JP3445997B2 - 高強度・高靱性熱間圧延鋼帯の製造方法 - Google Patents

高強度・高靱性熱間圧延鋼帯の製造方法

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JP3445997B2 JP18505096A JP18505096A JP3445997B2 JP 3445997 B2 JP3445997 B2 JP 3445997B2 JP 18505096 A JP18505096 A JP 18505096A JP 18505096 A JP18505096 A JP 18505096A JP 3445997 B2 JP3445997 B2 JP 3445997B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラインパイプ用鋼
管の製造に用いる高強度・高靱性の熱間圧延鋼帯の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラインパイプ用鋼管に要求される特性
は、強度、靱性、溶接性、耐食性と多岐にわたる。電縫
溶接法により製造するラインパイプ用鋼管においても同
様である。そのためには、鋼管を製造するための熱間圧
延鋼帯において、特性の確保が必要である。
【0003】上記の要求特性の内、強度と靱性は、従来
からの多くの例にも見られる様に、しばしば、両立が困
難である。たとえば、強化元素を含有させると靱性は劣
化することが多い。
【0004】合金元素で強化して高強度・高靱性の熱間
圧延鋼帯を得る方法には、たとえば、Ti、Nb、V等
の析出強化型元素を合金化し、それらの微細な析出物に
より強化する方法や、Cr、Ni、Mo等の、主として
マトリックスを固溶強化する元素を含有させる方法等が
ある。
【0005】前者の析出物の強化作用を利用する方法で
は、これらの元素を比較的少量、含有させることによ
り、大きな降伏強度の増加が得られる。しかしながら、
強力な炭化物あるいは、窒化物形成元素である、これら
の元素を含有させると、僅かの製造条件の差により、そ
の特性が大きく変化する。
【0006】たとえば、Tiを含有する溶鋼では、大気
中より侵入したNがTiNを形成する。この場合のTi
Nは比較的大きな析出物となるため、鋼を強化する作用
はほとんどない。したがって、鋼中に進入するN量が多
い場合は、TiN以外の析出物を形成して鋼の強化に働
くTi量が減少し、十分な降伏強度が得られない。
【0007】一方、固溶しているTi、V、Nb等の炭
化物や窒化物が析出する場合には、その条件が僅かに変
化するだけで、析出物の大きさや、密度が大きく変化
し、その結果、降伏強度等の機械的性質が異なることも
多い。
【0008】また、これらの元素の炭化物や窒化物は、
鋼の靱性を劣化させる。上記したような溶解時に鋼中に
生成した比較的大きいTiNも、靱性を劣化させるが、
鋼に固溶した炭化物や窒化物が、微細な析出物となって
析出した場合の靱性への悪影響はさらに大きい。しかも
この悪影響も場合によりその程度が異なる。
【0009】この様に、析出物のよる強化作用を利用す
る場合は、僅かな製造条件の差が大きな特性の差になっ
て現れやすく、ほぼ同一の組成の鋼の間の比較や、1つ
の鋼材の中の異なった位置における比較においても、特
性が大きく異なることがしばしば起こる。
【0010】特開昭63−145745号公報には、T
i、V、Nbを添加した熱延高張力鋼帯と、その製造方
法が開示されている。しかし、示されている降伏強度
は、25〜48kgf/mm2 の広い範囲にばらついて
おり、なおかつ、そのばらつきの発生する理由が明確で
ない。
【0011】上記のような欠点を持ってはいるが、T
i、V、Nb等の強化方法によると、比較的安価に高強
度の鋼を得ることが可能なため、たとえば、川崎製鉄技
報誌、第13巻、第1号、第53頁〜第62頁、(19
81年発行)に例を見るように、ラインパイプ用電縫溶
接鋼管としても、広く実用化している。
【0012】なお、Ti、Nb、Vの炭化物および窒化
物の鋼中における挙動は、似ている点も多い。そのた
め、個々の元素を区別せず、Ti、Nb、Vの1種、ま
