JP3433368B2 - 屎尿処理装置 - Google Patents

屎尿処理装置

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JP3433368B2
JP3433368B2 JP30198095A JP30198095A JP3433368B2 JP 3433368 B2 JP3433368 B2 JP 3433368B2 JP 30198095 A JP30198095 A JP 30198095A JP 30198095 A JP30198095 A JP 30198095A JP 3433368 B2 JP3433368 B2 JP 3433368B2
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光宏 岸
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄化処理施設のな
い屋外、船舶や電車等の交通機関、外囲から閉鎖されて
バキュームカーが入り込めないトンネル内等での屎尿の
処理を行う屎尿処理装置に関し、特に、屎尿の攪拌を有
効に行うことができる屎尿処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人体から排泄された屎尿は、一般の家屋
においては水洗トイレ等により下水管に放出するか、浄
化槽に一時貯留して浄化してから河川に放流するのが通
例である。しかしながら、屋外で催し物を行う場合、例
えば運動会、見本市、集会等の人員が多数繰り出す会場
では、従来から仮設の便所を設けることで参加者の生理
的現象を解消していた。
【0003】このように、従来における屋外や浄化施設
のない場所での屎尿の処理では、移動できる仮設便所が
用いられていた。しかし、その多くは屎尿を一時収納す
る便槽を持った構造のものであり、人体から排泄された
屎尿はそのままこの便槽に蓄えられるものであった。従
って、仮設便所を使用した後には、バキュームカー等に
よって便槽に貯留された屎尿を回収し、屎尿処理施設に
移送しなけらばならないものであった。このため、回収
後の処理が必要となり、後処理に手数がかかるとともに
非衛生的なものであった。
【0004】また、長距離を移動する電車、バス、船舶
等の交通機関では、排泄された屎尿を貯留する専用のタ
ンクを備えており、このタンク内に屎尿を収納し、化学
薬品等で防臭処理を行った後、終着駅や中継地点でバキ
ュームカーにより回収する方法が一般的であった。
【0005】このように、従来の仮設便所、あるいは移
動できる交通機関での屎尿の処理は、人体より排泄され
たままの状態で貯留し、その後回収するのがほとんどで
あった。このため、貯留方法、回収方法、処理方法の何
れをとっても非近代的であり、極めて非衛生的であると
言わざるを得なかった。従って、長期間仮設便所を使用
していると、排泄した屎尿がタンク内に残留し、悪臭の
原因となるものであった。また、使用後の仮設便所を清
掃する作業は作業員に嫌がれるため、仮設便所や交通機
関の便所のメンテナンスの近代化のためからも好ましい
ものではなかった。
【0006】このような実情から、従来より衛生的に屎
尿を処理する方法が各種考えられていた。例えば、屎尿
と共に化学薬品を投入し、殺菌及び防臭を行う方法があ
る。この方法は新幹線等の交通機関に多く用いられてい
るが、薬品を含んだ屎尿がタンクと便器の間で循環する
ため、長期の使用が行われると便器を流れる水が汚れ、
悪臭を発生して使用者にとって不評となっていた。ま
た、タンクを空にして次の使用に準備するために、タン
クには多量の薬品を投入しておかなければならず、薬品
による経費が高くなる欠点があった。
【0007】さらに、ビニール等の袋に屎尿を収納して
パッキングすることにより、臭いの発散を防止する方法
も考えられている。しかし、一回の排泄においてかなり
広い面積のビニール袋を使用しなければならず、処理費
用が高くなるとともに、後日ビニール袋から屎尿を分離
するための処理が必要とされるものである。この方法で
は、パッキングするまでの処理は比較的容易であるが、
その後の処理が煩わしく、かつその処理施設が大掛かり
となるものであった。
【0008】さらに、排泄された屎尿を密閉した蒸発容
器に収納し、バーナーの火力で直接屎尿を加熱して蒸発
させる方法も考えられている。例えば、特許公告昭和4
5年17236号、特許公告昭和49年2545号、特
許公告昭和50年3149号、特許公開昭和52年58
239号、特許公開昭和53年110268号、特許公
開昭和55年165415号などが知られている。しか
し、これらの方法であっては、バーナーの火炎を屎尿に
噴出させてその表面から蒸発させようとしているため、
屎尿の大部分の成分である水分は効率良く蒸発できず、
完全に屎尿を処理するためには多くのエネルギーを必要
としていた。
【0009】また、これらの構成であっては屎尿の乾燥
後における蒸発容器の清掃は行われず、長期の使用にお
いては蒸発容器の底に屎尿から蒸発できなかった残留物
が堆積することになり、熱効率が悪くなるものであっ
た。このような場合には、残留物を清掃するために、そ
の都度装置を分解してメンテナンスを行わなければなら
ず、保守のために手数と費用がかかる欠点があった。
【0010】このように、仮設便所での屎尿の処理には
多くの問題が残されており、排泄された屎尿を仮設便所
の内部で完全に処理することができにくいものであっ
た。このような社会的な需要により、本願の出願人と同
一の発明者は屎尿を加熱することで、屎尿の大部分の成
分である水分を蒸発させることができる屎尿処理装置を
提案している。この提案された屎尿処理装置は仮設便所
に設けて使用するものであり、装置内には屎尿を収納す
る密閉した乾燥釜(耐熱性のある蒸発容器)を設けてあ
り、この乾燥釜内には回転できる攪拌羽根が軸支してあ
り、乾燥釜内には攪拌羽根の回転に従って屎尿と共に内
底で転動する蓄熱体を複数個収納させた構成となってい
る。
【0011】そして、この乾燥釜を外部から加熱して乾
燥釜内の屎尿を加熱し、同時に攪拌羽根を回転させるこ
とで屎尿を混合させ、屎尿の水分を迅速に蒸発させるこ
とができる。この蒸発の際には、球形をした蓄熱体が乾
燥釜の底で転動し、屎尿の温度を均一に加熱すると共
に、それ自体の熱を屎尿に伝達して加熱速度を上昇させ
ることができるものである(例えば、特願昭63年12
4150号などがある)。
【0012】この機構は基本的なもので、同発明者はそ
の後も改良された屎尿処理装置を順次提案している。特
願平2年164594号では、乾燥釜に空気を圧送する
パイプと排気のパイプを連結し、排気のパイプには集塵
機と凝縮器を接続した構成が示されている。この機構で
は、乾燥釜の内部で蒸発された屎尿の内、水蒸気は凝結
して回収し、水洗用水に循環して使用することができ、
屎尿の乾燥後に乾燥釜に残った塵埃は空気と共に吸引し
て回収し、塵埃は集塵機によって空気と分離させること
ができるものである。この機構により、乾燥釜に投入し
た屎尿から水分を回収でき、屎尿の乾燥後に乾燥釜に残
った蒸発できない塵埃を清掃することができ、屎尿処理
装置を連続して使用することが可能となるものである。
【0013】また、特願平2年411577号では屎尿
処理装置をユニット化し、仮設便所に装着し易いように
構成してある。この機構では、乾燥釜の構造を円筒形に
形成し、この乾燥釜の側面より屎尿を投入することがで
きるようにしてある。このため、乾燥釜の上部に便器を
配置する必要性が無くなり、装置の高さを低くすること
ができる特徴がある。
【0014】特願平2年412559号では、小便器で
回収される小便を貯留する貯留槽を設け、貯留槽と便器
の間を噴射噴出パイプで接続した構成である。この構成
では、大小便は便器に排泄し、小便は小便器で回収する
ように区分し、乾燥釜に大小便を投入する際には貯留槽
から小便を便器に噴出させ、小便を大小便と共に乾燥釜
に投入させることができる。このため、便器を小便で清
掃することができ、上水道が設置できない場所であって
も仮設便所を水洗化させることができる。
【0015】さらに、特願平3年067538号では、
乾燥釜の側面から液面センサーを挿入しておき、乾燥釜
内に投入した屎尿の液面の位置を常時検知することがで
きる機構が示されている。この機構では、屎尿の液面高
さを検知して判断することにより、一時的に大量の屎尿
が投入されて屎尿の蒸発処理の能力を低下させないよう
に防止することができ、オーバーフローによる故障の発
生を防止することができるものである。
【0016】そして、特願平3年189280号では、
送風器と触媒箱の間にヒーターを内蔵した再加熱箱を配
置すると共に、乾燥釜と集塵機を結ぶパイプと触媒箱の
間にバイパスを設けた構成である。この構成では、屎尿
の蒸発処理の際にはバイパスにより乾燥釜からの空気を
触媒箱に流動させて空気の流動を効率化させることがで
きる。また、乾燥釜の清掃処理の際にはバイパスを閉鎖
し、塵埃を含んだ空気を集塵機にそのまま流動させるこ
とができるものである。
【0017】また、特願平3年189281号は、特願
平3年189280号を改良したものであり、乾燥釜と
集塵機を結ぶパイプにはバイパスのパイプを接続し、こ
のバイパスパイプの終端にはエゼクターの負圧側を接続
し、エゼクターに触媒箱を接続した構成である。この構
成では、バイパスパイプが開通しているとエゼクターに
より乾燥釜内の空気が強制的に吸引されて触媒箱に流動
させられるので、乾燥釜の空気の流動効率が高められて
蒸発が促進される効果がある。
【0018】特願平3年265237号では、乾燥釜の
排気パイプにゴミ回収箱を接続し、このゴミ回収箱に
紙、布などで形成したゴミ袋を収納した構成である。こ
の構成では、乾燥釜の清掃時には塵埃を含んだ空気をゴ
ミ袋に流入させ、このゴミ袋では空気のみが通過して塵
埃は分離することができるものである。サイクロン式の
集塵機に比べて確実に塵埃を分離できる効果がある。
【0019】そして、特願平5年031170号では、
便器と屎尿処理装置を分離し、便器に投入された屎尿を
タンクに貯留した後にバッジ式に連続して蒸発・乾燥の
処理を行うことができるものである。この屎尿処理装置
では、水平な軸で回動できるやや球形の乾燥釜の上部に
屎尿投入用の開口を形成し、乾燥釜の内部には球形の蓄
熱体を収納してあり、乾燥釜の底部を加熱できるバーナ
ーを設けた構成である。この構成により、乾燥釜に投入
された屎尿はバーナーの熱で蒸発・乾燥され、この処理
の間は乾燥釜を揺動することにより蓄熱体で屎尿を攪拌
でき、乾燥後は乾燥釜を回転することで塵埃を開口より
落下させることができるものである。
【0020】特願平5年121968号では、乾燥釜の
送風パイプと排気パイプに切り換え弁を介在させ、切り
換え弁を介してゴミ回収箱と送風機を乾燥釜に直列に接
続できるように構成してある。この構成では、乾燥釜の
清掃時には空気が屎尿処理装置の内部で循環し、塵埃の
回収効率が向上する効果がある。
【0021】特願平5年125360号では、乾燥釜の
下面に高周波コイルを設置し、この高周波コイルに高周
波の電力を供給することにより電磁波を発生させる構成
である。乾燥釜には高周波の電磁波が交拌するため、直
接加熱ではなく、乾燥釜自体が発熱して屎尿を加熱する
ことができる。このため、迅速に必要とする乾燥釜のみ
を加熱させることができ、熱損失が少なくなる効果があ
る。
【0022】特願平5年307135号では、乾燥釜自
体は通常は直立しており、乾燥釜の上部は常時開口して
おり、清掃時のみ転倒できる構成となっている。この乾
燥釜の内部には蓄熱体を収納すると共に、上部の開口は
転倒時に閉鎖できる蓋板を設けてある。この構成では、
乾燥釜に投入した屎尿の蒸発・乾燥の処理の際には、乾
燥釜自体は静止して直立しているが、屎尿が蒸発した後
の清掃の処理の際には乾燥釜が転倒し、内部に残ってい
た塵埃をその開口から放出させることができる。この塵
埃の放出の際において、蓋板(その面には小さな穴が複
数個開口してある)が自動的に乾燥釜の開口を閉鎖し、
蓄熱体が落下するのを防止して、塵埃のみが蓋板の小さ
な穴からゴミ皿に放出させることができるものであり、
屎尿処理装置の構成を簡略化させることができる。
【0023】さらに、特願平5年314445号では、
回転自在に乾燥釜を支持しておき、この乾燥釜の外周に
はモーターの出力を噛み合わせておき、乾燥釜内には球
形の蓄熱体を複数個収納し、乾燥釜の上部に位置してい
る蓋板からは乾燥釜の内部に向けて邪魔板を3本挿入し
た構成となっている。この構成では、今までの屎尿処理
装置の乾燥釜と相違し、乾燥釜自体が垂直な軸線を中心
にして回転し、高周波コイルからの電磁波によって屎尿
を加熱させることができるものである。そして、乾燥釜
の内部に収納してある蓄熱体は邪魔板によって乾燥釜と
共には回転せず、乾燥釜の底で転動し、屎尿を攪拌して
加熱することができるものである。この構成では、乾燥
釜の内部で攪拌羽根を回転させる必要が無くなるので、
