JP3439519B2 - 軟磁性合金およびそれを用いた磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性合金およびそれを用いた磁気ヘッド

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JP3439519B2 JP3616394A JP3616394A JP3439519B2 JP 3439519 B2 JP3439519 B2 JP 3439519B2 JP 3616394 A JP3616394 A JP 3616394A JP 3616394 A JP3616394 A JP 3616394A JP 3439519 B2 JP3439519 B2 JP 3439519B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッドの磁気コア
などに適用し得る軟磁性合金に関するもので、特に保磁
力を低下せしめたものである。
【0002】
【従来の技術】磁性材料分野において、例えば磁気ヘッ
ドなどの為に、保磁力が小さく、より優れた軟磁気特性
を有する軟磁性合金が開発され続けている。特に高密度
記録に対応するため、積層ヘッドやMIGヘッドには、
より高い特性を有する軟磁性合金膜が望まれる。本発明
者等は優れた軟磁気特性を有する磁性材料として、Fe
を主成分とし、これに各種の炭化物の結晶を含んだ合金
を開発してきた。こうした合金の結晶組織の例を図1
(b)に示す。この図1に示される合金は、Feを主成
分とする結晶(以下、Fe基結晶と称する。)の粒界
に、炭化物の粒子が配置されている構成となっている。
こうした構成の合金においては、その保磁力HcはFe
基結晶の粒径の2〜6乗に比例するとされている。そこ
で、軟磁気特性を向上させるためには、Fe基結晶の粒
径は小さいほど好ましいとされている。
【0003】ここで、炭化物の粒子は、各Fe基結晶の
粒界をピン止めし、もってFe基結晶の成長を抑制し、
その粒径を大きくしないように作用するために添加され
ている。従って、軟磁気特性を向上させるためにはこう
した炭化物の添加は重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、市場におい
てはさらなる優れた軟磁気特性を有する磁性材料が要求
されており、ますますの開発が営まれている。本発明者
等は、これらの要求に応えるべく、軟磁性合金について
鋭意研究を繰り返した結果、画期的な合金を見い出し、
本発明に至った。
【0005】即ち、本発明は従来にはない、より優れた
軟磁気特性を有する軟磁性合金を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の軟磁性合金は、
Fe若しくはCoを主成分とする結晶と、Ti、Zr、
Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wの金属元素群から選ば
れる少なくとも1種の元素の炭化物もしくは窒化物の結
晶とを有し、全体として平均結晶粒径が40nm以下の微
細結晶で構成され、前記Fe若しくはCoを主成分とす
る結晶にSiとAlが固溶しており、前記炭化物もしく
は窒化物の結晶の平均結晶粒径をd、前記Fe若しくは
Coを主成分とする結晶の平均結晶粒径をDとした場合
に、その比率d/Dが、0.05以上かつ0.4以下であ
ることを特徴とするものである。
【0007】
【0008】さらに、組成式が次式で表わされるもので
ある。 T100−e−f−b−c−d−Si−Al−M
−Z 但し、TはFeとCoのいずれか又は両方、MはTi、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wの金属元素群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素、ZはCとNのいずれ
か又は両方を表わし、下記の組成比(原子%)を満足す
る。残部はTである。 8≦e≦15、0.5≦f≦10、1≦b≦7、0.5≦
