JP3438247B2 - クメン法フェノール製造プロセス排水の嫌気性処理法 - Google Patents

クメン法フェノール製造プロセス排水の嫌気性処理法

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JP3438247B2
JP3438247B2 JP03303993A JP3303993A JP3438247B2 JP 3438247 B2 JP3438247 B2 JP 3438247B2 JP 03303993 A JP03303993 A JP 03303993A JP 3303993 A JP3303993 A JP 3303993A JP 3438247 B2 JP3438247 B2 JP 3438247B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゼン及びプロピレ
ンを原料としてクメンを経由してフェノール及びアセト
ンを得るクメン法フェノール製造プロセスの排水の嫌気
性処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機性排水の処理法としては、通
常、活性汚泥処理が行なわれている。
【0003】近年、活性汚泥法に替わる新しい処理法と
して嫌気性処理法が注目されており、固定床、流動床、
UASB法などのメタン菌を固定化して槽内に菌体を高
濃度で維持する方法の開発により、嫌気性処理法が一般
の産業排水処理にも利用されるようになった。嫌気性処
理法は、動力コストが安く、汚泥発生量が少ないという
大きな利点を有し、菌体合成のための窒素やリンの必要
量が好気性処理法と比較して1/5程度ですむため、特
に、窒素やリンを含まない化学系の排水処理に適用した
場合、処理コストの面においても非常に有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、有機性排水
が過酸化物を含んでいると、これがメタン菌を阻害し、
処理ができなかった。例えば、クメン酸化塔から排出さ
れるクメン法フェノール製造プロセスの排液は、COD
Cr1万〜3万ppmの比較的高濃度の排水で、有機物の
大半が、メタノール、ギ酸、酢酸等の形態であるため、
基本的には嫌気性処理し易い排水ではあるが、含有され
るクメンヒドロキシパーオキサイド(以下「CHP」と
略称する。)の影響により、直接メタン発酵による嫌気
性処理を行なうことができなかった。
【0005】このクメン酸化塔の排液を嫌気性処理法に
より安定に処理することができない理由としては、次の
2つの要因が挙げられる。 CHPによる阻害 クメン酸化塔廃液中にはCHPが0.01〜0.1重量
%程度含まれており、嫌気性細菌、特にメタン生成菌に
対して悪影響を及ぼす。 嫌気難分解性物質の影響 クメン酸化塔廃液のCODに占める蟻酸、酢酸などの低
級脂肪酸などの易分解成分の割合は50重量%以上で、
残りがカルビノールなどと推定され、この部分の除去性
能が全体の除去率に大きな影響を及ぼす。即ち、メタン
生成だけでなく、こうした物質をメタン菌が直接資化す
ることのできる物質、例えば、蟻酸、酢酸、水素などに
分解する、所謂、酸生成反応を速やかに行わせる必要が
あるが、この酸生成反応が効率的に進行しない。
【0006】なお、従来、過酸化物含有排水を嫌気性処
理する際に、過酸化物を酵素的に予備分解することが提
案されているが(特公昭63−32520号公報)、こ
の場合には、反応槽及び酵素を必要とする。また、有機
性排水の2相嫌気処理法において、酸生成反応工程にイ
オウ酸化物を添加することが提案されているが(特公昭
60−21796号公報)、過酸化物を含む有機性排水
についての例示はない。また、有機性排水に硫酸還元菌
を加えて嫌気性処理することが提案されているが(特公
昭56−54198号公報)、過酸化物を含む有機性排
水については有効な方法とはいえない。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、クメ
ン法フェノール製造プロセス排水を嫌気性微生物により
効率的にかつ安定に処理することができる嫌気性処理法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のクメン法フェノ
ール製造プロセス排水の嫌気性処理法は、クメン酸化塔
から排出されるクメン法フェノール製造プロセスの排水
を嫌気性処理する方法において、被処理排水にイオウ酸
化物を添加することを特徴とする。
【0009】即ち、本発明者らは、クメン法フェノール