屎尿処理装置全体の高さを低くすることができる。ま
た、回転羽根を回転させる構成であっては、乾燥釜内に
投入された屎尿以外の異物(例えば、ボールペン、衣
類、時計など)が回転する回転羽根に絡みつくことによ
る故障を排除できる優れた効果を有するものである。
【0024】また、特願平6年151631号では、同
様に、回転自在に乾燥釜を支持しておき、この乾燥釜の
外周にはモーターの出力を噛み合わせておき、乾燥釜内
には球形の蓄熱体を複数個収納し、乾燥釜の上部に位置
している蓋板からは乾燥釜の内部に向けて邪魔板を1本
挿入した構成となっている。この構成であっても、乾燥
釜自体が垂直な軸線を中心にして回転し、高周波コイル
からの電磁波によって屎尿を加熱させることができるも
のである。この発明では、邪魔板は吸引パイプに固定さ
れた1枚で形成してあり、複数の邪魔板間に蓄熱体が嵌
まり込まないため、乾燥釜の回転により蓄熱体が確実に
転動できるものであった。
【0025】これらの新しく提案された屎尿処理装置で
は、排泄された屎尿は乾燥釜内で密閉されたままで加熱
でき、攪拌羽根や乾燥釜が回転することで屎尿が混合さ
せることができるものである。加熱された屎尿は、全体
の温度が均一に上昇し、大部分の成分である水分が蒸発
し、水蒸気となって大気中に発散される。この加熱と混
合により屎尿の蒸発速度が早くなり、屎尿の処理時間が
短縮することができるものである。また、大気中に拡散
される水蒸気は触媒等で無臭化させ、人家等が立ち込ん
でいたり、人員が多数集合しているような場所であって
も、悪臭を発散させることがなく、環境保全の面からし
ても好ましいものであった。
【0026】このように密閉された蒸発容器内で屎尿を
蒸発、拡散させるのは極めて衛生的であり、かつ作業を
システム化することができて、メンテナンス等において
作業員に負担をかけないものである。しかし、従来の屎
尿処理装置では乾燥釜を固定しておき、この乾燥釜の内
部で攪拌羽根を回転させて屎尿を混合させる構成のもの
が殆どであった。この機構であっては、乾燥釜内に屎尿
以外の蒸発できない異物が投入されると、回転する攪拌
羽根とこの異物が噛み合い、故障の原因となることが多
かった。例えば、使用者の不注意により、便器に金属製
のボールペン、ベルト、衣類等が投入されることもあ
る。これらの異物が乾燥釜に投入されると、異物が攪拌
羽根と乾燥釜の間に食い込み、攪拌羽根の回転を停止さ
せたり、攪拌羽根や乾燥釜を磨耗させる現象を発生させ
るものであった。
【0027】また、乾燥釜の内部に攪拌羽根を収納して
おくと、限定された乾燥釜の内部空間がこれらの機構で
狭くなるため、乾燥釜の内部空間を有効に利用すること
ができない要因となっていた。
【0028】このような欠点を解消するため、特願平5
年314445号、特願平6年151631号では乾燥
釜自体を回転させる構成とし、攪拌羽根を用いずに屎尿
を混合させることができるように工夫してある。だが、
この機構であっては、乾燥釜を回転自在に支持しなけれ
ばならず、しかも、乾燥釜を上下方向に移動せず、か
つ、中心軸が偏位しないように支持しなければならな
い。回転する乾燥釜が上下に移動したり、回転軸が味噌
擂り運動を起こすとなれば、乾燥釜の開口端が蓋板から
離れることになり、乾燥釜の気密性が保たれなくなるか
らである。
【0029】このように、乾燥釜の回転運動を規制しよ
うとすれば、上下方向と回転方向の二方向の規制機構
(ローラーなど)が必要となり、この規制機構は複雑に
ならざるを得ないものである。また、規制機構が複雑と
なれば、乾燥釜の組み立ての作業工程に手間がかかるも
のであり、また、屎尿処理装置の点検や保守のために乾
燥釜を取り外す作業に手数がかかるものであった。
【0030】また、この乾燥釜で屎尿を蒸発・乾燥させ
た後に残る塵埃は、連続して屎尿の処理を行うために除
去しなければならないが、清掃のための吸引パイプを乾
燥釜に所定の長さだけ挿入させる制御が困難なものであ
った。従来では、吸引パイプの移動量を検出して、適正
な長さだけ上下動できるように制御していたが、吸引パ
イプを移動させるための機構と制御の機構が複雑になる
ものであった。
【0031】このため、本願の発明者は特願平6年21
9457号によりこれらの欠点を改良した屎尿処理装置
を出願している。この新しく提案された屎尿処理装置で
は、架台の上部に回転保持手段を設け、この回転保持手
段の下部に蒸発容器を吊り下げ、この蒸発容器の下面に
間隔を置いて電磁加熱手段を設けた構成を特徴とするも
のである。この提案された構成では、蒸発容器は吊り下
げられて回転されるため、その下部、側面には何ら支持
手段を設ける必要が無くなり、蒸発容器を保持する機構
が極めて簡素となる特徴がある。
【0032】また、この構成であっては、蒸発容器だけ
を回転保持手段の下部から取り外すことが可能となり、
定期的な点検や保守のために蒸発容器の内部を外部に露
出することが容易となる。蒸発容器の上部を覆っている
被覆手段を取外し、蒸発容器の内部を上から観察するこ
とも可能であるが、被覆手段に接続してある各種のパイ
プや機器を取り外さなければならず、作業にかかる手数
が遙に複雑となるためである。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】このように、蒸発容器
に屎尿を投入し、蒸発容器ごと屎尿を加熱して蒸発させ
て処理するには、屎尿の温度上昇を均一に行うために屎
尿を攪拌する機構を設けなければならないものであっ
た。この攪拌のためには、蒸発容器の内部の中央で攪拌
羽根を回転させて屎尿を攪拌させるか、攪拌羽根を回転
しないように固定して蒸発容器を回転させて屎尿を攪拌
させるか、の何れかの構成が採られていた。この内で、
蒸発容器を固定して攪拌羽根を回転させる機構では(例
えば、特願昭63年190857号など)、攪拌羽根を
軸支する機構が簡易となり、蒸発容器を堅牢に支持する
ことができる特徴を有していた。しかし、攪拌羽根を蒸
発容器の底付近で回転させる機構のため、屎尿を蒸発さ
せた後に蒸発容器に残った塵埃を回収するのが困難なも
のであった。これは攪拌羽根により蒸発容器の底付近に
塵埃を吸引するパイプを設置することができないもので
あり、攪拌羽根を支持する回転軸の下端付近から塵埃を
吸引しなければならなかったからである。
【0034】また、蒸発容器を回転させ、攪拌羽根を固
定する機構では(例えば、特願平6年151631号な
ど)、水平な天板の下面に蒸発容器を気密に回転自在に
設けておき、天板より蒸発容器の下方に向けて邪魔板を
設けたパイプを吊り下げる機構が採られていた。この機
構では、蒸発容器を回転させると、邪魔板が相対的に蒸
発容器の底付近で回転することになり、蒸発容器と共に
回転する屎尿を攪拌することができるものである。この
機構では、邪魔板を保持するパイプが蒸発容器の底に接
近し、しかも、蒸発容器の中心から外れた位置にあるた
め、蒸発容器の底にある塵埃を万遍なく吸引するのが容
易となり、蒸発容器の清掃が確実となる特徴を有してい
た。
【0035】しかし、この機構では、蒸発容器を回転で
きるように保持しなければならず、保持のための機構が
複雑となり、重量のある蒸発容器を吊り下げることがで
きにくい欠点があった。また、天板と回転する蒸発容器
の間を気密に、かつ、回転自在となるように維持しなけ
ればならないため、接合部分の気密性を高めなければな
らない欠点が生じていた。蒸発容器の上端開口は比較的
広いので、この開口を気密性を維持しながら回転自在に
保持するために、径大なシール材などを使用しなければ
ならず、製造費用が高価となる欠点も生じていた。
【0036】このように、攪拌羽根を回転させて屎尿を
攪拌させる機構、蒸発容器を回転させて屎尿を攪拌させ
る機構の何れにもそれぞれの欠点があった。このため、
蒸発容器の内部で屎尿を攪拌できると共に、屎尿の乾燥
後における塵埃を確実に清掃することのできる機構の開
発が望まれていた。しかも、攪拌と清掃の相反する機能
をそれぞれ満足させていて、組み立てる機構が簡易とな
り、安価に製造することができる機構が望まれていた。
【0037】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、屎尿を収納する耐熱性のある閉鎖された容器と、容
器内に収納された球形状をした蓄熱体と、容器内に収納
した屎尿と蓄熱体を攪拌する攪拌手段と、容器を加熱し
て屎尿を蒸発させる加熱手段とから構成され、この攪拌
手段は、上端の軸線と下端の軸線を水平方向に離した内
部中空のパイプ状をしたクランク体と、半月形をしてそ
の曲面を水平方向に向けた一対の攪拌板から成り、クラ
ンク体の一端を容器の上部中央に回転自在に軸支し、ク
ランク体の下部を容器の内壁に接近させると共に、クラ
ンク体の下端開口を容器の底に接近させ、半月形をした
各攪拌板の両端を接近させて左右に並べてクランク体の
下部に固着し、両攪拌板の接合線を容器のやや中央に位
置させることで羽根を広げたように配置し、攪拌板の両
側端を容器の内壁に接近させるように位置させたことを
特徴とするものである。
【0038】本願の請求項2の発明は、屎尿を収納する
耐熱性のある閉鎖された容器と、容器内に収納された球
形状をした蓄熱体と、容器内に収納した屎尿と蓄熱体を
攪拌する攪拌手段と、容器を加熱して屎尿を蒸発させる
加熱手段とから構成され、この攪拌手段は、上端の軸線
と下端の軸線を水平方向に離した内部中空のパイプ状を
したクランク体と、外部から閉鎖された立体形をした攪
拌体とから成り、クランク体の一端を容器の上部中央に
回転自在に軸支し、クランク体の下部を容器の内壁に接
近させると共に、クランク体の下端開口を容器の底に接
近させ、攪拌体をクランク体の下部に固着し、この攪拌
体はその背面を容器の内壁の曲率とほぼ同じ曲率の曲面
で形成し、その前面を半月形に凹ませた曲面を形成し、
クランク体に取り付けた攪拌体の背面が容器の内壁と少
しの間隔を置いて回転できるように配置したことを特徴
とするものである。
【0039】本願の請求項3の発明は、請求項1、2記
載の屎尿処理装置において、前記容器は、その周囲が円
筒形をしており、その円形の底の中央を上部に隆起さ
せ、容器の底の中央から周囲にかけてなだらかな斜面を
形成したことを特徴とするものである。
【0040】本願の請求項4の発明は、請求項1、2記
載の屎尿処理装置において、前記容器は、上部が開口し
て底を持つ円筒形をした乾燥釜と、平板状をした保持板
から成り、乾燥釜の上部の開口を保持板の下面に密着し
て固定することにより形成したことを特徴とするもので
ある。
【0041】本願の請求項5の発明は、請求項1記載の
屎尿処理装置において、前記各攪拌板の半月形をした下
端の曲面には、回曲した方向に向けてその平面を傾斜さ
せたスカート板をそれぞれ固着し、各スカート板の下端
を容器の底に接近させたことを特徴とするものである。
【0042】本願の請求項6の発明は、請求項2記載の
屎尿処理装置において、前記攪拌体の前面の半月形をし
た下端の曲面には、回曲した方向に向けてその平面を傾
斜させたスカート板を固着し、スカート板の下端を容器
の底に接近させたことを特徴とするものである。
【0043】本願の請求項7の発明は、請求項1、2記
載の屎尿処理装置において、前記容器の上部には、その
軸線を垂直に位置させた駆動軸を回転自在に軸支し、駆
動軸の中央には上下に連通する通気穴を貫通開口させ、
通気穴により容器の内外を連通させ、駆動軸の下端には
クランク体の上端を連結し、通気穴とクランク体の上端
開口を連通させたことを特徴とするものである。
【0044】本願の請求項8の発明は、請求項1、2記
載の屎尿処理装置において、前記加熱手段は、高周波の
電磁波を容器に向けて交拌させ、容器と蓄熱体を発熱さ
せる電磁加熱手段により構成されたことを特徴とするも
のである。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第一の実施の形態
を図面により説明する。この第一の実施の形態では、大
小便を加熱することにより蒸発・乾燥させて処理できる
仮設便所11について説明する。しかしながら、この実
施の形態に限定されることなく、小便のみを蒸発・乾燥
させることのできる屎尿処理装置であっても同一の目的
を達成することはいうまでもない。また、第一の実施の
形態では、それ単独で自由に移動させることができ、催
物会場、河川敷等の場所で一時的に利用することができ
る仮設便所11に屎尿処理装置を応用した例について説
明している。
【0046】〔仮設便所11の全体の構成〕
【0047】図1は、第一の実施の形態における仮設便
所11の外観を示すものであり、この仮設便所11の外
枠は、例えばプラスチックや強化合成樹脂で形成されて
おり、全体が立体形の箱状となっている。この仮設便所
11の底部分は地面に設置される基台12となってお
り、この基台12は平面形状が正方形をした高さが低い
平坦な立方体形をしている。この基台12の上面には、
利用者が内部に入ることができる空間を形成し、上部に
