JP3439582B2 - 含硫(メタ)アクリレート化合物およびその用途 - Google Patents

含硫(メタ)アクリレート化合物およびその用途

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JP3439582B2
JP3439582B2 JP28830195A JP28830195A JP3439582B2 JP 3439582 B2 JP3439582 B2 JP 3439582B2 JP 28830195 A JP28830195 A JP 28830195A JP 28830195 A JP28830195 A JP 28830195A JP 3439582 B2 JP3439582 B2 JP 3439582B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な含硫(メ
タ)アクリレート化合物、該化合物を含有するプラスチ
ックレンズ用組成物、および、該組成物を重合させて得
られる含硫樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比
べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レン
ズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきてい
る。現在、これらの目的に広く用いられる樹脂として
は、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)
(以下、D.A.C と称す)をラジカル重合させたものがあ
る。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽量であ
ること、染色性に優れていること、切削性および研磨性
等の加工性が良好であること等、種々の特徴を有してい
る。しかしながら、この樹脂は、屈折率nD が 1.50 で
あり、無機レンズ(nD =1.52 )に比べて小さいため、
より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれていた。
【0003】D.A.C 樹脂よりも屈折率が高いレンズとし
て、ポリウレタン系レンズが知られている。本発明者ら
は、このポリウレタン系レンズとして、例えば、特開昭
63-46213号公報において、キシリレンジイソシアネート
化合物とポリチオール化合物との重合物からなるポリウ
レタン系レンズを提案しており、眼鏡用レンズなどの光
学用レンズとして広く普及している。また、特開平2-27
0859号公報には、特定のポリチオール化合物とイソシア
ネート化合物の組合せにより、高屈折率で、軽量、耐衝
撃性に優れたポリウレタン系レンズが提案されている。
しかしながら、これらの樹脂は、重合が不均一になりや
すく、光学的に均質なレンズを得るためには重合時間を
長くする必要があり、作業性が煩雑になることがあっ
た。このため、これらの問題点を解決すべくさらなる改
良が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、短時
間重合で得られ、良好な光学物性、特に高い屈折率をも
ち、かつ、非常に優れた染色性を有するプラスチックレ
ンズ等として有用な光学用含硫樹脂を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、ある種の含硫
(メタ)アクリレート化合物が有効であることを見出
し、本発明を完成するに至ったものである。即ち、本発
明は、下記式(1)(化3)で表される含硫(メタ)ア
クリレート化合物、式(1)で表される含硫(メタ)ア
クリレート化合物を含有するプラスチックレンズ用組成
物、および、該組成物を重合させて得られる含硫樹脂に
関するものである。
【0006】
【化3】 〔式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは下記
式(2)〜(5)(化4)で表されるいずれかの基
【0007】
【化4】 (式中、p、qはそれぞれ1〜3の整数を表す)を表
し、nは1〜3の整数を表し、mは2または3である〕
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の含硫(メタ)アクリレート化合物は、母骨格と
なる含硫カルボン酸誘導体のポリチオール化合物を出発
原料として製造することができる。含硫カルボン酸誘導
体のポリチオール化合物は、特開平1−90168号公
報に記載の方法と類似の方法により製造される。即ち、
容易に入手可能な含硫カルボン酸、例えば、チオジグリ
コール酸、チオジプロピオン酸、4,4−チオジブタン
酸、ジチオジグリコール酸、ジチオジプロピオン酸、
4,4−ジチオジブタン酸、メチレンビス(チオグリコ
ール酸)、メチレンビス(チオプロピオン酸)、メチレ
ンビス(チオブタン酸)、エチレンビス(チオグリコー
ル酸)、エチレンビス(チオプロピオン酸)、エチレン
ビス(チオブタン酸)、メチントリス(チオグリコール
)、メチントリス(チオプロピオン酸)、メチントリ
ス(チオブタン酸)等と、2−メルカプトエタノール、
3−メルカプトプロパノール等とを、無溶媒又は溶媒中
で、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸等の触媒の存
在下で、10〜200℃に加熱し、生成する水を除去し
ながら、脱水エステル化させて得ることができる。
【0009】含硫(メタ)アクリレート化合物は、含硫
カルボン酸誘導体のポリチオール化合物から以下の方
法、即ち、 ポリチオール化合物のSH基1モルに対して、1〜
1.5モルの(メタ)アクリル酸クロライド等を、−2
0℃〜60℃で反応させる方法、あるいは、 ポリチオール化合物のSH基1モルに対して、1〜
1.5モルのβ−クロロプロピオニルクロライドまたは
β−クロロ−α−メチルプロピオニルクロライドを、−
20℃〜80℃で反応させ、次いで、1〜2モルの塩基
を−20℃〜60℃で反応させる方法によって製造され
る。
【0010】上記の反応では、反応の際に発生する塩化
水素を除くために、反応系内に塩化水素補足剤として塩
基を共存させておくことも出来る。塩化水素補足剤とし
ての塩基は特に限定されないが、一般に使用される塩基
