JP3445664B2 - アミノメチルペナム誘導体及びトリアゾリルメチルペナム誘導体の製造法 - Google Patents

アミノメチルペナム誘導体及びトリアゾリルメチルペナム誘導体の製造法

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triazolylmethylpenam
aminomethylpenam
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洋明 朝井
一郎 河原
善久 友滝
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大塚化学ホールディングス株式会社
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なアミノメチルペナ
ム誘導体及びそれを出発原料とするトリアゾリルメチル
ペナム誘導体の新規な製造法に関する。本発明で得られ
るトリアゾリルメチルペナム誘導体は、抗生物質やβ−
ラクタマーゼ阻害剤等の医薬品の中間体として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、式(3)で表されるトリアゾリル
メチルペナム誘導体の製造法としては、式(4)で表さ
れるアジドメチルペナム誘導体とアセチレンを高圧下反
応させる方法、あるいは式(5)で表されるクロロメチ
ルペナム誘導体と1,2,3−トリアゾールを反応させる
方法等が知られている。
【0003】
【化4】 〔式中X1、X2、R1、nは前記に同じ。〕
【0004】
【化5】 〔式中X1、X2、R1、nは前記に同じ。〕
【0005】アジドメチルペナム誘導体(4)とアセチ
レンを反応させる方法では、大量のアセチレンを高圧下
で反応させるため、アセチレンの爆発性が問題であり、
実用化が困難な製法である。また、クロロメチルペナム
誘導体(5)と1,2,3−トリアゾールを反応させる方
法は、反応の選択性が低く、目的とするトリアゾリルメ
チルペナム誘導体(3)の収率が低い問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は公知の
製造法の問題点である反応の安全性と、反応の低選択性
及び低収率を解決したトリアゾリルメチルペナム誘導体
の製造法を提供することにある。
【0007】また本発明の目的は、トリアゾリルメチル
ペナム誘導体の合成中間体として有用な新規なアミノメ
チルペナム誘導体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は式(1)で表さ
れるアミノメチルペナム誘導体に係る。
【0009】
【化6】
【0010】〔式中X1、X2は水素原子又はハロゲン原
子、R1は水素原子又はカルボン酸保護基、nは0〜2の
整数を示す。〕
【0011】化合物(1)は、例えば化合物(4)の還
元反応によりアジド基をアミノ基に変換することにより
調製される。本発明の式(1)において、X1、X2は水
素原子又はハロゲン原子を示し、一方が水素原子で、他
方がハロゲン原子でもよい。ハロゲン原子の具体例とし
ては、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。ま
た、R1は水素原子又はカルボン酸保護基を示す。
【0012】R1のカルボン酸保護基としては、"Prote
ctive Groups in Organic Synthesis" by Theodora
W. Greene 第5章の保護基を広く使用でき、その具
体例としては、例えばベンジル、p−メトキシベンジ
ル、p−ニトロベンジル、ジフェニルメチル、トリメト
キシベンジル、t−ブチル、メトキシエトキシメチル、
ピペロニル、ジトリルメチル、トリメトキシジクロロベ
ンジル、トリクロロメチル、ビス(p−メトキシフェニ
ル)メチル基等を例示できる。
【0013】化合物(4)の還元反応としては、塩化鉛
の存在下アルミニウムで還元する方法が例示できるが、
その他に、”実験化学講座20”(日本化学会編、19
56年、丸善)、”新実験化学講座15有機合成III”
(日本化学会編、1977年、丸善)に記載されている
アジド化合物のアミンへの還元法が広く利用できる。具
体例として、塩化スズ(I)、亜鉛/塩酸、アルミニウ
ムアマルガム、接触還元(白金、パラジウム、ラネーニ
ッケル等)、水素化アルミニウムリチウム、ハロゲン化
水素酸等を用いる方法が使用できる。
【0014】また本発明は式(1)で表されるアミノメ
チルペナム誘導体と式(2)で表されるヒドラゾン誘導
体を、中性あるいは塩基性条件下反応させることを特徴
とする式(3)で表されるトリアゾリルメチルペナム誘
導体の製造法にも係る。
【0015】
【化7】
【0016】〔式中Yはハロゲン原子、R2はハロゲン
原子で置換されていてもよい低級アルキル基又は、ベン
ゼン環がハロゲン原子、低級アルキル基あるいは低級ア
ルコキシ基から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換
されていてもよいフェニル基を示す。〕
【0017】
【化8】 〔式中X1、X2、R1、nは前記に同じ。〕
【0018】化合物(2)において式中のYはハロゲン
原子を示す。R2はハロゲン原子で置換されていてもよ
い低級アルキル基又は、ベンゼン環がハロゲン原子、低
級アルキル基あるいは低級アルコキシ基から選ばれる少
なくとも1種の置換基で置換されていてもよいフェニル
基を示す。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素