屋根を設けた家状のハウス13が載置してある。このハ
ウス13の一側面には、手前側に引いくことでハウス1
3の内部が開放でき、利用者がハウス13内に出入りす
ることができるドアー14が取り付けてある。
【0048】この仮設便所11の内部であって、基台1
2の上部には大小便の屎尿を加熱することで蒸発させて
処理する屎尿処理装置15が固定してある。そして、屎
尿処理装置15の上部の中央には洋式の便器16が固定
してあり、仮設便所11の利用者はこの便器16を大小
便の排泄に利用することができる。そして、屎尿処理装
置15の上面であって、便器16の側面にはハウス13
の内壁に接近するように防臭機構18が固定してある。
この防臭機構18は屎尿処理装置15の内部で蒸発させ
られた水蒸気や空気を外部に放出する際に、その臭いと
塵埃を除去するためのものである。また、基台12の下
面の左右には、フォ─クリフト車のフォークを挿入し、
仮設便所11を移動させるための一対の差込み溝17が
設けてある。両差込み溝17は下方に向けてコの字形に
開口してある。
【0049】次に、図2は仮設便所11からハウス13
及び外装を取り外し、屎尿処理装置15の内部の構成を
仮設便所11の後ろ側から見た背面図であり、図3は同
様の屎尿処理装置15の内部の構成を示す側面図であ
り、図4は同様の屎尿処理装置15の内部の構成を示す
平面図である。各図では、屎尿処理装置15の主要な機
構の配置を示し、各機構を保持するためのユニットは鎖
線で示してある。
【0050】この屎尿処理装置15は、上面と周囲が一
体に閉鎖され、下方が開いた形状で強化プラスチックな
どで形成されたカバー35によってその全体が覆われて
いる。このカバー35は屎尿処理装置15を立体的に被
っており、屎尿処理装置15の内部に水や異物が入らな
いように保護している。また、屎尿処理装置15の底部
には平坦な形状をした支持基板31が設けてあり、この
支持基板31により屎尿処理装置15の機構、及び仮設
便所11を保持している。この支持基板31は薄肉鋼板
による小片を組み合わせてモノコックに組み立ててあ
り、屎尿処理装置15を含む仮設便所11全体を支える
ことができるように頑丈に組み立ててある。この支持基
板31の下面の左右にはそれぞれフォークケース32が
平行となるように固着してあり、このフォークケース3
2は下方に向けてコの字形となったレール状の形状とな
っていて、このコの字形となった内面が前記差込み溝1
7となっている。
【0051】図2は屎尿処理装置15を背面から見たも
ので、支持基板31の上面の左右にはL型チャンネル材
等で立体形に組み立てた保持枠33、34を配置させて
ある。この保持枠33、34により、屎尿処理装置15
を構成する各機構を保持して固定できるようになってい
る。一方の保持枠33の下部に位置して加熱部23が設
けてあり、加熱部23は支持基板31の上面に固定して
ある。この加熱部23の上部には乾燥部21が位置させ
てあり、乾燥部21の底面が加熱部23の上面に密着し
て設けてある。この乾燥部21は保持枠33によって転
倒しないように支持されている。そして、乾燥部21の
上面中央には、回転しながら蒸発した水蒸気を外部に排
気する駆動軸(構成については後述する)が突起してあ
り、この駆動軸には排風パイプ37の下端が接続してあ
る。この排風パイプ37は保持枠33に固定されて回転
しないものであり、駆動軸の上端と排風パイプ37の下
端とは相互に回転できるように維持されていながら、空
気が外部に流出しないように接合してある。この排風パ
イプ37は乾燥部21の内部空間と外部を連通させ、乾
燥部21の内部にある空気や塵埃を外部に放出できるも
のであり、排風パイプ37の途中には流路の開閉を行う
バルブ38を設けてある。
【0052】また、乾燥部21の側面の一部は支持基板
31の中央にまで延長するように突起しており、この突
起した部分の上面にはゴムなどで蛇腹状に成形したジョ
イント39が接続してある。このジョイント39は円筒
形をして上下端が開口したものであり、その上端には便
器16の下部開口が接続してある。前述の支持基板31
の右側の上面には立体形に組み立てた保持枠34が固定
してあり、この保持枠34の上面には箱状をした防臭機
構18が載置してある。
【0053】次に、図3は屎尿処理装置15を側面から
見たもので(図2の左側から見た状態である)、前述の
支持基板31の下面にはその左右に一連のフォークケー
ス32が固着してあり、支持基板31の上面左半分には
L型チャンネルによって立体形に組み立てられた保持枠
33が載置してある(図3では、保持枠34は保持枠3
3の手前に位置し、破線で図示している)。この保持枠
33に保持されて乾燥部21が固定してあり、乾燥部2
1の側面より支持基板31のやや中央に延長して駆動部
22が取り付けてある。この駆動部22は乾燥部21の
内部に収納した屎尿を攪拌する作用を行うものである。
そして、支持基板31の前側(図3において右側に前述
のドアー14が位置しており、右側を前側とする)の上
面には、カバー35の下側に位置する空間内に屎尿処理
装置15の各部に空気を送風するための送風機36が固
定してある。また、保持枠33の手前に位置する保持枠
34の上部には、水蒸気や塵埃を排出する防臭機構18
が載置してある。
【0054】図4は屎尿処理装置15のカバー35を取
り外して上方から見下ろしたもので、支持基板31上に
配置した各機構を示している。この図4では、図中の上
方をドアー14が位置する仮設便所11の前側であり、
図中の下方を仮設便所11の裏側となるように図示して
いる。この図4では、正方形をした支持基板31が設け
てあり、この支持基板31の下面には一対のフォークケ
ース32が左右にそれぞれ固定してある。この図中にお
いて支持基板31の左側の下部には、L型チャンネルを
組み合わせて立体形に形成した保持枠33が固定してあ
り、支持基板31の右側の下部にはL型チャンネルを組
み合わせて立体形に形成した保持枠34が固定してあ
る。両保持枠33、34の間に位置して便器16が配置
してあり、図4では便器16は鎖線で示してある。この
保持枠33の内部空間には乾燥部21が配置して固定し
てあり、乾燥部21の前側(図4で上方)には駆動部2
2が連結してある。そして、保持枠34の上部には防臭
機構18が載置してある。さらに、支持基板31の前側
(図4で上方)には送風機36が固定してある。
【0055】なお、これらの図2、図3、図4では、乾
燥部21、駆動部22、加熱部23、防臭機構18を図
示して説明しているが、実際には屎尿処理装置15の機
能を発揮させるためには、塵埃を空気より分離して取り
除く塵埃分離部、乾燥部21から排気した空気を再加熱
する再加熱手段なども必要とされる。しかし、本願の発
明では乾燥部21の内部構造を要旨としているため、こ
れらの構成の説明は省略する。また、各機構はパイプで
接続してあり、機構間はパイプにより空気を流動できる
ようになっているが、これらのパイプの接続についても
各図面では省略している。
【0056】次に、図5、図6、図7はともに乾燥部2
1、駆動部22、加熱部23の具体的な構成を示すもの
である。この図5は乾燥部21、駆動部22、加熱部2
3を仮設便所11の斜め後ろの上方から見た状態を示す
ものであり、乾燥部21を保持している保持枠33は取
り外してあり、便器16と乾燥部21の結合部分(ジョ
イント39)についても取り外してある。また、図6は
乾燥部21を上方から見たものであり、乾燥部21を覆
っている保持板41を取り外し、乾燥部21の内部を示
している。また、図7は乾燥部21の内部構成を示すた
めに、縦に切断した側断面図であり、図4中におけるA
ーA矢視した断面図に相当する。
【0057】〔加熱部23を保持する構成〕
【0058】前述の支持基板31の上面には、図5、図
7で示すように四本の支持ボルト45が垂直に立ててあ
る。各支持ボルト45は細長い長ネジにより形成され、
四本の支持ボルト45は支持基板31上で正方形になる
ように配置されている。これらの支持ボルト45の内
で、対向する一対の支持ボルト45の間には、図5で示
されるように横アングル46が架け渡してあり、各横ア
ングル46はナットにより支持ボルト45に固定してあ
る。対向する一対の支持ボルト45に固定された一対の
横アングル46は平行となるように配置されており、各
横アングル46は支持ボルト45にねじ込んだナットに
よりその高さを微妙に調整することができる。このよう
に支持ボルト45に保持された一対の横アングル46間
に加熱部23を載置して保持することができる。
【0059】これらの横アングル46で保持された加熱
部23の上面は平面となっており、この加熱部23の上
面には加熱部23の底部を密接するように保持してあ
る。なお、乾燥部21、駆動部22全体は図7で示すよ
うにL型チャンネルで組み立てられた保持枠33の柱に
よって保持されており、乾燥部21、駆動部22の荷重
は保持枠33に加えられるため、乾燥部21の荷重は直
接加熱部23に加わることがなく、乾燥部21の荷重で
加熱部23が変形することはない。
【0060】〔乾燥部21の構成〕
【0061】乾燥部21の構成は図5、図6、図7、図
8によって示され、乾燥部21の主要部材は乾燥釜51
とフランジ52、導入部54より構成されている。この
乾燥部21の主要部材である乾燥釜51は、排泄された
大小便を加熱して蒸発させて乾燥させるもので、乾燥釜
51はその底部を閉鎖し、上端を開口した寸胴状の形状
をしている。つまり、この乾燥釜51はそのドラム缶の
上半分を切断し、円筒形をした下半分と底部分だけを残
した形状となっており、乾燥釜51は耐熱性のあるステ
ンレス、高張力鋼等の金属材料で形成してある。そし
て、乾燥釜51の上端の開口周縁には、図6、図8で示
すように平坦なリング状をしたフランジ52が接合して
あり、乾燥釜51の上端には鉢巻き状にフランジ52が
固定した形状となっている。この乾燥釜51の外周とフ
ランジ52の内周とは電気溶接等によりその接合面が気
密となるように連結してある。
【0062】また、乾燥釜51の側面には、薄肉鋼板で
箱状に組み立てて、内部が空洞をした導入部54を電気
溶接等によって固着してある。この導入部54は図5、
図8で示すように外部から閉鎖された箱状をしており、
その上面は平坦な平面となっており、両側は側面から見
て台形となっており、乾燥釜51に垂直に固定されてい
る。そして、導入部54の底面は両側の下端に連結さ
れ、乾燥釜51の中心方向に向けて傾斜させられてお
り、導入部54の全体は下面が傾斜した立方形をしてい
る。この乾燥釜51と導入部54との結合においては、
乾燥釜51の側面に形成した四角い開口(図示せず)を
導入部54で塞ぐように連結してあり、乾燥釜51と導
入部54の内部空間は連通させてある。つまり、円筒形
状の乾燥釜51の側面に薄肉鋼板で立体形に形成された
導入部54を溶接等で固着し、乾燥釜51の内部空間に
導入部54の内部空間を連通させた構造となっている。
そして、この導入部54の平坦となった上面には、リン
グ状をした連結リング55が固着してあり、連結リング
55の中央にある投入口56は導入部54の内部空間と
外部を連通するように開口してある。このような構成の
ため、投入口56から屎尿を投下すると導入部54の底
面に着地するが、屎尿は導入部54の底面の傾斜に従っ
て乾燥釜51の内部空間に流動させられることになる。
【0063】このような構成により、乾燥部21は乾燥
釜51とフランジ52により帽子を逆さにしたような形
状で、さらに、乾燥釜51の側面より立方体形をした導
入部54が水平方向に突出した形状となっている。この
導入部54の投入口56は図4で示すように、支持基板
31の中心に位置するように設置し、この連結リング5
5の上方に便器16が位置するように配置してある。ま
た、図6、図8で示すように、リング状のフランジ52
には、その周囲に等間隔に配置され、上下に開口したボ
ルト穴53を形成してあり、このボルト穴53はこの実
施の形態では8箇所に開口してある。
【0064】〔乾燥釜51内に収納した蓄熱体60〕
【0065】この乾燥釜51はその内部に大小便を貯留
し、乾燥釜51を外部から加熱することで大小便を蒸発
させることができる。しかし、乾燥釜51を加熱するだ
けでは大小便の蒸発を円滑に行うことができないため、
乾燥釜51に貯留した大小便を攪拌し、温度の上昇を均
一に保たなければならない。このため、乾燥釜51内に
は大小便の加熱を補助するとともに、大小便の攪拌を行
わせるための複数の蓄熱体60が収納してある。この蓄
熱体60は球形状をしており、鉄、真鍮などの金属、あ
るいは焼結によって形成したセラミック等をその材質と
している。これらの蓄熱体60の外径は、乾燥釜51の
内径の1/5から1/10程度の大きさに設定してあ
る。これらの蓄熱体60を乾燥釜51内に収納した状態
は、図6、図7によって示されている。
【0066】〔乾燥釜51内で回転する攪拌手段の機
構〕
【0067】この乾燥釜51の内部空間には、保持板4