c≦10
【0009】この際、Siの組成比が、Alの組成比の
1.5倍以上であれば、より好ましい。
【0010】本発明の磁気ヘッドは、上記本発明の軟磁
性合金を磁気コアとして用いてなるものである。
【0011】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者等
は、図1(b)に示されるような結晶組織からなる合金
において、各Fe基結晶間が接触している粒界面積を広
くすることによって、磁気的結合を強め、軟磁気特性を
向上させることができることを知見した。そして、ある
条件の下で、図1(a)に示されるように、各Fe基結
晶を大きくすることによって、この各Fe基結晶が直接
接触する粒界面積を広くすると、Fe基結晶の拡大化に
伴う保磁力の増加を打消し、さらに軟磁気特性を向上さ
せることができることを見い出した。また、この現象
は、Feの代りにCoを用いた場合、また炭化物の代り
に窒化物を用いた場合も同様な結果が得られることを見
い出した。さらに、Fe(若しくはCo)基結晶の粒径
と、炭化物もしくは窒化物の粒子の粒径の比、また炭化
物もしくは窒化物の体積分率がその磁気特性に作用する
ことを見い出した。すなわち、各Fe基結晶の大きさを
できるだけ抑えた上で、各Fe基結晶間の接触を増加さ
せることで、効率良く、軟磁気特性を向上させることが
できる。
【0012】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明の軟磁性合金では、各Fe若しくはCoを主成分と
する結晶間の粒界面積を大きくし、磁気的結合を強める
ことによる軟磁気特性の向上と共に、Fe若しくはCo
を主成分とする結晶からなる合金中に、M(IV〜VA族
元素)の炭化物もしくは窒化物が適当に分散することに
より、Fe若しくはCo等を主成分とする結晶の成長を
調整するもので、優れた軟磁気特性を発揮する微細結晶
状態が高温の熱処理後も維持される。また、微細結晶状
態により、良好な軟磁気特性を示す作用としては、隣接
する個々の強磁性結晶(Fe基もしくはCo基)の間に
磁化を平行にしようとする相互作用、即ち交換相互作用
および双極子−双極子相互作用が、結晶磁気異方性より
も相対的に強く作用し、巨視的に結晶磁気異方性エネル
ギが大幅に低下したかのように振舞うものと思われる。
したがって、強磁性結晶間の粒界には非磁性である炭化
物もしくは窒化物などの析出物ができるだけ少ない方が
交換相互作用を粒間に効果的に作用させることができ、
好ましい。しかし、炭化物もしくは窒化物の含有量が少
な過ぎると、または炭化物もしくは窒化物の粒径が強磁
性結晶の粒径に比べて小さ過ぎると、微結晶状態を保つ
ことが困難となる。そこで本発明においては、炭化物も
しくは窒化物の粒径(d)と、Fe若しくはCoを主成
分とする結晶の粒径(D)の比、さらには炭化物もしく
は窒化物の体積分率を最適範囲に設定することにより、
優れた軟磁気特性を有する軟磁性合金を得るものであ
る。
【0013】本発明においては、炭化物もしくは窒化物
の粒径(d)と、Fe若しくはCoを主成分とする結晶
の粒径(D)の比d/Dを0.05以上かつ0.4以下と
している。結晶の成長には粒界の移動が必要である。炭
化物もしくは窒化物はこの粒界移動を抑制するはたら
き、即ちピン止め効果を有する。しかしながら、高い熱
処理温度や長い熱処理時間を施した場合に、上記比が
0.05よりも小さいと、炭化物もしくは窒化物による
Fe基結晶もしくはCo基結晶の粒界のピン止め効果が
有効に作用せず、Feの体心立方構造、またはCoの六
方稠密構造あるいは面心立方構造の結晶の粒径が急激に
大きくなり過ぎてしまう。また、これらFe基結晶もし
くはCo基結晶の粒径が40nmを超えると、軟磁気特性
は急激に悪化してしまう。尚、熱処理温度が低く、熱処
理時間が短い場合などには、この範囲よりも小さくして
も支障がない。しかしながら、軟磁性合金を用いて磁気
ヘッドなどを製造する場合、その製造過程において、ガ
ラス溶着工程などがあり、高温または長時間の熱処理を
