JP3437868B2 - 焼却飛灰に含まれる有害重金属類の無害化安定処理方法及びその装置 - Google Patents

焼却飛灰に含まれる有害重金属類の無害化安定処理方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般都市ごみ、あるい
は産業廃棄物の焼却処分場等で排出される焼却飛灰に含
まれる有害重金属の無害化する処理方法およびその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に都市ゴミ、産業廃棄物を焼却した
とき発生する飛灰には、有害な重金属が含まれており、
そのまゝ埋立て処分することは、この有害重金属が溶出
するおそれがある。従ってこの溶出防止するため、灰を
コンクリートで固形化して埋め立て処分する方法が採ら
れている。この場合、コンクリート自身のPHが高いた
め、有害重金属は水酸化物の不溶性物質となり、安全な
ものとされている。しかし、酸性雨等によりセメントが
溶けて有害重金属等も酸化されて次第に溶出し、これが
飲料水に混入し問題となることがある。このため溶解度
が水酸化物より極めて少ない硫化物とすることが好まし
く、これの薬剤として硫黄分を含み、上記重金属を硫化
物とする高分子系キレート剤が一般に使用されており、
その添加量は飛灰に対し重量比で通常10%前後で充分
である。
【0003】一方、最近焼却炉より排出される排ガス中
に含まれるHCl、SOx除去のため中和剤として消石
灰等を混入させ、HClやSOxと反応させることによ
り排ガス中のHCl、SOxの除去を行つている。この
ため焼却飛灰中に大量の消石灰などが混入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし大量に消石灰等
が混入すると、従来のように焼却飛灰に対して重量比で
10%前後の薬剤と水を焼却飛灰に対して20%程度と
を混練するだけでは、水分が消石灰に優先的に反応し、
肝心の有害重金属と薬剤が充分反応せず、混練物から有
害重金属が溶出する恐れがある。本発明はかゝる点に鑑
み、消石灰を含む焼却飛灰に含まれる有害重金属の溶出
を確実に防止することを目的とする。
【0005】更にまた、キレート剤と飛灰との混練手段
として、通常適宜のミキサーにより混練し、適宜大きさ
の団子状とする手段が採られているが、飛灰は微小粒子
であり、通常の混練では灰粒子個々をキレート剤で包む
ことは困難であり、従って団子状に固化させた固形物中
には未反応の重金属を含む灰が混在するおそれがある。
この場合には外力により破壊または自己崩壊したとき、
その他浸透水により重金属が溶出するおそれがある。本
発明の第2の目的は微小の灰粒子の個々に対し、確実に
活性サルフア剤により覆い飛灰中の重金属の無害化をは
かることにある。
【0006】上記目的を達成するための本発明の焼却飛
灰に含まれる有害重金属類の無害化安定処理方法は、有
害重金属並びに中和剤としての消石灰を含む焼却飛灰に
重量比で0.5〜7%の活性サルフアと該飛灰に対し2
0〜50%の水を加え転動造粒し、活性サルフアと該重
金属とを反応せしめ、有害重金属を硫化物化し、有害重
金属を不溶出化することを要旨とするものである。
【0007】また第2の発明は、上記方法を実施するた
めの装置に係わり、傾斜するパン型造粒皿に対し焼却飛
灰と添加液とをそれぞれ連続して供給し、造粒皿を回転
して造粒する造粒機において、添加液には焼却飛灰に重
量比で0.5〜7%の活性サルフアを含む反応性を有す
る水溶液を用い、飛灰の造粒皿に対する供給量測定手段
と、飛灰に対する添加液の供給量を決定する演算回路及
び供給液量調整弁とを備え、添加液の水分量を供給され
る飛灰に含まれる消石灰による吸収と共に活性サルフア
と重金属とを確実に反応すべく、飛灰の重量比で20〜
50%に規制することを要旨とするものである。また第
3の発明は、上記第2の発明において、造粒機には転動
造粒中の粒子の水分率を測定する測定器を備え、添加液
供給量の補正手段としたことを要旨とするものである。
【0008】
【作用】消石灰を多量に含んだ高カルシユウムの焼却飛
灰中に含まれる有害重金属と活性サルフアとを確実に反
応させるために、消石灰と反応する水分量を考慮して飛
灰に対して重量比で0.5〜7%の活性サルフア剤と焼
却飛灰に対して重量比率で20〜50%の水を加え転動
造粒することにより焼却飛灰粒子は転動造粒の特性であ
る個々の灰粒子に活性サルフアが反応し、灰中に含まれ
る重金属を硫化物化し、その溶出を確実に防止する。
【0009】
【実施例】図1は本発明を実施するために使用する転動
造粒機としてパン型造粒機の概略説明図である。このパ
