JP2008162163A - ポリプロピレン系樹脂積層フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂積層フィルム Download PDF

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浩明 江崎
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哲也 渡邊
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正一 岩崎
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Abstract

【課題】 マット感がありかつ溶断シール強度の強い、滑り性と帯電防止性の良いフィルムを提供すること。
【解決手段】 少なくともシール層と印刷層を含む3層以上のポリオレフィン系樹脂からなる積層フィルムであって、前記印刷層がプロピレン系ブロック共重合体(A)を95重量%以上含有する樹脂からなり、前記シール層が、プロピレン系ランダム共重合体(B)を50〜80質量%と、低融点ポリオレフィン系樹脂(C)20〜50質量%からなり、印刷面同士の静摩擦係数(μs[PP])とシール層同士の静摩擦係数(μs[SS])の差が0.4未満であり、かつフィルムの縦方向の引張弾性率(YM)[MPa]と、フィルム厚み(T)[μm]が、下記式(1)を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
YM×T≧38×10・・・式(1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂積層フィルムに関するものであり、詳しくは、マット調外観とクロージャー適性を持ち、かつほこり付着防止性の良好な、食品包装特に食パン包装用途に適したポリオレフィン系樹脂積層フィルムに関するものである。
近年、包材に求められる意匠の多様化により、食パン、菓子パン等の食品やその他物品の包装に、マット調フィルムのニーズが高まっている。マット調フィルムは、意匠性以外にも、剛性と耐寒性等の物性面でも透明フィルムよりも優れる為、より多く使用されようになってきている。
マット調フィルムのマット面層は、表面に凹凸を発生させてマット調とするために、プロピレン系ブロック共重合体にポリエチレン系樹脂を配合する方法が知られており、ポリプロピレン単独重合体とエチレン−プロピレン共重合エラストマーからなるポリプロピレン系樹脂に特定のポリエチレン樹脂を配合する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
またエチレン成分13%のプロピレン・エチレンブロック共重合体に高密度ポリエチレンを20%配合する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平7−233291号公報 特開平11−129414号公報
しかしながら、この方法ではポリエチレンとポリプロピレン系樹脂の界面強度が弱く、マット面同士を合わせて溶断シールを行った際の溶断シール強度が弱いという問題があった。
一方、マット面層がプロピレン−エチレンブロック共重合体のみで構成することによりマット面同士を合わせて溶断シールを行った際の溶断シール強度を強くする方法が示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2002−210897号公報
しかしながら、マット面層がプロピレン−エチレンブロック共重合体のみで構成された場合、マット面層表面の凹部に滑剤が隠れるうえに、滑剤自体がマット面層表面にブリードアウトしにくいために滑り性が発現しにくいという問題がある。
一方、パン包装において多用されているツイスト包装はその構造上、輸送あるいはコンビニ、スーパー等の棚に陳列時に、ツイスト上部に埃や虫等が紛れ込んだ場合、開封時に埃等が内部に落下する虞があることから、ツイスト上部若しくは下部を熱融着した包装体が開示されている(例えば、特許文献4、5参照。)。この場合、フィルムのヒートシール温度を低くする為、フィルムのヒートシール層には、ブテン系重合体やエチレン・α−オレフィン共重合体をブレンドしている。
特開2002−172744号公報 特開2004−59088号公報
これら低温ヒートシール性を付与する樹脂は剛性が低い為、結果的にフィルムの剛性自体も低くなる結果となる。
このように、マット面層の滑り性が充分でないか、あるいはフィルムの剛性が低い場合には、ツイスト包装を行なう際にプラ板を装着しようとすると、フィルムを機械的に手繰り寄せる際にフィルムに傷がつきやすいという問題があった。