1より吊り下げられ、乾燥釜51の内部で回転する攪拌
手段としての攪拌部28が収納してある。この攪拌部2
8は乾燥釜51の底付近で回転し、前述の蓄熱体60を
押し廻すことができるものであり、その具体的な構成に
ついては後で説明する。
【0068】〔保持板41の形状と開口した各種の穴の
関係〕
【0069】次に、図8により、乾燥釜51の上部開口
を塞ぐための保持板41の形状と開口した各種の穴の関
係を説明する。この保持板41は、それ自体は一枚のや
や肉厚の平面の形状をした金属板を材料としており、こ
の保持板41に各種の機器を取付けるため、保持板41
を加工して機器を取り付けるための複数の穴を開口して
ある。以下において、保持板41の形状と複数の穴につ
いて説明する。
【0070】まず、保持板41の平面形状は図4、図6
で示されており、一端は半円形となっており、他方はそ
の円形の外周接線を一直線に延長させた前方後円墳のよ
うな形状をしており、丁度ワイングラスの脚部分を取り
去って側面から見たような形状となっている。この保持
板41の前側(図5、図8において右奥側)のやや台形
をした部分には大きな四角形をしたモーター穴42が開
口してあり、保持板41の奥側(図8で左手前側)の円
形をした部分の中央には径大な軸穴61が開口してあ
る。つまり、保持板41の半円形となったその円の中央
には、径大な軸穴61が開口してあり、この軸穴61よ
り外側に外れた保持板41の延長部分にモーター穴42
が開口してあることになる。そして、保持板41の奥側
(図8で左手前側)にある半円形となった部分には、軸
穴61より同一の距離に複数の通口62が開口してあ
る。この通口62は図8で示すように、軸穴61を中心
として円形に配置され、各通口62の間隔は等間隔にな
るように設定してある。この実施の形態では、通口62
は8箇所に開口してあり、各通口62の間隔および配置
は前述したボルト穴53の間隔と配置と同一に設定して
ある。
【0071】また、この保持板41にはそれぞれ固有の
目的のため、複数の穴が上下に貫通開口してある。保持
板41の奥側(図8で左手前側)の半円形となった部分
で、前述の複数の通口62で円形に囲まれた範囲の内側
には、軸穴61よりも外側に離れた位置に給気穴63と
排気穴64が開口してある。この給気穴63は外部から
乾燥釜51内に空気を供給するためのものであり、排気
穴64は乾燥釜51より蒸発した水蒸気を外部に排出す
るためのものである。
【0072】また、保持板41の上面にはリング状をし
た軸支リング68が密着させて固定してあり、この軸支
リング68の軸線は軸穴61の軸線と一致させてある。
この軸支リング68の周囲には細長い箸状をした複数の
支え板69の先端が固着してあり、各支え板69は軸支
リング68を中心として放射状に配置させてある。これ
らの支え板69の下面は保持板41の上面に電気溶接等
で接合してあり、軸支リング68に加えられた荷重をこ
れらの支え板69で分散させ、保持板41が変形しない
ように荷重分散を図っている。軸支リング68と支え板
69を保持板41に固定する前の状態は図8で示され、
保持板41に固定した後の状態は図5によって示されて
いる。
【0073】〔軸受部24を軸支リング68に軸支させ
る構成〕
【0074】このようにして保持板41の上面には軸支
リング68が固定され、この軸支リング68には垂直軸
をその回転軸線とする軸受部24が回転自在に組み合わ
されている。この軸受部24は、図5、図7、図9で示
すように、その下半分は保持板41の下面に露出してお
り、上半分は保持板41の上面に露出するように保持さ
れている。この軸受部24の下端には攪拌部28の上部
を連結し、攪拌部28は図7、図9で示すように軸受部
24に吊り下げられ、軸受部24により攪拌部28が水
平方向に回転自在に保持されている。この軸受部24の
具体的な構成は後述する。
【0075】〔乾燥部21を保持板41に固定する機
構〕
【0076】前述した乾燥部21は保持板41の下面に
密着して固定され、乾燥部21は保持板41に吊り下げ
られるように組み立てられている。この乾燥部21を保
持板41に固定する構成を図5、図7、図8により説明
する。図8は乾燥部21と保持板41を固定する前の状
態を示すもので、図5は乾燥部21と保持板41を固定
した後の状態を示すものである。乾燥部21と保持板4
1を組み立てるには、乾燥部21を構成するフランジ5
2の上面を保持板41の下面に対向させ、フランジ52
の上面を保持板41の下面に密着させる(説明は前後す
るが、このときに乾燥釜51内にはすでに攪拌部28と
蓄熱体60を収納してある)。そして、保持板41に開
口した通口62とフランジ52に開口したボルト穴53
のそれぞれの位置を一致させる。これらの通口62の配
置位置は、複数のボルト穴53と同じ配置位置に設定し
てあるため、両者は全て一致する。
【0077】次いで、開口が一致した各ボルト穴53と
通口62にそれぞれボルト66を挿入し、ボルト66の
下端からナットを締め付け、保持板41の下面にフラン
ジ52を固定する。このようにして、フランジ52と乾
燥釜51から成る乾燥部21は保持板41の下面に吊り
下げられるようにして固定される。この乾燥部21を保
持板41に固定することにより、乾燥釜51の上端開口
は保持板41により外部から閉鎖されたことになる。な
お、保持板41には軸穴61、給気穴63、排気穴64
が開口してあるため、保持板41の下面に吊り下げられ
た乾燥釜51の内部空間はこれらの軸穴61(実際には
軸受部24の中央の通気穴)、給気穴63、排気穴64
及び投入口56で外部と連通することになる。
【0078】〔軸受部24のより具体的な構成〕
【0079】前述した軸受部24の具体的な構成及び軸
支リング68との関連は図10、図11によって示され
ている。図10は軸受部24を構成する部材を上下に分
解して示したものであり、図11は軸受部24を軸支リ
ング68に軸支して取り付けた状態を示す縦断面図であ
る。この軸受部24はその中央で駆動軸76をその軸線
を垂直となるように保持し、駆動軸76を水平方向に回
転自在に軸支できるものである。そして、同時に、駆動
軸76は回転しながらも、乾燥釜51の内部と外部の間
で空気を流通させることができる機能を持つものであ
る。
【0080】この軸受部24の全体を支える機能を有す
る外軸筒71はやや円筒形状をしており、この外軸筒7
1は前述した軸支リング68の中央の開口に挿入され
る。この外軸筒71の全体は円筒形であり、その中心軸
には上下方向に軸穴74を貫通開口してある。また、外
軸筒71の中央の外周には円盤形をした固定リング72
を固着してあり、外軸筒71と固定リング72により円
筒形の中央に刀の鍔を一体に固着した外形となってい
る。この外軸筒71と固定リング72は電気溶接等によ
って一体に連結するか、無垢材を切削によって一体に切
り出して形成してある。この固定リング72は外軸筒7
1の外周の上下の長さのほぼ中央に位置させてあり、こ
の固定リング72の周囲の複数個所(本実施の形態では
図10で示すように4箇所)には上下に貫通したネジ穴
73を開口してある。また、軸支リング68は平坦なリ
ング状をしており、この軸支リング68の周囲の複数個
所(本実施の形態では図10で示すように4箇所)には
ネジ穴70(内周面に雌ねじが切削してある)が形成し
てある。
【0081】この外軸筒71を軸支リング68に取り付
けるには、軸支リング68の中央の開口に外軸筒71の
下半分を上方から挿入し、固定リング72の下面が軸支
リング68の上面に密着するように嵌め合わせる。そし
て、固定リング72に形成したネジ穴73と軸支リング
68に形成したネジ穴70の位置を一致させ、ネジ穴7
3よりボルト75を挿入し、このボルト75を固定リン
グ72にネジ込む。このボルト75を締め付けることに
より、固定リング72は軸支リング68に固定され、外
軸筒71全体は軸支リング68に固定される。外軸筒7
1がボルト75により軸支リング68に固定された状態
は図11で示される。
【0082】この外軸筒71により回転自在に軸支され
るのは細長いパイプ形状をした駆動軸76である。この
駆動軸76は図10で示すように、その中心軸に上下に
貫通開口した通気穴77を持つパイプ状をしており、駆
動軸76の下端にはリング状をした連結板78を固着し
てある。この連結板78はその中央に開口を形成してあ
り、駆動軸76の下端に開口した通気穴77の開口軸
と、連結板78の中心の開口軸とを一致させ、駆動軸7
6の下端と連結板78の上面とを電気溶接等により一体
となるように固着してある。この連結板78の周囲の複
数個所(本実施の形態では図10で示すように4箇所)
には、挿通穴79が上下方向に貫通開口してある。ま
た、駆動軸76の上部の外周にはネジ山80が形成して
あり、駆動軸76の外側面の上端より下方に向けてこの
ネジ山80と交差するようにして、縦方向にキー溝81
が切欠き形成してある。さらに、駆動軸76の外周であ
って連結板78よりも少し上方の位置から上側は、その
外径が下部の外径より径小となるように加工してあり、
外径の異なる部分は段部82となっている。
【0083】〔駆動軸76を保持する機構〕
【0084】この駆動軸76を外軸筒71で回転自在に
保持する機構は図10で示すように、ベアリング84
(ユニットとなっていて、ボールベアリングが内部に収
納してある)、スペーサー85、押え板86、ベアリン
グ91(ユニットとなっていて、ボールベアリングが内
部に収納してある)、スペーサー92、押え板94から
構成されている。このベアリング84はリング状をして
おり、内蔵したボールベアリングにより内外周のリング
が自由に回転することができるもので、このベアリング
84を軸穴74の下端開口から挿入し、軸穴74の途中
にある段部にその外周を係止させる。さらに、軸穴74
の下端開口よりリング状をしたスペーサー85を挿入
し、スペーサー85の上面をベアリング84の下面に密
着させる。次いで、円筒形をした押え板86を外軸筒7
1の下面に密着させ、図11で示すように押え板86を
ネジ87で外軸筒71に固定する。
【0085】次に、ベアリング91はリング状をしてお
り、内蔵したボールベアリングにより内外周のリングが
自由に回転することができるもので、このベアリング9
1を駆動軸76に形成した軸穴74の上端開口より挿入
し、軸穴74の途中にある段部にその外周を係止させ
る。さらに、軸穴74の上端開口よりスペーサー92を
挿入し、スペーサー92の下面をベアリング91の上面
に密着させる。次いで、円板形をした押え板94を外軸
筒71の上面に密着させ、図11で示すように押え板9
4をネジ99で外軸筒71に固定する。このようにして
軸受けの機構を組み立てることができる。
【0086】このようにして組み立てられたベアリング
84、スペーサー85、押え板86による軸穴74の下
端の開口より駆動軸76の上端をその内部に挿入し、駆
動軸76をさらに軸穴74の中央部に挿通させ、次いで
ベアリング91、スペーサー92、押え板94で構成さ
れた軸穴74の上端の開口を通過させる。すると、駆動
軸76の全体は軸穴74内に挿入され、駆動軸76の上
下部が外軸筒71の上下端より突出した状態で組み立て
られる。この状態では、図11で示すように、駆動軸7
6の段部82がベアリング84の内周側の下面と接触
し、駆動軸76はそれ以上は軸穴74に挿入されなくな
る。次いで、外軸筒71の上端から突出した駆動軸76
の上端よりパイプ状をした離間筒93を挿通し、この離
間筒93をスペーサー92、押え板94と駆動軸76の
隙間に差し込み、離間筒93の下端がベアリング91の
上面に達するまで挿入する。この離間筒93は薄肉のパ
イプ状をしており、その内径は駆動軸76の外径と等し
くなるように設定してあり、その長さは離間筒93の下
端がベアリング91の上面に接したときに押え板94の
上面より高い位置になるように設定してある。そして、
駆動軸76の上端よりプーリー95を挿入し、プーリー
95の下面を離間筒93の上端に接触させたなら、駆動
軸76のキー溝81とプーリー95のキー溝98に跨が
るようにしてキー97を差し込む。このキー97により
駆動軸76とプーリー95がその円周方向に滑らないよ
うに固定することができる。
【0087】さらに、駆動軸76の上端よりプーリー押
え96を挿通し、プーリー押え96をネジ山80にネジ
込む。このプーリー押え96の内周には雌ねじが切削形
成してあるため、この雌ねじをネジ山80にネジ込む
と、プーリー押え96の下面がプーリー95、離間筒9
3を下方に押さえつける。このプーリー押え96でプー
リー95、離間筒93が押し下げられるが、相対的に駆
動軸76は引き上げられることになる。この駆動軸76
が引き上げられると、駆動軸76の外周に形成した段部
82がベアリング84に引っ掛かり、それ以上は駆動軸
76は引き上げられず、駆動軸76は上下のベアリング
84、ベアリング91によって挟持され、外軸筒71の
中心に宙吊りされたことになる。このようにして、駆動
