JP3445488B2 - 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール - Google Patents

冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール

Info

Publication number
JP3445488B2
JP3445488B2 JP06510698A JP6510698A JP3445488B2 JP 3445488 B2 JP3445488 B2 JP 3445488B2 JP 06510698 A JP06510698 A JP 06510698A JP 6510698 A JP6510698 A JP 6510698A JP 3445488 B2 JP3445488 B2 JP 3445488B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
cold cathode
conductor
layer
array
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06510698A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11260246A (ja
Inventor
忠司 酒井
富男 小野
尚志 佐久間
和也 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP06510698A priority Critical patent/JP3445488B2/ja
Priority to US09/263,217 priority patent/US6297586B1/en
Publication of JPH11260246A publication Critical patent/JPH11260246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3445488B2 publication Critical patent/JP3445488B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷陰極アレイ基板と
その製造方法に係り、特に大電流・高電圧のパワースイ
ッチングデバイスを構成するのに適した複数の電界放出
型の冷陰極アレイを備えた冷陰極アレイ基板とその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷陰極アレイ基板を備えた素子に
ついては、その高速応答の可能性や耐放射線、耐熱性、
大電流化・高耐圧化の可能性等、通常の半導体パワーデ
バイスにはみられない優れた特徴に着目して多くの研究
がなされたきた。本発明者もまた前記素子をパワースイ
ッチング用デバイスに応用することを目的にした提案
(特願平9−236046等)を行い、大電流・高耐圧
のスイッチングデバイスとしての可能性を提唱してい
る。
【0003】これらの素子の研究開発は、1961年に
K.R.Shoulders らにより行われたトンネル効果真空トリ
オードの提案(Microelectronics using electron-beam
-activated machining techniques, Advances in Compu
ters V0l 2, pp.135-293)に始まる。また、この分野が
一般の注目を集めるに至つたのは、同じくSRI(Stanf
ord Research Institute) のC.A.Spindtによる薄膜を用
いた冷陰極アレイの報告(J.Appl.Phys.39, p.3504, 19
68) からである。
【0004】従来の冷陰極アレイ基板を備えた素子の構
造を図6に示す。1は導体基板、22は導体基板1の上
に形成された複数のエミッタ導体である。18はゲート
電極で、ゲート絶縁膜17を介して導体基板1の上に形
成される。ゲート電極18はエミッタ導体22から電子
放出を行うためのゲート開口部19を備え、ゲート配線
21を用いて絶縁基板24の上のゲート配線層20と接
続される。なお、導体基板1は絶縁基板24のエミッタ
配線層23の上に導電性の接着方法を用いて接着され
る。
【0005】導体基板1の上に形成された複数のエミッ
タ導体22に対向して、アノード電極13が配置され
る。このような冷陰極アレイ基板を備えた素子は真空チ
ャンバーに収められ、エミッタ配線層23とアノード電