避けられず、実際上、0.05以上とする必要が生じ
る。また、上限値を0.4としたのは、比d/Dを0.4
以下とすることにより、保磁力Hcを低減せしめること
ができるからである。
【0014】ところで、比d/Dは合金膜の組成により
一義的に決定されるものではなく、最適な比d/Dの設
定は、熱処理温度や時間の影響も受ける。たとえば、図
2に、Fe78.9Si10.8Hf4.16.2合金膜において、
その体心立方結晶とHfの炭化物(NaCl型結晶構
造)における熱処理温度と平均結晶粒径の関係を示す。
図2からわかるように、熱処理温度が高くなると、比d
/Dはほぼ一定であるが、熱処理温度が低い場合には、
比d/Dがかなり小さくなってしまっている。これは、
熱処理温度が低いと、炭化物(窒化物)の析出状態が、
図1(a)に示されているような、体心立方結晶の粒界
の三重点に析出しているようなものばかりでなく、図3
に示されるように、三重点以外の箇所にも数多く析出し
ているためである。尚、高温の熱処理後のものは、電子
顕微鏡を用いて観測した結果、明らかに炭化物の殆どが
図1(a)のように、粒界の三重点に析出していた。
【0015】図3のような状態は、炭化物(窒化物)粒
子の絶対数が少ない際は良いが、数が多くなると、Fe
を主成分とする体心立方結晶どうしの磁気的結合が阻害
され、優れた軟磁気特性が得られにくくなる。すなわ
ち、このような場合、比d/Dが本発明の範囲を満たし
ていても、従来の合金膜より優れた特性が得られにくく
なってしまうことがある。このような例として、詳細を
後述する図4中に、比d/Dが0.30のFe65.2Al
10.0Ta11.213.6膜について、873Kで熱処理を施
した後の、その粒径Dと保磁力Hcの関係を○で示し
た。この○で示される合金膜は、比d/Dは小さいが、
保磁力Hcは図4中に示されている他の従来例の合金膜
と同程度でになってしまっている。こうした場合、比d
/Dの数値限定と共に、炭化物(窒化物)粒子の絶対数
に関係するM元素とZ元素の組成比に上限を設けること
が望ましい。従って、上記Mは7原子%以下、Zは10
原子%以下とすることが好ましい。こうすることによっ
て、低温度での熱処理においても従来の合金膜より優れ
た軟磁気特性を得ることができ、広範囲な熱処理に対応
して優れた軟磁気特性を有する軟磁性合金となる。ま
た、粒径が40nm以下の均質な微結晶構造を得るために
は、Mを1原子%以上、Zを0.5原子%以上とするこ
とが望まれる。
【0016】本発明の軟磁性合金において、Fe若しく
はCoは主成分であり、磁性を担う元素である。この主
相となるFe若しくはCoの量は他の元素の残部とす
る。
【0017】上記金属群Mの炭化物または窒化物からな
る粒子は、Fe若しくはCoを主成分とする結晶の成
長、粗大化を抑制し、軟磁気特性の耐熱性を向上させる
効果がある。特に、本発明の軟磁性合金を用いて積層型
磁気ヘッドを製造する場合などに、融点の高い高融点ガ
ラスをラミネートガラスに用いることが可能となる。ま
た、スパッタの際に非晶質化し易くする作用がある。こ
れらの効果を得るために、添加量は1原子%以上あるこ
とが望ましい。また、10原子%を超えると飽和磁束密
度Bsが低下し好ましくなく、7原子%以下とすること
が好ましい。
【0018】CまたはNは上記金属Mと結合して、炭化
物または窒化物を生成するものである。また同様に、磁
気ヘッドを製造する場合などに、スパッタを施す際など
には非晶質化し易くする作用がある。スパッタ後に磁性
膜が非晶質であると、後の熱処理時に均質な微結晶を得
られやすく望ましいからである。これらの効果を得るた
めに、添加量は0.5原子%以上あることが好ましい。
また、15原子%を超えると飽和磁束密度Bsが低下し
好ましくなく、10原子%以下とすることが好ましい。
また、Cの添加量が10原子%よりも多いと、比d/D
を小さくすることが困難となる。この点からもCの添加
量は10原子%以下とすることが望まれる。
【0019】本発明においてSiまたはAlは重要な成