製造プロセス排水の嫌気性処理の効率向上及び安定化を
図るべく検討を重ねた結果、嫌気性反応槽に硫酸イオ
ン、亜硫酸イオンなどのイオン態の酸化イオウを添加す
ることにより、嫌気性処理法によっても安定処理が行な
えることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】以下に図面を参照して本発明を詳細に説明
する。
【0011】第1図は本発明の1実施例を説明する系統
図である。
【0012】第1図において、1は原液貯槽、2はヒー
タ2A及び循環配管2Bを備える加熱滞留槽、3は希釈
水貯留槽、4はヒータ、5は流量計、6はpH計、7は
嫌気性反応槽、8は脱硫塔、9はガスメーター、10は
固液分離槽である。嫌気性反応槽7内の上方部位には仕
切板11がその下端辺を反応槽内面から離隔して設置さ
れている。また、仕切板11の下方にガイド部材12が
設置されている。反応槽7内の下部には担体13が装填
されている。21〜34は配管を示す。
【0013】第1図に示す方法において、原液であるク
メン法フェノール製造プロセスの排水(クメン酸化塔の
排液)を配管21から原液貯槽1に送給し、上層の油分
を除去した後、下層液を配管22より加熱滞留槽2に送
給し、アルカリ条件下で加温してCHPの分解促進処理
を行なう。加熱滞留槽2内の被処理水は、配管23、2
4を経てヒータ4に送られる。なお、配管25、希釈水
貯槽3及び配管26を経て送給される希釈水(通常は工
業用水に所定の成分を添加したもの)が配管23の部分
で被処理水に添加され、この希釈水で希釈された被処理
水がヒータ4で予熱される。予熱された希釈被処理水
は、配管27、流量計5、pH計6、配管28を経て、
嫌気性反応槽7へ槽下部から導入される。反応槽7内に
おいては、配管28から導入された液により担体13が
流動し、流動床式にて嫌気性処理が行なわれる。嫌気性
処理液は配管29、固液分離槽10に送られる。固液分
離された上澄液は配管30を経て系外へ排出される。一
方、固液分離槽10の沈殿は配管31、24を経て反応
槽7に循環される。反応槽7で生成したメタンガス等の
ガスは、配管32、脱硫塔8、配管33、ガスメータ9
及び配管34を経て系外へ排出される。なお、嫌気性処
理液の一部は、配管29からの分岐管29aを経て、被
処理水と混合される。
【0014】本発明においては、このような嫌気性処理
プロセスにおいて、イオウ酸化物を嫌気性反応槽7の導
入液、即ち、原液と希釈水の合量に対して、好ましくは
30mg/l以上、特に好ましくは30〜300mg/
l、とりわけ好ましくは50〜100mg/lの割合に
て添加する。
【0015】イオウ酸化物としては、硫酸イオン(SO
4 2-)、亜硫酸イオン(SO3 2- )、チオ硫酸イオン(S
23 2- )、四チオン酸イオン(S46 2- )等のイオ
ン態のイオウ酸化物が挙げられ、従って、添加する化合
物としては、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等を用
いることができる。
【0016】第1図において、原液であるクメン法フェ
ノール製造プロセスの排水は、嫌気性処理の前処理とし
て、原液貯槽1にて油分除去を行ない、また、加熱滞留
槽2にてアルカリ加熱分解を行なっているが、これらの
前処理は極めて好適である。即ち、クメン法フェノール
製造プロセスの排水中には、油分が比較的多く含有され
ているため、嫌気性処理効率の向上のためには、これを
除去するのが好ましい。また、前述の如く、CHPはメ
タン生成菌等の嫌気性細菌に対して悪影響を及ぼすこと
から、CHPをアルカリ条件下で加温状態に保持するこ
とにより分解することが望ましい。
【0017】本発明法により、クメン法フェノール製造
プロセス排水を処理する場合には、希釈水により希釈し
た後の嫌気性処理の原水中のCHP濃度が0.005重
量%以下、特に0.002重量%以下となるように、C
HPの分解を行なうのが好ましい。
【0018】また、一般に、原液であるクメン法フェノ
ール製造プロセスの排水には、窒素やリンが殆ど含まれ
ていないため、嫌気性処理のために、窒素源及びリン源
を添加する。窒素源及びリン源としては、硫酸アンモニ
ウム、リン酸カリウム等を用いることができ、これらは
原液中のCODCrに対して重量割合でCODCr:N:P
=1000:5〜20:1〜4の割合となるように添加
するのが好ましい。更に、必要に応じて嫌気性細菌の微
量栄養元素であるFe,Ni,Co等を希釈後の原水に
対して0.01〜0.1mg/l程度添加するのが好ま
しい。
【0019】また、嫌気性処理は通常pH6.5〜8.
