JP3447843B2 - 写真用支持体の製造方法 - Google Patents

写真用支持体の製造方法

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JP3447843B2
JP3447843B2 JP11386995A JP11386995A JP3447843B2 JP 3447843 B2 JP3447843 B2 JP 3447843B2 JP 11386995 A JP11386995 A JP 11386995A JP 11386995 A JP11386995 A JP 11386995A JP 3447843 B2 JP3447843 B2 JP 3447843B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スチレン系ポリマーを
含むプラスチックからなる写真用支持体の製造方法およ
びそれを用いる印刷用画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にハロゲン化銀写真材料は、温度や
湿度、特に湿度が変化すると寸法が変化しやすいという
欠点を持っている。寸法変化は、多色印刷のための網点
画像や精密な線画の再現が要求される印刷用感材では、
重大な問題となる。このような寸法変化は、ハロゲン化
銀乳剤層を含む保護コロイド層と支持体の寸度変化によ
って発生する。このため、保護コロイド層と支持体の寸
度安定性を改良する必要がある。従来から写真材料に一
般に用いられているポリエチレンテレフタレート支持体
では、寸度安定性の改良は、ほぼ限界に達している。こ
のため、寸度安定性が優れたプラスチックからなる新し
い支持体を開発する必要がある。
【0003】特開平3−131843号公報には、この
ような支持体として、シンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体を用いる写真フイルムが開示されてい
る。この重合体を用いた支持体は、極めて良好な吸湿寸
度安定性を示す。しかし、この支持体を写真用支持体、
特に印刷用感材の支持体として用いるためには、解決す
べき問題点が存在していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−13184
3号公報記載の写真用支持体の問題は、紫外光の透過性
の低さである。写真材料からPS版上に画像を形成する
方法では、画像を形成した写真材料とPS版を重ね合わ
せた状態で写真材料側から紫外光を照射しする工程(重
ね焼き)を実施する。重ね焼きにおいて、光源からの光
は写真材料の支持体を通過してPS版の感光層に到達す
る。従って、支持体の光線透過性が小さいと、PS版の
感度低下が起きる。このようなPS版の露光には水銀灯
が多く用いられ、これは350nm近傍の紫外光を放射
する。写真材料の支持体はこの領域の紫外光透過性が要
求される。
【0005】一方、シンジオタクチック構造を有するス
チレン系ポリマーは、結晶の成長が極めて速く、製膜中
に球晶を生成しやすいことが知られている。このような
球晶は、光、特に波長の短い紫外光を散乱させる。可視
領域の光の散乱の問題は、ヘイズの発生として特開平3
−131843号公報に記載されている。同公報記載の
製造方法を採用すると、キャスティングドラム上での冷
却温度勾配の調節等によって、球晶の発生を制御し、ヘ
イズを3%以下に低下させることができる。ところが、
ヘイズは可視光の散乱により起こるため、ヘイズを低下
させるだけでは、より散乱されやすい紫外光の高い透過
率を得ることはできない。可視領域のヘイズを低下させ
るためには、一般に5μm以上の球晶の発生を抑制すれ
ばよい。一方、高い紫外光透過率を得るためには、より
小さな(5μm未満の)球晶の発生も抑制する必要があ
る。すなわち、紫外光透過性は、単に発生する球晶の数
を減少させるだげでは達成できず、球晶の大きさも制御
することが必要である。このような球晶の制御は、特開
平3−131843号公報に記載されている方法では達
成することができなかった。すなわち、特開平3−13
1843号公報に記載されているスチレン系ポリマーの
支持体は、紫外光透過性が低い。本発明の目的は、紫外
線透過性と湿度寸法安定性が優れた写真用支持体、その
製造方法およびそれを用いた印刷用画像形成法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)の写真用支持体により達成された。 (1)シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリ
マーを含み溶融されたプラスチックをキャスティングド
ラム上に押し出し、シートを形成する工程; 25℃から
スチレン系ポリマーのガラス転移点より20℃高い温度
までの範囲の温度で、キャスティングドラム上でシート
を冷却する工程; スチレン系ポリマーのガラス転移点よ
り70℃低い温度からガラス転移点より20℃高い温度
までの範囲の温度で、直径が50乃至1000mmのロ
ールを用いてシートを搬送する工程;そして シートを延
伸する工程により製造され、100μmの厚さの支持体
において測定した350nmの紫外光透過率が70%以
上であることを特徴とする写真用支持体。 (2)上記350nmの紫外光透過率が72%以上であ
る(1)に記載の写真用支持体。 (3)上記350nmの紫外光透過率が75乃至95%
である(1)に記載の写真用支持体。 (4)上記支持体の厚さが90乃至250μmである請
求項1に記載の写真用支持体。 (5)シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリ
マーが、スチレンと他のビニル系モノマーとのコポリマ
ーである請求項1に記載の写真用支持体。 (6)コポリマー中のスチレン単位の割合が下記式(I
a)で定義される範囲内である(5)に記載の写真用支
持体。
【0007】
【数1】
【0008】式中、Sはスチレン単位の割合(重量%)
を意味し、そしてTは支持体の厚み(μm)を意味す
る。 (8)他のビニル系モノマーが、スチレン以外のスチレ
ン系モノマーである(5)に記載の写真用支持体。 (9)スチレン系モノマーが、アルキルスチレンである
(8)に記載の写真用支持体。 (10)支持体が、シンジオタクチック構造を有するポ
リスチレンと他のビニル系ポリマーとの混合物からなる
(1)に記載の写真用支持体。 (11)支持体中のポリスチレンの割合が下記式(II
a)で定義される範囲内である(10)に記載の写真用
支持体。
【0009】
【数2】
【0010】式中、SPSはシンジオタクチック構造を
有するポリスチレンの割合(重量%)を意味し、Tは支
持体の厚み(μm)を意味する。 (12)他のビニル系ポリマーが、ポリスチレン以外の
スチレン系ポリマーである(10)に記載の写真用支持
体。 (13)スチレン系ポリマーが、ポリアルキルスチレン
である(12)に記載の写真用支持体。 (14)支持体中に存在する直径が0.05乃至5μm
の球晶の量が、支持体体積に対して30%以下である
(1)に記載の写真用支持体。
【0011】本発明の写真用支持体は、下記(15)〜
(18)の方法で製造する。 (15)シンジオタチック構造を有するスチレン系ポ
リマーを含み溶融されたプラスチックをキャスティング
ドラム上に押し出し、シートを形成する工程;25℃か
らスチレン系ポリマーのガラス転移点より20℃高い温
度までの範囲の温度で、キャスティングドラム上でシー
トを冷却する工程;スチレン系ポリマーのガラス転移点
より70℃低い温度からガラス転移点より20℃高い温
度までの範囲の温度で、直径が50乃至1000mmの
ロールを用いてシートを搬送する工程;そしてシートを
延伸する工程からなる写真用支持体の製造方法。 (16)スチレン系ポリマーのガラス転移点よりも60
℃低い温度からガラス転移点より10℃高い温度までの
範囲の温度でシートを搬送する(15)に記載の製造方
法。 (17)ロールの直径が80乃至800mmの範囲であ
る(15)に記載の製造方法。 (18)40℃からスチレン系ポリマーのガラス転移点
より10℃高い温度までの範囲の温度で、キャスティン
グドラムを用いてシートを冷却する(15)に記載の製
造方法。
【0012】本発明の写真用支持体は、下記(19)の
印刷用画像形成方法において特に有用である。 (19)上記(15)で製造した写真用支持体上にハロ
ゲン化銀乳剤層が設けられている写真材料を像様露光す
る工程;写真材料を現像して写真画像を形成する工程;
そして写真材料とPS版を重ね合わせた状態で写真材料
側から紫外光を照射し、PS版上に印刷用画像を形成す
る工程からなる印刷用画像形成方法。
【0013】
【発明の具体的な記述】本発明に従い製造する支持体
は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマ
ーを含み、かつ100μmの厚さにおける350nmの
紫外光透過率70%以上にすることができる。100
μmの厚さにおける350nmの紫外光透過率は、72
%以上であることが好ましく、75%以上であることが
さらに好ましく、80%以上であることが最も好まし
い。なお、本願明細書に開示される技術によれば、紫外
線透過率を95%まで向上させることができる。
【0014】本明細書において、スチレン系ポリマー
は、ポリスチレンおよびその誘導体並びにそれらのコポ
リマーを意味する。スチレン系ポリマーを構成するスチ
レンの誘導体には、アルキルスチレン、アリールスチレ
ン、アルケニルスチレン、ハロゲン化スチレン、ハロゲ
ン化アルキルスチレンおよびアルコキシスチレンが含ま
れる。アルキルスチレンの例として、メチルスチレン、
エチルスチレン、プロピルスチレンおよびブチルスチレ
ンを挙げることができる。アリールスチレンの例として
は、フェニルスチレンを挙げることができる。アルケニ
ルスチレンの例としては、ビニルスチレンを挙げること
ができる。ハロゲン化スチレンの例としては、クロロス
チレン、ブロモスチレンおよびフルオロスチレンを挙げ
ることができる。アルコキシスチレンの例としては、メ
トキシスチレンおよびエトキシスチレンなどがある。ビ
ニルナフタレンやポリアセナフチレンのように、スチレ
ンのベンゼン環に他の芳香族環が縮合した化合物もスチ
レンの誘導体に含まれる。さらに、水素化スチレン
(例、ビニルシクロヘキサン)もスチレン誘導体に含ま
れる。スチレン系ポリマーを構成するモノマーとして
は、スチレン、アルキルスチレン、水素化スチレンおよ
びハロゲン化スチレンが好ましい。スチレン、アルキル
スチレン(例、p−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン)、水素化スチレンおよ
びハロゲン化スチレン(例、p−クロロスチレン、m−
クロロスチレン、p−フルオロスチレン)がさらに好ま
しい。スチレンおよびアルキルスチレン(特にp−メチ
ルスチレン)が最も好ましい。
【0015】スチレン系ポリマーは、炭素−炭素結合か
ら形成される主鎖と側鎖(フェニル基やその誘導体)か
ら構成される。側鎖が結合している主鎖の炭素原子は、
不斉炭素である。シンジオタクチック構造を有するスチ
レン系ポリマーは、不斉炭素がほぼ交互に反対の立体配
置に並ぶ規則的な構造を有する。立体規則性(タクティ
シティー)は、同位炭素による核磁気共鳴法(13C−N
MR法)により定量する方法が、精度が優れており、一
般に採用されている。13C−NMR法により測定される
立体規則性は、連続する複数個の構成単位(繰り返し単
位)の存在割合によって示される。構成単位が2個の場
合はダイアッド、3個の場合はトライアッド、5個の場
合はペンタッドと呼ぶ。本発明のシンジオタクチック構
造を有するスチレン系ポリマーは、一般にラセミダイア
ッドが75乃至100%(好ましくは85乃至100
%)である立体規則性を有する。ラセミダイアッドは、
二つの不斉炭素が交互に反対の立体配置に並ぶ2個の構
成単位を意味する。ラセミペンタッドが30乃至100
%(さらに好ましくは50乃至100%)の立体規則性
を有することが好ましい。
【0016】シンジオタクチック構造を有するスチレン
系ポリマーは、コポリマーであることが好ましい。コポ
リマーを構成する二種類のモノマーの組み合わせとして
は、以下の〜の4通りがある。三種類以上のモノマ
ーからなるコポリマーの場合は、下記の〜をさらに
組み合わせればよい。 スチレンとスチレン誘導体 スチレンと他のビニル系モノマー スチレン誘導体と他のスチレン誘導体 スチレン誘導体と他のビニル系モノマー およびの組み合わせが好ましく、が最も好まし
い。
【0017】上記のスチレンまたはスチレン誘導体の部
分が、前述したシンジオタクチック構造を有する。ただ
し、コポリマー全体がシンジオタクチック構造を有する
ことが好ましい。スチレンとスチレン誘導体の例は、前
述した。他のビニル系モノマーの例には、オレフィンモ
ノマー(例、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセ
ン、オクテン)、ジエンモノマー(例、ブタジエン、イ
ソプレン)、環状オレフィンモノマー、環状ジエンモノ
マー、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル
(例、メタクリル酸メチル)、無水マレイン酸およびア
クリロニトリルが含まれる。コポリマーは、ブロックで
も、ランダムでも、交互的であってもよい。
【0018】上記の組み合わせの場合、すなわちスチ
レンとスチレン誘導体からなるコポリマーの場合、コポ
リマー中のスチレン単位の割合は、下記式(Ia)で定
義される範囲内であることが好ましい。
【0019】
【数3】
【0020】式中、Sはスチレン単位の割合(重量%)
を意味し、そしてTは支持体の厚み(μm)を意味す
る。コポリマー中のスチレン単位の割合は、下記式(I
b)で定義される範囲内であることがさらに好ましく、
下記式(Ic)で定義される範囲内であることが最も好
ましい。
【0021】
【数4】
【0022】
【数5】
【0023】式中、SおよびTは、式(Ia)と同様の
定義を有する。以下に好ましいコポリマーの例を示す。
syn-はシンジオタクチック構造を意味する。
【0024】 ──────────────────────────────────── コポリマー 共重合組成(重量%比) ──────────────────────────────────── (CP-1)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (98/2) (CP-2)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (97/3) (CP-3)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (95/5) (CP-4)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (93/7) (CP-5)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (85/15) (CP-6)スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (80/20) (CP-7)スチレン/p-クロロスチレンsyn-コポリマー (95/5) (CP-8)スチレン/p-クロロスチレンsyn-コポリマー (93/7) (CP-9)スチレン/p-クロロスチレンsyn-コポリマー (85/15) (CP-10)スチレン/p-クロロスチレンsyn-コポリマー (80/20) (CP-11)スチレン/水素化スチレンsyn-コポリマー (95/5) (CP-12)スチレン/水素化スチレンsyn-コポリマー (93/7) (CP-13)スチレン/水素化スチレンsyn-コポリマー (85/15) (CP-14)スチレン/水素化スチレンsyn-コポリマー (80/20) (CP-15)スチレン/水素化スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (90/5/5) (CP-16)スチレン/水素化スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー (86/7/7) ────────────────────────────────────