極13との間に高電圧を印加することによりエミッタ導
体22から電子を引き出し、素子に主電流が流れる。ま
た、ゲート配線層20を通じてゲート電極18に制御信
号を加えることにより、素子の主電流をスイッチング制
御することができる。
【0006】次に図7を用いて、前記冷陰極アレイ基板
のエミッタ導体22とゲート電極18の従来の製造方法
について説明する。図7(a)〜(c)は、回転斜め蒸
着とAl犠牲層エッチングを用いた、現在もっとも広く
用いられるスピント法と呼ばれるエミッタ導体22の製
造方法である。
【0007】図7(a)に示すようにSi基板1aの上
にゲート絶縁膜17を形成し、さらにゲート電極18を
形成する。ゲート電極18をマスクとしてゲート絶縁膜
17をエッチングし、Si基板上のエミッタ導体22を
形成する部分を開口する。
【0008】次に図7(b)に示すように、緩い傾斜角
φで回転斜め蒸着することによりAl犠牲層25を蒸着
する。傾斜角φを小さくしているので、Al犠牲層25
はSi基板1aの上には堆積せず、図7(b)に示すよ
うにゲート電極18の上にのみ堆積する。
【0009】次に図7(c)の矢印で示す陰極チップ蒸
着工程で、エミッタ導体の材料となるMoを、Al犠牲
層25が形成された開口部に対して垂直方向に蒸着すれ
ば、Mo層26の堆積厚さが増加するに従いAl犠牲層
25の開口が狭められるので、Si基板1aの上には、
Moからなる鋭いピラミッド状のエミッタ導体22が形
成される。
【0010】その他のエミッタ1bの製造方法として、
図7(d)〜(f)を用いてGrayらが用いた方法を説明
する。図7(d)に示すように、Si基板1aの上にS
iO2 マスク27をパターン形成し、次に図7(e)の
ように異方性エッチング液を用いてSi基板を結晶面に
沿ってエッチングする。SiO2 マスク2bの下部のS
i基板1aの先端部が鋭いピラミッド状になれば、先端
部のエッチングマスク2bが自然に除去され、エミッタ
1bがSi基板1a上に形成される。
【0011】次にゲート絶縁膜17とゲート電極18を
堆積し、エミッタ1b部分のゲート電極を開口し、さら
にこれをマスクとしてゲート絶縁膜17を選択的に開口
すれば、図7(f)に示すSi基板1a上のエミッタ1
bとゲート電極18が形成される。
【0012】しかし、図7に示すようにSi基板1aを
冷陰極アレイ基板として用いれば、エミッタを流れる素
子の主電流に対してSi基板の直列抵抗が付加される。
このため素子の動作速度が低下すると同時に動作中に微
小冷陰極の温度が上昇し、エミッタ22や1bの先端部
が劣化し易くなり、素子の寿命が短くなるという欠点が
あった。
【0013】また、これら従来の方法は、きわめて微妙
な製造工程が含まれているため、大電流を制御するのに
必要な多数のエミッタを、高い歩留まりで冷陰極アレイ
基板上に形成するのがいちじるしく困難であり、また、
多数のエミッタをアレイ状に配列する組み立て方法も確
立していないのが現状であった。
【0014】また、従来の方法を用いて冷陰極アレイ基
板上にパワーデバイス用の多数の微小冷陰極を形成しよ
うとすれば、基板上のいずれか1つのエミッタとゲート
電極とが短絡しても冷陰極アレイ基板全体が使用不能と
なり、基板上のエミッタ数が増加する程、基板の製造歩
留まりが低くなるという問題があつた。
【0015】また、エミッタ以外の基板周辺の凸のエッ
ジ部分から不要な電子放出を生じ易く、ゲート電極で制
御できない漏れ電流を生じると同時に、素子の絶縁耐圧
を低下させるという問題があつた。また、先に述べたよ
うに、素子の電流密度を上げようとすれば基板内での発
熱を生じ、十分な電流密度を得ることができないという
問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の冷陰極アレイ基板のようにエミッタがSi基板上に形
成される場合には、Si基板の直列抵抗による電流密度
の低下や、温度上昇による寿命の低下を生じるという問
題があった。また大電流用として多数のエミッタをアレ
イ状に配列し、冷陰極アレイ基板を組み立てる具体的な
方法も確立していないという問題があった。
【0017】本発明は、上記の問題点を解決すべくなさ
れたもので、冷陰極アレイ基板の製造歩留まりを改善す
ると同時に電流密度と動作寿命を向上させ、さらに冷陰
極アレイ基板とこれに対向して配置されるアノ一ド電極
との間の耐圧を確保する手段を提供することを目的とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の冷陰極アレイ基