5程度で行なうのが好ましいことからアルカリ加熱分解
処理液の原液に希釈水を添加した後のpHが高い場合に
は、必要に応じて塩酸等の酸等のpH調整剤を添加す
る。
【0020】本発明法により、クメン法フェノール製造
プロセス排水を処理する場合には、前述のイオウ酸化物
及び上述の窒素源やリン源、Fe,Ni,Co等の微量
栄養元素、pH調整剤は希釈水中に添加して、原液であ
るクメン法フェノール製造プロセスの排水に添加するの
が好ましい。なお、通常の場合、希釈水量は原液に対し
て1〜5体積倍程度とするのが好ましい。
【0021】本発明においては、嫌気性処理の原水中に
イオウ酸化物が含まれ、このため、後述の[作用]の項
で述べる如く、嫌気性反応槽7内において、硫酸塩還元
菌による分解反応で、硫化物(H2 S)が生成する。従
って、嫌気性反応槽7からの排出ガス分にはH2 Sが含
有されているため、メタンガスを回収する場合には、排
出経路に脱硫塔8を設けることが必要となる。
【0022】以下に本発明に好適な嫌気性反応槽につい
て説明する。
【0023】嫌気性反応槽7において、担体13の静止
層高が初期充填層高であるが、この高さhは、反応槽7
の有効高さHに対しh/Hの比率が0.1〜0.4とり
わけ0.2〜0.4となるように充填するのが好まし
い。該比率h/Hが0.1を下回るときには、担体充填
量が不足し、効率的な処理がなし得ない。また、該比率
h/Hが0.4を超える場合には、担体を流動させたと
きに担体が反応槽7外へ流動し易くなる。
【0024】充填する担体(核)としては、粒径が30
0μm以下、特に100μm以下のものを用いるのが好
ましい。粒径が300μmを超えるものは、粒子同志の
合体が生じにくく、微生物膜の付着により反応槽1外へ
流出し易い。なお、過度に小径の微粉物は、適当な流動
床を形成し難いから、担体の最小粒径は50μm以上と
するものが好ましい。
【0025】担体の材質としてはクリノプチロライト、
クリストバライト、活性炭、バーミキュライト、石綿な
ど各種のものを用いることができる。
【0026】なお、担体(核)は好ましくは比重1.1
以上のものを用いる。これよりも比重の小さいものは、
流出し易いからである。
【0027】また、嫌気性反応槽7においては、原水導
入管28から反応槽7への原水導入により、反応槽が始
動するのであるが、このときの展開率(展開高さから初
期充填高さを引いた値を初期充填高さで割った値の百分
率)は10〜100%とするのが好ましい。展開率が1
0%未満では、通水量が過少であり、流動が不安定とな
るため処理効率が低い。また100%を超える場合に
は、流動が過度に激しくなり、担体への微生物の付着速
度が小さくなり易く、担体相互の合体現象が生じにく
い。
【0028】このような条件下で反応槽7の運転を継続
すると、担体(核)表面に微生物が付着し始め、また、
これに伴って担体同志の合体が生じる。そして、微生物
が付着して比重が低下することによる流動化速度の減少
作用と、担体が合体して大径化することによる流動化速
度の増大とがほぼ相殺し、上向流速をそれ程調節するこ
となく担体の流出を回避しつつ高濃度の生物汚泥を担
持、増殖せしめることが可能となる。そのため微生物の
付着の進行に伴って、高効率の嫌気性生物処理がなされ
るようになる。また、生物膜の付着と担体の合体作用の
結果、確実に沈降速度の大きな球状ペレットが形成さ
れ、ペレット形成後は、発生ガスによる上昇流速が生ず
るため、処理水の循環を行なわず、原水の供給のみで流
動状態を維持することも可能である。
【0029】なお、本発明において、嫌気性反応槽7に
おける好ましい処理条件は、温度30〜40℃、pH
6.5〜8.5、槽負荷5〜20kg−COD/m3
dayである。
【0030】
【作用】本発明の方法において、原液であるクメン法フ
ェノール製造プロセスの排水中のCODCrに占める蟻