分である。Siは、AlやQの添加により増加する磁歪
λsを低減する作用がある。Siは、スパッタの際に磁
性膜を非晶質化し易くする作用がある。従来、磁性膜を
非晶質化し易くするために、炭化物または窒化物を多量
に含有させていたが、炭化物または窒化物の含有量を低
減することができ、炭化物または窒化物による飽和磁束
密度の低下を抑制することができる。即ち、均質な微結
晶組織を得るためには、非晶質状態の膜を熱処理して微
結晶を析出させることが有効である。ところで、MとZ
の組成比が低下すると、成膜時に非晶質が形成されにく
くなってしまう。しかしながら、Siは非晶質の形成を
助ける作用があるので、Siの添加は結局、上記MとZ
の組成比が少量であっても、非晶質を形成させることに
よる均質な微細結晶組織の生成を促進させることができ
る。よって、Siの添加は上記金属MとZの組成比を下
げる効果があることになる。Siは、Feの結晶に固溶
し、比抵抗を増加させる効果がある。Siは、結晶粒の
成長を遅くすると共に、結晶磁気異方性エネルギを低下
させて軟磁気特性の耐熱温度を上げる作用がある。この
Siの添加量は、上記の効果を発揮させるためにも、
0.5原子%以上あることが好ましい。より好ましく
は、8原子%以上である。また、25原子%よりも多く
なると、飽和磁束密度Bsが低下するので好ましくな
い。より好ましくは、15原子%以下である。
【0020】Alの添加は、 (I)耐環境性を向上させる効果がある。 (II)Feの結晶に固溶し、比抵抗を増加させる効果が
ある。 (III)結晶粒の成長を遅くするとともに、結晶磁気異
方性エネルギを低下させて軟磁気特性の耐熱温度を上げ
る作用がある。 このAlの添加量は、(I)の効果を発揮させるため
に、0.5原子%以上あることが好ましい。しかしなが
ら、25原子%よりも多くなると、磁歪λsが大きくな
り過ぎ(|λs|が3×10-6以上となる)、また飽和
磁束密度Bsも低下するので好ましくない。より好まし
くは、10原子%以下である。
【0021】また、SiとAlを同時に複合添加すると
磁歪λsを抑えると同時に、耐環境性、耐食性、耐熱性
を向上させることができ、さらに高周波透磁率の改善効
果が発揮される。但し、この場合、磁歪λsの低減効果
をより的確に得るためには、SiとAlの添加量の比率
(Si/Al)を3/2以上とすることが望まれる。
【0022】Qは主として耐環境性の向上のために添加
する元素である。通常の場合、Alの添加のみで十分で
あるが、要求される耐環境性の水準が高いとき、あるい
は磁歪との関係でAl濃度を高くできないとき、Alの
耐環境性向上の機能を補う目的で添加される。Qは10
原子%を超えて添加されると、飽和磁束密度の低下およ
び磁歪の増加を招くので、10原子%以下とすることが
好ましい。
【0023】また、必要に応じて、Y、希土類元素、Z
n、Cd、Ga、In、Ge、Sn、Pb、As、S
b、Bi、Se、Te、Li、Be、Mg、Ca、S
r、Ba等の元素を添加することで磁歪を調整すること
もできる。
【0024】尚、その他の、H,O,S等の不可避的不
純物については、所望の特性が劣化しない程度に含有し
ていても本発明の軟磁性合金の組成と同一とみなすこと
ができるのは勿論である。本発明の軟磁性合金は、その
用途に合わせて、様々な形態、すなわち、薄膜、ブロッ
ク、粉体等とされて使用され得る。例えば、積層ヘッド
やMIGヘッドに用いる場合には、軟磁性合金膜として
用いられる。
【0025】本発明の軟磁性合金からなる磁性膜を作成
するには、合金膜をスパッタ、蒸着等の薄膜形成技術に
より作成する。スパッタ装置としてはRF2極スパッ
タ、DCスパッタ、マグネトロンスパッタ、3極スパッ
タ、イオンビームスパッタ、対向ターゲット式スパッタ
等の既存のものを使用することができる。
【0026】
【実施例】図4に、種々の(Fe1-xSix)−HfC合
金膜における保磁力Hcと合金膜中のbcc相の粒径の
関係を試験した結果を示す。図4中、点●でプロットさ
れたものは、本実施例に該当するもので、d/Dが0.
