
とにより、第3および第5高調波の輻射を抑制してい
る。
【0008】出力アンテナリード側からの高調波の輻射
を抑制する他の方法として、たとえば特開平1−276
540号公報に記載されているように、出力側金属筒に
第n高調波(nは2以上の整数)成分の約1/4波長に
相当する電気長のスロットを有する金属板を設けたり、
実開昭59−130360号公報に示されるように、出
力アンテナリードに直接チョーク構造を設けたり、出力
アンテナリードに特定高調波の波長の約1/4の長さの
折り返し部を設けることにより、同様に各高調波の電磁
波の輻射を抑制する方法も用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のマグネトロンの
不要電磁波の輻射(雑音)の抑制は、衛星放送の帯域
(11.7〜12.7GHz)と重複する第5高調波(1
2.25GHz)の輻射を抑制することに主眼がおか
れ、前述のように特定の周波数の高調波をチョーク構造
により抑制する方法が採られている。しかし、最近の通
信技術の発達により、通信に使用される周波数帯域は広
がり、現在では18GHzまでの広範囲の帯域での雑音
を抑制する必要が生じている。この帯域では、発振周波
数が2.45GHzのマグネトロンの第7高調波(17.
15GHz)までの雑音が含まれることになり、第2〜
7高調波および高調波以外のこの範囲の周波数の雑音の
すべてを抑制する必要がある。
【0010】このような広帯域の雑音の抑制を従来のチ
ョーク構造で対応しようとすると、それぞれの高調波の
周波数に対応したチョーク構造を形成しなければならな
い。しかし、限られた空間に多くのチョーク構造を多段
に形成することは、その構成が複雑になると共に、個々
のチョークの減衰特性が制約されて十分な抑制効果が得
られない。さらにチョーク間の干渉により、減衰周波数
特性が設計値からずれやすくなる。
【0011】また、チョーク構造では、図9に周波数に
対する減衰特性が示されるように、設定された周波数
(通常はマグネトロンの高調波の周波数)では大きな減
衰量が得られるが、それ以外の周波数では減衰量が小さ
く、設定された周波数の中間の周波数の不要な電磁波の
輻射に対しては全く効果が得られない。図9は、第2〜
5高調波用の4つのチョーク構造が設けられたマグネト
ロンの周波数に対する減衰特性を示す図で、第2高調波
(4.9GHz)、第3高調波(7.35GHz)、第4
高調波(9.8GHz)、および第5高調波(12.25
GHz)の各周波数のところで大きな減衰が生じている
が、その中間の周波数では減衰量が小さいことを示して
いる。
【0012】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、従来より考慮されている高調波より
さらに高次の高調波に対しても、かつ、特定の高調波の
抑制だけでなく、広帯域の周波数の全体に亘って、簡単
な構造で不要な電磁波の輻射(雑音)を抑制することが
できるマグネトロンを提供することを目的とする。
【0013】本発明のさらに他の目的は、前述の不要の
電磁波の輻射を抑制するためのローパスフィルタのイン
ダクタ成分やキャパシタ成分を大きくする手段を提供
し、ローパスフィルタの各成分を最適化してフィルタ特
性を向上させると共に、ローパスフィルタを有するマグ
ネトロンの設計の自由度を向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるマグネトロ
ンは、陽極部と、該陽極部の中心に設けられる陰極部
と、前記陽極部で発振するマイクロ波を導出する出力ア
ンテナリードとを有し、該出力アンテナリードにローパ
スフィルタが形成されているところに特徴がある。
【0015】ローパスフィルタは通常のインダクタ成分
とキャパシタ成分とからなるLC回路で形成されるフィ
ルタで、インダクタ成分は、たとえば出力アンテナリー
ドのインダクタンスを用いることができ、キャパシタ成
分は、たとえば周囲に陽極部と電気的に接続された出力
側金属筒が設けられている部分の出力アンテナリードに
円盤などの金属板が設けられることにより、該円盤の外
周端と前記出力側金属筒との間に形成されるキャパシタ
ンスを用いることができる。このキャパシタ成分は誘電
体材料がその間に介在されることにより大きくなり、そ
の材料や厚さを選定することにより所望の値に調整され
得る。
【0016】前記金属板が2枚並んで設けられることに
より、2枚の金属板間の出力アンテナのインダクタンス