酸、酢酸等の有機酸などのメタン生成菌により容易に分
解できる成分の割合は50%強に過ぎない。処理状況が
良い時は有機酸はほぼ完全に分解され、しかもその他の
成分も半分程度が除去されており、この部分の除去性能
が全体の除去率に大きな影響を及ぼすことが理解され
る。従って、高いCODCr除去率を維持するために
は、メタン生成反応を安定して進行させるだけでなく、
メタン生成菌が直接資化できないこれらの成分を有機酸
に分解する反応(有機酸生成反応)を速やかに行なわせ
る必要がある。
【0031】本発明の方法によれば、排水中に添加され
たイオウ酸化物を電子受容体として、硫酸塩還元菌が生
息することが可能となる。硫酸塩還元菌はメタン生成菌
と同じ絶対嫌気性菌で、硫酸塩を電子受容体としてアル
コールや脂肪酸を酢酸などの低級脂肪酸に分解する。従
って、イオウ酸化物を添加することにより生成した硫酸
塩還元菌の作用により、他の嫌気性細菌のみでは分解す
ることが難しい嫌気難分解性有機物を易分解性の有機酸
に分解することが可能となり、同時に生成した硫化物が
還元電位(ORP)を低下させ、CHPなどの過酸化物
の酸化作用による阻害反応を軽減させる。嫌気性処理液
中には、硫化物が硫化水素イオンとして含まれているの
で、これを嫌気性反応槽に一部循環することによって過
酸化物を還元分解する。
【0032】ところで、イオウ酸化物の添加により硫化
物が生成し、無機性のCODCr成分として検出される
ため、見かけ上のCODCr除去率はやや低下する。因
みに、SO 2−を300mg/l添加した場合、その
全てが還元されれば、S2−として100mg/lの硫
化物が生成され、これはCODCrとして200mg/
lに相当する。即ち、処理水のCODCrにはこのS
2−分が上乗せされていることとなる。また、SO
2−の添加により、添加前と比較して硫化鉄等の不溶性
の硫化物を生じ、処理水のSS濃度が上昇する。このよ
うにイオウ酸化物は、クメン法フェノール製造プロセス
排水の嫌気性処理に必要なものではあるが、処理水水質
を高く維持するためには、できるだけその添加量を抑え
ることが望ましい。従って、イオウ酸化物はクメン法フ
ェノール製造プロセス排水の場合には、原水に50〜1
00mg/lとなるように添加するのが好ましい。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び実験例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0034】実施例1 第1図に示すプロセスに従って、クメン法フェノール製
造プロセスの排水(クメン酸化塔加熱ドラム流出水)を
原液として処理を行なった。
【0035】原液は原液貯槽1にて1晩静置し、油分を
浮上分離法で除去した後、加熱滞留槽2にてCHPのア
ルカリ加熱分解処理を行なった。処理後の原液のCHP
濃度は0.01重量%以下であった。
【0036】希釈水としては、工業用水を用いた。な
お、原液中にはN,Pは殆ど含まれていなかったため、
CODCr:N:P=1000:10:2となるように塩
化アンモニウムとリン酸の混合液を希釈水中に添加し
た。また、嫌気性微生物の微量栄養元素であるFe,N
i,Coとして、塩化第二鉄、塩化ニッケル、塩化コバ
ルトを希釈水に対して各々元素換算で0.5、0.05
及び0.05mg/l添加した。原液と希釈水の通水量
は第2図に示す通りであった。また、嫌気性反応槽7の
CODCr負荷は第3図に示す通りである。なお、嫌気性
処理はpH7.5、温度35℃で行なった。十分な汚泥
保持量で処理を開始したが、負荷を上げると、すぐに除
去率が下がるため、4〜6kg−CODCr/m3 /da
yの低負荷運転となった。
【0037】処理開始後、33日で処理状況が不安定と
なったため、34日目に原液と希釈水との合計に対して