たは2種以上含有すると記述されている例も多い。たと
えば、特開昭63−227715号公報にもその例が見
られるが、ここでは個々の元素の作用については、注目
をしておらず、どれかが含有されていれば良いとの考え
方である。
【0013】なお、上記した、特開昭63−14574
5号公報に開示されている発明では、Nb、Ti、Vを
添加しているにもかかわらず、それらの析出物を強化に
積極的に利用する材質設計はとっていない。すなわち、
冷却途中の析出を抑えることに重点を置いた材料設計で
ある、急冷、低温巻取りを行っており、その結果、得ら
れている降伏強度は低い。特開昭63−227715号
公報に開示されている発明においても同様であり、靱性
は十分であるが、降伏強度は低い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】鋼を強化する元素とし
ての、Ti、V、Nbは、少量含有させることで、大き
な効果が得られる。一方、それらを添加した鋼は、特性
がばらつきやすい欠点がある。また、強度と靱性が両立
しにくい。
【0015】電縫溶接鋼管の製造には通常、熱間圧延鋼
帯を用いるが、熱間圧延鋼帯は巻取り、コイル冷却の工
程を経て製造される。巻取りはある程度の高温で行なう
必要があり、巻取られた後のコイルは、相当に遅い冷却
速度で冷やされる。従来のTi、V、Nb含有鋼は、巻
取り温度を低くし、コイルになった後には、炭化物の析
出が起こらない製造方法を採用しているものが多いが、
この方法ではばらつきはある程度は小さくできるが、降
伏強度は低くなる。
【0016】上記の様な事情にあるため、比較的安価
な、高強度・高靱性のラインパイプ用電縫溶接鋼管の製
造に用いる鋼帯が求められており、特に、降伏強度が5
50MPa以上の鋼材への要望が大きい。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、 常温の降
伏強度が550MPa以上、0℃のシャルピー衝撃試験
の吸収エネルギーが、200J以上の高強度・高靱性の
熱間圧延鋼帯を得るために、検討を重ねて本発明を完成
させた。
【0018】本発明者らは、 まず、Ti、V、Nb等の
炭化物の析出状態と、降伏強度およびと靱性との関係に
ついて検討した。そして、平均粒径が10nm以下の微
細な(Ti、V、Nb)Cの析出物が鋼中に存在する場
合に、高い降伏強度と靱性が得られるとの知見を得た。
〔以後、この平均粒径が10nm以下の微細な(Ti、
V、Nb)Cの析出物を、(Ti、V、Nb)Cと記
す。〕
【0019】この(Ti、V、Nb)Cを鋼中に形成さ
せるためには、鋼にTi、Nb、Vの3種の元素を最適
な量含有させる必要があり、さらに、適切な加工・熱履
歴を与える必要がある。
【0020】第1発明は、重量%で、C:0.05〜
0.11%、Si:0.35%以下、Mn:1.40〜
1.80%、Ti:0.015〜0.070%、Nb:
0.030〜0.060%、V:0.050〜0.09
0%、Al:0.0005〜0.10%、N:0.00
50%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
らなり、更に、(1)式で表される、Ti*が、0.0
15%以上である組成の鋼を、1150〜1250℃の
温度域で圧延を開始し、730〜860℃の温度域で圧
延を終了後、5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却
し、550〜650℃で巻取ってYS≧550MPaの
鋼帯を得ることを特徴とする高降伏強度・高靭性熱間圧
延鋼帯の製造方法である。 Ti*(%)=Ti(%)−N(%)×48/14・・・・(1) 第2発明は 重量%で、C:0.05〜0.11%、S
i:0.35%以下、Mn:1.40〜1.80%、T
i:0.015〜0.070%、Nb:0.030〜
0.060%、V:0.050〜0.090%、Al:
0.0005〜0.10%、N:0.0050%以下、
更にCu≦1.0%以下,Ni≦1.0%以下,Cr≦
1.0%以下,Mo≦1.0%以下、Ca≦0.01%
を一種または二種以上含有し、残部がFe及び不可避的
不純物からなり、(1)式で表される、Ti*が、0.