および2枚の金属板間に形成されるキャパシタンス、な
らびに各金属板と出力側金属筒間に形成されるキャパシ
タンスにより楕円関数型フィルタが形成され、通過帯域
での減衰量の変化であるリップルが小さくなり、フィル
タ特性が一層向上する。この金属板の数は、スペースの
関係で設けられる限りにおいて、多い程フィルタ特性が
向上するため好ましい。
【0017】前記フィルタがマグネトロンの基本波の周
波数(たとえば2.45GHz)に対して共振するよう
に、前記出力アンテナリードのインダクタンスおよび金
属板により形成されるキャパシタンスが調整されて前記
金属板が設けられることにより、基本波の減衰は殆ど0
になり、それより高い第2高調波以上の不要電磁波に対
する減衰量は大きくなるため好ましい。
【0018】ここに基本波とは、マグネトロン本来の発
振周波数のマイクロ波を意味する。
【0019】出力アンテナリードのインダクタンスを調
整する場合、出力アンテナリードの断面積を部分的に小
さくしたアンテナリード狭窄部が設けられることによ
り、他の電気的特性に影響を与えることなくインダクタ
ンスを大きくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明のマグネトロンについて説明をする。
【0021】図1は本発明のマグネトロンの本体部の断
面説明図である。図1において、図8と同じ部分には同
じ符号を付してその説明を省略するが、本発明のマグネ
トロンの構成は、たとえばつぎの構成になっている。す
なわち、真空壁の一部を構成する陽極円筒1の内周に複
数枚のベイン2が放射状に設けられ、そのベイン2の先
端で囲まれた空間の中心部に陰極5が設けられている。
陽極円筒1の両端には、外部に設けられる磁石の磁界を
ベイン2の先端と陰極5との間の作用空間に集中させる
ためのポールピース10、11が設けられている。ベイ
ン2の一部には出力アンテナリード17の一端が電気的
に接続されており、出力アンテナリード17の他端は一
方のポールピース11の貫通孔18を経て陽極円筒1と
離れる方向に延び、その周囲は真空壁を構成する出力側
金属筒13、セラミックスなどからなる絶縁筒15およ
び排気管16などにより覆われて出力部を構成してい
る。
【0022】図1において、17aは出力アンテナリー
ド17が他の部分より細く形成され、その断面積が小さ
いアンテナリード狭窄部で、21、22はローパスフィ
ルタの一部を構成する金属板で、たとえば無酸素銅から
なる円盤である。円盤21、22は、出力アンテナリー
ド17がベイン2から延びて出力側金属筒13や絶縁筒
(セラミック円筒)15などの中心部を延びる部分で出
力側金属筒13と対向する部分に、一体で、または溶接
やロウ付けなどにより、電気的に接続されている。その
ため、円盤21、22の外周端と、陽極円筒1と電気的
に接続されている出力側金属筒13との間にローパスフ
ィルタを構成するキャパシタ成分が形成されている。円
盤21、22は出力側金属筒13と同心状に設けられる
ことにより、均一なキャパシタ成分が形成されるため好
ましい。
【0023】本発明のマグネトロンでは、図1に示され
るように、出力アンテナリード17の出力側金属筒13
で覆われる部分に円盤21、22が設けられ、図2にそ
の等価回路が部品の関係と共に示されるように、アンテ
ナリード狭窄部17aのインダクタンス(2枚の円盤2
1、22の間のインダクタンス)L1 および円盤21、
22の外周端と出力側金属筒13との間に形成されるキ
ャパシタンスC1 、両円盤21、22間のキャパシタン
スC2 を主とするローパスフィルタが形成されているこ
とに特徴がある。
【0024】出力アンテナリード17は、マイクロ波に
対してインダクタ成分を有しており、その断面積を小さ
くすることによりインダクタンスが大きくなることが知
られている。出力アンテナリード17はその断面形状が
円形でも矩形でも構わない。また、たとえば小西良弘に
よる「マイクロ波回路の基礎とその応用」(1990年
8月、総合電子出版社発行)の179頁にも記載されて
いるように、一般に同軸線路の内軸に円盤を取り付ける
と、内軸と外軸との間に等価キャパシタを形成できるこ
とが知られている。すなわち、図7(a)に示される内
軸31の外径2a、外軸32の内径2bの同軸線路の内
軸31に円盤33が取り付けられ、b−a=b0 とし、
円盤33の外周端と外軸32の内周面との距離をdとす
ると、b/a=2.3のとき、内軸31と外軸32との
間には、図7(b)に示されるように、d/b0 の値に