【0025】以上のようなコポリマーを用いる代わり
に、シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマ
ーと他のポリマーとを混合して用いてもよい。ポリマー
の混合体を構成する二種類のホモポリマーの組み合わせ
としては、以下の〜の4通りがある。三種類以上の
ホモポリマーからなる混合体の場合は、下記の〜を
さらに組み合わせればよい。また、コポリマーの混合体
の場合は、下記のホモポリマーに代えて前記〜のコ
ポリマーを用いればよい。 ポリスチレンと他のスチレン系ポリマー ポリスチレンと他のビニル系ポリマー ポリスチレン以外のスチレン系ポリマー二種類 ポリスチレン以外のスチレン系ポリマーと他のビニル
系ポリマー
【0026】およびの組み合わせが好ましく、が
最も好ましい。上記のポリスチレンまたはポリスチレン
誘導体が、前述したシンジオタクチック構造を有する。
ただし、混合体に含まれるポリマー全体がシンジオタク
チック構造を有することが好ましい。
【0027】上記の組み合わせの場合、すなわちポリ
スチレンと他のビニル系ポリマーからなる混合体の場
合、混合体中のポリスチレンの割合は、下記式(IIa)
で定義される範囲内であることが好ましい。
【0028】
【数6】
【0029】式中、SPSはシンジオタクチック構造を
有するポリスチレンの割合(重量%)を意味し、Tは支
持体の厚み(μm)を意味する。混合体中のポリスチレ
ンの割合は、下記式(IIb)で定義される範囲内である
ことがさらに好ましく、下記式(IIc)で定義される範
囲内であることが最も好ましい。
【0030】
【数7】
【0031】
【数8】
【0032】式中、SPSおよびTは、式(IIa)と同
様の定義を有する。以下に好ましいポリマー混合体の例
を示す。syn-はシンジオタクチック構造を意味し、atc-
はアタクチック構造を意味する。
【0033】 ──────────────────────────────────── ポリマー混合体 混合物組成(重量%比) ──────────────────────────────────── (PM-1)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (95/5) (PM-2)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (93/7) (PM-3)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (85/15) (PM-4)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (80/20) (PM-5)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-クロロスチレン (90/10) (PM-6)syn-ポリスチレン+syn-ポリp-クロロスチレン (85/15) (PM-7)syn-ポリスチレン+syn-ポリ水素化スチレン (90/10) (PM-8)syn-ポリスチレン+syn-ポリ水素化スチレン (85/15) (PM-9)syn-ポリスチレン+atc-ポリスチレン (90/10) (PM-10)syn-ポリスチレン+atc-ポリスチレン (85/15) (PM-11)syn-ポリスチレン+atc-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (90/5/5) (PM-12)syn-ポリスチレン+atc-ポリスチレン+syn-ポリp-メチルスチレン (86/7/7) (PM-13)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =95/5) (70/30) (PM-14)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =95/5) (60/40) (PM-15)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =95/5) (55/45) (PM-16)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =95/5) (50/50) (PM-17)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =90/10) (70/30) (PM-18)syn-ポリスチレン+スチレン/p-メチルスチレンsyn-コポリマー(共重 合重量比(%) =90/10) (60/40) ────────────────────────────────────
【0034】図1は、コポリマーまたはポリマー混合体
中の好ましいスチレン含量を示すグラフである。縦軸
は、コポリマーまたはポリマー混合体中の好ましいスチ
レン含量であり、横軸は、支持体の厚さである。図1に
おいて、Aは式(Ia)または(IIa)の式で定義する
スチレン含量の上限であり、Bは式(Ib)または(II
b)の式で定義するスチレン含量の上限であり、Cは式
(Ic)または(IIc)の式で定義するスチレン含量の
上限であり、cは式(Ic)または(IIc)の式で定義
するスチレン含量の下限であり、bは式(Ib)または
(IIb)の式で定義するスチレン含量の下限であり、そ
してaは式(Ia)または(IIa)の式で定義するスチ
レン含量の下限である。
【0035】前記の各式で定義し、図1で説明したよう
に、本発明では支持体の厚みの増加に応じて、シンジオ
タクチックスチレンの以外の成分の含有率を増加させる
ことができる。プラスチック中の球晶は、溶融したポリ
マーをキャスティングドラム上に押し出す時、メルトの
冷却速度より球晶生成速度が早いために発生する。この
ため、厚みの増加に伴ってメルトから放熱しにくくなる
ため、球晶が発生しやすくなる。このため、前記各式に
示すように厚みの関数として、含有率を規定する。ここ
で規定している含有率とは、コポリマーまたはポリマー
混合体中に占めるスチレン含有量の総和の重量を全重量
で割り、%で表したものである。コポリマーまたはポリ
マー混合体におけるスチレン含有率が、前記の規定より
も高い値であると、球晶抑制の作用が不充分となる。一
方、スチレン含有率が前記の規定よりも低い値である
と、シンジオタクチック構造が有する高い湿度寸法安定
性の効果が低下する。
【0036】なお、2軸延伸後の膜厚が90μm未満で
あるような薄い支持体では、このような球晶が発生しに
くい。しかし、薄い支持体では力学強度が不足するた
め、取扱いにおいて問題が発生する。本発明は、支持体
の厚みが90μm以上であると効果が顕著である。一般
に支持体の厚さは90乃至250μmであり、94乃至
230μmであることが好ましく、98乃至200μm
であることがさらに好ましい。スチレン系ポリマーの分
子量は、重量平均分子量で10万乃至80万の範囲内で
あることが好ましく、20万乃至60の範囲内であるこ
とがさらに好ましい。のものである。分子量分布は、重
量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値とし
て、1.5乃至5の範囲内であることが好ましく、2乃
至4の範囲内であることがさらに好ましい。
【0037】シンジオタクチック構造を有するスチレン
系ポリマーは、例えば不活性炭化水素溶媒中で、チタン
化合物および水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成
物を触媒として、スチレン系モノマー(スチレン系ポリ
マーに対応するモノマー)を重合することにより製造す
ることができる(特開昭62−187708号公報記
載)。溶媒の不存在下でも合成は可能である。あるい
は、チタン化合物及びカチオンと複数の基が元素に結合
したアニオンとからなる化合物を触媒として重合するこ
とにより製造することもできる(特開平4−24950
4号公報記載)。
【0038】さらに、本発明の目的、すなわち紫外線の
透過を妨げない範囲で、シリカ、タルク、チタニア、ア
ルミナ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシ
ウム等およびこれらの混合物等の無機微粒子、架橋ポリ
スチレン、架橋ポリメチルメタクリレ−ト等の有機微粒
子、および酸化防止剤、帯電防止剤や色素を支持体を構
成するプラスチック中に配合することができる。
【0039】製膜中のモノマー析出防止のためには、プ
ラスチック中のスチレンモノマーの残量が7000ppm
以下であることが好ましい。そのようなスチレン系ポリ
マーあるいは混合体を得るためには以下の(1)または
(2)の方法を採用するとよい。 (1)重合後あるいはさらに処理後のスチレン系ポリマ
ーを減圧乾燥する。減圧乾燥では、乾燥温度をポリマー
のガラス転移温度以上の温度にすると効率がよい。 (2)押出機により脱気し、同時に成形用材料(ペレッ
ト)とする。押出機はベント付きが好ましい。一軸ある
いは二軸の押出機を用いることができる。
【0040】スチレン系ポリマーあるいはその混合体か
ら、フイルムを製造する。具体的には、加熱溶融して、
押し出し、冷却固化させて未延伸の原反シートを形成す
る。さらに原反シートは、ローラーで搬送してから延伸
する。本発明では、これらの製造方法の処理工程の改良
によって、紫外光透過性の高い支持体を得ることができ
る。製造方法の要点は、押し出しから延伸までの工程中
での球晶の発生を抑制することである。具体的には、発
生する球晶の数および大きさを共に小さくすることであ
る。紫外線透過性を低下させないためには、直径が0.
05乃至5μm以下の球晶の割合を、支持体全体積の3
0%以下とすることが好ましく、20%以下とすること
がさらに好ましく、10%以下とすることが最も好まし
い。球晶は、直径が0.1乃至3μmであるものが紫外
線透過性を著しく低下させ、直径が0.2乃至2μm以
下であるものがさらに顕著に低下させる。従って、これ
らの範囲内の直径を有する球晶の発生は、特に抑制する
必要がある。球晶の大きさおよび体積比は偏光顕微鏡を
用いて容易に測定することができる。すなわち、2軸延
伸および熱固定まで終了した支持体を偏光顕微鏡を用い
て写真撮影し、そこに写った球晶のうち上記の範囲に含
まれるものを選別し、これらの断面積の総和を視野の面
積で割った値の百分率として体積比を求めることができ
る。
【0041】以下、製造方法の各工程および球晶の発生
を制御する手段について説明する。押し出し機内でのペ
レットの滞留時間は、5乃至60分とすることが好まし
く、8乃至40とすることがさらに好ましく、11乃至
25分とすることが最も好ましい。通常、ペレットは加
水分解を防止するために押し出し前に加熱脱水される
が、この時に球晶が形成される。わずかでも球晶の溶け
残りが存在していると、本発明のポリマーのように結晶
成長速度の大きなポリマーは、これを核として球晶が成
長する。従って、押し出し機のなかで、充分に結晶を溶
解させておく必要がある。これにより、発生する球晶の
数を抑制することができる。押し出し機内での滞留時間
が5分以下では、充分に球晶を溶解することができな
い。なお、滞留時間が60分以上ではポリマーの熱分解
による不溶解成分が生成し、結晶生成の核になりやす
い。押し出し機の温度は、ポリマーの溶融温度よりも3
0℃以上高いことが好ましく、40℃以上高いことがさ
らに好ましく、60℃以上高いことが最も好ましい。温
度が低すぎると結晶を充分に溶融することができない。
一方、温度が高過ぎると、不溶性の分解物が発生し、そ
れが核となって球晶が生成しやすくなる。このため、温
度は、ポリマーの溶融温度よりも120℃高い温度を上
限とすることが好ましく、110℃高い温度を上限とす
ることがさらに好ましく、100℃高い温度を上限とす
ることが最も好ましい。押し出しには、一軸または二軸
の押し出し機を用いることができる。ポリマー混合体を
製膜する場合は、二軸の押し出し機を用いると、より均
一に混合して透明性を上げることができる。さらに、ベ
ント付きの押し出し機を用いるとより好ましい。
【0042】次に、押し出された溶融体をなるべく早く
冷却することで、球晶の成長、即ち球晶の大きさを抑制
できる。球晶は、押し出し機のT−ダイから冷却用のキ
ャスティングドラムの間で最も発生しやすい。この時間
をなるべく短くすることが必要である。好ましい時間は
0.01乃至2秒であり、より好ましくは0.01乃至
1秒であり、最も好ましくは0.01乃至0.5秒であ
る。時間の短縮は、押し出し機の吐出の速度を増加させ
るか、あるいはT−ダイとキャスティングドラム間を接
近させることにより達成できる。設備コストの少ない後
者のほうが好ましい。
【0043】キャスティングドラムに到達した溶融体
は、直ちに結晶化温度(Tc)以下にまで冷却される。
キャスティングドラムの温度は低いほど結晶生成を抑制
し好ましいが、ダイすじ(T−ダイの表面の凹凸をひろ
い、キャストフイルム表面に凹凸が残る現像)が発生し
やすい。一方、キャスティングドラムの温度が高いほど
ダイすじの凹凸はレベリングしやすく、きれいなキャス
トフイルムを得やすいが、球晶が発生しやすい。キャス
ティングドラムの温度は、25℃からガラス転移温度
(Tg)より20℃高い温度(Tg+20)までの範囲
であることが好ましく、40℃からTg+10の範囲で
あることがさらに好ましく、50℃からTgまでの範囲
であることが最も好ましい。キャスティングドラムは冷
媒を用いて一定温度に保つ。冷媒は気体または液体が用
いられる。熱容量の大きな液体を用いるほうが好まし
い。キャスティングドラムのロールの材質は、熱伝導性
のよい金属が好ましい。また、エアナイフ、エアチャン
バー、タッチロールや静電印加のようなキャスティング
された溶融体の平面性を向上させる手段を用いてもよ
い。静電印加法が特に好ましく採用できる。
【0044】次に、原反シートはロールを用いて延伸工
程(後述)の装置まで搬送する。本発明では、プラスチ
ックのガラス転移点より70℃低い温度からガラス転移
点より20℃高い温度の範囲で、直径が50乃至100
0mmのロールを用いてシートを搬送することが好まし
い。このような搬送条件を採用することにより、クレー
ジング(微小なひび割れ)の発生を防止することができ
る。クレージングが発生すると、光、特に波長の短い紫
外光を散乱させやすく、紫外線透過性を低下させやす
い。このようなクレージングの発生は、従来から写真用
支持体として使用されていたポリエチレンテレフタレー
ト(PET)支持体では、ほとんど問題とならなかっ
た。これは、ジンジオタクチック構造を有するスチレン
(SPS)系ポリマーに特有の問題である。クレージン
グは、支持体がロールを通過する際に、支持体の内周側
に比べ外周側が引き伸ばされ、その伸びが破断伸度を上
回るために発生する。SPS系支持体はPETに比べて
破断伸度が著しく小さく、わずかな湾曲でもクレージン
グが発生しやすい。また、クレージングは、支持体が厚
いほど発生しやすい。支持体の厚さが1mmを越えると
その発生が顕著になる。特に厚い支持体の場合は、未延
伸状態での取り扱い、すなわち搬送工程での処理条件に
特に留意する必要がある。さらに、未延伸フイルム中の
クレージングは、延伸工程で拡大、増加される。従っ
て、細かなクレージングの発生も、未延伸フイルムにお
いて抑制する必要がある。
【0045】クレージングの発生を防止するためには、
(a)搬送中の未延伸支持体の湾曲を小さくし、変形
(外周側の伸び)を抑制する手段と、(b)支持体を柔
らかくして破断伸度を大きくする手段とが採用できる。
(a)の手段においては、直径が50乃至1000mm
のロールを用いてシートを搬送する。ロールの直径は、
80乃至800mmであることがさらに好ましく、10