板は、モールド基板上に形成した複数のアレイ状のエミ
ッタ導体層と、あらかじめ溝加工を施した導体基板と
を、モールド基板を上にして互いに接着し、上部のモー
ルド基板を除去する前に下部の導体基板を切断し、アレ
イごとに導体基板を分離することを特徴とする。
【0019】さらに各アレイごとに形成された導体基板
の分離溝に絶縁性材料を充填し、基板強度を確保した上
で上部のモールド基板を除去し、複数のアレイに亘って
連続したゲート電極が形成されるようにする。
【0020】この状態でそのまま用いても良いし、簡易
な検査方法で各アレイの良否を判定したのち、ダイシン
グして各アレイ基板に分割しても良い。また、この検査
方法によつて選別された良品アレイ基板のみを選別・配
列し、相互の基板間の隙間を絶縁材料で充填した後、各
アレイ基板のゲート電極を薄膜導体層で接続して冷陰極
モジュールとしても良い。
【0021】
【0022】
【0023】本発明の冷陰極アレイ基板は、上部周辺領
域と側面とが絶縁層で覆われた導体基板と、この導体基
板上面の露出部分に形成された一体の導電層からなる微
小凸状冷陰極アレイと、この微小凸状冷陰極アレイの凸
の先端部における微小開口部を除き、前記上部周辺領域
の絶縁層を含む前記導体基板の上面の全てを覆う第2の
絶縁膜と、前記微小凸状冷陰極アレイの凸の先端部にお
ける微小開口部を除き、前記第2の絶縁膜の全てを覆う
ゲート電極と、を具備することを特徴とする。
【0024】本発明の冷陰極モジュールは、複数の上記
冷陰極アレイ基板が、導体基板間に充填された充填層に
より導体台基板上に配列固定され、かつ、前記ゲート電
極が薄膜導体層により相互に接続されたことを特徴とす
る。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1乃至図3は、本発明の
第1の実施の形態の冷陰極アレイ基板の構造とその製造
方法を示す断面図である。
【0028】図1(a)に示す導体基板1はCu、Al
又はステンレス等の金属からなり、アレイごとに分離す
るためのダイシングラインに沿って、その下面に第1の
凹状の溝2と、その上面の第2の凹状の溝2aとを設
け、これら第1、第2の溝が互いに対向する法線位置に
あるように導体基板1に溝加工を行う。
【0029】これらの溝加工は、機械加工の後バリを除
去するようにエッチングや研磨等の追加の加工を加えて
も良いし、全ての溝加工をドライエッチング又はウエッ
トエッチングを用いて行っても良い。
【0030】本第1の実施の形態では、導体基板1の厚
さは500μm、第1、第2の溝の幅は200μm、第
1の溝2の深さは導体基板1の下面から50μm、第2
の溝2aの深さは導体基板1の上面から100μmとし
た。
【0031】図1(b)にSiモールド基板3の構造を
示す。このSiモールド基板はp型Siからなり、その
上面にP(燐)を高濃度にイオン注入することにより、
+型のSiゲート層4を備えている。ここでn+ は高
濃度にn型不純物が添加されていることを示し、このよ
うにSiゲート層4を高不純物濃度とすることにより高
い導電率を付与し、これをゲート電極として用いること
ができる。
【0032】次に図1(c)に示すように、Siゲート
層4に逆ピラミッド型の微小エミッタモールド5を形成
する。ここでモールドとは、この部分に金属膜を埋め込
むことにより金属膜に一定の形状を与えるための凹状の
型のことをいう。
【0033】具体的には(100)結晶面に平行なSi
ゲート層4に逆ピラミッド型の複数のアレイ状に配列し
た微小エミッタモールド5を形成するために、SiO2
等からなるエッチングマスクを形成し(図示せず)、エ
ミッタの形成領域にSiO2マスクの正方形の開口部を
アレイ状に形成する。このとき開口部の各辺は<110
>と等価な結晶軸方向にそれぞれ平行となるようにす
る。
【0034】これをエッチングマスクとして、結晶面選
択性の強いエッチング液を用いてSiゲート層4を異方
性エッチングすれば、Siゲート層4に前記正方形の開
口部をベースとする逆ピラミッド状の微小エミッタモー
ルドを、アレイ状に形成することができる。このとき、
逆ピラミッドの3角形の斜面は、それぞれ(111)面
に等価な結晶面からなり、従ってこのようにして形成さ
れた微小エミッタモールドの逆ピラミッド型の形状は、
極めて高い再現性で高精度に形成される。
【0035】次に図1(d)に示すように、Siゲート
層4の表面を熱酸化し、微小エミッタモールド5の逆ピ
ラミッド型の面を含めてSiゲート層4の表面にSiO