2〜0.3、HfCの体積分率が8%である。また、
□、◇、△は比較例に該当するもので、d/Dが0.4
〜0.5、HfCの体積分率が13%である。 比
((炭化物の粒径d)/(bcc相の粒径D))は、合
金膜の組成(Hf,Cの濃度)及び熱処理条件(例え
ば、温度、保持時間)で制御できる。尚、各合金膜の膜
厚は5〜6μmである。図4から、比d/Dが小さい本
実施例の軟磁性合金は、他の合金よりも保磁力が小さく
軟磁気特性に優れていることが明らかである。図4にお
いて、本実施例の●に対して、bcc相の組成(Si濃
度)はほぼ等しいものの、HfCの組成比が多い△を比
較すると、Hf及びCの少ない●は、△と粒径Dが同等
であっても、保磁力Hcが小さくなっていることがわか
る。
【0027】上記本発明の軟磁性合金は、熱処理を施す
ことで金属群Mの炭化物または窒化物が均一に分散した
状態になる。Fe76.3Si12.0Al2.1Hf3.6C6.0合金膜を例に
して、熱処理前と熱処理後のX線回折パターンを測定し
た。熱処理は、680℃で20分間保持するものとし
た。また、X線回折パターンはCo-Kα線源を用いて
測定した。熱処理前のX線回折パターンを図6に、熱処
理後のX線回折パターンを図5に示した。図6から、ブ
ロードなハローパターンが示されており、熱処理前は非
晶質であることがわかる。
【0028】一方、図5から熱処理後では、α-Fe
(体心立方構造のFeを主成分とする結晶)とHfC
(Hfの炭化物の結晶)の存在が確認できる。しかも、
α-Feの回折ピークの位置から、α-Feの結晶にはS
iとAlが固溶していることがわかる。また、α-Fe
とHfCの各X線回折ピークの半値幅から、α-Feの
結晶粒径は19nm、HfCの結晶粒径は3.4nmである
ことがわかる。
【0029】図7に、保磁力Hcとbcc相の粒径の熱
処理温度依存性を示す。図7中、○が本実施例に該当す
るもので、組成はFe79.1Si10.8Hf3.96.2で示さ
れ、比d/Dは0.2〜0.3であり、□、△は比較例に
該当するもので、それぞれ、Fe79.6Hf7.213.2
Fe70.5Si10.2Hf5.913.4、の組成を有し、比d
/Dは0.4よりも大きいものである。尚、各合金膜の
膜厚は5〜6μmである。図7から、高温での熱処理後
において、本実施例の合金膜は、bcc相の粒径は比較
例△よりも大きいものの、保磁力Hcは比較例の合金膜
よりも低い値を示している。これは、比d/D及び、炭
化物の体積分率が減少したことによる効果であると解さ
れる。
【0030】本発明の軟磁性合金を用いて、磁気ヘッド
を製造した実施例を示す。図8,9に示す磁気ヘッド
は、コンピュータ用のハードディスク装置用磁気ヘッド
に適用した一例を示す。図8に示す磁気ヘッド10は、
一対の互いに平行な浮上レール16,16の形成された
スライダ14と、一方の浮上レール16の端部に形成さ
れたコア部18と、磁気コア20とで概略構成されるも
ので、スライダ14とコア部18を基体とすると、これ
らの基体中に磁気コア20は挟み込まれて配置されてい
る。図8のA部の拡大図を図9に示す。スライダの一部
分でもある基体14’と基体14''間に磁性膜20’が
挟み込まれ、同様にコア部18の一部分でもある基体1
8’と基体18''間に磁性膜20''が挟み込まれ、磁性
膜20’と磁性膜20''で磁気コア20が形成される。
さらにスライダ14とコア部18の間には非磁性体が介
在し、これが磁気ギャップ22となっている。さらにま
た、磁気コア20の一方の面と基体14'',18''の間
には、磁気コア20と基体14'',18''を接合する溶
着ガラス(ラミネートガラス)24が介在している。さ
らにまた、図示していないが、コア部18にはコイルが
巻回されて磁気ヘッドが構成される。この図示したハー
ドディスク装置用磁気ヘッドにおいては、磁性体である
円盤状のハードディスク上を、磁気ギャップ22が極僅
かに離間して浮上走行して磁気記録または再生を行なう
ものである。
【0031】図8で示したハードディスク用磁気ヘッド
において、磁気コア20に、本実施例に相当する軟磁性
合金を用いて構成した磁気ヘッド(試料番号1,2)