本発明は、マット感に優れ、かつ滑り性、プラ板装着時のフィルム傷つき防止性の優れたポリオレフィン系樹脂積層フィルム、更には白化が少なく、滑り性や帯電防止性に優れるフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、少なくともシール層と印刷層を含む3層以上のポリオレフィン系樹脂からなる積層フィルムであって、前記印刷層がプロピレン系ブロック共重合体(A)を95重量%以上含有する樹脂からなり、前記シール層が、プロピレン系ランダム共重合体(B)を50〜80質量%と、低融点ポリオレフィン系樹脂(C)20〜50質量%からなり、印刷面同士の静摩擦係数(μs[PP])とシール層同士の静摩擦係数(μs[SS])の差が0.4未満であり、かつ、フィルムの縦方向の引張弾性率(YM)[MPa]と、フィルム厚み(T)[μm]が、下記式(1)を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルムがマット感と滑り性、及びプラ板装着時のフィルム傷つき防止性の優れることを見出した。
YM×T≧38×10・・・式(1)
この場合において、印刷層に、少なくともアルキルスルホン酸塩を含有する帯電防止剤を3000〜8000ppm添加することが好適である。
また、この場合において、印刷層同士の静摩擦係数(μs[PP])が0.2〜0.6、シール層同士の静摩擦係数(μs[SS])が0.1〜0.25、印刷層とシール層の間の静摩擦係数が0.2〜0.5の範囲にあることが好適である。
さらにまた、この場合において、シール層の厚み比率が20%以下、かつフィルムのヘイズが55〜80%であることが好適である。
さらにまた、この場合において、シール層同士を80℃でヒートシールした時のヒートシール強度が0.3N/70mm以上、90℃でヒートシールした時のヒートシール強度が0.3〜3.0N/70mmであることが好適である。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、溶断シール強度が強く、マット感に優れ、かつプラ板を開口部下部に取り付ける際の耐傷つき性に優れる為、各種食品包装用、特に食パンの包装用に好ましく用いることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムにおいて以下のポリオレフィン系重合体を用いるのが好ましい。
・プロピレン系ブロック共重合体(A)
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体(A)は、エチレン含有量[a]が8〜16質量%であり、20℃におけるキシレン可溶部の比率[b]が、14〜25%の範囲にあり、かつ[a]/[b]が0.5〜0.7の範囲にあることが好ましい。エチレン含有量[a]が8質量%未満かキシレン可溶部の比率[b]が14%未満、もしくは[a]/[b]が0.5未満の場合はマット感が不足し、逆にエチレン含有量[a]が16質量%を超えるかキシレン可溶部の比率[b]が25%を超えるか、もしくは[a]/[b]が0.7を超える場合は、溶断シール強度が低くなるという弊害が発生する。
また、かかるプロピレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレートは、フィルムとして使用できる範囲にあれば特に制限はされないが、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜8g/10分の範囲にある。
前記プロピレン系ブロック共重合体(A)は、融点が150〜168℃のプロピレン−エチレンブロック共重合体であるが、プロピレンを主体とする重合体(A成分)とエチレン−プロピレン共重合体(B成分)とを連続的に生成して得られる。
前記プロピレン系ブロック共重合体(A)を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で共重合体のマトリックス構造をなすプロピレンを主体する重合体(A成分)を、次いで第二工程で共重合体のドメイン構造をなすエチレン−プロピレン共重合体(B成分)を重合して得られるブロック共重合体を溶融混練して得ることができる。また、必要に応じてエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/又はエチレン−プロピレン−1一ブテンランダム共重合体を本発明の目的を損なわない範囲で耐衝撃性改質剤として少量添加しても構わない。
・プロピレン系ランダム共重合体(B)
本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体(B)は、融点が125℃から150℃が好ましい。かかる範囲にあるプロピレン系ランダム共重合体(B)はプロピレンと炭素数が2〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらの中では、エチレン及び/又は1−ブテンとのランダム共重合体が好ましい。また、α−オレフィンの量としては、4〜10重量%の範囲が好ましい。また、かかるプロピレン系ランダム共重合体(B)のメルトフローレートは、フィルムとして使用できる範囲にあれば特に制限はされないが、通常1〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にある。
前記プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体成分から形成される触媒系を用い、公知の重合方法を用いる製造方法が挙げられる。
・低融点ポリオレフィン系樹脂(C)
プロピレンと1−ブテン及び/又はエチレンとのランダム共重合体、エチレンと1種以上のC4〜C12のα−オレフィンとのランダム共重合体の中から選ばれる。