0乃至500mmであることが最も好ましい。50mm
以上の直径を有するロールを用いることで、クレージン
グの発生が防止できる。なお、1000mmを越える直
径のロールを用いると、装置が過大になり好ましくな
い。搬送時のラップ角は、60乃至240度の範囲であ
ることが好ましく、70乃至220度の範囲であること
がさらに好ましく、80乃至200度の範囲であること
が最も好ましい。ラップ角が240度を越えると、クレ
ージングが発生しやすい。ラップ角が60度未満である
と、搬送に問題が生じ、スリップによる傷が発生しやす
い。(b)の手段においては、支持体を加熱しながら搬
送して、クレージングの発生を抑制する。キャスティン
グドラムから延伸までの間、すなわち搬送中の支持体の
好ましい温度は、ガラス転移温度(Tg)よりも70℃
低い温度(Tg−70℃)からTgよりも20℃高い温
度(Tg+20℃)の範囲内であることが好ましく、T
g−60℃からTg+10℃の範囲内であることがさら
に好ましく、Tg−50℃からTg+5℃の範囲内であ
ることが最も好ましい。
【0046】次に、搬送された原反シートを延伸する。
縦、横の均質性の要求される写真用支持体では、延伸は
縦、横の多軸延伸が好ましい。多軸延伸は、同時延伸ま
たは逐次延伸で実施できる。小型の設備で実施できる逐
次延伸の方が好ましい。延伸方法としては、テンターに
よる方法、ロ−ル間で延伸する方法や圧延による方法が
ある。これらを適当に組み合わせて実施することができ
る。テンターによる方法およびロール間で延伸する方法
が好ましい。ロール間延伸で縦延伸後、テンターで横延
伸を行うことが、さらに好ましい。その後、さらに縦あ
るいは横の延伸を1回以上行ってもよい。延伸温度は、
縦、横とも、原反シートのガラス転移温度(Tg)から
Tgよりも50℃高い温度(Tg+50℃)の範囲内で
あることが好ましく、TgからTg+40℃の範囲内で
あることがさらに好ましく、Tg+5℃からTg+30
℃の範囲内であることが最も好ましい。延伸速度は、
縦、横とも1000乃至8000%/分の範囲であるこ
とが好ましく、2000乃至6000%/分であること
がさらに好ましく、2500乃至4000%/分である
ことが最も好ましい。面積延伸倍率は、10乃至16倍
であることが好ましく、11乃至15倍であることがさ
らに好ましく、12乃至14.5倍であることが最も好
ましい。
【0047】上述の条件で延伸して得られた延伸フィル
ムは、一般に熱固定を行う。熱固定は、緊張状態で実施
することができる。あるいは、緩和させながら実施して
もよい。緩和させる場合、緩和量は30%以下であるこ
とが好ましく、20%以下であることがさらに好まし
く、15%以下であることが最も好ましい。熱固定中の
熱弛緩量が30%を越えると、平面性が低下する傾向が
ある。熱弛緩は、熱固定中のテンタ−の幅の制御で容易
に達成可能である。熱固定温度は、200℃からフイル
ムの融点の範囲であることが好ましく、220℃から融
点の範囲であることがさらに好ましく、230℃から融
点の範囲であることが最も好ましい。熱固定は、好まし
くは3乃至60秒間、より好ましくは5乃至40秒間、
最も好ましくは10乃至30秒間、上記温度で支持体を
保持することによって行われる。なお、熱固定は、条件
を変えて二回以上行ってもよい。
【0048】図2は、本発明の支持体の製造方法を模式
的に示すフローチャートである。図2に示されるよう
に、メルトはホッパー(1)から押出機(2)に供給さ
れる。押し出されたメルトは、フィルター(3)を通っ
て、T−ダイ(4)からキャスティングドラム(5)上
に流延される。(I)は、キャスティングドラム上で実
施される冷却工程である。次に、シートは(II)の搬送
工程に移る。搬送工程に使用するローラーの直径は、5
0乃至1000mmである。また、搬送時の温度は、プ
ラスチックのガラス転移点より70℃低い温度からガラ
ス点移転より20℃高い温度の範囲である。温度調整
は、ローラー内にヒーターを設けてもよいし、次の縦延
伸工程で示すような外部の赤外線ヒーターを用いてもよ
い。シートは、次に縦延伸工程(III)に移る。縦延伸工
程では、赤外線ヒーター(6)を用いて温度を調整しな
がら、ローラーによりシートを延伸する。さらに、シー
トはテンターを用いる縦延伸ゾーン(7)、熱固定ゾー
ン(8)および熱緩和ゾーン(9)を経由して、最後に
巻取機(10)に巻き取られる。
【0049】本発明の支持体には必要に応じ、グロー放
電処理、コロナ処理、紫外線照射処理、火炎処理、など
の表面処理を施してもよい。この中で接着性に優れ、最
も好ましいのが、グロー放電処理である。以下、コロナ
処理、紫外線処理、グロー処理、火焔処理について説明
する。コロナ処理は、最もよく知られている方法であ
り、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−50
43号、同47−51905号、特開昭47−2806
7号、同49−83767号、同51−41770号お
よび同51−131576号各公報に開示された方法に
より達成することができる。放電周波数は50Hz〜5
000kHz、好ましくは5kHz〜数100kHzが
適当である。被処理物の処理強度に関しては、0.00
1KV・A・分/m2〜5KV・A・分/m2、好ましくは
0.01KV・A・分/m2〜1KV・A・分/m2が適当
である。電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは
0.5〜2.5mm、好ましくは1.0〜2.0mmが適当
である。
【0050】次に紫外線処理について述べる。紫外線処
理は、特公昭43−2603号、特公昭43−2604
号および特公昭45−3828号各公報記載の処理方法
によって行われるのが好ましい。水銀灯は石英管からな
る高圧水銀灯、低圧水銀灯で、紫外線の波長が180〜
380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射の方
法については、365nmを主波長とする高圧水銀ラン
プであれば、照射光量20〜10000(mJ/cm2
がよく、より好ましくは50〜2000(mJ/cm2
である。254nmを主波長とする低圧水銀ランプの場
合には、照射光量100〜10000(mJ/cm2 )が
よく、より好ましくは200〜1500(mJ/cm2
である。
【0051】次にグロー処理について述べる。グロー処
理は、従来知られている方法用いることができる。グロ
ー処理については、特公昭35−7578号、同36−
10336号、同45−22004号、同45−220
05号、同45−24040号、同46−43480
号、特開昭53−129262号各公報、米国特許30
57792号、同3057795号、同3179482
号、同3288638号、同3309299号、同34
24735号、同3462335号、同3475307
号、同3761299号、同4072769号、英国特
許891469号、同997093号各明細書に記載が
ある。このようなグロー処理では、特に雰囲気に水蒸気
を導入した場合において最も優れた接着効果を得ること
ができる。また、この手法は支持体の黄色化抑制、ブロ
ッキング防止にも非常に有効である。水蒸気の存在下で
グロー処理を実施する時の水蒸気分圧は、10%以上1
00%以下が好ましく、更に好ましくは40%以上90
%以下である。10%未満では充分な接着性を得ること
が困難となる。水蒸気以外のガスは酸素、窒素等からな
る空気である。さらに、表面処理すべき支持体を加熱し
た状態で真空グロー処理を行うと、常温で処理するのに
比べ短時間の処理で接着性が向上し、有効である。予熱
温度は50℃以上Tg以下が好ましく、60℃以上Tg
以下がより好ましく、70℃以上Tg以下がさらに好ま
しい。Tg以上の温度で予熱すると接着が悪化する。
【0052】グロー処理時の真空度は0.005〜20
Torrとするのが好ましい。より好ましくは0.02
〜2Torrである。また、電圧は、500〜5000
Vの間が好ましい。より好ましくは500〜3000V
である。また、使用する放電周波数は、従来技術に見ら
れるように、直流から数1000MHz、好ましくは5
0Hz〜20MHz、さらに好ましくは1KHz〜1M
Hzである。放電処理強度は、0.01KV・A・分/
m2〜5KV・A・分/m2が好ましく、更に好ましくは
0.15KV・A・分/m2〜1KV・A・分/m2で所望
の接着性能が得られる。このようにして、グロー処理を
施こした支持体は、直ちに冷却ロールを用いて温度を下
げることが好ましい。
【0053】火焔処理の方法は天然ガスでも液化プロパ
ンガスでもかまわないが、空気との混合比が重要であ
る。プロパンガスの場合は、プロパンガス/空気の好ま
しい混合比は、容積比で1/14〜1/22、好ましく
は1/16〜1/19である。また、天然ガスの場合
は、1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9であ
る。火焔処理は1〜50Kcal/m2、より好ましくは
3〜30Kcal/m2の範囲で行うとよい。またバーナ
ーの内炎の先端と支持体の距離を4cm未満にするとより
効果的である。処理装置は春日電気(株)製フレーム処
理装置を用いることができる。また、火焔処理時に支持
体を支えるバックアップロールは中空型ロールで、冷却
水を通して水冷し、常に一定温度で処理するのがよい。
【0054】次に表面処理した支持体と感光層の間に設
ける下塗り層について述べる。下塗り層としては、第1
層として支持体によく接着する層(以下、下塗り第1層
と略す)を設け、その上に第2層として下塗り第1層と
写真層をよく接着する層(以下、下塗り第2層と略す)
を塗布するいわゆる重層法と、支持体と写真層をよく接
着する層を一層のみ塗布する単層法とがある。重層法に
おける下塗り第1層には、エポキシ樹脂、ゼラチン、ニ
トロセルロース、ポリ酢酸ビニルや共重合体を添加して
もよい。共重合体は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブ
タジエン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、
メタクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、イ
タコン酸、無水マレイン酸から選ばれる単量体を出発原
料とて得ることができる。また必要に応じて、架橋剤
(例、トリアジン系、エポキシ系、メラミン系、ブロッ
クイソシアネートを含むイソシアネート系、アジリジン
系、オキサザリン系)、無機粒子(例、コロイダルシリ
カ)、界面活性剤、増粘剤、染料や防腐剤を添加しても
よい。これらの添加剤については、E.H.Immergut "Poly
mer Handbook" VI187〜231、Intersciense Pub.N
ew York 1966や特開昭48−89870号、同48
−93672号、同50−39528号、同50−47
196号、同50−63881号、同51−13352
6号、同64−538号、同63−174698号、特
開平3−109545号、同1−240965号および
同2−184844号各公報に詳しい。また、下塗り第
2層では、主としてゼラチンが用いられる。
【0055】単層法においては、多くは支持体を膨潤さ
せ、下塗りポリマーと界面混合させる事によって良好な
接着性を得る方法が多く用いられる。この下塗りポリマ
ーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒
天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体
などの水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースエステル、
塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合
体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有
共重合体、酢酸ビニル含有共重合体等のラテックスポリ
マー、などが用いられる。これらのうち好ましいのはゼ
ラチンである。ゼラチンとしては、いわゆる石灰処理ゼ
ラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン
誘導体及び変性ゼラチン等当業界で一般に用いられてい
るものはいずれも用いることができる。これらのゼラチ
ンのうち、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチ
ン、酸処理ゼラチンである。
【0056】次に親水性コロイド層について述べる。親
水性コロイド層としてはハロゲン化銀乳剤層、保護層、
中間層、アンチハレーション層、バック層、バック保護
層等がある。これらの写真層のバインダーとして用いら
れる親水性コロイドとして最も好ましいものはゼラチン
である。ゼラチンとしては、いわゆる石灰処理ゼラチ
ン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導
体及び変性ゼラチン等当業界で一般に用いられているも
のはいずれも用いることができる。これらのゼラチンの
うち、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、
酸処理ゼラチンである。ゼラチン以外の親水性コロイド
としてコロイド状アルブミン、カゼイン等の蛋白質、寒
天、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体等の糖誘導
体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセ
ルロース等のセルロース化合物、ポリビニルアルコー
ル、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド
等の合成親水化合物等を挙げることができる。合成親水
化合物の場合、他の成分を共重合してもよい。これらの
親水性コロイドは、単独で用いてもよいし、2種以上を
混合して用いてもよい。
【0057】このような親水性コロイド層は、1層でも
多層でもよく、各層の厚みは0.02〜10μm、より
好ましくは0.1〜7μmの範囲が好ましい。乳剤面、
バック面には複数の親水性コロイド層を塗設してよい
が、これらの層のトータル厚みは、乳剤面で1.5〜1
0μm、バック面で0〜5μm程度が好ましい。
【0058】次にバック層について述べる。バック層は
親水性コロイド層から成るもの、親水性コロイド層
とその上層に疎水性ポリマー層を有するもの、あるい
は、疎水性ポリマー層から成るもの、等を挙げること
ができる。以下にこれらについて説明を加える。 親水性コロイド層から成るバック層 バック側に親水性コロイド層を付与することにより、感
光層の親水性コロイドの低湿時の収縮に伴い発生するカ
ールを相殺することができる。ここで用いられる親水性
コロイド層としては、上述のようなものを用いることが
できる。この時、下記の範囲の塗布量にすることが、よ
り良好な寸法安定性を実現する上でより好ましい。 (バック面の親水性コロイドの塗設量(g/m2))/(乳
剤面の親水性コロイドの塗設量(g/m2))≦0.5
【0059】ただしバック面の親水性コロイドの塗設
量、乳剤面の親水性コロイドの塗設量はそれぞれバック
面、乳剤面に塗設されたすべての親水性コロイド層の親
水性コロイドの塗設量の総和を表わす。2種類以上の親
水性コロイドを用いている場合(ある親水性コロイド層
に2種以上の親水性コロイドをブレンドして用いている
場合と、2つ以上の親水性コロイド層の親水性コロイド
の種類が異なる場合)にはこれらの親水性コロイドの量
の和を表わす。
【0060】また、このような親水性コロイド層から成
るバック層の中にポリマーラテックスう添加しても良
い。本発明に用いられるポリマーラテックスは平均粒径
が20mμ〜200mμの水不溶性ポリマーの水分散物
で、好ましい使用量はバインダー1.0に対して乾燥重
量比で0.01〜1.0で特に好ましくは0.1〜0.