よって変化するキャパシタンスCが得られる。したがっ
て、図1に示されるように、出力アンテナリード17に
円盤21、22が設けられ、円盤21、22の直径が選
定されることにより、図2に等価回路図が示されるよう
な楕円関数型フィルタが得られ、その共振周波数をマグ
ネトロンの基本波の発振周波数に合わせることができ
る。
【0025】楕円関数型フィルタの必要とする次数と回
路を構成するインダクタンスおよびキャパシタンスの数
値は、たとえばエー(A)・ビー(B)・ウィリアムズ
著「電子フィルタ」(マグロウヒル出版(株)、199
0年発行、第3版)の94〜110頁に記載されている
ように、サール(Sall)およびツベルフ(Zver
ev)の数表から得られる。そこで、マグネトロンの基
本波の発振周波数で共振するようなインダクタンスL1
とキャパシタンスC1 が得られるように、アンテナリー
ド狭窄部17aの太さ、および円盤21、22の間隔や
直径が設定されることにより、基本波に対しては減衰し
ないで、第2高調波の4.9GHz以上の高い周波数に
対しては大きな減衰特性が得られるローパスフィルタと
して機能する。
【0026】出力アンテナリード17のインダクタンス
1 は、前述のように、その断面積を小さくすることに
より大きくなる。この出力アンテナリード17の断面積
は、出力インピーダンスとのマッチングをとる場合に制
約を受けるが、部分的に細くする分には影響が小さい。
そのため、機械的強度が耐えられる範囲でアンテナリー
ド狭窄部17aを細くすることができ、所望のインピー
ダンスに設定され得る。機械的強度の関係からは、アン
テナリード狭窄部17aの断面が円形の場合、直径が1
mm以上であることが好ましい。この場合、その断面積
の小さい部分の長さを長くすることにより、インダクタ
ンスL1 を大きくすることができる。
【0027】出力アンテナリード17により所望のイン
ダクタンスを得るためにその断面積を小さくする場合、
マグネトロンの他の電気的特性に影響しない限り、出力
アンテナリード17の全体を細くしたり、2枚の円盤2
1、22の間の全体ではなく、その間の一部のみの出力
アンテナリード17を細くすることもできる。これらの
場合、楕円関数型フィルタを構成するインダクタンスL
1 は、2枚の円盤21、22の間の出力アンテナリード
17のインダクタ成分がインダクタンスL1 として作用
する。
【0028】また、円盤21、22と出力側金属筒13
との間のキャパシタンスC1 は前述のように、図7
(a)のd/b0 すなわち、両者の間隔を狭くする程大
きくなる。しかし、あまり近ずき過ぎると両者間で放電
が発生し、電気特性上好ましくない。そのため、両者の
間隔は1mm以上設けられることが好ましく、その範囲
でアンテナリード狭窄部17aのインダクタンスL1
共に、基本波に対して共振するキャパシタンスC1 が得
られるように円盤21、22の直径と2枚の円盤21、
22の間隔が設定される。
【0029】一方、円盤21、22と出力側金属筒13
との間のキャパシタンスC1 は、図4に示されるよう
に、円盤21、22の先端と出力側金属筒13との間隙
にセラミックスリーブ25のような誘電体材料を介在さ
せることにより大きくなる。たとえばセラミックスの比
誘電率は約10であり、セラミックスリーブ25を挿入
することにより、同じ間隔でも真空の場合よりキャパシ
タンスは約10倍になる。しかも、両者間にセラミック
スリーブ25のような誘電体材料が介在されることによ
り、両者間の放電が抑制され、狭い間隔でも放電が生じ
ることがなく電気特性が劣化しない。しかし、セラミッ
クスリーブ25の強度の点からその厚さは1mm程度以
上あることが好ましい。このように、誘電体材料を円盤
21、22の円周端と出力側金属筒13との間隙に介在
させることにより、キャパシタンスC1 が大きくなり、
同じ共振周波数を得るのにインダクタンスを小さくする
ことができる。そのため、出力アンテナリード17の長
さを短くすることができたり、アンテナリード狭窄部1
7aを太くすることができる。その結果、出力アンテナ
リード17を短くすることにより、マグネトロンを小形
化することができ低コスト化することができる。さら
に、出力アンテナリード17を太くすることにより、組
立作業を簡易化することができ、低コスト化することが
できると共に、機械的強度が充分に保たれ信頼性を高く
することができる。
【0030】前述のセラミックスリーブ25の取付方法