2 からなる熱酸化膜6を形成する。この熱酸化膜6は、
後に微小エミッタモールドを埋め込むことにより形成さ
れるエミッタ導体層7(図2参照)と、Siゲート層4
とを絶縁すると同時に、図1(e)に示すように、微小
エミッタモールドの先端部を尖鋭化するのに役立つ。そ
の理由は次のとおりである。
【0036】図1(e)の左側に示されるように、逆ピ
ラミッド型の微小エミッタモールドの内面は(111)
と等価な結晶面で囲まれるため、先端部のなす角は一定
値に規定される。しかし、これを電界放出型のエミッタ
として用いる場合には、先端部をさらに尖鋭化して電界
集中を強化することが望ましい。
【0037】図1(e)の右側に示すように、Siゲー
ト層の表面を熱酸化すれば、SiO2 からなる熱酸化膜
6は、Siゲート層の内部に向かって酸化が進行し、先
端部がp型のSiモールド基板3に侵入するようにな
る。ここでSiモールド基板3に侵入したSiO2 は、
後に示す工程で(図3(l)参照)前記Siモールド基
板3と共にエッチング除去され、Siゲート層4のエミ
ッタ先端部に対応する位置に電子放出の開口部を自己整
合的に形成するのに用いられる。
【0038】また、表面酸化により生成したSiO2
は、酸化前のSi結晶に比べて体積が増加するため逆ピ
ラミッド型の内面で、熱酸化膜6の表面形状が内側に向
かって狭められ、先端部がいちじるしく尖鋭化される。
【0039】次に図2(f)に示すように、尖鋭化され
た微小エミッタモールド5を埋め込むように、スパッタ
法を用いてMoからなるエミッタ導体層7を堆積する。
以上にのべた転写モールド法を用いて微小エミッタモー
ルド5にMoを充填し、エミッタ導体層7を形成した。
なお、図2において図1と対応する部分には同一の参照
番号を付している。(以下図3乃至図7において同
じ)。
【0040】本第1の実施の形態では、Moを用いてエ
ミッタ導体層7を形成したが、必ずしもMoに限定され
るものではなく、W等の高融点金属やTiN、LaB
6 、BN、AlN、GaN、ダイヤモンド、ダイヤモン
ドライクカーボンなどの各種材料を用いることができ
る。
【0041】次にエミッタ導体層7の表面に、接合層と
してTi、Cuなどの薄膜を形成し(図示せず)、パタ
ーニングを行って一続きのエミッタ導体層7を、図2
(g)に示すように、エミッタがアレイ状に配列したエ
ミッタ導体層7ごとに分離する。この分離工程は、後に
示す接合導体層8(図2(j)参照)をオーバーエッチ
ングにより完全に除去するために行うが、エミッタ導体
層としてMoよりもエッチングの容易な材料を用いる場
合にはこの分離工程を省略することができる。
【0042】次に図2(h)に示すように、接合導体層
としてPb−Sn、Au−Sn等からなる接合導体層8
を設け、図2(i)に示すように、図1(a)に示した
導体基板1の上に接合導体層8を下にして、微小エミッ
タ形成領域と導体基板の第1、第2の溝2、2aとが重
ならないように位置合わせし両者を接着する。このよう
にして導体基板1の上の微小エミッタ形成領域に、先端
部を上にしてアレイごとに配列したエミッタ導体層が形
成される。
【0043】次に図2(j)に示すように、互いに垂直
位置にある前記第1、第2の溝2、2aの間に残された
導体基板1の厚さ部分を除去することにより、導体基板
の下面から前記エミッタ導体層に達する第3の溝2bを
形成する。前記除去工程は、導体基板1の上に接着され
たSiモールド基板3の形成表面を傷つけないように、
導体基板1の前記厚さ部分のみを切断するダイシング工
程により行われる。ここでダイシングとは大きい基板を
複数の方形基板に切断分離する工程をいう。
【0044】あらかじめ導体基板1には、第1、第2の
溝、2、2aの溝加工が施されているため、このように
導体基板1のみをバリ等を生じることなく切断すること
が可能となる。
【0045】次に図2(j)に示すように、前記第3の
溝2bを通じて接合導体層8をエッチング除去すること
により、Siゲート層4に形成された熱酸化膜6を露出
し、さらにオーバーエッチングすることにより、分離さ
れた導体基板1の上部周辺領域の接合導体層8を除去す
る。
【0046】次に図3(k)に示すように、前記第3の
溝2bにより分離した導体基板1が再度一体化するよう
に、前記接合導体層8の除去部分を含めて前記第3の溝
2bに絶縁充填剤を隙間なく埋め込むことにより、絶縁
充填層9を形成する。
【0047】本第1の実施の形態では、第3の溝2bへ
の絶縁充填材の埋め込みを次のようにして行った。すな
わち、プラズマCVDを用いてあらかじめ第3の溝2b