として、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリ
アルキルアミンや、ピリジン、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等が挙げられる。前記の後段の反応で用い
る塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン
等のトリアルキルアミンがより好ましい。高収率で、高
純度の含硫(メタ)アクリレート化合物を得るために
は、前記の前段の反応は、反応系内に塩化水素補足剤
として塩基を共存させずに、発生する塩化水素を系外に
除去しながら直接反応させることが好ましい。
【0011】また、別な方法として、予め、前記の前
段の反応を行い、その後含硫カルボン酸とエステル化を
行い、ついで、前記の後段の反応を行って含硫(メ
タ)アクリレート化合物を得る方法もある。即ち、2−
メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール等
のSH基1モルに対して、1〜1.5モルのβ−クロロ
プロピオニルクロライドまたはβ−クロロ−α−メチル
プロピオニルクロライドを、−20℃〜80℃で反応さ
せ、これと、含硫カルボン酸とをp−トルエンスルホン
酸、硫酸、塩酸等の触媒存在下で、10〜200℃に加
熱し、生成する水を除去しながら、脱水エステル化さ
せ、次いで、塩基を−20℃〜60℃で反応させる方法
である。
【0012】これらの反応においては、必要に応じて、
有機溶媒を用いてもよい。使用される有機溶媒は、特に
限定されないが、反応に必要な原料類との反応性を有し
ていないものが使用できる。有機溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタ
ン、石油エーテル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化
エチレン等の脂肪族、又は芳香族炭化水素類あるいはハ
ロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムア
ミド等が挙げられる。
【0013】本発明のプラスチックレンズ用組成物は、
本発明の含硫(メタ)アクリレート化合物を含有するも
のであり、また、本発明の含硫(メタ)アクリレート化
合物、および、これと共重合可能な単量体あるいはポリ
チオール化合物の少なくとも1種とを含有するものであ
る。他の単量体あるいはポリチオール化合物を含有する
プラスチックレンズ用組成物の場合、本発明の含硫(メ
タ)アクリレート化合物は、含硫(メタ)アクリレート
化合物と、他の単量体あるいはポリチオール化合物の全
量に対し、20重量%以上、好ましくは40重量%以
上、より好ましくは60重量%以上である。
【0014】本発明の含硫(メタ)アクリレート化合物
と共重合可能な単量体あるいはポリチオール化合物は、
屈折率等の光学物性の調整や、耐衝撃性、比重等の諸物
性を調整するためや、モノマーの粘度、その他の取扱い
を調整するためなど、目的に応じて選択され、特に限定
はされない。また、これらの共重合可能な単量体あるい
はポリチオール化合物は、単独で使用することも、また
は、2種以上を混合して使用することもできる。
【0015】共重合可能な単量体としては、例えば、ベ
ンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチキ
シエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルア
クリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニ
ルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメ
タクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラ
エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレング
リコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジメタクリレート、エチレングリコール
ビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビス
グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリ
レート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−
ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)
プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロ
ールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリス
リトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチル
チオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベン
ジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアク
リレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メ
ルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプト
エチルスルフィドジメタクリレート、ジアリルフタレー
ト、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレー
ト、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビス
アリルカーボネート、スチレン、クロロスチレン、メチ
ルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等が挙
げられる。
【0016】ポリチオール化合物としては、1,2−エ
タンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,
2,3−プロパントリチオール、2,3−ジメルカプト
