JP3444641B2

JP3444641B2 - 洗浄剤

Info

Publication number: JP3444641B2
Application number: JP939394A
Authority: JP
Inventors: 泉山下; 省慈松本; 悟森
Original assignee: Asahi Kasei Corp
Current assignee: Asahi Kasei Corp
Priority date: 1994-01-31
Filing date: 1994-01-31
Publication date: 2003-09-08
Anticipated expiration: 2018-09-08
Also published as: JPH07216398A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、汚れた固体表面、特に
スクリーン印刷時に使用されるインキや導電性ペースト
等を洗浄するのに好適な洗浄剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、スクリーン印刷法が電子工業分野
をはじめとして広く活用されているが、これは絹、ナイ
ロン、テトロンなどの繊維、あるいはステンレスの針金
などで織った布地（スクリーン）を枠に張って四周を固
定し、その上に手工的、または光化学的方法で版膜を作
って必要な画線以外の目をふさぎ、版膜のない部分のス
クリーンを通過するインキにより印刷を行なうものであ
る。印刷を終えたスクリーンは保管または再使用のた
め、スクリーンに付着、残留したインキを洗浄、除去す
る必要がある。

【０００３】これらの洗浄、除去には、不燃性で毒性が
低く、優れた溶解性を示す等、多くの特徴を有すること
から、１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフル
オロエタンや１，１，１−トリクロロエタンが広く使わ
れてきた。しかし、これらは洗浄剤として極めて優れた
ものであるが、化学的に安定であるため成層圏に達して
ここで強い紫外線により分解され塩素が生成してこれが
オゾン層を破壊し、地上に達する有害な紫外線を増加さ
せる結果、人類を含む地球上の生態系に深刻な影響を与
えることが近年指摘され、これらの生産と消費を規制
し、更に近い将来全廃することが国際的に取り決められ
た。

【０００４】かかる状況下において、安全で環境への影
響の少ない非ハロゲン系の代替洗浄剤への期待が高まっ
ているが、すべての要求性能を満たすものは未だ得られ
ていないのが現状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、洗浄力が優
れ、かつ、引火の危険性が低く、オゾン層破壊の恐れが
全くない洗浄剤を提供するものである。

【０００６】

【課題を達成するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、二塩基酸エステ
ル、下記一般式（１）で表されるグリコールエーテル系
化合物、エポキシ化合物及び／又はカルボジイミド化合
物、及び水を組み合わせることにより上記目的が達成で
きることを見いだし、本発明を完成した。

【０００７】すなわち、本発明は、（ａ）アジピン酸ジ
メチル、こはく酸ジメチル及びグルタル酸ジメチルから
なる群より選ばれた少なくとも一種を５〜８５重量％、
（ｂ）一般式（１）で表わされるグリコールエーテルを
５〜８５重量％、（ｃ）エポキシ化合物及び／又はカル
ボジイミド化合物を０．０５〜１０重量％、（ｄ）水を
３〜２５重量％の成分からなることを特徴とする洗浄剤
である。Ｒ¹Ｏ−（Ｒ²Ｏ）n −Ｒ³ （１）［式中、Ｒ¹は炭素数１〜４のアルキル基又はアルケニ
ル基、Ｒ²は炭素数２〜４のアルキレン基、Ｒ³は水素
又は炭素数１〜３のアルキル基又はアルケニル基、ｎは
１〜４の整数を示す］以下にこの発明を詳細に説明する。

【０００８】本発明で用いられる二塩基酸エステルは、
アジピン酸ジメチル、こはく酸ジメチル、グルタル酸ジ
メチルを単独又は混合物として使用できる。これらの二
塩基酸エステルの配合量は、全組成中に５〜８５重量
％、好ましくは１０〜８０重量％が好適である。配合量
が５重量％未満では洗浄力が劣り、８５重量％を超える
と水を均一に分散させるのが難しくなる。

【０００９】本発明の一般式（１）で表されるグリコー
ルエーテル系化合物の具体例としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールお
よびトリプロピレングリコールのモノアルキルエーテ
ル、ジアルキルエーテル等が挙げられる。アルキル基の
具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、ｓｅｃ−ブチル、ｔ−ブチル等が挙げら
れる。これらのグリコールエーテル系化合物は単独又は
組み合わせて使用することができるが、配合量は、全組
成中に５〜８５重量％、好ましくは１０〜８０重量％が
好適である。配合量が５重量％未満では水を均一に分散
させるのが難しくなる。

【００１０】本発明のエポキシ化合物及びカルボジイミ
ド化合物は、貯蔵中又は使用中における二塩基酸エステ
ルの加水分解を抑制するのに効果があり、単独又は組み
合わせて使用することができる。本発明のエポキシ化合
物は、１分子内にエポキシ基を１つ以上有する化合物で
あり、具体例としては、１，２−ブチレンオキサイド、
１，２−エポキシオクタン、１，２−エポキシテトラデ
カン、シクロヘキセンオキサイド、１，２−エポキシシ
クロドデカン、ブタジエンジオキサイド、メチルグリシ
ジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、２−エチル
ヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテ
ル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジル
エーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジ
ルエーテル、ビスフェノールＡジグリシジルエーテル、
グリシドール等が挙げられるがこれに限定されるもので
はない。