としては、たとえば円筒状に形成されたセラミックスリ
ーブ25の外周面にメタライズを施し、出力側金属筒1
3の内周面とロウ材によりロウ付けしたり、接着剤によ
り接着したり、セラミックスリーブ25を出力側金属筒
13の内周面に嵌合させ、セラミックスリーブ25の両
端側から出力側金属筒13をカシメて挟み込む形で保持
することにより行われる。さらに、出力側金属筒13の
内周面に誘電体材料を塗布または堆積などにより付着し
てもよい。なお、セラミックスリーブ25は図4に示さ
れるように、一体の形状でなくても、誘電体材料は円盤
21、22の円周端と出力側金属筒13との間隙部分に
あればよいため、円盤21の部分と円盤22の部分とに
別の部品で介在させてもよい。
【0031】つぎに、図1に示される構造の楕円関数型
フィルタを構成するマグネトロンで、具体的な数値によ
るシミュレーションの結果を示す。たとえば発振周波数
が2.45GHz、出力が800W用のマグネトロン
で、円盤21、22の厚さが1mm、直径が13mm
(出力側金属筒13の内径は16mm)で、2枚の円盤
21、22の間隔を9mmとし、アンテナリード狭窄部
17aの直径を1.4mm(他の出力アンテナリード1
7の太さは直径が4mm)とした。この出力部の構造の
マグネトロンを電磁界シミュレータで解析すると、図3
に示す減衰特性が得られた。図3からも明らかなよう
に、この構造にすることにより、マグネトロンの基本波
(2.45GHz)に対しては減衰は殆ど0で、第2高
調波(4.9GHz)以上の高い周波数に対しては大き
な減衰特性を示すローパスフィルタの機能を呈してい
る。その結果、第7高調波を含む4.5〜18GHzま
での広範囲の周波数に対して、不要電磁波の輻射を抑制
することができる。しかも、高調波などの特定周波数の
雑音だけでなく、高調波の間の周波数も含む全体の周波
数に亘って雑音を抑制することができる。
【0032】図5は、本発明のマグネトロンの他の実施
形態のフィルタ部の等価回路図を部品との関係で示した
図である。図1に示される例では、フィルタを構成する
キャパシタを2枚の金属板(円盤)により形成し、1段
の楕円関数型フィルタを構成したが、図5に示される例
は1枚の円盤21で最も簡単なLC回路のローパスフィ
ルタを構成したものである。すなわち、図5に示される
出力アンテナリード17のアンテナリード狭窄部17a
のインダクタンスL1 と、円盤21の外周端と出力側金
属筒13の内周面との間に形成されるキャパシタンスC
1 とがマグネトロンの基本波の発振周波数fに対して次
式(1)の関係を満たすように、アンテナリード狭窄部
17aの太さと円盤21の直径が設定されれば、基本波
に対しては共振し、それより高い周波数に対しては減衰
量が増大するローパスフィルタを構成する。
【0033】 f=1/{2π(L1 1 1/2 } (1) この構造では、共振周波数より高い周波数に対する減衰
特性の変化がなだらかで、楕円関数型フィルタのような
急速に減衰量が大きくなるという特性には劣るが、高次
の高調波などに対しては十分な減衰量が得られ、簡単な
構造で確実に高い周波数の不要輻射を抑制することがで
きる。なお、図4に示されるように、円盤21と出力側
金属筒13との間隙に誘電体材料が介在されれば、その
間のキャパシタンスC1 が大きくなることは前述と同様
である。
【0034】図6は、本発明のマグネトロンのさらに他
の実施形態のフィルタ部の等価回路図を部品との関係で
示した図である。この例は、金属板(円盤21、22、
23)を3枚使用したもので、2段の楕円関数型フィル
タが構成されていることに特徴がある。この構造におい
ても、マグネトロンの基本波の発振周波数に対して共振
するように、インダクタンスL1 およびキャパシタンス
C1 、C2 、C3 が設定されるようにアンテナリード狭
窄部17aの太さや円盤21、22、23の直径、間隔
などが決定される。ここで、C2 は円盤21と22およ
び円盤22と23それぞれの間のキャパシタンス、C3
は真ん中の円盤23と出力側金属筒13との間のキャパ
シタンス(通常外側の2枚の円盤21、22によりそれ
ぞれ形成されるキャパシタンスC1 とは異なる値にな
る)である。なお、図6では円盤21、22、23を設
ける全体の長さが図2の円盤が2枚の場合と同じ程度に
書かれているが、基本波に対して共振周波数を得るため
に必要なL1 になるように円盤21、22、23の間隔
は設定され、アンテナリード狭窄部17aの太さとの関
係で、フィルタ部の全体の長さは長くなることがある。