の内面を低温のSiN膜で被覆し、引き続き絶縁充填層
9として樹脂等を充填・硬化した。この低温SiN膜
は、冷陰極層への湿気の侵入等を防止するパッシベーシ
ョン膜として役立つ。
【0048】絶縁充填剤としては耐熱性ポリイミド、エ
ポキシ、セラミックペースト、低融点ガラスなどが用い
られる。これらの材料を充填する際には、スキージで行
っても良いし、基板の上下両面に剥離可能なテープを貼
り、減圧下で樹脂等を基板の横から吸い込ませる方法を
用いても良い。ここでスキージとは、間隙に充填剤を圧
入する際に用いるジグのことをいう。
【0049】導体基板1の壁面の絶縁にはプラズマ溶
射、セラメッキ等の方法を用いても良いし、導体基板1
としてAlを用い、表面を酸の中で陽極酸化し、絶縁被
膜を形成しても良い。また、導体基板1の下面にこれら
の絶縁被膜が形成された場合には軽く機械研磨を行い、
後の工程(図3(m)参照)のために、導体基板1の下
面を露出しておく必要がある。
【0050】次に図3(l)に示すように、Siモール
ド基板3に形成されたn+ 型のSiゲート層4を残して
p 型のSiモールド基板3のみを電気化学的エッチング
により除去する。電気化学的エッチングを用いればn+
型とp型の差を利用して、p型のSi部分のみを選択的
にエッチングすることができる。さらにSiO2 からな
る熱酸化膜6をエッチング除去して、先にのべたように
自己整合的にエミッタから電子を引き出すためのゲート
開口部10を形成し、ウェハーレベルでの冷陰極アレイ
基板を完成する。
【0051】このように形成された冷陰極アレイ基板
は、上面のSiゲート層4からみれば、ゲート開口部1
0以外は、基板全面を覆うようにSiゲート層4が連続
して形成されており、かつ、第3の溝2bの絶縁充填層
9により、アレイごとに分離されている。
【0052】従って、図3(m)に示すように、絶縁板
12により固定され、互いに絶縁されたエミッタ個別電
極11を用いて導体基板1の下面からアレイごとにコン
タクトを取り、真空チャンバー内でアノ一ド電極13と
対向させれば、これまでのアレイ基板では避けられなか
った、アレイごとにゲートコンタクトを取る必要がなく
なり、極めて容易にアレイごとの検査が可能になる。
【0053】すなわち、従来の冷陰極アレイ基板では、
導体基板1を一体のものとしてその上に複数の冷陰極ア
レイが形成されていたため、例えばゲートとエミッタと
の短絡等の工程不良をアレイごとに検査しようとすれ
ば、各冷陰極アレイのゲートごとに電極を引き出して、
短絡の有無を検査する以外に方法がなかった。
【0054】しかし、このようにゲート配線の引き出し
が複雑になれば、冷陰極アレイ基板の上面に不規則な凸
部が形成され、アノード電極13との間で放電を生じ、
素子を破壊するばかりでなく、ゲート電極では制御でき
ないエミッタ以外からの電子放出を生じ、素子の動作上
極めて不都合である。
【0055】本第1の実施の形態の冷陰極アレイでは、
図3(m)に示す構成を用いて、アレイごとの良否判定
を行つた後、前記Siゲート層4と共に第3の溝2bの
絶縁充填層9に沿って切断することにより、第3の溝2
bの側面に一定厚さの絶縁充填層9を残して導体基板1
を図3(n)に示すように分離し、アレイごとにダイシ
ングされた冷陰極アレイ基板を完成することができる。
【0056】このようにして製造されたアレイ基板は、
アレイごとに良品選別が行われており、またその上面
は、ゲート開口部10以外全てSiゲート層4で覆われ
ているため完全に平坦化され、かつ、導体基板1の冷陰
極層の端面もダイシング後残された絶縁充填層9で覆わ
れている。このため、所定のエミッタ導体層7の先端部
以外からの不要な放電やリークを生じる恐れがない。
【0057】また本第1の実施の形態の冷陰極アレイで
は、個別のアレイ基板ごとにエミッタ個別電極11でコ
ンタクトを取ることにより、不良となったアレイを回路
的に切り離し、その他のアレイを用いて動作を継続させ
ることも可能である。
【0058】これは従来冷陰極アレイにおいてしばしば
生じていたゲート・エミッタ間の短絡故障を回避する上
で有効である。すなわち、従来はアレイ基板内で1ケ所
でも前記短絡故障が生じれば、全ての冷陰極アレイが使
用不能となるのに対して、本発明では、短絡部を含むア
レイ基板だけを切り離して使用することができる。
【0059】図4(a)に図3(l)までの工程を終了
した段階での、本第1の実施の形態における冷陰極アレ
イ基板の下面図を、図4(b)にその上面図を示す。下
面図には絶縁充填層9により一体化され分離された複数