【００１１】本発明に使用されるカルボジイミド化合物
の具体例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、
ジフェニルカルボジイミド、ジブチルフェニルカルボジ
イミド、ジトリルカルボジイミド、ジナフチルカルボジ
イミド等を挙げることができるがこれに限定されるもの
ではない。エポキシ化合物及び／又はカルボジイミド化
合物の配合量は、０．０５〜１０重量％、好ましくは
０．１〜５重量％が好適である。配合量が０．０５重量
％未満では殆ど効果がなく、また、１０重量％以上添加
しても実用的に意味がない。

【００１２】本発明の洗浄剤は、水を添加することによ
り引火点を著しく高め、場合によっては消失させること
ができる。水の添加量は、３〜２５重量％、好ましくは
５〜２０重量％が好適である。添加量が３重量％未満で
は殆ど効果がなく、また、２５重量％を超えると洗浄力
が落ち、場合によっては水を均一に分散させるのが難し
くなる。

【００１３】本発明の洗浄剤は、一般に高沸点組成物と
なり、被洗物の乾燥が問題になる場合があるが、そのよ
うな場合には、洗浄後に被洗物に付着残存する洗浄剤を
水でリンス、置換し、乾燥を容易にする目的で、本発明
の洗浄剤組成物に界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤としては、公知のアニオン、カチオンまたは
ノニオン界面活性剤を使用できる。例えば、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエ
ーテル等を挙げることができるが、これに限定されるも
のではない。界面活性剤の添加量は、２０重量％以下で
十分目的を達成することができる。

【００１４】

【実施例１〜４および比較例１〜３】表１に示した組成
の洗浄剤の均一性と引火点及び洗浄性について評価し
た。引火点の測定は、ＪＩＳＫ２２６５のクリーブラン
ド開放式で行った。洗浄性の評価は、各種インキやペー
スト類をテトロン製スクリーンに塗布し、１０分間放置
後シャープ（株）製スクリーン版洗浄機「ＵＣ−４５０
０」で４０℃で洗浄した。評価は下記によった。 ◎：完全に洗浄できた。○：僅かに残存した。△：かな
り残存した。×：殆ど洗浄できてない。

【００１５】実施例１〜４の洗浄剤は、いずれも均一な
液で引火点がなく、すべてのインキやペースト類が洗浄
できた。比較例１、比較例２は二塩基酸エステルが８５
重量％を超えたもの、及び水が３０重量％を超えたもの
であるが、いずれも均一な液とならなかった。比較例３
は、水が３重量％未満のものであるが、引火点が観察さ
れた。

【００１６】

【実施例５】二塩基酸エステルの加水分解に対するエポ
キシ化合物及びカルボジイミド化合物の効果を評価し
た。ＤＢＥ（アジピン酸、こはく酸、グルタル酸の混合
物）（デュポン社（株）製の二塩基酸エステル）６０重
量％、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル３
０重量％、水１０重量％のベース溶剤に各化合物を１．
０重量部添加したものを５０℃で１５日間加速処理をし
た後、加水分解により生成した酸を０．０１Ｎの水酸化
ナトリウム溶液で滴定した。滴定に要した量を表２に示
した。各化合物とも、無添加の場合と比較して加水分解
が著しく抑制されていることが確認された。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【表２】

【００１９】

【発明の効果】本発明の洗浄剤は優れた洗浄力を有する
とともに引火点もなく、品質の安定性も優れたものであ
る。しかも、ハロゲン原子を含まないのでオゾン層破壊
の恐れが全くないため、１，１，２−トリクロロ−１，
２，２−トリフルオロエタンや１，１，１−トリクロロ
エタンの代替洗浄剤として極めて有用である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開平７−90297（ＪＰ，Ａ) 特開平６−93292（ＪＰ，Ａ) 特開平７−62396（ＪＰ，Ａ) 特開平７−173492（ＪＰ，Ａ) 特開平５−320693（ＪＰ，Ａ) 特開平５−171185（ＪＰ，Ａ) 特開平１−172498（ＪＰ，Ａ) 登録実用新案3000413（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C11D 7/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】（ａ）アジピン酸ジメチル、こはく酸ジ
メチル及びグルタル酸ジメチルからなる群より選ばれた
少なくとも一種を５〜８５重量％、（ｂ）一般式（１）
で表わされるグリコールエーテルを５〜８５重量％、
（ｃ）エポキシ化合物及び／又はカルボジイミド化合物
を０．０５〜１０重量％、（ｄ）水を３〜２５重量％の
成分からなることを特徴とする洗浄剤。Ｒ¹Ｏ−（Ｒ²Ｏ）n −Ｒ³ （１）［式中、Ｒ¹は炭素数１〜４のアルキル基又はアルケニ
ル基、Ｒ²は炭素数２〜４のアルキレン基、Ｒ³は水素
又は炭素数１〜３のアルキル基又はアルケニル基、ｎは
１〜４の整数を示す］
【請求項２】印刷スクリーンを洗浄することを特徴と
する請求項１記載の洗浄剤。