JP3432358B2 - 積層延伸ポリオレフィンフィルム - Google Patents

積層延伸ポリオレフィンフィルム

Info

Publication number
JP3432358B2
JP3432358B2 JP16728796A JP16728796A JP3432358B2 JP 3432358 B2 JP3432358 B2 JP 3432358B2 JP 16728796 A JP16728796 A JP 16728796A JP 16728796 A JP16728796 A JP 16728796A JP 3432358 B2 JP3432358 B2 JP 3432358B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
propylene
laminated
olefin
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP16728796A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1016153A (ja
Inventor
浩二 平田
毅 中川
裕之 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP16728796A priority Critical patent/JP3432358B2/ja
Publication of JPH1016153A publication Critical patent/JPH1016153A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3432358B2 publication Critical patent/JP3432358B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、フィルムの流れ方
向(以下MDと略す)及び該方向と直角の方向(以下T
Dと略す)の溶断シール強度に優れ、また防曇性にも優
れるため、食品包装用の変形シール袋、及び一般包装用
フィルムとして好適に使用できる延伸ポリオレフィンフ
ィルムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】延伸ポリオレフィンフィルムは、透明
性、表面光沢、及び剛性に優れ、包装用素材として広く
用いられている。包装用袋を作製する方法の一つに溶断
シールという方法がある。この方法は加熱した溶断刃で
2枚のフィルムを切断すると同時に接着する方法であ
る。
【0003】一般にポリオレフィンフィルムを二軸に延
伸した場合、MDの溶断シール強度には優れるがTDに
は強度が不足するため、MDの溶断シール強度のみが要
求される規格袋用として主に用いられていた。
【0004】また、食品包装用袋として内容物の商品価
値を高めるため、フィルムに界面活性剤を含有させ袋内
面に防曇性を付与させる方法がとられているが、包装用
袋内面に防曇性を発現させるためには、袋内面にコロナ
放電処理することが必須であった。しかし、コロナ放電
処理面同士を溶断シールした場合、シール強度が低下し
耐破袋性に劣るという問題があるため、内面を弱コロナ
放電処理する方法が用いられてきた。また最近では、二
軸延伸ポリオレフィンフィルムの表層にプロピレン−エ
チレンランダム共重合体を積層し、袋の内面がコロナ放
電未処理であっても内面に防曇性を有し、且つMDの溶
断シール強度に優れるフィルムが開示されている。(特
開平7−241906号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のMDにのみ溶断
シールした規格袋においては、破袋を効果的に防止でき
ていたが、近年包装形態の多様化によりTDにも溶断シ
ールした変形シール袋が使用されるようになり、MD及
びTD両方向に溶断シール強度の優れたポリオレフィン
フィルムが必要とされてきた。
【0006】また、防曇性を発現させるため、フィルム
内面に弱コロナ放電処理を施したフィルムは、防曇性、
溶断シール強度とも不十分になるという欠点があった。
また、表層にプロピレン−エチレンランダム共重合体を
積層した二軸延伸ポリオレフィンフィルムは、MDの溶
断シール強度は優れるが、TDの溶断シール強度は十分
ではなく、袋内面の防曇性の発現も必ずしも十分とは言
えなかった。
【0007】本発明の目的は、溶断シールした場合にM
D及びTD共溶断シール強度に優れ、且つ十分な防曇性
能を有するため、食品包装用の変形シール袋、一般包装
用フィルムとして好適に使用できる積層延伸ポリオレフ
ィンフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオ
レフィンに界面活性剤を含有させた2軸延伸ポリオレフ
ィンフィルムの少なくとも一方の面に、特定のポリオレ
フィンからなる表層を積層し、フィルムの片面のみをコ
ロナ放電処理することによって、満足できる性能をもつ
積層延伸ポリオレフィンフィルムが得られることを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、13C−核磁気共鳴吸収
法によるアイソタクチックペンタッド分率のmmmmが
0.83〜0.93のプロピレン単独重合体及び/また
はプロピレン以外のα−オレフィン含有率が1〜8モル
%のプロピレン−α−オレフィン共重合体に界面活性剤
が配合されてなる2軸延伸ポリオレフィンフィルムの少
なくとも一方の面に、プロピレン単独重合体及び/また
はプロピレン以外のα−オレフィン含有率が8モル%以
下のプロピレン−α−オレフィン共重合体40〜90重
量%と炭素数4以上のα−オレフィンの含有率が15モ
ル%以上のポリオレフィン10〜60重量%とからなる
表層が積層されてなり、いずれか一方の外表面のみがコ
ロナ放電処理されてなる積層延伸ポリオレフィンフィル
ムである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の基材層樹脂は、13C−核
磁気共鳴吸収法によるアイソタクチックペンタッド分率
のmmmmが0.83〜0.93のプロピレン単独重合
体、またはプロピレン以外のα−オレフィンの含有率が
1〜8モル%のプロピレン−α−オレフィン共重合体、
及びこれらの混合物である。
【0011】ここで言うアイソタクチックペンタッド分
率とは、A.ZambelliらによってMacrom
olecules,13,267(1980)に発表さ
れた13C−核磁気共鳴スペクトルのピークの帰属に基づ
いて定量されたプロピレンユニット5個が連続して等し
い立体配置をとる分率である(以下ペンタッド分率と略
す)。
【0012】結晶性の指針であるペンタッド分率がO.