8である。本発明に用いられるポリマーラテックスの好
ましい例としてはアクリル酸のアルキルエステル、ヒド
ロキシアルキルエステルまたはグリシジルエステル、あ
るいはメタアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシ
アルキルエステル、またはグリシジルエステルをモノマ
ー単位として持ち、平均分子量が10万以上、特に好ま
しくは30万〜50万のポリマーである。具体例を以下
に示す。
【0061】
【化1】
【0062】親水性コロイド層とその上層に疎水性ポ
リマー層を有するバック層親水性コロイド層の上に水を
通さず、水蒸気のみ通すような疎水性ポリマー層を付与
した層をバック層に塗設してもよい。これにより、前述
のような低湿下で発生するカールを相殺できるうえ、現
像処理時のバック層親水性コロイド層のキャリーオーバ
ーおよび乾燥負荷を低減できる利点がある。さらにまた
現像処理に伴う寸法安定性を低くおさえることができ
る。このようなバック層の調製法について説明を加え
る。バック層の親水性コロイド層は感光層の親水性コロ
イド層に近い吸湿率、吸湿速度を持つものが好ましい。
最も好ましい親水性コロイドはゼラチンである。ゼラチ
ンとしては、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチ
ン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体及び変性ゼラチ
ン等当業界で一般に用いられているものはいずれも用い
ることができる。これらのゼラチンのうち、最も好まし
く用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンで
ある。ゼラチン以外の親水性コロイドとしてコロイド状
アルブミン、カゼイン等の蛋白質、寒天、アルギン酸ナ
トリウム、デンプン誘導体等の糖誘導体、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセル
ロース化合物、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニ
ルピロリドン、ポリアクリルアミド等の合成親水性化合
物等を挙げることができる。これらの親水性コロイド
は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いて
もよい。
【0063】このバック層の親水性コロイド中にポリマ
ーラテックスを添加しても良い。本発明に用いられるポ
リマーラテックスは平均粒径が20mμ〜200mμの
水不溶性ポリマーの水分散物で、好ましい使用量はバイ
ンダー1.0に対して乾燥重量比で0.01〜1.0で
特に好ましくは0.1〜0.8である。本発明に用いら
れるポリマーラテックスの好ましい例としてはアクリル
酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステルま
たはグリシジルエステル、あるいはメタアクリル酸のア
ルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、または
グリシジルエステルをモノマー単位として持ち、平均分
子量が10万以上、特に好ましくは30万〜50万のポ
リマーであり、具体例は親水性コロイド層からなるバ
ック層の所で示したものと同じものが挙げられる。つづ
いてこの上に塗設する疎水性ポリマー層(以降ポリマー
層と表わす)について述べる。このポリマー層は実質的
に耐水性である。「実質的に耐水性」とは25℃の水に
1分浸漬した後のポリマー層の厚みが浸漬前のポリマー
層の厚みの1.3倍以下である事をいい、1.1倍以下
になることが好ましい。この条件を満たしていればポリ
マー層に特に制限は無い。本発明においてバック層と疎
水性ポリマー層が積層された場合、バック層と疎水的ポ
リマー層の合計厚みに対して25℃の水に1分浸漬した
後の合計厚みが浸漬前の合計厚みの1.5倍以下であ
り、1.3倍以下になることが好ましく、水に浸漬した
後の厚みの増加(膨潤厚み)が2μm以下であり、1μ
m以下であることが好ましい。
【0064】このようなポリマー層はラテックスを塗布
乾燥して形成する事が好ましく、用いられるラテックス
としてはポリマー層とバック層が「実質的に耐水性」と
なるものであれば特に制限はないが、例えば、エチレン
塩化ビニル、ウレタン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリ
デン等のフッ素系樹脂、ブタジエン、アクリルアミド
類、アクリル酸又はα−置換アルキルアクリル酸のエス
テル、スチレン、を主モノマーとするポリマーラテック
スである。またアクリルアミド、アクリル酸又はα−置
換アルキルアクリル酸のエステルおよびスチレンとして
は例えば以下のようなものを挙げることができる。
【0065】(1) アクリルアミド(例えば、N,N−ジ
ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、
N,N−ジフェニルメタクリルアミド、N,N−オクチ
ルアクリルアミド、N,N−シクロヘキシルメタクリル
アミド) (2) アクリル酸エステル(例えば、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート) (3) α−置換アルキルアクリレート酸エステル(例え
ば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プ
ロピルメタクリレート、プチルメタクリレート、2−シ
クロヘキシルメタクリレート、メチルエタクリレート、
ブチルエタクリレート) (4) スチレン又はスチレン置換体(例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ク
ロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン)
【0066】ラテックスの分子量としては2000〜1
000000より望ましくは5000〜200000の
範囲が好ましい。実際のラテックスとして使用するポリ
マーは該単量体成分を1種又は2種以上含有し、更にア
クリル酸又はメタクリル酸、イタコン酸などを第2の成
分として含むことができる。更に重合可能なその他のビ
ニル系単量体(例えばジビニルベンゼン)を第3の成分
として含有することができる。これらは1種のポリマー
ラテックスを単独で用いてもよいし、2種以上を併用し
てもよい。本ポリマーのラテックスは平均粒径が0.0
1〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.2μmであ
る。これらのポリマーの代表的具体例を以下に挙げる。
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】このようなポリマー層のガラス転移温度に
は特に制限はないが造膜性および塗膜の耐水性、耐付着
性の観点から10℃以上であることが好ましく、塗膜の
脆性、ラテックスの融着性の観点から150℃以下であ
ることが好ましい。また、ポリマー層中に、可塑剤を添
加してもよい。可塑剤の例としては、フタル酸エステル
類(例、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソオクチル、
フタル酸ジフェニル)、グリコール誘導体(例、ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールジオクチルエー
テル、酢酸トリエチレングリコール)、リン酸エステル
類(例、リン酸トリフェニル、リン酸トリデシル)およ
びケトン類(例、シクロデカノン、n−オタクデカノ
ン、n−オクタデカン−3,6,9−トリオン)を挙げ
ることができる。これらは単独で用いても、2種以上を
併用してもよい。可塑剤の添加量について特に制限はな
いがポリマー固型分に対して0.1〜100重量%の範
囲にあることが好ましく、3〜10重量%の範囲にある
ことが特に好ましい。
【0070】本発明のポリマーラテックス中に含まれる
造膜助剤としてはラテックスポリマーと親和性のある有
機溶剤であり、沸点250℃未満のもであれば特に制限
はない。具体的には例えばエチルセロソルブ、イソプロ
ピルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ
類、イソプロパノール、n−ブタノール、 sec−ブタノ
ール、フルフリルアルコールなどのアルコール類、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ
エチルエーテルなどのグリコール類およびその誘導体を
挙げることができる。これらの造膜助剤は単独で用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】このようなポリマー層は1層であっても2
層以上であっても良く、好ましい厚みは、ポリマー層の
バインダー種にもよるが、0.05〜10μm、より好
ましくは0.1〜5μmの範囲である。なおこのポリマ
ー層が2層以上から成る場合には、すべてのポリマー層
の厚みの和をポリマー層の厚みとする。このようなポリ
マー層を塗設する方法に特に制限はない。バック層を塗
布乾燥した後に、バック層上にポリマー層を塗布しその
後乾燥しても良いし、バック層とポリマー層を同時に塗
布し、その後乾燥してもよい。
【0072】疎水性ポリマー層から成るバック層 バック層に疎水性ポリマーを塗設することにより、耐傷
性を付与したり、マット剤、すべり剤等を保持したりす
ることができる。疎水性ポリマー層のバインダーとして
はポリメチルメタクリレート、エチルアクリレート等の
(メタ)アクリル酸エステルポリマー、ポリエチレン等
のオレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、塩化ビ
ニリデン、ウレタン系ポリマー、ブタジエン等のゴム系
ポリマーなどが用いられる。この層は1層でも2層以上
でもよい。これらの〜のバック層中に必要に応じて
マット剤、すべり剤、帯電調整剤、界面活性剤、架橋
剤、又後述する表面抵抗率低減のための導電性物質など
を添加してもよい。また、これらのバック層を塗設する
方法については特に制限はない。従来ハロゲン化銀写真
感光材料の親水性コロイド層を塗設する公知の方法を用
いることができる。例えばディップコート法、エアーナ
イフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、
ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを
使用するエクストルージョンコート法(米国特許268
1294号明細書記載)または多層同時塗布方法(米国
特許2761418号、同3508947号、同276
1791号各明細書記載)を用いることができる。
【0073】本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光
材料のハロゲン化銀乳剤は通常、水溶性銀塩(例えば硝
酸銀)溶液と水溶性ハロゲン塩(例えば臭化カリウム)
溶液とをゼラチンの如き水溶性高分子溶液の存在下で混
合してつくられる。ハロゲン化銀としては塩化銀、臭化
銀、塩臭化銀、沃臭化銀及び塩沃臭化銀いづれも用いる
ことが出来、その粒子形態、サイズ分布に特に限定はな
い。ハロゲン化銀乳剤層は、感光性ハロゲン化銀、化学
増感剤、分光増感剤、カブリ防止剤、親水性コロイド
(特にゼラチン)、ゼラチン硬化剤、界面活性剤など膜
物理性改良剤、増粘剤を含有することができる。これら
については、リサーチ・ディスクロージャー誌、176
巻17643項(1978年12月)の記載、及び特開
昭52−108130号、同52−114328号、同
52−121321号、同53−3217号、同53−
44025号各公報の記載を参考にすることができる。
【0074】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、必
要に応じて表面抵抗率を1012以下に低下させてもよ
い。表面抵抗率を低下させる手段に特に制限はない。例
えば、Sn、Zn、Ti、In、Vの酸化物の微粉末を
添加する方法(特開昭58−62648号、同58−6
2649号、同51−115291号各公報記載)、ポ
リマーを添加する方法(特開昭57−204540号、
同54−133324号各公報記載)、界面活性剤を添
加する方法(特開昭64−26849号、同61−24
907号各公報記載)が用いられる。特に好ましいもの
はSnO2 のような金属酸化物を添加する方法である。
【0075】金属酸化物の微粉末としては導電性の結晶
性酸化物又はその複合酸化物が好ましい。導電性の結晶
性酸化物又はその複合酸化物の微粒子としては体積抵抗
率が107 Ωcm以下、より好ましくは105 Ωcm以下の
ものが望ましい。またその粒子サイズは0.01〜0.