等を挙げることができる。低級アルキル基としては、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−
ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることが
できる。低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブト
キシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることが
できる。化合物(2)の化合物(1)に対する使用量は
通常1〜50倍当量、好ましくは1〜10倍当量が好適
である。
【0019】本発明に使用される塩基としては、塩基性
のイオン交換樹脂、重炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの重炭酸
アルカリ、及び炭酸アルカリ、アンモニアまたは、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル基等
の低級アルキル基で置換された3級アミン及びそれらの
4級アンモニウム塩などが挙げられる。塩基の化合物
(1)に対する使用量は、通常1〜100倍当量、好ま
しくは1〜30倍当量である。また、これらの塩基を任
意に混合してもかまわない。また、塩基を存在させずに
化合物(1)の塩基性を利用しても構わない。
【0020】本発明に使用されるイオン交換樹脂として
は、ダイヤイオンWK−10、WK−11、WK−2
0、WA−10、WA−11、WA−20、WA−2
1、WA−30、アンバーライトIRA−35、IRA
−93ZU、IRA−94S、レバチットMP−62、
MP−64、AP−49、CA−9222等のものが挙
げられるが、その他のものでも塩基性のイオン交換樹脂
であれば使用できる。
【0021】本発明に使用される溶媒は、化合物(1)
と化合物(2)および塩基性物質をある程度溶解させる
もので、かつ反応を阻害しないものであれば任意の溶媒
を単独または混合物として使用できる。ただし、イオン
交換樹脂は、溶解する必要はない。例えば、アセトン、
メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸
プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プ
ロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル
類、メタノール、エタノール、プロパノール等の脂肪族
アルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジブロモメタ
ン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素等のハロ
ゲン化溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロ
パン等のニトロアルカン類、アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリ
ル類、その他の有機溶媒および水が挙げられる。特に、
ハロゲン化溶媒と低級アルコールが望ましい。溶媒の使
用量は通常化合物(1)に対して1〜100倍重量部、
好ましくは5〜20倍重量部である。
【0022】本発明の反応は、通常常圧で行うが、必要
に応じて加圧してもよい。また、反応温度は、通常−2
0〜110℃、好ましくは0〜80℃である。本発明に
おける反応時間は、反応温度や基質濃度や当量数などに
依存し一概に言えないが、通常0.1〜24時間、好ま
しくは1〜8時間である。
【0023】本発明において、化合物(1)と化合物
(2)及び塩基性物質の混合方法については特に制限は
ない。例えば、イオン交換樹脂を使用した場合は、化合
物(1)を均一に溶解させ、そこに化合物(2)を溶解
させた溶液を加える。ただし、化合物(1)や化合物
(2)は、完全に溶解させる必要はない。反応系は、均
一系でも、不均一系でも構わない。本発明の反応は、密
閉容器あるいは非密閉容器で行い、反応終了後、析出し
た塩を濾過で除去し、濾液を濃縮後、再結晶化あるいは
蒸留あるいはカラムクロマトグラフィーで精製すること
により、目的とする化合物(3)を効率的に得ることが
できる。
【0024】
【実施例】次に実施例および参考例を挙げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明は、その趣旨を越えない限
り以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】参考例1 グリオキサール−p−トルエンスルホニルモノヒドラゾ
ンの合成 温度計および撹拌機付きの500mlの4つ口フラスコに
p−トルエンスルホニルヒドラジン 41.5gとプロピ
オン酸 280mlとを仕込み懸濁下撹拌しジクロロアセ
トアルデヒド 25gを固体のまま添加し、15℃で1時
間撹拌を続ける。次いで0℃まで冷却し3時間静置後、
結晶を濾過乾燥し、目的の化合物を35.0g得た。
【0026】実施例1 2β−アミノメチル−2α−メチルペニシラン酸ジフェ
ニルメチルエステルの合成 2β−クロロメチル−2α−メチルペニシラン酸ジフェ
ニルメチルエステルとアジ化ナトリウムにより得られた
アジド化合物8.00gと塩化メチレン 30mlと塩化鉛
1.0g、アルミニウム粉末 2.0g、メタノール 10ml
を100mlの4つ口フラスコに仕込み、これに20%塩