83〜0.93、特に0.85〜0.91のものが好適
に使用され、ペンタッド分率が0.83より小さいとフ
ィルムの剛性が不足し、また、0.93より大きいとT
Dの溶断シール強度が不足すると同時に、コロナ非処理
面の防曇性が不足するため、本発明の積層延伸ポリオレ
フィンフィルムは得られない。
【0013】ここで、上記プロピレン単独重合体には、
プロピレン以外のα−オレフィンが1モル%未満の範
囲、好適には0.8モル%以下で共重合されていても良
い。
【0014】また、本発明で用いる基材層樹脂のプロピ
レン−α−オレフィン共重合体は、プロピレン以外の一
種又は二種以上のα−オレフィンの含有率が1〜8モル
%、好ましくは2〜6モル%のプロピレン−α−オレフ
ィン共重合体、又はこれらの混合物である。また、共重
合の方法としては、ランダム共重合体及びブロック共重
合体のいずれでも良いが、ランダム共重合体が好まし
い。
【0015】上記のα−オレフィンとしては、たとえ
ば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デ
セン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることが出来
る。これらのα−オレフィン含有率が1モル%より少な
いと、上記の如くそのアイソタクチックペンタッド分率
のmmmmが0.83〜0.93にない限り、得られる
積層延伸ポリオレフィンフィルムのTDの溶断シール強
度が不足すると同時に、コロナ非処理面の防曇性が低下
する。また、8モル%より大きいとフィルムの剛性が不
足する。
【0016】これら基材層樹脂に用いるプロピレン単独
重合体及びプロピレン−α−オレフィン共重合体は、メ
ルトインデックスが0.5〜10g/10分であるのが
好ましい。
【0017】これらの基材層はフィルムに剛性を付与す
るため、二軸に延伸されていることが必要である。
【0018】また、表層は、基材層の片面に積層されて
いてもよく、また、両面に積層されていてもよい。基材
層と表層の間には接着樹脂層等の中間層を設けることも
できる。尚、表層は、一軸または二軸に延伸されていて
もよく、また無延伸でもよい。
【0019】表層樹脂は、プロピレン単独重合体及び/
またはプロピレン以外のα−オレフィン含有率が8モル
%以下、好適には モル%以下のプロピレン−α−オレ
フィン共重合体40〜90重量%と炭素数4以上のα−
オレフィンの含有率が15モル%以上、好適には20モ
ル%以上のポリオレフィンとからなる。
【0020】ここで、上記プロピレン−α−オレフィン
共重合体において、プロピレン以外のα−オレフィン含
有率が8モル%より大きいとフィルムの剛性が低下す
る。
【0021】ここで、上記α−オレフィンとしては、た
とえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1
−デセン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることが
出来、このうちエチレンが最も好ましい。また、共重合
の方法としては、ランダム共重合体及びブロック共重合
体のいずれでも良いが、ランダム共重合体が好ましい。
【0022】本発明において、上記表層樹脂として用い
るプロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィ
ン共重合体のメルトインデックスは、通常、2〜20g
/10分であるのが一般的である。
【0023】一方、ポリオレフィンにおいて、炭素数4
以上のα−オレフィンの含有率が15モル%より小さい
とTD溶断シール強度及びコロナ非処理面の防曇性が不
足する。ここで、上記ポリオレフィンとしては、炭素数
4以上のα−オレフィンの単独重合体の他、該炭素数4
以上のα−オレフィンの含有率が15モル%以上である
これらのα−オレフィンとプロピレン、エチレン等の他
のオレフィンとの共重合体が挙げられる。共重合の方法
としては、ランダム共重合体及びブロック共重合体のい
ずれでも良いが、ランダム共重合体が好ましい。炭素数
4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、
1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等
を挙げることができる。中でも1−ブテンが優れてお
り、特に、本発明では、プロピレン−1−ブテン共重合
体、プロピレン−1−ブテン−エチレン共重合体を用い
るのが良好である。
【0024】本発明において上記表層樹脂は、プロピレ
ン単独重合体及び/またはプロピレン以外のα−オレフ
ィン含有率が8モル%以下のプロピレン−α−オレフィ
ン共重合体の配合量が40〜90重量%、好ましくは5
0〜80重量%であり、炭素数4以上のα−オレフィン
の含有率が15モル%以上のポリオレフィンの配合量が
10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%であ
る。ポリオレフィンの含有率が10重量%より小さいと