7μ、特に0.02〜0.5μであることが望ましい。
本発明に使用される導電性の結晶性金属酸化物あるいは
複合酸化物の微粒子の製造方法については特開昭56−
143430号公報に詳細に記載されている。第1に金
属酸化物微粒子で暁成により作製し、導電性を向上させ
る異種原子の存在下で熱処理する方法、第2に焼成によ
り金属酸化物微粒子を製造するときに導電性を向上させ
る為の異種原子を共存させる方法、第3に焼成により金
属微粒子を製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、
酸素欠陥を導入する方法等が容易である。金属原子を含
む例としてはZnOに対してAl、In等、TiO2
対してはNb、Ta等、SnO2 に対してはSb、N
b、ハロゲン元素等があげられる。異種原子の添加量は
0.01〜30mol%の範囲が好ましいが0.1〜1
0mol%であれば特に好ましい。これらのうちSbを
添加したSnO2 微粒子が最も好ましい。
【0076】ハロゲン化銀写真感光材料にはハレーショ
ン防止、セーフライト安全性向上、表裏判別性向上など
の目的で、染色された非感光性親水性コロイド層(以降
染色層と表わす)を設けてもよい。具体的には、染料を
媒染剤に吸着せしめる方法(米国特許3455693
号、同2548564号、同4124386号、同36
25694号各明細書、特開昭47−13935号、同
55−33172号、同56−36414号、同57−
161853号、同52−29727号、同61−19
8148号、同61−177447号、同61−217
039号、同61−219039号各公報記載)、耐拡
散型染料を用いる方法(特開昭61−213839号、
同63−208846号、同63−296039号、特
開平1−158439号各公報記載)、オイルに溶解し
た染料を油滴状に乳化分散する方法(特開平3−109
535号公報記載)、染料を無機物表面に吸着せしめる
方法(米国特許2719088号、同2498841
号、同2496843号各明細書、特開昭60−452
37号、特開平3−5748号各公報記載)、染料をポ
リマーに吸着せしめる方法(特開平2−298939号
公報記載)、水に不溶性の染料固体を用いる方法(特開
昭56−12639号、同55−155350号、同5
5−155351号、同63−27838号、同63−
197943号、特開平2−264936号各公報、欧
州特許15601号、同274723号、同27656
6号、同299435号、WO88/04794号各明
細書記載)が用いられる。これらの方法の中で染料を固
体のまま分散する方法が染料を特定層中に固定し、現像
処理後の残色が少ないという観点から好ましい。
【0077】このような方法で調製したハロゲン化銀写
真感材を用いて、次のような方法で平版印刷原版にする
ことができる。所定の画像(例えばテストチャート)を
焼き込んだネガ原稿フイルムと本発明の写真感材を、乳
剤面どうしを密着させて露光する(例えば密着露光機と
してP−627FM:大日本スクリーン社製等を用いる
ことができる)。また、レーザーフォトプロッター(例
えばラスターグラフRG−5000:大日本スクリーン
社製)、スキャナー(例えばダイレクトスキャナーグラ
フSG−757:大日本スクリ−ン社製、Lux Sc
an 4500:富士写真フイルム製)により、直接本
発明の写真感材に露光を行ってもよい。特に好ましいの
が、後者の方法である。このようにして露光を行った
後、自動現像機(例えばFG−680AG:富士写真フ
イルム製)を用いて通常条件で現像する。このようにし
て画像を書き込んだ本発明の感光材料をネガ型あるいは
ポジ型の感光性平版印刷版(例えば特開平3−2732
50号記載の印刷版)に密着させた後、水銀灯、メタル
ハライドランプ(例えば富士フイルムPSライト)等の
紫外光を用いて露光する。これを常法に従って現像、リ
ンスした後、目的とする平版印刷版をえることができ
る。
【0078】最後に、本発明で行った各種評価・測定法
について記載する。 (1) 紫外光透過率 通常の、紫外−可視分光光度計を用い、参照側を空気と
し、試料側にサンプルフイルムをおき、350nmでの
透過率を測定する。100μm以外の厚みの支持体につ
いては、下記式に従って、100μmに厚み換算して表
記する。 ( logTx )= ( logT100 ) ×(x/100 ) Tx :厚みxμmの支持体の透過率(%) T100 :厚み100 μmの支持体の透過率(%) (2) 球晶体積率 2軸延伸、熱固定まで終了した支持体を通常の偏光顕微
鏡を用いて400倍で観察する。これを写真撮影し、さ
らに1000倍に拡大する。この中から直径が0.05
μm以上5μm以下の球晶を抽出し、その断面積を求
め、その総和を写真視野の面積で割り百分率で表記す
る。 (3) 湿度膨張係数 製膜直後の支持体の、25℃20%RH〜80%RHの間の
平均寸法変化率を下記手順で測定した。 幅5cm×長さ25cmにサンプルを裁断 これを各湿度で3時間以上調湿後、20cm基長のピ
ンゲ−ジを用いて寸法変化を測定する。 長手方向、幅方向で測定し、その平均値を表記した。 (4) ガラス転移温度(Tg )、結晶化温度(Tc )、溶
融温度(Tm ) 示差熱分析計(DSC)を用いて下記手順で測定した。 試料10mgを窒素気流中で20℃/分で330℃まで
昇温する。 室温まで急冷後、再度20℃/分で昇温する。 Tg :ベ−スラインが偏奇しはじめた温度と、再び新た
なベ−スラインを形成した温度の算術平均で示す。 Tc :Tg を越え、発熱側に現れるピ−クの最大発熱量
を示す温度。 Tm :Tc を越え、吸熱側に現れるピ−クの最大吸熱量
を示す温度。
【0079】(5) 写真感材の相対露光量 サンプル感材で、ウェッジフイルム(連続的に濃度勾
配を付与したもの)を作製する。 コンタクトフイルム(富士写真フイルム製フジリスコ
ンタクトフイルムVU−S100)を感光層を上向きに
セットする。 この上にのウェッジフイルムをの感光層側を下向き
にセットし、コンタクトさせる。 プリンター(大日本スクリ−ン製P627FM型)で
露光を行う。 下記方法で現像処理を行う。 自動現像機;FG-680AG(富士写真フイルム製) 現像処理条件;現像液;GR-D1 (富士写真フイルム製);38℃20秒 定着液;GR-F1 (富士写真フイルム製) 乾 燥;50℃ 濃度が3.0に達するのに必要な露光光量を求める。
サンプル感材のウェッジを用いたときの露光量をE、標
準となるPET感材のウェッジを用いたときの露光量を
0 とすると、相対露光量は、(E/E0 )×100で
表される。 (6) 取扱い性(クニックの発生) 感光層塗設後のA4サイズのサンプル100枚を、手で
1枚ずつ、暗室内で50cmはなれた台に移す作業を行
う。これを現像し、クニックに起因する半月状のかぶり
の発生した感材の枚数を数える。 ・全く発生しなかったものを○ ・1枚でも発生したものを×
【0080】(7) 平版印刷感材への焼き付け感度 特開平3−273250号公報の実施例1に記載の平版
印刷感材の上に濃度差0.15のグレースケールを焼き
込んだ原稿フイルム(資料フイルム)を密着させる。こ
れに東芝メタルハライドランプMU2000−2−OL
型3kW)で照射し、た後現像、リンスを行い、グレー
スケールの5段目が完全に白抜けになる時間で表した。
なお現像はDP−4(富士写真フイルム製)を1:8に
希釈したものを用いた。 (8) 押し出しから延伸までの間の未延伸フイルムの温度 キャスティング出口から最初に行なわれる延伸ゾーンま
での間の経路を測長し、これを10等分する。この点の
支持体の幅方向の中点を接触式の温度計で表裏面測定
し、この中の最高温度を示す。
【0081】
【実施例】 実施例1 (1) 支持体構成ポリマーの重合 反応容器に、反応溶媒としてトルエン6リットルおよび
テトラエトキシチタン5ミリモルおよびメチルアルミノ
キサンをアルミニウム原子として500ミリモル入れ、
50℃においてスチレン48.94モルとp−メチルス
チレン1.06モルとを加え、2時間重合反応を行っ
た。反応終了後、生成物を塩酸とメタノ−ルとの混合液
で洗浄して、触媒成分を分解除去した。次いで乾燥する
ことにより共重合体640gを得た。この共重合体の重
量平均分子量(Mw)が44万であり、数平均分子量
(Mn)が24万でああった。また、この共重合体は13
C−NMRによる分析から、145.11ppm、14
5.22ppm、142.09ppmに吸収が認めら
れ、そのピーク面積から算出したスチレン単位のラセミ
ペンタッドでのシンジオタクティシティーは72%であ
った。同様にして、スチレンとp−メチルスチレンの仕
込み比(モル比)を50/0、47.88/2.12、
46.82/3.18とし、重合を行った。その結果、
p−メチルスチレンの含率がそれぞれ、0、10、15
wt%の、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重
合体を得た。これらのMwは、それぞれ40万、42
万、43万、Mnは、それぞれ22万、23万、24
万、シンジオタクティーシティーはそれぞれ74、7
1、70%、であった。またアイソタクティックポリス
チレンは出光石油化学(株)製HH−30Eを用いた。
【0082】(2) 支持体の製膜 (2−1)押出し〜未延伸フイルムの作成 これらのホモポリマー、コポリマーを150℃で一昼夜
減圧、乾燥を行った後、ベント付単軸押出し機あるい
は、ポリマーブレンドを行う時は、ベント付2軸抽出し
機を用いて、ペレット化した。このペレットを130℃
で一昼夜乾燥した。これらのTgとTmを上述の方法で
測定し、結果を第1表に示した。次にこのペレットをフ
ィルターを内蔵し押出し機の先端にT−ダイを取り付け
た早々で操装で押し出した。この時の押出し機のホッパ
ーからT−ダイ出口までの帯留時間を単位時間当りの平
均押出し量から算出し第1表に示した。また、押出し温
度は、押出し機の出口側1/2の平均温度を測定し、第
1表に示した。
【0083】このようにしてT−ダイから押出されたメ
ルトは、冷却ロール上で固化し未延伸シートを形成す
る。T−ダイ出口から冷却ロールまでの到達時間は、押
出し量および押出されて固化した未延伸シートの厚みと
幅からメルトの線流速を求め、これと、T−ダイ〜キャ
スティングドラム間の距離から算出した。また、この到
達時間を変える場合は、T−ダイ〜キャスティングドラ
ム間の距離の調整で達成した。キャスティングドラムは
中空のステンレス製のものを用い、中を第1表に示した
温度に調温した水を循環させて一定温度に保った。ま
た、キャスティング時に静電印加法を適用し、平面性の
確保を行った。このような未延伸シートの厚みは、2軸
延伸後ちょうど第1表に示した厚みになるようにT−ダ
イの間隔を調整することで達成している。これらの押出
しの諸条件は第1表に示した通りである。この未延伸シ
ートをキャスティングドラムから剥ぎ取ったのち、縦延
伸ゾーンまで搬送するが、このとき第1表に示す直径の
ロールを通過させた。これらのロールは、全て同一径の
ステンレス製のものであり、これを6本千鳥状に300
mmの間隔で配置し、ここをそれぞれラップ角が150
度になるように通過させた。このとき、温度調節した空
気を吹きつけることにより支持体の温度を制御した。フ
イルムの温度は接触式の温度計で上記方法で測定し、第
1表に記載した。
【0084】
【表1】 第1表(その1) ──────────────────────────────────── 押し出し条件 水準 ポリマー Tg(℃) Tm(℃) 滞留時間(分) 温度(℃) ──────────────────────────────────── 1−1 CP−3 97 250 14 340 1−2 CP−3 97 250 4 340 1−3 CP−3 97 250 6 340 1−4 CP−3 97 250 14 340 1−5 CP−3 97 250 14 340 1−6 CP−3 97 250 14 270 1−7 CP−3 97 250 14 290 1−8 CP−3 97 250 14 380 1−9 CP−3 97 250 14 360 1−10 CP−3 97 250 14 340 1−11 CP−3 97 250 14 340 1−12 CP−17 95 248 14 340 1−13 CP−5 100 246 14 340 1−14 HP−1 95 257 14 350 1−15 PM−1 99 247 14 340 1−16 PM−17 97 248 14 340 1−17 CP−3 97 250 14 340 1−18 CP−3 97 250 14 340 1−19 CP−3 97 250 14 340 1−20 PET −−− −−− −− −−− 1−21 PET −−− −−− −− −−− 1−22 CP−3 97 250 14 310 1−23 CP−3 97 250 14 310 1−24 CP−3 97 250 14 310 1−25 CP−3 97 250 14 310 1−26 CP−3 97 250 14 310 1−27 CP−3 97 250 14 310 1−28 CP−3 97 250 14 310 1−29 CP−3 97 250 14 310 ────────────────────────────────────
【0085】
【表2】 第1表(その2) ──────────────────────────────────── キャスティング条件 搬送条件 水準 時間(秒) 温度(℃) 最小ロール径 温度(℃) 密着跡 ──────────────────────────────────── 1−1 0.3 40 150 65 なし 1−2 0.3 40 150 65 なし 1−3 0.3 40 150 65 なし 1−4 2.2 40 150 65 なし 1−5 1.8 40 150 65 なし 1−6 0.3 40 150 65 なし 1−7 0.3 40 150 65 なし 1−8 0.3 40 150 65 なし 1−9 0.3 40 150 65 なし 1−10 0.3 80 150 65 なし 1−11 0.3 75 150 65 なし 1−12 0.3 40 150 65 なし 1−13 0.3 40 150 65 なし 1−14 0.3 40 150 65 なし 1−15 0.3 40 150 65 なし 1−16 0.3 40 150 65 なし 1−17 0.3 40 150 65 なし 1−18 0.3 40 150 65 なし 1−19 0.3 40 150 65 なし 1−20 −−− −− −−− −− −− 1−21 −−− −− −−− −− −− 1−22 0.3 60 150 65 なし 1−23 0.3 60 60 65 なし 1−24 0.3 60 40 65 なし 1−25 0.3 60 150 125 発生 1−26 0.3 60 150 110 なし 1−27 0.3 60 150 35 なし 1−28 0.3 60 150 25 なし 1−29 0.3 60 150 65 なし ────────────────────────────────────
【0086】註: (CP−3)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポリ
マー(95/5) (CP−17)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポ
リマー(90/10) (CP−5)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポリ
マー(85/15) (HP−1)syn-ポリスチレン (PM−1)syn-ポリスチレン+syn-ポリ−p−メチル
スチレン(95+5) (PM−17)syn-ポリスチレン+atc-ポリスチレン
(95+5) (PET)ポリエチレンテレフタレート (キャスティング条件の時間)T−ダイからキャスティ
ングドラムの間の時間
【0087】(2−2)延伸フイルムの作成 このようにして搬送した未延伸シートをTg+15℃で
縦方向にロール間の延伸を行い3.5倍に、この後Tg
+20℃で横方向にテンターを用いて4.0倍に延伸を
行った。この時の延伸速度は、縦、横両方向とも300
0%/分で行った。このようにして得られた2軸延伸フ
イルムを250℃で30秒、5%の熱緩和を行いながら
実施した。 (2−3)PETフイルムの作成 常法に従って2軸延伸PETフイルムを成膜した。これ
らの厚みは、100μm、175μmであった。 (2−4)支持体の評価 熱固定まで終了したフイルムの厚み、紫外光透過係数お
よび湿度膨張係数を上述の方法に従って測定した。これ
ら値は、第2表に示した。
【0088】3.支持体の表面処理 これらの支持体の表・裏面に以下の条件でグロー放電処
理を行った。断面が直径2cm、長さ150cmの円柱状で
冷媒流路となる中空部を持つ棒状電極を、10cm間隔に
4本絶縁板状に固定した。この電極板を真空タンク内に
固定し、この電極面から15cm離れ、電極面に正対する
ように2軸延伸フイルムを走行させ、2秒間の表面対処
が行われるように速度をコントロールした。フイルムが
電極を通過する直前に、フイルムが直径50cmの温度コ
ントローラー付き加熱ロールに3/4周接触するように
加熱ロールを配置し、さらに加熱ロールと電極ゾーンの
間のフイルム面に熱電対温度計を接触させることにより
フイルム面温度を90℃にコントロールした。真空槽内
の圧力は0.2Torr、雰囲気気体内のH2 O分圧は
75%で行った。放電周波数は30KHz、出力250
0W、処理強度は0.5KV・A・分/m2で行った。放