−1−プロパノール、ジエチレングリコールビス(2−
メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス
(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプ
ロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロ
ールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、
ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセ
テート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メル
カプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトベンゼ
ン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカ
プトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベン
ゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、
1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,
3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカ
プトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、
1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、
1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、
1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、
4,4’−チオビスベンゼンチオール、ビス(2−メル
カプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチ
ルチオ)メタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチル
チオ)エタン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチ
オ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエ
チルチオ)プロパン、テトラキス(2−メルカプトエチ
ルチオメチル)メタン、1,2−ビス(2−メルカプト
エチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4,8−ビス
(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,1
1−ウンデカンジチオール、2,5−ジメルカプト−
1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,
4−ジチアン等が挙げられる。
【0017】本発明の含硫樹脂は、前記組成物を重合さ
せて得られるものであり、本発明の含硫(メタ)アクリ
レート化合物を単独で重合させたもの、もしくは、含硫
(メタ)アクリレート化合物を、他の共重合可能な単量
体あるいはポリチオール化合物と共重合させたものであ
る。本発明の含硫樹脂を得るための重合方法としては、
特に限定されることはなく、公知のラジカル重合方法を
とることができる。この場合の重合開始手段としては、
種々の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤の使
用、あるいは、紫外線、可視光線、α線、β線、γ線、
電子線等の照射、あるいはこれらの併用が挙げられる。
【0018】ラジカル開始剤としては、公知のものが使
用でき、代表的なものとしては、ベンゾイルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチル
ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ビ
ス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカー
ボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のア
ゾ化合物等が挙げられる。
【0019】紫外線等を照射して重合を開始させる場合
には、公知の増感剤等を使用することもできる。増感剤
の代表的なものとしては、ベンゾフェノン、4,4−ジ
エチルアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトン、p−ジメチルアミノ安息香酸イ
ソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、ベンゾ
イン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2
−ジエトキシアセトフェノン、o−ベンゾイル安息香酸
メチル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、アシルフォスフィンオキサイド等が
挙げられる。
【0020】本発明の含硫樹脂(例えば、プラスチック
レンズ)を得る際の代表的な重合方法としては、注型重
合が挙げられる。即ち、ガスケットまたはテープ等で保
持されたモールド間に、ラジカル開始剤または増感剤、
あるいはこの両方を含む本発明のプラスチックレンズ用
組成物(モノマー混合物ともいう)を注入する。この
時、必要に応じて、脱泡等の処理を行っても何ら差し支
えはない。次いで、紫外線等を照射するか、または、オ
ーブン中で加熱するか、あるいは、これらを併用して硬
化させ、重合物を取り出すことができる。
【0021】本発明の含硫樹脂を得るための重合法、重
合条件等は、用いる開始剤等の種類や量、単量体の種類
や割合によって、一概に限定することはできない。例え
ば、紫外線等を照射する場合、モノマー混合物の過熱を
防ぐために冷却等の処理を行うこともあり、また、オー