軸76は上下にある一対のベアリング84、91で回転
自在に保持され、その中心軸は垂直を維持して軸支され
ている。
【0088】〔攪拌部28の構成〕
【0089】次に、前述した攪拌部28の構成を図12
により説明する。なお、攪拌部28の構成は図6、図
7、図8、図9にも視線を変えて図示してあるため、こ
れらの図も参考にされたい。図12では攪拌部28の外
観を示しており、この図12の上半分には駆動軸76も
示してあり、駆動軸76の下端に攪拌部28が吊り下げ
られるように連結されている。そして、駆動軸76によ
って吊り下げられた攪拌部28は、乾燥釜51の内部空
間で回転自在に保持されている。
【0090】この攪拌部28全体は駆動軸76の下端に
連結されるもので、攪拌部28の上端に固着してある連
結板105により吊り下げられるものである。この連結
板105はその中央に開口を形成したリング状をしてお
り、連結板105の形状は前述した連結板78とほぼ同
じ形状に形成してあり、この連結板105の周囲の複数
個所(本実施の形態では図12で示すように4箇所)に
はネジ穴106を上下に貫通開口してある。この連結板
105の中央には開口が形成してあり、この開口には吊
下げパイプ107を嵌め込んであり、連結板105と吊
下げパイプ107とは電気溶接などで一体となるように
連結してある。この吊下げパイプ107はその中央に上
下の貫通開口を形成したパイプ状をしており、その長さ
は比較的短く、その下端は斜めに傾斜して切断されてい
る。
【0091】そして、吊下げパイプ107の斜めに切断
された下端には斜向パイプ108の上端が連結してあ
り、斜向パイプ108の上端は吊下げパイプ107の下
端とは逆方向に斜めに傾斜して切断してあり、吊下げパ
イプ107の下端に斜向パイプ108を連結すると、吊
下げパイプ107の軸線(この軸線は垂直に保持されて
いる)に対して斜向パイプ108の軸線は斜め下方に傾
斜させられる(つまり、図7で示すように吊下げパイプ
107と斜向パイプ108は『く』の字形に折り曲げら
れている)。この斜向パイプ108はその中心に貫通開
口を形成して上下端が開口したパイプ状をしており、吊
下げパイプ107の下端と斜向パイプ108の上端とを
電気溶接等により気密に連結することで、両者の中央に
は空気が漏れることなく流動させられる。
【0092】また、この斜向パイプ108の下端は斜め
に切断されており、この下端の切断方向は斜向パイプ1
08の上端が切断された方向と同じ向きである。そし
て、この斜向パイプ108の下端には吸引パイプ109
の上端が連結してあり、この吸引パイプ109の上端は
斜向パイプ108の下端とは逆方向に斜めに傾斜して切
断してあり、斜向パイプ108の下端に吸引パイプ10
9の上端を連結すると、吸引パイプ109の軸線は垂直
に保持されている(つまり、図7で示すように吊下げパ
イプ107と斜向パイプ108は『く』の字形に折り曲
げられている。このため、吊下げパイプ107、斜向パ
イプ108、吸引パイプ109によりクランク状に曲げ
られた構成となっている。)。この吸引パイプ109は
その中心に貫通開口を形成して上下端が開口したパイプ
状をしており、斜向パイプ108の下端と吸引パイプ1
09の上端とを電気溶接等により気密に連結すること
で、両者の中央には空気が漏れることなく流動させられ
る。
【0093】このように、吊下げパイプ107と斜向パ
イプ108が斜めに接続され、次いで斜向パイプ108
と吸引パイプ109が逆方向に斜めに接続され、吊下げ
パイプ107と斜向パイプ108と吸引パイプ109に
より一本のパイプ状をしたクランク体102が形成され
ている。このクランク体102においては、図7で示す
ように、吸引パイプ109の軸線は吊下げパイプ107
の軸線と平行となり、かつ、両者は垂直に保持されるこ
とになる。そして、吊下げパイプ107、斜向パイプ1
08、吸引パイプ109の接合面が気密に溶接されてい
るため、クランク体102は一本のパイプと同じ作用を
行うことになり、吊下げパイプ107の上端開口より吸
引パイプ109の下端開口まで空気を漏れることなく流
動させることができる。
【0094】前述の吸引パイプ109にはやや三角形状
をした一対の三角板110と111を挿通してあり、吸
引パイプ109の下端より両三角板110、111の中
央に形成した開口を挿入することで図12に示すように
配置してある。そして、これらの三角板110、111
は図6で示されるように、2つの直線を直角となるよう
に交差させ、残りの辺を内側に円弧形に削った形状とな
っている。この三角板110、111は、図6で示すよ
うに、その直角となった鋭角の頂点を乾燥釜51の内壁
に向けて位置させてあり、両三角板110、111の円
弧形となった辺は乾燥釜51の中心に向けられてある。
そして、三角板110は吸引パイプ109の上部に電気
溶接等で固着してあり、三角板111は吸引パイプ10
9の下部に電気溶接等で固着してあり、三角板110と
111は上下に間隔をおいて平行に配置してある。
【0095】そして、三角板110と三角板111の直
線の辺にはそれぞれ長方形をした側板112、113
(図12では、他の側板113は側板112の影に隠れ
て図示されていない。図9を参照されたい。)を固着し
てあり、三角板110、111、側板112、113に
より一体となった構造物が組み立てられている。これら
の三角板110と111において、乾燥釜51の中央に
向いたそれぞれの一辺は円弧状に凹んでおり、この円弧
状をした辺には湾曲された攪拌板114の背面を密着し
てある。この攪拌板114の背面と、三角板110、1
11及び側板112、113のそれぞれ接触辺を電気溶
接等で気密に固着し、これらによりやや三角形の箱形を
した外部から密閉された構造物を形成してある。
【0096】さらに、攪拌板114の円弧形となった下
辺には、薄肉鋼板をテーパー状に曲げて形成したスカー
ト板115の上端を固着してあり、攪拌板114、スカ
ート板115によってブルドーザーの排土板に似た形状
を組み立ててある。この攪拌板114は図6で示すよう
に、その曲率半径は乾燥釜51の内周の曲率半径よりも
大きく設定してあり、攪拌板114の両端の長さは乾燥
釜51の内径よりも少し小さくなる程度に設定してあ
る。このため、三角板110、111に固着された状態
の攪拌板114は、攪拌板114の両端を結ぶ直線が乾
燥釜51の中心付近を通過し(図6を参照)、攪拌板1
14、スカート板115により乾燥釜51の内部空間が
二分されるように配置してある。
【0097】〔攪拌部28を軸受部24に連結する構
成〕
【0098】このように構成された攪拌部28は、図
7、図9で示すように軸受部24の下部に吊り下げられ
るようにして連結される。この連結の手順では、連結板
105の上面を連結板78の下面に密着させ、挿通穴7
9とネジ穴106の位置を一致させ、各挿通穴79より
ボルト104を挿入し、各ボルト104をネジ穴106
にネジ込む。このボルト104をネジ込むと連結板78
と連結板105は密着して連結され、軸受部24の下部
に攪拌部28の上部が連結されることになる。この連結
において、吊下げパイプ107の上端開口と駆動軸76
の通気穴77の下端開口とが接続され、吊下げパイプ1
07と通気穴77の上下方向に空気の流動が確実に行う
ことができるように連通される。すなわち、吸引パイプ
109の下端開口より通気穴77の上端開口まで、一本
のパイプが形成されたことになり、一連の流路により、
空気は吸引パイプ109の下端開口より通気穴77の上
端開口を流動することができる。
【0099】そして、攪拌部28が軸受部24に吊り下
げされた状態の平面は図6で示され、攪拌板114の両
端は乾燥釜51の内壁より接触しない程度に少し間隔を
離した位置にあり、円弧形となった攪拌板114の中央
は乾燥釜51の内径の1/4程度の距離を乾燥釜51の
内壁から離してある。また、攪拌部28が軸受部24に
吊り下げられた状態の側面は図7、図9により示され、
スカート板115の下辺は乾燥釜51の底面に接触しな
い程度に少し上方に離して位置し、スカート板115が
乾燥釜51の底面に接触しないように設定してある。ま
た、図7で示すように、吸引パイプ109はその軸線を
垂直に位置させてあり、吸引パイプ109の下端開口は
乾燥釜51の底面より少し上方に位置させてある。そし
て、攪拌部28が軸受部24に吊り下げられた状態で
は、吊下げパイプ107に斜向パイプ108が斜め下方
に傾斜して位置し、吸引パイプ109は乾燥釜51の内
壁に接近するように配置される。このため、駆動軸76
が回転すると、吸引パイプ109は、吊下げパイプ10
7の軸線と吸引パイプ109の軸線の距離を半径とした
円形を描くようにして乾燥釜51の内部空間で回転する
ことになる。
【0100】〔駆動部22の構成〕
【0101】次に図5、図7、図8により駆動部22の
構成を説明する。この駆動部22の主要部材は円筒形を
したモーター118によって構成されており、このモー
ター118の上部には回転数を減速して出力する長方体
形をしたギアボックス119が一体に連結してある。こ
のギアボックス119の上面中央には、減速された回転
力を出力するための出力軸120が垂直に突出させてあ
る。また、前述した保持板41の前側(図5、図8にお
いて右奥側)には四角いモーター穴42が開口してあ
り、このモーター穴42を跨ぐようにして薄肉板金を折
り曲げて形成したモーター固定具121がネジによって
固定してある。このモーター固定具121はその長さが
モーター穴42の開口幅より少し長く、その断面形状は
『コ』の字形となっていて、その両端を水平に延長した
足部分を有している。このモーター固定具121の両端
に形成した足部分を保持板41の上面に密着させ、各足
部分をネジで固定するとモーター固定具121はモータ
ー穴42を塞ぐように固定される。このモーター固定具
121の中央には円形の開口122を形成してあり、前
記出力軸120を開口122の下方より上方に挿入し、
ギアボックス119の上面を保持板41の下面に密着さ
せたなら、ギアボックス119とモーター固定具121
をネジにより連結する。こうして、モーター118、ギ
アボックス119をモーター固定具121に固定するこ
とができる。
【0102】このようにモーター固定具121にギアボ
ックス119を固定すると、モーター固定具121の上
面より出力軸120が垂直に突起することになる。この
出力軸120にプーリー123を嵌め込み、プーリー1
23の高さ位置を駆動軸76に固着したプーリー95と
同じ高さに設定する(図7を参照)。そして、両プーリ
ー95と123の外周の間には、ゴム等で形成した無端
状をしたベルト124を掛け廻しておく(図5、図7、
図8を参照)。なお、図5、図8では図示していない
が、図7で示すように、保持板41の上面であってモー
ター穴42に接近した位置にはネジ板125を突起させ
てあり、このネジ板125には水平方向に移動できるテ
ンションボルト126をネジ込んである。このテンショ
ンボルト126の先端はモーター固定具121の側面に
接触させてあり、テンションボルト126を廻すことに
よりモーター固定具121を図7中で水平に左右方向に
移動させることができる。このテンションボルト126
により、モーター固定具121を水平に移動させること
により、プーリー95とプーリー123の中心軸線の間
隔を変動させ、ベルト124のテンションを微調整する
ことができる。このベルト124の張り状態を調整する
ことで、モーター118からの回転力を駆動軸76に円
滑に伝えることができる。
【0103】〔加熱部23の構成〕
【0104】前述した加熱部23の外形は図2、図3、
図5、図7によって示される。この加熱部23の外形は
偏平な箱状をしており、図5で示すように支持ボルト4
5によって保持された水平な一対の横アングル46の上
面に載置してある。この加熱部23はその内部に収納し
た電磁加熱手段としての高周波コイル128によって乾
燥釜51と蓄熱体60に高周波の電磁波を交拌させ、乾
燥釜51と蓄熱体60に渦電流損を発生させることで発
熱させることができる。この加熱部23は電磁波を発生
するためにユニット化されて組み立てられており、加熱
部23の内部構造を図13と共に詳しく説明する。
【0105】この加熱部23の外殼は内部が空洞の箱状
をしたコイル容器129で構成されており、このコイル
容器129は上方が開口した箱体130と、この箱体1
30の上部開口を封鎖する蓋板131から構成されてい
る。この箱体130は薄肉の金属板を材料として、底部
分は正方形であり、この底部分の四辺をそれぞれ立ち上
げることで升状に形成してある。また、蓋板131は薄
肉の金属板を正方形に切断したものであり、その平面形
状は箱体130の開口部分よりも若干大きくなるように
設定してある。このため、箱体130の上部開口に蓋板
131を被せると、蓋板131の四隅が水平に突出し、
コイル容器129の上部が左右に張り出すことになる。
この箱体130の開口に蓋板131の下面を密着させ、
