JP3446851B2 - 光ファイバ検査装置 - Google Patents

光ファイバ検査装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光の干渉を利用した光
ファイバ検査装置(OFDR:OpticalFrequency Domai
n Reflectmeter)に関し、特に光が伝搬遅延する光導波
路(ここでは、遅延回路とも称する)を利用して光周波
数の偏差を検出し、光周波数の直線掃引制御ができるよ
うにした光ファイバ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より光周波数を直線掃引する方法と
しては大別して次の2つの方法がある。1つは、電気・
光変換器(以下E/O変換器という)の光周波数が図9
の(a)に示すように駆動電流に比例することを利用する
方法であり、図10に示すように、E/O変換器1を電
流制御回路の出力電流により駆動すると共に温度制御
回路2により温度制御を行うが、電流制御回路の駆動
電流をランプ波発生器20より出力されるランプ信号に
よりランプ波変調し、この変調信号でE/O変換器1を
駆動する方法である。他の方法は、E/O変換器の光
周波数が図9の(b) に示すように温度に比例することを
利用して、図11に示すような構成により温度をランプ
波変調してE/O変換器1の温度を制御する方法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、駆動電
流または温度のみで変調した場合、光周波数を直線掃引
することが困難であるという欠点があった。
【0004】本発明の目的は、遅延回路を設けることに
より、単位時間あたりの光周波数変化量を検出し、光周
波数の直線掃引制御が可能な光ファイバ検査装置を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために請求項1の発明では、E/O変換器と、このE
/O変換器の温度を制御する温度制御回路と、前記E/
O変換器の駆動電流を制御する電流制御回路と、前記E
/O変換器の光周波数を変調する変調信号を出力する変
調信号発生器と、前記E/O変換器の出力を分岐する第
1の光分配器と、この第1の光分配器の一方の出力光を
ミラーと被検査対象の光ファイバに与えこのミラーと光
ファイバ中の障害点からの反射光を合波するマイケルソ
ン干渉計と、このマイケルソン干渉計の干渉信号を検出
する第1の光検出器と、この光検出器の出力を周波数解
析し前記被検査対象の光ファイバ中の障害点までの距離
および障害点からの反射量を求めることのできる周波数
解析器と、前記第1の光分配器からの他方の出力光を
延する遅延回路を備え、この遅延回路の入力光と出力光
を合波した光に基づいて単位時間あたりの光周波数変化
量を検出しその検出結果に基づいてE/O変換器の光周
波数を直線掃引するための制御信号を発生する直線掃引
制御手段を具備したことを特徴とする。
【0006】
【作用】E/O変換器の出力光の一部を取り出し、それ
を2分し、一方を遅延した後合波し光検出器でこれを検
出する。E/O変換器をランプ波変調した電流で駆動す
るとその出力光の光周波数はランプ波変調され、このと
き光検出器で検出された信号の周波数は光周波数の変化
の傾きと遅延時間の積に等しくなっている。E/O変換
器の出力光の光周波数が直線掃引されていれば、光検出
器の出力の周波数は一定となる。そこで、光検出器の出
力を既知の周波数信号と比較して周波数あるいは位相が
一致するように変調信号を制御し、直線掃引を実現す
る。
【0007】
【実施例】以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明に係る光ファイバ検査装置の一実施例を示
す構成図である。図において、1はE/O変換器、2は
E/O変換器1の温度を制御する温度制御回路、3はE
/O変換器1の駆動電流を制御する電流制御回路、4は
光アイソレータ、5はミラー、6は光を分岐するビーム
スプリッタ、7は被検査対象の光ファイバである。な
お、ミラー5、ビームスプリッタ6、光ファイバ7から
成る部分8はマイケルソン干渉計である。
【0008】9はマイケルソン干渉計8の干渉縞を検出
する光検出器、10は光検出器9の出力信号の周波数と
信号強度とを解析する周波数解析器、11と12は光を
分岐する光分配器(ビームスプリッタ)であり、特に1
1を第1の光分配器、12を第2の分配器と呼ぶ。13
はビームスプリッタ12の出力光を遅延させるための遅
延回路であり、ここでは既知の長さの光ファイバであ
る。14はビームスプリッタ12の出力光と光ファイバ
13の出力光を合波する光合波器である。
【0009】15は光合波器14の出力光を検出する光
検出器、16は光検出器15の出力信号から所望の周波
数成分のみを透過させるバンドパスフィルタ、17は既