ブン中で加熱する場合には、最適な温度条件を選択する
ため、温度制御することもある。オーブン中で加熱する
場合、一般的には、低温から徐々に加熱し、高温で保持
して重合を完結させる方法が採用される。また、重合の
時間についても、使用する開始剤等の種類や量、単量体
の種類や割合により影響を受けるため、一概には限定す
ることはできない。一般的には、紫外線等の照射により
重合時間の短縮を図ることは可能である。
【0022】本発明の含硫樹脂の成形の際には、目的に
応じて、公知の成形法におけると同様に、鎖延長剤、架
橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染
料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。また、
取り出した含硫樹脂については、必要に応じて、アニー
ル等の処理を行ってもよい。
【0023】本発明の含硫(メタ)アクリレートを用い
て得られた含硫樹脂は、高屈折率で、低分散であり、耐
熱性、耐候性、耐擦傷性に優れ、特に染色性に非常に優
れた特徴を有している。本発明の含硫樹脂は、注型重合
時のモールドを変えることにより、種々の形態の成形体
として得ることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の
光学素子素材、透明樹脂としての各種の用途に使用する
ことができる。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光
学素子素材として好適である。さらに、本発明の含硫樹
脂を用いたレンズでは、必要に応じ、反射防止、高硬度
付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、ある
いは、ファッション性付与等の改良を行うため、表面研
磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処
理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理
を施すことができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。尚、得られた含硫樹脂の性能試験のう
ち、屈折率、アッベ数、外観、染色性は以下の試験法に
より評価した。 ・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い20℃で
測定した。 ・外 観:目視により観察した。 ・染色性:MLP染料〔三井東圧染料(株)〕で5g/
lの水性染色浴を作製し、90℃、10分間染色した。
同時に、CR−39の樹脂( D.A.C樹脂 )を染色して比
較し、次のように評価した。 ○ : CR−39よりよく染まる △ : CR−39と同等に染まる × : CR−39より染まり難い
【0025】実施例1 攪拌機、温度計、コンデンサーを付けたディーンスター
ク管を備えた反応フラスコに、チオジグリコール酸2
2.5g(0.15モル)、2−メルカプトエタノール
35.2g(0.45モル)、ベンゼン200ml、p
−トルエンスルホン酸1.0gを仕込み、80℃で1時
間脱水エステル化反応を行った。次に、5%重炭酸ソー
ダ水溶液で有機層を洗浄したのち、更に水で洗浄した。
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、ベンゼ
ンを減圧下に留去して、無色の液体のチオジグリコール
酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)37.7g
(0.14モル)を得た。次に、攪拌機、温度計、滴下
ロート、気体の導入管および排出管を備えた反応フラス
コに、β−クロロプロピオニルクロライド26.7g
(0.21モル)を仕込み、窒素ガスを緩やかに流通さ
せながら50℃に加温した。次いで、チオジグリコール
酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)27.0g
(0.10モル)を、攪拌しながらゆっくりと滴下し
た。この際に発生する塩化水素ガスは、系外の水酸化ナ
トリウム水溶液のトラップに吸収した。滴下終了後、5
0℃で5時間攪拌して反応を進めた。次に、トルエン2
00mlを加えて、冷却しながら、10%NaOH水溶
液を滴下し、系内をアルカリ性にして十分に攪拌した。
その後、有機層を分液し、水で洗浄した。有機層を、攪
拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応フラスコに仕込
み、10℃以下に冷却して攪拌しながら、トリエチルア
ミン22.3g(0.22モル)を徐々に滴下した。滴
下終了後、さらに25℃で、4時間攪拌した。その後、
トルエン300mlと水200mlを加えて、反応生成
物を有機層に抽出して分液したのち、有機層を希塩酸、
希重炭酸ソーダ水溶液、水で洗浄した。有機層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥したのち、トルエンを減圧下に留
去して、目的の無色透明の含硫アクリレート化合物、チ
オジグリコール酸ビス(アクリロイルチオエチルエステ
ル)32.9g(0.087モル)を得た。このもの
の、 1H−NMR(CDCl3 溶媒中、テトラメチルシ
ラン基準)チャートを(図1)に示した。
【0026】実施例2 攪拌機、温度計を備えた反応フラスコに、メチレンビス
(チオグリコール酸)29.4g(0.15モル)、2
−メルカプトエタノール35.2g(0.45モル)、
トルエン200ml、p−トルエンスルホン酸3.0
g、さらに脱水剤として無水硫酸カルシウム(ドライア
ライト、W.A.HAMMOND DRIERITE CO.製)180gを仕込
み、60℃で3時間、脱水エステル化反応を行った。反
応終了後、反応液を吸引濾過して硫酸カルシウムを取り
除いた。次に、5%重炭酸ソーダ水溶液で有機層を洗浄
したのち、更に水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥したのち、トルエンを減圧下に留去して、
無色の液体のメチレンビス[チオグリコール酸ビス(2
−メルカプトエチルエステル)]43.2g(0.13
6モル)を得た。このメチレンビス[チオグリコール酸
(2−メルカプトエチルエステル)]31.6g(0.