両者をネジ込め、あるいは電気溶接で結合することで単
体のコイル容器129が組み立てられ、コイル容器12
9は内部が空洞であって外部からは閉鎖された構成とな
っている。
【0106】このコイル容器129の空洞となった内部
の中央には、図13で示すように電磁波を発生させるた
めの偏平の円筒形状をした高周波コイル128が収納し
てあり、この高周波コイル128の外周とコイル容器1
29の内周面とは接触しないように多少の隙間を設けて
固定してある。そして、この高周波コイル128には電
力供給用の一対の電力線132が接続してあり、両電力
線132の終端は箱体130の側面(図13において右
手前側)に絶縁して固定してある一対の電極133にそ
れぞれ電気的に接続してある。
【0107】次に、第一の実施の形態の仮設便所11に
収納した屎尿処理装置15の動作をそれぞれ具体的に説
明する。
【0108】<利用者による仮設便所11の使用>
【0109】この仮設便所11を利用して大小便を排泄
しようとする利用者は、ドアー14を開きハウス13の
内部に入り込み、便器16に対し大小便を排泄する。排
泄された大小便は便器16の下部に開口した排出口(図
示せず)より屎尿処理装置15に落下し、屎尿処理装置
15内において加熱され、その大部分の成分である水分
が蒸発・乾燥されて処理される。
【0110】<乾燥釜51への大小便の投入>
【0111】すると、図2で示すように便器16に向か
って排泄された大小便は便器16の下部の排出口を通過
し、蛇腹状になったジョイント39によりさらに下方に
案内される。そして、途中にある開閉弁(図示せず)を
通過し、ジョイント39の下端が接続された連結リング
55にまで流下する。図5で示すように、連結リング5
5の中央には投入口56が開口してあるため、流下大小
便は投入口56より導入部54の内部空間に投入され
る。この導入部54の底面は乾燥釜51の方向に向けて
傾斜させられているため、大小便はその傾斜した方向に
従って流動し、乾燥釜51の内部空間に流入させられ
る。なお、大小便の一部がジョイント39や導入部54
の内壁に付着することもあるが、利用者が排便した後で
図示しないタンクより少量の洗浄水を便器16に噴射
し、これらの付着した大小便を洗浄水とともに乾燥釜5
1の内部空間に流入させることができる。
【0112】<乾燥釜51の加熱>
【0113】このように、乾燥釜51内に大小便を投入
したならば、次いで乾燥釜51を加熱して大小便を蒸発
・乾燥させる処理を開始する。この加熱においては、図
示しない高周波電力発生機より高周波コイル128に高
周波の電力を供給し、高周波コイル128より電磁波を
交拌させ、乾燥釜51および蓄熱体60を電磁誘導加熱
の原理により発熱させて行う。まず、高周波電力発生機
から供給される電力は電極133、電力線132を介し
て高周波コイル128に伝えられる。この高周波コイル
128に供給された高周波電力により、高周波コイル1
28には上下方向に電磁波が発生することになる。この
高周波の電磁波はコイル容器129から外部に漏れ出
て、高周波の電磁波はコイル容器129の上面に接近し
ている乾燥釜51の底部分を通過して交拌することにな
る。
【0114】このため、乾燥釜51の底部分では高い周
波数の電磁波が交拌することで、電磁誘導加熱の現象が
発生し(乾燥釜51は鉄等の金属製の材料で形成されて
いる)乾燥釜51自体が発熱する。同時に、この電磁波
は乾燥釜51内に収納した蓄熱体60にも交拌すること
になり、この蓄熱体60自体も発熱する。この電磁誘導
加熱により乾燥釜51と蓄熱体60が発熱するため、乾
燥釜51内に貯留した大小便は乾燥釜51と蓄熱体60
が発熱することで加熱され、その温度が上昇することに
なる。大小便の温度が順次上昇すると、ついには貯留し
た大小便は沸騰する温度にまで加熱され、大小便の大部
分の成分である水分は水蒸気となってその表面から蒸発
することになる。
【0115】<外部からの空気の供給と排気>
【0116】このようにして、乾燥釜51の内部で大小
便は沸騰し、その大部分の成分である水分が蒸発するこ
とになるが、図示しない送風経路により送風機36から
供給された新鮮な空気は給気穴63より乾燥釜51の内
部に注入される。この乾燥釜51に供給された外部の空
気に含まれる酸素は、沸騰している大小便と接触してそ
の成分を酸化させる。同時に、この乾燥釜51内で蒸発
した水蒸気と空気は外部に放出させなければならない。
このため、排気穴64より蒸発した水蒸気および空気が
乾燥釜51の外部に流出させられる。そして、排気穴6
4から流出した水蒸気と空気は図示しない流動経路によ
り再加熱箱および触媒箱を通過し、その悪臭の原因とな
る成分が酸化還元され、無臭の状態に変化させられて外
部に放出される。このように、大小便を蒸発させた後の
処理については、従来から知られた構成である
【0117】なお、この乾燥釜51を加熱したときに、
乾燥釜51より発生した水蒸気は投入口56を通じてジ
ョイント39より、便器16の下部開口より噴出しよう
とするが、ジョイント39の途中には開閉弁(図示せ
ず)が設けてあり、この大小便を蒸発・乾燥する処理の
際には開閉弁は閉鎖してあり、便器16の下部開口から
ハウス13内には悪臭や水蒸気が噴出することはない。
【0118】<攪拌部28の回転運動>
【0119】前述した高周波コイル128による乾燥釜
51の加熱の動作と同時に、攪拌部28のモーター11
8には電力が供給されて攪拌の動作を開始する。モータ
ー118に電力が供給されると、モーター118の回転
出力はギアボックス119を介してその回転数が減速さ
れ、上端にある出力軸120を低速で回転させる。する
と、出力軸120に固着してあるプーリー123も同時
に回転し、図5、図7、図8で示すように、ベルト12
4を介してプーリー95を従動させ、プーリー95の回
転によりその中央に固着してある駆動軸76を水平方向
に回転させる(このプーリー95と駆動軸76との間に
は、図10、図11で示すようにキー97を噛み合わせ
て介在させてあるため、水平方向への回転はスリップせ
ず、プーリー95と駆動軸76は同期して回転する)。
この駆動軸76は図10、図11で示すように、その上
下部を外軸筒71に固定されたベアリング84、91に
よってそれぞれ保持されているため、駆動軸76は水平
方向に円滑に回転することが維持されている。このよう
に、ベルト124を介してプーリー95が従動される
と、その回転力がキー97を介して駆動軸76に伝えら
れ、プーリー95と駆動軸76が同時に同じ方向に回転
することになる。
【0120】この駆動軸76の下部には、図7、図8、
図9で示すように攪拌部28が吊り下げられているた
め、攪拌部28全体は駆動軸76と共に乾燥釜51の内
部空間で水平方向に回転することになる。この回転の動
作では、駆動軸76の下端に固着した連結板78に連結
板105が連結してあり、連結板105には吊下げパイ
プ107、斜向パイプ108、吸引パイプ109で構成
されたクランク状となったクランク体102が吊り下げ
られているため、クランク体102は乾燥釜51の内部
で駆動軸76と同期して回転することになる。この回転
動作では、吸引パイプ109は駆動軸76を回転の中心
として、乾燥釜51内で円形の軌跡を描きながら回転す
る。そして、吸引パイプ109の回転運動では、吸引パ
イプ109の下端開口は乾燥釜51の底面と接触しない
程度の間隔を保っており、吸引パイプ109は乾燥釜5
1の底面と接触せずに回転することができる。
【0121】この吸引パイプ109が回転すると、吸引
パイプ109の側面に固着してある三角板110、11
1および攪拌板114、スカート板115も同時に乾燥
釜51内で円形の回転運動を行うことになる。この攪拌
板114、スカート板115の回転では、攪拌板114
の両側端は乾燥釜51の内壁と少しの間隔を離してお
り、スカート板115の下端は乾燥釜51の底と少しの
間隔を離しており、攪拌板114、スカート板115は
乾燥釜51と接触せずに回転する。そして、攪拌板11
4、スカート板115は、図6で示すように、攪拌板1
14、スカート板115で乾燥釜51内の空間を二つに
区分しており、この状態を維持しながら攪拌板114、
スカート板115が回転するため、攪拌板114とスカ
ート板115は乾燥釜51の内部に貯留された大小便を
攪拌することになり、同時に乾燥釜51内に収納してあ
る蓄熱体60を押し廻して転動させることになる。
【0123】<蓄熱体60による大小便の攪拌>
【0124】このようにモーター118が作動すると、
その回転出力によって攪拌部28全体が回転させられ、
攪拌板114、スカート板115により乾燥釜51内に
投入してある蓄熱体60を乾燥釜51の内部で転動させ
ることになる。攪拌板114とスカート板115で乾燥
釜51に収納した大小便を攪拌すると同時に、この蓄熱
体60を転動させるため、乾燥釜51内に収納した大小
便は攪拌板114、スカート板115、蓄熱体60によ
って攪拌され、大小便全体の温度が均一に上昇するよう
にかき混ぜられる。また、蓄熱体60が転動させられる
と、各蓄熱体60の表面には大小便が付着させられ、蓄
熱体60が発熱している熱は大小便に伝達され、大小便
の温度を上昇させる補助の作用を行う。こうして、大小
便は蓄熱体60によって攪拌されながら、その発熱して
いる温度が伝えられ、大小便全体の温度の上昇が行われ
る。
【0125】<乾燥釜51による大小便の蒸発・乾燥の
処理の終了>
【0126】このように高周波コイル128により乾燥
釜51と蓄熱体60を加熱しながら攪拌部28を回転さ
せることにより、乾燥釜51内に収納された大小便は沸
騰を続け、大小便の大部分の成分である水分は蒸発を続
ける。この蒸発の動作を継続すると、最終的には乾燥釜
51内に収納した大小便の全てが蒸発されることにな
る。乾燥釜51内の大小便の全てが蒸発したならば、高
周波コイル128により乾燥釜51と蓄熱体60を加熱
する必要がなくなり、蒸発・乾燥の処理を終了しなけれ
ばならない。この動作の終了は図示しない温度センサー
により乾燥釜51の温度上昇を検知することによって自
動的に行なうことができる。すなわち、図示しない温度
センサーにより乾燥釜51の側面の温度変化が常時監視
されており、この乾燥釜51内に大小便が存在する場合
には乾燥釜51の温度は沸騰点付近で維持されていて、
温度は高くならない。しかし、大小便が全て蒸発される
と乾燥釜51の表面温度は急激に上昇することになり、
この温度の変化を温度センサーによって検知することで
乾燥釜51内の大小便が全て蒸発されたことを判断する
ことができる。温度センサーにより、乾燥釜51内の大
小便の蒸発が全て完了されたと判断されたときには、高
周波電力発生機から高周波コイル128に供給している
電力が停止され、高周波コイル128による乾燥釜5
1、蓄熱体60の加熱は停止される。
【0127】<乾燥釜51の清掃処理>
【0128】このようにして、乾燥釜51内に収納した
大小便を全て蒸発・乾燥させると、その大部分の成分で
ある水分は蒸発するが、大小便に含まれる有機物や無機
質等は塵埃となって乾燥釜51内に残留することにな
る。このような塵埃が乾燥釜51の内壁および底に付着
して堆積すると、永年の使用によって攪拌板114、ス
カート板115、蓄熱体60が乾燥釜51内で回転でき
なくなり、ついには屎尿処理装置15の処理機能を果た
さなくなることになる。このため、大小便の蒸発・乾燥
の処理が終了したならば、次いで、乾燥釜51内の清掃
の処理を行ない、乾燥釜51内に残留した塵埃を除去し
なければならない。
【0129】この清掃の処理においては、モーター11
8により攪拌部28を回転させながら、駆動軸76に設
けた通気穴77の上端開口より空気を吸引することによ
って行うことができる。すなわち、バルブ38に接続し
た吸引器(送風機36の吸引側を連通パイプにより接続
することになる)で吸引を開始し、バルブ38を開口す
ると排風パイプ37を介して通気穴77内の空気を吸引
することになる。すると、駆動軸76の下端に接続して
あるクランク体102を構成する吊下げパイプ107、
斜向パイプ108、吸引パイプ109は通気穴77と連
通しているため、吸引パイプ109の下端開口から空気
が順次吸引されることになる。この吸引パイプ109の
下端開口より空気が吸引されると、乾燥釜51の底付近
に残った蒸発できない有機物や無機質等の塵埃は空気と
共に吸引パイプ109の下端開口から吸引される。そし
て、空気と共に吸引された塵埃は、吸引パイプ109、
斜向パイプ108、吊下げパイプ107および通気穴7
7を通過し、乾燥釜51より外部に放出される。この空
気と共に吸引された塵埃は、排風パイプ37、バルブ3
8を通過し、図示しない塵埃分離器(電気掃除機におけ
るゴミ袋と同じような構成となっている)により塵埃の
みが捕獲され、空気は分離されて清浄となり外部に放出
される。
【0130】この清掃の処理の際においても、モーター
118は継続して動作しており、プーリー123、ベル
ト124、プーリー95を介して攪拌部28全体は乾燥