知の周波数信号を出力する発振器、18はバンドパスフ
ィルタ16の出力信号と発振器17の出力信号との周波
数差または位相差を検出する位相比較器、19は位相比
較器18の出力信号に基づき光周波数を制御する制御回
路、20は変調信号を出力する変調信号発生器、21は
制御回路19の出力信号と変調信号発生器20の出力信
号とを加算する加算器である。
【0010】なお、ここでは、第2の光分配器12、遅
延回路13、光合波器14、光検出器15、発振器1
7、位相比較器18、制御回路19から成る部分を、単
位時間あたりの光周波数変化量を検出し、光周波数の直
線掃引制御を行うための直線掃引制御手段と呼ぶ。
【0011】このような構成における動作を次に説明す
る。温度制御回路2によりE/O変換器1の温度を一定
に制御する。E/O変換器1の出力光は、アイソレータ
4とビームスプリッタ11、6とを透過し外部に出力さ
れる。変調信号発生器20から出力するランプ波を電流
制御回路3に入力してE/O変換器1の駆動電流をラン
プ波変調した場合、図2の(a) に示すようにE/O変換
器1の出力光の光周波数はランプ波変調 a(Δf/Δ
t) される。
【0012】前記外部に出力した光は、被検査対象の光
ファイバ7に入射し、光ファイバ中の障害点で反射され
てビームスプリッタ6に再び入射して、ミラー5で反射
した光とビームスプリッタ6で合波される。このとき、
光ファイバ7の障害点までの距離Lが光の可干渉距離の
1/2以下であれば、光の干渉縞が光検出器9で検出さ
れる。障害点で反射した光とミラー5で反射した光の間
には、 Δt=2・n・L/c0 ただし、n :光ファイバ7の屈折率 c0 :真空中の光速 の時間差がある。
【0013】よって、光検出器9では、時間差Δtの間
に変化した周波数 Δf=a・Δt=2・a・n・L/c0 に等しい数の干渉縞が、単位時間あたりに検出される。
光検出器9の出力は、周波数解析器10で周波数と信号
強度が解析される。変調の傾きaが一定であれば、解析
された周波数は障害点までの距離Lに比例するため、周
波数から距離Lが計算でき、信号強度から反射量が求め
られる。
【0014】他方、ビームスプリッタ11で分岐された
光は、ビームスプリッタ12を透過し、既知の長さLc
の光ファイバ13に入力される。光ファイバ13から出
力した光は光合波器14に入り、ビームスプリッタ12
で分岐された光と合波される。光合波器14で合波され
た光は、光検出器15で電気信号に変換される。
【0015】このとき、光ファイバ13で遅延された光
とビームスプリッタ12で分岐された光の間には一定の
時間差t=n・Lc /c0 が生じるため、遅延時間内に
変化した光周波数の差、すなわち光周波数の変化の傾き
(単位時間あたりの光周波数変化量)と光ファイバ13
による遅延時間との積 f=a・t=a・n・Lc /c0 に等しい周波数の信号が光検出器15から出力される
(図2の(a) )。
【0016】よって、光周波数の変化の傾きが一定(直
線掃引されている)ならば、光検出器15より出力され
る信号の周波数は一定となる。光検出器15から出力さ
れた信号は、バンドパスフィルタ16で不要な周波数成
分が取り除かれ、発振器17より出力される既知の周波
数の信号と位相比較器18で周波数または位相が比較さ
れる。制御回路19は、位相比較器18の出力信号に基
づき光検出器15から出力される信号の周波数が一定と
なるように制御信号を出力する。制御回路19より出力
された制御信号は、加算器21で変調信号発生器20の
出力と加算され、電流制御回路3に入力される。
【0017】なお、本発明は上記実施例の構成には限定
されない。例えば、光アイソレータ4やバンドパスフィ
ルタ16は用いなくても動作上問題はない。また、加算
器21は電流制御回路3に含むように構成してもよい。
また、遅延回路13としては、光導波路を使用すること
もできる。
【0018】また、図3に示すように、温度制御回路2
を変調信号発生器20と制御回路19の出力で駆動する
ようにしてもよい。図4は他の実施例の場合であり、図
1と異なるところは、変調信号発生器20の出力を温度
制御回路2に与えて駆動するようにした点である。この
ような構成によっても同様に光周波数を直線掃引するこ
とができる。
【0019】図5は制御回路19の出力を温度制御回路
2に加えると共に、変調信号発生器20の出力を電流制
御回路3に与えるようにした場合の構成例である。図6
は図1の装置に記憶装置22を付加した構成例である。
位相検出器18の出力を記憶装置22に記憶するように
したもので、制御を行わずに周波数掃引した結果を記憶
しておき、その出力結果に基づいて変調周波数が直線掃
引されるように変調信号発生器20の出力を制御回路1
9で補正するようにした場合の構成例である。
【0020】図7は同期回路23を付加したもので、ラ