10モル)を使用して、実施例1と同様の操作により、
アクリルエステル化反応を行い、無色透明の含硫アクリ
レート化合物、メチレンビス[チオグリコール酸(アク
リロイルチオエチルエステル)]34.4g(0.08
1モル)を得た。このものの、 1H−NMR(CDCl
3 溶媒中、テトラメチルシラン基準)チャートを(図
2)に示した。
【0027】実施例3 実施例2のメチレンビス(チオグリコール酸)29.4
g(0.15モル)をジチオジグリコール酸27.3g
(0.15モル)に代えた以外は、実施例2と同様にし
て、脱水エステル化反応を行い、ジチオジグリコール酸
ビス(2−メルカプトエチルエステル)42.6g
(0.141モル)を得た。このジチオジグリコール酸
ビス(2−メルカプトエチルエステル)30.2g
(0.10モル)を使用して、実施例1と同様の操作に
より、アクリルエステル化反応を行い、無色透明の含硫
アクリレート化合物、ジチオジグリコール酸ビス(アク
リロイルチオエチルエステル)38.6g(0.094
モル)を得た。このものの、 1H−NMR(CDCl3
溶媒中、テトラメチルシラン基準)チャートを(図3)
に示した。
【0028】実施例4 実施例2のメチレンビス(チオグリコール酸)29.4
g(0.15モル)をメチントリス(チオグリコール
酸)43.0g(0.15モル)に代えた以外は、実施
例2と同様にして、脱水エステル化反応を行い、メチン
トリス[チオグリコール酸(2−メルカプトエチルエス
テル)]62.1g(0.133モル)を得た。このメ
チントリス[チオグリコール酸(2−メルカプトエチル
エステル)]46.7g(0.10モル)を使用して、
実施例1と同様の操作により、アクリルエステル化反応
を行い、無色透明の含硫アクリレート化合物、メチント
リス[チオグリコール酸(アクリロイルチオエチルエス
テル)]56.5g(0.090モル)を得た。このも
のの、 1H−NMR(CDCl3 溶媒中、テトラメチル
シラン基準)チャートを(図4)に示した。
【0029】実施例5 実施例1で得られたチオジグリコール酸ビス(アクリロ
イルチオエチルエステル)50gに対して、ラジカル重
合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート50mg、増感剤として2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン50mgを
添加してよく混合した。これを十分に脱泡した後、ガラ
スモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し
た。冷却しながら、紫外線を5分間照射したのち、30
℃から120℃まで30分かけて昇温し、更に120℃
で1時間加熱し、重合を行った。重合終了後、徐々に冷
却し、成形体をモールドより取り出した。得られた成形
体(レンズ)は、無色透明であり、屈折率nd =1.5
87、アッベ数νd =39.8であった。また、染色す
ると非常に良く染まり、染色性の評価は「○」であっ
た。
【0030】実施例6 実施例2で得られたメチレンビス[チオグリコール酸
(アクリロイルチオエチルエステル)]50gに対し
て、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート70mg、増感剤として2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−
オン100mgを添加してよく混合した。これを十分に
脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモー
ルド型に注入した。冷却しながら、紫外線を7分間照射
したのち、30℃から130℃まで30分かけて昇温
し、更に130℃で1時間加熱し、重合を行った。重合
終了後、徐々に冷却し、成形体をモールドより取り出し
た。得られた成形体(レンズ)は、無色透明であり、屈
折率nd =1.599、アッベ数νd =38.4であっ
た。また、染色すると非常に良く染まり、染色性の評価
は「○」であった。
【0031】実施例7 実施例3で得られたジチオジグリコール酸ビス(アクリ
ロイルチオエチルエステル)50gに対して、ラジカル
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート50mg、増感剤としてアシルフォスフィ
ンオキサイド50mgを添加してよく混合した。これを
十分に脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりな
るモールド型に注入した。冷却しながら、紫外線を5分
間照射したのち、30℃から120℃まで30分かけて
昇温し、更に120℃で1時間加熱し、重合を行った。
重合終了後、徐々に冷却し、成形体をモールドより取り
出した。得られた成形体(レンズ)は、無色透明であ
り、屈折率nd =1.603、アッベ数νd =37.3
であった。また、染色すると非常に良く染まり、染色性
の評価は「○」であった。
【0032】実施例8 実施例4で得られたメチントリス[チオグリコール酸
(アクリロイルチオエチルエステル)]50gに対し
て、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート150mg、増感剤として2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン100mgを添加してよく混合した。これを十分
に脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモ
ールド型に注入した。冷却しながら、紫外線を10分間
照射したのち、30℃から130℃まで30分かけて昇
温し、更に130℃で1時間加熱し、重合を行った。重
合終了後、徐々に冷却し、成形体をモールドより取り出
した。得られた成形体(レンズ)は、無色透明であり、
屈折率nd =1.607、アッベ数νd =37.6であ
った。また、染色すると非常に良く染まり、染色性の評
価は「○」であった。
【0033】実施例9 実施例4で得られたメチントリス[チオグリコール酸
(アクリロイルチオエチルエステル)]40gに対し
て、2,2−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン〔商品名、サートマー(SR−348)〕
10gとラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート50mg、増感剤として
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン100mgを添加してよく混合した。これを十
分に脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなる
モールド型に注入した。実施例8と比較すると、モノマ
ー混合物の粘度が低いため注入が容易であった。冷却し
ながら、紫外線を10分間照射したのち、30℃から1
30℃まで1時間かけて昇温し、更に130℃で1時間
加熱し、重合を行った。重合終了後、徐々に冷却し、成
形体をモールドより取り出した。得られた成形体(レン
ズ)は、無色透明であり、屈折率nd =1.598、ア
ッベ数νd =38、比重は、1.36であった。また、
染色すると非常に良く染まり、染色性の評価は「○」で
あった。
【0034】実施例10 実施例4で得られたメチントリス[チオグリコール酸
(アクリロイルチオエチルエステル)]37.5gに対
して、トリメチロールプロパントリメタクリレート7.
5g、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3
−メルカプトプロパン5.0gと、ラジカル重合開始剤
としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト50mg、増感剤として2−ヒドロキシ−2−メチル
−1−フェニルプロパン−1−オン100mgを添加し
てよく混合した。これを十分に脱泡した後、ガラスモー
ルドとガスケットよりなるモールド型に注入した。実施
例8と比較すると、モノマー混合物の粘度が低いため注
入が容易であった。冷却しながら、紫外線を7分間照射
したのち、30℃から130℃まで1時間かけて昇温
し、更に130℃で1時間加熱し、重合を行った。重合
終了後、徐々に冷却し、成形体をモールドより取り出し
た。得られた成形体(レンズ)は、無色透明であり、屈
折率nd =1.599、アッベ数νd =40、比重は
1.37であった。また、染色すると非常に良く染ま
り、染色性の評価は「○」であった。
【0035】
【発明の効果】本発明の含硫(メタ)アクリレート化合
物は新規な化合物であり、また、本発明の組成物は短時
間重合が可能であり、良好な光学物性、特に高い屈折率
をもち、かつ、優れた染色性を有するプラスチックレン
ズを与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた含硫アクリレート化合物の
1H−NMRチャート。
【図2】実施例2で得られた含硫アクリレート化合物の
1H−NMRチャート。
【図3】実施例3で得られた含硫アクリレート化合物の
1H−NMRチャート。
【図4】実施例4で得られた含硫アクリレート化合物の
1H−NMRチャート。
フロントページの続き (72)発明者 藤井 謙一 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−51412(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)(化1)で表される含硫
    (メタ)アクリレート化合物。 【化1】 〔式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは下記
    式(2)〜(5)(化2)で表されるいずれかの基 【化2】 (式中、p、qはそれぞれ1〜3の整数を表す)を表
    し、nは1〜3の整数を表し、mは2または3である〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の含硫(メタ)アクリレー
    ト化合物を含有するプラスチックレンズ用組成物。
  3. 【請求項3】 含硫(メタ)アクリレート化合物と共重
    合可能な単量体あるいはポリチオール化合物の少なくと
    も1種を含有する請求項2記載のプラスチックレンズ用
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の組成物を重合
    して得られる含硫樹脂。
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