JP3437178B2 - 壁面補修用仮止めシ−ル材 - Google Patents

壁面補修用仮止めシ−ル材

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は貯蔵安定性の改善及び注
入圧力に耐えうる付着強度と一方施工後のすぐれた剥離
性の両機能を備えた、建築物などの壁面に生じたひび割
れ、空隙等の注入補修工法に供する壁面補修用仮止めシ
−ル材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より建築物などの壁面に生じたひび
割れ、空隙などの補修工法では、注入部分またはその周
辺部分から注入した樹脂類が漏れることを防ぐために、
ひび割れ、空隙などの上に仮止めシ−ルをした後、樹脂
を注入し、注入樹脂が硬化後、仮止めシ−ルを取り除く
という方法が行われている。このような方法における仮
止めシ−ルの材料としては、(1)エポキシ樹脂、各種
ホットメルト樹脂、ウレタン樹脂等の注入圧力に耐えら
れる硬化性の高い接着剤が使用されている。しかしなが
ら、このような樹脂類は、壁面との接着力が非常に強い
為に、施工終了後、シ−ルとしての樹脂類を撤去するこ
とが困難であり、また、除去した場合に、壁面破損を生
ずることがある。特に仕上げ塗材を施された壁面では仕
上げ塗材を破損し、手直し塗装を要するという問題が生
ずる。 (2)熱可塑性ゴム系シ−ルは、剥離性が高く施工終了
後の、撤去作業を簡素化し且つ壁面を傷つけないが、圧
力の高い注入孔プラグ部分またはその周辺部分から注入
した樹脂類が漏れる不具合が生ずる場合があり、注入孔
プラグの仮止めシ−ルとして兼用が困難である。また、
熱可塑性ゴム系シ−ルは、溶剤タイプが主流であり、硬
化後の肉やせ率が大きく、作業環境にも問題がある。 (3)2成分形常温硬化型ウレタン系シ−ルは、注入孔
プラグのシ−ル材として兼用できる実績があり、無溶剤
タイプで安全に作業できるが、攪拌時の混合不良やひび
割れメ−タ−数の少ない施工に対して小分け作業が必要
となり計量ミスなどの不具合を生じ易い。 (4)また、例えば特許第2753984号公報(特開
平9−189134号)に記載されている、クラックの
表面にシ−ルを施すと共に補修樹脂注入器固定用の座金
を間隔を設けて接着し注入口から樹脂を注入してクラッ
クを補修する方法において、座金を固定する為の接着剤
を容易に剥離できるようにした実施例が開示されてお
り、クラック表面の損傷がなく注入樹脂が硬化した後の
処理が極めて簡略化できる等の効果がみられるが、接着
の貯蔵安定性に問題があることが判明した。 【0003】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する為、速硬化型で工事期間の短縮が図られ、且つ
貯蔵安定性にすぐれると共に、注入圧力に耐えう付着強
度と一方施工後のすぐれた剥離性の両機能を備えた壁面
補修用仮止めシ−ル材を検討し、次のような壁面補修用
仮止めシ−ル材を見出すに至った。 【0004】本願発明に係る壁面補修用仮止めシ−ル材
は、ポリアルキレンエ−テル主鎖骨格の分子末端に加水
分解性シリコン官能基を有するポリマ−(以下変成シリ
コ−ンポリマ−と称する)に有機シラン化合物(以下ア
ルコキシシランと称する)を配合して1成分形湿気硬化
型壁面補修用仮止めシ−ル材を構成したものである。 【0005】本願の発明に係る有機シラン化合物として
は、珪素と有機基の結合体オルガノシランのうちで、一
分子中に少なくとも2種類の反応性の異なる官能基を持
つシランカップリング剤は接着性を有し施行終了後、壁
面を破損する虞れがある。一方、珪素と有機基の結合体
オルガノシランのうちで、次式で表わされるはつ水剤や
シリル化剤として用いられる有機シラン化合物が適当で
ある。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る壁面補修用仮
止めシ−ル材の実施の形態について説明する。 【0007】本発明に係る壁面補修用仮止めシ−ル材
、ポリアルキレンエ−テル主鎖骨格の分子末端に加水
分解性シリコン官能基を有するポリマ−に前記の一般式
で表わされるアルコキシシランを配合してなる1成分形
湿気硬化型仮止めシ−ル材の構成である。 【0008】1)変成シリコ−ンポリマ−にアルコキシ
シランの添加により貯蔵安定性を大きく改善することが
できる。そのすぐれた貯蔵安定性によって、硬化触媒を
多量に添加することが可能で、硬化性の速い仮止めシ−
材を得ることができた。ゆえに速硬化型で工事期間の
短縮が図られ、且つ貯蔵安定性にすぐれた仮止めシ−ル
を得た。 2)無溶剤型なので施工時または施工後、溶剤が浮遊せ
ず安全に作業を行なうことができる仮止めシ−ルを得
た。 3)コンクリ−ト壁面、モルタル壁面、タイル面などに
対し、注入圧力に耐えうる付着強度を有し、施工終了後
は、壁面を破損することがなく容易に除去できる剥離性
を有した仮止めシ−ルを得た。すなわち上記のごとき
貯蔵安定性の改善と共に、注入圧力に耐えうる仮接着を
形成する付着強度と一方施工後のすぐれた剥離性の両機
能を備えた壁面補修用仮止めシ−ル材を得た。 4)注入圧力が最も高い部分の注入孔プラグの固定用仮
止めシ−ルとして使用し得る付着強度を有した仮止めシ
−ルを得る等の手段を提供する。 【0009】 【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。 【0010】(実施例)変成シリコ−ンポリマ−(鐘淵
化学工業株式会社製)100重量部に対して、表1.配
合例(実施配合例)に示すフタル酸エステル(協和醗酵
株式会社製)、コロイド炭酸カルシウム(丸尾カルシウ
ム株式会社製)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム
株式会社製)、有機ワックス(楠本化成株式会社製)を
重量部数添加し、プラネタリ−ミキサ−で配合物の含有
水分量が500ppm以下になる迄脱水加熱真空攪拌し
た後、40℃以下迄脱水冷却真空攪拌を行う。その後、
表1.配合例(実施配合例)に示すビニルトリメトキシ
シラン(信越化学株式会社製)、ヘプタトリメトキシシ
ラン<試薬>、4価錫(日東化成株式会社製)、1級ア
ミン(花王株式会社製)を重量部数添加し、真空冷却攪
拌して壁面補修用1成分形湿気硬化型仮止めシ−ル材を
得た。 【0011】(比較例)変成シリコ−ンポリマ−(鐘淵
化学工業株式会社製)100重量部に対して、表1.配
合例(比較配合例)に示すフタル酸エステル(協和醗酵
株式会社製)、コロイド炭酸カルシウム(白石工業株式
会社製)、重質炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社
製)、有機ワックス(楠本化成株式会社製)を重量部数
添加し、プラネタリ−ミキサ−で配合物の含有水分量が
500ppm以下になる迄脱水加熱真空攪拌した後、4
0℃以下迄脱水冷却真空攪拌を行う。その後、表1.配
合例(比較配合例)に示すビニルトリメトキシシラン
(信越化学株式会社製)、キシレン<試薬>、4価錫
(三共有機合成化学株式会社製)、1級アミン(花王株
式会社製)を重量部数添加し、真空冷却攪拌して壁面補
修用1成分形湿気硬化型仮止めシ−ル材を得た。 【0012】 【表1】 【0013】上記実施例および比較例の試験結果は表2
に示す通りである。 【0014】 【表2】 【0015】試験方法 (1)押出性 JIS−A5758 1992に準拠(但し測定温度は
20℃とする。) (2)タックフリ−時間 JIS−A5758 1992に準拠(但し測定温度は
20℃とする。) (3)貯蔵安定性 仮止めシ−ルを温度50℃・温度75%のオ−ブンに7
日促進貯蔵した後、20℃×1日常温に戻す。その後、
JIS A 5758 1992押し出性に準拠し測定
し、初期押出し性測定値との変化率%を求める。また、
外観に分離、ゲル化などの異常も確認する。 合否判定:○変化率50%以下で、外観に異常がなきこと。 ×変化率50%以上で外観に異常が見られる。 (4)プラグ耐圧力性(樹脂注入圧力は3kg/cm2
とする。) 試験環境室温度20℃・湿度55%雰囲気下で、JIS
A 5758−1992に規定されるモルタル板(寸
法:50×50mm)に仮止めシ−ルを打設した後、注
入孔プラグを圧着(圧着後の仮止めシ−ル厚さ2mm)
し試験体を作製し、仮止めシ−ル養生後、プラグ孔か
らエポキシ樹脂注入剤を圧縮空気圧力3kg/cm2
注入し、仮止めシ−ル材から漏れがないか確認する。 合否判定 ○・・・エポキシ樹脂注入材の漏れがなく、また仮止めシ−ルに 膨れなどの異常が認められないこと。 ×・・・エポキシ樹脂注入材が漏れが発生したり、仮止めシ−ル に膨れなどの異常が認められる。 (5)付着強度 試験環境室温度20℃・湿度55%雰囲気下で、JIS
A 5758−1992に規定されるモルタル板(寸
法:50×50mm)に仮止めシ−ル材を打設しアタッ
チメント(40×40mm)で仮止めシ−ルを2mm
厚さに圧着し、養生後、垂直剥離試験(引張速度5mm
/分)を実施した。 (6)剥離強さ 試験環境室温度20℃・湿度55%雰囲気下で、JIS
A 5430に規定されるフレキシブル板(寸法30
×150mm)に厚さ2mmに仮止めシ−ルを打設し
養生後、180゜剥離試験(剥離速度300mm/分)
を行った。 ()剥離性:試験環境室温度20℃・湿度55%雰囲
気下で、各種被着体に仮止めシ−ルを打設し、金属ヘ
ラにて2mm厚さに馴らし、養生後24時間及び3日後
の剥離性を確認した。 合否判定 ○・・・被着体に仮止めシ−ルが残存することなく容易
に除去できる。 ×・・・被着体に仮止めシ−ルの残存が認められ除去が
困難である。 【0016】 【発明の効果】本発明によれば、下記のごときすぐれた
効果を奏する。 (1)注入工法用仮止めシ−ル材の貯蔵安定性を大きく
改善できる為、硬化触媒を多量添加が可能で早期の硬化
性により工事期間の短縮が図られる。 (2)無溶剤型の為、施工時または施工後の溶剤の浮遊
なく環境汚染がない。 (3)注入圧力に耐えうる付着強度を有し、一方施工後
の壁面を破損することなく容易に除去できる剥離性を有
する。このように仮接着付着性及び剥離性の両機能を発
揮しえる仮止めシ−ル材として効果を奏する。また注入
圧力が最も高い部分の注入孔プラグの固定用仮止めシ−
ル材として使用できる付着強度を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−323252(JP,A) 特開 平9−189134(JP,A) 特開 平3−294355(JP,A) 特開 平4−89861(JP,A) 特開 平1−131271(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/10 E04G 23/02 - 23/03

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリアルキレンエ−テル主鎖骨格の分子
    末端に加水分解性シリコン官能基を有するポリマ−に、
    下記の一般式で表わされるアルコキシシランを配合して
    なる壁面補修用仮止めシ−ル材。
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