JP3443932B2 - 車両のトラクションコントロール装置 - Google Patents

車両のトラクションコントロール装置

Info

Publication number
JP3443932B2
JP3443932B2 JP08787494A JP8787494A JP3443932B2 JP 3443932 B2 JP3443932 B2 JP 3443932B2 JP 08787494 A JP08787494 A JP 08787494A JP 8787494 A JP8787494 A JP 8787494A JP 3443932 B2 JP3443932 B2 JP 3443932B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
engine
control
actual
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08787494A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07269386A (ja
Inventor
哲弘 山下
一昭 名田
英治 佐藤
浩司 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP08787494A priority Critical patent/JP3443932B2/ja
Publication of JPH07269386A publication Critical patent/JPH07269386A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3443932B2 publication Critical patent/JP3443932B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、駆動輪の過剰スリッ
プ時にエンジンを制御することにより駆動力を抑制して
加速性の低下を防止する車両のトラクションコントロー
ル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両においては、加速時等の
過大な駆動トルクにより駆動輪が過剰にスリップして加
速性が低下するのを防止するために所謂トラクションコ
ントロールを行うようにしたものがある。
【0003】このトラクションコントロールは、駆動輪
の過剰スリップが発生した場合に、エンジン出力を低下
させたり、駆動輪に制動力を作用させる等して該駆動輪
のスリップ量を所定の目標スリップ量に収束させるよう
に行われ、その際該目標スリップ量が実現されるような
エンジンの目標トルク(以下単に「目標トルク」とい
う。)が設定される。そして、実際のエンジントルク
(以下「実トルク」という。)が該目標トルクとなるよ
うに、例えばエンジンの点火プラグの点火時期制御や燃
料噴射弁の燃料噴射量制御等を行うようにしたものが一
般的である。
【0004】一方、この種のトラクションコントロール
においては、従来より車両の走行状態や制御目的に応じ
て様々な制御態様が提案されている。例えば特開平2−
42148号公報には、走行負荷の大小に拘らず車速維
持性と加速性とを両立させる目的で、走行負荷が大きい
ほどエンジン出力の制御を緩やかに行うもの(以下「先
行例1」という。)、特開平2−237827号公報に
は、アクセル開度が小さいときの加速性を維持する目的
で、エンジントルクが小さいほど制御開始のための判定
値を大きくするもの(以下「先行例2」という。)、特
開平4−126636号公報には、高出力要求時の出力
回復の遅れを防止する目的で、エンジンが高出力状態の
ときはスロットル制御の開始時期を遅らせるもの(以下
「先行例3」という。)、又は特公平4−38903号
公報には、車両の走行安定性と加速性を向上する目的
で、路面摩擦係数が高いほどエンジントルクの減少割合
を小さくするもの(以下「先行例4」という。)がそれ
ぞれ開示され、トラクションコントロールに種々の改良
がなされてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トラクショ
ンコントロール実行中においては、所定の制御周期で目
標トルクが次々に設定され、実トルクがこの目標トルク
となるようにエンジンが制御されるため、短時間のうち
に点火時期や燃料噴射量が様々に変化することとなる。
換言すれば、実トルクと目標トルクとの差(以下「トル
ク変化量」という。)に相当するエンジン状態の変動が
発生することとなるが、従来よりこのトルク変化量は主
としてスリップ量に基づいて設定されているので、例え
ば同じスリップ量が検出されれば同じトルク変化量が設
定され、その結果、エンジン状態の変動が同じだけ発生
することとなる。
【0006】しかしながら、このようなスリップ量のみ
に基づくトルク変化量の設定では次のような問題が生じ
る。
【0007】すなわち、同じスリップ量が検出されて同
程度のエンジン状態の変動が発生する場合に、スロット
ル開度が大きくエンジン出力が高いときは、かかるエン
ジン状態の変動の影響が比較的少なくて済むが、逆にス
ロットル開度が小さくエンジン出力が低いときには、そ
の影響が著しくなり、エンジン状態の変動率が大きくな
って車両の走行安定性が損なわれる虞がある。
【0008】また、スロットル開度が同じであっても、
路面状態によっては上記エンジン状態の変動の影響を受
けて車両走行性が不安定となる場合も懸念される。
【0009】かかる観点から上記先行例を考察すると、
先行例1では、走行負荷が小さくなるときにはエンジン
出力の制御が緩やかに行われないので、エンジン状態の
変動の影響が回避されない。また、先行例2及び先行例
3では、エンジン制御のための目標トルクについて考慮
が払われていない。さらに、先行例4では、路面摩擦係
数が低いときにはエンジントルクの減少割合を小さくし
ないので、車両の走行安定性が維持できない。
【0010】この発明は、車両のトラクションコントロ
ール装置における上記問題に対処するもので、トラクシ
ョンコントロール実行中におけるエンジン制御をより適
正に行うことによって、トラクションコントロール本来
の目的である加速性の確保と車両走行安定性の維持とを
両立させ、もってこの種のトラクションコントロール装
置の信頼性を向上することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の請求項
1に記載の発明(以下「第1発明」という。)は、駆動
輪の過剰スリップ時にエンジン制御により駆動力を抑制
するようにした車両のトラクションコントロール装置で
あって、駆動輪の路面に対するスリップ量を検出するス
リップ量検出手段と、エンジンの実トルクを検出する実
トルク検出手段と、これらの検出手段で検出されたスリ
ップ量と実トルクとに基づいて、該スリップ量が所定の
目標スリップ量となるようにエンジンのトルクダウン量
を設定するトルクダウン量設定手段と、該トルクダウン
量設定手段で設定されたトルクダウン量と上記実トルク
とに基づいて、エンジンの目標トルクを設定する目標ト
ルク設定手段と、該目標トルクが実現されるように点火
時期制御と燃料噴射量制御とを行ってエンジンを制御す
るエンジン制御手段とが設けられていると共に、上記ス
リップ量検出手段で検出されるスリップ量が同一であっ
ても、上記実トルク検出手段で検出される実トルクが小
さいほど、単位時間あたりのトルクダウン量が小さくな
るように、上記目標トルク設定手段で設定された目標ト
ルクを補正する目標トルク補正手段が備えられているこ
とを特徴とする。
【0012】また、本願の請求項2に記載の発明(以下
「第2発明」という。)は、上記第1発明において、ト
ラクションコントロール開始直後に目標トルク設定手段