ン形造粒機1は駆動軸2の一端に前記パン形造粒皿3を
取付け、駆動モータ4により所定速度にて回転する。こ
の駆動軸2は取付台5上に傾斜して取付けられ、取付台
5は一端を基台6に軸支7され、他端には昇降ねじ杆8
を取付け、造粒皿3を任意の角度に調整保持する。
【0010】10は処理飛灰収納用ホツパ、11はスク
リユーコンベア、12は該コンベアの駆動モータ、13
は排出管を示し、ホツパ内の粉体を略々一定速度で造粒
皿3に供給する。
【0011】20は添加液供給量制御装置を示し、造粒
皿3に対向して配備される噴射ノズル21と、該ノズル
とポンプPとを連結する添加液供給管22に設けられる
供給液量調整弁23及び飛灰供給量測定手段24並びに
ノズル21からの噴射水量を調整する演算回路25とを
備える。飛灰供給量測定手段24は、例えばスクリユー
コンベア11の駆動モータ12の回転数から算出するよ
うにしたもので、その値は出力回路26を介して演算回
路25に印加される。なお、図中27造粒中の水分測定
器、28はその測定値に基づく水分変換器であり、測定
された値は演算回路25に印加される。水分測定器27
は、例えば赤外線水分計を使用する。これは赤外線を照
射し、粒子表面からの反射光により水分の有無及びその
量を検出するもので、水分の存在により特定波長の光が
反応することを利用したものである。
【0012】図3は上記パン型造粒機による造粒要領の
説明図である。造粒皿3に供給される灰は造粒皿を回転
することにより上方に移行し噴霧器21から噴出される
噴霧水は、各灰粒子aを核として表面に付着して皮膜b
を形成し、粗粒子p1を構成する。この粗粒子p1は造
粒皿の回転に伴い上方に移行し落下することにより粗粒
子p1相互は接着、即ち転動造粒されて大きな粒子p2
となり、この粒子p2相互は同様にして転動造粒されて
接着して更に大きな粒子p3となる。以下これを繰り返
して粒子p4となり、所定の大きさpnに成長した後、
造粒皿3の周縁から排出される。
【0013】なお、水分測定器27は、転動造粒中の粒
子が予め設定された水分を有するか否かを測定するもの
である。この際、水分の測定として、図1に示す如く造
粒皿3から排出さる所定径の粒子に対向して上記水分測
定器27aを対設してもよいが、好ましくは造粒皿3内
の転動造粒中の粒子表面の水分を測定する。これは例え
ば造粒皿3の径が3mのとき、粉体の供給から粒子とし
て排出するまでに約30分を要する。従って造粒完了後
の粒子の水分測定では、処置が遅れる恐れがあり、造粒
皿3内の造粒中の粒子の表面水分を測定することが好ま
しい。
【0014】図2は造粒皿3の平面図を示す。B,Cは
それぞれ粉体、添加液の供給位置を示す。この造粒皿を
矢符A方向に回転するとき、前記要領で供給される粉体
と水分とは、最初は両者は混合し、順次造粒されるもの
で、図中e部は粉状態部、f部は造粒され若干小粒子と
なつた造粒過程部、g部は略々完成された径の粒子群集
合部で、パン型造粒皿による造粒はこれらの分級作用を
有する特徴があり、従って水分測定は上記造粒過程部f
の水分を測定することが好ましい(図中Hの位置)。
【0015】この際、灰分中の重金属を硫化物にするた
めに、上記噴霧水中に前記活性サルフア剤を混入する。
この活性サルフア剤は水に溶解することにより重金属と
反応し硫化物を生成するものである。重金属の硫化物は
最も水に溶けにくいものであり、またこの活性サルフア
剤は重金属に対する反応性も極めてよい。上記の如く各
灰粒子は活性サルフア剤を含む噴霧液により包まれるこ
とにより灰粒子に含まれる重金属は活性サルフア剤によ
り包まれることにより灰粒子中に含まれる重金属は活性
サルフア剤と迅速に反応して硫化物となる。
【0016】但し、該灰分中には多量の消石灰が含まれ
ているため、有害重金属を確実に硫化物にするために
は、消石灰の吸水量以上に水を加えないと硫化物化しな
い。特に消石灰は優先的に吸水性を有するもので、消石
灰の存在により水分が吸収され、造粒が困難となる場合
がある。例えば添加される消石灰(カルシウム)量は通
常15万乃至30万ppmもしくはそれ以上に達する場
合がある。もしカルシウム量が15万ppmのときは、
約20%の水分が必要であり、30万ppmに到達した
ときは約40%の水分が必要となる。図4は重金属とし
て鉛の溶出量と活性サルフア剤の添加量(%)との関係
の一例(カルシウム量30万ppm)を示す。
【0017】例えば消石灰の添加量が大で活性サルフア
剤の添加量3%としたとき、水分率30%では鉛溶出量
が6ppmであつた場合でも、水分率を40%とすると
同溶出量は0.5ppmに低下する。(なお、法定許容
率は3ppmである)。これは水分率30%では供給水
