JP3434573B2 - 密閉形スクロール流体装置 - Google Patents
密閉形スクロール流体装置Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、空調機や冷凍機などの
冷媒圧縮機として利用される密閉形スクロール流体装置
に関する。
冷媒圧縮機として利用される密閉形スクロール流体装置
に関する。
【０００２】
【従来の技術】この種のスクロール圧縮機は、密閉容器
内に旋回スクロール部材と固定スクロール部材とを噛合
せた圧縮機構部とこれを駆動する電動機部を収納して構
成されている。上記各々のスクロール部材は端板とこれ
に直立した渦巻状のラップからなり、互にラップを内側
にして組合され、上記電動機に直結したクランクシャフ
トにより旋回スクロール部材が駆動され、旋回運動をな
すことにより、両スクロール部材により形成される圧縮
室に冷媒ガスを吸い込み、中心部に移送するにしたがい
圧縮室の容積を減少させ圧縮し、中心部の吐出口より排
出するよう構成されている。
内に旋回スクロール部材と固定スクロール部材とを噛合
せた圧縮機構部とこれを駆動する電動機部を収納して構
成されている。上記各々のスクロール部材は端板とこれ
に直立した渦巻状のラップからなり、互にラップを内側
にして組合され、上記電動機に直結したクランクシャフ
トにより旋回スクロール部材が駆動され、旋回運動をな
すことにより、両スクロール部材により形成される圧縮
室に冷媒ガスを吸い込み、中心部に移送するにしたがい
圧縮室の容積を減少させ圧縮し、中心部の吐出口より排
出するよう構成されている。
【０００３】前記スクロール圧縮機では、両スクロール
ラップが互に噛合って圧縮作用をなすのであるが、これ
らラップの高さ方向の寸法の設定が非常に重要である。
それぞれのラップの先端部は互に対向する端板との間に
必要以上の隙間があると、圧縮途中に前記隙間から冷媒
ガスが低圧側に漏れ、性能が低下する。またこれらラッ
プの先端部が対向する前記端板に過度に強く接触する
と、噛りや摩耗を生じ円滑な圧縮作用を行うことができ
なくなる。
ラップが互に噛合って圧縮作用をなすのであるが、これ
らラップの高さ方向の寸法の設定が非常に重要である。
それぞれのラップの先端部は互に対向する端板との間に
必要以上の隙間があると、圧縮途中に前記隙間から冷媒
ガスが低圧側に漏れ、性能が低下する。またこれらラッ
プの先端部が対向する前記端板に過度に強く接触する
と、噛りや摩耗を生じ円滑な圧縮作用を行うことができ
なくなる。
【０００４】また、圧縮作用中には、両スクロール部材
に対し互に軸方向に離反させようとする力が作用する。
このため、この離反力に打ち勝ち両スクロール部材を密
着あるいは微少隙間に保つ機構になっている。
に対し互に軸方向に離反させようとする力が作用する。
このため、この離反力に打ち勝ち両スクロール部材を密
着あるいは微少隙間に保つ機構になっている。
【０００５】たとえば、特開昭６３−８００８８号公報
においては、密閉容器内に導入した冷媒ガスを導入した
後、圧縮して高圧になった冷媒ガスを直接密閉容器外へ
排出する密閉形スクロール圧縮機が開示されている。こ
の圧縮機では、旋回スクロール部材の端板背面にスラス
ト軸受を配し、固定スクロール部材は一対の板ばねを介
して密閉容器に取付け固定され、固定スクロール部材の
背面には気密室が設けられ、該気密室にガス圧を加える
ことにより、固定スクロール部材を軸方向に微動させ、
互いのラップの隙間を最小にし、圧縮室からの漏れを抑
える構成となっている。
においては、密閉容器内に導入した冷媒ガスを導入した
後、圧縮して高圧になった冷媒ガスを直接密閉容器外へ
排出する密閉形スクロール圧縮機が開示されている。こ
の圧縮機では、旋回スクロール部材の端板背面にスラス
ト軸受を配し、固定スクロール部材は一対の板ばねを介
して密閉容器に取付け固定され、固定スクロール部材の
背面には気密室が設けられ、該気密室にガス圧を加える
ことにより、固定スクロール部材を軸方向に微動させ、
互いのラップの隙間を最小にし、圧縮室からの漏れを抑
える構成となっている。
【０００６】しかしながらこのような構成では、冷媒ガ
スを圧縮することにより旋回スクロール部材に加わる軸
方向のスラスト力がすべて、前記スラスト軸受に作用す