で設定される初回の目標トルクについては、実トルク検
出手段で検出される実トルクが小さくても、目標トルク
補正手段がこれを補正しないことを特徴とする。
【0013】さらに、本願の請求項3に記載の発明(以
下「第3発明」という。)は、駆動輪の過剰スリップ時
にエンジン制御により駆動力を抑制するようにした車両
のトラクションコントロール装置であって、駆動輪の路
面に対するスリップ量を検出するスリップ量検出手段
と、エンジンの実トルクを検出する実トルク検出手段
と、これらの検出手段で検出されたスリップ量と実トル
クとに基づいて、該スリップ量が所定の目標スリップ量
となるようにエンジンの目標トルクを設定する目標トル
ク設定手段と、該目標トルクが実現されるように点火時
期制御と燃料噴射量制御とを行ってエンジンを制御する
エンジン制御手段とが設けられていると共に、上記実ト
ルク検出手段で検出される実トルクが小さいほど、上記
エンジン制御手段が行うエンジン制御の実行速度を遅く
する制御実行速度変更手段が備えられていることを特徴
とする。
【0014】そして、本願の請求項4に記載の発明(以
下「第4発明」という。)は、上記第3発明において、
トラクションコントロール開始直後にエンジン制御手段
が行う初回のエンジン制御の実行速度については、実ト
ルク検出手段で検出される実トルクが小さくても、制御
実行速度変更手段がこれを遅くしないことを特徴とす
る。
【0015】一方、本願の請求項5に記載の発明(以下
「第5発明」という。)は、上記第2発明又は第4発明
のいずれかにおいて、トラクションコントロールが終了
した時は、エンジン制御手段が、目標トルクを実現する
ようなエンジン制御を停止したうえで、エンジンが通常
運転状態へ回復されるようにエンジンを制御すると共
に、実トルク検出手段で検出される実トルクが小さいと
きほど、該回復のためのエンジン制御の実行速度を遅く
する回復速度変更手段が備えられていることを特徴とす
る。
【0016】
【作用】上記の構成によれば次のような作用が得られ
る。
【0017】すなわち第1発明によれば、トルクダウン
量設定手段によってトルクダウン量がスリップ量だけで
なく実トルクをも考慮して設定され、且つ目標トルク設
定手段によって目標トルクが該トルクダウン量と実トル
クとに基づいて設定されるので、従来行われていたスリ
ップ量のみに基づくエンジン制御に比べて、エンジン状
態をより適切に反映したトラクションコントロールが可
能となる。
【0018】そして、スリップ量が同一であっても、実
トルクが小さいほど、単位時間あたりのトルクダウン量
が小さくなるように、上記目標トルク設定手段で設定さ
れた目標トルクを補正する目標トルク補正手段が備えら
れているので、実トルクが小さいとき、換言すればスロ
ットル開度が小さくてエンジン出力が低い状態にあると
きや、路面摩擦係数が小さくてスリップが起こり易い状
況にあるとき等、エンジン状態の変動の影響が顕著に現
れるときには、従来スリップ量が同じであれば同じ値に
設定されていたトルクダウン量が小さくなるように目標
トルクが補正される結果、上記変動が低減されることと
なって車両走行安定性の維持が図られることとなる。
【0019】これに対し、実トルクが大きいときには、
かかるトルクダウン量の減少補正が弱められるので、ト
ラクションコントロール本来の目的である加速性の確保
が図られることとなる。
【0020】尚、ここにいうトルクダウン量の絶対値が
前述のトルク変化量と同意義であり、トルクダウン量が
正の値であれば実トルクを目標トルクまで低下させ、逆
にトルクダウン量が負の値であれば実トルクを目標トル
クまで高上させることとなる。
【0021】また第2発明によれば、上記第1発明の構
成において、トラクションコントロール開始直後に設定
される初回の目標トルクについては、実トルク検出手段
で検出される実トルクが小さくても目標トルク補正手段
がこれを補正しないので、トラクションコントロール開
始直後においては、スリップ量と実トルクとに基づいて
設定された正規の目標トルクが実現されるようにエンジ
ンが制御されることとなる。その結果、早期に確実なス
リップ量の低減が実現するので、過剰スリップを抑制し
て加速性の低下を防止するというトラクションコントロ
ール本来の目的が確保されることとなる。
【0022】さらに第3発明によれば、目標トルク設定
手段によって目標トルクがスリップ量だけでなく実トル
クをも考慮して設定されるので、従来行われていたスリ
ップ量のみに基づくエンジン制御に比べて、エンジン状
態をより適切に反映したトラクションコントロールが可
能となる。
【0023】そして、実トルクが小さくなるほど、エン
ジン制御手段が行うエンジン制御の実行速度を遅くする
制御実行速度変更手段が備えられているので、実トルク
が小さいとき、換言すればスロットル開度が小さくてエ
ンジン出力が低い状態にあるときや、路面摩擦係数が小
さくてスリップが起こり易い状況にあるとき等、エンジ
ン状態の変動の影響が顕著に現れるときには、エンジン
の制御が徐々に行われる結果、該変動が緩やかとなっ
て、車両走行安定性の維持が図られることとなる。
【0024】これに対し、実トルクが大きいときには、
かかるエンジン制御実行速度の減少変更が弱められるの
で、トラクションコントロール本来の目的である加速性
の確保が図られることとなる。
【0025】また第4発明によれば、上記第3発明の構
成において、トラクションコントロール開始直後に行わ
れる初回のエンジン制御の実行速度については、実トル
ク検出手段で検出される実トルクが小さくても制御実行
速度変更手段がこれを遅くしないので、トラクションコ
ントロール開始直後においては、スリップ量と実トルク
とに基づいて設定された目標トルクを実現するように行
われるエンジン制御が正規の実行速度で実行されること
となる。その結果、早期に確実なスリップ量の低減が実
現するので、過剰スリップを抑制して加速性の低下を防
止するというトラクションコントロール本来の目的が確
保されることとなる。
【0026】一方第5発明によれば、上記第2発明又は
第4発明の構成において、トラクションコントロールが
終了した時は、エンジン制御手段が、目標トルクを実現
するようなエンジン制御を停止したうえで、エンジンが
通常運転状態へ回復されるようにエンジンを制御するの
で、当該トラクションコントロールが終了した後は、目
標トルク実現のためのエンジン制御が行われるのではな
く、エンジンを通常運転状態へ回復させるためのエンジ
ン制御が行われることとなる。
【0027】さらに、実トルク検出手段で検出される実
トルクが小さいときほど、該回復のためのエンジン制御
の実行速度を遅くする回復速度変更手段が備えられてい
るので、実トルクが小さいとき、換言すればスロットル
開度が小さくてエンジン出力が低い状態にあるときや、
路面摩擦係数が小さくてスリップが起こり易い状況にあ
るとき等、トラクションコントロール終了時のエンジン
状態が通常運転状態へと回復する際の変動の影響が顕著
に現れるときには、該回復のためのエンジンの制御が徐
々に行われる結果、該変動が緩やかとなって、トラクシ
ョンコントロール中における上記第1発明又は第3発明
の作用と同様、車両走行安定性の維持が図られることと
なる。
【0028】これに対し、実トルクが大きいときには、
トラクションコントロール終了後における上記回復のた
めのエンジン制御実行速度の減少変更が弱められるの
で、トラクションコントロールが終了した後は、エンジ
ンが早期に通常運転状態へと回復することとなり加速性
が速やかに回復されることとなる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0030】この実施例に係る車両には、図1に示すよ
うに、左右のバンク10a,10bに各々3個の気筒が
列状に設けられたエンジン10が搭載されていると共