十分なTD溶断シール強度及びコロナ非処理面の防曇性
が得られず、また、ポリオレフィンの含有率が60重量
%より大きいとフィルムの透明性及び耐ブロッキング性
が低下する。
【0025】次に、本発明の積層延伸ポリオレフィンフ
ィルムは、基材層の二軸延伸ポリオレフィンフィルム中
に界面活性剤を配合させ、積層フィルムのいずれか一方
の外表面のみをコロナ放電処理する。それにより、本発
明の積層延伸ポリオレフィンフィルムでは、フィルムの
両面に良好な防曇性を付与することができる。そうし
て、前記したようにフィルムのコロナ放電処理が施され
ていない外表面同士を合わせて溶断シールすることで包
装袋を得た場合には、このものは、高い溶断シール強度
を有し、その内面に十分な防曇性を有するものとなる。
【0026】本発明に用いる界面活性剤は、公知の界面
活性剤を何等制限なく使用することができる。例えばグ
リセリン脂肪酸エステル、スルホン酸塩、ソルビタン脂
肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級アルコー
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノ
ールアミン、アルキルジエタノールアミト゛、アルキルジ
エタノールアミン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等を
挙げることができる。優れた防曇性を発現させるために
は、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルジエタノ
ールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステ
ル及びこれらの混合物を選択して用いることが好まし
い。
【0027】界面活性剤の配合濃度は、より良好な防曇
性の発現やフィルム表面の滑り性や耐ブロッキング性の
良好さを勘案すると、基材層の二軸ポリオレフィンフイ
ルム中に0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量
%であるのが好適である。
【0028】界面活性剤はフィルムの性能を低下させな
い範囲で、表層中にも添加することができる。
【0029】本発明の積層ポリオレフィンフィルムで
は、上記界面活性剤の配合の構成により、フィルム両面
に前記防曇性の他に帯電防止性も同時に発現する。
【0030】また、フィルムの耐ブロッキング性や滑り
性等の表面性能を改質する添加剤をとして、アンチブロ
ッキング剤や滑剤等を表層樹脂や基材層樹脂中に添加す
ることもできる。
【0031】本発明の積層延伸ポリオレフィンフィルム
においてコロナ放電処理は、積層フィルムのいずれか一
方の外表面であればどちらの面に施してもかまわない。
基材層の一方の面のみに表層が積層されているフィルム
にあっては、基材層側の外表面にコロナ放電処理するこ
とが、溶断シール強度の面から好ましい。
【0032】また、本発明の積層延伸ポリオレフィンフ
ィルムは、コロナ放電処理が施されていない外表面同士
を合わせて溶断シールした場合のフィルムの流れ方向、
及び該方向と直角の方向の溶断シール強度が、各々20
N/15mm以上であり、且つ下記式(1)を満たして
いることが好ましい。
【0033】 1.5≧S1/S2≧0.7 (1) (但し、S1,S2はそれぞれフィルムの流れ方向、該方
向と直角の方向の溶断シール強度(N/15mm)であ
る。) ここでフィルムの流れ方向(MD)の溶断シール強度と
は、先端角度50度の溶断刃を用い、シール温度350
℃、溶断速度75mm/秒で、フィルムの流れ方向に対
して直角方向に該溶断刃を当てて溶断シールした場合の
シール部の引張破断強度である。また、該方向と直角の
方向(TD)の溶断シール強度とは、上記同様の溶断
刃、シール温度、及び溶断速度で、フィルムの流れ方向
に該溶断刃を当てて溶断シールした場合のシール部の引
張破断強度である。
【0034】前記したように、延伸ポリオレフィンフィ
ルムの特長である透明性、表面光沢、及び剛性を損なう
ことなく、MD及びTDの溶断シール強度に優れ、しか
も強度のバランスが好ましい範囲にある延伸ポリオレフ
ィンフィルムは、本発明によって初めて提案されたもの
である。
【0035】また、本発明の積層延伸ポリオレフィンフ
ィルムでは、表層をヒートシール層として利用しても良
い。
【0036】本発明の延伸ポリオレフィンフィルムは、
かかる特性を有することにより包装用フィルムとして好
適に使用される。また、MD及びTDの溶断シール強度
が20N/15mm以上の強度を有し、その強度のバラ
ンスが好ましい範囲にあることにより、従来のMDにの
み溶断シールした規格袋だけでなく、包装形態の多様化
によりTDにも溶断シールした変形シール袋においても
破袋を効果的に防止でき、好適に使用することができ
る。
【0037】上記溶断シール強度は、破袋を効果的に防
止するためには、特に25〜 N/15mmのものを
選択して使用することが好ましい。また、S1/S2の値
は0.7以上、1.5以下の範囲であればよいが、0.