電処理後の支持体が巻き取られる前に表面温度が30℃
になるように、直径50cmの温度コントローラー付き冷
却ロールに接触させ巻き取った。
【0089】4.写真感材の作成 グロー放電処理をした支持体の両面に下記下塗りを塗設
した。 (1) 下塗り層の塗設 ゼラチン 10.0重量部 水 24.0重量部 メタノール 961.0重量部 サリチル酸 3.0重量部 ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂(特開昭51−3619号公報の合成 例1記載) 0.5重量部 ノニオン性界面活性剤(特公平3−27099号公報の合成例1記載) 1.0重量部 この塗布液をワイヤーバーを用いて10ml/m2塗布し、
115℃で2分間乾燥後巻き取った。
【0090】(2) 感光層の塗設 この支持体の一方の側に下記に示す乳剤第1層及び第2
層、保護層下層及び上層を同時塗布した。 <乳剤層第1層>40℃に保った4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(銀1モ
ル当り5×10-3モル)を含有するゼラチン水溶液中に
硝酸銀水溶液と銀1モル当り2×10-5モルの(NH4)2Rh
(H2O)Cl5を含む塩化ナトリウム水溶液を同時に7分で添
加し、その間の電位を95mVにコントロールすること
により、芯部の粒子0.12μmを調製した。その後、
硝酸銀水溶液と銀1モル当り1.2×10-4モルの(N
H4)2Rh(H2O)Cl5を含む塩化ナトリウム水溶液を同時に1
4分間で添加しその間の電位を95mVにコントロール
することによって平均粒子サイズ0.15μmの塩化銀
立方体粒子を調製した。この乳剤にポリエチルアクリレ
ートラテックス(平均粒径0.05μm)を600mg/
m2、下記のヒドラジン化合物、をモル比で1:1に
混合した溶液を各々2.2×10-5 mol/m2、4−ヒド
ロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイン
デンを30mg/m2、下記の化合物−1、−2を各々40
mg/m2、10mg/m2、硬膜剤として、下記化合物−3を
98mg/m2になる様に加え、銀量2.0g/m2、ゼラチ
ン0.9g/m2になる様に塗布した。
【0091】
【化4】
【0092】<乳剤層第2層>40℃に保った5,6−
シクロペンタン−4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−
テトラザインデン(銀1モル当り5×10-3モル)を含
有するゼラチン水溶液中に硝酸銀水溶液と銀1モル当り
4×10-5モルの(NH4)2Rh(H2O)Cl5を含む塩化ナトリウ
ム水溶液を同時に3分半で添加し、その間の電位を95
mVにコントロールすることにより、芯部の粒子0.0
8μmを調製した。その後、硝酸銀水溶液と銀1モル当
り1.2×10-4モルの(NH4)2Rh(H2O)Cl5を含む塩化ナ
トリウム水溶液を同時に7分間で添加しその間の電位を
95mVにコントロールすることによって平均粒子サイ
ズ0.10μmの塩化銀立方体粒子を調製した。この乳
剤を用いる以外は上記乳剤層第1層と同様の乳剤層を銀
量1.5g/m2ゼラチン0.7g/m2になる様に塗布し
た。
【0093】 <保護層下層> ゼラチン 0.55g/m2 1−ヒドロキシ−2−ベンズアルドオキシム 15mg/m2 化合物−4 80mg/m2 化合物−5 10mg/m2 ポリエチルアクリレートラテックス(平均粒径0.05μm) 280mg/m2 <保護層上層> ゼラチン 0.95g/m2 不定形マット剤(SiO2 、平均粒径3.0μm) 30mg/m2 球形マット剤(PMMA、平均粒径2.7μm) 30mg/m2 流動パラフィン(ゼラチン分散物) 50mg/m2 N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピル グリシンポタジウム 5mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 *固体分散染料A 80mg/m2 *固体分散染料B 40mg/m2 *固体分散染料A、Bの微粒子分散物の調製方法 これらの調製方法は特開昭63−197943号の方法
に準じた。すなわち、水(434ミリリットル)及び T
riton X−200R界面活性剤(TX−200R)(5
3g)(Rohm & Haas 社から販売) の6.7%溶液と
を、1.5リットルネジ蓋ビンに入れた。これに、染料
の20gと酸化ジルコニウム(ZrO2 )のビーズ(8
00ミリリットル)(2mm径)を添加し、このビンの蓋
をしっかりしめて、ミル内に置き、内容物を4日間粉砕
した。内容物を12.5%のゼラチン水溶液(160
g)に添加し、ロールミルに10分間置いて泡を減少さ
せた。得られた混合物をろ過して、ZrO2 ビーズを除
去した。このままだと平均粒径が約3.0μmである
が、まだ粗粒子を含んでいるので、この後遠心分離法に
よって分級し、最大粒子サイズが1μm以下になるよう
にした。
【0094】
【化5】
【0095】(3) バック層の塗設 ついで、支持体の反対側の面に、下記に示す導電層及び
バック層を同時塗布した。 <導電層> SnO2/Sb(9/1重量比、平均粒径0.25μ) 200mg/m2 ゼラチン(Ca**含有量3000ppm) 77mg/m2 化合物−6 7mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 40mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 9mg/m2
【0096】 <バック層> ゼラチン(Ca2+含有量30ppm) 2.82g/m2 ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.7μ) 54mg/m2 化合物−6 3mg/m2 化合物−7 40mg/m2 化合物−8 40mg/m2 化合物−9 80mg/m2 化合物−10 150mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 75mg/m2 ジヘシキル−α−スルホサクシナートナトリウム 20mg/m2 化合物−11 5mg/m2 硫酸ナトリウム 50mg/m2 酢酸ナトリウム 85mg/m2 1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 150mg/m2
【0097】
【化6】
【0098】
【化7】
【0099】(4) 感材の評価 このようにして調製した感材の相対露光量、取り扱い性
について上記方法に従って評価した。
【0100】
【表3】 第2表 ──────────────────────────────────── 支持体評価 感光材料評価 水準 厚さ(μm) 紫外光透過率 湿度膨張係数 相対露光量 取扱性 ──────────────────────────────────── 1−1 100 82 1.2 85 ○ 1−2 100 68 1.1 99 ○ 1−3 100 72 1.2 95 ○ 1−4 100 68 1.2 100 ○ 1−5 100 72 1.3 95 ○ 1−6 100 69 1.3 99 ○ 1−7 100 72 1.3 95 ○ 1−8 100 68 1.2 100 ○ 1−9 100 71 1.2 95 ○ 1−10 100 68 1.3 88 ○ 1−11 100 72 1.2 90 ○ 1−12 100 81 1.4 86 ○ 1−13 100 82 1.5 84 ○ 1−14 100 76 1.1 90 ○ 1−15 100 80 1.2 87 ○ 1−16 100 78 1.3 90 ○ 1−17 88 83 1.4 85 × 1−18 92 83 1.4 85 ○ 1−19 175 83 1.1 86 ○ 1−20 100 68 8.7 100 ○ 1−21 175 68 8.6 100 ○ 1−22 100 82 1.3 85 ○ 1−23 100 71 1.2 95 ○ 1−24 100 69 1.5 98 ○ 1−25 100 73 1.3 95 ○ 1−26 100 82 1.4 84 ○ 1−27 100 72 1.3 94 ○ 1−28 100 68 1.5 98 ○ 1−29 175 82 1.2 85 ○ ────────────────────────────────────
【0101】註: (紫外光透過率)350nmの紫外光に対して、厚さを
100μmに換算した場合の透過率(%) (湿度膨張係数)10-6/%RH (相対露光量)% (取扱性)クニックの発生の有無
【0102】5.結果 結果を第2表に示した。本発明を実施した水準1−1、
3、5、7、9、11〜19はいづれも現行のPET支
持体(水準1−20、21)に比べて紫外光透過性にす
ぐれ、その結果これを用いた感材の相対露光量は少な
く、コンタクト露光時の感度が上がっている。また、こ
れらの支持体は同時に高い湿度寸法安定性も達成してい
る。このような支持体は、押出し条件、キャスティング
条件により達成されている。このような特性は水準1−
1〜13で示されるスチレン−p−メチルスチレン系コ
ポリマー支持体以外にも、ホモポリマー(水準1−1
4)、ポリマーブレンド(水準1−15、16)でも同
様に達成されている。一方、押出し条件、キャスティン
グ条件が範囲外である水準1−2、1−4、1−6、1
−8、1−10では紫外光透過性がPET支持体に比べ
て同等あるいは、低下し、相対露光量もPET並みに低
下している。このように本発明の支持体は、良好な紫外
光透過性、湿度寸法安定性を示すが、さらに厚みが90
μ以上であることが好ましい。これ以下では支持体の腰
が弱く、取扱い中にクニックが発生し易いためである。
(水準1−17) また、本発明の方法でキャスティングドラムから延伸ま
での搬送を実施することで、クレージングの発生が抑制
され、紫外線透過性の良好な支持体を得ることができ
る。これに対して、これ以外の方法、すなわち径の小さ
いロールを通過させた場合(水準1−23)は、紫外線
の透過性が低下して好ましくない。また、搬送中の支持
体温度が高すぎると(水準1−25)密着跡が発生す
る。一方、低過ぎると紫外線透過性が低下して好ましく
ない。
【0103】実施例2 下記のように、バック層に親水性コロイド層を有する感
光材料を調製した。 <試料1〜5の作成> (1) 支持体 実施例1の水準1−19(シンジオタックポリスチレン
系支持体)で用いた支持体上に実施例1と同様にして表
面処理(グロー放電処理)、下塗り層の塗設を両面に行
った。 (2) バック層の塗設 支持体の一方の側に支持体から近い順に下記処方の導電
層及びバック層をスライドコーターを用いて同時に塗布
した。 (2−1)導電層処方 ゼラチン(Ca2+含有量3000ppm) 100mg/m2 化合物−A 1mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 11mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 SnO2 /Sb(9/1重量比、平均粒径0.25μm) 200mg/m2
【0104】 (2−2)バック層処方 ゼラチン(Ca2+含有量30ppm) 添加量は第3表の通 り ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.4μm) 20mg/m2 化合物−A 4mg/m2 染料− 60mg/m2 染料− 40mg/m2 染料− 32mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 20mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 80mg/m2 酢酸 7mg/m2 硫酸ナトリウム 200mg/m2 化合物−C 8mg/m2 化合物−D 9mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 16mg/m2 1,3−ビス(ビニルスルホニル)−プロパノール−2 ゼラチンの1.8 wt%
【0105】
【化8】
【0106】(3) 感光層の塗設 ついで、もう一方の面に支持体から近い順に非感光性
層、乳剤層、保護層をスライドコーターを用いて同時に
塗設して乾燥した。 (3−1)非感光層処方 ゼラチン 1.0g/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 7mg/m2 1,3−ビス(ビニルスルホニル)−プロパノール−2 15mg/m2 ポリエチルアクリレートラテックス(粒径0.05μm) 600mg/m2
【0107】(3−2)乳剤層処方 Ag 1モル当り3.5×10-7モルのロジウムを含
む、臭化銀30モル%、塩化銀70モル%のハロゲン化
銀乳剤を当業界でよく知られた常法で調製し、可溶性塩
類を除去した後、ゼラチンを加えた。この乳剤にAg
1モル当りチオ硫酸ナトリウム6mg、塩化金酸8.5mg
加え、60℃50分間の化学増感を行った。得られた乳
剤の平均粒子サイズは0.25μの立方体粒子で乳剤1
kg当りのAgは125g、ゼラチンは53gであった。
この乳剤にオルソ増感色素として、1−(2−ヒドロキ
シエトキシエチル)−3−(ピリジン−2−イル)−5
−〔(3−スルホブチル−5−クロロ−2−ベンゾオキ
サゾリニデン)エチリデン〕−2−チオヒダントインカ
リウム塩11mg/m2を加え、さらにα−リボ酸7mg/
m2、ハイドロキノン27mg/m2、化合物−3mg/m2
1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール1mg/
m2、化合物−1mg/m2、化合物−6mg/m2、化合物
−4mg/m2、化合物−2mg/m2、安定剤として6−
メチル−4−ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラザ
インデン8mg/m2、硬膜剤として、1,3−ビス(ビニ
ルスルホニル)−プロパノール−2 40mg/m2を加
え、さらにエチルアクリレートラテックス(平均粒子サ
イズ0.05μm)900mg/m2、増粘剤としてポリス
チレンスルホン酸ナトリウム塩40mg/m2を加えた。こ
の塗布液を銀量3.5g/m2、ゼラチン1.6g/m2
なる様に塗布した。
【0108】
【化9】
【0109】 (3−3)保護層処方 ゼラチン 1.0g/m2 ポリメチルメタアクリレート微粒子(平均粒径2.5μm) 40mg/m2 化合物−B 50mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 40mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 8mg/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 18mg/m2
【0110】
【化10】
【0111】<試料6、7の作成> (1) 支持体 実施例1の水準1−19で用いた支持体上に実施例1と
同様にして、表面処理(グロー放電処理)、下塗り層の
塗設を両面に行った。 (2) バック層の塗設 この支持体の一方の面に下記導電層を塗設後、3分間乾
燥し、更にその上に下記バック層を塗設し、3分間乾燥
した。 (2−1)導電層処方 試料6用導電層 メチルメタクリレート:エチルアクリレート:アクリル酸=60:35:5の ラテックス(平均粒径0.1μm) 100mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2 SnO2 /Sb(9/1重量比、平均粒径0.25μm) 200mg/m2 乾燥温度 110℃ 試料7用導電層 塩化ビニリデン(分子量10万) 100mg/m2 SnO2 /Sb(9/1重量比、平均粒径0.25μm) 200mg/m2 (テトラヒドロフラン溶液) 乾燥温度 80℃
【0112】(2−2)バック層処方 試料6用バック層 ポリオレフィンラテックス 1g/m2 (三井石油化学工業(株)ケミパールS−120) ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.4μ) 20mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30mg/m2 C8F17SO3Li 8mg/m2 C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK 9mg/m2 乾燥温度 110℃ 試料7用バック層 ポリメチルメタクリレート(分子量10万) 1g/m2 架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.4μ) 20mg/m2 C8F17SO3Li 8mg/m2 C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK 9mg/m2 (酢酸エチル溶液) 乾燥温度 80℃ (3) 感光層の塗設 支持体から近い順に非感光性層、乳剤層、バック層と反
対面上に、保護層をスライドコーターを用いて同時塗布
した。