・ポリオレフィン系重合体(D)
プロピレン単独重合体、プロピレンと10%未満のα−オレフィンよりなるランダム共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン−エチレンエラストマー、エチレン・α−オレフィン共重合体等。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、少なくともシール層と印刷層を含む3層以上のポリオレフィン系樹脂からなる積層フィルムであることが好ましい。
前記フィルム全体の厚みは、その用途や使用方法によって異なるが、一般に10〜50μm、好ましくは25〜40μm程度である。
本発明において、印刷層にはプロピレン系ブロック共重合体(A)を95質量%以上含有することが好ましい。プロピレン系ブロック共重合体(A)以外の樹脂として、ポリオレフィン系重合体(D)を含有することができる。この場合において、プロピレン系ブロック共重合体(A)との相溶性の低い樹脂については、溶断シール強度を低下させるためその配合比率は2%以下にすることが望ましい。このようなものとして、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン−エチレンエラストマー、エチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
本発明において、印刷層中には少なくともアルキルスルホン酸塩を含有する帯電防止剤を3000〜8000ppm配合することが好ましい。帯電防止剤の濃度が3000ppm未満の場合は、外層表面の滑り性が不足すると共に、外層表面の帯電防止性が不足することにより、ツイスト部の上部に埃が付着しやすくなる。一方、帯電防止剤の濃度が8000ppmを超えると、夏場に滑り性が低くなりすぎたり、加工性が悪化すしたり、帯電防止剤のブリードにより白化する傾向にある。また、帯電防止剤中にアルキルスルホン酸塩が配合されていないと、冬場の滑り性が悪化する恐れがある。
本発明においては、帯電防止剤のブリードによるフィルムの白化の程度は40℃で30日間放置した前後のへイズの変化率が1〜2%が好ましく、1%以下がさらに好ましい。
また、印刷面層の滑り性は0.60tanθ以下であることが好ましい。
アルキルスルホン酸塩以外の帯電防止剤の成分としては特に規制はないが、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミンなどの非イオン系帯電防止剤、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェートなどのアニオン系帯電防止剤、第4級アンモニウムクロライドなどのカチオン系帯電防止剤などがあるが、耐熱性や持続性などの面で非イオン系、特にグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
印刷面同士の静摩擦係数とヒートシール面同士の静摩擦係数の差は0.4以下である。0.4を超えると、プラ板装着時にフィルムをロール間で手繰り寄せる際、フィルムに傷が入りやすくなる。
本発明において、ヒートシール層の厚み比率はフィルム全体の20%以下が好ましい。更には、5〜17%がより好ましい。20%を超えるとフィルムの腰が弱くなる。
本発明において、シール層はプロピレン系ランダム共重合体(B)を50〜80質量%と、低融点ポリオレフィン系樹脂(C)20〜50質量%からなる。
低融点ポリオレフィン系樹脂(C)は融点が70〜100℃が好ましく、更に75〜95℃が好ましい。融点が70℃未満の場合は、フィルム剛性が低くなり、逆に融点が100℃を超える場合は低温ヒートシール性が不足する。
前記低融点ポリオレフィン系樹脂(C)の融点(Tm)は、プロピレン系共重合体(C)約6mgを秤量し、セイコ−電子工業株式会社製の示差走査熱量計(タイプ5200)を用いて、昇温速度;10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度;100℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で0℃〜200℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線から、JIS−K−7121 9.1 の方法に習い、融解曲線から最も高温側にある溶融ピークの頂点の温度を融点した。
本発明において、フィルムの縦方向の引張弾性率(YM)[MPa]と、フィルム厚み(T)[μm]は、下記式(1)を満足する。式(1)を満たさない場合は、フィルムの剛性が不足し、プラ板装着時にフィルムをロール間で手繰り寄せる際、フィルムに傷が入りやすくなる。
YM×T≧38×10・・・式(1)
さらに本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムには、その効果を損なわない範囲で、シール層、印刷層に熱安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤等の各種添加剤を添加することが一般的であり、特にヒートシール層には耐ブロッキング性を得るために、二酸化珪素、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどに代表される無機質の微粒子や、アクリル酸メチル、スチレン−ブタジエンなどの有機架橋微粒子の中から選ばれる1種以上の不活性微粒子を2000〜15000ppmの範囲で添加することが好ましい。