の導体基板1が、また、上面図にはアレイ形成領域のゲ
ート開口部10以外全てSiゲート層4で平坦に覆われ
た状況が示されている。
【0060】次に図5に基づき、本発明の第2の実施の
形態に係る冷陰極アレイ基板の構成と製造方法について
説明する。図3(m)で良品選別され、かつ、図3
(n)でダイシングされた個別の冷陰極アレイ基板のS
iゲート層4を、図5(a)に示すように粘着性のテー
プ層14を用いて一定の間隔で仮接着し、この間隙に絶
縁充填層9aを充填して一体化する。
【0061】絶縁充填層の材料としては、図3(k)で
第3の溝2aの充填剤として用いた耐熱エポキシ、耐熱
ポリイミド、低融点ガラス、セラミックペースト等、ガ
ス放出のできるだけ少ない材料が選ばれる。その後図5
(b)に示すように、一体化した冷陰極アレイ基板を導
体台基板15にボンディングし、テープ層14を剥離し
た後、図5(c)に示すように薄膜導体層16を薄膜技
術を用いてマスク蒸着し、個別のアレイ基板間に亘って
Siゲート層4を一括接続する。
【0062】次に図5(d)に示すように、導体台基板
15の上に形成された複数のアレイ基板からなる冷陰極
モジュールに対向して、アノード電極13を配置して動
作させれば、冷陰極アレイ基板上のゲート配線の引き回
しによる不規則な凸部を生じないので、第1の実施の形
態と同様、所定のエミッタ導体層7の先端部以外からの
不要な放電やリーク電流を生じる恐れがない。
【0063】複数の冷陰極アレイ基板を冷陰極モジュー
ルとして組み立てる他の方法として、各アレイ基板を導
体台基板15にはんだ等を用いて接着した後、全基板の
表面を剥離可能な粘着性のシー卜で覆い、減圧下で側面
から絶縁充填材料を吸引・硬化させる方法がある。硬化
後シートを剥離し、Siゲート層4に薄膜導体層16を
薄膜技術を用いてマスク蒸着することによりゲート間の
接続を一括して形成することができる。このとき、導体
台基板15には、各導体基板1の大きさにに合わせた浅
い畝加工を施しておくと良い。
【0064】なお本発明は上記の実施の形態に限定され
ることはない。例えば第1の実施の形態の図3(m)の
段階において、全てのアレイ基板に不良がない場合に
は、エミッタ個別電極11をコンタクトした状態で、そ
のまま大電流のパワースイッチング素子として用いるこ
ともできるし、図5(b)に示すように放熱性に優れた
導体台基板15に接着して放熱性を向上させ、さらに電
流密度を高めることもできる。その他本発明の要旨を逸
脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0065】
【発明の効果】上述したように本発明の冷陰極アレイ基
板とその製造方法によれば、例えば6インチ径の導電性
基板上に複数の冷陰極アレイを同時に形成した後、これ
を個別のアレイに分割する前に、各アレイの良否検査を
容易に行うことにより総合歩留まりを大幅に向上するこ
とができる。
【0066】また1枚の基板上に多数の冷陰極アレイを
形成し、短絡などの不良の生じていないアレイだけを選
択的に使用することができる。なお、使用時においても
各アレイの基板下面にエミッタ個別電極を配置すること
により、使用過程で生じたアレイの短絡にも対処するこ
とができる。
【0067】従来行われたように、基板上面においてア
レイごとにゲート配線を引き回す方法を用いても、同様
のことが実施可能ではあるが、この場合にはアレイの集
積密度を下げる必要があるのに対して、本発明では余分
なゲート配線を設けることなく、基板の下面から素子の
主電流を取り出すことにより素子を動作させることがで
きるので、実質的にアレイの集積密度が向上し、動作電
流密度を大きくすることができる。
【0068】また、このような複数の冷陰極アレイから
なる大型基板は、表面から見た場合、ゲート開口部を除
く全面がSiゲート層で覆われているため、エッジでの
不要なリ一ク電流を生じ難く、またガス放出なども生じ
難い。
【0069】さらに、大型基板からの良品だけの選別が
可能となる点を利用してマルチチップモジュールを構成
し、大電流密度の素子を実現することが容易になる。ま
た、個別のアレイごとに分割して使用する場合には、あ
らかじめ溝加工しておくことにより基板断面のバリやメ
クレなどの発生を回避し、リーク電流の発生や絶縁低下
を防止することができる。
【0070】また、溝に絶縁充填剤を充填してからダイ
シングする場合には、ダイシングされた導体基板端面の
冷陰極部が絶縁充填剤で被覆されているため、端面から
のリーク電流を防止することができる。