化アンモニウム溶液 15mlを加え内温を28〜35℃
に調整し、3時間撹拌を続ける。HPLCで原料のアジ
ド化物の消失を確認後、反応液を30mlの水で2回水洗
分液し、塩化メチレンを濃縮する。得られたオイルを酢
酸エチル/ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルクロマ
トグラフィーで分離精製すると目的の化合物が2.16g
(収率45%)で得られた。 2β−アミノメチル−2α−メチルペニシラン酸ジフェ
ニルメチルエステルのNMR、IRデータは以下の通り
である。 NMR,CDCl3(ppm);1.29(3H,s)、3.2
1(1H,dd,J=1.8Hz,16.2Hz)、3.61
(1H,dd,J=4.2Hz,16.2Hz)、4.31
(2H,s)、5.01(1H,s)、5.28(1H,d
d,J=4.2Hz,1.8Hz)、6.93(1H,s)、
7.32〜7.39(10H,br) IR(cm-1);3200(br)、1783、1630、
1297、1200、697
【0027】実施例2 1,1−ジオキシド−2β−アミノメチル−2α−メチ
ルペニシラン酸ジフェニルメチルエステルの合成 2β−クロロメチル−2α−メチルペニシラン酸ジフェ
ニルメチルエステルとアジ化ナトリウムにより得られた
アジド化合物を過マンガン酸カリウム/酢酸系でスルホ
ン体に酸化した後、実施例1と同様に還元処理を行い
1,1−ジオキシド−2β−アミノメチル−2α−メチ
ルペニシラン酸ジフェニルメチルエステルを調製する。
1,1−ジオキシド−2β−アミノメチル−2α−メチ
ルペニシラン酸ジフェニルメチルエステルのNMR、I
Rデータは以下の通りである。 NMR,CDCl3(ppm);1.15(3H,s)、3.5
1(1H,dd,J=2.4Hz,16.2Hz)、3.60
(1H,dd,J=4.2Hz,16.2Hz)、4.31
(2H,s)、5.13(1H,s)、5.28(1H,d
d,J=3.9Hz,2.4Hz)、7.02(1H,s)、
7.30〜7.37(10H,br) IR(cm-1);3200(br)、1781、1648、
1290、1207、710
【0028】実施例3 2β−トリアゾリルメチル−2α−メチルペニシラン酸
ジフェニルメチルエステルの合成 100mlの4ツ口フラスコに実施例1で合成した2β−
アミノメチル−2α−メチルペニシラン酸ジフェニルメ
チルエステル 4.28gと、メタノール 20mlを仕込み
20℃に調整し撹拌する。これに参考例1で調製した
2,2−ジクロロアセトアルデヒド−p−トルエンスル
ホニルヒドラゾン 2.81gをメタノール15mlに懸濁
させ滴下する。滴下時に発熱があるので、液温を15〜
25℃に保ち2時間撹拌を続ける。反応後メタノールを
濃縮し、濃縮残渣を塩化メチレンに溶かし析出する塩を
濾別する。得られた溶液を濃縮後、酢酸エチル:ヘキサ
ン=1:1の混合溶媒で結晶化させ、目的の2−トリア
ゾリルメチルペニシラン酸ジフェニルメチルエステルを
4.22g得た(収率87%)。この化合物は、別途合成
した標品とNMR及びIRスペクトルを比較することに
より構造を同定した。
【0029】実施例4 1,1−ジオキシド−2β−トリアゾリルメチル−2α
−メチルペニシラン酸ジフェニルメチルエステルの合成 100mlの4ツ口フラスコに実施例2で合成した1,1
−ジオキシド−2β−アミノメチル−2α−メチルペニ
シラン酸ジフェニルメチルエステル 4.50gを実施例
3と同様の反応と処理を行い、目的の1,1−ジオキシ
ド−2β−トリアゾリルメチル−2α−メチルペニシラ
ン酸ジフェニルメチルエステルを3.83g得た(収率9
5%)。この化合物は、別途合成した標品とNMR及び
IRスペクトルを比較することにより構造を同定した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、トリアゾリルメチルペ
ナム誘導体の合成中間体として有用な新規なアミノメチ
ルペナム誘導体を出発原料として公知の製造法の問題点
である反応の安全性と、反応の低選択性及び低収率を解
決したトリアゾリルメチルペナム誘導体の製造法を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−25253(JP,A) 特開 昭63−66187(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 499/00 - 499/897 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表されるアミノメチルペナム
    誘導体。 【化1】 〔式中X1、X2は水素原子又はハロゲン原子、R1は水
    素原子又はカルボン酸保護基、nは0〜2の整数を示
    す。〕
  2. 【請求項2】 式(1)で表されるアミノメチルペナム
    誘導体と式(2)で表されるヒドラゾン誘導体を、中性
    あるいは塩基性条件下反応させることを特徴とする式
    (3)で表されるトリアゾリルメチルペナム誘導体の製
    造法。 【化2】 〔式中Yはハロゲン原子、R2はハロゲン原子で置換さ
    れていてもよい低級アルキル基又は、ベンゼン環がハロ
    ゲン原子、低級アルキル基あるいは低級アルコキシ基か
    ら選ばれる少なくとも1種の置換基で置換されていても
    よいフェニル基を示す。〕 【化3】 〔式中X1、X2、R1、nは前記に同じ。〕
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