釜51内で味噌擦り運動のように円形の軌跡を描いて回
転している。このため、吸引パイプ109の下端開口は
乾燥釜51の底近くで円形に回転し、乾燥釜51の底に
溜まっていた塵埃を万遍なく吸い上げることができる。
この攪拌部28が回転すると攪拌板114、スカート板
115も同時に回転し、蓄熱体60を乾燥釜51の底で
転動させるため、蓄熱体60によって乾燥釜51の底に
溜まっていた塵埃を剥ぎ取る作用をするとともに、塵埃
を細かく砕く作用を行ない、乾燥釜51の底に溜まって
いた塵埃は剥離されると同時に、空気と共に吸引され易
いように細かく粉砕される。
【0131】<清掃の処理の停止>
【0132】このように乾燥釜51の内部に貯留されて
いる塵埃を吸引することにより、乾燥釜51の清掃の処
理を行うことができ、この処理を所定の時間継続したな
らば清掃の処理が完了する。この清掃の処理の停止で
は、モーター118はその動作を停止し、攪拌部28は
回転をせずに停止し、バルブ38は閉鎖され、送風機3
6は停止することになる。そして、清掃の処理が完了し
たならば、屎尿処理装置15を構成する各機構はその状
態を維持して待機し、仮設便所11を次に利用して便器
16に排泄したい利用者のために待機する。このような
一連のサイクルを順次繰り返すことにより、仮設便所1
1の便器16に排泄された大小便を無臭に乾燥させてす
ることができる。
【0133】〔第二の実施の形態〕
【0134】次に、本発明の第二の実施の形態を図1
4、図15により説明する。この図14、図15は前述
した攪拌部28を改良した構成を示すものであり、図1
4は図6に対応し、図15は図12に対応している。こ
の第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同一の構
成部材には同一の番号を付し、その説明を省略してい
る。
【0135】〔第二の実施の形態の構成〕
【0136】この第二の実施の形態においては、前述し
た吸引パイプ109の上下にそれぞれ固定板141と1
42を上下に間隔を置いて固着してある。この固定板1
42、142は上方から見た図14で判るように、2つ
の直線の辺が直角に交差し、他の辺が波形に形成された
変形した菱形をしている。この上方から見た形状は、あ
たかも洋凧が空中に浮かんでいる形状と良く似ており、
波形となった辺では、左右対象に円弧形に削られた形状
となっている。この固定板141、142を吸引パイプ
109に固着する際には、各固定板141、142の直
線が交差した鋭角の頂点が乾燥釜51の内壁に向けて配
置し、波型に形成された他の辺の中央を乾燥釜51の中
心軸に向けて配置してある(固定板141、142の配
置は図14で理解することができる)。そして、この固
定板141と142の直線状の辺(図15において右手
前側)の間には長方形状をした側板143が固着してあ
る(なお、図15では他の側板は隠れていて図示されて
いないが、固定板141、142の直線状となった他の
辺には、側板143と同一形状をした他の側板が電気溶
接等によって固着してある)。そして、この前述した固
定板141、142の波形となった辺には、円弧形に曲
げられた攪拌板144と攪拌板145の背面がそれぞれ
密着させてあり、固定板141、142の波形の辺と攪
拌板144、145とは電気溶接等によって固着してあ
る。この攪拌板144、145は側板143の側面とも
電気溶接により固着してあり、固定板141、142、
側板143、攪拌板144、145により外部から密閉
された構造体が形成されてていることになる。
【0137】そして、攪拌板144の円弧形に曲げられ
た下辺には、前方に向けてテーパー状に傾斜したスカー
ト板146の上辺が電気溶接等により固着してあり、攪
拌板145の円弧形に曲げられた下辺には、前方に向け
てテーパー状に傾斜したスカート板147の上辺が電気
溶接等により固着してある。この構成のため、攪拌板1
44、145、スカート板146、147により、丁度
かもめがその羽を広げたように左右対象に波形の二つの
曲面を形成させたことになる。攪拌部28が乾燥釜51
内に吊り下げられた状態において、これらの攪拌板14
4、145の左右の長さは図14で示すように乾燥釜5
1の内壁に接触しないように少しの間隔が開けられる程
度の大きさに設定されている。また、スカート板14
6、147の下端も、攪拌部28が乾燥釜51内に吊り
下げられた状態において、乾燥釜51の底面に接触しな
いように少しの間隔を開けて位置するようにその高さが
設定されている。
【0138】<第二の実施の形態の作用>
【0139】このような形状をした攪拌部28を軸受部
24に吊り下げ、乾燥釜51内に攪拌部28を収納させ
た状態で、前述のモーター118を駆動させると軸受部
24と攪拌部28が回転する。この攪拌部28は吊下げ
パイプ107の中心軸を回転の中心として乾燥釜51内
で回転させられ、吊下げパイプ107よりその中心軸を
離した吸引パイプ109は乾燥釜51内で味噌擦り運動
のように円形を描いて回転することになる。このとき、
攪拌板144、145、スカート板146、147はそ
れぞれ吸引パイプ109と連動して乾燥釜51の内部空
間で円形を描くようにして回転することになる。これら
の攪拌板144、145、スカート板146、147の
回転により、乾燥釜51内に収納された蓄熱体60はこ
れらにより押されて転動し、乾燥釜51に貯留した大小
便を攪拌する作用を行う。この蓄熱体60の転動におい
て、攪拌板144、145、スカート板146、147
はそれぞれ左右に羽根を広げたような2つの曲面を描い
た円弧形に形成されているため、蓄熱体60は二つの曲
面に接触して転動させることになる。
【0140】この攪拌板144、145、スカート板1
46、147により形成された2つの曲面は、図14で
示すように、その両端が乾燥釜51の内壁に接近し、交
差した2つの円弧が乾燥釜51の中心に位置するように
配置されている。この形状のため、複数の蓄熱体60は
攪拌板144、145、スカート板146、147が回
転して、乾燥釜51の中心方向に移送されることがな
く、常に乾燥釜51の底の周囲で転動するように押され
ることになる。このため、攪拌板114、スカート板1
15が単純な1つの円弧を描いた曲面の第一の実施の形
態では、攪拌板114、スカート板115が複数の蓄熱
体60を押す力により、これらの蓄熱体60が乾燥釜5
1の中心に移動し、乾燥釜51の中心で蓄熱体60が団
子のように集結することがなくなる。このように、2つ
の円弧を描いた攪拌板144、145、スカート板14
6、147では、複数の蓄熱体60は乾燥釜51の底で
円形に転動させられるため、乾燥釜51内に収納した大
小便の攪拌を確実に行なうことができる。
【0141】〔第三の実施の形態〕
【0142】次に、本発明の第三の実施の形態を図1
6、図17により説明する。この第三の実施の形態は、
前述した攪拌部28を改良した構成を示すものであり、
図16は図6に対応し、図17は図12に対応してい
る。この第三の実施の形態では、第一の実施の形態と同
一の構成部材には同一の番号を付し、その説明を省略し
ている。
【0143】〔第三の実施の形態の構成〕
【0144】前述した吸引パイプ109に挿通されるの
は一対のは平板状をした半月板151、152であり、
両半月板151、152の平面形状はその前後が円弧と
なった三日月形をしており、曲率半径の小さい曲面Cと
曲率半径の大きい曲面Dとで周面が形成されている。こ
のため、曲面Cが円弧形に出っ張り、曲面Dが円弧形に
凹んだ図16で示されるような三日月形の形状となって
いる。そして、この曲面Cの曲率半径は、乾燥釜51の
内壁の曲率半径とほぼ等しくなるように設定してある。
この半月板151の中央には吸引パイプ109の外径を
その内径とする固定穴153が開口してあり、半月板1
52の中央には吸引パイプ109の外径をその内径とす
る固定穴154が開口してある。これらの固定穴15
3、154をそれぞれ吸引パイプ109に挿通し、両固
定穴153、154が平行となるように間隔を置いて電
気溶接などにより吸引パイプ109に固定する。
【0145】これらの半月板151と152のそれぞれ
の曲面Cには、平板を円弧形に曲げた背面板155を接
触させてあり、背面板155の上辺は半月板151の曲
面Cと電気溶接等により固着してあり、背面板155の
下辺は半月板152の曲面Cと電気溶接等により固着し
てある。さらに、半月板151と152のそれぞれの曲
面Dには、一枚の板を円弧形に曲げた攪拌板156が接
触させてあり、攪拌板156の上辺は半月板151の曲
面Dと電気溶接等により固着してあり、攪拌板156の
下辺は半月板152の曲面Dと電気溶接等により固着し
てある。さらに、攪拌板156の円弧形となった下辺に
は、前側に向かって傾斜したスカート板157の上辺が
固着してある。
【0146】このように組み合わされた半月板151、
152、背面板155、攪拌板156により円柱の一部
を半月に切り欠いたような立体形の構造物が形成され
る。この組み立てられた構造物と吸引パイプ109の関
係では、吊下げパイプ107の回転軸の中心と半月板1
51、152の曲面Cの曲率の中心とが同一の位置にな
るように設定してある。このため、攪拌部28を乾燥釜
51の内部空間に挿入すると、図16で示すように吊下
げパイプ107の中心軸が乾燥釜51の中心と一致し、
半月板151、152の曲面Cは乾燥釜51の内壁より
数ミリの間隔Bを離して位置することになる。このよう
に乾燥釜51内で攪拌部28が配置されると、半月板1
51、半月板152、背面板155、攪拌板156によ
って立体形となった構造物は乾燥釜51の内部空間にそ
のまま収納されて、乾燥釜51の内部空間の一部を占有
することになる。この結果、図16で示すように、乾燥
釜51に残った空間は、攪拌板156の前面と乾燥釜5
1の内壁とによって形成された算盤の玉形をした空間だ
けが残されたことになり、他の空間は半月板151、1
52、背面板155、攪拌板156により形成された構
造物によって塞がれていることになる。
【0147】<第三の実施の形態の作用>
【0148】この攪拌部28を乾燥釜51の内部空間に
吊り下げ、前述のモーター118を駆動することにより
攪拌部28を回転させると、吊下げパイプ107の中心
軸をその回転中心とし、斜向パイプ108、吸引パイプ
109は乾燥釜51内で回転することなり、吸引パイプ
109は乾燥釜51内で円形の軌跡を描いて回転するこ
とになる。この吸引パイプ109の回転と同時に半月板
151、152、背面板155、攪拌板156、スカー
ト板157で構成された構造物も同期して乾燥釜51の
内部空間で回転する。そして、攪拌板156、スカート
板157の回転により蓄熱体60は押されて乾燥釜51
の底で転動し、乾燥釜51の内部に収納した大小便を攪
拌することになる。
【0149】この攪拌部28による大小便の攪拌におい
て、第一の実施の形態、第二の実施の形態と相違し、乾
燥釜51の内部空間の半分程度の容積はこの構造物によ
って塞がれているため、大小便は乾燥釜51に残った算
盤の玉形をした空間で攪拌されることになる。このた
め、乾燥釜51に投入された大小便は、この蓄熱体60
が収納された特定の空間内でのみ攪拌され、他の空間に
は移動しないため、熱の伝達が効率よく行なうことがで
き、確実に攪拌できることになる。また、この構造物の
背面である背面板155の外周と乾燥釜51の内壁の間
には小さな隙間Bを残してあるだけのため、背面板15
5が回転すると乾燥釜51の内壁に付着した大小便のカ
スは背面板155により削り取られることになり、乾燥
釜51の内壁には残留物が付着しない。このため、乾燥
釜51の内壁には、大小便の乾燥が終わった後でも塵埃
が付着することが無く、清潔に保つことができる。
【0150】
【発明の効果】以上説明したように本願の請求項1の発
明によれば、屎尿を収納する容器の内部には攪拌手段を
収納してあり、この攪拌手段を回転させることにより大
小便である屎尿と蓄熱体を回転させて攪拌することがで
きる。そして、この攪拌手段は、上端と下端の軸線を偏
位させたクランク体と、円弧形に曲げた一対の攪拌板と
から構成されており、攪拌板はクランク体の下部で羽根
を広げたように左右に配置されている。このクランク体
の上端を容器の上部中央に回転自在に軸支してあるた
め、下端は中心軸より外側に離れた位置の容器内壁に接
近した位置にある。このため、クランク体が回転する
と、クランク体の下端は容器の底に接近して円形の軌跡
を描いて回転運動することになる。クランク体の下部に
は一対の攪拌板が左右に配置して固着してあるため、ク
ランク体の回転に従って両攪拌板は容器内で回転運動を
行ない、それらの円弧形に曲げられた前面が容器内の屎
尿と蓄熱体を押すようにして確実に攪拌することができ
る。
【0151】また、このクランク体はその上端の軸線と
下端の軸線が水平方向に偏位させてあり、クランク体の
上端を容器の上部中央に軸支してあるので、クランク体
が回転するとクランク体の下端は容器の底を円形に回転
することになる。このクランク体はその全長がパイプ状
に形成してあり、下端の開口より上端の開口までの間を
空気が流動することができる。このことから、クランク
体の下端の開口より空気を吸引すると、その空気はクラ
ンク体の上端の開口にまで流動する。そして、クランク
体が容器の底付近を円形に回転するため、容器の底に残
留していた塵埃は空気と共に吸引され、クランク体の上
端開口より外部に流動させることができる。この塵埃の
吸引による清掃では、クランク体が容器の底で円形に旋
回するため、広い範囲に残留している塵埃を清掃するこ
とができる。
【0152】このように、クランク体の形状を折れ曲が
ったクランクのような形状にして、容器の内部空間で円
形の軌跡を描いて回転させることにより、容器内の屎尿
と蓄熱体を攪拌することができる。同時に、クランク体
の下端開口より空気と塵埃を吸引し、屎尿の加熱・蒸発
の処理が終わった後での清掃の処理を行うことができ
る。このため、クランク体は攪拌と清掃の二つの作用を
効率よく処理することができ、容器の中央に回転軸を軸
支させた構造に比べ、清掃の効率が高くなる。
【0153】また、屎尿を収納した容器自体を回転させ
て屎尿の攪拌を行う従来の屎尿処理装置に比べ、容器は
固定することができるので、容器自体を堅牢に保持する
ことができる。そして、容器を回転させる必要が無いた
め、回転による接合面での気密性を維持させる構成は必
要とならず、構造が簡易となり、製造費用も安価とな
る。
【0154】さらに、クランク体の上端を容器の上部中
央に軸支し、円弧形をした一対の攪拌板を左右に配置し
て、羽根を広げたようにクランク体の下部に固着してあ
る。このため、一対の攪拌板の接合線は容器のほぼ中央
に位置し、容器の内部で2つの曲面を形成している。そ
して、各攪拌板のそれぞれの端面を容器の内壁に接近し
て位置させると共に、各攪拌板の下面を容器の底に接近
して位置させてある。このため、両攪拌板で容器の底部
分の空間を二分させることができ、蓄熱体をその区画し
た空間に配置させることができるので、屎尿の攪拌を確
実の行うことができる。また、一対の攪拌板で羽根を広
げたように2つの曲面を形成してあり、両攪拌板の接合
線は容器の中央に位置しているため、それぞれの曲面で
蓄熱体を押し廻すことができ、蓄熱体を容器の中心部に
移動させることなく、容器の底で円形に転動させること
ができる。
【0155】本願の請求項2の発明によれば、容器の中
央に内部中空のパイプ状をしたクランク体を軸支し、こ
のクランク体の下部に外部から閉鎖された立体形をした
攪拌体を固着してある。そして、クランク体の背面の曲
率半径は容器の内壁の曲率半径にほぼ一致するように設
定してある。このため、容器内に収納した攪拌体は容器
の内壁に接近して回転自在に保持されていることにな
る。このため、容器の内で屎尿と蓄熱体が投入される部
分が独立した空間となり、屎尿を加熱する熱は狭い空間
に伝えられて、屎尿の温度上昇を迅速に行なうことがで
きる。また、容器と攪拌体には狭い隙間が設けてあるた
め、屎尿の蒸発後に残る塵埃が容器の内壁に付着するの
を防止することができる。
【0156】本願の請求項3の発明によれば、容器の底
の中央を上方に突起させ、その周囲をなだらかな斜面と
なるように形成してあり、蓄熱体はこの斜面の周囲で円
形の軌跡を描きながら転動することになる。このため、
複数の蓄熱体は必ず斜面の最低位置に移動することにな
り、攪拌板で蓄熱体を押し廻していても、容器の底の中
央には移動せず、容器の底の周囲を円形に転動させられ
る。このため、屎尿の攪拌が確実に行われ、さらに、清
掃の処理の際には容器の広い範囲を転動するため塵埃の
剥離と粉砕が効率良く行われる。
【0157】本願の請求項4の発明によれば、容器は、
平板状の保持板と、上部が開口した円筒形の乾燥釜とか
ら構成されていて、乾燥釜の上部開口を保持板に密着さ
せることで密閉した容器を構成させることができる。こ
のため、容器の構造を簡易にすることができ、組立て、
分解の作業が容易となるものである。
【0158】本願の請求項5の発明によれば、クランク
体に固着した一対の攪拌板の下端には、各攪拌板の曲面
に合わせてその上端を回曲させていると共に、その下端
を各攪拌板の前方向に向けて傾斜させたスカート板をそ
れぞれ固着させてある。このため、各スカート板によっ
て各攪拌板の下部でその前側に向けて傾斜した面を持つ
ことになり、この傾斜した面で屎尿を掻き上げるして攪
拌できるので、屎尿の攪拌が効率良く行われることにな
る。
【0159】本願の請求項6の発明によれば、クランク
体に固着した攪拌体の前面の半月形をした下端の曲面に
は、回曲した方向に向けてその平面を傾斜させたスカー
ト板を固着してある。このため、スカート板によって攪
拌体の下部でその前側に向けて傾斜した面を持つことに
なり、この傾斜した面で屎尿を掻き上げるして攪拌でき
るので、屎尿の攪拌が効率良く行われることになる。
【0160】本願の請求項7の発明によれば、容器に駆
動軸を軸支してあり、この駆動軸の下端にクランク体の
上端を連結してある。このため、駆動軸は容器に対して
回転自在に保持されるので、クランク体の回転は駆動軸
により確保できる。そして、駆動軸の中心には上下に貫
通した通気穴が形成してあり、この通気穴がクランク体
のパイプ状をした上端開口と連通している。このため、
通気穴が容器の内外で連通することができ、回転と空気
の流通の作用を行うことができる。
【0161】本願の請求項8の発明によれば、容器を加
熱するのは高周波の電磁波を発生する電磁加熱手段によ
って行っているので、火力などを使用せずに火災の発生
を防止することができる。また、電磁加熱による容器の
加熱であることから、熱効率が高められ、効率良く容器
を加熱するため、無駄なエネルギーの消耗を少なくする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屎尿処理装置を仮設便所に応用した第
一の実施の形態を示す、仮設便所の全体斜視図である。
【図2】本発明の屎尿処理装置を応用した仮設便所の内
部の機構の配置を示す、屎尿処理装置を背面から視たス
ケルトン図である。
【図3】本発明の屎尿処理装置を応用した仮設便所の内
部の機構の配置を示す、屎尿処理装置を側面から視たス
ケルトン図である。
【図4】本発明の屎尿処理装置を応用した仮設便所の内
部の機構の配置を示す、屎尿処理装置を上方から見たス
ケルトン図である。
【図5】本発明の屎尿処理装置の外観を示す斜視図であ
る。
【図6】本発明の屎尿処理装置の保持板を取り外した状
態の乾燥釜を上面から見た平面図である。
【図7】本発明の屎尿処理装置を図4におけるAーAに
矢視した縦断面図である。
【図8】本発明の屎尿処理装置の加熱部と駆動部の主要
部材を分解して、上下に分離して示した分解斜視図であ
る。
【図9】本発明の屎尿処理装置の攪拌部と軸受部の構成
を示すために、加熱部を破線で示した側面図である。
【図10】本発明の屎尿処理装置の軸受部の構成を示
す、主要部材を分解して上下に配置して示す分解斜視図
である。
【図11】本発明の屎尿処理装置を応用した移動式の小
便処理装置における軸受部の構成を示す縦断面図であ
る。
【図12】本発明の屎尿処理装置の攪拌部の構成を軸受
部の一部と共に示す斜視図である。
【図13】本発明の屎尿処理装置の加熱部の構成を示
す、蓋板を取り外した状態の斜視図である。
【図14】本発明の屎尿処理装置の第二の実施の形態に
おける、保持板を取り外した状態の乾燥釜を上方から見
た平面図である。
【図15】本発明の屎尿処理装置の第二の実施の形態に
おける、攪拌部の構成を示す斜視図である。
【図16】本発明の屎尿処理装置の第三の実施の形態に
おける、保持板を取り外した状態の乾燥釜を上方から見
た平面図である。
【図17】本発明の屎尿処理装置の第三の実施の形態に
おける、攪拌部の部材を分解してその構成を示す分解斜
視図である。 11 仮設便所 12 基台 13 ハウス 15 屎尿処理装置 16 便器 21 容器としての乾燥部 22 駆動部 23 加熱手段としての加熱部 24 軸受部 28 攪拌手段としての攪拌部 41 保持板 51 乾燥釜 52 フランジ 54 導入部 56 投入口 60 蓄熱体 76 駆動軸 77 通気穴 102 クランク体 107 吊り下げパイプ 108 斜向パイプ 109 吸引パイプ 110 三角板 111 三角板 114 攪拌板 115 スカート板 118 モーター 128 高周波コイル 141 固定板 142 固定板 143 側板 144 攪拌板 145 攪拌板 146 スカート板 147 スカート板 150 攪拌体 151 半月板 152 半月板 155 背面板 156 攪拌板 157 スカート板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/04 B09B 3/00 C02F 11/12 B01F 7/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屎尿を収納する耐熱性のある閉鎖された
    容器と、容器内に収納された球形状をした蓄熱体と、容
    器内に収納した屎尿と蓄熱体を攪拌する攪拌手段と、容
    器を加熱して屎尿を蒸発させる加熱手段とから構成さ
    れ、この攪拌手段は、上端の軸線と下端の軸線を水平方
    向に離した内部中空のパイプ状をしたクランク体と、半
    月形をしてその曲面を水平方向に向けた一対の攪拌板か
    ら成り、クランク体の一端を容器の上部中央に回転自在
    に軸支し、クランク体の下部を容器の内壁に接近させる
    と共に、クランク体の下端開口を容器の底に接近させ、
    半月形をした各攪拌板の両端を接近させて左右に並べて
    クランク体の下部に固着し、両攪拌板の接合線を容器の
    やや中央に位置させることで羽根を広げたように配置
    し、攪拌板の両側端を容器の内壁に接近させるように位
    置させたことを特徴とする屎尿処理装置。
  2. 【請求項2】 屎尿を収納する耐熱性のある閉鎖された
    容器と、容器内に収納された球形状をした蓄熱体と、容
    器内に収納した屎尿と蓄熱体を攪拌する攪拌手段と、容
    器を加熱して屎尿を蒸発させる加熱手段とから構成さ
    れ、この攪拌手段は、上端の軸線と下端の軸線を水平方
    向に離した内部中空のパイプ状をしたクランク体と、外
    部から閉鎖された立体形をした攪拌体とから成り、クラ
    ンク体の一端を容器の上部中央に回転自在に軸支し、ク
    ランク体の下部を容器の内壁に接近させると共に、クラ
    ンク体の下端開口を容器の底に接近させ、攪拌体をクラ
    ンク体の下部に固着し、この攪拌体はその背面を容器の
    内壁の曲率とほぼ同じ曲率の曲面で形成し、その前面を
    半月形に凹ませた曲面を形成し、クランク体に取り付け
    た攪拌体の背面が容器の内壁と少しの間隔を置いて回転
    できるように配置したことを特徴とする屎尿処理装置。
  3. 【請求項3】 前記容器は、その周囲が円筒形をしてお
    り、その円形の底の中央を上部に隆起させ、容器の底の
    中央から周囲にかけてなだらかな斜面を形成したことを
    特徴とする請求項1、2記載の屎尿処理装置。
  4. 【請求項4】 前記容器は、上部が開口して底を持つ円
    筒形をした乾燥釜と、平板状をした保持板から成り、乾
    燥釜の上部の開口を保持板の下面に密着して固定するこ
    とにより形成したことを特徴とする請求項1、2記載の
    屎尿処理装置。
  5. 【請求項5】 前記各攪拌板の半月形をした下端の曲面
    には、回曲した方向に向けてその平面を傾斜させたスカ
    ート板をそれぞれ固着し、各スカート板の下端を容器の
    底に接近させたことを特徴とする請求項1記載の屎尿処
    理装置。
  6. 【請求項6】 前記攪拌体の前面の半月形をした下端の
    曲面には、回曲した方向に向けてその平面を傾斜させた
    スカート板を固着し、スカート板の下端を容器の底に接
    近させたことを特徴とする請求項2記載の屎尿処理装
    置。
  7. 【請求項7】 前記容器の上部には、その軸線を垂直に
    位置させた駆動軸を回転自在に軸支し、駆動軸の中央に
    は上下に連通する通気穴を貫通開口させ、通気穴により
    容器の内外を連通させ、駆動軸の下端にはクランク体の
    上端を連結し、通気穴とクランク体の上端開口を連通さ
    せたことを特徴とする請求項1、2記載の屎尿処理装
    置。
  8. 【請求項8】 前記加熱手段は、高周波の電磁波を容器
    に向けて交拌させ、容器と蓄熱体を発熱させる電磁加熱
    手段により構成されたことを特徴とする請求項1、2記
    載の屎尿処理装置。
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