9〜1.3の範囲のものを選択して使用することがより
好ましい。
【0038】本発明の積層延伸ポリオレフィンフィルム
の製造方法は、前記した界面活性剤を含む基材層用ポリ
オレフィンと、表層用樹脂をTダイスよりシート状に溶
融共押出し、その後二軸に延伸する方法、又は基材層樹
脂を溶融押出して一軸に延伸した後、その上に表層樹脂
を溶融押出して上記一軸延伸の方向とほぼ直角方向に延
伸する方法等が採用される。フィルムの延伸倍率は、一
般にはMDに2〜5倍、TDに8〜12倍に延伸するの
が好適である。ついで、いずれか一方の外表面にコロナ
放電処理を施すことによって、フィルム両面に優れた防
曇性を発現させることができる。コロナ放電処理密度は
使用する樹脂によっても異なるが、一般的には10〜5
0w・min/m2である。
【0039】得られた積層延伸ポリオレフィンフィルム
では、コロナ放電非処理面を内面として溶断シールした
場合に、本発明の意図するMD、TD方向に優れた溶断
シール強度が得られることとなる。
【0040】本発明の積層延伸ポリオレフィンフィルム
は、用途に応じ10〜60μの厚さものが選択される。
表層厚みは必要以上に厚くするとフィルムの剛性や透明
性が低下しやすいため、通常フィルム全厚みの30%未
満の厚み、特に5〜15%の厚みとすることが好まし
い。
【0041】
【発明の効果】本発明の積層延伸ポリオレフィンフィル
ムは、上記の説明のように、特定の組成をもつポリオレ
フィンを用い、その一方の外表面のみがコロナ放電処理
されているため、該コロナ放電処理が施されていない外
表面同士を合わせて溶断シールする場合には、MD、T
D両方向に一定した優れた溶断シール強度を有するもの
となり、従来の延伸ポリオレフィンフィルムでは満足す
ることのできなかった、変形シール袋での破袋を効果的
に防止できる。さらに、フィルムの一方の外表面にしか
コロナ放電処理されていないにもかかわらず、フィルム
両面に良好な防曇性を付与できる。従って、上記コロナ
放電処理が施されていない外表面同士を合わせて溶断シ
ールすることで得た包装袋は、溶断シール強度、及び内
面の防曇性の発現とも優れたものとなり、従来のポリオ
レフィンフィルムでは実現できなかった優れた特性を有
する。
【0042】本発明において使用するペンタット分率の
小さいプロピレン単独重合体や、プロピレン以外のα−
オレフィンを相当量含有するプロピレン−α−オレフィ
ン共重合体は結晶性が小さいために、MDとTD両方向
の溶断シール強度が高く、そのバランスが適性になるも
のと考えられる。さらに表層に、より結晶性の小さい樹
脂を積層することによってその効果を高めることができ
る。
【0043】また、本発明の基材層及び表層の樹脂成分
は、コロナ放電処理による影響を受けやすい為に、フィ
ルムの一方の面のみをコロナ放電処理することによっ
て、フィルム両面に防曇性が発現するものと考えられ
る。
【0044】このようなコロナ放電処理による現象は、
まず、基材層の二軸ポリオレフィンフィルムにおいて含
有される界面活性剤がその両面に良好にブリードするこ
とにより発揮される。従って、かかるフイルムの両面に
防曇性や帯電防止性が発現する効果は、基材層の二軸延
伸ポリオレフィンフィルムを単層フィルムとして用い、
その一方の面のみにコロナ放電処理を施しても得られ
る。
【0045】そして、本発明の積層延伸ポリオレフィン
フィルムでは、上記基材層の両面にブリードした界面活
性剤がさらに表層にも極めて良好に移行していき、その
外表面にブリードし、積層フィルムの両面に防曇性や帯
電防止性を付与する。
