JP3430490B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP3430490B2
JP3430490B2 JP01828392A JP1828392A JP3430490B2 JP 3430490 B2 JP3430490 B2 JP 3430490B2 JP 01828392 A JP01828392 A JP 01828392A JP 1828392 A JP1828392 A JP 1828392A JP 3430490 B2 JP3430490 B2 JP 3430490B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、演奏者が所定演奏期
間マニュアル演奏した後所定の自動演奏パターンに基づ
く楽音または効果音などの楽音を自動的に発生させるよ
うにした電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にライブなどにおいて、バトル(b
attle)と呼ばれる演奏方法がある。これは複数の
演奏者が即興的なフレ−ズを交互に演奏しあうものであ
る。
【0003】一方、電子楽器においては、通常演奏者が
自分の演奏を一方的に行うのみであり、そのマニュアル
演奏に対する応答として所定の演奏音を自動的に発生さ
せるようにする機能は全くなく、このため演奏者一人で
上記バトルのような演奏をすることはできなかった。
【0004】また、バトル演奏に限らず、演奏者がまず
イントロなどをマニュアル演奏し、所定演奏期間(例え
ば1小節)経過後に所定の自動演奏パターンに従って自
動演奏を開始させてマニュアル演奏と自動演奏とによる
アンサンブル演奏を行いたい場合もあるが、このような
とき、自動演奏の開始を演奏者がマニュアル演奏の途中
でスイッチ操作により指示するのは操作性の面で問題が
ある。かと言って、マニュアル演奏開始から所定時間を
タイマによって計測して所定時間経過後に自動的に自動
演奏をスタートさせる方法では、マニュアル演奏を演奏
者の好きなテンポで演奏できず、小節の途中などで自動
演奏がスタートしてしまうなどの問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、演
奏者の演奏入力にダイナミックに応答してバトル演奏を
行なうことのできる電子楽器を提供することにある。
【0006】また、この発明の目的は、演奏者がまずマ
ニュアル演奏し、所定演奏期間(例えば1小節)経過後
に自動演奏を自動的に開始させたい場合(自動演奏に限
らず、拍手などの効果音を自動的に発生させたい場合な
ど)において、演奏者の演奏テンポにかかわらず、常に
所定演奏期間分のマニュアル演奏が行われたタイミング
で自動楽音発生機能を動作させるることができるように
した電子楽器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、この発明に係る電子楽器は、演奏者が演奏操作する
ための演奏入力操作子と、前記演奏入力操作子への演奏
入力を検出する検出手段と、前記演奏入力を検出したと
き、その時点から所定時間を計測する計時手段と、前記
計時手段により最初の演奏入力が検出されてから所定時
間経過したことを検出した後に、所定時間の間、所定の
自動演奏パターンに従って自動演奏する自動演奏手段と
を備えたことを特徴とする。
【0008】また、演奏者が演奏操作するための演奏入
力操作子と、前記演奏入力操作子への演奏入力を検出す
る検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて演奏音
を発生させる楽音発生手段と、所定の自動演奏パターン
に従って自動演奏する自動演奏手段と、楽音を発生せず
に待機する第1のモードと、前記検出手段により演奏入
力を検出して前記楽音発生手段により演奏音を発生させ
る第2のモードと、前記自動演奏手段により自動演奏を
行なう第3のモードとに、電子楽器の動作モードを制御
する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1のモ
ードの状態で前記検出手段により最初の演奏入力が検出
された時点で前記第2のモードに切り換えるとともに、
第2のモードが所定時間経過した後に前記第3のモード
に切り換えて所定時間の間所定の自動演奏パターンに従
って自動演奏を行ない、かつ第3のモードが所定時間経
過した後に再び第1のモードに切り換えるよう制御する
