JP3435239B2 - 共振形インバータの制御方法 - Google Patents

共振形インバータの制御方法

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JP3435239B2 JP00631995A JP631995A JP3435239B2 JP 3435239 B2 JP3435239 B2 JP 3435239B2 JP 00631995 A JP00631995 A JP 00631995A JP 631995 A JP631995 A JP 631995A JP 3435239 B2 JP3435239 B2 JP 3435239B2
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英樹 落合
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】インダクションモータ駆動用多相
インバータ装置で、特に直流ステージにLC共振回路を
有し、その共振現象により直流電圧が零となった時にイ
ンバータの転流を行う共振形インバータの制御方法に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】図2に本発明に類する共振形インバータ
の一例の回路図を示す。1は直流電源であり、2は共振
リアクトル、3は共振コンデンサ、4〜9はスイッチン
グ素子であって、具体的には逆並列にダイオードが接続
されたトランジスタやサイリスタが使用される。10〜12
は負荷電流検出用の変流器、13は負荷としてのインダク
ションモータである。スイッチング素子のうち、4,6
及び8は電源のP側に、5、7及び9は電源のN側にさ
れて、4と5、6と7、及び8と9がそれぞれ直列に接
続されている。この回路の動作を次に説明する。 【0003】まず、通常のインバータ運転中に、少なく
ともいずれか1組のP側とN側のスイッチ素子の双方、
例えば4と5とをオンさせて直流ステージを短絡する。
すると、直流電源1→共振リアクトル2→スイッチング
素子4→スイッチング素子5→直流電源1の経路がで
き、共振リアクトル2の電流iL はほぼ直線的に上昇す
る。電流値が所定の値iLOに達したときに短絡を解く
と、共振リアクトル2と共振コンデンサ3の共振回路が
形成され、共振コンデンサ3の電圧VC は正弦波状の振
動波形となる。 【0004】図3の(イ)にこの波形を示す。この図の
時刻t0において短絡を解いたものとする。時刻t1におい
て共振コンデンサ3の電圧VC は零となり、この共振コ
ンデンサ電圧VC が零になった時に、再び少なくともい
ずれか1組のP側とN側のスイッチ素子の双方を時刻t2
までオンして、短絡状態として共振リアクトル2の電流
を立ち上げる。共振コンデンサ3の電圧VC が零である
期間t1〜t2の間にスイッチング素子4〜9のうちの必要
な相の転流を行えば、零電圧スイッチングとなり、スイ
ッチング損失を大幅に低減することができる。 【0005】図2に示した制御回路の一例では、電流指
令値iU * 、iV * 、iW * と、変流器10〜12により検
出した負荷電流iU 、iV 、iW とのそれぞれの偏差を
算出する減算器14〜16を備えており、算出された制御偏
差をそれぞれヒステリシスコンパレータ17〜19に入力し
て、その出力によりそれぞれの相のスイッチング素子を
駆動する。これらのヒステリシスコンパレータ17〜19は
発振器20の出力クロックに同期して動作するものとす
る。これらの作用により、負荷電流iU 、iV 、iW
ほぼ電流指令値iU * 、iV * 、iW * を中心としたヒ
ステリシス幅内に制御される。図4にこの電流波形例を
示す。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】図3に共振形インバー
タの動作波形を示す。直流ステージの短絡を解く時の最
適な共振リアクトル2の電流値iLO(図3の時刻t2
t3,t5における電流値)は、次式により表すことができ
る。 【数1】 iLO=iI +ID (1) ここで、iI はインバータ部への直流入力電流であり、
D は共振回路の損失を補償するためのバイアス値であ
る。 【0007】sU 、sV 、sW を各相のスイッチング関
数とし、この各相のスイッチング関数は、P側スイッチ
ング素子がオンし且つN側スイッチング素子がオフして
いる時に1、N側スイッチング素子がオンし且つP側ス
イッチング素子がオフしている時に0の値をとるものと
すると、直流入力電流iI は回生運転状態を含めて、 【数2】 iI =sU U +sV V +sW W (2) により表すことができる。 【0008】電流値iLOが小さすぎると、共振回路の損
失のために共振状態が維持できなくなり、図3(イ)の
時刻t1〜t2間で示したような共振コンデンサ3の電圧V
C が零ボルトである期間が無くなり、零ボルトスイッチ
ングができなくなる。電流値iLOが大きすぎると、零ボ
ルト期間は確保できるが、電圧VC のピーク値が大きく
なり、スイッチング素子4〜9に高耐圧のものが必要と
なり不経済なものとなる。従って、電流値iLOとしては
必要最小限の適切な値を選択する必要がある。 【0009】式(1)のバイアス値ID は共振回路の損
失を正確に把握して最適値を選択することが可能であ
る。しかしながら、直流入力電流iI は、式(2)から
明らかなように、スイッチング関数sU 、sV 、sW
関数であって、スイッチングパターンにより変化する。
直流入力電流iI の波形例を図3(ロ)に示す。具体例
としてiU =1A、iV =−0.5 A、iW =−0.5 Aの
場合を考える。通常インバータの出力周波数に対して共
振回路の共振周波数は、波形制御性の観点から充分に高
く選ぶのが普通であり、共振回路の数サイクル間におけ
る負荷電流iU 、iV 、iW の変化は小さく、この間は
ほぼ一定値とみなすことができる。この場合のスイッチ
ング関数sU 、sV 、sW と直流入力電流iI との関係
を表1に示す。 【0010】 【表1】 【0011】図3の時刻t0〜t1間ではsU =1、sV
0、sW =1で表1のステート5の状態にあり、iI
0.5 Aである。t2〜t3ではステート4となり、iI =1
Aとなるが、時刻t2においては直流入力電流iI が0.5
A上昇している故、式(1)から明らかなように電流値
LOも前回に比べて0.5 A上昇するように直流ステージ
の短絡期間(t2−t1)が制御される。 【0012】ところが、時刻t3においては共振コンデン
サ電圧VC が零になっても、直流入力電流iI が直流ス
テージの短絡をさせない時の最適な共振リアクトル2の
電流値iLOに到達しているために短絡モードに入らずに
転流が行われる。この転流でステート1が選ばれたとす
ると、iI =−0.5 Aと回生運転状態となり、1.5 Aの
下降となる。共振リアクトル2の初期電流値iLOは短絡
期間を、例えばt4〜t5のように、長くすることで上昇さ
せることはできるけれども、急速に下降させることはで
きない。 【0013】従って、時刻t3においては短絡期間を零と
しても、直流入力電流iI が1.5 A下降したにも関わら
ず電流値iLOは前回とほぼ同一の値しかとれないため、
結局最適値より1.5 A過大なものとなり、共振コンデン
サ電圧VC のピーク値上昇を招いてしまう。このピーク
値は直流入力電流iI の変化が大きいほど電流値iLO
余剰分も大きくなるため高くなる。時刻t3において直流
入力電流iI が1.5 A下降する例を示したが、最悪は時
刻t3においてステート3が選ばれたとすると、iI =−
1Aとなり2Aの下降を生じて、さらに共振コンデンサ
電圧VC のピーク値は高くなる。 【0014】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、直流入力電流iI の変化を小さく押さえ、共振
コンデンサ電圧VC のピーク値を低減させるものであ
る。 【0015】 【課題を解決するための手段】以下、本発明による課題
を解決するための手段を一実施例を用いて詳細に説明す
る。 【0016】図1に本願発明の共振形インバータの制御
方法による共振形インバータの回路図の一実施例を示
す。この実施例は従来技術の図2の回路に(+)優先回
路21を追加したもので、(+)優先回路21は各相の電流
指令値iU * 、iV * 、iW *と、検出した負荷電流i
U 、iV 、iW とのそれぞれの制御偏差を算出する減算
器14〜16の出力である、各相の電流指令値と検出した負
荷電流との制御偏差を入力とし、制御偏差の絶対値の最
も大きい相のコンパレータのみに出力を与えて、そのコ
ンパレータの動作を許可する。 【0017】例えば、 【数3】 |iu * −iu |≧|iV * −iV | (3) |iu * −iu |≧|iW * −iW | (4) であれば、U相の制御偏差が最も大きい故、U相のコン
パレータ17のみが発振器20の出力クロックに同期して動
作し、他相のコンパレータ18、19は現在の状態を保持す
る。他相の制御偏差の絶対値が最大となったときにも同
様の動作を行い、ある時刻における転流は必ず1相に限
られ、複数の相が同時に転流することはなくなる。 【0018】 【作用】図3においては、時刻t3において直流入力電流
I が1.5 A下降する例を示した。これは、表1のステ
ート4からステート1にスイッチングモードが変化した
ために生じている。転流はU相とW相とで行われてい
る。もし、ステート3に変化した場合を考えると、前述
したように2Aの下降となる。この場合はU、V、Wの
総ての相で転流が行われている。しかしながら、本発明
により、同時に転流が行われる相を一つに限定すれば、
ステート4より変化が許されるのはステート0、5、6
のみであり、この場合の直流入力電流iI の下降量はそ
れぞれ1A、0.5 A、0.5 Aであり、複数相が転流する
場合に比べて少なく、従って共振コンデンサ電圧VC
ピーク値も低く抑えられる。 【0019】本発明によれば、表1から判るように、ス
テート0から変化が許されるのはステート1、2、4の
みであり、ステート1から変化が許されるのはステート
0、3、5のみであり、ステート2から変化が許される
のはステート0、3、6のみであり、ステート3から変
化が許されるのはステート1、2、7のみであり、ステ
ート4から変化が許されるのはステート0、5、6のみ
であり、ステート5から変化が許されるのはステート
1、4、7のみであり、ステート6から変化が許される
のはステート2、4、7のみであり、ステート7から変
化が許されるのはステート3、5、6のみであって、い
ずれのスイッチングにおいても直流入力電流iI の変化
が|1|Aを超えることはない。 【0020】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、共振形多
相インバータにおいて、同時に転流する相を制御偏差の
絶対値の最も大きい1相に限定することにより、共振コ
ンデンサ電圧のピーク値を低く抑えることができ、従っ
てインバータ部のスイッチング素子として低耐圧のもの
を使用することができるようになり、装置価格の上で大
幅に効用を得ることができる。以上の説明では、便宜上
三相インバータの例で示したが、他の相数であっても同
様の手段を取ることができる。また、理解を容易にする
ために、制御量として負荷電流を用い、ヒステリシスコ
ンパレータにより瞬時値制御する例を示した。
【図面の簡単な説明】 【図1】本願発明の共振形インバータの制御方法による
共振形インバータの回路図の一実施例を示す。 【図2】本発明に類する共振形インバータの一例の回路
図のを示す。 【図3】共振形インバータの動作波形図を示す。 【図4】共振形インバータの電流制御方法を示すグラフ
である。 【符号の説明】 1 直流電源 2 共振リアクトル 3 共振コンデンサ 4〜9 スイッチング素子 10〜12 負荷電流検出用の変流器 13 負荷としてのインダクションモータ 14〜16 減算器 17〜19 ヒステリシスコンパレータ 20 発振器 21 (+)優先回路 iI インバータ部への直流入力電流 iL 共振リアクトルの電流 iU 、iV 、iW 負荷電流 iU * 、iV * 、iW * 電流指令値 t0〜t5 時刻 VC 共振コンデンサ電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48 H02P 7/63

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 直流電源よりLC共振回路を介して給電
    される多相インバータにおいて、各相の電流指令と検出
    した負荷電流との制御偏差の最も大きい相を検出する
    (+)優先回路を設けることにより、制御偏差の最も
    大きい1相のみを転流させることを特徴とする共振型イ
    ンバータの制御方法。
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