に、吸気系11を構成するサージタンク12に接続され
た6本の独立吸気通路13…13には燃料噴射弁14…
14がそれぞれ設置されている。そして、上記サージタ
ンク12に接続された主吸気通路15には、図示しない
アクセルペダルに連動して吸入空気量ないしエンジン出
力を調節するスロットルバルブ16が設置されている。
また、エンジン10には各気筒毎に点火プラグ17…1
7が備えられている。
【0031】一方、エンジン10の排気系18は、各気
筒ごとの独立排気通路19…19と、これらの排気通路
19…19を各バンクごとに集合させる2本の集合排気
通路20,20と、両集合排気通路20,20を下流側
で1本に合流させる合流排気通路21とを有する。な
お、この合流排気通路21には、排気ガス浄化用の触媒
コンバータ(図示せず)が設置されている。
【0032】そして、この車両にはエンジン制御用のコ
ントロールユニット(以下「ECU」という。)30
と、トラクション制御用のコントロールユニット(以下
「TRCU」という。)40とが備えられて、相互に信
号を授受しあうように構成されている。
【0033】このうちECU30は、サージタンク12
に付設された圧力センサ31からの吸入空気圧信号、エ
ンジン回転数を検出するエンジン回転センサ32からの
信号などを入力して、これらの信号に基づいて各気筒ご
とに備えられた点火プラグ17…17に対する点火時期
の制御と、上記燃料噴射弁14…14からの燃料噴射量
の制御とを行うと共に、エンジントルク(実トルク)を
検出してTRCU40に出力するようになっている。
【0034】ここで、ECU30が行う上記点火時期制
御、燃料噴射制御及び実トルク検出処理を説明すると、
まず点火時期制御は概略次のように行われる。
【0035】すなわち、ECU30は、例えばエンジン
回転センサ32からの信号が示すエンジン回転数Neと
圧力センサ31からの信号が示す吸入空気圧Pとを予め
設定した点火時期のマップに当てはめることにより最適
点火時期を決定すると共に、この最適点火時期で点火プ
ラグ17…17が点火されるように点火時期制御信号を
出力する。
【0036】また、燃料噴射制御は概略次のように行わ
れる。すなわち、ECU30は、上記エンジン回転数N
eと吸入空気圧Pとから基本燃料噴射量を設定すると共
に、図示しない水温センサなどの信号に基づいて計算し
た各種補正係数を上記基本燃料噴射量に乗算して最終噴
射量を決定する。そして、この最終噴射量で燃料が噴射
されるように燃料噴射信号を燃料噴射弁14…14に出
力する。
【0037】そして、実トルク検出処理は、具体的には
次のように行われる。すなわち、ECU30には、例え
ば図2〜図11に示すように、エンジン回転数Neと吸
入空気圧Pとをパラメータとして設定された第1〜第1
0エンジントルクマップが備えられている。その場合
に、図2に示す第1エンジントルクマップには、エンジ
ン回転数Neと吸入空気圧Pとに対応する格子点毎に、
通常運転時におけるエンジントルクの計測値がそれぞれ
格納されている。なお、吸入空気圧Pは標準大気圧状態
が基準とされている。
【0038】そして、図3に示す第2エンジントルクマ
ップには、点火時期をリタード(遅角)した状態でエン
ジン10を運転した時のエンジントルクの計測値が、エ
ンジン回転数Neと吸入空気圧Pとに対応する格子点毎
に格納されている。同様にして、図4に示す第3エンジ
ントルクマップには、1つの気筒に対する燃料噴射を停
止した状態におけるエンジントルクの計測値が、図5に
示す第4エンジントルクマップには、点火時期をリター
ドした状態で1つの気筒に対する燃料噴射を停止した状
態におけるエンジントルクの計測値が、図6に示す第5
エンジントルクマップには、2つの気筒に対する燃料噴
射を停止した状態におけるエンジントルクの計測値が、
図7に示す第6エンジントルクマップには、点火時期を
リタードした状態で2つの気筒に対する燃料噴射を停止
した状態におけるエンジントルクの計測値が、図8に示
す第7エンジントルクマップには、3つの気筒に対する
燃料噴射を停止した状態におけるエンジントルクの計測
値が、図9に示す第8エンジントルクマップには、4つ
の気筒に対する燃料噴射を停止した状態におけるエンジ
ントルクの計測値が、図10に示す第9エンジントルク
マップには、5つの気筒に対する燃料噴射を停止した状
態におけるエンジントルクの計測値が、さらに図11に
示す第10エンジントルクマップには、全ての気筒に対
する燃料噴射を停止した状態におけるエンジントルクの
計測値が、それぞれエンジン回転数Neと吸入空気圧P
とに対応する格子点毎に格納されている。ここで、上記
第2〜第10エンジントルクマップには、それぞれハッ
チングで示すように低回転低負荷側にトルクダウン禁止
領域が設定されている。
【0039】そして、ECU30は上記第1〜第10エ
ンジントルクマップを所定のルーチンに従って選択する
と共に、選択したエンジントルクマップに上記エンジン
回転センサ32からの信号が示すエンジン回転数Neと
圧力センサ31からの信号が示す吸入空気圧Pとを当て
はめて、これらに対応する値を実トルクTrとして読み
出すようになっている。その場合に、通常運転時におい
ては第1エンジントルクマップが選択されることになっ
て、例えばエンジン回転数Neが2,000rpmで、
吸入空気圧Pが−600mmHgの時の実トルクTrの
値は4.0kgfmとなる。
【0040】一方、上記TRCU40は、当該車両の左
右の駆動輪1,2び従動輪3,4にそれぞれ備えられた
車輪速センサ41〜44からの車輪速信号、当該車両の
操舵角を検出する舵角センサ45からの舵角信号、スロ
ットルバルブ16の全閉状態を検知するアイドルスイッ
チ46からのアイドル信号、ブレーキペダルのON/O
FFを検出するブレーキスイッチ47からのブレーキ信
号、ECU30からの実トルク信号などを入力して、こ
れらの信号に基づいて所定の条件下でトラクション制御
(以下「TCS制御」という。)を実行すると共に、T
CS制御の実行時に作動ランプ48を点灯するようにな
っている。
【0041】すなわち、TRCU40は、車輪速センサ
41〜44からの車輪速信号と、舵角センサ45からの
舵角信号と、ECU30からの実トルク信号とを所定の
制御周期(例えば7ms)毎に入力すると共に、これら
の信号に基づいて、当該車両の車体速Vrと、走行路面
の路面摩擦係数μと、当該車両の前後方向の車体加速度
Gvと、当該車両に作用する横加速度Gsと、上記車体
速Vrを基準とする左右の駆動輪1,2のスリップ値S
1,S2と、同じく各駆動輪1,2の加速度(以下「駆
動輪加速度」という。)A1,A2とをそれぞれ算出す
ると共に、TCS制御用の各種の制御閾値を設定するよ
うになっている。
【0042】その場合に、上記車体速Vr、車体加速度
Gv及び路面摩擦係数μは、例えば次のように求められ
る。
【0043】すなわち、TRCU40は、上記車輪速セ
ンサ43,44からの信号が示す左右の従動輪3,4の
従動輪速W3,W4のうちで、例えば小さいほうの値を
車体速Vrとして選択する。そして、この車体速Vrの
変化に基づいて前後方向の車体加速度Gvを算出すると
共に、算出した車体加速度Gvと上記車体速Vrとを、
次の表1に示すように予め車体速と車体加速度とをパラ
メータとして設定したマップに当てはめて、対応する値
を路面摩擦係数μとして設定する。
【0044】
【表1】 ここで、上記表1に示すように、車体速Vrが大きくな
るほど、また車体加速度Gvが大きくなるほど、路面摩
擦係数μの値が大きくなる。
【0045】また、上記横加速度Gsは例えば次のよう
に求められる。つまり、TRCU40は、上記舵角セン
サ45からの信号が示す舵角θの絶対値を、次の表2に
示すように予め舵角に対応して設定した旋回半径テーブ
ルに照らし合わせて、現実の舵角θに対応する値を旋回