【0046】以上の積層延伸ポリオレフィンフィルム
は、前述したとおりコロナ放電処理していない面を内面
にして製袋することにより、溶断シール強度、内面の防
曇性とも十分な包装袋が得られる。従って、この積層ポ
リオレフィンフィルムは、食品包装用の変形シール袋、
及び一般包装用フィルムとして好適に使用することがで
きる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0048】以下の実施例において用いた測定方法につ
いて説明する。
【0049】(1)溶断シール強度 溶断シール 溶断シール機(共栄印刷機械材料株式会社製;PP50
0型)を用いて、フィルムの溶断シール袋を作製した。 条件:溶断刃;先端角度50度 シール温度;350℃ ショット数;100枚/分(溶断速度75mm/秒) 溶断シール強度 フィルムの流れ方向に対して直角方向に溶断刃を当てて
溶断シールした袋の両端から、シール部を中心に各5片
ずつ幅15mm、長さ100mmのサンプルを切り出
し、サンプルの両端を引張強度測定機(オートグラフ;
島津社製)のチャックで固定した。この場合、サンプル
の長さ方向のチャック間隙が40mmになるように調整
した。引張速度100mm/minで引張試験を行い、
シール部が破断する強度を測定し、平均値をMDの溶断
シール強度(N/15mm)とした。また、上記同様の
条件により、フィルムの流れ方向に溶断刃を当てて溶断
シールした場合のシール部の引張破断強度の平均値をT
Dの溶断シール強度とした。
【0050】(2)耐破袋性 の方法に準じて、幅(縦)21cm×(横)15cm
で、フィルムの流れ方向に対して直角方向に溶断刃を当
てて溶断シールした溶断シール袋を作製し、これに30
0mlの水を入れた後、開口部を粘着テープで縛ってサ
ンプル袋を作製した。サンプル袋の底面を下にして50
cmの高さからコンクリートの床に落下させた。サンプ
ル袋は30個作製し、溶断シール部が破れたサンプル数
から、次の式によって求めた割合をMDの耐破袋性とし
た。
【0051】また、フィルムの流れ方向に溶断刃を当て
て溶断シールした溶断シール袋を、上記同様の方法によ
り求め、TDの耐破袋性とした。(溶断シール部以外は
破れない) R=((30−B)/30)×100 R:耐破袋性(%) B:溶断シール部が破れたサンプル数 (3)防曇性 100ccのビーカーに水を入れフィルムにて覆い、5℃
の雰囲気下で15分間放置した後、フィルム内面の水滴
の付着状態を以下の段階にて目視評価した。
【0052】◎;水滴が全くなく、完全に透明。
【0053】○;一部に大きい水滴が付着するが、かな
り透明。
【0054】△;全面に大きい水滴が付着し、半透明。
【0055】×;全面に細かい水滴が付着し、不透明。
【0056】尚、防曇性の実用性評価は○以上で充分な
性能を確保できるものである。
【0057】(4)ペンタッド分率 日本電子社製のJMX−GSX−270(13C−核共鳴
周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0058】測定モード: 1H−完全デカップリング パルス幅 : 7.0マイクロ秒(C45度) パルス繰り返し時間: 3秒 積算回数 : 10000回 溶媒 :オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの混
合溶媒(90/10容量%) 試料濃度 :120mg/2.5ml溶媒 測定温度 :120℃ この場合、ペンタッド分率は13C−核磁気共鳴スペクト
ルのメチル基領域における分裂ピークの測定により求め