015%以上である組成の鋼を、1150〜1250℃
の温度域で圧延を開始し、730〜860℃の温度域で
圧延を終了後、5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却
し、550〜650℃で巻取ってYS≧550MPaの
鋼帯を得ることを特徴とする高降伏強度・高靭性熱間圧
延鋼帯の製造方法である。 Ti*(%)=Ti(%)−N(%)×48/14・・・・(1)
【0021】 Ti* (%)=Ti(%)−N(%)×48/14・・・・・・(1) まず、成分範囲の限定理由について述べる。
【0022】Cは、Ti、Nb、Vと(Ti、V、N
b)Cを形成して、鋼を強化する元素である。十分な降
伏強度を確保するためには0.05%以上含有させる必
要が有る。一方、Cは溶接性に有害な元素であり、その
悪影響は、0.11%越えると顕著になる。したがっ
て、 C量は0.05〜0.11%の範囲とする。
【0023】Siは、溶鋼の脱酸に必要な元素であり、
0.01%以上含有させることが望ましいが、Al等の
他の元素によっても代替可能である。一方、0.35%
を超えて含有させると、鋼の靭性、特に、溶接HAZ部
の靭性を劣化させる。したがって、 Si量は0.35%
以下とする。
【0024】Mnは、鋼の強度を確保するために必要な
元素である。 含有量が1.40%未満の場合は降伏強度
が不足する。一方、Mnは溶接性に有害な元素であり、
特に、含有量が1.80%を越えると悪影響が顕著にな
る。したがって、 Mn量は1.40〜1.80%の範囲
とする。
【0025】Alは脱酸に必要な元素である。 その量が
0.0005%未満の場合には、十分な脱酸効果が期待
できない。一方、0.10%を超えて過剰に含有させる
と、靱性が劣化し、また、連続鋳造時のスラブの表面に
キズが発生しやすい。したがって、Al量は0.000
5〜0.10%とする。
【0026】Tiは、Nb、Vと共に、(Ti、V、N
b)Cを形成して鋼を強化する。十分な降伏強度を確保
するためには、0.015%以上のTiを含有させる必
要がある。一方、Ti量が多くなると、複合炭化物の析
出状態が変化して強度が低下し、また、靱性も劣化す
る。これらのTiの悪影響は、0.070%を越えると
顕著になる。したがって、Ti量の範囲は、0.015
〜0.070%とする。
【0027】NbもTi、Vと共に、(Ti、V、N
b)Cを形成すが、そのためには0.030%以上含有
させる必要がある。一方、Nb量が多くなると、複合炭
化物の析出状態が変化して強度が低し、また、靱性も劣
化する。これらのNbの悪影響は、0.060%を越え
ると顕著になる。したがって、Nb量の範囲は、0.0
30〜0.060%とする。
【0028】Vも、Nb、Tiと共に、(Ti、V、N
b)Cを形成するが、そのためには0.050%以上含
有させる必要がある。一方、V量が多くなると複合炭化
物の析出状態が変化して強度が低下し、また、靱性も劣
化する。これらのVの悪影響は、0.090%を越える
と顕著になる。したがって、V量の範囲は、0.050
〜0.090%とする。
【0029】先に述べたようにTiは鋼中では、まずN
とTiNを形成する。したがって、(Ti、V、Nb)
Cを形成するTiは、含有させたTiの内のTiNを形
成していないTiになる。
【0030】Ti* はそのTi量であり、 Ti* (%)=Tiの含有量−TiNを形成していない
Ti量 であるが、具体的には、すべてのNがTiとTiNを形
成すると仮定して、 Ti* (%)=Tiの含有量−N含有量×(48/14)・・・・・(1) より求める。このTi* が、0.015%以上の場合に
上記の(Ti、V、Nb)Cが形成される。すなわち、
Ti量が、先に示した0.015〜0.070%の範囲
にある場合も、N量が多く、Ti* が、0.015未満
の場合は、(Ti、V、Nb)Cが形成されず、十分に
高い降伏強度が得られない。
【0031】(Ti、V、Nb)C中のTi:V:Nb
の割合は、重量比で、5:4:1程度である。また、十
分な降伏強度を得るためには、(Ti、V、Nb)Cと
して存在するV量は0.010%以上でなければならな
い。従って、Tiは、0.008%以上、Nbは、0.