分は大部分が消石灰に吸収され、重金属と反応する活性
サルフア剤を含む添加液が不足する状態を示す。
【0018】消石灰の供給量は、排気ガス中のHCl等
の濃度により自動的に設定されるもので、その数値は一
定ではなく変化する。従って飛灰中の消石灰量も変化す
る。このため飛灰の吸水率は一定ではない。このため上
記演算回路25において飛灰供給量測定手段24からの
供給量信号に対し例えば給水量を30%と設定しても転
動造粒には水分の過不足を生ずる場合がある。水分測定
器27はこれを補正する補正手段としたもので、演算回
路25には予め転動造粒に好適な水分率を入力し、該回
路はこの測定水分量の過不足を算出し、噴射ノズル21
に対する供給液量調整弁23を作動しノズル21からの
吐出量を調整する。
【0019】なお、供給水分は50%以上とするとき
は、供給される消石灰量にもよるが、通常の消石灰の供
給量では供給液量が過多となりパン型造粒機の特性とし
て造粒が困難である。同様に20%以下でも液量不足と
なり、造粒が困難である。即ち本発明は、飛灰に含まれ
る重金属に対し活性サルフアの反応による硫化物化を確
実に行うと共に、飛灰に含まれる消石灰の吸水率を考慮
して添加水量(%)を規制し、造粒を確実に行うように
したものである。
【0020】
【発明の効果】以上の如く本発明によるときは、飛灰中
に消石灰が混合されている場合、これに応じて水分を増
し転動造粒機により転動して造粒することにより、微小
な灰の粒子個々に対し水分を付着させることが出来、該
水分に活性サルフア剤を含ませることにより、該灰分に
含まれる有害な重金属を硫化物とすることができ、該硫
化物は周知の如く極めて水に溶けにくゝ、従って焼却飛
灰は無害化され、一般廃棄物として処理することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する転動造粒機の全体説明図であ
る。
【図2】造粒皿の平面図を示す。
【図3】造粒要領の説明図である。
【図4】活性サルフア剤の添加量と鉛溶出量の関係グラ
フを示す。
【符号の説明】
1 パン型造粒機 3 造粒皿 20 添加液供給量制御装置 21 噴射ノズル 23 供給液量調整弁 24 飛灰供給量測定手段 25 演算回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−84786(JP,A) 特開 昭63−111990(JP,A) 特開 平2−203981(JP,A) 特開 平7−100455(JP,A) 特開 平7−60222(JP,A) 特開 昭51−144379(JP,A) 特開 平5−237358(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 B01J 2/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有害重金属並びに中和剤としての消石灰
    を含む焼却飛灰に重量比で0.5〜7%の活性サルフア
    と該飛灰に対し20〜50%の水を加え転動造粒し、活
    性サルフアと該重金属とを反応せしめ、有害重金属を硫
    化物化し、有害重金属を不溶出化することを特徴とする
    焼却飛灰に含まれる有害重金属類の無害化安定処理方
    法。
  2. 【請求項2】 傾斜するパン型造粒皿に対し焼却飛灰と
    添加液とをそれぞれ連続して供給し、造粒皿を回転して
    造粒する造粒機において、添加液には焼却飛灰に重量比
    で0.5〜7%の活性サルフアを含む反応性を有する水
    溶液を用い、飛灰の造粒皿に対する供給量測定手段と、
    飛灰に対する添加液の供給量を決定する演算回路及び供
    給液量調整弁とを備え、添加液の水分量を供給される飛
    灰に含まれる消石灰による吸収と共に活性サルフアと重
    金属とを反応すべく、飛灰の重量比で20〜50%に規
    制することを特徴とする焼却飛灰に含まれる有害重金属
    類の無害化安定処理装置。
  3. 【請求項3】 造粒機には転動造粒中の粒子の水分率を
    測定する測定器を備え、添加液供給量の補正手段とした
    ことを特徴とする請求項2記載の焼却飛灰に含まれる有
    害重金属類の無害化安定処理装置。
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JP5394874B2 (ja) * 2009-09-29 2014-01-22 株式会社北川鉄工所 再生造粒物の製造装置

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