【0113】 (3−1)非感光性処方 ゼラチン 1.0g/m2 化合物−A 2mg/m2 固体分散染料A 70mg/m2 固体分散染料B 75mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 15mg/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 7mg/m2 1,3−ビス(ビニルスルホニル)−プロパノール−2 15mg/m2 ポリエチルアクリレートラテックス(粒径0.05μm) 600mg/m2 *固体分散染料A、Bの微粒子分散物の調製方法 本発明での調製方法は特開昭63−197943号の方
法に準じた。すなわち、水(434ミリリットル)及び
Triton X−200R界面活性剤(TX−200R)
(53g)(Rohm & Haas 社から販売)の6.7%溶液
とを、1.5リットルネジ蓋ビンに入れた。これに、染
料の20gと酸化ジルコニウム(ZrO2 )のビーズ
(800ミリリットル)(2mm径)を添加し、このビン
の蓋をしっかりしめて、ミル内に置き、内容物を4日間
粉砕した。内容物を12.5%のゼラチン水溶液(16
0g)に添加し、ロールミルに10分間置いて泡を減少
させた。得られた混合物をろ過して、ZrO2 ビーズを
除去した。得られた分散物の平均粒径は約0.3μmで
あるが粗大粒子を含んでいるので、この後遠心分離法に
よって分級し、最大粒子サイズが1μm以下になるよう
にした。
【0114】
【化11】
【0115】(3−2)乳剤層・保護層処方 試料1〜5と同様にして作成した。
【0116】<試料8〜14の作成>支持体として2軸
延伸した175μm厚みのPET(実施例1、水準1−
21の支持体)に実施例1と同様の表面処理(グロー処
理)、下塗りを施した。その上に、試料1、2、3、
4、5、6、7と同様のバック層、感光層を塗設したも
のを、それぞれ試料8、9、10、11、12、13、
14とした。
【0117】
【表4】 第3表 ──────────────────────────────────── 試 支持 乳剤面ゼラチン量(g/m2) バック面ゼラチン量(g/m2) 量 料 体 非感光層 乳剤層 保護層 総量 導電層 バック層 総量 比 ──────────────────────────────────── 1 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 3.5 3.6 1.00 2 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 2.6 2.7 0.75 3 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.7 1.8 0.50 4 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.4 1.5 0.42 5 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.1 1.2 0.33 6 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 0 0 0.00 7 1-19 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 0 0 0.00 8 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0 3.5 3.6 1.00 9 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0 2.6 2.7 0.75 10 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.7 1.8 0.50 11 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.4 1.5 0.42 12 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0.1 1.1 1.2 0.33 13 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0 0 0 0.00 14 1-21 1.0 1.6 1.0 3.6 0 0 0 0.00 ──────────────────────────────────── 註: (支持体)実施例1で使用した水準番号 (量比)バック面ゼラチン量/乳剤面ゼラチン量
【0118】<試料の評価>このようにして得られた感
光材料を25℃65%RHの雰囲気下で10日間保存し
た後以下の評価を実施した。 (1) 相対露光量 同じ感光層、バック層を有するPET支持体感材とシン
ジオタクティックポリ(スチレン−pメチルスチレン)
支持体の感度を対応させて、実施例1と同様にして評価
した。 (2) 寸法安定性 5cm×25cmに裁断した試料に200mmの間隔で直径8
mmの孔を2つあけ、25℃55%RHの雰囲気下で24
時間調湿した。その後ピンゲージを用いて2個の孔の間
隔を1/1000mmの精度で測定した。この長さをXmm
とする。次いで試料を25℃30%RHの雰囲気に移し
24時間湿調し同様に2孔の間隔(Ymm)を測定した。
寸法変化を以下の式で求めた。 寸法変化率=(X−Y)/{ 200×(55−30)}× 100
(%/%RH)
【0119】<結果>結果を第4表にまとめた。
【0120】
【表5】 第4表 ──────────────────────────────────── 試 支持 バック面ゼラチン量 寸法安定性 料 体 /乳剤面ゼラチン量 (10-3%/%RH) 相対露光量 ──────────────────────────────────── 1 1-19 1.00 0.81 85 2 1-19 0.75 0.77 84 3 1-19 0.50 0.73 86 4 1-19 0.42 0.70 85 5 1-19 0.33 0.71 84 6 1-19 0.00 0.67 85 7 1-19 0.00 0.68 84 8 1-21 1.00 1.42 100 9 1-21 0.75 1.37 100 10 1-21 0.50 1.32 100 11 1-21 0.42 1.30 100 12 1-21 0.33 1.29 100 13 1-21 0.00 1.22 100 14 1-21 0.00 1.22 100 ────────────────────────────────────
【0121】本発明の試料1〜7はいづれも良好な相対
露光量を示した。さらに、寸法安定性も良好であった。
さらにこの寸法安定性は、バック面ゼラチン量/乳剤面
ゼラチン量比を0.5以下にすることで一層良化するこ
とができた。
【0122】実施例3 下記のように、バック層に親水性コロイド層上に疎水性
ポリマー層を有する感光材料を調製した。 (1) 支持体 試料1〜4は実施例1の水準1−1の支持体(シンジオ
タクティックポリ(スチレン+pメチルスチレン)を、
また、試料5〜7は実施例1の水準1−20の支持体
(PET)を用い、これらに実施例1と同様に表面処理
(グロー放電処理)、下塗りを両面に施した。 (2) バック層の塗設 これらの試料1〜7に対し、下記導電層とバック層と疎
水性ポリマー層をスライドコーターを用いて同時に塗布
した後、40℃で5分間乾燥した。
【0123】 (2−1)導電層処方 SnO2 微粒子 200mg/m2 (SnO2 /Sb=9/1(重量比)、平均粒径0.25μ) ゼラチン 170mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 10mg/m2 1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 10mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩 9mg/m2 (2−2)バック層処方 ゼラチン 3g/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2 N,N′−エチレンビス−(ビニルスルホンアセトアミド) 200mg/m2 エチルアクリレートラテックス(平均粒径0.1μ) 1g/m2 (2−3)疎水性ポリマー層処方 試料1〜3、5〜7 バインダー;種類は第5表の通り 1g/m2 ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径5μm) 10mg/m2 n−C1632OSO3 Na 10mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3mg/m28 17SO3 K 3mg/m2 試料4 ゼラチン 1g/m2 N,N′−エチレンビス−(ビニルスルホンアセトアミド) 60mg/m2 ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径5μ) 10mg/m2 n−C1632OSO3 Na 10mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3mg/m28 17SO3 K 3mg/m2
【0124】(3) 感光層の塗設 ついでこの反対面に支持体から近い順に下記処方の染色
層、ハロゲン化銀乳剤層、保護層下層、保護層上層をス
ライドコーターを用いて同時に塗布して乾燥した。 (3−1)染色層 ゼラチン 1.0g/m2 *化合物例(染料A) 0.075g/m2 *化合物例(染料B) 0.070g/m2 リン酸 0.015g/m2 ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム 0.015g/m2 ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム 0.025g/m2 1,1′−ビス(ビニルスルホニル)メタン 0.030g/m2 *染料A及びBの調製方法は以下に示すとうりである。
これらの調製方法は特開昭63−197943号公報記
載の方法に準じた。すなわち、水(434ミリリット
ル)及び Triton X−200R界面活性剤(TX−20
0R)(53g)(Rohm & Haas 社から販売)の6.7
%溶液とを、1.5リットルネジ蓋ビンに入れた。これ
に、染料の20gと酸化ジルコニウム(ZrO2 )のビ
ーズ(800ミリリットル)(2mm径)を添加し、この
ビンの蓋をしっかりしめて、ミル内に置き、内容物を4
日間粉砕した。内容物を12.5%のゼラチン水溶液
(160g)に添加し、ロールミルに10分間置いて泡
を減少させた。得られた混合物をろ過して、ZrO2
ーズを除去した。このままだと平均粒径が約0.3μm
の微細粒子なので、この後遠心分離法によって分級し、
粒子サイズが1μm以下になるようにした。
【0125】
【化12】
【0126】 (3−2)乳剤層 乳剤の調製 I液 水 1000ml ゼラチン 20g 塩化ナトリウム 20g 1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg ベンゼンスルホン酸ナトリウム 6mg II液 水 400ml 硝酸銀 100g III 液 水 400ml 塩化ナトリウム 30.5g 臭化カリウム 14g ヘキサクロロイリジウム(III) 酸カリウム(0.001%水溶液) 15ml ヘキサブロモロジウム(III) 酸アンモニウム(0.001%水溶液) 1.5ml 38℃、pH=4.5に保たれたI液にII液とIII 液を
攪拌しながら同時に10分間にわたって加え、0.16
μmの核粒子を形成した。続いて下記IV液、V液を10
分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15
gを加え粒子形成を終了した。 IV液 水 400ml 硝酸銀 100g V液 水 400ml 塩化ナトリウム 30.5g 臭化カリウム 14g K4 Fe(CN)6 1×10-5モル/モルAg その後常法にしたがって、フロキュレーション法によっ
て、水洗し、ゼラチン40gを加えた。
【0127】この乳剤を、pH=5.3、pAg=7.
5に調整し、チオ硫酸ナトリウム5.2mg、塩化金酸1
0.0mgとN,N−ジメチルセレノ尿素を2.0mg加
え、ベンゼンスルホン酸ナトリウム8mg、ベンゼンスル
フィン酸ナトリウム2.0mgを加え、55℃で最適感度
になるように化学増感し、最終的に塩化銀80モル%を
含む、平均粒子径0.20μmのヨウ塩臭化銀立方体粒
子乳剤を調製した。次いで増感色素を5×10-4モル
/モルAg加えて、オルソ増感した。さらにカブリ防止
剤として、ハイドロキノン、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾールをAg1モル当りそれぞれ2.5g、
50mg、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックス
C、平均粒径0.015μm)をゼラチンに対し、30
重量%加え、可塑剤としてポリエチルアクリレートラテ
ックス(0.05μm)をゼラチンに対し、40重量
%、硬膜剤として、1,1′−ビス(ビニルスルホニ
ル)メタンを180mg/m2になる様に加えた。この塗布
液をAg3.0g/m2、ゼラチン1.5g/m2になる様
に塗布した。
【0128】
【化13】
【0129】 (3−3)保護層下層処方 m2当り ゼラチン 0.25g ベンゼンスルホン酸ナトリウム 4mg 1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 25mg ポリエチルアクリレートラテックス 125mg (3−4)保護層上層処方 m2当り ゼラチン 0.25g 平均2.5μmのシリカマット剤 50mg 化合物(滑り剤のゼラチン分散物) 30mg コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスC) 30mg 化合物 5mg ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 22mg
【0130】
【化14】
【0131】この様にして得られた試料を25℃65%
RHの雰囲気下に10日間保存した後以下の評価を実施
した。
【0132】(4) 評価 (4−1)バック層の膨潤 乾膜厚d0 の測定:試料の断面の走査型電子顕微鏡観察
から導電層+バック層の厚み、ポリマー層の厚みを求め
た。 湿潤膜厚dの測定:試料を25℃の蒸溜水に1分間浸漬
した後、湿潤状態にある試料を液体窒素により凍結して
試料断面の走査型電子顕微鏡観察から同様に求めた。こ
の様にして求めたd0 、dから下記式で膨潤度を求め
た。 膨潤度=d/d0
【0133】(4−2)処理に伴う寸法安定性 5cm×25cmに裁断した試料に200mmの間隔で直径8
mmの孔を2個あけ25℃30%RHの雰囲気下で24時
間調湿した。その後ピンゲージを用いて2個の孔の間隔
を1/1000mmの精度で測定した。この時の長さをX
mmとする。次いで自動現像機で現像処理をして、処理の
5分後に同様に2孔の間隔を測定し、これをYmmとす
る。処理に伴う寸法変化率を(Y−X)/200×10
0(%)で表わす。なお現像処理条件は以下の通りであ
る。 自動現像機 FG−800RA(富士写真フイルム製) 現像液 LD835 (富士写真フイルム製) 定着液 GR−F1 (富士写真フイルム製) 処理条件 38℃20秒処理 ドライヤー 45℃
【0134】(4−3)環境湿度変化に伴う寸度変化 5cm×25cmに裁断した試料に200mmの間隔で直径8
mmの孔を2個あけ、25℃55%RHの雰囲気下で24
時間調湿した。その後ピンゲージを用いて2個の孔の間
隔を1/1000mmの精度で測定した。この長さをXmm
とする。次いで試料を25℃30%RHの雰囲気に移
し、24時間調湿した後同様に2孔の間隔Ymmを測定す
る。環境湿度に伴なう寸法変化率を(X−Y)/{ 200
×(55−30)}×100 (%/%RH)で表わす。
【0135】(4−4)相対露光量 実施例1と同様に行った。但し同じバック層、感光層を
有するPET支持体感光材料を100として相対値で表
わした。また、現像処理は(4−2)の方法に従って行
っている。
【0136】(5) 結果 結果を第5表に示した。
【0137】
【表6】 第5表 ──────────────────────────────────── 試 ポリマー 膨潤率 寸法変化 相対 料 支持体 層 (1) (2) (3) (4) 露光量 ──────────────────────────────────── 1 SPS P−1 1.1 1.0 0.5 1.2 85 2 SPS P−2 1.1 1.0 0.5 1.1 86 3 SPS P−3 1.0 1.0 0.5 1.1 85 4 SPS ゼラチン 1.8 1.9 1.4 1.3 86 5 PET P−1 1.0 1.0 0.7 1.8 100 6 PET P−2 1.1 1.0 0.6 1.7 100 7 PET P−3 1.0 1.0 0.7 1.8 100 8 PET ゼラチン 1.8 1.9 1.7 2.0 100 ──────────────────────────────────── 註: (SPS)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポリマー(95/5) (PET)ポリエチレンテレフタレート (1)導電性層とバック層の膨潤率 (2)ポリマー層の膨潤率 (3)処理に伴う寸法変化(%) (4)環境湿度変化に伴う寸法変化(%/%RH)
【0138】本発明を実施した試料1〜4は全て良好な
相対露光量を示した。さらに、疎水性ポリマー層を親水
性コロイド層上に設けたバック層を有する試料1〜3は
