JP7298777B2 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷間でのしぼり加工の際の異方性が小さく、熱処理前後での強度変化が少ないシリンダー用として好適な熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
インド、アフリカといった都市ガス等のインフラが整理されていない地域におけるエネルギーの供給は、薪を中心としたものから、ガスシリンダーのような圧力容器に可燃性のガスを封入するものが大半である。エネルギー需要の増加に伴いシリンダーの需要も拡大しつつある。シリンダー用に用いられる原板は、黒皮の熱延鋼板である。これをブランク加工後、しぼり加工を行い、溶接をして熱処理(焼準)を行う。このため、冷間でのしぼり加工の際の異方性が小さく、かつ熱処理前後の強度変化が少なく、さらに熱処理後の強度確保が要求される。
このようなシリンダー用の鋼板としては、特許文献1のように、化学成分として質量%で、C:0.040~0.150%、Si:0~0.500%、Mn:0.10~1.50%を含み、固溶Nb:0.005~0.030%である熱延鋼板が知られている。この熱延鋼板を熱処理した場合、NbがNbCとして析出し、ピン止め効果を発揮し、熱処理後の鋼板の軟質化を防止することが、知られている。
WO2016-171212号公報
特許文献1に記載した技術では、熱延鋼板に、Nbのような単価の高い合金元素を添加する必要があることから、工業生産としては、経済的に不向きな成分設計であった。同時にNbのような添加元素は、冷間でのしぼり加工時に異方性が悪くなることが知られている。
一方、シリンダーの加工メーカーでは、加工性の観点から、原板の鋼板には低い強度を、かつ熱処理後は所定の強度を保証してほしいとの要望がある。このため、熱処理前後での強度変化が少なく、かつ安価な鋼板の供給が求められていた。
また、加工時の歩留を向上させるため、絞り加工後の耳をトリムしないで使用する例もある。このため、冷間でのしぼり加工時に異方性の少ない鋼板が求められている。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、安価であり、冷間でのしぼり加工時の異方性が小さく、熱処理前後での強度変化の少ない熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
一般に、シリンダー用の熱延鋼板では、熱処理前後での強度変化が大きく、オーステナイト相の段階で結晶粒径が粗大化してしまい、強度が保持できないという課題があった。同時に、炭化物を形成するNbを添加した上記の成分系においては、合金単価が高く製造コストが高くなり、かつ異方性が悪くなることが、知られている。
本発明者らは、シリンダー用の熱延鋼板について鋭意検討を重ねた結果、熱処理後の強度をCeqによって予測可能であり、また、異方性を小さくするために仕上圧延時の圧下率を制御できるという知見を得た。
本発明の要旨は次のとおりである。
[1]成分組成として、質量%で、C:0.160~0.20%、Si:0.01~0.10%、Mn:0.70~0.90%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.001~0.10%、N:0.010%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
下記(1)式で表されるCeqが0.30以上0.32以下であり、
板厚6mm以下であり、
引張強さが410MPa以上500MPa以下であり、
かつ、焼準温度890℃以上940℃以下の温度で30分保持し、大気中で放冷し、常温となった熱処理後の引張強さが410MPa以上500MPa以下であって、熱処理前後での引張強さの差が、50MPa以下であり、
下記(2)式で表されるΔrが-0.20以上0.20以下である熱延鋼板。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。
Δr=(r+r90)/2-r45・・・(2)
、r45およびr90は、それぞれ、鋼板の圧延方向に対して、0°、45°及び90°方向のr値(ランクフォード値)である。
[2]前記成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.010~0.30%、Ni:0.010~0.10%、Cu:0.010~0.10%、Cr:0.010~0.050%、V:0.01~0.05%、Mo:0.01~0.10%、Ca:0.0001~0.0200%、Mg:0.0001~0.0200%から選択される1種または2種以上を含む[1]に記載の熱延鋼板。
