JP3437008B2 - 便潜血判定装置 - Google Patents

便潜血判定装置

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JP3437008B2
JP3437008B2 JP12660495A JP12660495A JP3437008B2 JP 3437008 B2 JP3437008 B2 JP 3437008B2 JP 12660495 A JP12660495 A JP 12660495A JP 12660495 A JP12660495 A JP 12660495A JP 3437008 B2 JP3437008 B2 JP 3437008B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、便潜血の有無を判定す
るための簡易な便潜血判定装置に関し、特に、抗ヒトヘ
モグロビン抗体を用いた免疫法による便潜血判定装置に
関する。 【0002】 【従来の技術】便潜血は消化器系疾患により、消化管内
の便中に血液が混入することにより発現する。特に大腸
癌などの疾患との相関が確認されており、我国で益々増
えつつある大腸癌の早期診断の指標として、非常に重要
でかつ汎用されている検査である。 【0003】現在用いられている便潜血検査方法には、
大別して2種の方法がある。第1の方法は従来から行わ
れている化学的潜血反応(以下、「化学法」と記す)と
呼ばれるもので、ヘモグロビン(以下、Hbと記す)の
有するパーオキシダーゼ様活性を検出する非特異反応で
ある。この方法は、色源体(グアヤク脂あるいはオルト
トリジンなど)が、パーオキシダーゼ様活性保持物質及
び過酸化水素水存在下で酸化されて発色する機構に基づ
く。従って、本法では、パーオキシダーゼ様活性保持物
質である薬物あるいはHbを含む食物などによって陽性
を示すため、投薬及び食餌制限を必要とした。 【0004】本化学法に基づく検査装置として、簡便な
測定システムが開示されており、その幾つかは汎用され
ている。例えば特公平2−45826号公報、特開昭5
9−168370号公報、特開昭62−266463号
公報、及び実開昭62−153573号公報では、グア
ヤク脂等を含浸させた試験紙を含むカードに少量の便試
料を塗布した後、過酸化水素水を滴下して呈色具合を見
るシステムが開示されている。これらのシステムでは、
カード式の本体に付属したグアヤク脂上の一部に便試料
を適量塗布し、さらに塗布部の裏側の部位に過酸化水素
水を滴下することによって、滴下部のグアヤク脂が発色
するか否かで判定する。便試料塗布部を開放せずに行う
ことができ、衛生的に扱えることや、簡便な構成である
ことが利点であるが、上記のような測定原理に由来する
欠点は解決されていない。 【0005】第2の方法は、上記の化学法の欠点を解決
するために近年開発されたものであり、免疫反応に基づ
く方法(以下、「免疫法」と記す)である。本法は抗ヒ
トHb抗体を用いた抗原−抗体反応に基づく方法である
ため特異性が高く、化学法のような食事制限等を必要と
しない。判定は、ラテックス凝集法、酵素標識免疫法等
の一般的な免疫血清学的検査法により行われるが、現在
もっとも汎用されている方法はラテックス凝集法であ
る。 【0006】ラテックス凝集法では、判定板上に便試料
溶解液およびラテックス試薬を滴下して混合し、凝集像
の有無により判定が行われる。化学法に比較して原理的
に特異性は高いが、凝集法の判定には熟練を要する。ま
た該免疫法に基づく検査システムは、判定板、ラテック
ス試薬、攪拌棒、採便器具、溶解液などを含むキットと
して提供されているが、構成が複雑であり、上記化学法
のような簡便なシステムは開発されていない。 【0007】免疫法では、化学法にはない免疫法特有の
工程、つまり便試料を緩衝液等に溶解して便試料溶液を
得る工程及び便試料溶液中の非溶解固形分を濾過により
除去する工程を実施する必要がある。これらの操作を簡
便化するために、種々の試みがなされている。例えば、
便の定量採取に関する工夫が実開昭61−102468
号公報、実開平1−158964号公報等に、固形分を
除去した便試料溶液を得るための考案が実開平2−21
557号公報、実開平2−140468号公報、実公平
2−13977号公報等に開示されている。 【0008】このように、便試料溶液を得るまでの工程
に関しては様々な考案が開示されている。しかしなが
ら、便試料溶液と判定試薬とを混合して便潜血の検出ま
での一連の操作を簡便に行うことを可能とする検査装置
は現在までのところ実現されていない。 【0009】すなわち、免疫法による便潜血測定システ
ムの簡便化は、上記工程と抗原抗体反応の一体化により
果たされると思われるが、当該技術は現在までのところ
実現されていない。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】近年、セルフケアとい
う概念の拡がりと共に、免疫反応に基づく簡易検査シス
テムが一般検査薬として薬局等で入手できるようになっ
た。例えば妊娠診断薬では、免疫クロマトグラフィー法
を利用した簡便な検査システムが確立している。該免疫
クロマトグラフィー法を便潜血検査に利用する際の最も
大きな問題は、上記の便試料の溶解及び濾過工程をシス
テム中に組み込みにくい点である。 【0011】本発明の目的は、免疫クロマトグラフィー
法を利用した便潜血判定装置であり、便の半定量的な採
取、不溶固形分を除去した便試料溶液の調製、並びに便
潜血の有無の判定を、非熟練者であっても容易に行うこ
とができる便潜血判定装置を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の便潜血判定装置
は、便を半定量的に採取し得る先端部を有する略棒状の
採便器具と、採便器具が一端の開口から挿入されて内蔵
されており、内部でその長さ方向に該採便器具が移動さ
れ得るように構成された筒状の容器本体とを備える。上
記容器本体の採便器具が挿入される開口とは反対側の開
口は、採便器具の先端部が出入り可能となるように形成
されている。また、容器本体内部には、緩衝液貯留部
と、フィルタと、展開層とが設けられている。 【0013】上記緩衝液貯留部は、便を溶解させて便試
料溶液を作製するための緩衝液が貯留されている部分で
ある。また、上記フィルタは、便試料溶液を濾過するた
めに設けられている。上記展開層は、フィルタで濾過さ
れた便試料溶液が供給されるように配置されており、該
展開層には、抗ヒトヘモグロビン抗体(第1抗体)感作
担体と、前記第1抗体とは認識するエピトープが異なる
抗ヒトヘモグロビン抗体(第2抗体)とが固定化されて
いる。また、上記容器本体には、便潜血の有無を外部か
ら判定することを可能とするために、判定窓が形成され
ている。 【0014】さらに、本発明の便潜血判定装置では、採
便器具を容器本体内でその長さ方向に移動させた際に、
便試料溶液が容器本体外部へ漏洩することを防止するた
めに、容器本体の他端開口近傍に液密シールリングが取
り付けられている。また、緩衝液貯留部からフィルタへ
の便試料溶液の供給を可能とするための流路が、採便器
具及び/または容器本体に設けられた流路形成手段によ
り形成されている。 【0015】また、本発明の便潜血判定装置では、上記
容器本体の他端開口及び採便器具の先端部を覆うよう
に、容器本体に蓋体が着脱自在に取り付けられている。 【0016】 【作用】本発明の便潜血判定装置は、以下のようにして
用いられる。すなわち、採便器具が内蔵された容器本体
から蓋体を取り外し、採便器具の先端部を便試料中に突
き刺し、引き抜くことにより、上記先端部に便試料を半
定量的に採取する。次に、容器本体内において、採便器
具を引き戻すように採便器具を移動させ、採便器具の先
端部を、容器本体の上記他端開口から容器本体内の緩衝
液貯留部に移動させ、容器本体全体を振とうしたり、あ
るいは適宜の振動を与えることにより、便試料を緩衝液
に溶解させる。上記のようにして作製された便試料溶液
を、上記流路形成手段を用いてフィルタに導く。フィル
タにおいては便試料溶液が濾過され、濾過された便試料
溶液が展開層に供給され、展開層において免疫クロマト
グラフィーにより便潜血の有無が判定される。この判定
は、容器本体に設けられた判定窓から観察することによ
り行い得る。 【0017】以上のように、本発明の便潜血判定装置で
は、上記採便器具、容器本体及び蓋体からなる便潜血判
定装置のみを用い、便試料の採取、便試料溶解液中の未
消化固形分の除去、便潜血の判定までの全ての操作を行
うことが可能である。すなわち、本発明は、免疫クロマ
トグラフィー法を利用した簡易な便潜血判定装置であ
り、かつ便試料溶液の作製から免疫クロマトグラフィー
法を利用した判定方法までの全ての工程を本発明の装置
を用いて行うことを可能としたことに特徴を有する。 【0018】 【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施例に
係る便潜血判定装置を説明することにより、本発明を明
らかにする。 【0019】図1は、本発明の一実施例に係る便潜血判
定装置を示す縦断面図である。便潜血判定装置1は、採
便器具2、容器本体3及び蓋体5を備える。採便器具2
は、全体が略棒状の形状を有し、先端部2aの外表面に
凹凸が付与されている。この先端部2aの外表面の凹凸
は、便試料を半定量的に採取するために設けられてい
る。もっとも、この便試料を半定量的に採取するための
先端部の形状は、図1に示した凹凸に限らず、図5
(a)〜(e)に示すように、先端部2aに溝21や切
欠22などの適宜の凹部を形成したものであってもよ
い。 【0020】また、便試料を採取するための先端部2a
と、流路形成手段を構成するために、上記採便器具2
は、先端部2aと採便器具本体2bとの間に、両者の径
よりも小さな径を有する連結部2cを有する。採便器具
本体2bの上端には、相対的に径の大きな取っ手2cが
一体的に構成されている。取っ手2dは、さらに、上端
の大径部2eと、大径部2eの下端に一体的に構成され
た小径部2fとを有する。小径部2fの径は、容器本体
3の内径とほぼ同等とされており、大径部2eの径は、
容器本体3の外径よりも大きくされている。従って、採
便器具2は、図1に示した状態においては、大径部2e
の下端が容器本体3の上端に当接されているため、図示
の状態から下方にはそれ以上移動し得ないように構成さ
れている。 【0021】採便器具2は、便試料を半定量的に採取
し、かつ便潜血の判定に悪影響を与えない限り、適宜の
合成樹脂などの剛性材料により構成することができる。
容器本体3は、下端に開口3aを有し、上端に開口3b
を有する。下端の開口3aの内径は、採便器具2の先端
部2aの最大径部分とほぼ等しい径を有するように構成
されている。すなわち、後述の使用方法から明らかなよ
うに、採取した便試料を緩衝液中に移動させるにあたっ
ては、先端部2aが開口3aから容器本体3内に移動さ
れる。この場合に、余剰の便試料を除去し、半定量的に
便試料を緩衝液に溶解させるために、上記開口3aの径
は、先端部2aの最大径部分とほぼ同等の大きさを有す
るか、あるいは先端部2aの最大径部分よりも若干大き
な径を有するように構成されている。 【0022】また、上記開口3a近傍においては、容器
本体3に液密シールリングとしてのOリング5a,5b
が取り付けられている。二重に取り付けられたOリング
5a,5bは、容器本体3内の緩衝液の容器本体外への
漏洩を防止するために取り付けられている。 【0023】容器本体3の上端の開口3bの径は、採便
器具2の小径部2fの外径とほぼ等しくされている。ま
た、上記小径部2fの外周面には、雄ねじが形成されて
おり、容器本体3の開口3b近傍の内周面に形成された
雌ねじと噛み合うように構成されている。すなわち、採
便器具2は、容器本体3内に上記雌ねじ及び雄ねじを利
用することによりねじ込み得るように構成されている。 【0024】もっとも、小径部2fは、容器本体3内に
圧入されていてもよく、その場合においても、容器本体
3内を液密シールした状態で、小径部2fを図1に示し
た状態から上方に移動し得るように構成されてさえおれ
ばよい。 【0025】また、上記容器本体3の下方部分には、開
口3aに向かって径が小さくなるようにテーパーが付け
られている。容器本体3は、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、塩化ビニルなどのフィルム状樹脂や、スチレン−
ブタジエンゴムなどの合成ゴムの他、便潜血の判定に支
障をきたすものでない限り、適宜の材料により構成する
ことができる。 【0026】容器本体3内には、下方に緩衝液貯留部3
cが設けられている。緩衝液貯留部3c内には、便試料
を溶解するための緩衝液6が貯留されている。緩衝液貯
留部3cの容積は、便試料及び緩衝液6を混合するのに
十分な大きさを有する限り、特に限定されるものではな
い。 【0027】緩衝液6としては、食塩水や種々の緩衝液
を用いることができるが、便潜血の判定に影響を及ぼさ
ない限り、任意の緩衝液を用いることができる。また、
緩衝液6の量については、採取した便試料を溶解し、便
潜血の判定に適切な濃度の便試料溶液を調製し得るのに
必要十分な量であればよく、通常、1〜10ml程度の
緩衝液6が用いられる。 【0028】緩衝液貯留部3cの上方には、仕切り壁3
dが形成されている。仕切り壁3dは、容器本体3と一
体に構成されており、中央に開口を有する。この開口の
径は、採便器具2の採便器具本体2bの外径とほぼ同等
とされている。また、仕切り壁3dの上下に、Oリング
7a,7bが取り付けられている。Oリング7a,7b
は、緩衝液6や便試料溶液が容器本体3内において、誤
って仕切り壁3dの上方に漏洩することを防止するため
に設けられている。すなわち、仕切り壁3dの上記開口
を液密シールするために設けられている。 【0029】仕切り壁3dの上方には、フィルタ8及び
展開層9がその順序で取り付けられている。このフィル
タ8は仕切り壁3d上に固定されており、展開層9は、
フィルタ8の上面に固定されている。また、フィルタ8
及び展開層9は筒状の形状を有し、内部に前述した採便
器具2の採便器具本体2bが挿通されている。 【0030】フィルタ8は、便試料溶液中の不溶固形分
を除去するために設けられている。なお、フィルタ8を
設ける位置は、容器本体3内において作製された便試料
溶液がフィルタ8を通過し、展開層9に供給され得る限
り、特に限定されるものではない。 【0031】上記フィルタ8は、濾紙やスポンジなどの
固形分を除去するための公知の多孔性材料により構成す
ることができる。なお、未消化の固形分を除去すること
ができ、かつ便潜血の判定において対象となる物質を吸
着するものでない限り、適宜の濾過用材料を用いること
ができる。 【0032】展開層9は、便試料溶液を展開し、免疫ク
ロマトグラフィーを実施するために設けられている。展
開層9には、被験物質、すなわちヒトHbに対する抗体
(以下、第1抗体)を感作した担体、すなわち第1抗体
感作担体10が固定化されている。また、第1抗体感作
担体10が固定化されている位置よりも上方に、第1抗
体と異なるエピトープを認識するヒトHb抗体11(以
下、第2抗体)が固定化されており、第2抗体11が固
定化されている部分において、容器本体3に判定窓3f
が形成されている。なお、判定窓3fは、外部からの観
察を容易とするために設けられているものであり、容器
本体3の壁面に開口を形成し、かつ透明な樹脂材料など
により開口を閉成することにより構成されている。 【0033】展開層9では、ヒトHbを含む便試料溶液
が展開されると、ヒトHbが第1抗体感作担体10の第
1抗体と免疫反応を引き起こす。その結果、ヒトHb−
第1抗体感作担体複合体が、展開層9上を移動し、第2
抗体11が固定化されている部分に到達する。第2抗体
11が固定化されている部分に上記免疫複合体が到達す
ると、ヒトHbと、第2抗体11とが抗原抗体反応を起
こし、ヒトHb−第1抗体感作担体複合体が、第2抗体
11が固定化されている部位にトラップされる。このと
き、上記担体が展開層9に対して明確なコントラストを
示す場合には、担体の存在、すなわち担体と担体に吸着
されているヒトHbの存在を目視で確認することができ
る。 【0034】上記展開層9を構成する材料としては、免
疫クロマトグラフィーにおいて展開層を構成する適宜の
材料、例えばセルロース系材料、合成高分子系材料など
の公知のメンブランフィルタとして多用されている材料
を用いることができる。 【0035】また、上記展開層9は、担体の色調と明確
なコントラストを有することが必要である。このような
担体として最も好ましいものはラテックス粒子である。
しかしながら、ラテックス粒子は通常白色であるため、
白色系の展開層に用いる場合には、ラテックス粒子を着
色剤と接触させて着色する方法などにより得られた着色
ラテックス粒子を用いることが望ましい。 【0036】本発明に用いられる上記第1抗体は、ウサ
ギ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、マウスなどにヒトHbを免疫
して得られた抗血清を、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどにより精製することにより得ることができる。
また、免疫したマウス脾臓細胞を用いた公知の細胞融合
法により、モノクローナル抗体を製造することも可能で
ある。何れの場合においても、用いる第1抗体は、十分
に精製されたものであることが好ましい。 【0037】第1抗体の担体への感作方法は、公知の感
作方法、例えば分離吸着法や化学結合法などを用いて行
うことができる。例えば、ラテックス粒子に抗ヒトHb
抗体の緩衝液溶液を添加し、37℃で30〜120分間
程度攪拌することにより、第1抗体をラテックス粒子表
面に物理吸着させることができる。また、カルボキシル
基を有するラテックス粒子を用いれば、共有結合により
第1抗体をラテックス粒子に結合させることができる。 【0038】上記のようにして得られた第1抗体感作担
体の展開層9上への固定化は、例えは、上記第1抗体感
作担体の0.01〜1重量%分散液0.05〜1mlを
所定の位置に滴下し、室温で12時間以上乾燥させるこ
とにより行うことができる。 【0039】また、第2抗体11としては、上記第1抗
体とは認識するエピトープが異なる抗ヒトHb抗体が用
いられる。展開層9上への第2抗体の固定化方法として
は、1〜5mg/mlの第2抗体0.1〜10μlを所
定の位置に滴下し、室温で12時間以上乾燥させる方法
などを採用することができる。 【0040】本実施例の便潜血判定装置1では、緩衝液
貯留部3cで作製された便試料溶液をフィルタ8に供給
するために、流路形成手段として、連結部2cが採便器
具2に設けられている。すなわち、後述の使用方法から
明らかなように、便試料溶液をフィルタ8に導くに際し
ては、連結部2cを、仕切り壁3dが設けられている位
置まで移動させる。その結果、仕切り壁3dの開口より
も、連結部2cの径が細いため、便試料溶液が仕切り壁
3dの開口を通りフィルタ8に移動し得ることになる。
このように、連結部2cは、便試料溶液をフィルタ8に
供給するための流路形成手段を構成しているが、流路形
成手段は、連結部2cに限らず、常時は緩衝液貯留部3
c内をフィルタ8と分離することができ、必要に応じて
緩衝液貯留部3cからフィルタ8に便試料溶液を供給し
得る適宜の構造により構成することができ、このような
流路形成手段は、採便器具2側に設ける必要は必ずしも
なく、容器本体3側に設けられていてもよい。 【0041】蓋体4は、上記容器本体3の下端の開口3
a及び図1の状態では採便器具2の先端部2aを覆うた
めに設けられている。蓋体4は、便潜血の判定作業を衛
生的に行うために設けられているものであり、従って、
蓋体4を構成する材料は、特に限定されるものではな
い。もっとも、容器本体3と同じ材料で蓋体4を構成す
ることが、製造が容易であるため好ましい。また、図1
では明確ではないが、蓋体4の上端開口近傍の内周面に
は雌ねじが形成されており、他方、容器本体3の蓋体4
内周面と接する部分には上記雌ねじに噛み合うように雄
ねじが形成されている。従って、蓋体4は、容器本体3
に対して着脱自在に固定され得る。もっとも、蓋体4を
容器本体3に着脱自在に固定する構造は、上記のような
ねじを利用したものに限定されるものではなく、容器本
体3を蓋体4内に圧入するようにして両者を固定する構
造であってもよい。 【0042】次に、上記便潜血判定装置1の使用方法を
図2〜図4を参照して説明する。まず、図1に示した便
潜血判定装置1の蓋体4を容器本体3から取り外す。次
に、図2に示すように、容器本体3を手でつかみ、採便
器具2の先端部2aを糞便試料12に突き刺し、引き抜
く。このようにして、先端部2aに便試料を採取する。
次に、容器本体3内において、取っ手2dを持って採便
器具2を上方に移動させ、先端部2aを緩衝液貯留部3
c内に移動させる。このとき、先端部2aの周囲に付着
していた余剰量の便試料が、開口3aを通過する際に除
去され、先端部2aの凹部に応じた量の便試料が緩衝液
貯留部3c内に導かれる(図3参照)。次に、蓋体4
を、採便器具本体2に再度取り付ける。そして、全体を
転倒混和したり、振とうしたりすることにより、便試料
を緩衝液6に溶解し、便試料溶液を作製する。次に、図
4に示すように、採便器具2をさらに上方に引き上げ、
採便器具2の連結部2cを仕切り壁3dが設けられてい
る位置まで移動させる。その結果、緩衝液貯留部3cと
フィルタ8との間に流路Aが構成される。従って、図4