半径Rとして設定する。
【0046】
【表2】 TRCU40は、表2の旋回テーブルから求めた旋回半
径Rと上記車体速Vrとを次の関係式(1)の右辺に代
入して、得られた値を横加速度Gsとする。
【0047】 Gs=(Vr 2/127R …(1) そして、TRCU40は、TCS制御開始判定用の第1
制御開始閾値Ssと制御終了判定用の制御終了閾値Se
とを、それぞれ次のようにして設定するようになってい
る。つまり、TRCU40は、例えば次の表3に示すよ
うに予め車体速Vrと路面摩擦係数μとをパラメータと
して設定したマップに、上記のようにして算出した車体
速Vrと路面摩擦係数μとを当てはめて、対応する値を
基本第1制御開始閾値Ssoとして読み出した上で、こ
の基本第1制御開始閾値Ssoと横加速度補正係数K1
とトルク補正係数K2とを次の関係式(2)に代入し
て、その計算結果を最終的に第1制御開始閾値Ssとし
て設定する。
【0048】 Ss=Sso・K1・K2 …(2)
【0049】
【表3】 ここで、上記横加速度補正係数K1は、次の表4に示す
ように横加速度Gsが増大するほど減少するように設定
されている。
【0050】
【表4】 また、上記トルク補正係数K2は、次の表5に示すよう
に実トルクTrの増大に伴って増加するように設定され
ている。
【0051】
【表5】 同様にして制御終了閾値Seについても、次の表6に示
すように予め車体速Vrと路面摩擦係数μとをパラメー
タとして設定されたマップに、上記のようにして算出さ
れた車体速Vrと路面摩擦係数μとを当てはめると共
に、これらに対応する基本制御終了閾値Seoと上記横
加速度補正係数K1とトルク補正係数K2とを次の関係
式(3)に代入することにより、その計算結果を最終的
に制御終了閾値Ssとして設定する。
【0052】 Se=Seo・K1・K2 …(3)
【0053】
【表6】 ここで、上記表3及び表6に示すように、基本第1制御
開始閾値Ssoよりも基本制御終了閾値Seoの方が小
さな値に設定されている。
【0054】さらに、TRCU40は、TCS制御用の
制御閾値として、上記第1制御開始閾値Ssと共に第2
制御開始閾値Asを設定するようになっている。すなわ
ち、TRCU40は、所定の基本第2制御開始閾値Ao
と上記横加速度補正係数K1とトルク補正係数K2とを
次の関係式(4)に代入して、その計算結果を最終的に
第2制御開始閾値Asとして設定する。
【0055】 As=Ao・K1・K2 …(4) そして、TRCU40は、次のようにして左右の駆動輪
1,2のスリップ値S1,S2と駆動輪加速度A1,A
2とを算出すると共に、これらの値に基づいてスリップ
判定を行うようになっている。
【0056】つまり、TRCU40は、上記車輪速セン
サ41,42からの信号が示す左右の駆動輪1,2の駆
動輪速W1,W2から車体速Vrをそれぞれ減算した値
を各駆動輪1,2のスリップ値S1,S2としたうえ
で、これらの算術平均を行って平均スリップ値SAvを
算出すると共に、両スリップ値S1,S2のうちの大き
い方を最高スリップ値SHiとして選択する。また、T
RCU40は、左右の駆動輪速W1,W2の今回値から
前回値をそれぞれ減算した上で、両者の差分を制御周期
で徐算した値を駆動輪加速度A1,A2とする。TRC
U40は、これらの駆動輪加速度A1,A2が上記第2
制御開始閾値Asよりも大きいか、上記最高スリップ値
SHiが上記第1制御開始閾値Ssよりも大きいとき
に、駆動輪1,2がスリップ状態であると判定してスリ
ップフラグFsを1にセットすると共に、上記最高スリ
ップ値SHiが制御終了閾値Seよりも小さくなった時
点で、非スリップ状態と判定して上記スリップフラグF
sを0にリセットするようになっている。
【0057】そして、TRCU40は上記スリップフラ
グFsが1にセットされた時に、トラクションフラグF
tを1にセットした上でTCS制御を開始すると共に、
上記スリップフラグFsが0にリセットされてから所定
の待機時間tが経過した時に、トラクションフラグFt
を0にリセットしてTCS制御を終了するようになって
いる。その場合に、TRCU40は、ECU30を介し
てエンジン出力を制御することによりTCS制御を行う
ようになっている。
【0058】なお、この実施例においては、上記アイド
ルスイッチ46からの信号がアクセルペダルの解放状態
を示すON状態になるか、ブレーキスイッチ47からの
信号がブレーキペダルの踏込状態を示すON状態になっ
た時に、トラクションフラグFtが0にリセットされ
て、TCS制御が強制的に終了されるようになってい
る。
【0059】次に、TRCU40及びECU30が行う
エンジン制御を説明すると、TRCU40においては、
図12のフローチャートに示すメインルーチンに従って
エンジン制御が次のように行われる。
【0060】すなわち、TRCU40は、ステップS1
で各種信号を読み込んだ上で、ステップS2に進んで上
記トラクションフラグFtがTCS制御中を示す1にセ
ットされているか否かを判定する。TCS制御中である
と判定すると、ステップS3に進んで制御初回か否かを
判定する。つまり、TCS制御が開始された直後か否か
を判定するのである。そして、制御初回であればステッ
プS4に進んでフィードフォワード目標トルク設定処理
を実行する一方で、制御初回でなければステップS5に
進んでフィードバック目標トルク設定処理を実行し、そ
れぞれ目標トルクToを算出すると共に、いずれの場合
においてもステップS6でこの目標トルクToをECU
30に出力する。
【0061】一方、上記ステップS2でトラクションフ
ラグFtが1にセットされておらず、TCS制御中でな
いと判定されたときは、ステップS7に進んで、ECU
30から取り込まれた実トルクTrが目標トルクToに
置き換えられたうえでECU30に出力される。
【0062】上記ステップS4で実行されるフィードフ
ォワード目標トルク設定処理は、図13に示すフローチ
ャートに従って次のように行われる。すなわちTRCU
40は、ステップS11で図14に示すテーブルから実
トルクTrに基づいてトルク補正係数K3を、ステップ
S12で図15に示すテーブルから車体速Vrに基づい
て車体速補正係数K4を、ステップS13で図16に示
すテーブルから横加速度Gsに基づいて横加速度補正係
数K5を、及びステップS14で図17に示すテーブル
から路面摩擦係数μに基づいてμ補正係数K6をそれぞ
れ読み出したうえで、ステップS15でこれらの補正係
数K3〜K6と実トルクTrとを次の関係式(5)に代
入して、その計算結果を目標トルクToとする。
【0063】 To=Tr−Tr・K3・K4・K5・K6 …(5) ここで、上記トルク補正係数K3は、図14に示すよう
に、実トルクTrの増大に伴ってリニアに増加すると共
に、高トルク側でフラットな特性とされている。また、
車体速補正係数K4は、図15に示すように、車体速V
rの上昇に伴ってリニアに増加する特性とされている。
一方、横加速度補正係数K5は、図16に示すように、
横加速度Gsが増大するほどリニアに増加する特性とさ
れている。さらに、μ補正係数K6は、図17に示すよ
うに、路面摩擦係数μが増大するほど減少する特性とさ
れている。そして、これらの補正係数K3〜K6のいず
れもが1より小さな値になるように設定されている。し
たがって、上記関係式(5)を用いてステップS15で
算出される目標トルクToは実トルクTrよりも小さな
値となる。
【0064】また、上記ステップS5で実行されるフィ
ードバック目標トルク設定処理は、図18に示すフロー
チャートに従って次のように行われる。すなわちTRC
U40は、まずステップS21で目標スリップ量Teを
算出する。つまり、TRCU40は、例えば次の表7に
示すように、予め車体速Vrと路面摩擦係数μとをパラ