ンプ波変調を繰り返し行う場合は変調信号発生器20で
発生する変調信号の繰り返しに同期した同期信号を同期
回路23から制御回路19に与え、図2の(b) に示すよ
うに開始と停止を行うようにした場合の構成例である。
【0021】図8はE/O変換器1の出力を位相変調す
る位相変調器を設け、これを変調信号発生器20の出力
で制御するようにした場合の構成例である。
【0022】また、光の遅延を目的とした遅延回路13
に偏波保持光ファイバを用いてもよく、そのような光フ
ァイバを用いることにより合波器14に入射する光の偏
向を制御することがてきるため光検出器の出力信号のS
/N比を改善することができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、遅
延回路を設けることにより、単位時間あたりの変調周波
数の変化量を一定に制御することができるので、光強度
の変調周波数の直線掃引が可能となり、障害点までの距
離分解能と距離確度を容易に向上させることができる。
また、光の遅延を目的とした光導波路に偏波保持光ファ
イバを用いれば、合波器に入射する光の偏向を制御する
ことができ、光検出器の出力信号のS/N比を容易に改
善することができる。また、変調信号の繰り返しに同期
した同期信号で制御の開始と停止を行うようにした場合
は、繰り返し測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ検査装置の一実施例を
示す構成図
【図2】本発明の動作を説明するための説明図
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図
【図4】本発明の更に他の実施例を示す構成図
【図5】本発明の更に他の実施例を示す構成図
【図6】本発明の更に他の実施例を示す構成図
【図7】本発明の更に他の実施例を示す構成図
【図8】本発明の更に他の実施例を示す構成図
【図9】E/O変換器の特性を示す図
【図10】従来の直線掃引方法に係る構成を示す要部構
成図
【図11】従来の他の直線掃引方法に係る構成を示す要
部構成図である。
【符号の説明】
1 E/O変換器 2 温度制御回路 3 電流制御回路 4 光アイソレータ 5 ミラー 6 ビームスプリッタ 7 光ファイバ 8 マイケルソン干渉計 9、15 光検出器 10 周波数解析器 11、12 ビームスプリッタ 13 遅延回路 14 光合波器 16 バンドパスフィルタ 17 発振器 18 位相比較器 19 制御回路 20 変調信号発生器 21 加算器 22 記憶装置 23 同期回路 24 位相変調器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−323953(JP,A) 特開 平6−53590(JP,A) 特開 昭61−103361(JP,A) 特開 昭59−50587(JP,A) 特開 平8−54586(JP,A) 特開 平7−270841(JP,A) 実開 平3−19933(JP,U) 米国特許5062703(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/02 G01J 1/00 G01J 9/00 - 9/04 G01J 11/00 G01B 9/02 G01B 11/00 G01K 11/12 G02F 1/01 - 2/02 H01S 3/00 H01S 5/06 H04B 3/46 H04B 10/08 H04B 17/00 - 17/02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】E/O変換器と、 このE/O変換器の温度を制御する温度制御回路と、 前記E/O変換器の駆動電流を制御する電流制御回路
    と、 前記E/O変換器の光周波数を変調する変調信号を出力
    する変調信号発生器と、 前記E/O変換器の出力を分岐する第1の光分配器と、 この第1の光分配器の一方の出力光をミラーと被検査対
    象の光ファイバに与えこのミラーと光ファイバ中の障害
    点からの反射光を合波するマイケルソン干渉計と、 このマイケルソン干渉計の干渉信号を検出する第1の光
    検出器と、 この光検出器の出力を周波数解析し前記被検査対象の光
    ファイバ中の障害点までの距離および障害点からの反射
    量を求めることのできる周波数解析器と、 前記第1の光分配器からの他方の出力光を遅延する遅延
    回路を備え、この遅延回路の入力光と出力光を合波した
    光に基づいて単位時間あたりの光周波数変化量を検出し
    その検出結果に基づいてE/O変換器の光周波数を直線
    掃引するための制御信号を発生する直線掃引制御手段を
    具備したことを特徴とする光ファイバ検査装置。
  2. 【請求項2】前記直線掃引制御手段は、前記第1の光分