た。また、メチル基領域のピークの帰属は、A.Zam
belli et al[Macromolecule
13,267(1980)]によった。
【0059】(5)フィルム剛性 JIS−K7113に準じ、以下の方法で引張弾性率を
測定した。
【0060】フィルムから幅10mm、長さ100mm
のサンプルを切り出し、サンプルの両端を引張強度測定
機(オートグラフ;島津社製)のチャックで固定した。
この場合、サンプルの長さ方向のチャック間隙が20m
mになるように調整した。引張速度20mm/minで
引張試験を行い、引張応力−歪み曲線を作成した。引張
弾性率は引張応力−歪み曲線の始めの直線部分を用い
て、次の式によって計算した。
【0061】Em=Δδ/Δε Em:引張弾性率 Δδ:直線上の2点間の、サンプルの元の平均断面積に
よる応力の差 Δε:同じ二点間の歪みの差 (6)ブロッキング性 4cm×30cmのフィルム片を切り出し、厚さ3mm
になるように重ね合わせた。フィルムサンプルを温度3
0℃湿度70%RHの雰囲気に24時間放置後プレス機
を使用して、フィルムサンプルに20kg/cm2の圧
力を30秒間かけた。その後、フィルムサンプルの両端
を治具で固定し、オートグラフ(島津製作所製)を用い
て折り曲げ強度を測定した。
【0062】折り曲げ強度が300g以下ならば実用上
十分な性能である。
【0063】実施例1、2,比較例1 表1に示したペンタッド分率のプロピレン単独重合体
に、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート1
重量%、ステアリン酸カルシウム0.04重量%添加し
たものを基材層用の樹脂として用いた。
【0064】一方、エチレン含有量3モル%のプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体に、1−ブテンを25モ
ル%含有するプロピレン−1−ブテン共重合体30重量
%、エルカ酸アミド0.03重量%、ステアリン酸カル
シウム0.04重量%、及び粒径1.5μの球状ポリメ
チルメタクリレートを0.1重量%加えたものを表層用
の樹脂として用いた。基材層樹脂を溶融混練してTダイ
より押しだし、MDに4倍で延伸したシートを作製し
た。次いで、インラインラミ法により該シートの上に表
層樹脂を押しだし、さらにテンター法二軸延伸機を用い
てTDに10倍で延伸して23μmの基材層の片面に2
μmの表層が積層されてなる25μmの2層フィルムを
得た。次いでこのフィルムの基材層面に30w・min
/m2のコロナ放電処理を施し40℃で3日間エージン
グした後、コロナ放電非処理面を内面にして溶断シール
し、溶断シール強度、耐破袋性、引張弾性率、及びブロ
ッキング性を測定し、結果を表1に示した。 実施例3、4 基材層の樹脂を表1に示したプロピレン−α−オレフィ
ン共重合体を用いた他は実施例1と同様に行った。結果
を表1に示した。
【0065】実施例5 表層の樹脂として、プロピレン単独重合体に、1−ブテ
ン20モル%、エチレン10モル%のプロピレン−1−
ブテン−エチレン共重合体40重量%加えた樹脂を用い
た他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0066】実施例6 基材層30μmの両面に2.5μmの表層を積層し、表
層の片面に40w・min/m2のコロナ放電処理をし
た他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0067】実施例7 界面活性剤として、ステアリルジエタノールアミン0.