メータとして設定したスリップ目標値のマップに、上記
のようにして算出した車体速Vrと路面摩擦係数μとを
当てはめて、対応する値を目標スリップ基本値Teoと
して設定すると共に、この目標スリップ基本値Teoと
上記横加速度補正係数K1と下記のトルク補正係数K7
とを次の関係式(6)に代入することにより得られた値
を最終的にスリップ目標値Teとして設定する。
【0065】 Te=Teo・K1・K7 …(6)
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】 ここで、トルク補正係数K7は、上記表8に示すように
実トルクTrの増大に伴って増加するように設定されて
いる。
【0068】次いで、TRCU40は、ステップS22
を実行して、上記目標スリップ量Teと平均スリップ値
SAvとを次の関係式(7)に代入することにより、目
標スリップ量Teに対する上記平均スリップ値SAvの
偏差ΔSeを算出すると共に、ステップS23で上記偏
差ΔSeの今回値ΔSe(k)と前回値ΔSe(k-1)とを次
の関係式(8)に代入して、その計算結果を偏差変化率
DSeとする。
【0069】 ΔSe=SAv−Te …(7) DSe=ΔSe(k)−ΔSe(k-1) …(8) 次に、TRCU40はステップS24を実行して、上記
偏差ΔSeと偏差変化率DSeとを、次の表9に示すト
ルク変化量係数のマップに照らし合わせ、対応する値を
読み出すことによりトルク変化量係数Kとする。
【0070】
【表9】 さらにTRCU40は、ステップS25において、次の
表10に示すトルク変化量補正係数のマップから実トル
クTrに対応するトルク変化量補正係数Cを読み出し、
これらのトルク変化量係数Kとトルク変化量補正係数C
と実トルクTrとを次の関係式(9)に代入して、その
計算結果を目標トルクToとして設定する。
【0071】
【表10】 To=Tr−(Tr・K)×C …(9) ここで、トルク変化量補正係数Cは上記表10に示すよ
うに実トルクTrの減少に伴って小さい値となるように
設定されている。
【0072】そして、上記関係式(9)における「(T
r・K)×C」が、現在のエンジントルク、すなわち実
トルクTrと、今回の制御によって実現しようとするエ
ンジントルク、すなわち目標トルクToとの差であり、
換言すればトルク変化量である。エンジン状態は、この
トルク変化量に応じて変動することとなる。
【0073】また、上記表9のマップから読み出された
トルク変化量係数Kがプラスの値を示すときには、上記
トルク変化量はトルクダウン量となって、設定される目
標トルクToは実トルクTrよりも減少する一方、該係
数Kがマイナスの値を示すときには、トルク変化量はト
ルクアップ量となって、目標トルクToは実トルクTr
よりも増加することとなる。また、いずれの場合もトル
ク変化量が大きくなるほどエンジン状態の変動が激しく
なる。
【0074】ここにおいて、上記トルク変化量補正係数
Cが実トルクTrの減少に伴って小さい値とされている
ので、実トルクTrが小さいときに算出される「(Tr
・K)×C」の値、すなわちトルク変化量は実トルクT
rが大きいときに算出される値に比べて小さく設定され
ることとなり、その結果、実トルクTrが小さく、エン
ジン状態の変動の影響をより受け易いときには、該変動
が少なくなるように制御されて、当該車両の走行安定性
が維持されることとなる。
【0075】以上のようにして、制御初回にはステップ
S4におけるフィードフォワード処理によって、スリッ
プ量と実トルクとに基づいて目標トルクToが設定され
る結果、トラクションコントロール開始直後においては
早期に確実なスリップ量の低減が実現することとなり、
一方それ以後の制御ではステップS5のフィードバック
処理によって、スリップ量と実トルクとに基づいて設定
されたトルク変化量がトルク変化量補正係数Cで補正さ
れる結果、車両の走行状態により適正なトラクションコ
ントロールが実行されることとなる。
【0076】そして、以上のようにしてステップS7、
ステップS15又はステップS26で設定された目標ト
ルクToは、いずれの場合も上記ステップS6でECU
30へ出力され、該ECU30においては、例えば図1
9に示すフローチャートに従ってエンジン制御が次のよ
うに行われる。
【0077】すなわち、ECU30はステップT1で各
種信号を読み込んだ上で、ステップT2で、現実のエン
ジン回転数Neと吸入空気圧Pとが示す運転状態を、上
記第1〜第10エンジントルクマップにそれぞれ照らし
合わせて、該運転状態に対応するエンジントルクを全て
読み出すと共に、ステップT3で、TRCU40から出
力された上記目標トルクToに最も近い数値を示すエン
ジントルクマップを選択する。
【0078】次にステップT4で、選択したエンジント
ルクマップにおいて上記運転状態に対応するエンジント
ルクがトルクダウン禁止領域に属するか否かを判定し
て、属していなければ、ステップT5でエンジントルク
マップを最終的に確定する。
【0079】そしてステップT6で、上記のようにして
選択したエンジントルクマップのマップ番号を、次の表
11に示すエンジン制御レベルテーブルに照らし合わせ
て、マップ番号に対応するエンジン制御レベルLを読み
出す。
【0080】
【表11】 次いで、ECU30はステップT7で、表11のテーブ
ルから求めたエンジン制御レベルLを、次の表12に示
すエンジン制御マップに当てはめて、制御レベルLの値
に対応するパターンに従って燃料噴射量と点火時期とを
制御する。
【0081】
【表12】 ここで、表12中の×印は燃料カットを示している。つ
まり、エンジン制御レベルLの値が大きくなるほど燃料
カットされる気筒が増加し、それに伴ってエンジン出力
が低下されることとなる。また、燃料カットされる気筒
数が同数でも、点火時期がリタードされる場合にはさら
にエンジン出力が低下されることとなる。なお、制御レ
ベルLの値が0にセットされたときには、エンジン10
は通常状態で運転されることとなる。
【0082】一方、ECU30は、上記ステップT4に
おいて、選択したエンジントルクマップにおいてエンジ
ン回転数Neと吸入空気圧Pとが示す運転状態がトルク
ダウン禁止領域に属すると判定したときには、ステップ
T8に移って1つトルクアップ側のマップを参照して該
運転状態がトルクダウン禁止領域に属するか否かを判定
して、上記運転状態が禁止領域に属さなくなるまでマッ
プをトルクアップ側に変更していく。そして、上記運転
状態が初めてトルクダウン禁止領域に属さなくなったと
きのマップを最終的にエンジントルクマップとして確定
する。
【0083】次に、実トルクTrに応じて目標トルクT
oを補正して設定する別の実施例を説明する。この実施
例におけるTRCU40は図20のフローチャートに示
すメインルーチンに従い、まずステップS31で各種信
号を読み込んだ後、ステップS32でTCS制御中であ
ると判定した場合は、TCS制御が初回であるか否かを
判定することなく、ステップS33において目標トルク
Toを設定し、ステップS34でこの目標トルクToを
ECU30へ出力する。
【0084】一方、上記ステップS32でTCS制御中
でないと判定した場合は、ステップS35において、前
述の実施例と同様、実トルクTrが目標トルクToに置
き換えられたうえでECU30に出力される。
【0085】上記ステップS33で実行される目標トル
ク設定処理は、図21に示すフローチャートに従って次
のように行われる。すなわちTRCU40は、ステップ
S41からステップS44で、前述の実施例における図
18に示したステップS21からステップS24と同様
にして、目標スリップ量Te、偏差ΔSe、偏差変化率
DSe及びトルク変化量係数Kをそれぞれ求める。
【0086】次いでTRCU40は、ステップS45に
おいて、TCS制御が初回であるか否かを判定し、制御