002%以上必要である。このTi、V、Nb量は、
(Ti、V、Nb)C中のこれらの量(重量)の(T
i、V、Nb)Cを含む鋼の重量に対する値である。す
なわち、鋼に対する(Ti、V、Nb)Cの重量%(た
とえば、抽出して)が0.030%で、その析出物中の
V量が、0.010%であれば、(Ti、V、Nb)C
中のVの量は、33%である。
【0032】なお、平均粒径が10nmとは、例えば、
10万倍の倍率で鋼を調査した場合に、粒径が測定可能
な析出物の平均径であり、実際上は5〜30nm程度の
析出物が対象となる。これらの析出物の10個以上の平
均値である。凝固時に既に存在するTiNの巨大析出物
は、この平均値には含まれない。
【0033】なお、本発明においては、たとえば耐食性
を上げる作用を有する元素である、Cu≦1.0%以
下,Ni≦1.0%以下,Cr≦1.0%以下,Mo≦
1.0%以下、Ca≦0.01%を一種または二種以上
で含有させた場合も、上記の(Ti,V,Nb)Cの状
態には大きな変化はなく、同様に優れた強度と靭性を持
つ鋼帯が得られる。
【0034】鋼中の不可避的不純物のPおよびSは、そ
の量が増加すると鋼の靭性や延性に悪影響を及ぼす。悪
影響が現れない上限は、おのおの0.020%、0.0
10%であり、この値以下に制限する。
【0035】つぎに、加工・熱履歴について述べる。上
記の(Ti、V、Nb)Cを鋼中に析出させるために
は、1150〜1250℃の温度域で圧延を開始する。
上限を1250℃とした理由は、この温度を越える温度
で開始すると、高温域での圧下量が大きくなるため、圧
延後の結晶粒径(フェライト−パーライト組織であ
る。)が大きくなり、十分な靱性が得られない。
【0036】一方、1150℃より低い場合は圧延開始
時に、または、転移密度が十分に高くなっていない状態
で、かなりの量の複合炭化物が形成され、低温におい
て、(Ti、V、Nb)Cとして析出する量が減少して
十分な強度が得られなくなる。好ましい温度範囲は、1
180〜1230℃である。
【0037】熱間圧延の終了温度は、730〜860℃
とする。860℃を越えている場合は、組織が粗くな
り、また、複合炭化物が粗大になり十分な強度が得られ
ず、靱性も低下する。730℃より下がると靱性が低下
する。最適温度範囲は、750〜780℃である。
【0038】730〜860℃の温度域で圧延を終了
し、5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却する。5℃
/sec未満の場合は、冷却途中に結晶粒が粗大化し、
また、複合炭化物が析出する。冷却速度の上限は特に定
める必要はないが、50℃/sec程度である。
【0039】ついで、550〜650℃の温度範囲で巻
取る。巻取り後の冷却速度は、30℃/h程度であり、
400℃程度まで約10時間をかけて冷却される。その
間に、上記した(Ti、V、Nb)Cが析出するが、熱
間圧延時に鋼中に導入された転位が析出物の微細化に有
効に働き、強度・靱性共に優れた、また、特性のばらつ
きの少ない鋼帯が得られる。
【0040】巻取り温度が650℃を越える場合は、析
出する複合炭化物の粒径が大きくなる。また、550℃
より下がると、析出量が不足する。好ましい範囲は57
0〜630℃である。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の実施においては、まず、
上記した組成の鋼を溶製し、連続鋳造によりスラブとす
る。Nの含有量は可能な限り低くする。得られたスラブ
をそのまま、粗圧延、連続圧延を行なって鋼帯としても
良く、1度、冷却したスラブとし、再加熱して上記の工
