JP3431487B2 - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

Info

Publication number
JP3431487B2
JP3431487B2 JP06332398A JP6332398A JP3431487B2 JP 3431487 B2 JP3431487 B2 JP 3431487B2 JP 06332398 A JP06332398 A JP 06332398A JP 6332398 A JP6332398 A JP 6332398A JP 3431487 B2 JP3431487 B2 JP 3431487B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
carrying
magnetic body
pin
energizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06332398A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11260208A (ja
Inventor
芳充 丹羽
憲治 渡辺
工美 内山
三孝 本間
宏通 染井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP06332398A priority Critical patent/JP3431487B2/ja
Publication of JPH11260208A publication Critical patent/JPH11260208A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3431487B2 publication Critical patent/JP3431487B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば真空遮断器
に使用され、特に電極構造を改良し遮断性能を向上させ
た真空バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の真空バルブの一例として、図22
に示すように、絶縁容器51の両端開口部を蓋体52
a,52bにより閉塞した真空容器50内に、以下に述
べる固定側通電軸(以下単に通電軸と称する)53、可
動側通電軸(以下単に通電軸と称する)54、接触子
(固定側接触子)55、接触子(可動側接触子)56、
コイル電極57,58、ベローズ59、アークシールド
60,61,62が収納配置されている。
【0003】すなわち、通電軸53の一方の端部を蓋体
52aに貫通固定し、他方の端部に接触子55を固着
し、接触子55の背面側にコイル電極57を配置固定し
てある。また、通電軸54の一方の端部を蓋体52bに
摺動可能に貫挿し、他方の端部に接触子56を固着し、
接触子56の背面側にコイル電極58を配置固定してあ
る。
【0004】通電軸54の蓋体52bから外部に突出し
ている端部は、図示しない操作機構により連結され、通
電軸54、接触子56、コイル電極58が共に軸方向に
移動可能になっており、これにより接触子56は接触子
55に対して接触または開離できるようにしてある。
【0005】また、真空容器50内であって蓋体52b
と通電軸54との間には、真空容器50内を真空気密に
保持しかつ通電軸54の軸方向への移動を可能とするた
めのベローズ59が設けられる。さらに、真空容器50
内であって各接触子55,56および通電軸53,54
を包囲するように絶縁容器51ならびに蓋体52a,5
2bにアークシールド60〜62が固定されている。
【0006】以上のような構成の真空バルブを備えた真
空遮断器は、通常両接触子55,56が接触し通電状態
となる。この状態からの動作により通電軸54が図中矢
印M方向に移動すると、接触子56が固定側接触子55
から開離し、両接触子56,55間にはアークが発生す
る。このアークは陰極例えば接触子56側からの金属蒸
気の発生により維持され、電流がゼロ点(零点)に達す
ると金属蒸気の発生が止まってアークが維持できなくな
り、遮断が完了する。
【0007】ところで、上記両接触子55,56間に発
生するアークは、遮断電流が大きいとアーク自身により
生じた磁場と外部回路の作る磁場との相互作用により著
しく不安定な状態となる。その結果アークは接触子5
5,56面上を移動し、接触子55,56が電極に取り
付けられ一体化している時には、アークは電極面上にも
移動している場合もある、接触子(電極)の端部或いは
周辺部に片寄りその部分を局部的に過熱し、多量の金属
蒸気を放出させて、真空容器50内の真空度を低下させ
る。その結果、真空遮断器の遮断性能は低下する。
【0008】従来この対策として、接触子55,56の
背面側に、縦磁界電極と呼ばれるコイル電極57,58
を設けていた。コイル電極57,58は、それぞれを流
れる自己電流の円周方向成分により、接触子55,56
のギャップ間に発生するアークに対して平行な縦方向磁
界を印加し、これによりアーク期間中のプラズマの拡散
を抑制し、接触子55,56の消耗を小さくすることで
アークを安定化させる様にしていた。
【0009】図23は可動側のコイル電極58の一例を
示す断面図であるが、固定側のコイル電極57も同一構
成であるので、その説明を省略する。通電軸54の先端
に、円柱形の座ぐり54aが設けてあり、座ぐり54a
には補強部材23が取り付けられている。補強部材23
の外周には円筒状のコイル電極25の中心部材が設けら
れており、通電軸54にろう付けされている。コイル電
極25には中心部材から半径方向にコイル腕25bが軸
方向に直交するよう設けてある。コイル腕25bの半径
方向端部から弧状のコイル部25aが設けてある。コイ
ル部25aの端部には電極板24が接続されている。電
極板24の端面には接触子56がろう付けされている。
【0010】上述のような縦磁界電極では、コイル電極
25に流れる電流により図26に示すような軸方向の磁
界を生じる。縦磁界の磁束密度Bzは、電極の中心軸で
最大で、電極の半径方向外側へ行くに従い低くなってい
る。
【0011】前述のような縦磁界を発生させる電極間に
生じたアークは、縦磁界を発生させない電極と比べ、接
触子56の表面に局所的に集中せず、均一に広がる。そ
のためアークの局所集中による接触子56の溶融を防ぐ
ことができる。その結果溶融箇所からの金属蒸気の発生
を低減し、遮断性能を向上することが可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小容量
の真空バルブに於いてはコイル径が小さくなり充分な縦
磁界強度を得ることができず、また構造が複雑になる等
の理由により縦磁界電極を適用せず平板構造の電極を用
い、直径を充分に大きくすることで必要な遮断性能を得
ている。
【0013】小容量の真空バルブをさらに小型化するた
めには電極の直径の縮小化が必要不可欠である。しか
し、現状の平板構造の電極では必要な遮断性能を得るた
めに電極の直径を現状以上に縮小することはできない。
【0014】また、前述のように構成された大容量の真
空バルブにおいても、遮断電流が更に増加すると、磁束
密度が高い接触子の中心部分でアークの集中を生じ、遮
断性能の向上を図る上で障害となる。アークが接触子中
心部分に集中する原因は、アーク電流によるピンチ力に
よる効果と、アーク電流が磁界の強い領域に集中するた
めと考えられ、前者のピンチ力による効果より、後者の
強磁界に集中する効果が同程度以上であることが、実験
で確認されている。
【0015】そこで、接触子周辺までアークを広げるた
めに図24に示した分布の磁束密度を更に高くし周辺の
磁束密度を高くすることにより、遮断性能を向上する方
法が考えられるが、実験結果によると、遮断電流が増加
すると接触子の中央部分にアークが集中する。
【0016】本発明の目的は、安定した遮断性能が得ら
れ、また遮断性能が向上する真空バルブを提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に対応する発明は、絶縁容器の両端部に蓋体が
取り付けられ、その内部を真空密にした真空容器と、前
記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向し、
少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の通電
軸と、前記各通電軸の軸方向端面にほぼ円環状に配置さ
れ基端が前記通電軸に接合される複数の通電ピンと、前
記各通電ピンの先端であって前記通電軸毎に電気的に接
続された接触子と、前記通電軸と前記接触子の間であっ
て、前記通電ピンの周囲に設けられた磁性体とを備え、
前記通電ピンの周囲の前記通電軸の中心軸を基準とした
周方向の一定方向には前記磁性体が存在せず、前記磁性
体を前記通電軸の中心軸に垂直な平面(前記接触子の接
触面に平行な平面)に投影したとき、前記通電軸の中心
軸を中心とし前記通電ピンの中心を通る円より外側の領
域で、対向する前記通電軸端部の磁性体が重ならないよ
うに配置されていることを特徴とする真空バルブであ
る。
【0018】請求項1に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸から通電ピ
ン、接触子を経て、もう一方の電極の接触子に流入す
る。電流は、接触子、通電ピンを経て通電軸に流出す
る。通電ピンを流れる電流により生じる磁束は、磁性体
により曲げられ、これにより接触子間に軸方向の磁界が
生じる。対向する電極の磁性体の電極端部側の部分がず
らしてあるため、接触子間の軸方向磁界分布は周方向に
バラツキの小さい分布となる。この縦磁界により、接触
子間に生じるアークは安定し、高い遮断性能が得られ
る。
【0019】前記目的を達成するため請求項2に対応す
る発明は、前記磁性体と前記通電ピンを、前記通電軸の
中心軸に垂直な平面に投影したとき、前記通電軸を中心
とし前記通電ピンの中心を結ぶ円と前記磁性体の通電ピ
ンの側面側へ突出する部分の中心点と前記通電軸を結ぶ
直線と、同一の電極に対して、前記通電ピンと周方向に
隣り合う磁性体の突出部についての同様の直線が成す角
度をθとしたとき、投影された対向する電極の磁性体の
同様の直線と前記一方の磁性体の同様の直線との成す角
が、θ/4〜3θ/4となるよう配置されていることを
特徴とする請求項1記載の真空バルブである。
【0020】請求項2に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸から通電ピ
ン、接触子を経て、もう一方の電極の接触子に流入す
る。電流は、接触子、通電ピンを経て通電軸に流出す
る。通電ピンを流れる電流により生じる磁束は、磁性体
により曲げられ、これにより接触子間に軸方向の磁界が
生じる。対向する電極の磁性体の電極端部側の部分がず
らしてあるため、接触子間の軸方向磁界分布は周方向に
バラツキの小さい分布となる。この縦磁界により、接触
子間に生じるアークは安定し、高い遮断性能が得られ
る。
【0021】前記目的を達成するため請求項3に対応す
る発明は、絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けられ、そ
の内部を真空密にした真空容器と、前記各蓋体を貫通
し、前記真空容器内部に端部が対向し、少なくとも一方
が進退自在に取り付けられた一対の通電軸と、前記各通
電軸の軸方向端面にほぼ円環状に配置され基端が前記通
電軸に接合される複数の通電ピンと、前記各通電ピンの
先端であって前記通電軸毎に電気的に接続された接触子
と、前記通電軸と前記接触子の間であって、前記通電ピ
ンの周囲に設けられた磁性体とを備え、前記通電ピンの
周囲の前記通電軸の中心軸を基準とした周方向の一定方
向には磁性体が存在せず、一方の通電軸に取り付けられ
た前記通電ピンと前記磁性体の個数が、もう一方の通電
軸に取り付けられた前記通電ピンと前記磁性体の個数と
異なることを特徴とする真空バルブである。
【0022】請求項3に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸から通電ピ
ン、接触子を経て、もう一方の電極の接触子に流入す
る。電流は、接触子、通電ピンを経て通電軸に流出す
る。通電ピンを流れる電流により生じる磁束は、磁性体
により曲げられ、これにより接触子間に軸方向の磁界が
生じる。対向する電極の通電ピンと磁性体の個数が異な
るため、周方向の磁界分布での磁界の弱い領域を狭くす
ることができる。この縦磁界により、接触子間に生じる
アークは安定し、高い遮断性能が得られる。
【0023】前記目的を達成するため請求項4に対応す
る発明は、絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けられ、そ
の内部を真空密にした真空容器と、前記各蓋体を貫通
し、前記真空容器内部に端部が対向し、少なくとも一方
が進退自在に取り付けられた一対の通電軸と、前記各通
電軸の軸方向端部に、それぞれ半径方向に伸びる放射状
部材と、前記各放射状部材の半径方向外側の端部から円
周方向に円弧状に伸びたコイル部からなるコイル電極
と、前記コイル電極のコイル部の端部と、接触子を接続
する通電ピンと、前記コイル電極と前記接触子の間であ
って、前記通電ピンの周辺に配置された磁性体と、を備
え、前記通電ピンの周囲の前記通電軸の中心軸を基準と
した周方向の一定方向には磁性体が存在せず、前記磁性
体を前記通電軸の中心軸に垂直な平面(前記接触子の接
触面に平行な平面)に投影したとき、前記通電軸の中心
軸を中心とし前記通電ピンの中心を通る円より外側の領
域で、対向する通電軸端部の磁性体が重ならないように
配置されていることを特徴とする真空バルブである。
【0024】請求項4に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸から通電ピ
ン、接触子を経て、もう一方の電極の接触子に流入す
る。電流は、接触子、通電ピンを経て通電軸に流出す
る。通電ピンを流れる電流により生じる磁束は、磁性体
により曲げられ、これにより接触子間に軸方向の磁界が
生じる。対向する電極の通電ピンと磁性体の個数が異な
るため、周方向の磁界分布での磁界の弱い領域を狭くす
ることができる。この縦磁界により、接触子間に生じる
アークは安定し、高い遮断性能が得られる。
【0025】前記目的を達成するため請求項5に対応す
る発明は、前記磁性体と前記通電ピンを、前記通電軸の
中心軸に垂直な平面に投影したとき、前記通電軸を中心
とし前記通電ピンの中心を結ぶ円と前記磁性体の通電ピ
ンの側面側へ突出する部分の中心点と前記通電軸を結ぶ
直線と、同一の電極に対して、前記通電ピンと周方向に
隣り合う磁性体の突出部についての同様の直線が成す角
度をθとしたとき、投影された対向する電極の磁性体の
同様の直線と前記一方の磁性体の同様の直線との成す角
が、θ/4〜3θ/4となるよう配置されていることを
特徴とする請求項4記載の真空バルブである。
【0026】請求項5に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸からコイル電
極の放射状部材、コイル部、通電ピン、接触子を経て、
もう一方の電極の接触子に流入する。電流は、接触子、
通電ピン、コイル電極を経て通電軸に流出する。コイル
部を流れる電流により、接触子間に軸方向の磁界が生じ
る。また通電ピンを流れる電流により生じる磁界は、磁
性体により曲げられ、接触子間に軸方向の磁界を生じ
る。コイルと磁性体により発生した軸方向の磁界は、電
極中心部より中心部周辺で高く、磁性体の電極端部側の
部分が周方向にほぼ均等にずらしてあるため、周方向の
バラツキが小さい。そのため、接触子間に生じたアーク
は接触子全域に広がり、接触子表面の局部的アークの集
中による接触子の溶融を防ぐことができ、高い遮断性能
が得られる。
【0027】前記目的を達成するため請求項6に対応す
る発明は、絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けられ、そ
の内部を真空密にした真空容器と、前記各蓋体を貫通
し、前記真空容器内部に端部が対向し、少なくとも一方
が進退自在に取り付けられた一対の通電軸と、前記各通
電軸の軸方向端部に、それぞれ半径方向に伸びる放射状
部材と、前記各放射状部材の半径方向外側の端部から円
周方向に円弧状に伸びたコイル部からなるコイル電極
と、前記コイル電極のコイル部の端部と、接触子を接続
する通電ピンと、前記コイル電極と前記接触子の間であ
って、前記通電ピンの周辺に配置された磁性体とを備
え、前記一方の通電軸に取り付けられたコイル電極のコ
イル部、前記通電ピン、前記磁性体の個数と、前記他方
の通電軸に取り付けられたコイル電極のコイル部、前記
通電ピン、前記磁性体の個数が異なることを特徴とする
真空バルブである。
【0028】請求項6に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸からコイル電
極の放射状部材、コイル部、通電ピン、接触子を経て、
もう一方の電極の接触子に流入する。電流は、接触子、
通電ピン、コイル電極を経て通電軸に流出する。コイル
部を流れる電流により、接触子間に軸方向の磁界が生じ
る。また通電ピンを流れる電流により生じる磁界は、磁
性体により曲げられ、接触子間に軸方向の磁界を生じ
る。コイルと磁性体により発生した軸方向の磁界は、電
極中心部より中心部周辺で高くなる。また、通電ピン、
磁性体の個数が対向する電極で異なるため、接点間に発
生する磁界の周方向分布での磁界の弱い領域が狭くな
る。そのため、接触子間に生じたアークは接触子全域に
広がり、接触子表面の局部的アークの集中による接触子
の溶融を防ぐことができき、高い遮断性能が得られる。
【0029】前記目的を達成するため請求項7に対応す
る発明は、前記通電軸の中心軸を中心とし前記通電ピン
の前記通電軸の中心軸側に接する円より内側で、前記磁
性体が一体となっていることを特徴とする請求項1に記
載の真空バルブである。
【0030】請求項7に対応する発明によれば、遮断動
作時の作用は請求項1の作用に加えて、磁性体が一体化
されているので、部品点数を削減でき、電極の組み立て
が容易になる。
【0031】前記目的を達成するため請求項8に対応す
る発明は、前記接触子に放射状のスリットを持ち、前記
通電ピンと前記接触子の間に電極板が取り付けられてい
る場合は、前記接触子と前記電極板の少なくとも一方に
放射状のスリットを持ち、該スリットと前記磁性体を前
記通電軸の中心軸に垂直な平面(接触子の接触面に平行
な平面)に投射したとき、前記通電軸の中心軸を中心と
し前記通電ピンの中心を通る円より少なくとも外側で、
前記スリットと前記磁性体が重なることを請求項1に記
載の真空バルブである。
【0032】請求項8に対応する発明によれば、遮断動
作を行うと、請求項1の作用に加えて、通電ピンに流れ
る電流による磁束を磁性体により曲げ、接触子間に軸方
向の磁界を発生する。接触子、電極板の磁性体の電極端
部側付近にスリットを設けたため、磁性体による磁界に
より接触子、電極板に渦電流が流れることを低減するこ
とができる。そのため、接触子間に発生する磁界の電流
に対する位相遅れを小さくすることができ、これによ
り、電流ピーク時の磁界が強くなるとともに、電流零点
時の残留磁束を小さくできるため、高い遮断性能が得ら
れる。
【0033】前記目的を達成するため請求項9に対応す
る発明は、前記磁性体の中心部に軸方向に貫通した穴を
持ち、前記磁性体の穴を通り、前記一端が前記通電軸端
部に、もう一端が前記接触子に固定された補強部材を持
ち、前記補強部材が前記磁性体の穴の内側の面と密着し
ていることを特徴とする請求項1に記載の真空バルブで
ある。
【0034】請求項9に対応する発明によれば、請求項
1の作用に加えて、補強部材により電極の機械的強度が
向上し、高い耐久性が得られる。また補強部材と磁性体
が固着されているため、磁性体位置が変化することによ
り、接触子間の磁界が変化することを防ぐことができ
る。
【0035】前記目的を達成するため請求項10に対応
する発明は、前記磁性体の軸方向厚さが、前記通電ピン
の軸方向長さより小さく、前記磁性体の中心部に軸方向
に貫通した穴を持ち、前記磁性体の穴を通り、一端が前
記通電軸端部に、もう一端が前記接触子に固定された補
強部材を持ち、前記補強部材の前記磁性体と前記接触子
に囲まれた部分が、前記磁性体の穴より大きいことを特
徴とする請求項18記載の真空バルブである。
【0036】請求項10に対応する発明によれば、請求
項1の作用に加えて、補強部材の接触子に固定された部
分が磁性体中心部の穴より大きくなっているため、接触
子の変形を防ぐことができ、磁性体が接触子側にずれる
ことを防ぐことができる。また磁性体厚さが、通電ピン
の軸方向長さより薄いため、接触子と通電軸端部あるい
は接触子とコイル電極が磁性体を介して短絡されること
を防ぐことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0038】<第1の実施形態(請求項1に対応する実
施形態)> (構成)図1〜図3は本発明の第1の実施形態を説明す
るための図であり、図1はその要部である通電軸と接触
子部分のみを示す分解斜視図であり、図2は一対の電極
の通電ピン2と磁性体3の一部を軸方向より透視した図
であり、図3は通電ピン2と磁性体3、磁性体3により
発生する磁束8を示す図である。
【0039】本実施形態は、図24の従来の真空バルブ
の固定側通電軸53、接触子55、コイル電極57なら
びに可動側通電軸54、接触子56、コイル電極58の
構成を次のように、通電軸54、通電ピン2(2A,2
B)、磁性体3(3A,3B)、接触子4により構成し
たものである。
【0040】すなわち、通電軸1としては、軸方向端部
(接触子4が取付けられる端部)を径大部に形成したも
のを使用し、通電軸1の端面に円柱状であってその直径
の小さい複数個(ここでは4個)の通電ピン2を、円環
状に配置固着する。
【0041】磁性体3は、磁性板をほぼL字形に成形し
たものであり、該磁性体3を通電ピン2と同一個数だけ
準備し、各磁性体3を各通電ピン2に近接した状態に配
置し、通電軸1の端面に固着する。各通電ピン2と各磁
性体3の軸方向端面に、円板状の接触子4を固着する。
【0042】以上述べた構成は、例えば固定側とする
と、可動側の構成もほぼ同様に構成する。
【0043】以上の説明は、第1の実施形態の概略構成
であり、図2及び図3により具体的な構成について説明
する。図1と異なる点である磁性体3の配置について説
明する。通電ピン2の周囲の通電軸1の中心軸を基準と
した周方向の一定方向には磁性体3が存在せず、磁性体
3を通電軸1の中心軸に垂直な平面(接触子4の接触面
に平行な平面)に投影したとき、通電軸1の中心軸を中
心とし通電ピン2の中心を通る円より外側の領域で、対
向する通電軸端部の磁性体3が重ならないように配置さ
れているすなわち、通電軸1の軸方向の端面に、複数の
通電ピン2が、通電軸1に対し円環状に配置され、軸方
向の一端が通電軸1に、もう一端が接触子4に取り付け
られている。通電軸1と接触子4の間の、通電ピン2の
周辺に、電極の中心軸から見て周方向の一定方向に磁性
体3が存在しないような形状の磁性体3(ここではL字
型とした)が取り付けられている。
【0044】可動側電極(図2中実線)、固定側電極
(図2中点線)の磁性体3と通電ピン2の位置関係は、
図2のように、電極の中心軸を中心とし通電ピン2の中
心を通る円(図中R1より外側)の領域で、可動側電
極、固定側電極の磁性体3が重ならないように配置され
ている。
【0045】(作用)このような構成において遮断動作
を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸1から通電ピン
2、接触子4を経て、もう一方の電極の接触子4に流入
する。電流は、接触子4、通電ピン2を経て通電軸1に
流出する。図3に通電ピン2と磁性体3、磁性体3によ
り発生する磁束8を示す。磁性体3は通電ピン2の周り
で閉ループ構造となっていないので、磁性体3の端部が
磁極として働く。そのため図12に示すような磁束8が
発生し、磁束8の一部は接触子4間を通る。この結果、
接触子4間に軸方向の磁界が生じる。
【0046】図4は半径方向位置が接触子4の端部付近
で、接触子4間での周方向の軸方向磁界(縦磁界)分布
を示す。固定側電極、可動側電極による磁界をそれぞれ
点線、一点鎖線で示し、合成磁界を実線で示す。
【0047】一方の電極により発生する磁界は磁界強度
に対し周方向に大きなバラツキがあるが、前述のような
構成にすることにより合成磁界は周方向のバラツキを小
さくすることができる。この縦磁界により、接触子4間
に生じるアークは安定し、接触子4全面を有効に用いる
ことができ、高い遮断性能が得られる。
【0048】(効果)前述のように、コイル電極を用い
た縦磁界電極より簡易な構造で、周方向のバラツキが小
さい縦磁界を接触子4間に生じることにより、接触子4
間に発生するアークを安定させること、接触子4全面を
有効に用いることができる。これにより、小型で、高い
遮断性能を持つ真空バルブを提供することができる。
【0049】<第2の実施形態(請求項2に対応する実
施形態)> (構成)図5は、本発明の第2の実施形態を説明するた
めの図であり、一対の電極の通電ピン2と磁性体3の一
部を軸方向より透視した図である。第1の実施形態とは
可動側電極と固定側電極の通電ピン2と磁性体3の配置
ついてのみ異なっており、他の構成は同様である。可動
側電極(図5中実線)、固定側電極(図5中点線)の磁
性体3と通電ピン2の位置関係を、図5に示す。
【0050】電極の中心軸を通り、通電ピン2の磁性体
3に近接した部分に接する直線(L1)と、同じ電極に
ついて、周方向に隣り合う通電ピン2についての同様の
直線(L2)が成す角度をθとする。前述の直線(L
1)と、もう一方の電極に取り付けられた通電ピン2に
ついての同様の直線(L3)と成す角をαとすると、α
がθ/4〜3θ/4となるように、通電ピン2、磁性体
3が配置されている。
【0051】図6に半径方向位置が接触子4端部付近
で、接触子4間での周方向の軸方向磁界(縦磁界)分布
を示す。固定側電極、可動側電極による磁界をそれぞれ
点線、一点鎖線で示し、合成磁界を実線で示す。
【0052】一方の電極により発生する磁界は、磁界強
度に対し周方向に大きなバラツキがあるが、前述のよう
な構成にすることにより、一方電極による磁界が最大と
なる位置と、もう一方の電極による磁界が最小となる位
置がほぼ一致するため、合成磁界は周方向のバラツキを
小さくすることができる。この縦磁界により、接触子4
間に生じるアークは安定し、高い遮断性能が得られる。
【0053】前述のように、コイル電極を用いた縦磁界
電極より簡易な構造で、周方向のバラツキが小さい縦磁
界を接触子4間に生じることにより、接触子4間に発生
するアークを安定させることができる。これにより、小
型で、高い遮断性能を持つ真空バルブを提供することが
できる。
【0054】<第3の実施形態(請求項3に対応する実
施形態)> (構成)図7は、本発明の真空バルブの第3の実施形態
を説明するための図であり、一対の電極の通電ピン2と
磁性体3を軸方向より透視した図である。一方の電極の
構造は図1と同様であるが、固定側電極、可動側電極
で、通電ピン2、磁性体3の個数が異なっている。可動
側電極(図7中実線)、固定側電極(図7中点線)の磁
性体3と通電ピン2の位置関係を、図7に示す。固定側
電極と可動側電極では、通電ピン2、磁性体3の個数が
異なるため、これらの位置はずれている。
【0055】(作用)このような構成のものにおいて、
遮断動作を行うと、第1の実施形態と同様の原理で、磁
性体3により接触子4間に軸方向磁界が発生する。図8
に半径方向位置が接触子4端部付近で、接触子4間での
周方向の軸方向磁界(縦磁界)分布を示す。固定側電
極、可動側電極による磁界をそれぞれ点線、一点鎖線で
示し、合成磁界を実線で示す。
【0056】固定側電極、可動側電極で通電ピン2、磁
性体3の個数が異なるため、可動側電極と固定側電極に
よる磁界の磁界強度の弱い周方向位置がずれるため、周
方向の磁界分布の磁界強度の弱い領域(図8中、周方向
位置70゜、180゜近傍)が狭くなる。
【0057】前述のように、コイル電極を用いた縦磁界
電極より簡易な構造で、周方向の磁界分布の磁界強度の
弱い領域が狭い縦磁界を接触子4間に生じることによ
り、接触子4間に発生するアークを安定させることがで
きる。これにより、小型で、高い遮断性能を持つ真空バ
ルブを提供することができる。
【0058】<第4の実施形態(請求項4に対応する実
施形態)> (構成)図9〜11は、本発明の第4の実施形態を説明
するための図であり、図9はコイル電極5と接触子4の
間の通電ピン2での電極中心軸に垂直な面を断面した図
であり、図10は図9の線A−O−Bに沿って断面した
断面図であり、図11は一対の電極の通電ピン2と磁性
体3の一部を軸方向より透視した図である。
【0059】通電軸1の軸方向端部に、半径方向に伸び
るコイル腕5bと、コイル腕5bの半径方向外側の端部
から円周方向に円弧状に伸びたコイル部5aからなるコ
イル電極5が取り付けられている。コイル部5aの端部
と、接触子4が通電ピン2で接続されている。コイル電
極5と接触子4の間の、通電ピン2の周辺には、電極の
中心軸から見て周方向の一定方向に磁性体3が存在しな
いような形状の磁性体3(ここではL字型とした)が取
り付けられている。
【0060】可動側電極(図11中実線)、固定側電極
(図11中点線)の磁性体3と通電ピン2の位置関係
は、図11のように、電極の中心軸を中心とし通電ピン
2の中心を通る円(図中R2より外側の領域で、可動側
電極、固定側電極の磁性体3が重ならないように配置さ
れている。
【0061】(作用)このような構成のものにおいて、
遮断動作を行うと、事故電流や負荷電流は通電軸1から
コイル電極5のコイル腕5b、コイル部5a、通電ピン
2、接触子4を経て、もう一方の電極の接触子4に流入
する。電流は、接触子4、通電ピン2、コイル電極5を
経て通電軸1に流出する。コイル部5aを流れる電流に
より、接触子4間に軸方向の磁界が生じる。また通電ピ
ン2を流れる電流により生じる磁界は、磁性体3により
曲げられ、第1の実施形態で述べたように接触子4間に
軸方向の磁界を生じる。
【0062】図12、図13にコイルと磁性体3により
発生した軸方向磁界の分布を示す。図12には半径方向
の磁界分布を、図13には半径方向位置が接触子4端部
付近での周方向の磁界分布を示す。磁性体3による磁界
が電極中心付近でコイル電極5による磁界と逆向きにな
り、電極端部付近ではコイル電極5による磁界と同じ向
きになるため、半径方向の磁界分布は図12のように、
電極中心部より、電極中心部の周辺で磁界が高くなる分
布となる。また周方向の磁界分布は、第1の実施形態の
ように固定側電極、可動側電極の磁性体3をずらして配
置したため、図13に示すように、周方向のバラツキが
小さくなっている。そのため、接触子4間に生じたアー
クは接触子4全域に広がり、接触子4表面の局部的アー
クの集中による接触子4の溶融を防ぐことができ、高い
遮断性能が得られる。
【0063】前述のように、電極中心部より中心部の周
辺で磁界が高く、周方向の磁界分布のバラツキが小さい
磁界を接触子4間に発生させることにより、接触子4間
に生じたアークを接触子4全域に広げ、接触子4表面の
局部的なアークの集中による接触子4の溶融を防ぐこと
ができる。これにより高い遮断性能を持った真空バルブ
を提供することができる。
【0064】<第5の実施形態(請求項5に対応する実
施形態)> (構成)図14は、本発明の第5の実施形態を説明する
ための図であり、一対の電極の通電ピン2と磁性体3を
軸方向より透視した図である。可動側電極、固定側電極
の構成は第4の実施形態と同様であるが、一対の電極の
周方向の位置関係のみ異なっている。
【0065】可動側電極(図14中実線)、固定側電極
(図14中点線)の磁性体3と通電ピン2の位置関係
を、図14に示す。電極の中心軸を通り、通電ピン2の
磁性体3に近接した部分に接する直線(L4)と、同じ
電極について、周方向に隣り合う通電ピン2についての
同様の直線(L5)が成す角度をθとする。前述の直線
(L4)と、もう一方の電極に取り付けられた通電ピン
2についての同様の直線(L6)と成す角をβとする
と、βがθ/4〜3θ/4となるように、固定側電極、
可動側電極が同軸上に配置されている。
【0066】図15に半径方向位置が接触子4端部付近
で、接触子4間での周方向の軸方向磁界(縦磁界)分布
を示す。固定側電極、可動側電極による磁界をそれぞれ
点線、一点鎖線で示し、合成磁界を実線で示す。
【0067】(作用、効果)このような構成のものにお
いて、一方の電極により発生する磁界は周方向にバラツ
キがあるが、前述のような構成にすることにより、一方
電極による磁界が最大となる位置と、もう一方の電極に
よる磁界が最小となる位置がほぼ一致するため、合成磁
界は周方向のバラツキを小さくすることができる。
【0068】また、半径方向の磁界分布は第4の実施形
態と同様、電極中心部より、電極中心部の周辺で磁界が
高くなる分布となる。そのため、接触子4間に生じたア
ークは接触子4全域に広がり、接触子4表面の局部的ア
ークの集中による接触子4の溶融を防ぐことができ、高
い遮断性能が得られる。
【0069】前述のように、電極中心部より中心部の周
辺で磁界が高く、周方向の磁界分布のバラツキが小さい
磁界を接触子4間に発生させることにより、接触子4間
に生じたアークを接触子4全域に広げ、接触子4表面の
局部的なアークの集中による接触子4の溶融を防ぐこと
ができる。これにより高い遮断性能を持った真空バルブ
を提供することができる。
【0070】<第6の実施形態(請求項6に対応する実
施形態)> (構成)図16は、本発明の第6の実施形態であり、一
対の電極の通電ピン2と磁性体3を軸方向より透視した
図である。可動側電極、固定側電極の構成は第11の実
施形態と同様であるが、可動側電極、固定側電極で、コ
イル腕5b、コイル部5a、通電ピン2、磁性体3の個
数が異なっている。
【0071】可動側電極(図16中実線)、固定側電極
(図16中点線)の磁性体3と通電ピン2の位置関係
を、図16に示す。固定側電極と可動側電極では、通電
ピン2、磁性体3の個数が異なるため、これらの位置は
ずれている。
【0072】図17に半径方向位置が接触子4端部付近
で、接触子4間での周方向の軸方向磁界(縦磁界)分布
を示す。固定側電極、可動側電極による磁界をそれぞれ
点線、一点鎖線で示し、合成磁界を実線で示す。
【0073】(作用、効果)可動側電極と固定側電極
で、固定側電極と可動側電極では、通電ピン2、磁性体
3の個数が異なるため、それぞれの電極による磁界の磁
界強度の弱い領域の周方向位置がずれる。このため、合
成磁界の磁界強度の弱い領域(図17中、70゜、18
0゜付近)が狭くなる。
【0074】また、半径方向の磁界分布は第4の実施形
態と同様、電極中心部より、電極中心部の周辺で磁界が
高くなる分布となる。そのため、接触子4間に生じたア
ークは接触子4全域に広がり、接触子4の表面の局部的
アークの集中による接触子4の溶融を防ぐことができ、
高い遮断性能が得られる。
【0075】前述のように、電極中心部より中心部の周
辺で磁界が高く、周方向の磁界分布の磁界強度の弱い領
域を狭くした磁界を接触子4間に発生させることによ
り、接触子4間に生じたアークを接触子4全域に広げ、
接触子4表面の局部的なアークの集中による接触子4の
溶融を防ぐことができる。これにより高い遮断性能を持
った真空バルブを提供することができる。
【0076】<第7の実施形態(請求項7に対応する実
施形態)> (構成)図18は本発明の第7の実施形態であり、電極
の通電ピン2と磁性体3を含み、電極の中心軸に垂直な
面での断面図である。電極の中心軸を中心とし通電ピン
2の中心軸側に接する円より内側で、磁性体3が一体と
なっており、その他の構成は第1〜6の実施形態と同様
である。
【0077】(作用、効果)遮断動作時の作用は第1〜
6の実施形態と同様であるが、磁性体3が一体化されて
いるので、部品点数を削減でき、電極の組み立てが容易
になる。すなわち、第1〜6の実施形態と同様な効果が
得られる上に、部品点数を削減でき、組み立てが容易と
なる。これにより、部品点数が少なく、組み立てが容易
で、高い遮断性能を持った真空バルブを提供することが
できる。
【0078】<第8の実施形態(請求項8に対応する実
施形態)> (構成)図19は本発明の第8の実施形態であり、一対
の電極の通電ピン2と磁性体3と接触子4を軸方向より
透視した図である。図19は電極板が取り付けられてい
る場合または電極板が取り付けられていない場合を含む
ものとする。接触子4に放射状のスリット42があり、
通電ピン2と接触子4の間に電極板が取り付けられてい
る場合は、接触子4と電極板の少なくともどちらかに放
射状のスリット42がある。スリット42と磁性体3の
位置関係は、通電軸1の中心軸を中心とし通電ピン2の
中心を通る円(図19中R3)より少なくとも外側で、
スリット42と磁性体3が重なるようになっている。
【0079】(作用、効果)このような構成のものにお
いて、遮断動作を行うと、第1〜7の実施形態と同様
に、通電ピン2に流れる電流による磁束を磁性体3によ
り曲げ、接触子4間に軸方向の磁界を発生する。接触子
4、電極板の磁性体3の電極端部側付近にスリット42
を設けたため、磁性体3による磁界により接触子4、電
極板に渦電流が流れることを低減することができる。そ
のため、接触子4間に発生する磁界の電流に対する位相
遅れを小さくすることができ、これにより、電流ピーク
時の磁界が強くなるとともに、電流零点時の残留磁束を
小さくできるため、高い遮断性能が得られる。
【0080】前述のように、渦電流を抑制することで、
電流ピーク時の磁界が強くなるとともに、電流零点時の
残留磁束を小さくできる。これにより高い遮断性能を持
った真空バルブを提供することができる。
【0081】<第9の実施形態(請求項9に対応する実
施形態)> (構成)図20は本発明の第9の実施形態であり、電極
中心軸を含む断面図である。補強部材11が磁性体3の
中心部の穴を通り、一端が通電軸1端部に、もう一端が
接触子4に固定されており、磁性体3の穴の内側の面と
密着している。その他の構成は、第8の実施形態と同様
である。
【0082】(作用、効果)このような構成のものにお
いて、遮断動作を行った際の作用は、第7、8の実施形
態と同様であるが、補強部材11により電極の機械的強
度が向上し、高い耐久性が得られる。また補強部材11
と磁性体3が固着されているため、磁性体3位置のずれ
により、接触子4間の磁界が変化することを防ぐことが
できる。
【0083】前述のように、磁性体3中心部の穴を通る
補強部材11を設けることにより、電極の機械的強度を
向上することができ、磁性体3位置のずれを防ぐことが
できる。これにより、高い遮断性能と耐久性を持った真
空バルブを提供することができる。
【0084】<第10の実施形態(請求項10に対応す
る実施形態)> (構成)図21は本発明の第10の実施形態であり、電
極中心軸を含む断面図である。磁性体3の軸方向厚さ
が、通電ピン2の軸方向長さより薄く、磁性体3の中心
部に軸方向に貫通した穴がある。補強部材11は、磁性
体3の穴を通り、一端が通電軸1端部に、もう一端が接
触子4に固定されており、補強部材11の磁性体3と接
触子4に囲まれた部分が、磁性体3の穴より大きくなっ
ている。その他の構成は本発明の第9の実施形態と同様
である。
【0085】(作用、効果)このような構成のものにお
いて、遮断動作を行った際の作用は、第16の実施形態
と同様であるが、補強部材11の接触子4に固定された
部分が磁性体3中心部の穴より大きくなっているため、
接触子4の変形を防ぐことができ、磁性体3が接触子4
側にずれることを防ぐことができる。
【0086】また磁性体3の厚さが、通電ピン2の軸方
向長さより薄いため、接触子4と通電軸1の端部あるい
は接触子4と図示しないコイル電極が磁性体3を介して
短絡されることを防ぐことができる。
【0087】前述のような補強部材11を設けることに
より、電極の機械的強度を向上することができ、磁性体
3の位置のずれを防ぐことができる。これにより、高い
遮断性能と耐久性を持った真空バルブを提供することが
できる。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、コイル電極が無い場合
は通電軸と接触子を接続する通電ピンの周辺に磁性体を
設け、コイルがある場合はコイルと接触子を接続する通
電ピンの周辺に磁性体が設けられており、通電ピンの周
囲の通電軸の中心軸を基準とした周方向の一定方向には
磁性体が存在せず、磁性体を通電軸の中心軸に垂直な平
面(前記接触子の接触面に平行な平面)に投影したと
き、通電軸の中心軸を中心とし通電ピンの中心を通る円
より外側の領域で、対向する通電軸端部の磁性体が重な
らないように構成とすることで、接触子間に発生する磁
界は通電軸の中心軸を基準とした周方向のバラツキが小
さくなり、接触子間に発生したアークは安定し、接触子
全面を有効に用いることができる。これにより遮断性能
を向上した真空バルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空バルブの第1の実施形態を説明す
るための分解斜視図。
【図2】本発明の第1の真空バルブの実施形態を説明す
るためのもので、図1のごとき可動側電極、固定側電極
の通電ピン磁性体を軸方向より透視した図。
【図3】図2の通電ピンと磁性体の部分拡大図。
【図4】図2の実施形態を説明するための磁界分布図。
【図5】本発明の第2の真空バルブの実施形態を説明す
るためのもので、図11と同様に可動側電極、固定側電
極の通電ピン磁性体を軸方向より透視した図。
【図6】図4の真空バルブの実施形態を説明するための
磁界分布図。
【図7】本発明の第3の真空バルブの実施形態を説明す
るためのもので、図2と同様に可動側電極、固定側電極
の通電ピン磁性体を軸方向より透視した図。
【図8】図7の実施形態を説明するための磁界分布図。
【図9】本発明の第4の真空バルブの実施形態を説明す
るためのもので、通電ピン、磁性体を含む中心軸に垂直
な面での断面図。
【図10】図9の線A−O−Bに沿って切断した断面
図。
【図11】図9の可動側電極、固定側電極の通電ピン磁
性体を軸方向より透視した図。
【図12】本発明の第4の実施形態を説明するための磁
界分布図。
【図13】本発明の第4の実施形態を説明するための磁
界分布図。
【図14】本発明の第5の真空バルブの実施形態を説明
するためのもので、図2の第1の実施形態と同様に、可
動側電極、固定側電極の通電ピン、磁性体を軸方向より
透視した図。
【図15】本発明の第5の実施形態を説明するための磁
界分布図。
【図16】本発明の第6の真空バルブの実施形態を説明
するためのもので、図2と同様に可動側電極、固定側電
極の通電ピン、磁性体を軸方向より透視した図。
【図17】図16の実施形態を説明するための磁界分布
図。
【図18】本発明の第7の真空バルブの実施形態を説明
するためのもので、通電ピン、磁性体を中心軸方向より
見た図。
【図19】本発明の第8の真空バルブの実施形態を説明
するためのもので、図2と同様に接触子、電極板、通電
ピン、磁性体を軸方向より透視した図。
【図20】本発明の第9の真空バルブの実施形態を説明
するためのもので、通電軸の中心軸を含む面での断面
図。
【図21】本発明の第10の真空バルブの実施形態を説
明するためのもので、通電軸の中心軸を含む面での断面
図。
【図22】従来および本発明の真空バルブ全体の概略構
成を示す断面図。
【図23】従来の縦磁界電極の断面図。
【図24】従来の縦磁界電極の磁界分布を示す図。
【符号の説明】
1…通電軸 2…通電ピン 3…磁性体 4…接触子 5…電極板 6…接続子 7…縦磁界コイル 50…真空容器 51…絶縁容器 52a,52b…蓋体 53,54…通電軸 55,56…接触子 57,58…コイル電極 59…ベローズ 60,61,62…アークシールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 三孝 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 染井 宏通 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (56)参考文献 特開 平10−112246(JP,A) 特開 平9−17297(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 33/66

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けら
    れ、その内部を真空密にした真空容器と、 前記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向
    し、少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の
    通電軸と、 前記各通電軸の軸方向端面にほぼ円環状に配置され基端
    が前記通電軸に接合される複数の通電ピンと、 前記各通電ピンの先端であって前記通電軸毎に電気的に
    接続された接触子と、 前記通電軸と前記接触子の間であって、前記通電ピンの
    周囲に設けられた磁性体と、 を備え、前記通電ピンの周囲の前記通電軸の中心軸を基
    準とした周方向の一定方向には前記磁性体が存在せず、
    前記磁性体を前記通電軸の中心軸に垂直な平面(前記接
    触子の接触面に平行な平面)に投影したとき、前記通電
    軸の中心軸を中心とし前記通電ピンの中心を通る円より
    外側の領域で、対向する前記通電軸端部の磁性体が重な
    らないように配置されていることを特徴とする真空バル
    ブ。
  2. 【請求項2】 前記磁性体と前記通電ピンを、前記通電
    軸の中心軸に垂直な平面に投影したとき、前記通電軸を
    中心とし前記通電ピンの中心を結ぶ円と前記磁性体の通
    電ピンの側面側へ突出する部分の中心点と前記通電軸を
    結ぶ直線と、同一の電極に対して、前記通電ピンと周方
    向に隣り合う磁性体の突出部についての同様の直線が成
    す角度をθとしたとき、投影された対向する電極の磁性
    体の同様の直線と前記一方の磁性体の同様の直線との成
    す角が、θ/4〜3θ/4となるよう配置されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の真空バルブ。
  3. 【請求項3】 絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けら
    れ、その内部を真空密にした真空容器と、 前記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向
    し、少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の
    通電軸と、 前記各通電軸の軸方向端面にほぼ円環状に配置され基端
    が前記通電軸に接合される複数の通電ピンと、 前記各通電ピンの先端であって前記通電軸毎に電気的に
    接続された接触子と、前記通電軸と前記接触子の間であ
    って、前記通電ピンの周囲に設けられた磁性体と、 を備え、前記通電ピンの周囲の前記通電軸の中心軸を基
    準とした周方向の一定方向には磁性体が存在せず、一方
    の通電軸に取り付けられた前記通電ピンと前記磁性体の
    個数が、もう一方の通電軸に取り付けられた前記通電ピ
    ンと前記磁性体の個数と異なることを特徴とする真空バ
    ルブ。
  4. 【請求項4】 絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けら
    れ、その内部を真空密にした真空容器と、 前記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向
    し、少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の
    通電軸と、 前記各通電軸の軸方向端部に、それぞれ半径方向に伸び
    る放射状部材と、前記各放射状部材の半径方向外側の端
    部から円周方向に円弧状に伸びたコイル部からなるコイ
    ル電極と、 前記コイル電極のコイル部の端部と、接触子を接続する
    通電ピンと、 前記コイル電極と前記接触子の間であって、前記通電ピ
    ンの周辺に配置された磁性体と、 を備え、前記通電ピンの周囲の前記通電軸の中心軸を基
    準とした周方向の一定方向には磁性体が存在せず、前記
    磁性体を前記通電軸の中心軸に垂直な平面(前記接触子
    の接触面に平行な平面)に投影したとき、前記通電軸の
    中心軸を中心とし前記通電ピンの中心を通る円より外側
    の領域で、対向する通電軸端部の磁性体が重ならないよ
    うに配置されていることを特徴とする真空バルブ。
  5. 【請求項5】 前記磁性体と前記通電ピンを、前記通電
    軸の中心軸に垂直な平面に投影したとき、前記通電軸を
    中心とし前記通電ピンの中心を結ぶ円と前記磁性体の通
    電ピンの側面側へ突出する部分の中心点と前記通電軸を