初回であればステップS46に進んでトルク変化量補正
係数Cとして固定値1を設定する。逆に、制御初回でな
ければステップS47を実行して、上記表10に示すト
ルク変化量補正係数のマップに実トルクTrの値を当て
はめて、対応するトルク変化量補正係数Cを読み出す。
そして、いずれの場合もステップS48において、上記
関係式(9)に実トルクTrと、ステップS44で求め
たトルク変化量係数Kと、ステップS46又はステップ
S47で設定したトルク変化量補正係数Cとを代入し
て、その計算結果を目標トルクToとして設定するので
ある。
【0087】従って、この実施例におけるTRCU40
は、TCS制御中は該制御が初回であるか否かに拘ら
ず、ステップS33で同じサブルーチンを実行すること
となる。そして、この目標トルク設定処理の最終段階に
おいて、該制御が開始直後か否かを判定し、開始直後で
あればトルク変化量補正係数Cを固定値1とすることに
よってトルク変化量の補正を行わず、一方開始直後でな
ければトルク変化量補正係数Cをマップから読み出すこ
とによってトルク変化量を補正することとなる。すなわ
ち、上記ステップS47及びステップS48において実
トルクTrが小さくなるほどトルク変化量を小さく設定
するのである。
【0088】その結果、制御初回では、スリップ量と実
トルクとに基づいて設定された正規の目標トルクToが
補正を受けずにECU30へ出力されるので、トラクシ
ョンコントロール開始直後においては早期に確実なスリ
ップ量の低減が実現されることとなり、一方それ以後の
制御では、スリップ量と実トルクとに基づいて設定され
たトルク変化量がトルク変化量補正係数Cで補正される
ので、目標トルクToが実トルクTrに近い値とされ
て、車両の走行状態により適正なトラクションコントロ
ールが実行されることとなる。
【0089】次に、目標トルク信号を受けて行われるエ
ンジン制御の別の実施例を説明する。この実施例におけ
るECU30は図22のフローチャートに示すメインル
ーチンに従い、まずステップT11からT16で、図1
9に示した前述の実施例におけるステップT1からステ
ップT6と同様にして、各種信号を読み込み、第1〜第
10エンジントルクマップに基づいて現実の運転状態に
対応するエンジントルクを全て読み出し、TRCU40
から出力された目標トルクToに最も近い数値を示すエ
ンジントルクマップを選択し、この選択したエンジント
ルクマップにおいて、上記運転状態に対応するエンジン
トルクがトルクダウン禁止領域に属しないことを確認し
たうえでエンジントルクマップを最終的に確定し、この
確定したエンジントルクマップのマップ番号を上記表1
1に当てはめることによりエンジン制御レベルLを読み
出す。
【0090】次いでECU30は、ステップT17でT
CS制御中であるか否かを判定し、TCS制御中であれ
ばステップT18に進んでさらに制御初回か否かを判定
する。そして、制御初回でなければステップT19を実
行することにより、エンジン制御の実行時間を実トルク
Trに応じて設定する。
【0091】この制御実行時間の設定は、図23に示す
ように、実トルクTrの変化に対応して設けられた制御
実行時間のテーブルに実トルクTrを当てはめることに
より行われる。
【0092】上記図23から明らかなように、制御実行
時間は実トルクTrが小さくなるに従って徐々に長く設
定されることとなる。その結果、実トルクTrが小さく
てエンジン状態の変動の影響が顕著に現れるときには、
実トルクTrが大きいときに比べてエンジン制御の速度
が遅く緩やかに実行されることとなるので、該変動率が
低められて車両走行安定性が維持されることとなる。
【0093】次いでECU30は、ステップT20にお
いて、上記ステップT16で設定されたエンジン制御レ
ベルLを上記表12に示すエンジン制御マップに当ては
めて、該制御レベルLの値に対応するパターンに従って
燃料噴射量と点火時期とを制御する。そしてECU30
は、このエンジンの制御を上記ステップT19で設定さ
れた実行時間で行うこととなる。
【0094】一方、上記ステップT18で制御初回であ
ると判定されたときには、ECU30はステップT21
において通常制御実行時間でエンジン制御を実行するこ
ととなる。この通常制御実行時間は、上記ステップT1
9で図23から読み出すことのできる最短の制御実行時
間と等しいか又はそれよりも短く設定されている。
【0095】その結果、トラクションコントロール開始
直後においては、実トルクTrの大きさ如何に拘らず、
エンジン制御の速度が大きく速やかに実行されることと
なるので、制御初期に速やかなスリップ量の低減が実現
してトラクションコントロール本来の目的が確保される
こととなる。
【0096】また、上記ステップT17でTCS制御中
でないと判定された場合も、ステップT21に進んで通
常制御実行時間によるエンジン制御が実行される。この
場合は、前述したように、当該ECU30からTRCU
40へ出力された実トルクTrがそのまま目標トルクT
oに置き換えられているのでエンジン状態の変動がな
く、従って制御実行時間には実質的な意味はないことと
なる。
【0097】またECU30が上記ステップT14にお
いて、選択されたエンジントルクマップではエンジン回
転数Neと吸入空気圧Pとが示す運転状態がトルクダウ
ン禁止領域に属すると判定したときには、ステップT2
2に移り、図19に示した前述の実施例におけるステッ
プT8と同様にして、1つトルクアップ側のマップを次
々に参照することにより最終的なエンジントルクマップ
を確定することとなる。
【0098】次に、上記実施例の作用について説明す
る。
【0099】例えば図24に示すように、駆動輪1,2
の最高スリップ値SHiが初めて第1制御開始閾値Ss
を超えたとすると、TRCU40はスリップフラグFs
を1にセットしたうえでTCS制御を開始する。その際
に、トラクションフラグFtがTCS制御中であること
を示す1にセットされると共に、作動ランプ48が点灯
される。ここで、TCS制御の開始直後においては実ト
ルクTrが一挙に低減されることとなる。
【0100】すなわち、前述の図13に示すフィードフ
ォワード目標トルク設定処理におけるステップS15で
関係式(5)に従って目標トルクToが例えば2.4k
gfmとして設定されると共に、そのときのエンジン回
転数Neが2,000rpmで、吸入空気圧Pが−60
0mmHgのときには、第5エンジントルクマップが選
択される。そして、エンジン制御レベルLは「4」とな
って2つの気筒に対する燃料カットが行われるのであ
る。ここで上記関係式(5)においては、例えば前述の
トルク変化量補正係数Cによる補正等がなされていない
ので、正規に設定された目標トルクToが実現されるよ
うにエンジン制御が行われることとなる。
【0101】あるいは、前述の図21に示す目標トルク
設定処理におけるステップS46及びステップS48で
は、トルク変化量補正係数Cが1とされて、トルク変化
量を小さくする補正がなされていないので、この場合も
正規に設定された目標トルクToが実現されるようにエ
ンジン制御が行われることとなる。
【0102】その結果、いずれの場合もエンジン10の
実トルクTrが鎖線で示す非制御状態に比べて急速に低
下し、良好な初期応答性が得られることとなって、トラ
クションコントロール本来の目的が確保されることとな
る。
【0103】そして、TCS制御の実行途中において
は、駆動輪1,2のスリップ値S1,S2が目標スリッ
プ量Teに収束するように目標トルクToが増減される
こととなり、それに伴ってエンジン10の状態が制御さ
れる。
【0104】すなわち、前述の図18に示すフィードバ
ック目標トルク設定処理におけるステップS26、又は
図21に示す目標トルク設定処理におけるステップS4
8で関係式(9)に従って目標トルクToが例えば2.