と、他の磁性材料を用いて構成した磁気ヘッド(試料番
号3)において、それぞれの孤立波出力を測定した。
尚、試験に供した磁気ヘッドは、トラック幅が5.5μ
m、ギャップ深さが2μmのものとし、測定に供したハー
ドディスクの保磁力Hcは1600Oe、周速は8.8
4m/s、磁気ヘッドの浮上量を80nmにして測定し
た。結果を表1に示す。尚、表中、孤立波出力は、巻数
で規格化した相対値である。
【0032】
【表1】
【0033】表1から、d/Dが、0.05〜0.4の
範囲にある本実施例の試料番号1,2の磁気ヘッドが、
本発明に該当しないd/Dの軟磁性合金の磁気ヘッドに
比べて明らかに高い孤立波出力を得ていることがわか
る。特に、SiとAlの両方を含有する軟磁性合金を適
用した試料番号1の磁気ヘッドはより優れた孤立波出力
を発現している。
【0034】図10に本発明の軟磁性合金を用いてなる
VTR用磁気ヘッドを示す。磁気ヘッド36は、Mn-
Znフェライト基体に軟磁性合金膜44が成膜された一
対の半コア38,38が磁気ギャップ42が形成される
ように接合されたメタルインギャップタイプ(MIG)
の磁気ヘッドである。尚、巻線孔52にはコイル46が
巻回され、軟磁性合金膜の成膜された磁気コア半体3
8,38はギャップ部42及びトラック幅規制溝48に
存在するギャップガラスで溶着されている。
【0035】本実施例に相当する軟磁性合金(Fe75.3
Si12.4Al4.3Hf3.05.0、比d/D:0.22)か
らなる磁性膜を用いて、図10に示したVTR用の映像
磁気ヘッドを製造し、自己録再出力の周波数特性を測定
した。ここでの自己録再出力は、インダクタンスで規格
化した相対値である。尚、磁気ヘッドのトラック幅は2
3μm、ギャップ深さは20μmとし、試験に用いた磁気
テープは保磁力が1500Oeのものとし、磁気ヘッド
と磁気テープの相対速度は3.8m/sとした。 また
比較例として、組成がFe65.2Al9.7Ta
12.013.6、比d/Dが0.42の磁性材料を用いてな
る磁気ヘッドにおいて、同様の試験を行なった。試験結
果を図11に示す。図11から、全周波数領域におい
て、本実施例の磁気ヘッドが、比較例の磁気ヘッドより
も2〜3dBほど自己録再出力が大きいことがわかる。
【0036】本発明の軟磁性合金は、上述した磁気ヘッ
ドはもとより、他の種類の磁気ヘッドまたは、薄膜イン
ダクタ、薄膜トランス、スイッチング素子などの磁気素
子などにも適用することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明の軟磁性合金は、Fe若しくはC
oを主成分とする結晶と、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Mo、Wの金属元素群から選ばれる少なくと
も1種の元素の炭化物もしくは窒化物の結晶とを有し、
全体として平均結晶粒径が40nm以下の微細結晶で構成
され、前記Fe若しくはCoを主成分とする結晶にSi
とAlが固溶しており、前記炭化物もしくは窒化物の結
晶の平均結晶粒径をd、前記Fe若しくはCoを主成分
とする結晶の平均結晶粒径をDとした場合に、その比率
d/Dが、0.05以上かつ0.4以下であることを特徴
とするものである。
【0038】
【0039】また、請求項1記載の軟磁性合金は、組成
式が次式で表わされることを特徴とする。 T100−e−f−b−c−d−Si−Al−M
−Z 但し、TはFeとCoのいずれか又は両方、MはTi、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wの金属元素群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素、ZはCとNのいずれ
か又は両方を表わし、下記の組成比(原子%)を満足す
る。残部はTである。 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10 また、請求項2記載の発明は、Siの組成比がAlの組
成比の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1記