る。また、前記固定スクロール部材の背面にガス圧を作
用させ板バネのバネ力に打勝って旋回スクロール部材側
に微動させることにより、背面に加わるガス力から板バ
ネの反力を差引いた力が旋回スクロール部材をさらに軸
方向に押圧し、前記スラスト軸受にはさらに大きな力が
作用する。
スを圧縮することにより旋回スクロール部材に加わる軸
方向のスラスト力がすべて、前記スラスト軸受に作用す
る。また、前記固定スクロール部材の背面にガス圧を作
用させ板バネのバネ力に打勝って旋回スクロール部材側
に微動させることにより、背面に加わるガス力から板バ
ネの反力を差引いた力が旋回スクロール部材をさらに軸
方向に押圧し、前記スラスト軸受にはさらに大きな力が
作用する。
【０００７】このため、大きなスラスト荷重に耐える高
価なスラスト軸受が必要になるとともに、スラスト軸受
と旋回スクロール部材の端板背面との摺動による摩擦力
を生ずることにより、摺動損失が大きく、圧縮機の効率
低下や、該摺動部の摩耗、焼付等を生じるという問題が
あった。
価なスラスト軸受が必要になるとともに、スラスト軸受
と旋回スクロール部材の端板背面との摺動による摩擦力
を生ずることにより、摺動損失が大きく、圧縮機の効率
低下や、該摺動部の摩耗、焼付等を生じるという問題が
あった。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明はスクロール圧
縮機における上記問題を解決することを目的としてい
る。すなわち、その目的は、旋回スクロール部材と固定
スクロール部材で形成される圧縮室の漏洩を防ぐ為、シ
ール性を向上させるとともに、旋回スクロール部材の円
滑な運動を確保し、摺動部のスラスト力を軽減し、摺動
損失を抑え、効率が高く、信頼性に優れた密閉形スクロ
ール圧縮機を提供することにある。
縮機における上記問題を解決することを目的としてい
る。すなわち、その目的は、旋回スクロール部材と固定
スクロール部材で形成される圧縮室の漏洩を防ぐ為、シ
ール性を向上させるとともに、旋回スクロール部材の円
滑な運動を確保し、摺動部のスラスト力を軽減し、摺動
損失を抑え、効率が高く、信頼性に優れた密閉形スクロ
ール圧縮機を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明による密閉形スクロール圧縮機は、端板に直
立している渦巻状のラップを有する固定スクロール部材
と、該固定スクロール部材と互に噛みあい端板に直立し
ている渦巻状のラップを有する旋回スクロール部材と、
旋回スクロール部材の自転を阻止し、旋回運動させるた
めの自転阻止部材と、旋回スクロール部材と係合する係
合部を有し、フレーム部材に軸受を介して回転自在に支
持された主軸と、該主軸に結合された電動機とを密閉容
器の内部に収めた密閉形スクロール流体装置において、
固定スクロール部材が静止部材に対し軸方向に微動でき
る支持手段と、該固定スクロール部材の反ラップ側の面
に、固定スクロール部材端板との間に気密空間を形成す
るカバー部材とを設け、該カバー部材の外側に吐出口と
連通する吐出室が形成され、該吐出室と電動機部とを結
ぶ流路を有し、旋回スクロール部材も静止部材に対して
軸方向に微動できる支持手段を設け、旋回スクロール部
材の反ラップ側の端板との間に気密空間を形成し、前記
それぞれの気密空間と、両スクロール部材により形成さ
れる圧縮空間とを結ぶ連通路を設け、固定スクロール部
材の背面に形成された気密空間及び旋回スクロール部材
の背面に形成された気密空間の圧力をそれぞれ、吸入圧
力と吐出圧力の中間の圧力に維持したことを特徴とす
る。
め、本発明による密閉形スクロール圧縮機は、端板に直
立している渦巻状のラップを有する固定スクロール部材
と、該固定スクロール部材と互に噛みあい端板に直立し
ている渦巻状のラップを有する旋回スクロール部材と、
旋回スクロール部材の自転を阻止し、旋回運動させるた
めの自転阻止部材と、旋回スクロール部材と係合する係
合部を有し、フレーム部材に軸受を介して回転自在に支
持された主軸と、該主軸に結合された電動機とを密閉容
器の内部に収めた密閉形スクロール流体装置において、
固定スクロール部材が静止部材に対し軸方向に微動でき
る支持手段と、該固定スクロール部材の反ラップ側の面
に、固定スクロール部材端板との間に気密空間を形成す
るカバー部材とを設け、該カバー部材の外側に吐出口と
連通する吐出室が形成され、該吐出室と電動機部とを結
ぶ流路を有し、旋回スクロール部材も静止部材に対して
軸方向に微動できる支持手段を設け、旋回スクロール部
材の反ラップ側の端板との間に気密空間を形成し、前記
それぞれの気密空間と、両スクロール部材により形成さ
れる圧縮空間とを結ぶ連通路を設け、固定スクロール部
材の背面に形成された気密空間及び旋回スクロール部材
の背面に形成された気密空間の圧力をそれぞれ、吸入圧
力と吐出圧力の中間の圧力に維持したことを特徴とす
る。
【００１０】
【作用】このことより、前記それぞれの気密空間は、両
スクロール部材により形成される圧縮途中の圧縮室と連
通路を介して結ばれているので、気密室内の圧力は吸入
圧力と吐出圧力の中間の圧力に維持され少なくとも一方
のスクロール部材の背面には、ラップ側の面に作用する
軸方向のガス力に打勝つだけのガス力が付与され、スク
ロール部材が軸方向に微動し密着するので、スクロール
部材の構成部品の寸法公差と、組立における累積許容差
が緩和され、隙間は零に近い状態で噛合するので、互の
ラップ先端部と端板との間隙からの漏洩を抑えることが
できる。また、旋回スクロール部材と固定スクロール部
材との摺動面のスラスト力あるいは、旋回スクロール部
材背面と、背面の受け座間のスラスト力を軽減して摺動
損失を抑え、高い効率と信頼性に優れた密閉形スクロー
ル圧縮機が得られる。
スクロール部材により形成される圧縮途中の圧縮室と連
通路を介して結ばれているので、気密室内の圧力は吸入
圧力と吐出圧力の中間の圧力に維持され少なくとも一方
のスクロール部材の背面には、ラップ側の面に作用する
軸方向のガス力に打勝つだけのガス力が付与され、スク
ロール部材が軸方向に微動し密着するので、スクロール
部材の構成部品の寸法公差と、組立における累積許容差
が緩和され、隙間は零に近い状態で噛合するので、互の
ラップ先端部と端板との間隙からの漏洩を抑えることが
できる。また、旋回スクロール部材と固定スクロール部
材との摺動面のスラスト力あるいは、旋回スクロール部
材背面と、背面の受け座間のスラスト力を軽減して摺動
損失を抑え、高い効率と信頼性に優れた密閉形スクロー
ル圧縮機が得られる。
【００１１】
【実施例】以下本発明の一実施例を図１〜図３により説
明する。図１はこの発明の一実施例を示すものである。
明する。図１はこの発明の一実施例を示すものである。
【００１２】密閉容器１０の内部に圧縮機構部と電動機
部が収納されている。圧縮機構部は、旋回スクロール部
材１と固定スクロール部材２、自転防止部材３、旋回ス
クロール部材１を駆動する主軸４、これらを支持するフ
レーム５などから構成される。固定スクロール部材２
は、端板２ａ、この端板２ａに直立しているラップ２ｂ
からなる。また固定スクロール部材は、吸入口２ｃ、吐
出口２ｅを備えている。旋回スクロール部材１は、円板
状の端板１ａ、この端板１ａに直立しているラップ１
ｂ、反ラップ側の面（背面）に形成された凹状のボス１
ｃからなる。両スクロール部材１，２の各ラップ１ｂ，
２ｂはインボリュート曲線あるいはこれに類似した曲線
により形成されている。これら固定スクロール部材２と
旋回スクロール部材１とは互にラップ１ｂ，２ｂが向き
合った状態でかみ合っている。
部が収納されている。圧縮機構部は、旋回スクロール部
材１と固定スクロール部材２、自転防止部材３、旋回ス
クロール部材１を駆動する主軸４、これらを支持するフ
レーム５などから構成される。固定スクロール部材２
は、端板２ａ、この端板２ａに直立しているラップ２ｂ
からなる。また固定スクロール部材は、吸入口２ｃ、吐
出口２ｅを備えている。旋回スクロール部材１は、円板
状の端板１ａ、この端板１ａに直立しているラップ１
ｂ、反ラップ側の面（背面）に形成された凹状のボス１
ｃからなる。両スクロール部材１，２の各ラップ１ｂ，
２ｂはインボリュート曲線あるいはこれに類似した曲線
により形成されている。これら固定スクロール部材２と
旋回スクロール部材１とは互にラップ１ｂ，２ｂが向き
合った状態でかみ合っている。
【００１３】フレーム５は、中央部に設けられた軸受部
６を介して一端が電動機７に連設する主軸４を回転自在
に支持している。また、その外周面は前記密閉容器１０
の内壁に結合されている。前記フレームの軸受部６によ
り回転自在に支持された主軸４は一端が電動機に連設
し、偏心部が旋回スクロール部材１のボス部１ｃと係合
し、該偏心部の端面から全長にわたり主軸内部に密閉容
器内部に溜る油を前記係合部へ送る為の給油孔が設けら
れている（図示せず）。
６を介して一端が電動機７に連設する主軸４を回転自在
に支持している。また、その外周面は前記密閉容器１０
の内壁に結合されている。前記フレームの軸受部６によ
り回転自在に支持された主軸４は一端が電動機に連設
し、偏心部が旋回スクロール部材１のボス部１ｃと係合
し、該偏心部の端面から全長にわたり主軸内部に密閉容
器内部に溜る油を前記係合部へ送る為の給油孔が設けら
れている（図示せず）。
【００１４】旋回スクロール部材１の反ラップ側の面
（背面）には、旋回スクロール部材の端板１ａとフレー
ム５とで気密室（旋回背面室１１）が形成され、該旋回
背面室１１と、両スクロール部材で形成される圧縮途中
の圧縮室とは、図２に示す旋回スクロール部材の端板１
ａに設けられた連通孔１ｄにより連通している。一方、
固定スクロール部材２の反ラップ側の面（背面）には、
端板２ａの中央部に突起したボス部２ｆが設けられ、該
ボス部にシール部材１３を介して係合するカバー部材８
がフレーム５に取付られ、固定スクロール部材２の背面
に気密室（固定背面室１２）が形成され、該固定背面室
１２と、両スクロール部材で形成される圧縮途中の圧縮
室とは、図３に示す固定スクロール部材の端板２ａに設
けられた連通孔２ｄにより連通している。
（背面）には、旋回スクロール部材の端板１ａとフレー
ム５とで気密室（旋回背面室１１）が形成され、該旋回
背面室１１と、両スクロール部材で形成される圧縮途中
の圧縮室とは、図２に示す旋回スクロール部材の端板１
ａに設けられた連通孔１ｄにより連通している。一方、
固定スクロール部材２の反ラップ側の面（背面）には、
端板２ａの中央部に突起したボス部２ｆが設けられ、該
ボス部にシール部材１３を介して係合するカバー部材８
がフレーム５に取付られ、固定スクロール部材２の背面
に気密室（固定背面室１２）が形成され、該固定背面室
１２と、両スクロール部材で形成される圧縮途中の圧縮
室とは、図３に示す固定スクロール部材の端板２ａに設
けられた連通孔２ｄにより連通している。
【００１５】旋回スクロール部材１及び固定スクロール
部材２は、軸方向に微動可能に支持され、固定スクロー
ル部材１の外周はフレーム５の筒部の内壁に案内され、
旋回スクロール部材の背面方向への移動は、旋回スクロ
ール部材の背面のフレーム５に設けられた受座５ａによ
り規制される。一方、固定スクロール部材２の背面方向
への移動は、カバー部材８により好ましくはそのボス部
８ａにより規制されている。旋回スクロール部材の背面
には、オルダム機構など旋回スクロール部材の自転を防
止するための自転防止部材３が静止部材との間に設けら
れている。
部材２は、軸方向に微動可能に支持され、固定スクロー
ル部材１の外周はフレーム５の筒部の内壁に案内され、
旋回スクロール部材の背面方向への移動は、旋回スクロ
ール部材の背面のフレーム５に設けられた受座５ａによ
り規制される。一方、固定スクロール部材２の背面方向
への移動は、カバー部材８により好ましくはそのボス部
８ａにより規制されている。旋回スクロール部材の背面
には、オルダム機構など旋回スクロール部材の自転を防
止するための自転防止部材３が静止部材との間に設けら
れている。
【００１６】このように構成された密閉形スクロール圧
縮機において、電動機の回転によって主軸４と自転防止
部材３の働きで、旋回スクロール部材１が固定スクロー
ル部材２に対し相対的に旋回運動を行い、両スクロール
部材で形成される圧縮室が中心に移動するに従ってその
容積を減少し、吸入口２ｃから圧縮室内に吸い込まれた
冷媒ガスを圧縮して吐出口２ｅから密閉容器１０の上部
へ排出する。密閉容器１０の上部に排出された冷媒ガス
は、密閉容器１０の上部と下部を結ぶ流路（図示せず）
を介して、密閉容器１０の下部へ送られ、吐出管１４よ
り外部へ吐出される。
縮機において、電動機の回転によって主軸４と自転防止
部材３の働きで、旋回スクロール部材１が固定スクロー
ル部材２に対し相対的に旋回運動を行い、両スクロール
部材で形成される圧縮室が中心に移動するに従ってその
容積を減少し、吸入口２ｃから圧縮室内に吸い込まれた
冷媒ガスを圧縮して吐出口２ｅから密閉容器１０の上部
へ排出する。密閉容器１０の上部に排出された冷媒ガス
は、密閉容器１０の上部と下部を結ぶ流路（図示せず）
を介して、密閉容器１０の下部へ送られ、吐出管１４よ
り外部へ吐出される。
【００１７】両スクロール部材の背面に設けられたそれ
ぞれの気密室（旋回背面室１１、固定背面室１２）は、
両スクロール部材により形成される圧縮途中の圧縮室と
連通路１ｄ，２ｄを介して導通しているので、背面室内
の圧力は、吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力に維持され
る。この結果、少なくとも一方のスクロール部材の背面
には、ラップ側の面に作用する軸方向のガス力に打勝つ
だけのガス力が付与され、スクロール部材が軸方向に微
動し互に密着する。背面室の圧力は、スクロール部材の
ラップ側の面に作用する軸方向のガス力と、背面室のス
クロール部材端板の受圧面積、背面室以外の端板が受け
る圧力の大きさ等により、端板に設ける連通孔の位置を
調整して必要な大きさになるよう定める。
ぞれの気密室（旋回背面室１１、固定背面室１２）は、
両スクロール部材により形成される圧縮途中の圧縮室と
連通路１ｄ，２ｄを介して導通しているので、背面室内
の圧力は、吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力に維持され
る。この結果、少なくとも一方のスクロール部材の背面
には、ラップ側の面に作用する軸方向のガス力に打勝つ
だけのガス力が付与され、スクロール部材が軸方向に微
動し互に密着する。背面室の圧力は、スクロール部材の
ラップ側の面に作用する軸方向のガス力と、背面室のス
クロール部材端板の受圧面積、背面室以外の端板が受け
る圧力の大きさ等により、端板に設ける連通孔の位置を
調整して必要な大きさになるよう定める。
【００１８】ここで旋回スクロール部材の背面に作用す
るスラスト力は、旋回スクロール部材１のボス部１ｃの
内側に作用する圧力と旋回背面室１１に作用する圧力に
よる力の和であり、これをＦｍｂとする。
るスラスト力は、旋回スクロール部材１のボス部１ｃの
内側に作用する圧力と旋回背面室１１に作用する圧力に
よる力の和であり、これをＦｍｂとする。
【００１９】また固定スクロール部材の背面に作用する
スラスト力は、背面に突起したボス部２ｃの内側に作用
する吐出圧力による力と、該ボスの外側に形成された固
定背面室１２の圧力による力の和であり、これをＦｓｂ
とする。
スラスト力は、背面に突起したボス部２ｃの内側に作用
する吐出圧力による力と、該ボスの外側に形成された固
定背面室１２の圧力による力の和であり、これをＦｓｂ
とする。
【００２０】一方、両スクロール部材により形成される
圧縮室の圧力により、旋回スクロール部材および固定ス
クロール部材には、互に離反する方向に等しいスラスト
力が作用する。これをＦｐａとする。
圧縮室の圧力により、旋回スクロール部材および固定ス
クロール部材には、互に離反する方向に等しいスラスト
力が作用する。これをＦｐａとする。
【００２１】それぞれのスラスト力の大きさにより、以
下に説明するように旋回スクロール部材の摺動形態が異
る。
下に説明するように旋回スクロール部材の摺動形態が異
る。
【００２２】Ｆｍｂ ＞ Ｆｐａ でかつ
Ｆｍｂ ＞ Ｆｓｂ
である場合は、旋回スクロール部材は固定スクロール部
材側に押し付けられ、かつ固定スクロール部材は背面側
に微動して、カバ部の受座８ａに密着して固定される。
両スクロール部材は密着して相対運動する為、スクロー
ル部材構成部品の寸法公差と、組立における累積許容誤
差が緩和され、隙間は零に近い状態で噛合するので、互
のラップ先端部と端板との間隙からの漏洩を抑えること
ができる。また、旋回スクロール部材と固定スクロール
部材との摺動面に作用するスラスト力が軽減される。こ
のように両スクロール部材に作用するスラスト力が軽減
される為、両スクロール部材の変形を抑え、間隙からの
冷媒ガスの漏洩や、前記摺動面の片当りを防ぐことがで
きる。さらに、固定スクロール部材は、背面室に被われ
て、直接高温の吐出ガスに触れぬため、固定スクロール
部材が吐出ガスにより昇温されることによる固定スクロ
ール部材の外縁部に吸入される冷媒ガスの温度上昇を抑
え、この温度上昇による性能の低下を抑えることができ
る。
材側に押し付けられ、かつ固定スクロール部材は背面側
に微動して、カバ部の受座８ａに密着して固定される。
両スクロール部材は密着して相対運動する為、スクロー
ル部材構成部品の寸法公差と、組立における累積許容誤
差が緩和され、隙間は零に近い状態で噛合するので、互
のラップ先端部と端板との間隙からの漏洩を抑えること
ができる。また、旋回スクロール部材と固定スクロール
部材との摺動面に作用するスラスト力が軽減される。こ
のように両スクロール部材に作用するスラスト力が軽減
される為、両スクロール部材の変形を抑え、間隙からの
冷媒ガスの漏洩や、前記摺動面の片当りを防ぐことがで
きる。さらに、固定スクロール部材は、背面室に被われ
て、直接高温の吐出ガスに触れぬため、固定スクロール
部材が吐出ガスにより昇温されることによる固定スクロ
ール部材の外縁部に吸入される冷媒ガスの温度上昇を抑
え、この温度上昇による性能の低下を抑えることができ
る。
【００２３】Ｆｓｂ ＞ Ｆｐａ でかつ
Ｆｓｂ ＞ Ｆｍｂ
である場合は、固定スクロール部材は旋回スクロール部
材側に押し付けられ、旋回スクロール部材の背面はフレ
ーム部材に設けられた受座５ａに密着して摺動する。こ
の場合にも前記と同様の効果が得られ、旋回スクロール
部材の背面と該受座とのスラスト力も緩和され、該摺動
面での摺動損失を低下させることができる。
材側に押し付けられ、旋回スクロール部材の背面はフレ
ーム部材に設けられた受座５ａに密着して摺動する。こ
の場合にも前記と同様の効果が得られ、旋回スクロール
部材の背面と該受座とのスラスト力も緩和され、該摺動
面での摺動損失を低下させることができる。
【００２４】また、液冷媒や油を吸込み圧縮した場合な
ど、圧縮室内の圧力が高くなった場合には少なくとも旋
回スクロールあるいは固定スクロールが、反ラップ方向
に微動して、両スクロールのラップ先端部と端面との間
隙が大きくなり、低圧側の圧縮室へ漏れるため、過度の
圧力上昇を抑え、スクロールラップの損傷、軸受の固渋
などのトラブルの発生を回避することができる。
ど、圧縮室内の圧力が高くなった場合には少なくとも旋
回スクロールあるいは固定スクロールが、反ラップ方向
に微動して、両スクロールのラップ先端部と端面との間
隙が大きくなり、低圧側の圧縮室へ漏れるため、過度の
圧力上昇を抑え、スクロールラップの損傷、軸受の固渋
などのトラブルの発生を回避することができる。
【００２５】図４、図５は他の実施例を示したものであ
る。図４は、固定スクロール部材の軸方向の微動を固定
スクロール部材の背面の外周部に対応してカバー８に設
けられた受座８ｃにより規制した他の実施例である。
る。図４は、固定スクロール部材の軸方向の微動を固定
スクロール部材の背面の外周部に対応してカバー８に設
けられた受座８ｃにより規制した他の実施例である。
【００２６】図５は、フレーム部材に取付けたボルト部
材１５の頭部と固定スクロール部材との間に若干の間隙
を設けて該固定スクロール部材の軸方向の微動を許容
し、かつ微動範囲を規制した他の実施例を示す。密閉容
器のカバ１０ａには、固定スクロール部材の背面に突起
したボス部にシール要素を介して係合するボス部１７が
設けられ、固定背面室１２を形成し、該ボス部の中央部
と密閉容器の下部とを結ぶ連接管１６が設けられ、固定
スクロール部材の吐出口から排出された冷媒ガスは、該
連接管１６により密閉容器の下部に送られ、電動機の冷
却等に供された後、密閉容器に設けられた吐出管（図示
せず）により外部へ送られる。
材１５の頭部と固定スクロール部材との間に若干の間隙
を設けて該固定スクロール部材の軸方向の微動を許容
し、かつ微動範囲を規制した他の実施例を示す。密閉容
器のカバ１０ａには、固定スクロール部材の背面に突起
したボス部にシール要素を介して係合するボス部１７が
設けられ、固定背面室１２を形成し、該ボス部の中央部
と密閉容器の下部とを結ぶ連接管１６が設けられ、固定
スクロール部材の吐出口から排出された冷媒ガスは、該
連接管１６により密閉容器の下部に送られ、電動機の冷
却等に供された後、密閉容器に設けられた吐出管（図示
せず）により外部へ送られる。
【００２７】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、両
スクロール部材が軸方向に微動可能に支持され、反ラッ
プ側の面にそれぞれ背面室が設けられ、背面室と両スク
ロール部材で形成される圧縮室とを結ぶ連通路が設けら
れているので、背面室は吸入圧力と吐出圧力の中間の圧
力に維持され、少なくとも一方のスクロール部材の背面
には、ラップ側の面に作用するスラスト力に打勝つだけ
のガス力が付与されているので、スクロール部材が軸方
向に微動し、互に密着して旋回スクロール部材は駆動さ
れるので、両スクロール部材で形成される圧縮室のラッ
プ先端と端板との間隙からの冷媒ガスの漏洩を抑えるこ
とができる。
スクロール部材が軸方向に微動可能に支持され、反ラッ
プ側の面にそれぞれ背面室が設けられ、背面室と両スク
ロール部材で形成される圧縮室とを結ぶ連通路が設けら
れているので、背面室は吸入圧力と吐出圧力の中間の圧
力に維持され、少なくとも一方のスクロール部材の背面
には、ラップ側の面に作用するスラスト力に打勝つだけ
のガス力が付与されているので、スクロール部材が軸方
向に微動し、互に密着して旋回スクロール部材は駆動さ
れるので、両スクロール部材で形成される圧縮室のラッ
プ先端と端板との間隙からの冷媒ガスの漏洩を抑えるこ
とができる。
【００２８】また旋回スクロール部材と固定スクロール
部材との摺動面のスラスト力あるいは、旋回スクロール
部材背面と、背面の受け座間のスラスト力を軽減し、摺
動損失を抑え、高い効率と信頼性に優れた密閉形スクロ
ール圧縮機を得ることができる。さらに、固定スクロー
ル部材は、背面室に被われて、直接高温の吐出ガスに触
れぬため、固定スクロール部材が吐出ガスにより昇温さ
れることによる固定スクロール部材の外縁部に吸入され
る冷媒ガスの温度上昇を抑え、この温度上昇による性能
の低下を抑えることができる。
部材との摺動面のスラスト力あるいは、旋回スクロール
部材背面と、背面の受け座間のスラスト力を軽減し、摺
動損失を抑え、高い効率と信頼性に優れた密閉形スクロ
ール圧縮機を得ることができる。さらに、固定スクロー
ル部材は、背面室に被われて、直接高温の吐出ガスに触
れぬため、固定スクロール部材が吐出ガスにより昇温さ
れることによる固定スクロール部材の外縁部に吸入され
る冷媒ガスの温度上昇を抑え、この温度上昇による性能
の低下を抑えることができる。
【図１】本発明の一実施例による密閉形スクロール圧縮
機の縦断面図。
機の縦断面図。
【図２】本発明の一実施例による旋回スクロール部材本
体の平面図。
体の平面図。
【図３】本発明の一実施例による固定スクロール部材本
体の平面図。
体の平面図。
【図４】本発明の他の実施例を示す縦断面図。
【図５】本発明の他の実施例を示す縦断面図。
１…旋回スクロール部材 ２…固定スクロ
ール部材 ３…自転防止部材 ４…主軸 ５…フレーム ６…軸受部 ７…電動機 ８…カバー部材 １０…密閉容器
ール部材 ３…自転防止部材 ４…主軸 ５…フレーム ６…軸受部 ７…電動機 ８…カバー部材 １０…密閉容器
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 肥田毅士
静岡県清水市村松390番地 株式会社日
立製作所空調システム事業部内
(56)参考文献 特開 平５−157063（ＪＰ，Ａ)
特開 平５−149269（ＪＰ，Ａ)
特開 平５−332261（ＪＰ，Ａ)
特開 昭63−80088（ＪＰ，Ａ)
実開 平４−103204（ＪＰ，Ｕ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
F04C 18/02 311
Claims (3)
- 【請求項１】 端板に直立している渦巻状のラップを有
する固定スクロール部材と、該固定スクロール部材と互
に噛みあい端板に直立している渦巻状のラップを有する
旋回スクロール部材と、旋回スクロール部材の自転を阻
止し、旋回運動させるための自転阻止部材と、旋回スク
ロール部材と係合する係合部を有し、フレーム部材に軸
受を介して回転自在に支持された主軸と、該主軸に結合
された電動機とを密閉容器の内部に収めた密閉形スクロ
ール流体装置において、固定スクロール部材が静止部材
に対し軸方向に微動できる支持手段と、該固定スクロー
ル部材の反ラップ側の面に、固定スクロール部材端板と
の間に気密空間を形成するカバー部材とを設け、該カバ
ー部材の外側に吐出口と連通する吐出室が形成され、該
吐出室と電動機部とを結ぶ流路を有し、旋回スクロール
部材も静止部材に対して軸方向に微動できる支持手段を
設け、旋回スクロール部材の反ラップ側の端板との間に
気密空間を形成し、前記それぞれの気密空間と、両スク
ロール部材により形成される圧縮空間とを結ぶ連通路を
設け、固定スクロール部材の背面に形成された気密空間
及び旋回スクロール部材の背面に形成された気密空間の
圧力をそれぞれ、吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力に維
持したことを特徴とする密閉形スクロール流体装置。 - 【請求項２】 旋回スクロール部材の背面に作用するス
ラスト力をＦｍｂとし、固定スクロール部材の背面に作
用するスラスト力をＦｓｂとし、固定及び旋回両スクロ
ール部材に対し互いに離反する方向に作用するスラスト
力をＦｐａとしたとき、Ｆｓｂ＞ＦｐａかつＦｓｂ＞Ｆ
ｍｂとなるようにして、固定スクロール部材を旋回スク
ロール部材方向に微動させ、固定スクロール部材と旋回
スクロール部材とが軸方向に互いに密着して、運動する
よう構成したことを特徴とする請求項１に記載の密閉形
スクロール流体装置。 - 【請求項３】 旋回スクロール部材の背面に作用するス
ラスト力をＦｍｂとし、固定スクロール部材の背面に作
用するスラスト力をＦｓｂとし、固定及び旋回両スクロ
ール部材に対し互いに離反する方向に作用するスラスト
力をＦｐａとしたとき、Ｆｍｂ＞ＦｐａかつＦｍｂ＞Ｆ
ｓｂとなるようにして、旋回スクロール部材を固定スク
ロール部材方向に微動させ、固定スクロール部材と旋回
スクロール部材とが軸方向に互に密着して、運動するよ
う構成したことを特徴とする請求項１に記載の密閉形ス
クロール流体装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12015494A JP3434573B2 (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | 密閉形スクロール流体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12015494A JP3434573B2 (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | 密閉形スクロール流体装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07332257A JPH07332257A (ja) | 1995-12-22 |
| JP3434573B2 true JP3434573B2 (ja) | 2003-08-11 |
Family
ID=14779298
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12015494A Expired - Fee Related JP3434573B2 (ja) | 1994-06-01 | 1994-06-01 | 密閉形スクロール流体装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3434573B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102720673B (zh) * | 2012-07-03 | 2014-12-24 | 南京奥特佳冷机有限公司 | 商用涡旋式压缩机静盘自调节机构 |
-
1994
- 1994-06-01 JP JP12015494A patent/JP3434573B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07332257A (ja) | 1995-12-22 |
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