0kgfmと設定されると共に、そのときのエンジン回
転数Neが2,000rpmで、吸入空気圧Pが−60
0mmHgのときには、第6エンジントルクマップが選
択される。そして、エンジン制御レベルLは前回の
「4」から「5」となって2つの気筒に対する燃料カッ
トが行われたうえで、点火時期がリタードされることと
なる。
【0105】この場合に、上記関係式(9)におけるト
ルク変化量「(Tr・K)×C」は、それぞれ図中のス
テップS25又はステップS47で読み出されるトルク
変化量補正係数Cによって、実トルクTrの減少に伴い
小さい値に補正されているので、いずれの場合において
も、設定された目標トルクToは実トルクTrに近い値
に補正されて設定されていることとなる。
【0106】つまり、上記例における2.0kgfmと
いう目標トルクToが設定されたのは、実トルクTrが
比較的低く、上記表10からトルク変化量補正係数Cと
して0.6が読み出されて関係式(9)に代入された結
果であるとすると、他の条件が同じでも、実トルクTr
が比較的高く、表10からトルク変化量補正係数Cとし
て0.9が読み出されて関係式(9)に代入されたとき
には、トルク変化量「(Tr・K)×C」が大きくなる
結果、目標トルクToが例えば1.2kgfmまで低く
設定されることとなる。この場合は、第8エンジントル
クマップが選択され、エンジン制御レベルLは「7」と
なって4つの気筒に対する燃料カットが行われることと
なり、大幅なエンジン状態の変動が発生することとな
る。
【0107】しかしながら、実際はトルク変化量補正係
数Cによる補正によって、実トルクTrが低いときに
は、より現状に近いエンジン状態が選択される結果、上
記例のように、燃料をカットする気筒数を増やさずに点
火時期のリタードのみを行う変動の少ない制御が実行さ
れるのである。
【0108】このような制御が繰り返して実行されると
共に、駆動輪1,2の最高スリップ値SHiが制御終了
閾値Seよりも低下した場合には、スリップフラグFs
が0にリセットされると共に、その後所定の待機時間t
が経過した時点でトラクションフラグFtが0にリセッ
トされてTCS制御が終了する。
【0109】さらに、TCS制御中におけるエンジン制
御の実行時間を変更することによってもエンジン10の
制御が適正に行われる。
【0110】すなわち、TCS制御初回において選択さ
れたエンジン制御レベルLが前述のように「4」で、2
つの気筒に対する燃料カットが行われるときは、図22
のステップT21で通常制御実行時間によるエンジン制
御が実行される結果、TCS制御開始直後においては実
トルクTrが短時間のうちに低減され、良好な初期応答
性が得られることとなる。
【0111】また、TCS制御の実行途中においては、
図22のステップT19で設定された制御実行時間でエ
ンジン制御が実行されることとなる。例えば前回のエン
ジン制御レベルが「4」で、今回のエンジン制御レベル
として「7」が設定された場合は、前述したように2気
筒燃料カットの状態から4気筒燃料カットの状態へとエ
ンジンが制御されるのであるが、実トルクTrが高く、
その結果上記図23から短い制御実行時間が設定された
ときは、短時間のうちに4気筒燃料カットの状態に移行
されることとなる。このときは、実トルクTrが高いの
で、かかるエンジン状態の変動が短時間のうちに生じて
も車両安定性に対する影響は少なく、過剰スリップによ
る加速性の低下防止というトラクションコントロール本
来の目的が達成される。
【0112】これに対して、実トルクTrが低く、その
結果図23から制御実行時間が長く設定されたときに
は、該制御実行時間が経過した時にはエンジン状態が4
気筒燃料カットの状態まで移行していることを条件とし
て、その移行前に両制御レベル「4」と「7」の間に介
在する制御レベル「5」や制御レベル「6」に対応する
エンジン状態を経由させるのである。つまり、与えられ
た制御実行時間の間に、2気筒燃料カットの状態から2
気筒燃料カット及び点火時期リタードの状態、3気筒燃
料カットの状態を経て、最終的に4気筒燃料カットの状
態へと移行させるのである。
【0113】かかる制御によって、エンジン状態の変動
が一挙には起こらず、小さい変動を徐々に重ねていくこ
ととなるので、実トルクTrが低く、該変動の影響が顕
著に現れるときの車両安定性の維持が図られることとな
る。
【0114】ここで、前回のエンジン制御レベルと今回
のエンジン制御レベルとの差が大きいほど、又は制御実
行時間が長く設定されるほど、移行前に経由される中間
パターンの数を増加させることにより、上記目的が良好
に達成されることとなる。
【0115】ところで、本実施例においては、上記アイ
ドルスイッチ46からの信号がアクセルペダルの解放状
態を示すON状態になるか、若しくはブレーキスイッチ
47からの信号がブレーキペダルの踏込状態を示すON
状態になったとき、又はトラクションフラグFtが0に
リセットされたときにTCS制御が終了することは前述
した。
【0116】そしてTCS制御が終了したときは、目標
トルクToの設定が行われなくなるので、エンジン状態
が通常運転状態へ回復することとなる。このとき図24
に示したように、待機時間tが経過するまでに目標トル
クToが最高となって、その結果、実トルクTrも回復
して高くなっていれば、TCS制御終了によるエンジン
状態の変動は0である。
【0117】しかしながら、スリップフラグFsが0に
リセットされた後に路面状態によっては目標トルクT
o、実トルクTrとも回復が遅く、その結果図中破線で
示すように、待機時間tが経過してもなおトルクが10
0%に回復していない場合がある。このときTCS制御
が終了して目標トルクToの設定が行われなくなると、
実トルクTrを急激に高くするエンジン制御が実行され
ることとなり、エンジン状態に大きな変動が発生する。
あるいは、図中符号アで示すように、TCS制御中にア
クセルペダルが解放されたり、ブレーキペダルが踏込ま
れたりしてTCS制御が強制的に終了される場合にも同
様の現象が起こる。
【0118】いずれの場合においても実トルクTrが低
く、かかるエンジン状態の変動による影響が大きく現れ
るときには走行安定性が損なわれることとなる一方、実
トルクTrが高い場合ではTCS制御が終了されれば速
やかにエンジンを通常運転状態へ回復させて加速性を確
保する必要がある。
【0119】このような場合、前述の図22におけるス
テップT17でTCS制御中でないと判定されたとき
は、ステップT21を実行するのではなく、ステップT
19に進んで、図23に示すテーブルから実トルクTr
に応じた制御時間を読み出し、この制御時間でエンジン
を通常運転状態へ回復させる制御を行うようにすると、
TCS制御中におけるエンジン制御と同様、走行安定性
の維持と加速性の確保とを両立させることができる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明によれ
ば、スリップ量だけでなく実トルクをも考慮したトラク
ションコントロールが実行されるので、エンジン状態を
より適切に反映したトラクションコントロールが可能と
なる。
【0121】また、実トルクが小さいとき、換言すれば
スロットル開度が小さくてエンジン出力が低い状態にあ
るときや、路面摩擦係数が小さくてスリップが起こり易
い状況にあるとき等、エンジン状態の変動の影響が顕著
に現れるときには該変動が低減される制御が行われて車
両走行安定性の維持が図られる一方で、実トルクが大き
いときには、加速性を確保する制御が行われて両者の両
立が実現される。
【0122】さらに、トラクションコントロール開始直
後においては、早期に確実なスリップ量の低減が実現さ
れるので、過剰スリップを抑制して加速性の低下を防止
するというトラクションコントロール本来の目的が達成
されることとなる。
【0123】そして、トラクションコントロールが終了
した後においても、エンジン状態が通常運転状態へと回
復する際の変動率を実トルクに応じて変化させる結果、
車両走行安定性の維持と加速性の確保を両立させること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係るエンジンの制御システム図であ
る。
【図2】 エンジン回転数と吸入空気圧とをパラメータ
とする第1エンジントルクマップを示す説明図である。
【図3】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第2エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図4】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第3エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図5】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第4エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図6】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第5エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図7】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第6エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図8】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第7エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図9】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパラ
メータとする第8エンジントルクマップを示す説明図で
ある。
【図10】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパ
ラメータとする第9エンジントルクマップを示す説明図
である。
【図11】 同じくエンジン回転数と吸入空気圧とをパ
ラメータとする第10エンジントルクマップを示す説明
図である。
【図12】 TRCUが行うTCS制御用のエンジン制
御のメインルーチンを示すフローチャート図である。
【図13】 フィードフォワード目標トルク設定処理を
示すフローチャート図である。