【0035】図6に示される構造によれば、図3に示さ
れる減衰特性図で、通過帯域である基本波の周波数近傍
でのリップル(図3のA部参照)の数が多くなってその
振幅が小さくなり、減衰特性が向上するため好ましい。
この円盤の数が多くなればなる程その傾向は大きくな
り、マグネトロンの出力アンテナリードの長さが許す範
囲で、円盤の数を多くすることが好ましい。
【0036】
【発明の効果】本発明のマグネトロンによれば、出力ア
ンテナリードにローパスフィルタが設けられているた
め、マグネトロンの基本波より高い周波数の不要電磁波
の輻射を広範囲に亘って安定して抑制することできる。
また、マグネトロンの基本波の発振周波数に対して共振
させることにより、基本波に対しては減衰を殆ど0にす
ることができる。しかも、特定の周波数における電磁波
の輻射を抑制するものではないため、広い範囲の周波数
帯域の全体において、確実に不要電磁波の輻射(雑音)
を抑制することができる。
【0037】さらに、本発明によれば、特定の周波数ご
とに抑制するための多段の構造を設ける必要がなく、し
かもチョーク構造のように部品の寸法公差による周波数
特性の変動も小さい。そのため、構造が簡単で、組立工
程を簡易化することができ、安価に製造することができ
る。
【0038】その結果、マグネトロン、ひいては電子レ
ンジなどのマイクロ波加熱機器などのコストダウンを達
成することができると共に、家庭で電子レンジなどのマ
イクロ波加熱機器を使用しても衛星テレビや通信機器な
どに雑音が入り、通信システムを妨害することがない。
また、たとえばマイクロ波加熱用のマグネトロンの第7
高調波(17.15GHz)のような高周波に対しても
確実にその雑音の発生を抑制することができ、最近の通
信システムの発展に伴う高周波数化による周波数の高い
新規の通信システムに対しても有効にその妨害を排除す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネトロンの一実施形態の本体部の
断面説明図である。
【図2】図1のマグネトロンのフィルタ部の等価回路図
である。
【図3】図1のマグネトロンの出力の周波数に対する減
衰特性を示す図である。
【図4】本発明のマグネトロンの他の実施形態の出力ア
ンテナ部の断面説明図である。
【図5】本発明のマグネトロンの他の実施形態のフィル
タ部の等価回路図である。
【図6】本発明のマグネトロンのさらに他の形態のフィ
ルタ部の等価回路図である。
【図7】同軸線路におけるキャパシタの形成の説明図で
ある。
【図8】従来のマグネトロンの本体部の断面説明図であ
る。
【図9】従来の多段のチョーク構造が設けられたマグネ
トロンの周波数に対する減衰特性を示す図である。
【符号の説明】
1 陽極円筒 2 ベイン 5 陰極 13 出力側金属筒 17 出力アンテナリード 17a アンテナリード狭窄部 21、22 円盤 25 セラミックスリーブ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−235803(JP,A) 実開 昭63−187255(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 23/54 H01J 23/40 H01P 1/202

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極部と、 該陽極部の中心に設けられる陰極部と、 前記陽極部で発振するマイクロ波を導出する出力アンテ
    ナリードと 前記出力アンテナリードの一部の周囲に、前記陽極部と
    電気的に接続され真空壁の一部とする出力側金属筒とを
    有し、 前記出力アンテナリードに電気的に接続された少なくと
    も2つの金属板と前記出力側金属筒との間、および前記
    少なくとも2つの金属板間に楕円関数型フィルタを構成
    するキャパシタ成分が形成されることを特徴としたマグ
    ネトロン。
  2. 【請求項2】 前記金属板の先端と前記出力側金属筒と
    の間に誘電体材料が介在されてなる請求項1記載のマグ
    ネトロン。
  3. 【請求項3】 前記金属板の近傍の前記出力アンテナリ
    ードに該出力アンテナリードの断面積を小さくしたアン
    テナリード狭窄部が設けられてなる請求項1または2
    載のマグネトロン。
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