[3][1]または[2]に記載の熱延鋼板の製造方法であって、
前記成分組成を有するスラブを1100℃以上1300℃以下に加熱し、次いで、熱間圧延を施すに際し、粗圧延後、仕上圧延出側温度を800℃以上900℃以下とし、かつ、仕上圧延の最終パスを含む連続する3パスでの合計の圧下率を50%以上80%以下として仕上圧延を行った後、ランナウト冷却し、その後550℃以上650℃以下の巻取温度で巻き取る熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、熱処理前後での強度変化が少ないため、熱処理後の強度を保証でき、かつ冷間でのしぼり加工時の異方性が小さい熱延鋼板が得られる。
以下、本発明の熱延鋼板について説明する。
まず、本発明における成分の限定理由について説明する。なお、各元素の%表示は、特に記載がない限り質量%を意味する。
C:0.160~0.20%
Cは、この範囲内において固溶強化元素として働き鋼板の強度を増加させ、強度を確保するのに有用な元素である。このような効果を得るために、Cは0.160%以上とする。一方、0.20%を超える含有は、カップリングの際の溶接性を低下させる。このため、C量は0.20%以下とする。好ましくは0.18%以下である。
Si:0.01~0.10%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し鋼板の強度を増加させる。このような効果を得るために、Siは0.01%以上とする。0.10%を超える含有は、母材の表層にスケールとして付着し表面粗度を悪化させるため、Siの含有は0.10%以下とする。なお、鋼板に所望の強度を持たせるために、好ましくは0.01~0.05%の範囲とする。より好ましくは0.03%以下とする。
Mn:0.70~0.90%
Mnは、固溶して鋼板の強度を増加させる作用を有する元素で安価であり、高価な他の合金元素の含有を最小限に抑えることを目的の一つとして含有する。本発明では、熱処理後の強度を維持するために、0.70%以上の含有を必要とする。好ましくは0.80%以上とする。一方、0.90%を超える含有は、鋼板の靱性を低下させる。このため、Mn量は0.90%以下とする。従って、好ましくは0.80~0.90%の範囲である。
P:0.030%以下
Pは、鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。この目的では0.001%以上の含有が好ましい。しかし、靱性、とくに溶接部の靱性を低下させる元素である。0.030%を超えて含有すると、上記した悪影響が顕著となるため、P量は0.030%以下とする。好ましくは0.010%以下である。
S:0.030%以下
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を劣化させるとともに、鋳片中央偏析部などに多量に偏在して鋳片等における欠陥を発生しやすくする。このような傾向は0.030%を超える含有で顕著となる。このため、S量は0.030%以下とする。好ましくは0.010%以下である。一方でS量は少ないほど好ましいため、下限は限定されず0%であってよい。
sol.Al:0.001~0.10%
sol.Alは、脱酸材として有効であるとともに、窒化物を形成してオーステナイト粒径を小さくする効果を有する元素である。この効果を得る観点からsol.Al量は0.001%以上とする。一方でAl量が過多の場合、靭性が劣化する。よってsol.Al量は、0.10%以下とし、好ましくは、0.05%以下とする。
N:0.010%以下
Nは、延性および靭性を低下させる元素である。このため、N量は、0.010%以下とする。一方でN量は少ないほど好ましいため、下限は限定されず0%であってよい。ただし通常、Nは不純物として鋼中に不可避的に含有されるため、N量は工業的には0%超であってよい。後述の有効Ti量との関係から、N量は0.0050%以下が好ましい。
以上が本発明の基本化学成分であり、残部はFe及び不可避的不純物からなる。
本発明では、必要に応じて、Ti:0.010~0.30%、Ni:0.010~0.10%、Cu:0.010~0.10%、Cr:0.010~0.050%、V:0.01~0.05%、Mo:0.01~0.10%、Ca:0.0001~0.0200%、Mg:0.0001~0.0200%の中から選ばれる1種または2種以上を選択元素として含有することができる。
Ti:0.010~0.30%
Tiは、Nとの親和力が強い元素であり、凝固時にTiNとして析出し、鋼中の固溶Nを減少させ、冷間加工後のNの歪時効による靭性劣化を低減する作用を有する。また、TiNとして析出していない余剰分のTiは、TiCを形成し、析出物としてピン留め効果を発揮し、結晶粒の粗大化を抑止する。このような効果を得るため、Ti量は0.010%以上とすることが好ましい。0.020%以上とすることがさらに好ましい。さらに、有効Ti量:(Ti/48-N/14)×48において0.003%以上含有することが好ましい。一方、Ti量が0.30%を超えて含有すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Tiを含有する場合、Tiの含有量は0.30%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.10%以下とする。有効Ti量では、0.20%以下とすることが好ましい。
Ni:0.010~0.10%
Niは、高温での相変態を抑止し、鋼板の強度を高める。この目的ではNiを含有する場合は、0.010%以上であることが好ましい。しかしながら、Niの含有量が多すぎると、鋼板の溶接性が低下する。したがって、Niの含有量は0.10%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.050%以下である。
Cu:0.010~0.10%
Cuは、微細な粒子として鋼中に析出し、鋼板の強度を高める。この目的でCuを含有する場合は、0.010%以上であることが好ましい。しかしながら、Cuの含有量が多すぎると、鋼板の溶接性が低下する。したがって、Cuを含有する場合、Cuの含有量は0.10%以下であることが好ましい。
Cr:0.010~0.050%
Crは、高温での相変態を抑止し、鋼板の強度を高める。この目的でCrを含有する場合は、0.010%以上であることが好ましい。しかしながら、Cr含有量が多すぎると、鋼板の加工性が低下して、生産性が低下する。したがって、Crを含有する場合、Crの含有量は0.050%以下であることが好ましい。
V:0.01~0.05%
VはTiと同様に、鋼板を析出強化、細粒強化及び転位強化して、鋼板の強度を高める。この目的でVを含有する場合は、0.01%以上であることが好ましい。しかしながら、Vの含有量が多すぎると、炭窒化物が過剰に析出して鋼板の成形性が低下する。したがって、Vを含有する場合、Vの含有量は0.05%以下であることが好ましい。
Mo:0.01~0.10%
Moは、Ti、Vと同様に、鋼板を析出強化、細粒強化及び転位強化して、鋼板の強度を高める。前記効果を得るために、Mo含有量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、Mo量が過多になると溶接性が低下する。そのため、Moを含有する場合、Moの含有量は0.10%以下とする。好ましくは、0.05%以下とする。
Ca:0.0001~0.0200%
Caは、高温での安定性が高い酸硫化物を形成することで溶接性を向上させる元素である。前記効果を得るために、Ca含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Ca含有量が0.0200%を超えると、清浄度が低下して鋼板の靭性が損なわれる。そのため、Caを含有する場合、Caの含有量は0.0200%以下とすることが好ましい。
Mg:0.0001~0.0200%
Mgは、高温での安定性が高い酸硫化物を形成することで溶接性を向上させる元素である。前記効果を得るためには、Mg含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Mg含有量が0.0200%を超えると、Mgの添加効果が飽和して含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。そのため、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.0200%以下とすることが好ましい。
Ceqが0.30以上0.32以下
本発明において、熱処理後の強度確保の点から、Ceqは0.30以上0.32以下とする。Ceqは下記(1)式で表される。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。
Ceqが0.30未満では、熱処理後の引張強さを維持することができない。一方、Ceqが0.32を超えると、熱処理後の引張強さが目標値を超過してしまうため0.32以下とした。
板厚:6mm以下
本発明の熱延鋼板の板厚は、圧延後のしぼり加工性の点から、6mm以下とする。
引張強さが410MPa以上500MPa以下
本発明において、引張強さは410MPa以上500MPa以下とする。なお、この引張強度は熱処理前(焼準前)の引張強さである。引張強さが410MPa未満では、シリンダー用鋼板として所定の圧力の可燃性のガスを封入することができない。好ましくは450MPa以上とする。引張強さが500MPa超えでは、しぼり加工時に加工性が悪化する。
焼準温度890℃以上940℃以下の温度で30分保持し、大気中で放冷し、常温となった熱処理後の引張強さが410MPa以上500MPa以下であって、熱処理前後での引張強さの差が、50MPa以下
シリンダー用に用いられる熱延鋼板は、ブランク加工後、しぼり加工を行い、溶接をして熱処理(焼準)を行う。通常、焼準温度は890℃以上940℃以下、30分の均熱時間にて焼準(熱処理)が行われており、この焼準(熱処理)前後での強度変化が少ない材料が求められている。本発明において、熱処理後、すなわち、焼準温度890℃以上940℃以下の温度で30分保持し、大気中で放冷し、常温となった後の引張強さが410MPa以上500MPa以下とする。熱処理後の引張強さを410MPa以上500MPa以下とし、さらに、熱処理前後での引張強さの差が50MPa以下とすることにより、熱処理前後での強度変化が少ない材料となる。なお、焼準については温度および均熱時間については特段制限がなく、例えば熱処理炉を用いて行えばよい。また、30分の均熱後は、例えば大気中で放冷し、常温(例えば25℃)となった鋼板(試験片)について、引張強さを測定すればよい。
Δrが-0.20以上0.20以下
本発明では、異方性の指標であるΔrを-0.20以上0.20以下とする。なお、Δrは下記(2)式で表される。
Δr=(r+r90)/2-r45・・・(2)
、r45およびr90は、それぞれ、鋼板の圧延方向に対して、0°、45°及び90°方向のr値(ランクフォード値)である。
Δrが-0.20未満および0.20超えでは、しぼり加工後に端面が耳伸びを起こし、組立時の溶接性が悪化する。
なお、本発明の熱延鋼板の組織としては、フェライト相とパーライト相の2相組織であればよい。
つぎに、本発明の製造方法について説明する。
上述した成分組成を有する鋼を、転炉、電気炉等の溶製手段で常法により溶製し、連続鋳造法または造塊分塊法等で常法によりスラブとする。その後、スラブを加熱し、粗圧延を行い、仕上圧延後に冷却設備で冷却したのち、コイル状に巻取を行う。なお、溶製方法、鋳造方法については上述した方法に限定されるものではない。
スラブの加熱温度:1100℃以上1300℃以下
加熱温度が1100℃未満では、炭化物が完全に溶解せず、固溶Cが不足するため、強度が低下しやすい。一方、加熱温度が1300℃を超えると、組織が粗大化して鋼板の靱性が低下する。このため、スラブの加熱温度は1100℃以上1300℃以下の範囲とする。なお、好ましくは1180℃以上1250℃以下の範囲である。
仕上圧延出側温度:800℃以上900℃以下
熱間圧延に際し、粗圧延後、仕上圧延を行う。本発明では、仕上圧延出側温度は、800℃以上900℃以下とする。900℃を超えると鋼板表面のスケールが厚くなりすぎてしまい、スケール剥離することが懸念される。一方で、温度が800℃未満では、圧延中にスケールが破壊されたり、薄くなりすぎてしまうため黒皮としての保護性被膜として作用しなくなる。好ましくは850℃以上とする。なお、仕上圧延出側温度は鋼板の表面温度とする。
仕上圧延の最終パスを含む連続する3パスでの合計の圧下率を50%以上80%以下として仕上圧延を行う
仕上圧延の最終パスを含んだ連続する3パス、すなわち、仕上圧延の後段での圧下率を上げることにより、結晶粒度を上げ、加工時の異方性が小さい鋼板を製造することが可能になる。仕上圧延の最終パスを含んだ連続する3パスでの合計の圧下率が50%を下回ると結晶粒が粗大化し、異方性の指標であるΔr値が-0.20以上0.20以下の範囲外となり、加工時に耳切代が大きくなる。なお、好ましくは60%以上である。また、通板性の観点から80%以下とする。また、温度低下に伴い圧延荷重が大きくなることから70%以下が好ましい。
さらに本発明では、仕上圧延の後段での圧下率を上げるという点から、仕上圧延の最終パスの圧下率が20%以上であることが好ましい。
巻取温度:550℃以上650℃以下
巻取温度が550℃未満では、熱処理前の強度が高くなる傾向にあり、熱処理前の強度を保証できない。一方で、巻取温度が650℃超えでは、同様に熱処理前の強度が低くなる傾向にあり強度を保障できない。また、成分実績のCeqに応じて巻取温度を設定することで、強度を適正値に制御することがより好ましい。具体的には、Ceqから推奨される巻取温度(CT*とする)と実際の巻取温度との差を30℃以内に管理することが好ましい。なお、CT*は以下の式(3)で表され、Ceqと巻取温度の関係から外挿した結果である。
CT*=5000×Ceq-950・・・(3)
ただし、式(3)はCeq:0.30~0.32で成立するものとする。
なお、仕上圧延後はランナウト冷却を行い、巻き取ればよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す成分組成の鋼を転炉により溶製し、連続鋳造法でスラブとした後、1230℃でスラブを加熱し、表2に示す条件にて仕上げ圧延を7パスとする熱間圧延を行った。なお、板厚は、2.6mmとした。
得られた熱延鋼板を用いて、以下の試験方法に従い、熱処理前後での引張特性、Δrの評価を行った。
熱処理前の熱延鋼板について、熱延鋼板の幅中央位置より、圧延方向に対して直角方向にJIS5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取した。また、熱延鋼板を930℃に均熱した炉で30分熱処理を行い、取り出し後、大気中で室温まで放冷したサンプルを、熱処理後の熱延鋼板とした。熱処理後の熱延鋼板の幅方向1/4の位置より、圧延方向に対して平行方向にJIS5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取した。これらの試験片を用いて、歪速度が10-3/sとするJIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行った。
Δrの評価は、熱延鋼板の幅中央位置より、圧延方向に対して0°、45°、90°のそれぞれの方向からJIS5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取し、この試験片を用いて、JIS Z2241の規定に準拠して実施した。
各試験結果を表2に記載する。
Figure 0007298777000001
Figure 0007298777000002
表2の結果から、本発明例はいずれも熱処理前後の引張強さの差が小さく、かつ異方性が小さい。なお、参考例としてNbを含有させた鋼種Qについては、異方性が大きくなった。

Claims (4)

  1. 成分組成として、質量%で、C:0.160~0.20%、Si:0.01~0.10%、Mn:0.80~0.90%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.001~0.10%、N:0.010%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    下記(1)式で表されるCeqが0.30以上0.32以下であり、
    板厚6mm以下であり、
    引張強さが410MPa以上500MPa以下であり、
    かつ、焼準温度890℃以上940℃以下の温度で30分保持し、大気中で放冷し、常温となった熱処理後の引張強さが410MPa以上500MPa以下であって、熱処理前後での引張強さの差が、50MPa以下であり、
    下記(2)式で表されるΔrが-0.20以上0.20以下である熱延鋼板。
    Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14・・・(1)
    上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。
    Δr=(r+r90)/2-r45・・・(2)
    、r45およびr90は、それぞれ、鋼板の圧延方向に対して、0°、45°及び90°方向のr値(ランクフォード値)である。
  2. 前記成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.010~0.30%、Ni:0.010~0.10%、Cu:0.010~0.10%、Cr:0.010~0.050%、V:0.01~0.05%、Mo:0.01~0.10%、Ca:0.0001~0.0200%、Mg:0.0001~0.0200%から選択される1種または2種以上を含む請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記成分組成は、質量%で、Ti:0.010~0.30%を含む請求項2に記載の熱延鋼板。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有するスラブを1100℃以上1300℃以下に加熱し、次いで、熱間圧延を施すに際し、粗圧延後、仕上圧延出側温度を800℃以上900℃以下とし、かつ、仕上圧延の最終パスを含む連続する3パスでの合計の圧下率を50%以上80%以下として仕上圧延を行った後、ランナウト冷却し、その後550℃以上650℃以下の巻取温度で巻き取る熱延鋼板の製造方法。
JP2022512727A 2020-10-30 2021-10-04 熱延鋼板およびその製造方法 Active JP7298777B2 (ja)

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