    配器の出力光をさらに分岐する第2の光分配器と、この
    第2の光分配器の一方の出力を通す前記遅延回路として
    光導波路と、この光導波路の出力と前記第2の光分配
    器の他方の出力を合波する光合波器と、この光合波器の
    出力を検出する第2の光検出器と、既知の周波数信号を
    出力する発振器と、前記第2の光検出器の出力信号と前
    記発振器の出力信号との周波数差または位相差を検出す
    る位相検出器と、この位相比較器の出力に基づき前記E
    /O変換器の光周波数を直線掃引するための制御信号を
    出力する制御回路から構成されたことを特徴とする請求
    項1記載の光ファイバ検査装置。
  3. 【請求項3】前記変調信号発生器の出力と前記制御回路
    の出力とを、前記電流制御回路または前記温度制御回路
    に与えて前記E/O変換器の出力光の光周波数を制御す
    るように構成したことを特徴とする請求項2記載の光フ
    ァイバ検査装置。
  4. 【請求項4】前記変調信号発生器の出力を前記温度制御
    回路に与えて前記E/O変換器の温度を変調し、前記制
    御回路の出力を前記電流制御回路に与えて前記E/O変
    換器の出力光の光周波数を制御するように構成したこと
    を特徴とする請求項2記載の光ファイバ検査装置。
  5. 【請求項5】前記変調信号発生器の出力を前記電流制御
    回路に与えて前記E/O変換器の駆動電流を変調し、前
    記制御回路の出力を前記温度制御回路に与えて前記E/
    O変換器の出力光の光周波数を制御するように構成した
    ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ検査装置。
  6. 【請求項6】前記直線掃引制御手段は、前記第1の光分
    配器の出力光をさらに分岐する第2の光分配器と、この
    第2の光分配器の一方の出力を通す前記遅延回路として
    光導波路と、この光導波路の出力と前記第2の光分配
    器の他方の出力を合波する光合波器と、この光合波器の
    出力を検出する第2の光検出器と、既知の周波数信号を
    出力する発振器と、前記第2の光検出器の出力信号と前
    記発振器の出力信号との周波数差または位相差を検出す
    る位相検出器と、この位相比較器の出力を記憶する記憶
    装置と、この記憶装置の値に基づき前記E/O変換器の
    光周波数が直線掃引されるように前記変調信号発生器の
    出力を補正する制御回路とを備えたことを特徴とする請
    求項1記載の光ファイバ検査装置。
  7. 【請求項7】前記直線掃引制御手段は、前記第1の光分
    配器の出力光をさらに分岐する第2の光分配器と、この
    第2の光分配器の一方の出力を通す前記遅延回路として
    光導波路と、この光導波路の出力と前記第2の光分配
    器の他方の出力を合波する光合波器と、この光合波器の
    出力を検出する第2の光検出器と、既知の周波数信号を
    出力する発振器と、前記第2の光検出器の出力信号と前
    記発振器の出力信号との周波数差または位相差を検出す
    る位相検出器と、この位相比較器の出力に基づき前記E
    /O変換器の光周波数を直線掃引するための制御信号を
    出力する制御回路と、前記変調信号発生器の出力の繰り
    返しに同期し制御の開始と停止を行うための信号を前記
    制御回路に与える同期回路を備えたことを特徴とする請
    求項1記載の光ファイバ検査装置。
  8. 【請求項8】前記E/O変換器と第1の光分配器の間に
    接続され、前記変調信号発生器により制御されて前記E
    /O変換器の出力を位相変調する位相変調器を備え、 前記直線掃引制御手段は、前記第1の光分配器の出力光
    をさらに分岐する第2の光分配器と、この第2の光分配
    器の一方の出力を通す前記遅延回路としての光導波路
    と、この光導波路の出力と前記第2の光分配器の他方の
    出力を合波する光合波器と、この光合波器の出力を検出
    する第2の光検出器と、既知の周波数信号を出力する発
    振器と、前記第2の光検出器の出力信号と前記発振器の
    出力信号との周波数差または位相差を検出する位相検出
    器と、この位相比較器の出力に基づき前記位相変調器の
    出力の光周波数が直線掃引されるように前記変調信号発
    生器に信号を加える制御回路から構成されたことを特徴
    とする請求項1記載の光ファイバ検査装置。
  9. 【請求項9】前記光導波路として、偏波保持光ファイバ
    を使用したことを特徴とする請求項2ないし8のいずれ
    かに記載の光ファイバ検査装置。
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