さらに良好な処理に伴う寸法変化、環境に伴う寸法変化
を示した。
【0139】実施例4 (1)支持体構成ポリマ−の調製 実施例1の方法に従って、第6表の水準6−1〜9,1
6,17のスチレン含有率のシンジオタクチック構造を
有するポリ(スチレン/p−メチルスチレン)共重合体
を重合した。また、実施例1の方法に従って重合したシ
ンジオタクチック構造を有するポリ(スチレン)とシン
ジオタクチック構造を有するポリ(スチレン/p−メチ
ルスチレン)共重合体(スチレン含有率8wt%)を、第
6表の水準6−10〜15,18,19のスチレン含有
率に混合したものを作った。これらのポリマ−の重量平
均分子量(Mw)は40万〜50万であり、数平均分子
量(Mn)が22万〜26万でああった。また、13C−
NMRによるラセミペンタッドでのシンジオタクティシ
ティーは70〜74%であった。
【0140】(2)支持体の製膜 (2−1)押出し〜未延伸フィルムの作成 これらのホモポリマー、コポリマーを150℃で一昼夜
減圧、乾燥を行った後、ベント付単軸押出し機あるい
は、ポリマー混合体の場合はベント付2軸抽出し機を用
いてペレット化した。このペレットを130℃で一昼夜
乾燥した。これらのTgとTmを上述の方法で測定し、
結果を第6表に示した。次にこのペレットをフィルター
を内蔵し押出し機の先端にT−ダイを取り付けた装置で
押し出した。
【0141】この時の押出し機のホッパーからT−ダイ
出口までの帯留時間(単位時間当りの平均押出し量から
算出)はいずれも14分になるように押しだした。この
時の押し出し温度(押出し機の出口側1/2の平均温
度)は各ポリマ−のTm+90℃で実施した。
【0142】
【表7】 第6表 ──────────────────────────────────── 水準 支持 スチ 厚さ 熱物性 支持体特性 相対 製版 体 レン (μm)Tg Tm (1)(2)(3) 露光 特性 ──────────────────────────────────── 6-1 A 95 100 97 250 82 0.11 1.2 85 62 6-2 A 90 100 95 250 84 0.05 1.4 82 60 6-3 A 99.5 100 98 255 80 0.57 1.1 87 64 6-4 A 99.8 100 98 255 74 8.51 1.1 94 68 6-5 A 75 100 93 245 85 0 1.8 81 58 6-6 A 65 100 92 240 85 0 2.5 81 58 6-7 A 99.5 100 98 255 79 1.25 1.1 88 72 6-8 A 99.5 100 98 255 78 1.45 1.0 88 74 6-9 A 99.5 125 98 255 73 1.28 1.0 95 78 6-10 B 95 100 98 250 81 0.52 1.1 86 63 6-11 B 90 100 96 250 83 0.08 1.3 83 61 6-12 B 99.5 100 99 255 80 0.67 1.1 88 64 6-13 B 99.8 100 99 255 73 10.02 1.1 95 68 6-14 B 75 100 94 245 83 0.07 1.7 82 61 6-15 B 65 100 93 240 83 0.08 2.3 82 61 6-16 A 95 175 97 250 80 0.35 1.2 85 70 6-17 A 90 175 95 250 82 0.15 1.3 82 68 6-18 B 95 175 98 250 81 0.27 1.1 86 69 6-19 B 90 175 96 250 83 0.03 1.2 83 67 6-20 PET −− 100 69 240 72 0.01 5.5 100 72 6-21 PET −− 175 69 240 72 0.01 4.8 100 85 ────────────────────────────────────
【0143】註: (A)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポリマー (B)スチレン/p−メチルスチレンsyn-コポリマー+
syn-ポリスチレン混合体 (PET)ポリエチレンテレフタレート (スチレン)支持体中のスチレン含有量(重量%) (1)350nmに対し厚さを100μmに換算したと
きの紫外光透過率(%) (2)球晶の体積率(%) (3)湿度膨張係数(10-6/%RH) (相対露光)写真特性としての相対露光量(%) (製版特性)PS版の焼き付けにおける感度(秒)
【0144】このようにしてT−ダイから押出されたメ
ルトは、冷却ロール上で固化し未延伸シートを形成す
る。T−ダイ出口から冷却ロールまでの到達時間は、い
ずれの水準も0.3秒に設定した。キャスティングドラ
ムの温度は各ポリマ−のTg−60℃に調節した。ま
た、キャスティング時に静電印加法を適用し、平面性の
確保を行った。このような未延伸シートの厚みは、2軸
延伸後ちょうど第6表および第7表に示した厚みになる
ようにT−ダイの間隔を調整することで達成した。
【0145】(2−2)延伸フィルムの作成 このようにして得られた未延伸シートをTg+15℃で
縦方向にロール間延伸を行い3.5倍に、この後Tg+
20℃で横方向にテンターを用いて4.0倍に延伸を行
った。この時の延伸速度は縦、横両方向とも3000%
/分で行った。 このようにして得られた2軸延伸フィ
ルムを250℃で30秒、5%の熱緩和を行いながら実
施した。また、比較例として用いたPET支持体は常法
に従って重合、製膜したものを用いた。 (2−3)支持体の評価 熱固定まで終了したフィルムの厚み、紫外光透過率、球
晶体積率および湿度膨張係数を上述の方法に従って測定
した。これら値は第6表に示した。共重合体でも混合体
でも、スチレン含率を式1の範囲内にすることでよりい
っそう高い紫外光透過性を得ることができる。一方この
範囲を越えるものは紫外線透過性が小さくなり易く、こ
の範囲未満のものは湿度膨張係数が大きくなり易い。
【0146】(3)写真感材 (3−1)調製 この支持体に実施例1と同様にして、表面処理、下塗層
の塗設を支持体の両面に実施した。この片面に下記組成
の導電層及びバック層を塗布した。 <導電層> SnO2 /Sb(9/1重量比、平均粒径0.25μm) 200mg/m2 ゼラチン(Ca2+含有量3000ppm) 77mg/m2 化合物−11 7mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナ−トナトリウム 40mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 9mg/m2 <バック層> ゼラチン(Ca2+含有量30ppm) 3.6g/m2 化合物−11 3mg/m2 ポリメチルメタクリレ−ト微粒子(平均粒径3.4μm) 50g/m2 化合物−12 40g/m2 化合物−13 40g/m2 化合物−14 80g/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 75g/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナ−トナトリウム 20g/m2 化合物−15 5g/m2 N−パ−フルオロオクタンスルホニル−N−プロピル 7g/m2 グリシンポタジウム 硫酸ナトリウム 50g/m2 酢酸ナトリウム 85g/m2 1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 150g/m2
【0147】
【化15】
【0148】
【化16】
【0149】次いで、支持体の反対側の面に、下記組成
の乳剤層、保護層下層、保護層上層を同時に塗布した。 <乳剤層> 乳剤の調節 I液 水 1000ml ゼラチン 20g 塩化ナトリウム 20g 1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20g ベンゼンスルホン酸ナトリウム 6mg II液 水 400ml 硝酸銀 100g III 液 水 400ml 塩化ナトリウム 30.5g 臭化カリウム 14g ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム (0.001%水溶液) 15ml ヘキサブロモジウム(III)酸アンモニウム (0.001%水溶液) 1.5ml 38℃、pH=4.5に保たれたI液にII液と III液を
撹拌しながら同時に10分間にわたって加え、0.16
μmの微粒子を形成した。続いて下記IV液、V液を10
分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15
gを加え粒子形成を終了した。
【0150】 IV液 水 400ml 硝酸銀 100g V液 水 400ml 塩化ナトリウム 30.5g 臭化カリウム 14g K4 Fe(CN)6 1×10-5モル/モルAg その後常法にしたがって、フロキュレーション法によっ
て、水洗し、ゼラチン40gを加えた。この乳剤を、p
H=5.3、pAg=7.5に調節し、チオ硫酸ナトリ
ウム5.2mg,塩化金酸10.0mgとN,N−ジメ
チルセレノ尿素を2.0mg加え、ベンゼンスルホン酸
ナトリウム2.0mgを加え、55℃で最適感度になる
ように化学増感し、最終的に塩化銀80モル%を含む、
平均粒子径0.20μmのヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤
を調製した。次いで増感色素を5×10-4モル/モル
Ag加えて、オルソ増感した。さらにカブリ防止剤とし
て、ハイドロキノン、1−フェニル−5−メルカプトテ
トラゾールをAg1モル当たりそれぞれ2.5g,50
mg、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックス
C,平均粒径0.015μm)をゼラチンに対し、30
重量%加え、可塑剤としてポリエチルアクリレートラテ
ックス(0.05μm)をゼラチンに対し、40重量
%、硬膜剤として、1,1’−ビス(ビニルスルホニ
ル)メタンを100mg/m2 加えた。この塗布液をA
g3.9g/m2 、ゼラチン1.8g/m2 になる様に
塗布した。
【0151】
【化17】
【0152】 <保護層下層処方> m2 当たり ゼラチン 0.7g ベンゼンスルホン酸ナトリウム 4mg 1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 25mg ポリエチルアクリレ−トラテックス 125mg <保護層上層処方> m2 当たり ゼラチン 0.5g ポリメチルメタクリレ−ト微粒子(平均粒径2.5μm) 40mg 化合物−16(滑り剤のゼラチン分散物) 60mg コロイダルシリカ(日産化学製スノ−テックスC) 60mg 化合物−17 5mg ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 22mg この試料の動摩擦係数はすべて0.22±0.03(2
5℃60%RH、サファイヤ針φ=1mm、荷重100
g、スピ−ド60cm/min)であった。
【0153】
【化18】
【0154】(3−2)評価 実施例1と同様にして相対露光量の評価を実施した。た
だし現像液、定着液は富士写真フイルム製SR−D1、
SR−F1を用い、自動現像機FG−660F(富士写
真フイルム製)で38℃20秒実施した。ここで言う相
対露光量とは、同一厚みのPET支持体を用いた感材と
の露光量を比較したものである。結果を第6表および第
7表に示した。式1の範囲のスチレン含有率を有するも
のは良好な相対露光量を得た。 (4)PS版への露光・感度評価 このようにして得た写真感材を用いて上記方法に従って
平版印刷原版への露光感度を測定した。本発明の式1の
範囲の感材を用いたものは、露光に用いている紫外線の
透過性が高いため、PETを支持体に用いた場合に比
べ、短時間で焼き付けることが可能であった。
【0155】比較例1 特開平3−131843号公報の実施例2と同様に、厚
さが85μmのプラスチック支持体(1)を作成した。
支持体(1)は、シンジオタクチック構造を有するポリ
スチレンとアタクチック構造を有するポリスチレンの混
合物からなる。アタクチック構造を有するポリスチレン
の量は、ジンジオタクチック構造を有するポリスチレン
の量の10重量%である。支持体(1)は、同公報に記
載されている通常の方法で調製した。別に、特開平3−
131843号公報の実施例3と同様に、厚さが85μ
mのプラスチック支持体(2)を作成した。支持体
(2)は、シンジオタクチック構造を有するスチレン/
p−メチルスチレンコポリマーである。コポリマーは、
950mlのスチレンと、50mlのp−メチルスチレ
ンから合成した。支持体(2)は、同公報に記載されて
いる通常の方法で調製した。支持体(1)および(2)
について、本明細書の実施例1と同様に、紫外光透過率
を測定した。その結果、(1)の紫外光透過率は66%
であり、(2)の紫外光透過率は67%であった。ま
た、本明細書の実施例1と同様に、湿度膨張係数を測定
しところ、(1)および(2)の係数は5×10-7(/
%RH)であり、特開平3−131843号公報の実施
例に記載されている通りであった。以上の結果から明ら
かなように、特開平3−131843号公報の各実施例
に記載の支持体は湿度膨張係数に関して本発明よりも優
れているが、紫外光透過率については本発明の支持体の
方が優れている。この違いは、支持体の製造方法におけ
る処理条件、特に搬送条件の違いにより生じたものであ
る。
【0156】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、紫外線
透過性に優れ、湿度寸法安定性にも優れた写真用支持体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コポリマーまたはポリマー混合体中の好ましい
スチレン含量を示すグラフである。
【図2】本発明の支持体の製造方法を模式的に示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
A 式(Ia)または(IIa)の式で定義するスチレン
含量の上限 B 式(Ib)または(IIb)の式で定義するスチレン
含量の上限 C 式(Ic)または(IIc)の式で定義するスチレン
含量の上限 c 式(Ic)または(IIc)の式で定義するスチレン
含量の下限 b 式(Ib)または(IIb)の式で定義するスチレン
含量の下限 a 式(Ia)または(IIa)の式で定義するスチレン
含量の下限 1 ホッパー 2 押出機 3 フィルター 4 T−ダイ 5 キャスティングドラム 6 赤外線ヒーター 7 横延伸ゾーン 8 熱固定ゾーン 9 熱緩和ゾーン 10 巻取機 I 冷却工程 II 搬送工程 III 縦延伸工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/795 G03C 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクチック構造を有するスチレ
    ン系ポリマーを含み溶融されたプラスチックをキャステ
    ィングドラム上に押し出し、シートを形成する工程; 25℃からスチレン系ポリマーのガラス転移点より20
    ℃高い温度までの範囲の温度で、キャスティングドラム
    上でシートを冷却する工程; スチレン系ポリマーのガラス転移点より70℃低い温度
    からガラス転移点より20℃高い温度までの範囲の温度
    で、直径が50乃至1000mmのロールを用いてシー
    トを搬送する工程;そして シートを延伸する工程からな
    る写真用支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 シンジオタクチック構造を有するスチレ
    ン系ポリマーを含み溶融されたプラスチックをキャステ
    ィングドラム上に押し出し、シートを形成する工程; 25℃からスチレン系ポリマーのガラス転移点より20
    ℃高い温度までの範囲の温度で、キャスティングドラム
    上でシートを冷却する工程; スチレン系ポリマーのガラス転移点より70℃低い温度
    からガラス転移点より20℃高い温度までの範囲の温度
    で、直径が50乃至1000mmのロールを用いてシー
    トを搬送する工程;そして シートを延伸する工程により
    製造され、100μmの厚さの支持体において測定した
    350nmの紫外光透過率が70%以上であることを特
    徴とする写真用支持体。
  3. 【請求項3】 シンジオタクチック構造を有するスチレ
    ン系ポリマーが、スチレンと他のビニル系モノマーとの
    コポリマーである請求項2に記載の写真用支持体。
  4. 【請求項4】 支持体がシンジオタクチック構造を有す
    るポリスチレンと他のビニル系ポリマーとの混合物から
    なる請求項2に記載の写真用支持体。
  5. 【請求項5】 請求項1で製造した写真用支持体上にハ
    ロゲン化銀乳剤層が設けられている写真材料を像様露光
    する工程; 写真材料を現像して写真画像を形成する工程;そして
    真材料とPS版を重ね合わせた状態で写真材料側から紫
    外光を照射し、PS版上に印刷用画像を形成する工程か
    らなる印刷用画像形成方法。
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