載の軟磁性合金である。
【0040】本発明の磁気ヘッドは、これらの軟磁性合
金を磁気コアに用いてなるものである。
【0041】本発明の軟磁性合金は、上述したように、
保磁力Hcが小さく軟磁気特性に優れたものなってい
る。したがって、本発明の軟磁性合金は様々な磁気装
置、特に磁気記録装置に欠かせない磁気ヘッドの磁気コ
アとして用いた場合に、その性能を向上せしめることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金の結晶の組織を示す概略図であって、図1
(a)は本実施例の合金、図1(b)は従来例の合金を
示すものである。
【図2】合金膜の結晶について、熱処理温度と平均結晶
粒径の関係を示すグラフである。
【図3】合金の結晶の組織を示す概略図である。
【図4】各種組成の合金膜において、主相の粒径Dと保
磁力Hcの関係を示すグラフである。
【図5】本実施例の軟磁性合金の熱処理後のX線回折パ
ターンである。
【図6】本実施例の軟磁性合金の熱処理前のX線回折パ
ターンである。
【図7】各種の合金膜について、熱処理温度と、保磁力
(a)および平均結晶粒径(b)の関係を示すグラフで
ある。
【図8】ハードディスク装置用磁気ヘッドの斜視図であ
る。
【図9】図8のA部の拡大図である。
【図10】VTR用の映像磁気ヘッドの斜視図である。
【図11】磁気ヘッドの自己録再出力の周波数依存を示
すグラフである。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド 20 磁気コア 21 溶着ガラス 22 磁気ギャップ 24 ラミネートガラス 36 磁気ヘッド 42 磁気ギャップ 48 トラック幅規制溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 10/14 H01F 10/14 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C22C 19/07 G11B 5/127 G11B 5/147 G11B 5/23 H01F 10/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe若しくはCoを主成分とする結晶
    と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wの金
    属元素群から選ばれる少なくとも1種の元素の炭化物も
    しくは窒化物の結晶とを有し、全体として平均結晶粒径
    が40nm以下の微細結晶で構成され、前記Fe若しくは
    Coを主成分とする結晶にSiとAlが固溶しており、 前記炭化物もしくは窒化物の結晶の平均結晶粒径をd、
    前記Fe若しくはCoを主成分とする結晶の平均結晶粒
    径をDとした場合に、その比率d/Dが、0.05以上
    かつ0.4以下である軟磁性合金であり、該軟磁性合金
    は組成式が次式で表されるものであることを特徴とする
    軟磁性合金。 T100−e−f−b−c−d−Si−Al−M
    −Z 但し、TはFeとCoのいずれか又は両方、MはTi、
    Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wの金属元素群か
    ら選ばれる少なくとも1種の元素、ZはCとNのいずれ
    か又は両方を表わし、下記の組成比(原子%)を満足す
    る。残部はTである。 8≦e≦15 0.5≦f≦10 1≦b≦7 0.5≦c≦10
  2. 【請求項2】 Siの組成比がAlの組成比の1.5倍
    以上であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性合
    金。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の軟磁性合金を磁
    気コアとして用いてなることを特徴とする磁気ヘッド。
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