これら微粒子の平均粒子径としては、特に制限はないが、耐ブロックング性の改良効果、透明性などを考慮すると2〜15μmが好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置(日機装 マイクロトラックHRA model9320−X100(Leeds&Northrup社製))を用い求めた体積平均粒子径とした。
更に、ヒートシール層には、シール面同士の静摩擦係数を小さくするために、エルカ酸アマイド、スルホン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ビスオレイン酸アマイドなどに代表される不飽和、飽和脂肪酸アマイドを1000〜2500ppmの範囲でスリップ剤として添加することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムを製造する方法としては、T−ダイ法やインフレーション法などの共押出成形法を適用することが好ましい。Tダイ成形法による場合は、ドラフト率を1〜10、樹脂温度が150〜300℃となるように加熱溶融し、10〜80℃の冷却ロール上で冷却、もしくは空冷して固化することで得ることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、食パン、菓子パン等の食品やその他物品の包装に用いられ、マット調フィルムであるため意匠性に優れ、さらに剛性と耐寒性等の物性面でも透明フィルムよりも優れる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、本明細書中で採用した測定、評価方法は次の通りである。
[MFR(メルトフローレート)]
2004年版JIS K7210に従い、条件−14の方法(荷重2.16kg、温度230℃)で測定した。
[融点]
プロピレン系共重合体(C)約6mgを秤量し、セイコ−電子工業株式会社製の示差走査熱量計(タイプ5200)を用いて、昇温速度;10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度;100℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で0℃〜200℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線から、JIS−K−7121 9.1 の方法に習い、融解曲線から最も高温側にある溶融ピークの頂点の温度を融点した。
[20℃におけるキシレン可溶部の比率(%)]
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全溶融した後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、析出物と溶液にろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃にて乾燥した。得られた乾燥物の重量から20℃キシレン可溶部量を測定し、その比率を求めた。
[エチレン含有量]
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載されている方法により13C−NMR法で測定した。
[ヘイズ]
2004年版JIS−K−6714に準拠し、東洋精機製作所製の「ヘーズテスターJ」を用いて測定した。
[ヒートシール強度]
テスター産業社製ヒートシーラー(PP−701−B)を用い、加熱バーの幅方向をフィルムの流れ方向と直交する方向で、下バー温度80℃に固定して0.1MPa×3秒シールし、70mm幅で剥離強度を測定してヒートシール強度とした。
[溶断シール強度]
フィルムロールを2本用意し、それぞれフィルムを引き出してフィルムのシール面同士が向い合うようにセットし、さらにこれを2つに折り、自動型製袋機(共栄印刷機械材料社製PP5500型)に供給した。そして、溶断シール刃(刃先角度60度)の温度設定300℃、製袋速度100袋/分でシール、製袋を行った。そして、シール部を15mm幅に切り出し、テンシロンの上下のチャックに各々フィルム2枚を取り付け、クロスヘッド速度200mm/分の条件にて印刷面間の溶断シール強度を15mmH幅で測定した。
[プラ板装着時傷つき性]
上記の方法で製袋した、流れ方向240mm幅の袋を、クイック・ロック・ジャパン製自動結束機872−700を用い、50袋/分の速度でプラ板(クイック・ロック・ジャパン製 JSクロージャー TGS−2)を装着する。そしてプラ板を外して袋についた傷の程度を評価した。
○:傷なし、もしくは傷の延べ長さが30mm以下
△:傷の延べ長さが30〜60mm
×:傷の延べ長さが60mmを超える もしくは穴が開く
[ブリード白化]
フィルムを40℃×30日間エージング処理を行う前後のヘイズを測定した。ヘイズの変化率が1%以下の場合を○、1〜2%を△、2%を超える場合を×とした。
[平均粒子径]
レーザー回折粒度分布測定装置(日機装 マイクロトラックHRA model9320−X100(Leeds&Northrup社製))を用い、体積平均粒子径を求めた。
[表面抵抗率(logΩ)]
ポリオレフィン系樹脂積層フィルムを、(2004年版)JIS K−6911 5.13抵抗率に準拠し、23℃、相対湿度50%環境下で16時間調製後外層表面の表面抵抗率を測定した。
[フィルム及びシール層、ラミ層の厚み測定]
フィルム断面を切り出し、反射光にて光学顕微鏡を用いて測定した。
(使用した重合体)
実施例及び比較例に使用した重合体を下記に示す。
1)プロピレン系ブロック共重合体(A)
エチレン含有量が13質量%、20℃におけるキシレン可溶部の比率が25質量%、メルトフローレートが4g/10分、融点が163℃。
2)プロピレン系ランダム共重合体(B)
エチレン含有量4質量%、1−ブテン含有量4質量%を含むプロピレンランダム共重合体、メルトフローレートが7.0g/1分、融点が130℃。
3)低融点ポリオレフィン系樹脂(C)
コモノマーとしてヘキセン−1を28質量%含有し、メルトフローレートが3g/10分、密度が0.890g/cmであるエチレン・ヘキセン−1共重合体。
4)プロピレン系ブロック共重合体(D)
エチレン含有量が9質量%、20℃におけるキシレン可溶部の比率が質量11%、メルトフローレートが4g/10分、融点が163℃。
5)高密度ポリエチレン
密度が0.940、融点が126℃、メルトフローレートが2g/10分。
6)帯電防止剤マスターバッチ
エチレン含有量が6質量%、メルトフローレートが8g/10分のプロピレン−エチレンランダム共重合体に、グリセリン脂肪酸エステル/アルキルスルホン酸ナトリウム=70/30wt%の帯電防止剤を15質量%配合したもの。
7)スリップ剤マスターバッチ
エチレン含有量が6質量%、メルトフローレートが8g/10分のプロピレン−エチレンランダム共重合体に、エルカ酸アミド5質量%配合したもの。
8)アンチブロッキング剤マスターバッチ:エチレン含有量が6質量%、メルトフローレートが8g/10分のプロピレン−エチレンランダム共重合体に、平均粒子径5μmのゼオライトを10質量%配合したもの。
(多層フィルムの製膜方法)
第1表に記載のように重合体及び添加剤を配合し、3層Tダイ共押出キャスト成形機によりフィルム全体厚みが30μmとなるように製膜し3層フィルムを得た。ダイス出口樹脂温度は、シール層と印刷層が250℃、中間層が255℃で、冷却ロールの温度は30℃とした。更に、印刷層表面に表面張力が35mN/mとなるようにコロナ処理を行った。
(実施例1〜2、比較例1〜3)
表1に示すような樹脂組成にて、上記のようにして多層フィルムを製造し、評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2008162163
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、マット感がありかつツイスト包装におけるプラ板装着時の耐傷つき性に優れ、食パン、菓子パン等の食品やその他物品の幅広い包装分野に使用することができ、産業界の寄与することが大である。
さらに、白化が少なく、滑り性や帯電防止性に優れる。

Claims (5)

  1. 少なくともシール層と印刷層を含む3層以上のポリオレフィン系樹脂からなる積層フィルムであって、前記印刷層がプロピレン系ブロック共重合体(A)を95重量%以上含有する樹脂からなり、前記シール層が、プロピレン系ランダム共重合体(B)を50〜80質量%と、低融点ポリオレフィン系樹脂(C)20〜50質量%からなり、印刷面同士の静摩擦係数(μs[PP])とシール層同士の静摩擦係数(μs[SS])の差が0.4未満であり、かつフィルムの縦方向の引張弾性率(YM)[MPa]と、フィルム厚み(T)[μm]が、下記式(1)を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
    YM×T≧38×10・・・式(1)
  2. 印刷層に、少なくともアルキルスルホン酸塩を含有する帯電防止剤を3000〜8000ppm添加することを特徴する請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  3. 印刷層同士の静摩擦係数(μs[PP])が0.2〜0.6、シール層同士の静摩擦係数(μs[SS])が0.1〜0.25、印刷層とシール層の間の静摩擦係数が0.2〜0.5の範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  4. シール層の厚み比率が25%以下、かつフィルムのヘイズが55〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  5. シール層同士を80℃でヒートシールした時のヒートシール強度が0.3N/70mm以上、90℃でヒートシールした時のヒートシール強度が0.3〜3.0N/70mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
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