2重量%、ミリスチルモノグリセリド0.8重量%を用
いた他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示し
た。
【0068】実施例8 界面活性剤として、ステアリルジエタノールモノラウレ
ート1重量%、ステアリルモノグリセリド0.5重量%
を用いた他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示
した。
【0069】比較例2 表層の樹脂として、エチレン含有量3モル%のプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体に、1−ブテン20モル
%、エチレン10モル%のプロピレン−1−ブテン−エ
チレン共重合体70重量%加えた樹脂を用いた他は実施
例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0070】比較例3 表層の樹脂として、エチレン含有量6モル%のプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体を用いた他は実施例1と
同様に行った。結果を表1に示した。
【0071】比較例4 積層フィルムの両面をコロナ放電処理し、表層側を内面
にして溶断シールをした他は実施例3と同様に行った。
結果を表1に示した。
【0072】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23/10 C08L 23/10 // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 9:00 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平9−169050(JP,A) 特開 平7−241906(JP,A) 特開 平7−117193(JP,A) 特開 平4−353445(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 27/32 B29C 55/00 - 55/30 B32B 7/02 B65D 65/38 - 65/40 C08J 7/00 C08L 23/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】13C−核磁気共鳴吸収法によるアイソタク
    チックペンタッド分率のmmmmが0.83〜0.93
    のプロピレン単独重合体及び/またはプロピレン以外の
    α−オレフィン含有率が1〜8モル%のプロピレン−α
    −オレフィン共重合体に界面活性剤が配合されてなる2
    軸延伸ポリオレフィンフィルムの少なくとも一方の面
    に、プロピレン単独重合体及び/またはプロピレン以外
    のα−オレフィン含有率が8モル%以下のプロピレン−
    α−オレフィン共重合体40〜90重量%と炭素数4以
    上のα−オレフィンの含有率が15モル%以上のポリオ
    レフィン10〜60重量%とからなる表層が積層されて
    なり、いずれか一方の外表面のみがコロナ放電処理され
    てなる積層延伸ポリオレフィンフィルム。
  2. 【請求項2】コロナ放電処理されていない外表面同士を
    合わせて溶断シールした場合のフィルムの流れ方向、及
    び該方向と直角の方向の溶断シール強度が、各々20N
    /15mm以上であり、且つ下記式(1)を満たすこと
    を特徴とする請求項1記載の積層延伸ポリオレフィンフ
    ィルム。 1.5≧S1/S2≧0.7 (1) (但し、S1,S2はそれぞれフィルムの流れ方向、該方
    向と直角の方向の溶断シール強度(N/15mm)であ
    る。)
JP16728796A 1996-06-27 1996-06-27 積層延伸ポリオレフィンフィルム Expired - Lifetime JP3432358B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16728796A JP3432358B2 (ja) 1996-06-27 1996-06-27 積層延伸ポリオレフィンフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16728796A JP3432358B2 (ja) 1996-06-27 1996-06-27 積層延伸ポリオレフィンフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1016153A JPH1016153A (ja) 1998-01-20
JP3432358B2 true JP3432358B2 (ja) 2003-08-04

Family

ID=15846965

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16728796A Expired - Lifetime JP3432358B2 (ja) 1996-06-27 1996-06-27 積層延伸ポリオレフィンフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3432358B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4540380B2 (ja) * 2004-03-31 2010-09-08 東セロ株式会社 二軸延伸多層ポリプロピレンフィルムの製造方法
JP4453432B2 (ja) 2004-05-06 2010-04-21 住友化学株式会社 二軸延伸多層ポリプロピレンフィルム
JP2009035740A (ja) * 2008-09-09 2009-02-19 Tohcello Co Ltd 二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び多層フィルム
JP2021008324A (ja) * 2019-07-02 2021-01-28 出光ユニテック株式会社 包装体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1016153A (ja) 1998-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5709378B2 (ja) 積層フィルム組成物、それらから作製される包装品、および使用方法
FI87326B (fi) Vaermefoersegelbara flerskiktspolyolefinfolier.
JPH09272188A (ja) シクロオレフィンポリマー含有ポリオレフィンフィルムとその製法およびその用途
KR20010020313A (ko) 필름 구조체
JP3432358B2 (ja) 積層延伸ポリオレフィンフィルム
JP2004209696A (ja) 食品包装用ストレッチフィルム
JP3628406B2 (ja) 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
MXPA01006513A (es) Lamina multicapa poliolefinica, sellable, desprendible y su empleo como lamina para envasado.
KR20230117111A (ko) 2축 배향 폴리프로필렌계 수지 필름 및 그것을 사용한 포장체
JPH07329260A (ja) ヒートシーラブル延伸積層フィルム
JPH07241906A (ja) 二軸延伸ポリオレフィンフィルム
JP3189174B2 (ja) 複合延伸フィルム
RU2688890C2 (ru) Прозрачная полиолефиновая пленка
JP2008162163A (ja) ポリプロピレン系樹脂積層フィルム
JPH0885192A (ja) 積層シート
JP3556460B2 (ja) 縦裂き性ポリオレフィン系フィルム
JPH08300470A (ja) 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
JPH11255910A (ja) 縦裂き性プロピレン系樹脂フィルム
JPH0825260B2 (ja) 多層フィルム
JPH04220436A (ja) ポリオレフィンフィルム
JP2001071432A (ja) 多層延伸ポリプロピレン系フィルム
JPH083377A (ja) ポリオレフィンフィルム
JP2953550B2 (ja) ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法
KR20230112116A (ko) 2축 배향 폴리프로필렌계 수지 필름 및 그것을 사용한 포장체
JP3685861B2 (ja) 積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140523

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term