【0071】さらに、この導体基板端面の冷陰極部が絶
縁被覆されていることから、個別のアレイ基板を集合し
て隙間を絶縁充填層で結合し、薄膜技術を用いて各Si
ゲート層を薄膜導体層で接続することにより、ゲートと
エミッタとを短絡させることなく個別のアレイ基板間の
Siゲー卜層を一括接続することができる。これより、
不規則な凸部が極めて少ないゲート電極の引出しが可能
になり、耐圧の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極アレイ
基板の構造と製造方法を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極アレイ
基板の構造と製造方法の続きをを示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極アレイ
基板の構造と製造方法の続きをを示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極アレイ
基板の上面と下面の構造を示す平面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る冷陰極アレイ
基板の構造と製造方法を示す断面図。
【図6】従来の冷陰極アレイの構造を示す断面図。
【図7】従来の冷陰極エミッタの製造方法を示す断面図
であって、(a)〜(c)はスピント法を示す工程断面
図。(d)〜(f)はグレイらの方法を示す工程断面
図。
【符号の説明】
1…導体基板 1a…Si基板 1b…エミッタ 2…第1の溝 2a…第2の溝 2b…第3の溝 3…Siモールド基板 4…Siゲート層 5…微小エミッタモールド 6…熱酸化膜 7…エミッタ導体層 8…接合導体層 9、9a…絶縁充填層 10…ゲート開口部 11…エミッタ個別電極 12…絶縁板 13…アノード電極 14…テープ層 15…導体台基板 16…薄膜導体層 17…ゲート絶縁膜 18…ゲート電極 19…ゲート開口部 20…ゲート配線層 21…ゲート配線 22…エミッタ導体 23…エミッタ配線層 24…絶縁基板 25…Al犠牲層 26…Mo層 27…SiO2 マスク
フロントページの続き (72)発明者 中山 和也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平7−254355(JP,A) 特開 昭55−15173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 9/02 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部周辺領域と側面とが絶縁層で覆われ
    た導体基板と、 この導体基板上面の露出部分に形成された一体の導電層
    からなる微小凸状冷陰極アレイと、 この微小凸状冷陰極アレイの凸の先端部における微小開
    口部を除き、前記上部周辺領域の絶縁層を含む前記導体
    基板の上面の全てを覆う第2の絶縁膜と、 前記微小凸状冷陰極アレイの凸の先端部における微小開
    口部を除き、前記第2の絶縁膜の全てを覆うゲート電極
    と、 を具備することを特徴とする冷陰極アレイ基板。
  2. 【請求項2】 複数の請求項1の冷陰極アレイ基板が、
    導体基板間に充填された充填層により導体台基板上に配
    列固定され、かつ、前記ゲート電極が薄膜導体層により
    相互に接続されたことを特徴とする冷陰極モジュール。
JP06510698A 1998-03-09 1998-03-16 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール Expired - Fee Related JP3445488B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06510698A JP3445488B2 (ja) 1998-03-16 1998-03-16 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール
US09/263,217 US6297586B1 (en) 1998-03-09 1999-03-05 Cold-cathode power switching device of field-emission type

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06510698A JP3445488B2 (ja) 1998-03-16 1998-03-16 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11260246A JPH11260246A (ja) 1999-09-24
JP3445488B2 true JP3445488B2 (ja) 2003-09-08

Family

ID=13277325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06510698A Expired - Fee Related JP3445488B2 (ja) 1998-03-09 1998-03-16 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3445488B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009199976A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Panasonic Corp マトリックス型冷陰極電子源装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11260246A (ja) 1999-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5038070A (en) Field emitter structure and fabrication process
KR100738149B1 (ko) 반도체 장치 및 그 제조 방법
US20060141669A1 (en) Semiconductor package having semiconductor constructing body and method of manufacturing the same
JP2006278646A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2002110951A (ja) 半導体装置及びその製造方法、半導体ウエハ及びそれにより製造される半導体装置
US7326637B2 (en) Method and system for bonding a semiconductor chip onto a carrier using micro-pins
JP4308904B2 (ja) 表面取り付け及びフリップチップ技術
US20090261375A1 (en) Package-base structure of luminescent diode and fabricating process thereof
JP2002076326A (ja) 半導体装置
JP4020367B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2003158097A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JPH07201273A (ja) 電界放出冷陰極とこれを用いた電子管
JP3445488B2 (ja) 冷陰極アレイ基板および冷陰極モジュール
KR100256527B1 (ko) 전계 방출 전자 발생원 및 그 제조 방법
EP0841678A1 (en) Vacuum-sealed field-emission electron source and method of manufacturing the same
CN116314240A (zh) 半导体装置及其制备方法
US6297586B1 (en) Cold-cathode power switching device of field-emission type
JP3579464B2 (ja) マイクロ電子銃及びその製造方法
JP3559440B2 (ja) 電界放出型冷陰極及びその製造方法
JP2630280B2 (ja) アレイ状電界放射冷陰極とその製造方法
JP2002190553A (ja) 樹脂封止型半導体素子及びその製造方法
KR100348814B1 (ko) 전계방출캐소드 및 그 제조방법
JPH08106846A (ja) 電界放出型電子放出素子およびその製造方法
JPH0758132A (ja) 半導体装置の製造方法
JP3668246B2 (ja) 電界放出型冷陰極及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees