JP3432305B2 - 医療用貼付剤 - Google Patents

医療用貼付剤

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JP3432305B2 JP24153194A JP24153194A JP3432305B2 JP 3432305 B2 JP3432305 B2 JP 3432305B2 JP 24153194 A JP24153194 A JP 24153194A JP 24153194 A JP24153194 A JP 24153194A JP 3432305 B2 JP3432305 B2 JP 3432305B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、医療用貼付剤に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来より、簡便なる薬物の経皮投与手段
として、天然及び合成ゴム系、アクリル系等の粘着剤に
経皮吸収性薬物を含有させたテープ剤やプラスター剤、
及びゼラチン、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコー
ル等の水溶性高分子と水を媒体として経皮吸収性薬物を
含有させたパップ剤が汎用されている。 【0003】医療用貼付剤において、上記パップ剤等の
含水性粘着剤を用いた場合、これらは親水性であるため
皮膚から蒸散される水分を吸収し、皮膚刺激を抑えるこ
とが知られている(例えば、J. Pharm. Pharmacol.,41,
152(1989) 等)。 【0004】しかしながら、ポリアクリル酸塩はアニオ
ン性高分子であるため、塩基性の薬効成分と複合体を形
成して薬効成分の皮膚への吸収性を低下させたり、塩の
形をとる薬効成分を添加した場合には、基剤の増粘性が
著しく低下するという問題があるため、適用できる薬効
成分が限られていた。 【0005】また近年、ノニオン性のN−ビニルアセト
アミドの重合体または共重合体もしくはその架橋体を用
いることにより、幅広い範囲の薬効成分に適用できる外
用剤用の基剤について報告されている(特開平4−18
2437号公報)。しかしながら、含水性粘着基剤の多
くは粘着力が十分でなく、上記のノニオン性のN−ビニ
ルアセトアミドの重合体または共重合体もしくはその架
橋体を用いた含水性粘着基剤においても、粘着力が低く
剥がれやすいという問題がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、その目的は、粘着性が良好で、
幅広い範囲の薬効成分を適用できる医療用貼付剤を提供
する点である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の医療用貼付剤の
膏体は、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸(塩)共
重合体及び酸化チタンを含有してなる。前記アクリル酸
(塩)としては、アクリル酸及びアクリル酸塩が単独で
使用されてもよいし併用されてもよい。 【0008】上記共重合体中のN−ビニルアセトアミド
とアクリル酸(塩)との重量比は、アクリル酸(塩)の
量が少なくなると金属でのイオン架橋が困難となり、耐
水性が低下し、多くなると粘着剤のアニオン性が大きく
なり、適用可能な薬剤が限定されるので、N−ビニルア
セトアミド:アクリル酸(塩)=99.9:0.1〜8
0:20が好ましい。上記アクリル酸塩としては、例え
ば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好まし
い。 【0009】上記酸化チタンとしては、アモルファスま
たは結晶性(アナターゼ型、ルチル型)のいずれを用い
てもよい。酸化チタンの添加量は、少なくなると十分な
粘着性が得られず、多くなると成形性が悪くなるので、
N−ビニルアセトアミド−アクリル酸(塩)共重合体1
00重量部に対し5〜200重量部に限定される。 【0010】上記N−ビニルアセトアミド−アクリル酸
(塩)共重合体の架橋方法としては、多価金属化合物に
よる金属架橋が挙げられる。上記多価金属化合物として
は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウ
ム、亜鉛等との無機酸塩、有機酸塩、塩化物、水酸化
物、酸化物などが挙げられ、中でもアルミニウム化合物
が好ましく、特に水酸化アルミニウム、アルミニウムグ
リシネート、乳酸アルミニウム等が好ましい。 【0011】上記多価金属化合物の添加量は、少なくな
ると十分な耐水性及び凝集性が得られず、多くなると部
分的なゲル化が生じ成形性が悪くなるので、共重合体全
体の5〜20モル%が架橋する量が好ましい。 【0012】上記膏体基剤には、可塑性を付与するため
必要に応じて湿潤剤が添加されてもよい。上記湿潤剤と
しては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビ
トール、マルチトール、ポリエチレングリコール等の多
価アルコールなどが挙げられ、これらは単独で使用され
てもよいし併用されてもよい。上記湿潤剤の添加量は、
N−ビニルアセトアミドとアクリル酸(塩)との共重合
体100重量部に対し、好ましくは100〜2000重
量部、より好ましくは200〜1500重量部である。 【0013】また膏体基剤には、必要に応じて調製時に
水が添加されてもよく、添加量は、少なくなると架橋が
不十分となり、多くなると膏体の成形性が低下するの
で、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸(塩)共重合
体100重量部に対し、好ましくは100〜2000重
量部、より好ましくは200〜1500重量部である。 【0014】調製された膏体は、そのまま含水系貼付剤
としてもよいし、あるいは乾燥させて水を除去してもよ
いが、主構成成分が親水性高分子であるため実質的に無
水状態にすることは困難である。膏体中の含水率は好ま
しくは0.1〜70重量%、より好ましくは5〜60重
量%である。 【0015】上記膏体中には、必要に応じて薬物を添加
し、薬物含有医療用貼付剤を得ることができる。上記薬
物としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸メチ
ル、インドメタシン等の消炎鎮痛剤、抗炎症剤、冠血管
拡張剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗菌性物
質、抗ヒスタミン剤などが挙げられる。膏体中の薬物の
含有量は、薬物の種類により異なるが、通常0.1〜3
0重量%である。 【0016】さらに上記膏体中には、必要に応じて、薬
物の溶解性を高めるための溶解剤、これら添加剤や薬物
と基剤成分の水とを乳化させるための界面活性剤、薬
の水溶性高分子、粘着付与剤、安定剤、酸化防止剤、充
填剤などを添加することができる。上記溶解剤として
は、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ミリスチン酸イ
ソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等が挙げられ
る。上記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等、
従来パップ剤で用いられるものが挙げられる。 【0017】上記膏体層の厚みは、使用目的により異な
るが、小さくなると必要量の薬物を含有させることがで
きず、また粘着性も不十分になり、大きくなると支持体
付近の膏体層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物
利用率が低下するので、通常30〜100μmである。 【0018】本発明の医療用貼付剤の支持体は、貼付剤
に自己支持性を付与し、かつ膏体中に薬物が含有されて
いる場合は、その揮散や包材への移行を防止する役割を
果たもので、人体の動作に追随しやすい柔軟性を有する
ものが好ましい。上記支持体としては、例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アク
リルレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリブテン等のオレフィン系、スチレン−イソプレン−
スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共
重合体、及びそれらの水添加物等のポリスチレン系、ポ
リ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−エチレン共重合体
等の塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−
エチレン共重合体、塩化ビニル−アルキル(メタ)アク
リルレート共重合体等の塩化ビニル系、シリコン樹脂、
ポリフッ化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレ
タン、ポリアミドなどのフィルム、さらには綿布、不織
布等、並びにこれらの積層体などが挙げられる。 【0019】上記支持体のフィルムの厚みは、素材によ
って異なるが40〜200μmが好ましい。フィルムの
膏体側の面は、必要に応じて、プライマー処理、コロナ
放電処理、薬品酸化処理、オゾン処理等が施される。 【0020】本発明の医療用貼付剤は、使用時までその
膏体表面を保護するため、通常剥離紙を有している。前
記剥離紙としては、一般にポリエチレンテレフタレート
フィルム、ポリエチレンコート上質紙、ポリプロピレン
フィルム等にシリコン処理したものが用いられる。剥離
紙の厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましく
は10〜200μmである。 【0021】本発明の医療用貼付剤は、従来公知の方法
によって製造される。例えば、N−ビニルアセトアミド
−アクリル酸(塩)共重合体及び酸化チタンを湿潤剤に
分散・溶解させた後、架橋剤、薬物及び添加剤を混合
し、水と混合攪拌する。この混合物を支持体上あるいは
剥離紙上にバーコーター法やグラビア塗工法等によって
塗工し、剥離紙あるいは支持体と貼り合わせる。さらに
必要に応じて架橋を進行させるため、室温で3〜15日
間熟成させる。 【0022】 【実施例】以下に本発明を実施例において説明する。 (実施例1)乳鉢にN−ビニルアセトアミド−アクリル
酸ナトリウム共重合体(昭和電工社製、NVA GE−
167)100重量部、酸化チタン(和光純薬社製、ア
モルファスタイプ)10重量部、乾燥水酸化アルミニウ
ムゲル10重量部を加え、これにグリセリン750重量
部を加え分散・溶解させた。さらにこの混合物を練合し
ながら、酒石酸10重量部を水1500重量部に溶解さ
せた液を徐々に滴下し、均一になるまで練合して膏体液
を調製した。 【0023】この膏体液をポリプロピレンフィルム上
に、ナイフコーターで厚み100μmとなるように塗布
した。次に、厚み50μmのエチレン−酢酸ビニル共重
合体(EVA)/ポリエチレンテレフタレートの積層フ
ィルムのEVA面をメタクリル酸−メタクリル酸メチル
共重合体(EUDRGIT L−100−55、Roh
m Pharma社製)でプライマー処理し、この面に
上記膏体層をラミネートし、貼付剤を作製した。得られ
た貼付剤を、室温で7日間熟成して架橋を進行させ、後
述の方法に従って粘着力試験を行った。 【0024】(実施例2)酸化チタンを100重量部と
したこと以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製し、
粘着力試験を行った。 【0025】(実施例3)グリセリンを1125重量
部、水を1125重量部としたこと以外は実施例1と同
様にして貼付剤を作製し、粘着力試験を行った。 【0026】(実施例4)酸化チタンを100重量部と
したこと以外は実施例3と同様にして貼付剤を作製し、
粘着力試験を行った。 【0027】(比較例1)酸化チタンを添加しなかった
こと以外は実施例1と同様にして貼付剤を作製し、粘着
力試験を行った。 【0028】(比較例2)酸化チタンを添加しなかった
こと以外は実施例3と同様にして貼付剤を作製し、粘着
力試験を行った。 【0029】(比較例3)酸化チタンのかわりにカオリ
ンを10重量部としたこと以外は実施例1と同様にして
貼付剤を作製し、粘着力試験を行った。 【0030】(比較例4)酸化チタンを140重量部と
したこと以外は実施例1と同様にして膏体液を調製した
が、粘度が高くて均一に混合できず塗工できなかった。 【0031】〔粘着力試験〕温度35±1℃、湿度50
%の室内で、JIS Z 0237(1980)に準拠
し、180°引き剥がし法により粘着力を評価した。実
施例1〜4及び比較例1〜3で得られた貼付剤を15m
m×100mmに切断し、試料とした。この試料を、5
0mm×125mmのベークライト板に貼付し、直ちに
重量2000gのローラーを約300mm/minの速
度で一往復させて圧着させた。その後20〜40分の間
に、剥離速度300mm/minで180°引き剥がし
試験を行った。結果を表1に示す。 【0032】 【表1】 【0033】表1より、N−ビニルアセトアミド−アク
リル酸(塩)共重合体に酸化チタンを配合することによ
り、粘着力が著しく向上した。 【0034】 【発明の効果】本発明の医療用貼付剤は、上述のとおり
であり、十分な粘着力を有するので貼付時に剥がれ等が
生じず、実用的な貼付剤が得られる。さらに含水性粘着
基剤の低刺激性、及びN−ビニルアセトアミド−アクリ
ル酸(塩)共重合体を主構成成分とする基剤の幅広い薬
物に適用可能な特性を活かし、種々の目的の医療用貼付
剤を容易に設計できる。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】N−ビニルアセトアミド−アクリル酸
    (塩)共重合体100重量部及び酸化チタン5〜120
    重量部を含有してなる膏体が、支持体上に形成されてい
    ることを特徴とする医療用貼付剤。
JP24153194A 1994-10-05 1994-10-05 医療用貼付剤 Expired - Lifetime JP3432305B2 (ja)

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JP2001213768A (ja) * 2000-02-01 2001-08-07 Okayama Taiho Pharmaceutical Co Ltd パップ剤
CN104434542A (zh) * 2014-11-27 2015-03-25 苏州市贝克生物科技有限公司 医用抗菌胶黏剂及其制备方法

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