程をとっても良い。薄鋳片をつくり高温のまま、連続圧
延を行なって鋼帯としても良い。圧延開始温度は、強度
・靱性を確保するために、1220℃近傍とする。
【0042】圧延終了温度は、760℃程度とやや低温
である。低温仕上げにより、鋼中に積極的に転位を導入
する。圧延機を出た鋼帯を冷却ゾーンで、空冷および水
冷により、600℃程度に下げて巻取る。巻取り温度
は、通常の熱延鋼帯の製造の場合に比較して、やや高温
である。
【0043】その後、鋼帯を用いて電縫溶接鋼管を製造
するが、この製管工程は、通常の方法でよい。
【0044】
【実施例】表1に本発明が規定する範囲内の成分を持つ
鋼を示した。また、表2に何れかの成分が、本発明が規
定する範囲を外れている鋼を示した。表1中の、No.
1鋼は、Ti* が下限に近く、No.7鋼はVが低め、
No.9鋼はNbが下限に近い。No.10鋼はNが上
限に近い。
【0045】表2中のNo.21鋼はVが不足、No.
22鋼はNbが不足、No.23鋼はTi* が不足、N
o.24鋼はTi* が不足し、Nが上限、No.25鋼
はTiが過剰、No.26鋼はNbが過剰、No.27
鋼はVが過剰、No.28鋼はNが過剰である。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】これらの表1および表2中に示した各鋼を
実験室で真空溶解し、50kgインゴットとし、120
0℃に加熱して板圧50mmまで圧延した後、空冷し
た。その鋼板から50×150×400mmの板を切り
出し、圧延開始温度を1200〜1230℃、圧延終了
温度を760〜780℃とし、12mmまで圧延した。
【0049】その後、平均冷却速度:10℃/secで
冷却し、前もって、570〜610℃に加熱しておいた
電気炉に挿入し、平均冷却速度:30℃/hで炉冷し
た。これらの工程は熱間圧延による鋼帯の製造条件をシ
ミュレートしたものである。
【0050】表3に本発明の実施例を示す。実施例のN
o.は、表1中の鋼のNo.と同一である。表中には製
造条件も示したが、圧延開始温度、圧延終了温度、巻取
り温度共に、先に述べた好ましい範囲内にある。いずれ
の鋼においても、550MPa以上の降伏強度、および
200J以上の吸収エネルギーが得られた。
【0051】
【表3】
【0052】表4に本発明の比較例を示す。実施例のN
o.は、表2中の鋼のNo.と同一である。製造条件は
表1における場合と同様に、圧延開始温度、圧延終了温
度、巻取り温度共に、先に述べた好ましい範囲内にあ
る。
【0053】これらの鋼は、成分のいずれかが、本発明
が規定する範囲を外れており、V、Nb、Ti* の何れ
かが少ない場合は、降伏強度が十分でない。Ti、V、
Nb、の何れかが多い場合は、降伏強度も低く靱性も低
い。
【0054】
【表4】
【0055】表5に、製造条件が本発明が規定する範囲
の、上限または、下限に近い実施例を示した。表1中の
No.5鋼を用いて表中に示した種々の条件下で製造し
た。圧延開始温度がやや低い実施例A、圧延終了温度が
やや高い実施例D,巻取り温度がやや低い実施例E、お
よび、冷却速度がやや低い実施例Gは降伏強度が多少低
い。
【0056】一方、圧延開始温度がやや高い実施例B、
圧延終了温度がやや低い実施例C,巻取り温度がやや高
い実施例Fは靱性が低い。しかし、製造条件をこのよう
に広い範囲に変化させているにも係わらず、降伏強度の
範囲は563〜601MPaと、極めて狭い範囲に分布
している点は注目に値する。
【0057】
【表5】
【0058】表6に、製造条件が本発明が規定する範囲
を外れる比較例を示した。表1中のNo.1、No.
2、およびNo.5鋼を用いて、種々の条件下で製造し
たもので、圧延開始温度が下限より低い比較例K、圧延
終了温度が上限を越えている比較例Iおよび比較例N,
巻取り温度が下限より低い比較例H、比較例Jおよび比
較例O、冷却速度が下限未満の比較例Qは降伏強度が低
い。
【0059】一方、圧延開始温度が上限を越えている比
較例L,圧延終了温度が上限より高い比較例I、比較例
N、圧延終了温度が下限より低い比較例M、巻取り温度
が上限を越えている比較例Pは靱性が200Jに満たな
い。
【0060】
【表6】
【0061】上記の結果をもとに、工場で熱間圧延鋼帯
を製造し、さらに電縫溶接鋼管を製造した。転炉溶解・
連続鋳造によりスラブとし、1220℃に加熱しホット
ストリップミルで、10.8mmtの鋼帯としている。
成分を表7に、また、製造条件および諸特性を表8に示
した。電縫溶接鋼管の寸法は、305φ×10.8mm
tである。何れの鋼帯および電縫溶接鋼管とも、550
MPa以上の降伏強度、200J以上の吸収エネルギー
を示している。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【発明の効果】本発明の完成により、強度、靱性ともに
優れた、電縫溶接鋼管用の熱延鋼帯が得られた。特に、
従来は不可能であった、安価な析出硬化型鋼により、高
い降伏強度および靱性を有する鋼帯が得られたことの意
義は大きい。また、本発明により得られた鋼帯は、従来
の析出硬化型に比較して、その特性のばらつきが小さい
特徴も有している。鋼帯より製造した電縫溶接鋼管も同
様に優れた特性を示した。
フロントページの続き (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 大和田 浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−168217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.05〜0.11%、S
    i:0.35%以下、Mn:1.40〜1.80%、T
    i:0.015〜0.070%、Nb:0.030〜
    0.060%、V:0.050〜0.090%、Al:
    0.0005〜0.10%、N:0.0050%以下を
    含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、更
    に、(1)式で表される、Ti*が、0.015%以上
    である組成の鋼を、1150〜1250℃の温度域で圧
    延を開始し、730〜860℃の温度域で圧延を終了
    後、5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却し、550
    〜650℃で巻取ってYS≧550MPaの鋼帯を得る
    ことを特徴とする高降伏強度・高靭性熱間圧延鋼帯の製
    造方法。 Ti*(%)=Ti(%)−N(%)×48/14・・・・(1)
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.05〜0.11%、
    Si:0.35%以下、Mn:1.40〜1.80%、
    Ti:0.015〜0.070%、Nb:0.030〜
    0.060%、V:0.050〜0.090%、Al:
    0.0005〜0.10%、N:0.0050%以下、
    更にCu≦1.0%以下,Ni≦1.0%以下,Cr≦
    1.0%以下,Mo≦1.0%以下、Ca≦0.01%
    を一種または二種以上含有し、残部がFe及び不可避的
    不純物からなり、(1)式で表される、Ti*が、0.
    015%以上である組成の鋼を、1150〜1250℃
    の温度域で圧延を開始し、730〜860℃の温度域で
    圧延を終了後、5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却
    し、550〜650℃で巻取ってYS≧550MPaの
    鋼帯を得ることを特徴とする高降伏強度・高靭性熱間圧
    延鋼帯の製造方法。 Ti*(%)=Ti(%)−N(%)×48/14・・・・(1)
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