SO4 2- 濃度が100〜300mg/lとなるように、
希釈水中に硫酸ナトリウムを添加して運転を継続した。
【0038】このような処理におけるガス発生量及びC
ODCr除去率の維持を第4図及び第5図に示す。
【0039】これらの結果から次のことが明らかであ
る。
【0040】即ち、通水初期7日間においてはCODCr
負荷約4kg−CODCr/m3 /dayの通水条件にて
CODCr除去率65〜80%、その後7日間において
は、CODCr負荷約6kg−CODCr/m3 /dayに
て64〜82%のCODCr除去率が得られた。その後、
処理状況は不安定となり、特に通水開始28日〜29日
目にはCODCr除去率は50%以下となった。
【0041】通水開始33日目からSO4 2- の所定量を
添加したところ、翌日から3〜4kg−CODCr/m3
/dayの負荷で徐々にCODCr除去率が改善され、ガ
ス発生量も上昇した。そこで、通水開始後42〜55日
(SO添加後9〜22日)はCODCr負荷を8kg−C
ODCr/m3 /dayに、また、通水開始後56〜72
日目(SO4 2- 添加後23〜39日)はCODCr負荷を
12kg−CODCr/m3 /dayで運転を行なった
が、ほぼ安定した処理を行なうことができ、CODCr
均除去率はそれぞれ69.2%及び66.6%と良好な
結果を示した。
【0042】また、本実施例の処理において、回分テス
トにて求めた酢酸資化性のメタン生成活性及び汚泥サン
プリング時点でのガス発生量とCODCr除去率の推移を
第6図に、処理水中に残留する有機酸濃度を第7図に示
す。第6図及び第7図から、メタン生成活性が低下した
時は例外なくガス発生量が低下し、除去率も低くなって
いることが明らかである。そして、SO4 2- 添加前はメ
タン生成活性は、0.17kg−CODCr/kg−VS
S/dayまで低下し、その結果、処理水中の有機酸が
CODCr換算で約500mg/lにものぼったが、連続
的にSO4 2- を添加した後は、添加直後を除きメタン生
成活性は0.53〜0.79kg−COD/kg−VS
S/dayと上昇傾向にあり、その結果連続運転におい
ても、処理水中の残留有機酸濃度はCODCr換算で常に
100mg/l以下でメタン生成反応は順調に進行し、
安定した処理が可能であったと判断される。
【0043】実験例1 CHPのメタン生成菌に与える阻害性を検討するため
に、嫌気性汚泥に、蟻酸及び酢酸を初期濃度として各々
1000mg/l加えてガス発生速度を測定し、次にC
HPを0.01〜0.4重量%の濃度で添加し、メタン
発生速度の低下を調べた。
【0044】結果を表1に示す。表1より明らかなよう
に、CHPの0.01重量%の添加では、添加後3時間
で添加前の約80%の活性が確認されたが、0.04重
量%以上の添加濃度では24時間以上経過してもガス発
生は認められなかった。また、0.04重量%以上のも
のでは、汚泥が白色に変化した。これらのことから、C
HPは嫌気性細菌の還元酵素系を破壊する作用があり、
阻害を避けるためには原液中のCHP濃度を常に低くし
ておく必要があることが明らかである。
【0045】
【表1】
【0046】実験例2 CHP添加濃度の影響を更に詳しく検討するために、
0.002〜0.02重量%濃度でCHPを添加し、添
加前後の酢酸資化性メタン生成活性の変化を調べた。な
お、同時に表2に示す濃度で硫化ナトリウム(Na2
S)を添加した。結果を表2に示す。
【0047】表2より0.01重量%までのCHP濃度
では添加前のおよそ90%の活性が添加後も確認された
が、0.02重量%添加濃度では添加前と比較して70
%程度まで低下した。また、ガス発生が回復するまでの
タイムラグもCHPの添加量が多いほど長くなる傾向に
あった。CHPの酸化作用を軽減させるために、Na2
Sを50〜300mg/lの範囲で添加したが、硫化物
によるマスキング効果は確認されなかった。
【0048】
【表2】
【0049】実 酢酸、プロピオン酸及び乳酸をそれぞれ1g/l含み、
酵母エキスを0.1g/l含むCODCr3800mg
/lの水溶液に、塩化アンモニウム及びリン酸をCOD
Cr:N:P=1000:10:2となるように加え、
pHを水酸化ナトリウムで6.0に調整した後、過酸化
水素を酸素(O)として100mg/l添加して合成排
水を調製した。
【0050】嫌気性反応槽は、内径10cm、高さ1
m、容量9リットルのポリ塩化ビニル製カラムに、グラ
ニュール汚泥を4リットル充填したものを用いた。な
お、グラニュール汚泥は、ビール酵母排水の嫌気性処理
装置から採取したものである。
【0051】前記合成排水に硫酸ナトリウムをSO4 2-
として500mg/l添加した後、35℃に加温されて
いる前記嫌気性反応槽に1日20リットル通液し、負荷
を8.4kg−CODCr/m3 /dayに設定して、処
理を開始した。処理液の一部を1日30リットル循環し
ながら4週間処理を行なった結果、ガスが活発に発生
し、得られた処理水の全CODCrは480mg/lであ
り、溶解性のCODCrは284mg/lであった。即
ち、溶解性有機物の除去率は約93%であった。
【0052】なお、比較のため、前記合成排水に硫酸ナ
トリウムを添加せずに嫌気性反応槽に上記と同じ条件で
通液したところ、2〜3日はガス発生がわずかに認めら
れたが、その後ガス発生は完全に停止し、処理はできな
かった。
【0053】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、
メン法フェノール製造プロセス排水を、高効率で安定に
嫌気性処理することが可能とされ、設備コスト、ランニ
ングコストの大幅な低廉化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明の1実施方法を説明する系統図
である。
【図2】第2図は実施例1における通水量を示すグラフ
である。
【図3】第3図は同CODCr負荷量を示すグラフであ
る。
【図4】第4図は同ガス発生量を示すグラフである。
【図5】第5図は同CODCr除去率を示すグラフであ
る。
【図6】第6図はメタン生成活性、ガス発生量及びCO
Cr除去率の関係を示すグラフである。
【図7】第7図は同処理水中に残留する有機酸濃度を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 原液貯槽 2 加熱滞留槽 3 希釈水貯槽 7 嫌気性反応槽
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭63−32520(JP,B1) 特公 昭60−21796(JP,B1) 特公 昭56−54198(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/28 - 3/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クメン酸化塔から排出されるクメン法フ
    ェノール製造プロセスの排水を嫌気性処理する方法にお
    いて、被処理排水にイオウ酸化物を添加することを特徴
    とするクメン法フェノール製造プロセス排水の嫌気性処
    理法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該嫌気性処理の前処
    理としてアルカリ加水分解を行って、該排水のクメンヒ
    ドロキシパーオキサイド濃度を低下させることを特徴と
    するクメン法フェノール製造プロセス排水の嫌気性処理
    法。
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