    結ぶ直線と、同一の電極に対して、前記通電ピンと周方
    向に隣り合う磁性体の突出部についての同様の直線が成
    す角度をθとしたとき、投影された対向する電極の磁性
    体の同様の直線と前記一方の磁性体の同様の直線との成
    す角が、θ/4〜3θ/4となるよう配置されているこ
    とを特徴とする請求項4記載の真空バルブ。
  6. 【請求項6】 絶縁容器の両端部に蓋体が取り付けら
    れ、その内部を真空密にした真空容器と、 前記各蓋体を貫通し、前記真空容器内部に端部が対向
    し、少なくとも一方が進退自在に取り付けられた一対の
    通電軸と、 前記各通電軸の軸方向端部に、それぞれ半径方向に伸び
    る放射状部材と、前記各放射状部材の半径方向外側の端
    部から円周方向に円弧状に伸びたコイル部からなるコイ
    ル電極と、 前記コイル電極のコイル部の端部と、接触子を接続する
    通電ピンと、 前記コイル電極と前記接触子の間であって、前記通電ピ
    ンの周辺に配置された磁性体と、 を備え、前記一方の通電軸に取り付けられたコイル電極
    のコイル部、前記通電ピン、前記磁性体の個数と、前記
    他方の通電軸に取り付けられたコイル電極のコイル部、
    前記通電ピン、前記磁性体の個数が異なることを特徴と
    する真空バルブ。
  7. 【請求項7】 前記通電軸の中心軸を中心とし前記通電
    ピンの前記通電軸の中心軸側に接する円より内側で、前
    記磁性体が一体となっていることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の真空バルブ。
  8. 【請求項8】 前記接触子に放射状のスリットを持ち、
    前記通電ピンと前記接触子の間に電極板が取り付けられ
    ている場合は、前記接触子と前記電極板の少なくとも一
    方に放射状のスリットを持ち、該スリットと前記磁性体
    を前記通電軸の中心軸に垂直な平面(接触子の接触面に
    平行な平面)に投射したとき、前記通電軸の中心軸を中
    心とし前記通電ピンの中心を通る円より少なくとも外側
    で、前記スリットと前記磁性体が重なることを請求項1
    のいずれかに記載の真空バルブ。
  9. 【請求項9】 前記磁性体の中心部に軸方向に貫通した
    穴を持ち、前記磁性体の穴を通り、前記一端が前記通電
    軸端部に、もう一端が前記接触子に固定された補強部材
    を持ち、前記補強部材が前記磁性体の穴の内側の面と密
    着していることを特徴とする請求項1に記載の真空バル
    ブ。
  10. 【請求項10】 前記磁性体の軸方向厚さが、前記通電
    ピンの軸方向長さより小さく、前記磁性体の中心部に軸
    方向に貫通した穴を持ち、前記磁性体の穴を通り、一端
    が前記通電軸端部に、もう一端が前記接触子に固定され
    た補強部材を持ち、前記補強部材の前記磁性体と前記接
    触子に囲まれた部分が、前記磁性体の穴より大きいこと
    を特徴とする請求項1記載の真空バルブ。
JP06332398A 1998-03-13 1998-03-13 真空バルブ Expired - Fee Related JP3431487B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06332398A JP3431487B2 (ja) 1998-03-13 1998-03-13 真空バルブ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06332398A JP3431487B2 (ja) 1998-03-13 1998-03-13 真空バルブ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11260208A JPH11260208A (ja) 1999-09-24
JP3431487B2 true JP3431487B2 (ja) 2003-07-28

Family

ID=13225953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06332398A Expired - Fee Related JP3431487B2 (ja) 1998-03-13 1998-03-13 真空バルブ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3431487B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5648577B2 (ja) * 2011-05-17 2015-01-07 株式会社明電舎 真空インタラプタ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11260208A (ja) 1999-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3946179A (en) Vacuum interrupter
US7173208B2 (en) Vacuum interrupter
EP0329410B1 (en) Vacuum interrupter
US3469050A (en) Arc rotating coil structure in vacuum circuit interrupters
CA1118475A (en) Vacuum-type circuit interrupter with an improved contact with axial magnetic field coil
JPH0322007B2 (ja)
KR920006060B1 (ko) 진공스위치관
JP3431487B2 (ja) 真空バルブ
EP0052371A2 (en) Vacuum interrupter
EP0245513B1 (en) Vacuum interrupter
JP3431510B2 (ja) 真空バルブ
US3778573A (en) Vacuum circuit interrupter having improved contact structure
JP3568683B2 (ja) 真空バルブ
JPH09115398A (ja) 真空バルブ
JPH05334945A (ja) 開閉装置の電極構造
JPS6226895Y2 (ja)
JPS6313634Y2 (ja)
JPS5849975B2 (ja) 真空しや断器
JPH05325739A (ja) 開閉装置の電極構造
US20230178315A1 (en) Vacuum valve
JPH0112355Y2 (ja)
JPH10255605A (ja) 真空バルブ
JPS594519Y2 (ja) 真空しや断器
JPH11260207A (ja) 真空バルブ
JPH04155721A (ja) 真空バルブ

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees