JP3445891B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents

スパッタリングターゲット

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JP3445891B2 JP33320895A JP33320895A JP3445891B2 JP 3445891 B2 JP3445891 B2 JP 3445891B2 JP 33320895 A JP33320895 A JP 33320895A JP 33320895 A JP33320895 A JP 33320895A JP 3445891 B2 JP3445891 B2 JP 3445891B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀系薄膜上にスパ
ッタリング法にて耐湿性に優れた透明薄膜を成膜する際
に適用されるスパッタリングターゲットに係わり、特
に、上記透明薄膜を効率的に成膜でき、しかも透明薄膜
の成膜時に上記銀系薄膜が損傷を受け難いスパッタリン
グターゲットの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銀系薄膜の表面にITO薄膜等の透明薄
膜を設けて構成される多層薄膜は極めて高い導電性を有
するため、この高い導電性を利用して銀系の多層薄膜を
様々な分野に応用する技術が提案されている。
【0003】例えば、特公平1- 12663号公報または特開
昭61-25125号公報は、銀被膜を薄膜化させて透明性を確
保し、その表面にITO薄膜を積層して多層構造とした
透明導電膜を提案している。この透明導電膜はITO単
体の薄膜に較べてその導電率が極めて高いため、例え
ば、ITO薄膜はその膜厚が 250nmの場合 8Ω/□程度
の面積抵抗率を有するのに対し、上記多層構造の透明導
電膜はその合計膜厚が高々90nmであっても 5Ω/□程度
の低い面積抵抗率を実現することができる。
【0004】また、このような銀系多層薄膜の高い導電
率と透明性とに着目して、特開昭63- 173395号公報は、
同様の層構成を有する多層薄膜を透明な電磁波シールド
膜として利用する技術を提案している。
【0005】また、1982年日本で開催された第7回IC
VMにおいては、同様の層構成を有する銀系多層薄膜が
長波長側の光を遮断する性能に優れていることに着目し
て、上記銀系多層薄膜を熱線反射膜に適用する技術を提
案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記銀系多層
薄膜においては、ITO薄膜の酸化インジウムの存在下
で積層界面等から侵入した空気中の水分が銀およびIT
Oの薄膜と化合し易く、その表面に反応物が生成されて
シミ状の欠陥を生じ、例えば、ディスプレイの透明電極
に適用した場合、その表示画面に欠陥等が生じ易い問題
点があった。
【0007】これに対し、上記ITO薄膜に代えて、あ
るいはITO薄膜の上に更に積層して、SiO2 から成
る薄膜を適用した場合、この薄膜が空気中の水分を遮断
するため、水分による銀薄膜の損傷を防止することが可
能である。
【0008】但し、このSiO2 薄膜は電気絶縁性であ
るため、直流(DC)スパッタリングによる成膜が不可
能で高周波(RF)スパッタリングに頼らざるを得な
い。しかし、RFスパッタリングによる成膜において
は、その成膜速度がDCスパッタリングに較べて著しく
遅く、かつ、銀薄膜がスパッタリング中に発生したプラ
ズマのダメージを受けて凝集し、SiO2 薄膜の成膜時
に銀薄膜が損傷を受け易いという問題があった。
【0009】本発明は、このような問題点に着目してな
されたもので、その課題とするところは、耐湿性に優れ
た透明薄膜を効率的に成膜でき、しかもこの成膜時に上
記銀系薄膜が損傷を受け難いスパッタリングターゲット
を提供することにある。
【0010】このような技術的課題に鑑みて、本発明者
らは、上記銀系多層薄膜の一部を構成するITO薄膜に
代えて種々の透明薄膜の成膜を試みその特性を検討した
ところ、酸化インジウムに酸化セリウムを添加した混合
酸化物の薄膜が、銀系薄膜挟持構成の導電性透明薄膜の
耐湿性向上に大きく効果のあることを見い出した。
【0011】同時に、酸化セリウムが高屈折率であるこ
とから、酸化インジウムと酸化セリウムの混合酸化物の
屈折率も、酸化セリウムの添加割合に従って高屈折率と
なり、このため、銀系薄膜挟持構成の透明薄膜の透過率
を従来構成より大きく向上せしめることも見い出した。
【0012】酸化インジウムに酸化セリウムを添加した
混合酸化物のターゲットは導電性があるため、酸化セリ
ウムのセリウム元素の量が、混合酸化物中の総金属元素
量のおよそ30at%(原子パーセント)位まではDCスパ
ッタリングやRF−DC重畳スパッタリング等の直流ス
パッタリングの適用が可能である。
【0013】酸化セリウム添加量が高くなるに従い、急
激にターゲットの導電率が悪化し、DCスパッタリング
に向かなくなる。特に、60at%(原子パーセント)を超
えると、熱衝撃によりターゲットにクラックが入るとい
う問題があった。
【0014】すなわち、酸化インジウムと酸化セリウム
の混合酸化物は、酸化セリウムが十分な導電性をもたな
いことから、酸化セリウムの混合比率を高めるに従い、
その混合酸化物のターゲットの導電性が急激に低下し、
直流スパッタリングが困難な導電性の低いターゲットと
なる。
【0015】加えて、酸化インジウムと酸化セリウムの
混合酸化物のターゲットは、ITO(酸化インジウムと
酸化スズ)と比較すると、ITOのターゲットほど充填
密度があがりにくく、充填密度に伴うスパッタリングレ
ートの点で不十分なものがあった。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高密度
で、かつ、微粒組織であるために靱性に優れ、スパッタ
リング成膜に割れ難いターゲットとするため、酸化チ
タンの少量添加が有効であることを見いだした。
【0022】
【0023】酸化チタンの添加量は、耐アルカリ性を要
求しない用途であれば、酸化インジウムや酸化セリウム
の基材と同程度の量を加えても良い。しかし、表示装置
用の電極を含め、耐アルカリ性を必要とする用途が多い
ものである。酸化チタンは、強アルカリに溶解し易く、
これを 5at%(原子パーセント)を超えるレベルで混合
酸化物中に添加することは、例えば、アルカリ洗浄等で
その導電膜に著しいダメージを与えてしまう。
【0024】また、混合酸化物のターゲットを微粒組織
として靭性に優れ、成膜時に割れにくくするためには、
酸化チタンのチタン元素量にて混合酸化物の総金属元素
に対し、0.1at%(原子パーセント)の若干量添加か
ら効果がある。更に、ターゲットの密度を向上させるに
は、0.5at%(原子パーセント)の添加で効果があ
る。更には、導電性を向上させるためには、2at%
(原子パーセント)以上の添加で効果がある。 また、酸
化セリウムの酸化インジウムに対する添加は、該導電膜
の耐湿性を大幅に向上せしめる。酸化セリウムのセリウ
ム元素の量が 5at%(原子パーセント)を超えるに従
い、該導電膜の耐湿性は徐々に向上していく。 酸化チタ
ンや酸化スズをこの混合酸化物に添加することにより、
割れにくいターゲットに成形することができるが、酸化
セリウムのセリウム元素の量が、60at%(原子パーセン
ト)を超えると、導電性が低下し直流スパッタにて成膜
しにくいターゲットとなる。
【0025】すなわち、請求項に係わる発明は、銀系
薄膜を挟持する構成の導電膜の透明薄膜を成膜する際に
使用されるスパッタリングターゲットであって、順次、
酸化物の混合微粉末を粉砕・混合する工程と、乾燥・整
粒する工程と、成形圧力を加え成形を行う工程と、焼結
を行う工程とを少なくとも行って製造された混合酸化物
の焼結体であり、酸化インジウムと酸化セリウムを基材
とする混合酸化物に、酸化セリウムのセリウム元素の量
が、混合酸化物の総金属元素に対し5〜60at%(原
子パーセント)含有され、酸化チタンのチタン元素の量
が、混合酸化物の総金属元素に対し2〜5at%(原子
パーセント)含有され、前記酸化物の混合粉末の粉砕・
混合工程の際に混合粉末に分散剤が混合され、かつ、前
記成形時の成形圧力を500Kgf/cm 2 以上とした
ことを特徴とするスパッタリングターゲットとしたもの
である。
【0026】本発明者らは、さらに、酸化インジウムと
酸化セリウムを基材とする混合酸化物に、酸化スズと酸
化チタンの両方を少量ずつ添加することにより導電性の
向上とターゲット密度の向上の効果がともに得られるこ
とを発見した。
【0027】すなわち、請求項に係わる発明は、銀系
薄膜を挟持する構成の導電膜の透明薄膜を成膜する際に
使用されるスパッタリングターゲットであって、酸化物
の混合微粉末を粉砕・混合する工程と、乾燥・整粒する
工程と、成形圧力を加え成形を行う工程と、焼結を行う
工程とを少なくとも行って製造された混合酸化物の焼結
体であり、酸化インジウムと酸化セリウムを基材とする
混合酸化物に、各々基材の混合割合より少ない量にて酸
化スズと酸化チタンが含有され、酸化セリウムのセリウ
ム元素の量が、混合酸化物の総金属元素に対し5〜60
at%(原子パーセント)含有され、酸化チタンのチタ
ン元素の量が、混合酸化物の総金属元素に対し0.1〜
5at%(原子パーセント)含有され、前記酸化物の混
合粉末の粉砕・混合工程の際に混合粉末に分散剤が混合
され、かつ、前記成形時の成形圧力を500Kgf/c
2 以上としたことを特徴とするスパッタリングターゲ
ット。
【0028】透明薄膜にて銀系薄膜を挟持する構成の導
電膜において、屈折率の高い透明薄膜を用いることによ
り、該導電膜の透過率を向上せしめる。特に、屈折率が
空気(屈折率n=1)より高い液晶材料(屈折率n=
1.5〜 1.6程度)と導電膜が実質的に接触する構成の液
晶表示素子では、屈折率の高い透明薄膜を用いること
が、透過率の高い液晶表示素子とする上で極めて有効で
あることを本発明者らは見い出した。
【0029】高屈折率の無機酸化物である酸化セリウム
(CeO2)と、酸化インジウムの混合酸化物による透
明薄膜にて、銀系薄膜を狭持する有用な構成を本発明者
らは提案している。酸化スズの添加量は、そのスズ元素
量にて、混合酸化物の総金属元素に対して0.1%(原
子パーセント)の若干量添加から効果があり、また、5
at%の(原子パーセント)を超える量では逆に導電率
の低下が見られる。なお、5at%の(原子パーセン
ト)を超える量ではターゲットの密度低下も見られる。
すなわち、請求項に係わる発明は、酸化スズのスズ元
素の量が、酸化インジウムと酸化セリウムを基材とする
混合酸化物の総金属原素に対し0.1〜5at%(原子
パーセント)であることを特徴とする請求項2に記載の
スパッタリングターゲットとしたものである。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】液晶表示装置用導電膜を前提とする場合
は、上記透明薄膜の屈折率が、およそ2.1〜 2.4の範囲
内にあることが望ましく、また、強酸などのエッチャン
トでエッチングしてパターン形成できることが望まし
い。これらの仕様をほぼ満たす範囲の酸化セリウムのセ
リウム元素のさらに望ましい添加量は、総金属元素に対
し10〜40at%(原子パーセント)である。
【0034】すなわち、請求項に係わる発明は、前記
酸化セリウムのセリウム元素の量が、酸化インジウムと
酸化セリウムを基材とする混合酸化物の総金属元素に対
し10〜40at%(原子パーセント)であることを特
徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のスパッ
タリングターゲットとしたものである。
【0035】本発明によるスパッタリングターゲットの
評価結果および、本発明のスパッタリングターゲットを
用いて成膜した銀系薄膜を挟持する構成の導電膜の評価
結果を以下に記す(表1)に示す。
【0036】
【表1】
【0037】なお、導電膜のパタニングが不必要な用
途、例えば反射防止膜、電磁波シールド膜、液晶表示素
子でもTFTと対向する共通側の電極等の場合は、(表
1)の評価項目から導電膜のエッチング加工性を除くこ
とになる。
【0038】また、(表1)において、導電膜の耐湿性
は、温度23℃、湿度50%の条件で1ケ月間放置し、肉眼
および顕微鏡のいずれかの観察によっても外観上の変化
が見られないものを○とし、また、肉眼観察では変化が
観察されなかったが、顕微鏡観察ではシミが観察された
ものを△とし、肉眼観察でシミが観察されたものを×と
評価した。
【0039】本発明に係わるスパッタリングターゲット
には、前記した酸化物以外の酸化物を含ませることも可
能である。例えば、SiO2 、GeO2 、Sb2 5
Bi 2 3 等の半金属の酸化物、あるいは、MgO、Z
nO、Ga2 3 、Al2 3 、HfO2 、ZrO2
Ta2 5 等の金属酸化物があげられる。
【0040】なお、上記導電膜としては、銀単体から構
成される薄膜の他、銀を主成分としこれに他の金属元素
等を添加して構成される銀系合金の薄膜等が利用でき
る。このような添加元素としては、例えばCu、Pd、
Ni、Zn、Cd、Mg、In、Al、Ti、Zr、C
eまたはSi等が適用できる。
【0041】そして、これら銀系薄膜が厚さ20nm以下の
場合、この銀系薄膜と上記透明薄膜とで構成される銀系
多層薄膜は光透過率と導電率に優れたものになるため、
例えば、透明電磁波シールド膜、液晶ディスプレイ等の
透明電極、あるいは太陽電池の光入射側に設けられる透
明電極等に適用することができる。
【0042】また、銀系薄膜が厚さ20nmを超えた場合に
は、この銀系薄膜の高い光反射率を利用して、例えば、
反射型液晶ディスプレイの光反射膜や光反射性電極、あ
るいは太陽電池の光入射側とは反対側の面に設けられる
光反射電極として利用することが可能である。
【0043】次に、本発明に係わるスパッタリングター
ゲットの製造方法について説明する。まず、酸化インジ
ウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化チタン等の酸化物
粉末の適量に対し有機バインダー、分散剤および溶剤
(水または有機溶剤)を加え、ボールミル等の粉砕装置
を使用して粉砕し微細化すると共にこれら粉末を均一に
混合する。粉砕および混合は、上記各酸化物の平均粒径
が 2μm以下となるまで行うことが望ましい。通常、10
〜50時間である。
【0044】なお、上記分散剤は、各酸化物の粒子の凝
集を防止して平均粒径 2μm以下の微粒子状態で安定に
分散させるものである。
【0045】十分に粉砕、混合した後、乾燥し整粒を行
う。整粒の粒径は 10 〜 100μmとするのが、より良い
流動性、成形性を得るため好ましい。整粒粉末を用いて
ターゲット形状に成形を行う。成形圧力は、 500Kgf
/cm2 以上の圧力で行い、成形体密度が 3.5g/cm3
超える圧力を選ぶことが好ましい。なお、ターゲット形
状および厚みは任意である。
【0046】こうして成形された混合物を焼成し、有機
バインダーや分散剤等不要成分を除去すると共に、上記
酸化物を焼結して本発明に係わるスパッタリングターゲ
ットを得ることができる。焼成は電気炉等で行うことが
でき、その温度は1000〜1600℃でよく、好ましくは1200
〜1500℃である。1000℃より低いとターゲットが緻密な
焼結体とならず、導電性と光透過性に優れた透明薄膜を
成膜することが困難となり、また、ターゲットの強度や
寿命が低下する。他方、1600℃を超えると酸化チタンや
酸化セリウムが解離し、またはこれら酸化チタンや酸化
セリウムと導電性透明金属酸化物とが反応して、成膜さ
れる透明薄膜の導電性と光透過性とを損なうことがあ
る。なお、焼成時間は10〜40時間程度でよい。また、得
られたスパッタリング用ターゲットの形状が不適当な場
合には、研削盤で研削したりダイヤモンドカッターで切
断して必要な形状に成形すればよい。
【0047】次に、本発明に係わるスパッタリングター
ゲットの使用方法について以下説明する。すなわち、本
発明に係わるスパッタリングターゲットは、DCスパッ
タリングやRF−DCスパッタリング等の直流スパッタ
リング法、RF(高周波)スパッタリング法等のターゲ
ットとして使用し、銀系薄膜を水分から保護する透明薄
膜を成膜するために適用される。
【0048】この際、上記スパッタリングターゲットの
導電性を生かして、成膜速度が大きく、しかも銀系薄膜
を損傷させることのない、DCスパッタリングやRF−
DCスパッタリング等直流スパッタリング法を適用する
ことが好ましい。また、銀系薄膜の劣化を防止するため
成膜装置内部の水分は少ない方が好ましく、また、透明
薄膜のエッチング適性を確保するため、 180℃以下また
は室温の基板温度で成膜することが望ましい。
【0049】また、本発明に係わるスパッタリングター
ゲットは、スパッタリング法を利用して、銀系薄膜とそ
の基板(例えば、ガラス板、プラスチック材料等)との
密着力を増大させる透明薄膜(接着層として機能する)
を設けるために利用することもできる。この場合、上記
透明薄膜は銀系薄膜と基板との間に設けられる。
【0050】請求項1〜に記載の発明に係わるスパッ
タリングターゲットによれば、酸化インジウムと酸化セ
リウムを基材とする混合酸化物に、ターゲットの導電性
を向上せしめる酸化スズを少量、および、ターゲットの
密度を向上せしめる酸化チタンを少量添加するため、導
電性のある、かつ、高密度で靭性に優れたターゲットを
提供し得る。
【0051】このため、DCスパッタリングやRF−D
Cスパッタリング等の直流スパッタリング法の適用が可
能となり、安定した放電が高いスパッタレートにて確保
できる。本発明により、高屈折率の透明薄膜を熱的ダメ
ージの少ない直流スパッタリングにて成膜することが可
能となり、このことにより、高性能(高透過率、低反射
率、低抵抗)の導電膜が提供できる。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき、以下
に記す実施例により説明する。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【実施例】以下に、本発明の実施例について詳細に説明
する。 <実施例1> 実施例1に係わるスパッタリングターゲットは、酸化イ
ンジウムに酸化セリウムをセリウム元素換算で約30a
t%(原子パーセント)となる混合酸化物に、酸化チタ
ンをチタン元素換算で0.1〜5at%(原子パーセン
ト)添加して、ターゲットの比抵抗(電気伝導度の逆
数)、ターゲット密度、およびターゲットの粒径を測定
し、以下に記す(表2)を得た。
【0057】
【表2】
【0058】上記の(表2)に示すように、酸化チタン
を少量添加することで、ターゲットの粒径が微細となっ
た。
【0059】<実施例2> 実施例2に係わるスパッタリングターゲットは、酸化イ
ンジウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化チタンの混合
酸化物からなり、各々組成は混合酸化物中の総金属元素
に対して、インジウム元素を68.5at%(原子パー
セント)、セリウム元素を30.0at%(原子パーセ
ント)、スズ元素を1.0at%(原子パーセント)、
チタン元素を0.5at%(原子パーセント)とした。
【0060】そして、このスパッタリングターゲット
は、以下の方法で製造されている。すなわち、平均粒径
が各々約 2μmの酸化インジウム粉末と、酸化セリウム
と、酸化スズと、酸化チタンとを所定量計量し、かつ、
少量のパラフィンを添加して湿式ボールミルにより24時
間粉砕すると共に混合した。
【0061】次に、これを乾燥し、50〜70μmに整粒
後、金型に充填しプレス成形した。次いで、これを電気
炉に入れ、酸素雰囲気下で1400℃、10時間の条件で焼成
し上記パラフィンを除去すると共に、混合酸化物を焼結
させた。そして、平面研削盤で研削し、次にダイヤモン
ドカッターで成形して上記スパッタリングターゲットを
製造した。このターゲットの比抵抗は20mΩcm、密
度は6.9であった。
【0062】このスパッタリングターゲットを銅のバッ
キングプレートにボンディングし、DCマグネトロンス
パッタリング装置の内部に収容し、真空排気した。厚さ
0.7mmのガラス板上に、厚さ34nmの透明薄膜、厚さ15nm
の銀薄膜、厚さ35nmの透明薄膜の3層の導電膜を連続し
て成膜した。
【0063】こうして得られた導電膜付きガラス基板の
断面を図1に記す。図1中、10はガラス基板、11は透明
薄膜、12は銀薄膜、13は透明薄膜をそれぞれ示してい
る。
【0064】次に、導電膜付きガラス基板を、 200℃、
1時間の条件で熱処理し、導電膜の面積抵抗値と、波長
545nmでの透過率を測定したところ、面積抵抗値は 2.7
Ω/□、透過率は約97%であった。なお、透明薄膜の屈
折率は、およそ 2.3であった。
【0065】また、この導電膜付きガラス基板を、25℃
の室内に1ケ月間放置した後、導電膜を肉眼で観察した
ところ、その表面に外観の変化は全く観察されなかっ
た。
【0066】
【発明の効果】請求項1〜に係わる本発明によれば、
高密度で靭性に優れ、かつ、導電性のあるターゲットで
あるため、高い成膜レートで安定したDCスパッタリン
グが可能となり、同時に高屈折率の透明薄膜が成膜可能
であるため、銀系薄膜を狭持する構成の導電膜を、従来
にない高い性能で提供できる。例えば、透明薄膜が2.
3前後の高屈折率であるため、3Ω/□弱の低抵抗の導
電膜を80nm強の極めて薄い膜厚にて、導電膜が形成
できることとなった。
【0067】加えて、本発明の導電性のあるターゲット
により、耐熱性の低いプラスチック等の基板上や、有機
のカラーフィルター上にも高速度で効率よく導電膜が形
成できる。
【0068】本発明は、酸化セリウムの高含有率にもか
かわらず、スパッタリングターゲットにDCスパッタリ
ングに十分な導電性および強度が確保できるため、結果
として高価な酸化インジウムの使用量を大きく減らすこ
とができる。
【0069】従って、このスパッタリングターゲットを
適用することにより、従来にない高い性能の導電膜を、
従来にない低コストで提供できる。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係わる導電膜付きガラス基板の断面説
明図。
【符号の説明】
10 ガラス基板 11 透明薄膜 12 銀系薄膜 13 透明薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高梨 昌二 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友金 属鉱山株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−123337(JP,A) 特開 平6−349338(JP,A) 特開 平3−43911(JP,A) 特開 平7−54133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C04B 35/495

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀系薄膜を挟持する構成の導電膜の透明薄
    膜を成膜する際に使用されるスパッタリングターゲット
    であって、順次、酸化物の混合微粉末を粉砕・混合する
    工程と、乾燥・整粒する工程と、成形圧力を加え成形を
    行う工程と、焼結を行う工程とを少なくとも行って製造
    された混合酸化物の焼結体であり、酸化インジウムと酸
    化セリウムを基材とする混合酸化物に、酸化セリウムの
    セリウム元素の量が、混合酸化物の総金属元素に対し5
    〜60at%(原子パーセント)含有され、酸化チタン
    のチタン元素の量が、混合酸化物の総金属元素に対し2
    〜5at%(原子パーセント)含有され、前記酸化物の
    混合粉末の粉砕・混合工程の際に混合粉末に分散剤が混
    合され、かつ、前記成形時の成形圧力を500Kgf/
    cm2以上としたことを特徴とするスパッタリングター
    ゲット。
  2. 【請求項2】銀系薄膜を挟持する構成の導電膜の透明薄
    膜を成膜する際に使用されるスパッタリングターゲット
    であって、酸化物の混合微粉末を粉砕・混合する工程
    と、乾燥・整粒する工程と、成形圧力を加え成形を行う
    工程と、焼結を行う工程とを少なくとも行って製造され
    た混合酸化物の焼結体であり、酸化インジウムと酸化セ
    リウムを基材とする混合酸化物に、各々基材の混合割合
    より少ない量にて酸化スズと酸化チタンが含有され、
    化セリウムのセリウム元素の量が、混合酸化物の総金属
    元素に対し5〜60at%(原子パーセント)含有さ
    れ、酸化チタンのチタン元素の量が、混合酸化物の総金
    属元素に対し0.1〜5at%(原子パーセント)含有
    され、前記酸化物の混合粉末の粉砕・混合工程の際に混
    合粉末に分散剤が混合され、かつ、前記成形時の成形圧
    力を500Kgf/cm2以上としたことを特徴とする
    スパッタリングターゲット。
  3. 【請求項3】前記酸化スズのスズ元素の量が、酸化イン
    ジウムと酸化セリウムを基材とする混合酸化物の総金属
    元素に対し0.1〜5at%(原子パーセント)である
    ことを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングター
    ゲット。
  4. 【請求項4】前記酸化セリウムのセリウム元素の量が、
    酸化インジウムと酸化セリウムを基材とする混合酸化物
    の総金属元素に対し10〜40at%(原子パーセン
    ト)であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一
    項に記載のスパッタリングターゲット。
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