ことを特徴とする。
【0009】自動演奏パターンは、検出手段による最初
の演奏入力の検出から所定時間内の演奏者の演奏入力の
状態に応じて決定するとよい。また、演奏者の演奏入力
をパターンとして記録手段に記録しておき、自動演奏の
ときにこのパターンで演奏するようにしてもよい。さら
に記録したパターンを所定の変形操作により変形させ
て、この変形させたパターンで自動演奏するようにして
もよい。
【0010】さらにこの発明は、演奏者が演奏操作する
ための演奏入力操作子と、前記演奏入力操作子への演奏
入力を検出する検出手段と、前記検出手段により最初の
演奏入力が検出されてから次の演奏入力を検出するまで
の時間を計測する計測手段と、前記計測結果に応じて、
演奏者による演奏入力の音符長およびテンポを推測する
推測手段と、前記検出手段により最初の演奏入力が検出
されてから前記推測結果である音符長およびテンポに基
づいて算出された所定時間の後に、所定の楽音を発生さ
せる楽音発生手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】最初の演奏入力が検出されてから所定時間経過
後に、所定時間の間、所定の自動演奏パターンを演奏す
るようにしているので、演奏者の演奏に引き続いて、そ
れに応答する自動演奏が実行される。
【0012】また、演奏者による最初の演奏入力が検出
されてから次の演奏入力が検出されるまでの実際に計測
した時間に基づきマニュアル演奏の音符長およびテンポ
を推測し、この推測結果に対応して所定時間を算出する
ようにしているので、演奏者による演奏入力(演奏テン
ポ)状態にあわせて所定時間が可変されることになり、
常に所定演奏期間分のマニュアル演奏が終了した後に自
動演奏音などの楽音の発生を自動的に開始させることが
できるようになる。
【0013】
【実施例】以下、図面を用いてこの発明の実施例を説明
する。
【0014】図1は、この発明の一実施例に係る電子楽
器のブロック構成を示す。この電子楽器は、パッド装置
1、検出回路3、パネルスイッチ4、パネルスイッチイ
ンターフェース5、ランダムアクセスメモリ(RAM)
6、リードオンリメモリ(ROM)7、中央処理装置
(CPU)8、タイマ9、音源回路10、ディジタル/
アナログ(D/A)変換器11、およびサウンドシステ
ム12を備えている。検出回路3、パネルスイッチイン
ターフェース5、RAM6、ROM7、CPU8、タイ
マ9および音源回路10は、バスライン13により相互
に接続されている。
【0015】パッド装置1は複数のパッド2を備えてい
る。各パッドには打楽器音(例えば、スネアドラムやシ
ンバルなど)がそれぞれ割当てられている。いずれかの
パッドが押打(オン)されたとき、検出回路3はパッド
2のうちのどのパッドがオンされたかのパッド種類およ
び押打の強さを検出し、それらを示すノートナンバおよ
びベロシティとして出力する。
【0016】パネルスイッチ4はパッドへの打楽器音の
割当てその他の操作を行なう複数のスイッチである。パ
ネルスイッチ4が操作されると、その操作結果がインタ
ーフェース5およびバスライン13を介してCPU8に
入力し、CPU8でその操作に応じた制御が実行され
る。CPU8はこの電子楽器の全体の制御を行なう。特
にCPU8は、バトル演奏処理、すなわち演奏者の演奏
(パッド2のオン)を検出し所定時間の後に所定のパタ
ーンで自動演奏を行なうように音源回路10に指示する
処理を行なう。
【0017】RAM6には、各種のレジスタやフラグと
ともにユーザプレイ記憶エリアが割当てられている。こ
の実施例の電子楽器は、ユーザの演奏(ユーザプレイ)
のパターンを記憶して、その後そのパターンで応答する
バトル演奏を行なうことができる。ユーザプレイ記憶エ
リアは、そのようなユーザプレイのパターンを記憶する
領域である。ROM7は、CPU8が実行するプログラ
ムやバトル演奏の応答パターンなどが格納されている。
タイマ9はタイマ割込用に用いるタイマであり、CPU
8から指示された時間間隔で割込信号を発生する。
【0018】音源回路10は、CPU8からの指示に基
づき楽音信号(ディジタルデータ)を生成してD/A変
換器11に出力する。この楽音信号はD/A変換器11
でアナログ信号に変換されサウンドシステム12に入力
する。これにより楽音が発音される。
【0019】次に、この実施例の電子楽器の動作の概要
を説明する。図2は、この電子楽器の動作説明のための
概念図である。この電子楽器は、電源のオンにより第1
のモードである待機状態となる。第1番目にパッドがオ
ンされるとその時点から第2のモードであるユーザプレ
イ(演奏者による演奏入力)を受付ける状態となる。こ
の状態のとき電子楽器は、ユーザプレイのパッドのオン
に応じて打楽器音を発音する。所定時間のユーザプレイ
の後第3のモードであるマシンプレイの状態となり、ユ
ーザプレイへの応答としてのマシンプレイ(電子楽器に
よる自動的なバトル演奏)が実行される。
【0020】ユーザプレイとマシンプレイは、それぞれ
1小節ずつ行なわれる。ユーザプレイの時間区間の長さ
およびマシンプレイのテンポは、ユーザプレイの第1番
目のパッドオンから第2番目のパッドオンまでの時間t
を計測し、この時間tの値に基づいて決定される。この
電子楽器では、以下のようにしている。なお、ここでは
4/4拍子としている。
【0021】t<80msecまたは1000mse
c≦tのときは、1分間に4分音符の打拍数が120回
のテンポであるとみなす。また、この時間tの区間を4
分音符とみなす。このとき1小節の長さは2秒であるか
ら、第1番目のパッドオンから2秒後にマシンプレイに
入る。 330msec≦t<1000msecのときは、こ
の時間tの区間を4分音符とみなす。このとき1小節の
長さは時間tの4倍であるから、第1番目のパッドオン
から時間tの4倍の時間ののちマシンプレイに入る。絶
対的なテンポでは1分間に4分音符の打拍数が60〜1
80回のテンポである。
【0022】160msec≦t<330msecの
ときは、この時間tの区間を8分音符とみなす。このと
き1小節の長さは時間tの8倍であるから、第1番目の
パッドオンから時間tの8倍の時間ののちマシンプレイ
に入る。絶対的なテンポでは1分間に4分音符の打拍数
が90〜188回のテンポである。 80msec≦t<160msecのときは、この時
間tの区間を16分音符とみなす。このとき1小節の長
さは時間tの16倍であるから、第1番目のパッドオン
から時間tの16倍の時間ののちマシンプレイに入る。
絶対的なテンポでは1分間に4分音符の打拍数が94〜
188回のテンポである。
【0023】以上のようにして、ユーザプレイ時間区間
の長さとテンポが決定されると、その後、同じ1小節分
の長さでマシンプレイが実行される。このときマシンプ
レイの自動演奏パターンは以下のように決定される。
【0024】まず、ユーザプレイ中のパッドオンの回数
により以下のようにユーザプレイを評価する。なお、U
Pはユーザプレイの評価結果を示すユーザプレイ評価値
を示す。 7打以下 …UP=0 8〜11打…UP=1 12打以上…UP=2
【0025】さらに、乱数を発生させて0〜7の値を得
る。Rはこの乱数の値を示す。そして、乱数Rとユーザ
プレイ評価値UPに基づいてマシンプレイのパターンを
決定する。以下に示す表1は、乱数Rとユーザプレイ評
価値UPに基づいて決定されるパターンを示す。PT1
は第1のパターン、PT2は第2のパターン、…、PT
21は第21のパターンを、それぞれ示す。これらのパ
ターンに関するパターンデータはROM7に格納されて
いる。ここでは説明の便宜のため、パターンとパターン
データの両方をPT1〜PT21で表すものとする。
【0026】
【表1】
【0027】表1から分かるように、乱数R=0〜6の
ときは、あらかじめ記録されている21種類のパターン
PT1〜PT21のうちから決定された1つのパターン
で、マシンプレイの自動演奏を実行する。乱数R=7の
ときは、ユーザプレイ(ユーザプレイで行なわれた演奏
者の演奏はRAM6に記録される)と同じパターンで、
あるいは所定の変形を施して、マシンプレイの自動演奏
を実行する。1小節のマシンプレイが終了したら、再び
待機状態となる。
【0028】図3(a)は、ROM7に格納されている
21種類のパターンデータのデータフォーマットを示
す。先頭には各パターンデータPT1〜PT21の記憶
アドレスAD1〜AD21が格納され、このアドレス部
に引き続いて21種類のパターンデータPT1〜PT2
1が格納されている。各パターンデータPT1〜PT2
1は、タイミングデータ、ノートナンバおよびベロシテ
ィデータの3つのデータの組が複数並べられて構成され
ている。
【0029】タイミングデータ、ノートナンバおよびベ
ロシティデータにより、1つの打楽器音が特定される。
タイミングデータは打楽器音を発音するタイミングを示
す。ノートナンバは打楽器音の種類を特定する。ベロシ
ティデータは音量や音色などの楽音制御量を示す。
【0030】図3(b)は、ユーザプレイにおける演奏
者の演奏を記録するユーザプレイ記憶領域のフォーマッ
トを示す。ユーザプレイ記憶領域は、RAM6に割り当
てられている。記録のフォーマットはROM7に格納さ
れている上記のパターンデータと同様である。すなわ
ち、演奏者がパッドをオンしたときのタイミングデー
タ、ノートナンバおよびベロシティデータを順次記録す
る。ユーザプレイ記憶領域は、オーバフローしない程度
に大きく確保しておくものとする。
【0031】次に、この実施例の電子楽器で用いている
レジスタおよびフラグなどを説明する。 (a)MAXTIME:ユーザプレイにおいてベロシテ
ィが最大となるパッドオンが2回以上あったことを検出
するための回数レジスタである。 (b)STATE:電子楽器の状態を示す状態レジスタ
である。「0」で待機状態、「1」でユーザプレイの状
態、「2」でマシンプレイの状態であることを示す。 (c)T:第1番目のパッドオンから第2番目のパッド
オンまでの時間を計測するためのタイムカウンタであ
る。
【0032】(d)TIME:ユーザプレイにおける押
打回数(パッドオンの回数)を格納する押打回数レジス
タである。 (e)CLOCK:小節内のタイミングを表すクロック
レジスタである。この電子楽器では、1小節を96の等
時間区間に分割した各タイミングの位置を「0」から
「95」で表している。 (f)TIMING:イベントの発生タイミングをセッ
トするタイミングレジスタである。
【0033】(g)R:発生した乱数をセットする乱数
レジスタである。 (h)UP:ユーザプレイの評価結果を示すユーザプレ
イ評価値をセットするユーザプレイ評価値レジスタであ
る。
【0034】なお、上記の記号はレジスタそのものを示
すとともに、そのレジスタに記憶されたデータをも示す
ものとする。例えばUPというときは、ユーザプレイ評
価値レジスタを表すとともに、そのレジスタに記憶され
たデータであるユーザプレイ評価値をも表すものとす
る。
【0035】次に、図4から図7のフローチャートを参
照して、この電子楽器の動作を詳しく説明する。
【0036】図4は、この電子楽器のメインルーチンを
示す。まず、電子楽器の動作がスタートすると、ステッ
プS1で各レジスタの初期化などのイニシャライズを行
なう。特に、タイムカウンタT、押打回数TIME、回
数レジスタMAXTIMEおよび状態レジスタSTAT
Eは、ともに「0」とする。次に、ステップS2でパッ
ド処理(図6)をコールし、ステップS3でパネルスイ
ッチ4などに関するその他の処理を行なった後、ステッ
プS2に戻る。そして、ステップS2からの処理を繰返
す。
【0037】図5は、この電子楽器の第1の割込処理ル
ーチンを示す。この電子楽器は第1の割込処理ルーチン
と第2の割込処理ルーチンの2種のタイマ割込処理ルー
チンを有する。第1の割込処理ルーチンは10msec
ごとに実行される。第2の割込処理ルーチンは、1小節
の時間区間を96個の時間に分割した各タイミングで実
行される。第2の割込処理ルーチンについては後に図7
を参照して詳細に説明する。
【0038】図5の第1の割込処理ルーチンにおいて
は、まずステップS11で押打回数TIMEが「1」で
あるか否かを判別する。押打回数TIMEが「1」のと
きは、ステップS12でタイムカウンタTを「1」カウ
ントアップしてリターンする。ステップS11で押打回
数TIMEが「1」でないときは、そのままリターンす
る。これにより、第1番目のパッドオンから第2番目の
パッドオンまでの時間を計測している。
【0039】図6は、図4のステップS2のパッド処理
ルーチンを示す。パッド処理ルーチンではまず、ステッ
プS21で検出回路3の出力に基づきパッドのオンがあ
るか否か判別する。パッドのオンがないときは、そのま
まリターンしパッド処理は行なわない。ステップS21
でパッドのオンがあるときは、ステップS22でオンさ
れたパッドのノートナンバおよびベロシティを取込み、
ステップS23でそのノートナンバおよびベロシティと
ノートオン信号を音源回路10へ出力する。これによ
り、演奏者のパッドの押打に応じた打楽器音が発生され
る。
【0040】次に、ステップS24でこのパッドオンに
おけるベロシティが「127」であるか否か判別する。
「127」はベロシティの最大値である。この実施例の
電子楽器では、ベロシティが最大値をとるような演奏が
2回なされたとき、演奏が盛り上がっているものと判定
し、拍手などを挿入するようにしている。そのような処
理を行なうため、ステップS24でベロシティが最大値
かどうかを判別し、最大値のときはステップS25に分
岐する。最大値でないときはステップS29に進む。
【0041】ステップS25で回数レジスタMAXTI
MEが「1」かどうか判別する。回数レジスタMAXT
IMEが「1」でないときは、ステップS26で回数レ
ジスタMAXTIMEに「1」をセットして、ステップ
S29に進む。ステップS25で回数レジスタMAXT
IMEが「1」のときは、ベロシティの最大値を2回検
出したと言うことであるから、ステップS27で音源1
0に拍手などの所定の音を発音指示し、ステップS28
で回数レジスタMAXTIMEを「0」に初期化してス
テップS29へ進む。
【0042】ステップS29では状態レジスタSTAT
Eの値をチェックする。「0」のときは(待機状態から
パッドがオンされたとき)ステップS30に、「1」の
ときは(ユーザプレイ状態でパッドがオンされたとき)
ステップS33に、それぞれ進む。「2」のときはその
ままリターンする。
【0043】まず、待機状態から第1番目のパッドオン
があったときは、ステップS30でタイムカウンタTに
初期値「0」をセットし、押打回数レジスタTIMEに
「1」をセットする。次に、ステップS31でタイミン
グ、ノートナンバおよびベロシティをRAM6に図3
(b)に示したフォーマットで書込む。このとき書込む
タイミングデータは、小節の先頭における第1番目のパ
ッドオンのタイミングであるから「0」である。そし
て、ステップS32で状態レジスタSTATEにユーザ
プレイを示す「1」をセットするとともに、標準のテン
ポに従って第2の割込処理ルーチンが実行される時間間
隔である第2の割込時間を設定してリターンする。第2
の割込時間とは、図7の第2の割込処理ルーチンを実行
するタイマ割込の時間間隔である。第2の割込処理ルー
チンは、1小節の時間区間を96に等分割した各タイミ
ングで実行されるルーチンである。これについては、後
で詳細に説明する。この場合、標準のテンポとしては、
例えば1分間に4分音符の打拍数が120回のテンポで
あり、このテンポに対応する1小節の時間長さは2秒で
あるから、第2の割込時間間隔は2秒/96となるよう
にセットされる。
【0044】第1番目のパッドオンの後、第2番目のパ
ッドオンがあったときは、ステップS29からS33に
進む。ステップS33で押打回数TIMEが「1」であ
るか否か判別する。この時点では押打回数TIMEが
「1」であるから、ステップS34でその時のタイムカ
ウンタTの値からテンポを決定し、第2の割込時間を決
定し直す。
【0045】タイムカウンタTは図5の第1の割込処理
ルーチンにより押打回数TIMEが「1」となった時点
から順次カウントアップされており、ステップS34の
時点でのタイムカウンタTの値は第1番目のパッドオン
から第2番目のパッドオンまでの区間における10ms
ecごとのタイマ割込の発生回数を示している。したが
って、第1番目のパッドオンから第2番目のパッドオン
までの時間は(10×T)msecとなる。上述したよ
うに、この(10×T)msecの値に応じて1小節の
時間長さが定められる。したがって、第2の割込処理ル
ーチンが実行される時間間隔である第2の割込時間は
(1小節の時間長さ)/96で算出される。ステップS
34ではこのように第2の割込時間を決定し直してこの
間隔で第2の割込処理ルーチンが実行されるように設定
し直す。
【0046】次に、ステップS35でクロックCLOC
Kを設定する。上述したようにこの電子楽器では、第1
番目のパッドオンから第2番目のパッドオンまでの時間
すなわちタイムカウントTの値に基づいて、その区間が
4分音符、8分音符または16分音符であるとみなして
いる。クロックCLOCKは、1小節を96に分割した
尺度で1小節内のタイミングを表すから、第1番目のパ
ッドオンから第2番目のパッドオンまでの区間が4分音
符のときはCLOCK=24、8分音符のときはCLO
CK=12、16分音符のときはCLOCK=6とそれ
ぞれ設定されることとなる。
【0047】次に、ステップS36で押打回数TIME
を「1」カウントアップし、ステップS37でこの第2
番目のパッドオンについてタイミング(CLOCK)、
ノートナンバおよびベロシティをRAM6に図3(b)
に示したように書込む。その後、リターンする。
【0048】次に、第3番目、第4番目、…のパッドオ
ンがあったときはステップS29からS33に進み、こ
こで押打回数TIMEが「1」でないからステップS3
6に進む。そして、ステップS36に押打回数TIME
を「1」カウントアップし、ステップS37でRAM6
への書込みを行なってリターンする。
【0049】さらに、時間が進みユーザプレイの1小節
分の時間に至ると、後述する図7の第2の割込処理ルー
チンで状態STATEが「2」(マシンプレイ)にされ
る。このときパッド処理ルーチンではステップS29か
らそのままリターンする。
【0050】図7は、第2の割込処理ルーチンを示す。
第2の割込処理ルーチンは、上述したように1小節の時
間区間を96個の時間に分割した各タイミングで実行さ
れる。
【0051】第2の割込処理ルーチンでは、まずステッ
プS41で状態STATEが「2」であるか、すなわち
マシンプレイ状態であるか否かを判別する。マシンプレ
イでないときは、ステップS42で状態STATEが
「1」であるか、すなわちユーザプレイ状態であるか否
かを判別する。ユーザプレイ状態でないときはそのまま
リターンする。ユーザプレイのとき(このときは既にユ
ーザプレイの第2のパッドオンの後となっている)は、
ステップS52に進む。
【0052】ステップS52でクロックCLOCKが
「95」か否か、すなわちユーザプレイの1小節の終り
に至ったかどうかを判別する。クロックCLOCKが
「95」でないときは、ステップS53でクロックCL
OCKを「1」カウントアップし、リターンする。ユー
ザプレイの間は以上のような手順でクロックCLOCK
がカウントアップされていく。
【0053】次に、ユーザプレイの1小節が終りのタイ
ミングになったときは、ステップS52からステップS
54に進む。ステップS54でクロックCLOCKを
「0」に初期化し、ステップS55で状態STATEが
「1」かどうか判別する。この時点ではユーザプレイの
状態であり状態STATEは「1」であるから、ステッ
プS55からステップS56に進み、状態STATEを
「2」としてマシンプレイ状態とする。
【0054】次に、ステップS57で乱数Rを発生し、
ステップS58で前述したように押打回数TIMEから
ユーザプレイ評価値UPを決定する。そして、ステップ
S59で乱数Rが「7」であるか否か判別する。乱数R
が「7」のときは、ユーザプレイと同じパターンあるい
は所定の変形を施してマシンプレイの自動演奏を実行す
るために、RAM6に記録されたユーザプレイの演奏パ
ターンの先頭にポインタをセットしタイミングデータを
読出してタイミングレジスタTIMINGにセットし、
リターンする。ステップS59で乱数Rが「7」でない
ときは、ステップS61で前述の表1にしたがって乱数
Rとユーザプレイ評価値UPとから再生すべきパターン
を決定し、ステップS62でROM7のパターンデータ
のうち決定されたパターンの先頭にポインタをセットし
タイミングデータを読出してタイミングレジスタTIM
INGにセットし、リターンする。
【0055】次に、この第2の割込処理ルーチンが起動
されたときは、まずステップS41で状態STATEは
マシンプレイを示す「2」になっているから、ステップ
S43に進む。ステップS43でクロックCLOCKが
イベントの発生タイミングTIMINGに等しいかどう
か判別する。等しくないときは、打楽器音の発音の必要
がないから、ステップS52に分岐する。クロックCL
OCKがイベントの発生タイミングTIMINGに等し
いときは、ステップS44でそのタイミングデータに引
続くノートナンバおよびベロシティをRAM6またはR
OM7から読出す。
【0056】次に、ステップS45で乱数Rが「7」か
つユーザプレイ評価値UPが「1」か否か判別する。判
別結果が真のときは、ステップS46でノートナンバお
よびベロシティに所定の変形を施してステップS47に
進む。ステップS45の判別結果が偽のときは、そのま
まステップS47に進む。ステップS46の変形は前述
の表1の録音変形1に相当する。録音変形1は、例えば
ノートナンバやベロシティに乱数を掛けたり変換テーブ
ルを用いて変換する処理である。
【0057】次に、ステップS47でノートナンバ、ベ
ロシティおよびノートオン信号を音源回路10に出力す
る。これにより音源回路10は指示されたノートナンバ
およびベロシティに対応した打楽器音を発音する。
【0058】次に、ステップS48で次のタイミングデ
ータをRAM6またはROM7から読出す。そして、ス
テップS49で乱数Rが「7」かつユーザプレイ評価値
UPが「2」か否か判別する。判別結果が真のときは、
ステップS50でタイミングデータに所定の変形を施し
てステップS51に進む。ステップS49の判別結果が
偽のときは、そのままステップS51に進む。ステップ
S50の変形は前述の表1の録音変形2に相当する。録
音変形2は、例えばタイミングデータに乱数を掛けたり
所定の拍タイミングに丸め込むなどの処理である。な
お、ここでは変形後のタイミングデータはクロックCL
OCKを越えないようにしている。次に、ステップS5
1でタイミングデータをレジスタTIMINGにセット
して、ステップS52に進む。
【0059】ステップS52でクロックCLOCKが
「95」か否かすなわちマシンプレイの1小節の終りに
至ったかどうかを判別する。クロックCLOCKが「9
5」でないときは、ステップS53でクロックCLOC
Kを「1」カウントアップし、リターンする。マシンプ
レイの間は以上のようにして、発音すべきタイミングに
至ったときその発音処理を行ない(ステップS41→S
43→S44ないしS51)、そしてクロックCLOC
Kをカウントアップしていく(ステップS53)。
【0060】次に、マシンプレイの1小節の終りに至っ
たときは、ステップS52からステップS54に進む。
ステップS54でクロックCLOCKを「0」に初期化
し、ステップS55で状態STATEが「1」かどうか
判別する。この時点ではマシンプレイの状態であり状態
STATEは「2」であるから、ステップS55からス
テップS63に進み、状態STATEを「0」として待
機状態に戻し、リターンする。
【0061】上記実施例によれば、演奏者と電子楽器と
の間でバトル演奏を実現することができる。また、演奏
者の入力状態に応じて電子楽器側の反応(演奏パタ−
ン)が異なるので、変化に富んだバトル演奏が可能であ
る。また、演奏者の入力した演奏パタ−ンを自動演奏で
繰返すので、自分の演奏を客観的に判断することがで
き、演奏の練習にもなる。また所定の変形をさせた場合
は自分の演奏と気づかれずに自動演奏パタ−ンを増やす
ことができる。さらに、演奏者の入力から電子楽器のテ
ンポを決定するので、演奏者の意識にあったバトルが可
能である。
【0062】なお、上記実施例ではユーザプレイおよび
マシンプレイの区間をそれぞれ1小節長としたが、これ
に限らず、2小節以上の長さにしてもよいし小節の途中
までとしてもよい。また、ユーザプレイとマシンプレイ
の長さを異ならせてもよい。
【0063】また、打楽器型の電子楽器に本発明を適用
しているが、これに限らず、鍵盤楽器などに適用するこ
ともできる。さらに、マシンプレイとして自動演奏する
パターンはリズムパターンに限らず、どのようなもので
もよい。1小節の長さやテンポの決定の方式も上記に限
ることはない。また、ユーザプレイに対するマシンプレ
イのパターンの決定の方式も上記に限ることはない。
【0064】さらにまた、実施例では、マシンプレイは
1小節分だけ行なうようにしたが、マシンプレイとして
1曲分を最後まで演奏させるようにしてもよい。また、
マシンプレイと同時にユーザプレイも行なってアンサン
ブル演奏を行なうようにしてもよい。なお、上記実施例
においては、マシンプレイ中であってもパッドが押打さ
れれば、それに対応して打楽器音が発生されるようにな
っているので(図6のパッド処理のS21〜S23参
照)、上述したアンサンブル演奏が可能である。また、
マシンプレイとしては、所定の自動演奏パターンによる
自動演奏に限らず、拍手などの効果音を発生させるよう
にしてもよいものである。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、演奏者の最初の演奏入力が検出されてから所定時間
経過後に所定時間の間所定の自動演奏パターンを演奏す
るようにしているので、演奏者と電子楽器との間でバト
ル演奏を実現することができる。また、演奏者の入力状
態に応じて電子楽器側の反応(演奏パタ−ン)を異なる
ようにすれば、変化に富んだバトル演奏が可能である。
【0066】また、この発明によれば、演奏者による実
際の演奏入力の状態からマニュアル演奏の音符長および
テンポを推測し、この推測結果に対応して所定時間を算
出し、この算出した所定時間の経過後に自動演奏音、効
果音などの楽音自動発生機能を実行させるようにしてい
るので、演奏者がまず所定演奏期間(例えば1小節)分
だけマニュアル演奏した時点で、自動楽音発生機能を自
動的に実行させる場合などにおいて、該所定演奏期間分
マニュアル演奏する時間が常に確保されることになり、
演奏者は任意のテンポで所定演奏期間分自由にマニュア
ル演奏できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る電子楽器のブロッ
ク構成図
【図2】 実施例の電子楽器の動作説明のための概念図
【図3】 パターンデータのデータフォーマット図
【図4】 実施例の電子楽器のメインルーチンのフロー
チャート
【図5】 第1の割込処理ルーチンのフローチャート
【図6】 パッド処理ルーチンのフローチャート
【図7】 第2の割込処理ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1…パッド装置、2…パッド、3…検出回路、4…パ
ネルスイッチ、5…パネルスイッチインターフェース、
6…ランダムアクセスメモリ(RAM)、7…リードオ
ンリメモリ(ROM)、8…中央処理装置(CPU)、
9…タイマ、10…音源回路、11…ディジタル/アナ
ログ(D/A)変換器、12…サウンドシステム。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】演奏者が演奏操作するための演奏入力操作
    子と、 前記演奏入力操作子への演奏入力を検出する検出手段
    と、前記演奏入力を検出したとき、その時点から所定時間を
    計測する計時手段と、 前記計時手段により最初の演奏入力が検出されてから所
    定時間経過したことを検出した後に、所定時間の間、所
    定の自動演奏パターンに従って自動演奏する自動演奏手
    段とを備えたことを特徴とする電子楽器。
  2. 【請求項2】演奏者が演奏操作するための演奏入力操作
    子と、 前記演奏入力操作子への演奏入力を検出する検出手段
    と、 前記検出手段の検出結果に応じて演奏音を発生させる楽
    音発生手段と、 所定の自動演奏パターンに従って自動演奏する自動演奏
    手段と、 楽音を発生せずに待機する第1のモードと、前記検出手
    段により演奏入力を検出して前記楽音発生手段により演
    奏音を発生させる第2のモードと、前記自動演奏手段に
    より自動演奏を行なう第3のモードとに、電子楽器の動
    作モードを制御する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記第1のモードの状態で前記検出手
    段により最初の演奏入力が検出された時点で前記第2の
    モードに切り換えるとともに、第2のモードが所定時間
    経過した後に前記第3のモードに切り換えて所定時間の
    間所定の自動演奏パターンに従って自動演奏を行ない、
    かつ第3のモードが所定時間経過した後に再び第1のモ
    ードに切り換えるよう制御することを特徴とする電子楽
    器。
  3. 【請求項3】前記検出手段による最初の演奏入力の検出
    から所定時間内の演奏入力の状態に応じて前記自動演奏
    パターンが決定される請求項1または2に記載の電子楽
    器。
  4. 【請求項4】さらに前記検出手段による最初の演奏入力
    の検出から所定時間内の演奏者の演奏入力を前記自動演
    奏パターンとして記録する記録手段を備え、かつ前記自
    動演奏手段はこの記録されたパターンを自動演奏する請
    求項1または2に記載の電子楽器。
  5. 【請求項5】さらに前記記録手段に記録した自動演奏パ
    ターンを所定の変形操作により変形させる変形手段を備
    え、かつ前記自動演奏手段はこの変形させたパターンを
    自動演奏する請求項4に記載の電子楽器。
  6. 【請求項6】演奏者が演奏操作するための演奏入力操作
    子と、 前記演奏入力操作子への演奏入力を検出する検出手段
    と、 前記検出手段により最初の演奏入力が検出されてから次
    の演奏入力を検出するまでの時間を計測する計測手段
    と、 前記計測結果に応じて、演奏者による演奏入力の音符長
    およびテンポを推測する推測手段と、 前記検出手段により最初の演奏入力が検出されてから前
    記推測結果である音符長およびテンポに基づいて算出さ
    れた所定時間の後に、所定の楽音を発生させる楽音発生
    手段とを備えたことを特徴とする電子楽器。
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