に示した状態から便潜血判定装置1全体を傾けることに
より、便試料溶液がフィルタ8に導かれる。 【0043】フィルタ8で便試料溶液中の未消化の固形
分が濾過され、濾過された便試料溶液が展開層9に供給
される。展開層9において便試料溶液が展開し、前述し
たように、便試料溶液は第1抗体感作担体10を伴って
展開層9の末端、すなわちフィルタ8が設けられている
側と反対側の端部に向かって移動する。このとき、便試
料溶液中にヒトHbが含まれている場合には、上述した
免疫反応により、ヒトHb−第1抗体感作担体複合体が
形成され、該複合体が第2抗体11の固定化部位まで移
動し、第2抗体固定化部位において、第2抗体11にト
ラップされる。従って、判定窓3fから上記担体の色調
を観察することができ、陽性と判断し得る。他方、ヒト
Hbが便試料溶液に含まれていなかった場合には、上記
免疫複合体が形成されず、第1抗体感作担体のみが第2
抗体11側に移動し、第2抗体11にトラップされな
い。従って、第1抗体感作担体が展開層9の末端側に全
て移動し、担体の色調を判定窓3fから観察することが
できない。従って、陰性と判断され得る。 【0044】なお、判定窓3fは、上記判定を明確に行
い得る限り、適宜の位置に形成されておりさえすればよ
く、その形状や大きさは特に限定されない。上記のよう
に、便潜血判定装置1では、比較的簡単な構成を有して
いるにも係わらず、便試料の採取から免疫クロマトグラ
フィー法による便潜血の有無の判定までを上述した比較
的簡単な操作により確実に行うことができる。 【0045】次に、便潜血判定装置1を用いた具体的な
実験例につき説明する。 (1)第1抗体感作担体の調製 第1抗体として、抗ヒトHbモノクローナル抗体(マウ
スMU−110:日本バイオテスト研究所製)のリン酸
緩衝液溶液(pH7.2:抗体濃度は220μg/m
l)10mlを調製した。さらに、前述したラテックス
龍家を着色剤と接触させる等の方法で得られたポリスチ
レン系ラテックス(平均粒径0.12μm:固形分5重
量%)10mlに添加し、37℃にて60分間攪拌し
た。得られた分散液を4℃で18000rpmで50分
間遠心分離した。上澄みを除去した後、1重量%BSA
(Sigma社製)のリン酸緩衝液(pH7.2)を添
加して、ラテックス濃度が1重量%となるように調整し
た。 【0046】(2)第2抗体感作担体及び第2抗体固定
化展開層の作製 第2抗体である抗ヒトHbモノクローナル抗体(マウス
MU−107:日本バイオテスト研究所製)の1mg/
mlリン酸緩衝液(pH7.2)5μlを展開層(ニト
ロセルロースメンブラン:バイオラット社製)1×5c
mに滴下し、室温にて12時間乾燥させた。さらに乾燥
させた後、1重量%BSAのリン酸緩衝液(pH7.
2)に37℃で30分間浸し、再び室温で12時間乾燥
させた。 【0047】また、上記(1)にて得られた第1抗体感
作担体0.5μlを第2抗体と同様の方法で展開層に固
定化した。 (3)便潜血判定装置の作製 図1に示した便潜血判定装置1を作製した。採便器具と
しては、図1のような形状をしたポリエチレン製のもの
を用い、容器本体には、図1のような形状をしたポリエ
チレン製(内容積10ml)のものを用い、中にリン酸
緩衝液3mlを注入した。また、濾過用のフィルタ8と
しては、平均細孔径2μmの液体クロマトグラフィー用
フィルタ(積水化学工業社製)を用いた。 【0048】試験例1 本例では、ヒト標準液を用いて感度試験を行った。ヒト
Hb(Sigma社製)をリン酸緩衝液(pH7.2)
に溶解し、該溶液を0〜1000μg/mlの濃度にな
るように調製して、上記実施例にて作製した装置の容器
本体内に添加した。 【0049】容器本体を軽く振とうさせ、次に、採便器
具の取っ手を最後まで引っ張り、上記溶液を展開層に展
開した。5分間の静置後、容器本体の判定窓より第2抗
体固定化部位を観察し、着色ラテックスの青色が観察さ
れるかどうかにより、陽性か陰性の判断を行った。その
結果を、表1に示す。表1において、+は陽性、−は陰
性を示す。 【0050】 【表1】 【0051】表1の結果から、本発明の判定装置による
測定感度は0.25μg/mlであることがわかった。試験例2 本例では、ヒト便試料中に一定量のヒトHb標品を添加
し、該試料を試験例1と同じ判定装置に適用した。 【0052】試験例1と同様に、ヒトHb標品を容器本
体内の緩衝液に添加した。さらに健常人の便から採便器
具により一定量の便試料を採取し、容器本体内の緩衝液
に溶解した。上記試験例1と同様に操作し、判定を行っ
た結果を表1に示す。表1から明らかなように、試験例
1とほぼ同様の結果が得られた。従って、本発明の判定
装置を便試料中の潜血の検査に実際に応用し得ることが
わかる。 【0053】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、採便器
具がセットされた容器本体を用い、採便器具の先端部を
便試料に突き刺し、しかる後便試料を緩衝液貯留部内に
導き、全体を振とうしたり、振動を与えることにより、
便試料溶液を容易に調製することができる。さらに、引
き続いて採便器具をその長さ方向に操作するだけで、便
試料溶液をフィルタを導き、フィルタにて不溶固形分を
除去した後、展開層にて免疫クロマトグラフィー法に従
って便潜血の有無を判定することができる。 【0054】すなわち、本発明によれば、便試料の採取
から便試料溶液の作製、並びに免疫クロマトグラフィー
法による便潜血の有無の判定までの全ての作業を本発明
の簡便な便潜血判定装置を用いて一連の工程として行う
ことができる。よって、未熟練者であっても、簡単にか
つ衛生的に便潜血の有無を確実に判定することができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の便潜血判定装置の縦断面
図。 【図2】本実施例の便潜血判定装置を用いて便試料を採
取する工程を説明するための略図的斜視図。 【図3】便試料溶液を作製する工程を説明するための断
面図。 【図4】便試料溶液をフィルタに導く工程を説明するた
めの断面図。 【図5】(a)〜(e)は、先端部の形状の変形例を示
す各部分切欠側面図。 【符号の説明】 1…便潜血判定装置 2…採便器具 2a…先端部 2c…流路形成手段を構成する連結部 3…容器本体 3a…開口 3b…開口 3c…緩衝液貯留部 3f…判定窓 4…蓋体 5a,5b…液密シールリングとしてのOリング 6…緩衝液 8…フィルタ 9…展開層 10…第1抗体感作担体 11…第2抗体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−201701(JP,A) 特開 平6−324037(JP,A) 実開 平5−52757(JP,U) 実開 平2−140468(JP,U) 実開 平6−78862(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 便潜血を判定するための装置であって、 便を半定量的に採取し得る先端部を有する略棒状の採便
    器具と、 前記採便器具が一端の開口から挿入されて内蔵されてお
    り、かつ内部でその長さ方向に該採便器具が移動され得
    るように構成された筒状の容器本体とを備え、 前記容器本体の他端開口は、前記採便器具の先端部が出
    入り可能となるように形成されており、かつ前記容器本
    体内部に、便を溶解させて便試料溶液を作製するための
    緩衝液が貯留されている緩衝液貯留部と、便試料溶液を
    濾過するためのフィルタと、前記フィルタで濾過された
    便試料溶液が供給されるように配置されており、かつ抗
    ヒトヘモグロビン抗体感作担体と、前記抗ヒトヘモグロ
    ビン抗体と認識エピトープの異なる抗ヒトヘモグロビン
    抗体とが固定化された展開層とが設けられており、かつ
    前記容器本体には、便潜血の判定を外部から行うことを
    可能とするための判定窓が形成されており、 前記採便器具を容器本体内でその長さ方向に移動させた
    際に、便試料溶液が容器本体外部へ漏洩することを防止
    するために、前記容器本体の他端開口近傍に取り付けら
    れた液密シールリングと、 前記緩衝液貯留部から前記フィルタへ便試料溶液を供給
    するための流路を形成するために前記採便器具及び/ま
    たは容器本体に設けられた流路形成手段と、 前記容器本体の他端開口及び採便器具の先端部を覆うよ
    うに、容器本体に着脱自在に取り付けられた蓋体とをさ
    らに備えることを特徴とする便潜血判定装置。
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