【図14】 フィードフォワード目標トルク設定処理に
用いるトルク補正係数の設定例を示す特性図である。
【図15】 同じくフィードフォワード目標トルク設定
処理に用いる車体速補正係数の設定例を示す特性図であ
る。
【図16】 同じくフィードフォワード目標トルク設定
処理に用いる横加速度補正係数の設定例を示す特性図で
ある。
【図17】 同じくフィードフォワード目標トルク設定
処理に用いるμ補正係数の設定例を示す特性図である。
【図18】 フィードバック目標トルク設定処理を示す
フローチャート図である。
【図19】 ECUが行うTCS制御用のエンジン制御
を示すフローチャート図である。
【図20】 別の実施例におけるTRCUが行うTCS
制御用のエンジン制御のメインルーチンを示すフローチ
ャート図である。
【図21】 上記実施例における目標トルク設定処理を
示すフローチャート図である。
【図22】 さらに別の実施例におけるECUが行うT
CS制御用のエンジン制御を示すフローチャート図であ
る。
【図23】 上記実施例におけるエンジン制御に用いる
エンジン制御実行時間の設定例を示す特性図である。
【図24】 TCS制御の制御態様を示すタイムチャー
ト図である。
【符号の説明】
1,2 駆動輪 10 エンジン 30 ECU 31 圧力センサ 32 エンジン回転センサ 40 TRCU 41〜44 車輪速センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 浩司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−109247(JP,A) 特開 昭61−46725(JP,A) 特開 平5−214974(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/00 - 45/00 F02P 5/14 B60K 41/00 - 41/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪の過剰スリップ時にエンジン制御
    により駆動力を抑制するようにした車両のトラクション
    コントロール装置であって、駆動輪の路面に対するスリ
    ップ量を検出するスリップ量検出手段と、エンジンの実
    トルクを検出する実トルク検出手段と、これらの検出手
    段で検出されたスリップ量と実トルクとに基づいて、該
    スリップ量が所定の目標スリップ量となるようにエンジ
    ンのトルクダウン量を設定するトルクダウン量設定手段
    と、該トルクダウン量設定手段で設定されたトルクダウ
    ン量と上記実トルクとに基づいて、エンジンの目標トル
    クを設定する目標トルク設定手段と、該目標トルクが実
    現されるように点火時期制御と燃料噴射量制御とを行っ
    エンジンを制御するエンジン制御手段とが設けられて
    いると共に、上記スリップ量検出手段で検出されるスリ
    ップ量が同一であっても、上記実トルク検出手段で検出
    される実トルクが小さいほど、単位時間あたりのトルク
    ダウン量が小さくなるように、上記目標トルク設定手段
    で設定された目標トルクを補正する目標トルク補正手段
    が備えられていることを特徴とする車両のトラクション
    コントロール装置。
  2. 【請求項2】 トラクションコントロール開始直後に目
    標トルク設定手段で設定される初回の目標トルクについ
    ては、実トルク検出手段で検出される実トルクが小さく
    ても、目標トルク補正手段がこれを補正しないことを特
    徴とする請求項1に記載の車両のトラクションコントロ
    ール装置。
  3. 【請求項3】 駆動輪の過剰スリップ時にエンジン制御
    により駆動力を抑制するようにした車両のトラクション
    コントロール装置であって、駆動輪の路面に対するスリ
    ップ量を検出するスリップ量検出手段と、エンジンの実
    トルクを検出する実トルク検出手段と、これらの検出手
    段で検出されたスリップ量と実トルクとに基づいて、該
    スリップ量が所定の目標スリップ量となるようにエンジ
    ンの目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、該目
    標トルクが実現されるように点火時期制御と燃料噴射量
    制御とを行ってエンジンを制御するエンジン制御手段と
    が設けられていると共に、上記実トルク検出手段で検出
    される実トルクが小さいほど、上記エンジン制御手段が
    行うエンジン制御の実行速度を遅くする制御実行速度変
    更手段が備えられていることを特徴とする車両のトラク
    ションコントロール装置。
  4. 【請求項4】 トラクションコントロール開始直後にエ
    ンジン制御手段が行う初回のエンジン制御の実行速度に
    ついては、実トルク検出手段で検出される実トルクが小
    さくても、制御実行速度変更手段がこれを遅くしないこ
    とを特徴とする請求項3に記載の車両のトラクションコ
    ントロール装置。
  5. 【請求項5】 トラクションコントロールが終了した時
    は、エンジン制御手段が、目標トルクを実現するような
    エンジン制御を停止したうえで、エンジンが通常運転状
    態へ回復されるようにエンジンを制御すると共に、実ト
    ルク検出手段で検出される実トルクが小さいときほど、
    該回復のためのエンジン制御の実行速度を遅くする回復
    速度変更手段が備えられていることを特徴とする請求項
    2又は請求項4のいずれかに記載の車両のトラクション
    コントロール装置。
JP08787494A 1994-03-31 1994-03-31 車両のトラクションコントロール装置 Expired - Fee Related JP3443932B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08787494A JP3443932B2 (ja) 1994-03-31 1994-03-31 車両のトラクションコントロール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08787494A JP3443932B2 (ja) 1994-03-31 1994-03-31 車両のトラクションコントロール装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07269386A JPH07269386A (ja) 1995-10-17
JP3443932B2 true JP3443932B2 (ja) 2003-09-08

Family

ID=13927019

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08787494A Expired - Fee Related JP3443932B2 (ja) 1994-03-31 1994-03-31 車両のトラクションコントロール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3443932B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5195651B2 (ja) * 2009-06-03 2013-05-08 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07269386A (ja) 1995-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2545810B2 (ja) 車両の加速スリツプ制御装置
JP2591082B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
US6141618A (en) Traction control system for vehicles
EP3741637A1 (en) Method for controlling vehicle and vehicle system
US4778025A (en) Method for controlling slip of a driving wheel of a vehicle
JP3440546B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP4404219B2 (ja) 車両の駆動力制御装置
JP3675018B2 (ja) 車両の駆動力制御装置
EP2048340B1 (en) Vehicle drive force control device
JPH07269390A (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP2727714B2 (ja) エンジンの出力制御方法
JP3443932B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JPH07269385A (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP7080443B2 (ja) 車両の制御方法、車両システム及び車両の制御装置
JP3321257B2 (ja) 車両のトラクションコントロール制御装置
JPS61129432A (ja) 車両の加速スリツプ制御装置
JPH116450A (ja) 車両駆動力制御装置
JP3586918B2 (ja) 車両駆動力制御装置
JPS61115729A (ja) 車両の加速スリツプ制御装置
JPH07269388A (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP3482680B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP3709652B2 (ja) 車両用駆動力制御装置
JPH07259595A (ja) 車両の駆動力制御装置
JP3314893B2 (ja) 車両のトラクションコントロ−ル制御装置
JP2712455B2 (ja) 車両用内燃機関の燃料カツト制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100627

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees