JP3433523B2 - 姿勢検出型ロボット及び物品の姿勢検出方法 - Google Patents

姿勢検出型ロボット及び物品の姿勢検出方法

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JP3433523B2
JP3433523B2 JP20189594A JP20189594A JP3433523B2 JP 3433523 B2 JP3433523 B2 JP 3433523B2 JP 20189594 A JP20189594 A JP 20189594A JP 20189594 A JP20189594 A JP 20189594A JP 3433523 B2 JP3433523 B2 JP 3433523B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は姿勢検出型ロボット及び
物品の姿勢検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、機械工業、例えば自動車工業に
おいては、コンベア等の搬送手段によって搬送されてい
るワークに対して部品の組み付け、ブレーキ液の注入等
の各種作業を行う生産ラインが設けられる。そして、近
年、かかる生産ラインにおいては、省力化を図るため、
各作業ステーションでワークに対して各種作業を自動的
に行うロボットを備えたものが広く用いられている。
【0003】このようなロボットを備えた生産ラインに
おいては、普通、ロボットの作業時にはロボットとワー
クとの間の搬送方向の相対的な位置関係を一定に保持す
る必要がある。そして、このような位置関係を一定に保
持する手法としては、搬送手段によって搬送されている
ワークに同期追従するようにロボットを移動させ、ロボ
ットに搬送中のワークに対して所定の作業を行わせると
いった手法が広く用いられている(例えば、実開昭58
−157541号公報参照)。
【0004】より具体的には、例えばロボットをワーク
の移動経路に沿って移動できるようにした上で、ワーク
が作業ステーションに入ってきたときにロボットをワー
クに当接ないしは連結させ、ワークから付与される駆動
力すなわち搬送手段の駆動力でもってロボットをワーク
に同期追従して移動させるようにした生産ラインが広く
用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようにロボットを
ワークに同期追従させるようにした生産ラインにおいて
は、ロボットに設けられた所定の作業手段でもってワー
クに対して所定の作業を行うことになるが、搬送手段に
のせられているワークの姿勢は一定ではなくある程度の
ばらつきがある。このため、かかる生産ラインにおいて
はワークの姿勢を検出する姿勢検出手段と、該姿勢検出
手段によって検出されたワークの姿勢に応じて作業手段
の位置ないしは姿勢を制御する制御手段とを設けなけれ
ばならないので、生産ラインないしはロボットの構造が
複雑化するといった問題がある。
【0006】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたものであって、ワークの駆動力でもってロ
ボットをワークに同期追従して移動させるようにした生
産ラインに対して、簡素な構造でワークの姿勢を容易に
検出することができ、ワークの姿勢にかかわらず作業手
段に適切な作業を行わせることができる手段を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、図1にその構成を示すように、第1の発明は、当接
アームAを備えていて、該当接アームAを搬送手段Bに
よって搬送されている物品Cの進行方向にみて前側から
該物品Cに押圧・当接させることにより、物品Cから与
えられる駆動力でもって該物品Cに同期追従して移動す
ることができる連動手段Dと、該連動手段Dの移動に基
づいて物品Cに同期追従して移動し、該物品Cに対して
所定の作業を行う作業手段Eとが設けられている姿勢検
出型ロボットであって、当接アームAの両端の物品C
当接状態に基づいて該物品Cの姿勢を検出し、この検
出された物品Cの姿勢に基づいて作業手段Eを制御する
作業制御手段Fが設けられ、当接アームAが、略コの字
状に形成され、かつその中間部が略水平方向に延びその
両端部が上記中間部の下方に位置するように配置されて
いて、該当接アームAが、水平方向及び鉛直方向に変位
してその両端部を物品に押圧・当接させるようになっ
いることを特徴とする姿勢検出型ロボットを提供する。
【0008】
【0009】第の発明は、第1の発明にかかる姿勢検
出型ロボットにおいて、連動手段Dと作業手段Eとが一
体形成されていることを特徴とする姿勢検出型ロボット
を提供する。
【0010】第の発明は、第1又は第2の発明にかか
る姿勢検出型ロボットにおいて、作業手段Eに、その姿
勢を変化させることによって作業位置を変化させること
ができる作業アームGが設けられ、作業制御手段Fが、
当接アームAの物品Cに対する当接状態に応じて作業ア
ームGの姿勢を制御するようになっていることを特徴と
する姿勢検出型ロボットを提供する。
【0011】第の発明は、第1〜第の発明のいずれ
か1つにかかる姿勢検出型ロボットにおいて、搬送手段
Bによって搬送される物品Cが自動車の車体であって、
当接アームAが車体に押圧・当接させられる際には、該
当接アームAの両端部が、車体の側部開口に差し込まれ
た後上昇させられてその上部が開口上縁部に接触させら
れ、この後上記両端部の後部が開口後縁部に接触させら
れるようになっていることを特徴とする姿勢検出型ロボ
ットを提供する。
【0012】第の発明は、第の発明にかかる姿勢検
出型ロボットにおいて、車体の側部開口がドア取り付け
用開口部であって、当接アームAの両端部がドア取り付
け用開口部に差し込まれた後上昇させられてその上部が
レインレールに接触させられ、この後上記両端部の後部
がセンタピラーに接触させられるようになっていること
を特徴とする姿勢検出型ロボットを提供する。
【0013】
【0014】第の発明は、当接アームを備えていて該
当接アームを搬送手段によって搬送されている物品の進
行方向にみて前側から該物品に押圧・当接させることに
より物品から与えられる駆動力でもって該物品に同期追
従して移動することができる連動手段と、該連動手段の
移動に基づいて物品に同期追従して移動し該物品に対し
て所定の作業を行う作業手段とが設けられているロボッ
トによる物品の姿勢検出方法であって、搬送手段によっ
て搬送される物品が自動車の車体であって、当接アーム
を、略コの字状に形成した上でその中間部が略水平方向
に延びその両端部が上記中間部の下方に位置するように
配置し、当接アームの両端部を車体の側部開口に差し込
んだ後、上昇させてその上部を開口上縁部に接触させ、
この後上記両端部の後部を開口後縁部に接触させ、当接
アームの車体に対する当接状態に基づいて車体の姿勢を
検出し、この検出された車体の姿勢に基づいて作業手段
を制御するようにしたことを特徴とする物品の姿勢検出
方法を提供する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 <第1実施例>まず、本発明にかかるロボットを備えた
自動車生産ラインの概要について説明する。図2に示す
ように、自動車生産ラインPLにおいては、所定の加工
ないしは作業が施されるワークである自動車の車体W
(図3参照)が、コンベア1によって矢印H1方向にほぼ
一定の速度で搬送されるようになっている。そして、コ
ンベア1に沿って敷設された走行軌道2の上を、H1
向又はこれと逆方向に走行(移動)することができるロボ
ット3(姿勢検出型ロボット)が設けられている。このロ
ボット3は、コンベア1によって搬送されている車体W
に進行方向前側から当接することによって該車体Wに同
期追従して走行軌道2の上をH1方向に走行しつつ、車
体Wに搭載されたブレーキ液タンク122(図25参照)
に、ブレーキ液供給装置4から供給されるブレーキ液を
注入するといった作業を自動的に行うようになってい
る。ここで、車体Wとコンベア1とは夫々、特許請求の
範囲に記載された「物品」と「搬送手段」とに相当する。
【0016】そして、自動車生産ラインPLに設けられ
た作業ステーション5の車体入口側の所定の位置には車
体Wの前端部の通過を検出する第1車体検出センサ6が
設けられている。この第1車体検出センサ6は、発光体
6aと受光体6bとを備えた普通の光電スイッチ式のセン
サである。同様に、作業ステーション5の車体出口側の
所定の位置にも、発光体7aと受光体7bとを備えた普通
の光電スイッチ式の第2車体検出センサ7が設けられて
いる。さらに、作業ステーション5には、ロボット3を
制御するロボット制御盤8と、各種インタロックを行う
インタロック盤9と、各種計測制御を行う計測制御盤1
0とが設けられている。また、自動車生産ラインPLに
は、モニタ用のCRT11が付設されている。なお、1
2はC/θ柱であり、13は部品台車である。ここで、
ロボット制御盤8とインタロック盤9と計測制御盤10
とからなる組立体は、特許請求の範囲に記載された「作
業制御手段」を含む、ロボット3の総合的な制御手段で
ある。
【0017】以下、自動車生産ラインPLに設けられた
ロボット3の全体的な構造及び機能について説明する。
図3〜図5に示すように、ロボット3にはその基部をな
す走行部14が設けられ、この走行部14は、後で説明
するように、走行軌道2に設けられたガイドレール15
及びラック16と係合して、ガイドレール15の上をZ
1方向又はZ2方向に走行することができるようになって
いる。なお、以下では便宜上、図3中のZ1、Z2方向を
夫々「前」、「後」という。
【0018】そして、ロボット3には、走行部14に固
定された支持部材25と、該支持部材25によって支持
され後で説明するようにその姿勢を変えることができる
当接アーム26とを備えた当接部18が設けられてい
る。ここで、当接アーム26は、コンベア1によって搬
送されている車体Wに対して前側から押圧・当接するこ
とができるようになっている。この当接アーム26が車
体Wと当接しているときには、該車体Wからつまりはコ
ンベア1から、当接アーム26と支持部材25とを介し
て走行部14に前向きの駆動力が加えられ、これによっ
て走行部14(ロボット3)が車体Wに同期追従して走行
するようになっている。また、後で説明するように当接
アーム26の車体Wへの当接状態ないしは当接姿勢に基
づいて、計測制御盤10によって車体Wの姿勢、具体的
には平面視における車体Wの左右の傾き(右向きあるい
は左向きの度合)及び立面視における車体Wの左右の傾
き(右下がりあるいは左下がりの度合)が検出(認識)され
るようになっている。ここで、左右は前方に向かっての
左右を意味し、例えばロボット3は車体Wの右側に位置
していることになる。なお、走行部14と当接部18と
で構成される組立体は特許請求の範囲に記載された「連
動手段」に相当する。
【0019】また、ロボット3には、走行部14と一体
的に形成された多関節型の作業部17が設けられ、この
作業部17は、車体Wに搭載されたブレーキ液タンク1
22(図25参照)にブレーキ液を注入するといった作業
を行うようになっている。具体的には、作業部17に
は、作業部駆動装置19と、該作業部駆動装置19によ
って駆動される作業アーム20と、該作業アーム20の
先端部付近に連結された回動アーム21と、該回動アー
ム21に連結されたブレーキ液注入機22とが設けられ
ている。ここで、作業アーム20は第1関節部23まわ
りに回動することができるようになっており、さらに回
動アーム21は第2関節部24まわりに回動することが
できるようになっている。図示していないが、作業アー
ム20には、作業時に該作業アーム20を車体Wに連結
ないしは接触させて車体Wの姿勢を固定し、作業性ない
しは作業精度を高める連結手段が設けられている。この
ように、走行部14と当接部18と作業部17とが一体
的に形成されているのでロボット3の重量が比較的大き
くなる。しかしながら、後で説明するように、ロボット
3の重量がこのように大きいのにもかかわらず、ロボッ
ト3の車体Wへの同期追従時の走行抵抗が非常に小さ
く、このためコンベア1の負荷の増加が最小限に抑えら
れている。ここで、作業部17は特許請求の範囲に記載
された「作業手段」に相当する。
【0020】なお、作業部の作業内容は、このようなブ
レーキ液の注入に限られるものではないのはもちろんで
ある。例えば、図6に、作業部28が、車体Wにスライ
ディングルーフ29を取り付けるといった作業を行うよ
うになっているロボット3'を示す。このロボット3'に
おいては、作業部28が矢印H2方向に移動できるとと
もに矢印H3方向に回動できるようになっていて、該作
業部28によってスライディングルーフ29が矢印H4
で示すように車体Wの内部に挿入されて該車体Wに取り
付けられるようになっている。
【0021】以下、ロボット3の走行部14の具体的な
構造及び機能について説明する。図7及び図8に示すよ
うに、走行部14には、該走行部14を自力で前方もし
くは後方に走行させ、又は車体Wとの同期追従走行時の
走行抵抗を低減させる走行用サーボモータ30と、該走
行用サーボモータ30の回転を減速させる減速機31と
が設けられ、走行用サーボモータ30によって生み出さ
れた駆動力は減速機31によって減速されて減速機出力
軸32に出力されるようになっている。この減速機出力
軸32の駆動力は、後で説明するパウダクラッチ33を
介して走行部出力軸34に伝達されるようになっている
(ただし、パウダクラッチが完全に解放されている場合
は駆動力は伝達されない)。そして、この走行部出力軸
34の先端部(下端部)には、走行軌道2のラック16と
噛み合う走行用ピニオン35が取り付けられている。
【0022】ここで、パウダクラッチ33が完全に締結
(オン)されているときには、減速機出力軸32と走行部
出力軸34とが完全に連動し(連結され)、走行用サーボ
モータ30を回転させると走行用ピニオン35が回転
し、ラック16からの反力によって走行部14(ロボッ
ト3)がガイドレール15の上を自力で走行する。この
場合、走行用サーボモータ30の回転方向を切り替える
ことによって進行方向を切り替えることができる。他
方、パウダクラッチ33が完全に解放(オフ)されている
ときには、減速機出力軸32と走行部出力軸34との間
の力学的係合が遮断され、走行用サーボモータ30ない
しは減速機31は、走行部本体の運動状態とは実質的に
は無関係となる。すなわち、走行用サーボモータ30な
いしは減速機31は走行部14の走行抵抗には関与しな
くなる。なお、後で説明するように、パウダクラッチ3
3が完全には締結されず、不完全にないしは部分的に締
結されている場合は、その締結度に応じて減速機出力軸
32の回転力が走行部出力軸34に部分的に伝達され、
走行部14の同期追従走行時における走行抵抗を低減す
ることができるようになっている。
【0023】走行用サーボモータ30のやや後方におい
て走行部14には、該走行部14の走行距離ないしは走
行部14の位置(基準位置からの走行距離)を計測するエ
ンコーダ37が設けられている。このエンコーダ37の
回転軸38の先端部(下端部)には、ラック16と噛み合
うエンコーダ用ピニオン39が取り付けられている。こ
こで、走行部14(ロボット3)が走行するとその走行距
離に比例してエンコーダ用ピニオン39ひいては回転軸
38が回転し、この回転軸38の回転数に基づいて走行
部14の走行距離ないしは位置が計測される。
【0024】走行用サーボモータ30のすぐ前側におい
て走行部14には、作業部17の作業アーム20を旋回
駆動する旋回用サーボモータ41と、該旋回用サーボモ
ータ41の回転を減速させる減速機42とが設けられて
いる。ここで、作業アーム20は、旋回ベアリング43
を介して走行部14に取り付けられており、旋回用サー
ボモータ41が回転すると、これに伴って作業アーム2
0が第1関節部23(図3参照)を中心にして水平方向に
回動するようになっている(すなわち、鉛直方向の軸線
まわりに回動する)。
【0025】以下、パウダクラッチ33の具体的な構造
及び機能について説明する。図9に示すように、パウダ
クラッチ33には、走行部本体に固定され常時静止して
いる略リング形の固定クラッチ体45と、該固定クラッ
チ体45の中空部にこれと同心状に配置され減速機出力
軸32と一体回転する略円柱形のシリンダ46と、該シ
リンダ46の内部空間にこれと同心状に配置され走行部
出力軸34と一体回転する略円柱形(略円板状)のロータ
47とが設けられている。そして、固定クラッチ体45
の内部にはコイル48が配設され、このコイル48が導
線49を介して直流電源に接続されたときには固定クラ
ッチ体45が励磁されて電磁石となる。
【0026】シリンダ46は、その外周面と固定クラッ
チ体45の内周面との間に若干の隙間(磁路空隙)が保た
れるように形成・配置されている。また、シリンダ46
の下側中心部はシール50を介して走行部出力軸34と
摺接し、シリンダ46(減速機出力軸32)とロータ47
(走行部出力軸34)とは、基本的には互いに相対回転可
能に係合している。なお、シリンダ46の周部には磁束
遮断リング51が埋め込まれている。そして、ロータ4
7は、その外周面とシリンダ45の内周面との間に所定
の間隔の作動間隙が形成されるように形成・配置され、
該作動間隙に磁性粉体52(いわゆるパウダ)が挿入され
ている。
【0027】ここで、コイル48が通電されず固定クラ
ッチ体45が全く励磁されていないときには、磁性粉体
52は単なる粉体であって、シリンダ46とロータ47
とが互いに相対回転しているときには、シリンダ46な
いしはロータ47の遠心力によって磁性粉体52がシリ
ンダ内周面側に押しやられ、シリンダ46の内周面とロ
ータ47の外周面との間に力学的係合は生じない。この
場合、減速機出力軸32と走行部出力軸34との間の力
学的係合が遮断され、両者は互いに相対回転自在とな
る。つまり、パウダクラッチ33は解放されていること
になる。したがって、ロボット3が車体Wに同期追従し
ているときに、このようにパウダクラッチ33を解放す
れば、前記したとおり走行用サーボモータ30及び減速
機31が走行抵抗に関与しなくなるので、ロボット3の
走行抵抗が非常に小さくなり、コンベア1の負荷が軽減
される。
【0028】そして、コイル48が所定の最大電圧でも
って通電されて固定クラッチ体45が最大限に励磁され
たときには、該励磁によって破線53で示すような磁束
経路が生じ、磁性粉体52がこの磁束経路に沿って鎖状
につながって固体化し、その結合力によってシリンダ4
6の内周面とロータ47の外周面とが完全に連結され
る。このとき、減速機出力軸32と走行部出力軸34と
が一体回転し、減速機出力軸32の回転力が全面的に走
行部出力軸34に伝達され、走行部14(ロボット3)は
自力で走行可能となる。つまり、パウダクラッチ33は
締結されていることになる。
【0029】また、コイル48が上記最大電圧よりも低
い所定の中間的な電圧で通電されて固定クラッチ体45
が中程度に励磁されたときには、該励磁によって比較的
弱い磁束経路が生じ、磁性粉体52がこの磁束経路に沿
ってある程度固体化し、その結合力によってシリンダ4
5の内周面とロータ47の外周面とがある程度連結され
る。このとき、シリンダ46とロータ47とがスリップ
状態となり、減速機出力軸32の回転力の一部が走行部
出力軸34に伝達される状態となる。この場合、走行部
出力軸34の駆動力は(前進方向に駆動される場合)、走
行部14を自力で走行させるには足りないが、走行部1
4が車体Wからの駆動力によって該車体Wに同期追従し
て移動しているときに走行部14の走行抵抗を大幅に低
減させることができる。したがって、ロボット3が車体
Wに同期追従しているときに、このようにパウダクラッ
チ33を半締結して走行用サーボモータ30を前進方向
に駆動すれば、ロボット3の走行抵抗が大幅に低減され
るので、コンベア1の負荷が大幅に軽減される。
【0030】以下、ロボット3の当接部18の具体的な
構造及び機能について説明する。再び、図3〜図5に示
すように、当接部18は、走行部14に固定された支持
部材25と、該支持部材25によって支持された当接ア
ーム26とで構成されている。そして、当接アーム26
には、夫々支持部材25によって支持された左右の水平
アーム54,55と、夫々左右の水平アーム54,55に
よって支持された左右の昇降アーム56,57とが設け
られている。ここで、両水平アーム54,55は、回転
軸歯車67(図10参照)を介して一直線状に連結され、
両水平アーム54,55からなる一直線状の組立体は、
回転軸歯車67(図10参照)の中心部まわりに水平方向
に旋回(回動)できるようになっている。すなわち、鉛直
方向の軸線まわりに回動できるようになっている。か
つ、両水平アーム54,55は夫々、詳しくは図示して
いないがスライド機構を備えていて、その軸線方向(伸
長方向)に移動(伸縮)できるようになっている。また、
両昇降アーム56,57も夫々、詳しくは図示していな
いがスライド機構を備えていて、その軸線方向(上下方
向)に移動(伸縮)できるようになっている。
【0031】また、当接アーム26には、両水平アーム
54,55からなる組立体を回転軸歯車67(図10参
照)まわりに水平方向に回動させるための旋回モータ5
8と、夫々左右の水平アーム54,55をその軸線方向
(水平方向)に移動させるための左右の水平移動用モータ
59,60と、夫々左右の昇降アーム56,57を昇降移
動させるための左右の昇降モータ61,62とが設けら
れている。
【0032】さらに、左右の昇降アーム56,57の下
端部付近には夫々左右のボディセンサ63,64が設け
られ、また左右該昇降アーム56,57の下端部には夫
々左右の当接部材65,66が取り付けられている。こ
こで、左右のボディセンサ63,64は、左右の水平ア
ーム54,55が夫々車体Wの内側に向かって移動した
ときに、左右の当接部材65,66が車体Wの内部に入
っているか否かを検出するためのセンサである。左右の
当接部材65,66は、車体Wと直接当接して、車体側
の駆動力をロボット側に伝達する。
【0033】図10にも示すように、左右の水平アーム
54,55は回転軸歯車67によって一直線状に連結さ
れている。この回転軸歯車67は、クラッチ76が解放
(オフ)されているときには、その軸線まわりに水平方向
に自在に回動することができるようになっている。他
方、クラッチ76が締結(オン)されているときには、旋
回モータ58によって減速機75を介して強制的に回動
させられるようになっている。旋回モータ58は、左右
の水平アーム54,55からなる組立体を原点復帰させ
るためのモータ、すなわち0点合わせを行うためのモー
タである。ここで、当接アーム26を車体Wに当接させ
る際、あるいは同期追従時にはクラッチ76が解放さ
れ、左右の水平アーム54,55からなる組立体は自在
に水平方向に回動できる状態にあり、当接アーム26は
自然に車体Wに当接することができる。そして、回転軸
歯車67には旋回軸68が連結され、この旋回軸68の
旋回動作はタイミングベルト69を介してエンコーダ7
0に伝達されるようになっている。ここで、左右の水平
アーム54,55からなる組立体が水平方向に回動する
と、すなわち回転軸歯車67が水平方向に回動すると、
その回動動作がエンコーダ70に伝達され、これに伴っ
てエンコーダ70が水平アーム54,55ないしは回転
軸歯車67の回動角すなわち平面視における車体Wの左
右の傾きを検出するようになっている。
【0034】かくして、当接アーム26は、水平アーム
54,55を回転軸歯車67の中心部まわりに回動させ
るとともに水平アーム軸線方向に移動させ、さらに昇降
アームを上下方向に移動させることによって、当接部材
65,66を前側から車体Wに押圧・当接させ、これに
よって走行部14(ロボット3)を車体Wに同期追従して
前向きに走行させるようになっている。
【0035】以下、このように当接アーム26を車体W
に当接させることによって、ロボット3を車体Wに同期
追従させる際の手順ないしはロボット3の動作について
説明する。すなわち、自動車生産ラインPLが稼動して
いるときには、車体Wがコンベア1によって次々と前向
きに搬送されてくるが、今回作業ステーション5でブレ
ーキ液を注入すべき車体Wが作業ステーション5に入る
前に、ロボット3が作業ステーション5の入口側の所定
の位置に停止状態で配置される。この位置は、第1車体
検出センサ6よりもやや前方に設定される。このとき、
パウダクラッチ33のコイル48には所定の最大限の電
圧がかけられ、パウダクラッチ33は完全に締結された
状態にある。また、両水平アーム54,55は夫々その
軸線方向外向きに最大限に伸ばされた状態にある。すな
わち、両昇降アーム56,57が車体幅方向(左右方向)
に最大限に広げられ、両当接部材65,66が車体Wの
側面とは干渉し合わない状態にある。かつ、両昇降アー
ム56,57は、両当接部材65,66を車体Wの側部の
前ドア取り付け用開口部77に差し込むことが可能な所
定の高さに位置するような伸縮状態とされている。な
お、図5においては、当接アーム26はこのような状態
となっている。
【0036】そして、第1車体検出センサ6によって該
車体Wの前端部の通過が検出されたときに、走行用サー
ボモータ30がオンされる。このとき、パウダクラッチ
33が完全に締結されているので、走行用サーボモータ
30の駆動力によって走行部14(ロボット3)は前向き
に自力で走行する。この走行部14の自力走行は、ロボ
ット3を車体Wに同期追従させる際のショックを低減す
るための助走であり、この走行速度は車体Wの搬送速度
よりや小さい値に設定される。この場合、ロボット3
は、車体Wの前方を車体Wの速度vよりはやや低い速度
v'で前向きに走行している。
【0037】かくして、車体Wの速度vがロボット3の
速度v'よりもやや大きいので、車体Wは次第にロボット
3に追いついてゆくことになる。ここで、図11に状態
を示すように、車体Wが、前後方向に関して当接アーム
26の当接部材65,66を車体Wの前ドア取り付け用
開口部77に差し込むことが可能な位置に達したとき
に、両水平移動用モータ59,60が駆動されて両水平
アーム54,55が縮み、すなわち両昇降アーム56,5
7が互いに接近する方向(内向き)に移動し、これに伴っ
て両当接部材65,66が夫々左右の前ドア取り付け用
開口部77に差し込まれる。
【0038】続いて、両昇降モータ61,62が駆動さ
れて両昇降アーム56,57が縮み、これに伴って両当
接部材65,66が上向きに移動させられて、図14中
の矢印R1で示すように、当接部材65,66が前ドア取
り付け用開口部77の天井部71すなわちレインレール
に当接する。この状態においても、車体Wはロボット3
よりも大きい速度で移動しているので、まもなく両当接
部材65,66は、図12及び図15に状態を示すよう
に、その上端部を天井部71に当接させたまま後端部を
矢印R2で示すようにセンタピラー72の前端部に当接
させる。このように、両当接部材65,66が車体Wに
当接した後は、ロボット3と車体Wとは一体化して前向
きに移動することになる。
【0039】図13に示すように、当接部材65,66
には前後方向に関して車体W(センタピラー72)との当
接の有無を検出する第1近接スイッチ73と、上下方向
に関して車体W(天井部71)との当接の有無を検出する
第2近接スイッチ74とが設けられ、両近接スイッチ7
3,74は、車体Wに当接しているときには所定の当接
信号を出力するようになっている。なお、図16に、か
かる状態におけるボディセンサ63及び第1,第2近接
スイッチ73,74の車体Wに対する当接基準位置(ボデ
ィ計測基準位置)を示す。
【0040】このようにして、当接アーム26(当接部
材65,66)がセンタピラー72に当接したとき、すな
わちロボット3が車体Wに対して同期追従を開始したと
きには、コイル48への通電が停止されパウダクラッチ
33は完全に遮断される。かかる同期追従手法によれ
ば、ロボット3を車体Wに同期追従させる際に、ロボッ
ト3が走行用サーボモータ30によって駆動されて自力
で助走するので、ロボット3と車体Wとの相対速度が小
さくなり、ショックが非常に小さくなる。
【0041】また、ロボット3が車体Wに同期追従して
走行するときには、パウダクラッチ33が遮断されるの
で、走行用サーボモータ30ないしは減速機31が走行
抵抗源とはならず、したがってロボット3を同期追従さ
せることによって生じる走行抵抗が非常に小さくなり、
コンベア1の負荷が軽減される。
【0042】なお、ロボット3が車体Wに同期追従して
走行するときに、コイル48に所定の中程度の電圧でも
って通電し、パウダクラッチ33を部分的に締結された
状態とした上で走行用サーボモータ30を前進側に駆動
し、走行用サーボモータ30の駆動力を部分的に走行部
出力軸34に伝達してロボット3(走行部14)の走行を
助勢するようにしてもよい。このようにすれば、ロボッ
ト3の走行抵抗が極めて小さくなり、コンベア1の負荷
がさらに軽減される。
【0043】ところで、このように当接アーム26が車
体Wに当接しているときには、該当接アーム26の当接
状態すなわち当接アーム26の姿勢に基づいて車体Wの
姿勢が検出されるようになっている。第1実施例では、
車体Wの姿勢としては、立面視における車体の左右の傾
きと、平面視における車体Wの左右の傾きとが検出され
るようになっている。このように検出された車体Wの姿
勢は、ロボット制御盤8で作業部17を制御する際の制
御情報として利用される。
【0044】具体的には、立面視における車体Wの左右
の傾きは、およそ次のような手順ないしは手法で検出さ
れる。すなわち、図17に示すように、左側当接部材6
5と右側当接部材66のF1,F2方向すなわち上下方向
のずれdが計測され、このずれdから立面視における車体
Wの左右の傾きが検出される。ここで、ずれdは左側昇
降アーム56を上昇させたときの左側昇降モータ61の
駆動時間と、右側昇降アーム57を上昇させたときの右
側昇降モータ62の駆動時間の差から演算される。昇降
アーム56,57の上昇距離は、昇降モータ61,62の
駆動時間に比例するからである。なお、車体Wにこのよ
うな立面視における左右の傾きが生じる主な原因は、左
右のタイヤの空気圧のアンバランスである。
【0045】他方、平面視における車体Wの左右傾き
は、およそ次のような手順ないしは手法で検出される。
すなわち、図18に示すように、左右の水平アーム5
4,55が車体Wに当接する際、車体Wが平面視で左右
に傾いていると、例えば矢印B1,B2で示すように両水
平アーム54,55が回転軸歯車67(図10参照)の中
心部を回動中心として回動する。その際の回動角がエン
コーダ70で計測され、この回動角が平面視における車
体Wの左右の傾きγとなる。なお、図18において、直
線L1は前後方向を示し、直線L2は車体Wの前後方向の
軸線を示している。このようにして、立面視及び平面視
における車体Wの左右の傾きが検出される。かかる検出
手法によれば、ロボット3を車体Wに同期追従させるた
めの当接アーム26の姿勢に基づいて車体Wの姿勢が検
出ないしは認識されるので、車体Wの姿勢を検出するた
めのセンサを別途に設ける必要がない。したがって、ロ
ボット3の構造が大幅に簡素化される。
【0046】以下、ロボット3の作業部17の具体的な
構造及び機能について説明する。図2〜図4及び図7に
示すように、作業部17においては、旋回用サーボモー
タ41を回動させることにより、作業アーム20を第1
関節部23を回動中心として水平方向(図2中の矢印J1
方向)に回動させることができるようになっている。こ
こで、作業部17がブレーキ液注入作業を行っていない
とき、すなわちロボット3が車体Wに同期追従する前あ
るいは今回ブレーキ液を注入すべき車体Wに対するブレ
ーキ液注入作業が終了してるときときには、作業アーム
20は、図3中に仮想線で示されているような姿勢をと
り、このとき作業部17はコンベア1によって搬送され
ている車体Wとは何ら干渉し合わない。他方、作業部1
7がブレーキ液注入作業を行っているときには、作業ア
ーム20は図3中に実線で示されているような姿勢、す
なわちブレーキ液注入機22が車体Wに搭載されたブレ
ーキ液タンク122(図25参照)にブレーキ液を注入す
るのが可能な姿勢をとる。このように、基本的には作業
アーム20を水平方向に回動させることによってブレー
キ液注入機22を車体W(ブレーキ液タンク122)に接
近・離反させるようにしているので、作業部17と車体
Wのボンネットとの干渉が生じない。
【0047】作業アーム20の先端部付近に連結された
回動アーム21は、アクチュエータ79によって第2関
節部24を回動中心として水平方向と水平面と直交する
方向とに回動することができるようになっている。な
お、後で説明するように回動アーム21はその軸線まわ
りにも回動することができるようになっている。かくし
て、当接アーム26の姿勢に基づいて検出された車体W
の姿勢に応じて、作業アーム20を第1関節部23まわ
りに好ましく回動させるとともに、回動アーム21を第
2関節部24まわりに好ましく回動させることによっ
て、回動アーム21に連結されたブレーキ液注入機22
を、車体Wに搭載されたブレーキ液タンク122と係合
する位置に高精度で配置することができる。
【0048】以下、ブレーキ液タンク122にブレーキ
液を注入するブレーキ液注入機22の具体的な構造及び
機能について説明する。図19〜図21に示すように、
ブレーキ液注入機22には、ブレーキ液タンク122
(図25参照)のキャップ80の着脱(キャップの取り付
けと取り外し)を行うキャップクランパ81と、ブレー
キ液タンク122にブレーキ液を注入する注入ノズル8
2とが設けられている。
【0049】ここで、キャップクランパ81は、クラン
パ取付ブラケット83に取り付けられ、このクランパ取
付ブラケット83は第1フローティングデバイス84を
介して基部ブラケット85に連結され、さらにこの基部
ブラケット85が前記の回動アーム21に取り付けられ
ている。第1フローティングデバイス84は、後で説明
するように、クランパ取付ブラケット83と基部ブラケ
ット85との間の相対的な位置関係を、所定の限度内で
3次元的に(図24に示す諸方向に)自在に変化させるこ
とができるようになっている。すなわち、キャップクラ
ンパ81の、基部ブラケット85に対する姿勢を上記限
度内で3次元的に自在に変化させることができる。
【0050】クランパ取付ブラケット83にはエアモー
タ87が取り付けられ、このエアモータ87はキャップ
クランパ81をその軸線L3まわりに回転させることが
できるとともに、両矢印M1方向に変位させることがで
きるようになっている。そして、キャップクランパ81
には複数のクランプ爪89が設けられ、これらのクラン
プ爪89は両矢印M2方向に開閉することができるよう
になっている。さらに、キャップクランパ81には、キ
ャップ80の取り外しの完了を検出する第1タッチセン
サ88と、キャップ80との当接の有無によりキャップ
クランパ81がキャップ80をクランプしうる位置にあ
るか否かを検出する第2タッチセンサ90とが設けられ
ている。ここで、第1タッチセンサ88は次のようにし
てキャップの取り外しの完了を検出する。すなわち、キ
ャップクランパ81はキャップ80をクランプした後軸
線L3まわりに回転してキャップ80をブレーキ液タン
ク122から取り外すようになっているが、その際キャ
ップクランパ81は徐々に上昇し、キャップクランパ8
1が所定の距離以上に上昇したときにはキャップ80は
ブレーキ液タンク122から離脱する。そこで、第1タ
ッチセンサ88を、キャップクランパ81が上記所定の
距離だけ上昇したときには検出端がキャップクランパ8
1の上端に接触するように配置し、第1タッチセンサ8
8がキャップクランパ81との当接を検出したときにキ
ャップ80の取り外しが完了したものと判定するように
している。なお、第2タッチセンサ90は、円形に配置
されたクランプ爪89の中心部に配置されているので、
該第2タッチセンサ90がキャップ80の上端部に当接
したときにはキャップクランパ81がキャップ80をク
ランプしうる位置に配置されていることになる。
【0051】他方、注入ノズル82は、ノズル用ブラケ
ット91に取り付けられ、このノズル用ブラケット91
は第2フローティングデバイス92を介して基部ブラケ
ット85に連結されている。このため、注入ノズル82
も、キャップクランパ81と同様に、基部ブラケット8
5に対する姿勢を所定の限度内で3次元的に(図24に
示す諸方向に)自在に変化させることができるようにな
っている。
【0052】かかるブレーキ液注入機22において、キ
ャップクランパ81と注入ノズル82とは、第1,第2
フローティングデバイス84,92が基準姿勢(原点位
置)に固定されているときには、キャップクランパ81
及び注入ノズル82の各軸線L3,L4が立面視で互いに
所定の角度ω(例えば、90°)をなすような位置関係で
配置されている。そして、回動アーム21を略水平方向
に延びるように配置した上でその軸線まわりに角度ωだ
け回動させることにより、キャップクランパ81と注入
ノズル82のうちのいずれか一方を、その軸線L3,L4
が上下方向を向くような姿勢をとらせることができるよ
うになっている。キャップクランパ81と注入ノズル8
2とは、その軸線L3,L4が上下方向を向くように配置
されたときには、ブレーキ液タンク122と係合しうる
姿勢をとる。なお、以下では便宜上、キャップクランパ
81あるいは注入ノズル82が、その軸線が上下方向を
向くように配置されている状態を下向きないしは下向き
の姿勢といい、軸線が水平方向を向くように配置されて
いる状態を横向きないしは横向きの姿勢という。
【0053】以下、第1フローティングデバイス84の
具体的な構造及び機能について説明する。なお、第2フ
ローティングデバイス92も、第1フローティングデバ
イス84と同様の構造である。図22及び図23に示す
ように、第1フローティングデバイス84においては、
一方の端面が開放され他方の端面が閉止された中空部を
有する略円柱形の本体フレーム101と、その一部が本
体フレーム101の中空部に収容され残部が該中空部の
外に露出されるように配置された可動体プレート102
とが設けられている。ここで、本体フレーム101の閉
止された方の端面は基部ブラケット85(図20参照)に
取り付けられ、他方可動体プレート102はクランパ取
付ブラケット83(図20参照)に取り付けられている。
【0054】そして、本体フレーム101と可動体プレ
ート102とは、大径の鋼球103と小径の鋼球108
とを介して係合している。具体的には、可動体プレート
102の本体部が大径の鋼球103と円錐コマ107と
を介して本体フレーム101と係合している。さらに、
可動体プレート102には球面リング110と、該球面
リング110と摺接する外リング111とが設けられ、
この外リング111の上面及び下面が夫々小径の鋼球1
08を介して本体フレーム101と係合している。かく
して、可動体プレート102は基本的にはこれらの鋼球
103,108の作用により、本体フレーム101に対
して3次元的に変位することができるようになってい
る。具体的には、球面リング110と外リング111と
は、夫々、図23中の矢印で示すような方向に移動ない
しは変位する。その結果、可動体プレート102は、図
24中で矢印X,Yで示すような水平面内における前後
左右方向の変位と、矢印αで示すような水平面内におけ
るねじれ方向の変位と、矢印θで示すような鉛直ねじれ
方向の変位とが可能となる。なお、以下ではこのように
可動体プレート102が自在に変位しうる状態をフロー
ティング状態という。
【0055】また、可動体プレート102には、エア供
給口104を通して供給される加圧エアによって作動
し、該可動体プレート102の姿勢を固定する第1ピス
トン105及び第2ピストン106が設けられている。
なお、109は緩衝材であり、112はめくら栓であ
り、113はピン部材である。
【0056】かくして、第1ピストン105及び第2ピ
ストン106に加圧エアが供給されていないときには、
第1フローティングデバイス84はフローティング状
態、すなわち可動体プレート102が3次元的に自在に
変位することがきる状態となる。このとき、キャップク
ランパ81は、該キャップクランパ81が下向きの姿勢
をとっておりかつ回動アーム21が停止している状態に
おいては、略水平方向に所定の限度内(例えば、±12m
m以内)で変位することができるとともに、その傾きを所
定の限度内で変化させることができる。つまり、キャッ
プクランパ81をキャップ80と係合しうる位置に配置
した上で、クランプ爪89でキャップ80をクランプす
ると、キャップクランパ81の水平方向の位置及び傾き
がキャップ80の位置及び姿勢に応じて自然に補正さ
れ、キャップ80を正しくクランプすることができるこ
とになる。
【0057】しかしながら、エア供給通路104を通し
て第1ピストン105及び第2ピストン106に加圧エ
アが供給されたときには、第1ピストン105及び第2
ピストン106が作動して、可動体プレート102を本
体フレーム101に対して固定する。なお、以下では第
1フローティングデバイス84のこのように固定された
状態をロック状態という。このとき、可動体プレート1
02の位置ないしは姿勢が固定され、したがって可動ア
ーム21が停止しているときにはキャップクランパ81
の位置及び姿勢が固定される。
【0058】以下、注入ノズル82の具体的な構造及び
機能について説明する。図25及び図26に示すよう
に、注入ノズル82はブレーキ液供給パイプ123とエ
ア吸引パイプ124とに接続されている。そして、注入
ノズル82はノズル部121をブレーキ液タンク122
の開口部に当接させてクランプ部材129で上記開口部
をクランプした上で、ブレーキ液供給パイプ123から
供給されるブレーキ液をブレーキ液供給通路127を介
してブレーキ液タンク122に注入する一方、ブレーキ
液タンク122へのブレーキ液の注入を促進するために
ブレーキ液タンク122内のエアをエア吸引通路128
を通してエア吸引パイプ124に排出するようになって
いる。なお、クランプ部材129はソレノイドバルブ1
30,131から給排される作動エアによって開閉され
るようになっている。
【0059】そして、前記したとおりノズル用ブラケッ
ト91と基部ブラケット85との間に第2フローティン
グデバイス92が介設されているので、注入ノズル82
もキャップクランパ81の場合と同様に、該注入ノズル
82が下向きの姿勢をとりかつ回動アーム21が停止し
ている状態において、略水平方向に所定の限度内(例え
ば、±12mm以内)で変位することができるとともに、
その傾きを所定の限度内で変化させることができる。つ
まり、注入ノズル82をブレーキ液タンク122の開口
部と係合しうる位置に配置した上で、ノズル部121を
下降させて上記開口部に押し付ければ、ノズル部121
のテーパ部の作用により、注入ノズル82の水平方向の
位置及び傾きが上記開口部の位置及び姿勢に応じて自然
に補正され、ノズル部121を上記開口部に正しい姿勢
で当接させることができる。なお、第2フローティング
デバイス92がロックされたときには、注入ノズル82
の位置ないしは姿勢が固定されるのはもちろんである。
【0060】ところで、ロボット3においては、回動ア
ーム21を略水平方向に延びるように配置した上で、該
回動アーム21をその軸線まわりに回動させ、これによ
ってキャップクランパ81と注入ノズル82とを、水平
面とは直交する方向に所定の角度ωだけ回動させること
によって、すなわち略水平方向を向いた軸線まわりに回
動させることによってブレーキ液タンク122との係合
状態を切り替えるようにしている。したがって、注入ノ
ズル82は下向きの姿勢でブレーキ液タンク122にブ
レーキ液を注入した後、回動させられて横向きの姿勢と
なる。このため、ノズル部121に付着しているブレー
キ液が下方に落下しにくくなり、ブレーキ液タンク12
2まわりの各部材へのブレーキ液の落下・付着が防止さ
れ、該部材の腐蝕が防止される。
【0061】しかしながら、第1実施例では、注入ノズ
ル82にブレーキ液の落下を防止するタレ防止キャップ
を設けて、ブレーキ液タンク122まわりの各部材への
ブレーキ液の落下・付着をより一層確実に防止するよう
にしている。以下、かかるタレ防止キャップの具体的な
構造及び機能について説明する。図27〜図31に示す
ように、タレ防止キャップ140はタレ防止バー141
の先端部に取り付けられ、このタレ防止バー141はタ
レ防止駆動機構142によって駆動され、回動軸144
まわりに両矢印H5方向に回動することができるように
なっている。そして、タレ防止バー141が両矢印H5
方向に回動すると、これに伴ってタレ防止キャップ14
0がノズル部121を開閉するようになっている。ここ
で、タレ防止駆動機構142においては、ロータリアク
チュエータ149が回転すると、この回転力がまず駆動
プーリ147に伝えられ、この駆動プーリ147の駆動
力がベルト143を介して被駆動プーリ148に伝えら
れ、この被駆動プーリ148の回動に伴って、タレ防止
バー141が回動軸144まわりに回動するようになっ
ている。
【0062】また、タレ防止キャップ140にはブレー
キ液抜き取り口145が設けられ、このブレーキ液抜き
取り口145はブレーキ液抜き取りホース146に接続
されている。このブレーキ液抜き取りホース146の他
端は減圧ポンプ(図示せず)に接続されており、タレ防止
キャップ145内に溜まったブレーキ液は、減圧ポンプ
の吸引力により、ブレーキ液抜き取り口145とブレー
キ液抜き取りホース146とを通して外部に排出される
ようになっている。かくして、ブレーキ液をブレーキ液
タンク122に注入した後、すみやかにタレ防止キャッ
プ140で注入ノズル82のノズル部121を覆うこと
により、注入ノズル82に付着しているブレーキ液の落
下が確実に防止され、ブレーキ液タンク122まわりの
各部材へのブレーキ液の落下・付着が確実に防止され
る。
【0063】以下、ブレーキ液注入機22の具体的な操
作方法ないしはブレーキ液注入機22の動作について説
明する。作業部17ないしはブレーキ液注入機22のブ
レーキ液注入作業に際しての操作手順は、およそ次のと
おりである。 (1)ロボット3の電源及び作動エア供給源をオンし、か
つロボット3の制御用電源及び制御用エア供給源をオン
する。これによって、作業部17ないしはブレーキ液注
入機22が作業可能な状態となる。 (2)第1,第2フローティングデバイス84,92を夫々
基準姿勢(可動体プレート102が原点位置に配置され
た状態)とした上でロックする。なお、第1,第2フロー
ティングデバイス84,92は夫々、フローティング状
態とした上でキャップクランパ81あるいは注入ノズル
82を下向きにすれば自然に基準姿勢をとるので、この
状態でロックすればよい。
【0064】(3)所定のプログラムに従って作業アーム
20及び回動アーム21を作動させて、ブレーキ液注入
機22を所定の原点位置からブレーキ液タンク122と
係合しうる位置に向かって高速で移動させる(プログラ
ム移動)。なお、ブレーキ液注入機22は、初期状態に
おいては、キャップクランパ81が下向きとなり、注入
ノズル82が横向きとなる状態にある。そして、キャッ
プクランパ81の下端部が、ブレーキ液タンク122の
キャップ80の上方の所定の位置(例えば、キャップよ
り50mm上側)にきたときに、第2タッチセンサ90の
電源をオンし、上記移動速度を低下させ、クランプ爪8
9を開く。 (4)第2タッチセンサ90がブレーキ液タンク122の
キャップ80に接触したときに、作業アーム20及び回
動アーム21のプログラム移動を停止させ、さらに第1
フローティングデバイス84をフローティング状態にす
る。
【0065】(5)クランプ爪89を閉じる。このクラン
プ爪89を閉作動させる時間はタイマを用いて0.5〜
10秒の範囲内の好ましい値に設定される。このとき、
第1フローティングデバイス84がフローティング状態
にあるので、クランプ動作に伴ってキャップクランパ8
1がキャップの位置に応じて水平方向に移動しあるいは
傾いて、キャップ80を正しい姿勢でクランプする。す
なわち、キャップ中心がキャップクランパ81の軸線と
一致する正しい姿勢でキャップ80がクランプされる。 (6)第1フローティングデバイス84をロックした上
で、キャップクランパ81(クランプ爪89)をキャップ
80が外れる方向(平面視で反時計回り方向)に回転さ
せ、キャップ80を取り外す。この場合、キャップクラ
ンパ81の上端部が第1タッチセンサ88に接触したと
きに上記回転が停止される。なお、第1タッチセンサ8
8を用いずに、タイマを用いてキャップクランパ81
(クランプ爪89)を一定時間(例えば、0.5〜10秒の
範囲内の好ましい値)だけ回転させてキャップ80を取
り外すようにしてもよい。そして、キャップ80を取り
外した後キャップクランパ81を所定の位置(例えば、
キャップより50mm上側)まで上昇させる。
【0066】(7)回動アーム21をその軸線まわりに所
定の角度ω(例えば、90°)だけ回動させ、キャップク
ランパ81を横向きにする一方注入ノズル82を下向き
にし、注入ノズル82にブレーキ液タンク122と係合
可能な姿勢をとらせる。なお、この場合、第2タッチセ
ンサ90がオン状態にあることを確認する。第2タッチ
センサ90がオン状態でない場合は、キャップ80が脱
落していると考えられるからである。このとき、注入ノ
ズル82の下端部すなわちノズル部121は、ブレーキ
液タンク122の開口部より所定距離(例えば、50mm)
上方に位置している。また、タレ防止キャップ140は
開かれた状態(ノズル部121を覆っていない状態)にあ
る。 (8)第2フローティングデバイス92をフローティング
状態にした上で、注入ノズル82を下降させてノズル部
121をブレーキ液タンク122の開口部に当接・係合
させる。この注入ノズル82を下降させる時間はタイマ
を用いて0.5〜10秒の範囲内の好ましい値に設定さ
れる。このとき、第2フローティングデバイス92がフ
ローティング状態にあるので、該当接に伴って注入ノズ
ル82がブレーキ液タンク122の開口部の位置に応じ
て水平方向に移動しあるいは傾いて、ノズル部121を
正しい姿勢で上記開口部に当接させる。すなわち、ノズ
ル部121の中心がブレーキ液タンク122の開口部の
中心と一致する正しい姿勢でノズル部121と上記開口
部とが当接する。
【0067】(9)第2フローティングデバイス92をロ
ックし、さらにクランプ部材129でブレーキ液タンク
122の開口部をクランプした上で、注入ノズル82か
らブレーキ液タンク122にブレーキ液を注入する。な
お、このときブレーキ液タンク122内のエアが注入ノ
ズル82を介して吸引・排出される。 (10)ブレーキ液タンク122に所定量のブレーキ液が
注入されたときに、ブレーキ液の注入及びエアの吸引を
停止し、この後クランプ部材129を開いてブレーキ液
タンク122の開口部のクランプを解除する。
【0068】(11)注入ノズル82を所定距離(例え
ば、50mm)だけ上昇させて停止させる。そして、第2
フローティングデバイス92をフローティング状態にし
て基準姿勢をとらせ、この後第2フローティングデバイ
ス92を再びロックする。 (12)ロータリアクチュエータ149をオンし、タレ防
止キャップ140を閉じる。これによって、ノズル部1
21がタレ防止キャップ140によって覆われる。な
お、タレ防止キャップ140内に溜まったブレーキ液は
ブレーキ液抜き取りホース146を通して外部に排出さ
れる。
【0069】(13)回動アーム21を(7)の場合と逆方
向に所定の角度ω(例えば、90°)だけ回動させ、注入
ノズル82を横向きにする一方キャップクランパ81を
再び下向きにし、キャップクランパ81にブレーキ液タ
ンク122と係合可能な姿勢をとらせる。なお、この場
合、第2タッチセンサ90がオン状態にあることを確認
する。このとき、キャップクランパ81の下端部は、ブ
レーキ液タンク122の開口部より所定距離(例えば、
50mm)だけ上方に位置している。 (14)キャップクランパ81を所定距離(例えば、50m
m)だけ下降させた後、クランプ爪89をキャップ80が
締まる方向(平面視で時計回り方向)に回転させ、キャッ
プ80を締める。この場合、クランプ爪89を回転させ
る回数は、キャップ80を外したときの回数と一致させ
ればよい。そして、キャップ80を締めた後クランプ爪
89を開き、キャップクランパ81を所定距離(例え
ば、50mm)だけ上昇させる。なお、このとき第2タッ
チセンサ90がオフ状態にあることを確認する。 (15)所定のプログラムに従って作業アーム20及び回
動アーム21を作動させて、ブレーキ液注入機22を原
点位置まで高速で移動させる。以上で、今回のブレーキ
液注入作業が完了する。
【0070】かかるブレーキ液注入作業によれば、まず
キャップ80を取り外す際の位置決めによって、キャッ
プクランパ81がブレーキ液タンク122に対して所定
の正しい位置に配置される。そして、ブレーキ液を注入
する際には回動アーム21がωだけ回動させられてキャ
ップクランパ81が横向きとなるが、ブレーキ液の注入
が終了した後で回動アーム21が上記と逆方向にωだけ
回動させられてキャップクランパ81が下向きとなるの
で、キャップクランパ81は上記の所定の正しい位置に
復帰する。したがって、キャップクランパ81でキャッ
プ80を締める際には、キャップクランパ81が必然的
に正しい位置に配置されていることになり、キャップク
ランパ81の位置決めを行う必要がない。つまり、ブレ
ーキ液の注入作業においては、キャップ80を取り外す
際と、ブレーキ液を注入する際の2回だけ位置決めを行
えば足りる。したがって、ブレーキ液注入作業における
位置決めが簡略化され、該作業が能率化される。また、
注入ノズル82に付着しているブレーキ液の落下が確実
に防止され、ブレーキ液タンク122まわりの各部材へ
のブレーキ液の落下・付着が生じないので、該部材の腐
蝕が防止される。
【0071】<第2実施例>以下、図32を参照しつつ
第2実施例を説明するが、第2実施例の基本構成は前記
の第1実施例と共通であるので、以下では説明の重複を
避けるため第1実施例と共通する部分の説明は省略し、
第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。なお、
図32において第1実施例と共通する部材には第1実施
例の場合と同一の番号を付している。第2実施例におい
ては、ロボット3には第1実施例の場合のような略コの
字状の当接アーム26を備えた当接部18は設けられて
いない。したがって、ロボット3の車体Wへの当接手法
と、車体Wの姿勢の検出方法とが第1実施例の場合とは
異なることになる。第2実施例では、車体の平面視にお
ける左右の傾きは検出されるが、立面視における左右の
傾きは検出されない。また、第2実施例では、ロボット
3が車体Wに同期追従して走行する際に、その走行抵抗
を低減する補助モータ161が設けられている。その他
の点については、第1実施例の場合とほぼ同様である。
【0072】図32に示すように、第2実施例ではロボ
ット3に、該ロボット3を車体Wに当接ないしは連結さ
せて同期追従させるための当接アーム162が設けられ
ている。この当接アーム162は、開閉可能な把持部1
62aを両矢印S2方向に往復移動させることができるよ
うになっている。そして、当接アーム162は、ロボッ
ト3を車体Wに同期追従させる際には、把持部162a
を開いた状態で車体Wに向かって移動させてセンタピラ
ー72をはさんだ後、把持部162aを閉じて該把持部
162aにセンタピラー72を把持させる。これによっ
てロボット3と車体Wとが連結され、ロボット3が車体
Wに同期追従するようになっている。
【0073】なお、車体Wが2ドア車である場合には、
後ドア用開口部が設けられないので、当接部材162の
把持部162aでセンタピラー72をはさむことができ
ない。そこで、2ドア車の場合は、当接アーム162に
加えて、両矢印S4方向に移動可能な接触部165aを備
えた補助当接アーム165を用いてロボット3を車体W
に連結(前後に固定)するようにしている。この場合、当
接アーム162の把持部162aを前側からセンタピラ
ー72に当接させる一方、補助当接アーム165の接触
部165aを前ドア開口部77の前側縁部に接触させ、
これによってロボット3と車体Wとを連結して、すなわ
ちロボット3と車体Wとの前後の相対的な移動が起こら
ないようにして、ロボット3を車体Wに同期追従させる
ようにしている。
【0074】そして、第2実施例では、前記の当接アー
ム162あるいは補助当接アーム165で車体Wの姿勢
を検出することができない。そこで、車体Wの姿勢を検
出するために、夫々車体Wの右側から該車体Wに向かっ
て変位して車体Wに接触することができる第1接触部材
163及び第2接触部材164が設けられている。ここ
で、第1接触部材163は同期追従時にはセンタピラー
72のやや後側で車体Wの側部に接触し、第2接触部材
164は同期追従時にはセンタピラー72のやや前側で
車体Wの側部に接触するようになっている。
【0075】かくして、計測制御盤10は、第1接触部
材163の車体Wへの接触時における左方向への変位量
と、第2接触部材164の車体Wへの接触時における左
方向への変位量とに基づいて、平面視における車体Wの
左右の傾きを演算するようになっている。したがって、
第2実施例では、立面視における左右の傾きは検出され
ない。このように、第2実施例では立面視における左右
の傾きの検出を省略しているのは、およそ次のような理
由による。すなわち、車体Wに立面視における左右の傾
きが生じる原因は、主として左右のタイヤの空気圧のア
ンバランスであるが、空気圧の調整を入念に行えばかか
る空気圧のアンバランスはほとんど生じるおそれがな
く、また仮に空気圧のアンバランスが生じても車体Wの
立面視における左右の傾きは比較的小さく、作業部17
によるブレーキ液注入作業に支障が生じるほどには至ら
ない。そこで、第2実施例では、立面視における車体W
の左右の傾きの検出を省略している。
【0076】また、第2実施例では、車体Wとの同期追
従時におけるロボット3の走行抵抗を低減するために、
走行用サーボモータ30とは別体の補助モータ161が
設けられている。この補助モータ161としては、例え
ば電動式モータあるいはエア作動式モータが用いられ
る。なお、図32において160は、各種車種情報を記
憶しているメモリである。かくして、第2実施例におい
てもロボット3の同期追従時の走行抵抗が大幅に低減さ
れ、コンベア1の負荷が大幅に軽減される。さらに、ロ
ボット3の作業アーム20には、ロボット3が車体Wに
同期追従しているときには車体Wに当接してあるいは車
体Wに連結されて車体Wを固定する連結部材166が設
けられている。このように、同期追従時に車体Wの姿勢
が固定されるので、作業部17によるブレーキ液注入作
業の作業性ないしは作業精度が高められる。第2実施例
のその他の構成は、前記の第1実施例の場合と同様であ
る。
【0077】
【発明の作用・効果】第1の発明によれば、ロボットを
物品に当接させるための当接アームの両端の物品への
接状態に基づいて該物品の姿勢が検出され、この検出さ
れた物品の姿勢に基づいて作業手段が制御され、作業手
段の作業が適切に行われる。つまり、当接アームが物品
の姿勢検出センサを兼ねることになる。したがって、物
品の姿勢を検出する別体のセンサが不要となり、ロボッ
トの構造が簡素化される。さらに、当接アームが、略コ
の字状に形成されていて、水平方向及び鉛直方向に変位
してその両端部を物品に押圧・当接させることによって
物品の姿勢を検出するようになっているので、物品の平
面視及び立面視における傾き(姿勢のずれ)が検出され、
物品の姿勢が正確に認識される。
【0078】
【0079】第の発明によれば、基本的には第1の
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、連動手段と
作業手段とが一体形成されているので、ロボットの構造
が簡素化される。
【0080】第の発明によれば、基本的には第1又は
第2の発明と同様の作用・効果が得られる。さらに、当
接アームの物品に対する当接状態に応じて作業アームの
姿勢が制御されるので、作業手段の作業精度が高められ
る。
【0081】第の発明によれば、基本的には第1〜第
の発明のいずれか1つと同様の作用・効果が得られ
る。さらに、当接アームの両端部を車体の側部開口に差
し込んで上昇させるだけの簡単な動作で、該当接アーム
を車体に当接させることができるので、当接アームの操
作ないしは制御が容易となる。
【0082】第の発明によれば、基本的には第の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、当接アーム
の両端部をドア取り付け用開口部に差し込んで上昇させ
るだけの簡単な動作で、該当接アームを車体の中央部の
センタピラーに当接させることができるので、当接アー
ムの操作ないしは制御が容易となる。また、当接アーム
が車体の中央部に配置される剛性の高いセンタピラーと
当接するので、同期追従性が良くなる。
【0083】
【0084】第の発明によれば、当接アームの両端部
を車体の側部開口に差し込んで上昇させるだけの簡単な
動作で、該当接アームを車体に当接させることができる
ので、当接アームの操作ないしは制御が容易となる。か
つ、当接アームの車体への当接状態に基づいて該車体の
姿勢を検出し、この車体の姿勢に基づいて作業手段を制
御するようにしているので、作業手段の作業が適切に行
われる。したがって、物品の姿勢を検出するセンサが不
要となり、ロボットの構造が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1〜請求項に対応する第1〜第
発明の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1実施例を示す、ブレーキ液注入
用のロボットを備えた自動車生産ラインの平面説明図で
ある。
【図3】 第1実施例にかかるロボットの平面説明図で
ある。
【図4】 図3に示すロボットの側面説明図である。
【図5】 図3に示すロボットの後面説明図である。
【図6】 スライディングルーフ取り付け用のロボット
の平面説明図である。
【図7】 図3に示すロボットの走行部の前半部の一部
断面側面説明図である。
【図8】 図3に示すロボットの走行部の後半部の一部
断面側面説明図である。
【図9】 パウダクラッチの構造を示す模式図である。
【図10】 当接アームの旋回モータまわりの正面説明
図である。
【図11】 車体に当接する前における当接アームの姿
勢を示す図である。
【図12】 車体に当接した後における当接アームの姿
勢を示す図である。
【図13】 車体に当接する前における当接アームの姿
勢を示す図である。
【図14】 当接部材がレインレールに当接した状態を
示す図である。
【図15】 当接部材がセンタピラーに当接した状態を
示す図である。
【図16】 ボディセンサ及び近接スイッチの車体に対
する当接基準位置を示す図である。
【図17】 当接部材が車体に当接している状態を後側
からみた図である。
【図18】 当接部材が車体に当接している状態を上側
からみた図である。
【図19】 ブレーキ液注入機の正面説明図である。
【図20】 ブレーキ液注入機の側面説明図である。
【図21】 ブレーキ液注入機の平面説明図である。
【図22】 フローティングデバイスの一部断面立面説
明図である。
【図23】 図22に示すフローティングデバイスの球
面リング及び外リングを拡大して示した図である。
【図24】 フローティングデバイスの可動体プレート
の移動方向を示す図である。
【図25】 ブレーキ液注入機の注入ノズルの側面説明
図である。
【図26】 図25に示す注入ノズルの一部断面側面説
明図である。
【図27】 タレ防止キャップを装着した注入ノズルの
側面説明図である。
【図28】 図27に示す注入ノズルの正面説明図であ
る。
【図29】 図27に示す注入ノズルの下面平面説明図
である。
【図30】 タレ防止キャップ及びその駆動機構の側面
説明図である。
【図31】 図30に示すタレ防止キャップ及びその駆
動機構の正面説明図である。
【図32】 本発明の第2実施例を示す、ブレーキ液注
入用のロボットを備えた自動車生産ラインの斜視説明図
である。
【符号の説明】
PL…自動車生産ライン W…車体 1…コンベア 2…走行軌道 3…ロボット 4…ブレーキ液供給装置 5…作業ステーション 6,7…第1,第2車体検出センサ 8…ロボット制御盤 9…インタロック盤 10…計測制御盤 14…走行部 17…作業部 18…当接部 26…当接アーム 54,55…水平アーム 56,57…昇降アーム 65,66…当接部材 71…レインレール 72…センタピラー 77…前ドア取り付け用開口部 162…当接アーム 165…補助当接アーム 163,164…第1,第2接触部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木原 伸雄 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−152038(JP,A) 特開 平4−278885(JP,A) 特開 昭63−112290(JP,A) 特開 昭60−34254(JP,A) 特開 昭61−146688(JP,A) 特開 平1−226482(JP,A) 特開 昭63−260781(JP,A) 特開 平4−63643(JP,A) 実開 平1−64386(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23P 19/00 - 21/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 当接アームを備えていて、該当接アーム
    を搬送手段によって搬送されている物品の進行方向にみ
    て前側から該物品に押圧・当接させることにより、物品
    から与えられる駆動力でもって該物品に同期追従して移
    動することができる連動手段と、 該連動手段の移動に基づいて物品に同期追従して移動
    し、該物品に対して所定の作業を行う作業手段とが設け
    られている姿勢検出型ロボットであって、 当接アームの両端の物品への当接状態に基づいて該物品
    の姿勢を検出し、この検出された物品の姿勢に基づいて
    作業手段を制御する作業制御手段が設けられ 当接アームが、略コの字状に形成され、かつその中間部
    が略水平方向に延びその両端部が上記中間部の下方に位
    置するように配置されていて、 該当接アームが、水平方向及び鉛直方向に変位してその
    両端部を物品に押圧・当接させるようになっ ていること
    を特徴とする姿勢検出型ロボット。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された姿勢検出型ロボッ
    トにおいて、 連動手段と作業手段とが一体形成されていることを特徴
    とする姿勢検出型ロボット。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載された姿勢検出型
    ロボットにおいて、 作業手段に、その姿勢を変化させることによって作業位
    置を変化させることができる作業アームが設けられ、 作業制御手段が、当接アームの物品に対する当接状態に
    応じて作業アームの姿勢を制御するようになっているこ
    とを特徴とする姿勢検出型ロボット。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項のいずれか1つに記
    載された姿勢検出型ロボットにおいて、 搬送手段によって搬送される物品が自動車の車体であっ
    て、 当接アームが車体に押圧・当接させられる際には、該当
    接アームの両端部が、車体の側部開口に差し込まれた後
    上昇させられてその上部が開口上縁部に接触させられ、
    この後上記両端部の後部が開口後縁部に接触させられる
    ようになっていることを特徴とする姿勢検出型ロボッ
    ト。
  5. 【請求項5】 請求項に記載された姿勢検出型ロボッ
    トにおいて、 車体の側部開口がドア取り付け用開口部であって、 当接アームの両端部がドア取り付け用開口部に差し込ま
    れた後上昇させられてその上部がレインレールに接触さ
    せられ、この後上記両端部の後部がセンタピラーに接触
    させられるようになっていることを特徴とする姿勢検出
    型ロボット。
  6. 【請求項6】 当接アームを備えていて該当接アームを
    搬送手段によって搬送されている物品の進行方向にみて
    前側から該物品に押圧・当接させることにより物品から
    与えられる駆動力でもって該物品に同期追従して移動す
    ることができる連動手段と、該連動手段の移動に基づい
    て物品に同期追従して移動し該物品に対して所定の作業
    を行う作業手段とが設けられているロボットによる物品
    の姿勢検出方法であって、 搬送手段によって搬送される物品が自動車の車体であっ
    て、 当接アームを、略コの字状に形成した上でその中間部が
    略水平方向に延びその両端部が上記中間部の下方に位置
    するように配置し、 当接アームの両端部を車体の側部開口に差し込んだ後、
    上昇させてその上部を開口上縁部に接触させ、この後上
    記両端部の後部を開口後縁部に接触させ、 当接アームの車体に対する当接状態に基づいて車体の姿
    勢を検出し、この検出された車体の姿勢に基づいて作業
    手段を制御するようにしたことを特徴とする物品の姿勢
    検出方法。
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