JP4073597B2 - 電子打楽器装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばMIDI方式のカラオケ装置などに接続して使用する電子打楽器装置に関するもので、とくに自動演奏の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラオケ装置のあるお店などにはタンバリンやマラカス、カスタネット、ボンゴなどの手軽に演奏できる小さな打楽器が用意されていて、これらをカラオケ伴奏音楽に合わせて演奏して場を盛り上げることが広く一般に行われている。このような利用に合わせて、本発明者らは最近、MIDI方式の通信カラオケ装置に接続して使用する電子打楽器装置を開発した。
【0003】
この電子打楽器装置の基本機能は一般のものと同じで、演奏者による打撃操作を検出する打撃検出手段と、この打撃検出手段からの打撃信号に応動して適宜な打楽器の音響信号を発生する音響信号発生手段とを備えている。打撃検出手段は音響信号発生手段の異なる打楽器音に対応づけられる複数個の打撃パッドを有し、タンバリン、マラカス、カスタネット、ボンゴやドラムセットなどの打楽器音を発生する。
【0004】
MIDI方式のカラオケ装置からは、演奏中のカラオケ伴奏音楽のリズム信号(MIDIデータの1つである)が出力される。このリズム信号を電子打楽器装置に導入し、そのリズム信号に同期してタンバリン、マラカス、カスタネット、ボンゴやドラムセットなどの打楽器音による自動演奏を行うように構成してある。これにより、リズム音痴の人でもカラオケ伴奏音楽に正確に合った打楽器演奏をしている気分にひたれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、先に開発した電子打楽器装置では、カラオケ装置からのリズム信号が途絶えると自動演奏は停止する構成になっていた。おおぜいでカラオケを楽しんでいる現場では、誰かがアップテンポの楽曲を歌っておおいに盛り上がると、その歌を歌い終わったときに聞き手が喚声をあげて、その雰囲気を持続させるような状況を呈する。タンバリン、マラカス、カスタネット、ボンゴなどの打楽器を実際に手にしているときには、このような盛り上がった状況下では余韻を楽しむように打楽器を演奏するのが普通である。
【0006】
この発明の目的は、このような状況下で楽曲演奏後にも継続してそれまでの打楽器音の自動演奏を行うように構成し、カラオケの利用現場などでおおいに楽しむことができるようにした電子打楽器装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、この発明は、演奏者による打撃操作を検出する打撃検出手段と、この打撃検出手段からの打撃信号に応動して適宜な打楽器の音響信号を発生する音響信号発生手段とを備えた電子打楽器装置において、◎
外部の音楽演奏装置(カラオケ装置など)から与えられるリズム信号を受信するリズム受信手段と、この手段により受信したリズム信号の推移からその拍節構造を解析してリズム型を同定するリズム型解析手段と、複数種類のリズム型のそれぞれについて拍節的リズムの演奏パターンデータを記憶した演奏パターン記憶手段と、前記解析手段により同定されたリズム型に対応する演奏パターンデータに従って前記音響信号発生手段を駆動することで拍節的リズムの打楽器の音響信号を出力する自動演奏制御手段と、この自動演奏制御手段による自動演奏中に前記受信手段で受信する前記リズム信号が途絶えたときに直前の自動演奏状態を継続する自動演奏継続手段とを備えた電子打楽器装置とした。
【0008】
また好ましくは、前記打撃検出手段は前記音響信号発生手段の異なる打楽器音に対応づけられる複数個の打撃パッドを有し、前記自動演奏の実行を指令する操作入力と前記打撃パッドの継続押圧操作とによってその打撃パッドに割り当てられている打楽器音で自動演奏が行われるようにする。
【0009】
さらに好ましくは、前記自動演奏制御手段が稼働していない間も前記リズム受信手段および前記リズム型解析手段が稼働しており、前記リズム信号が途絶えてから一定時間内に前記自動演奏の実行指令の操作入力があった場合には、前記リズム信号が途絶える直前に検出されていたリズム型とテンポに従って自動演奏を行うようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】
===基本構成と基本動作===
この発明の一実施例に係る電子打楽器装置の外観図を図1に示し、そのブロック図を図2に示す。この電子打楽器装置1は、CPU11、ROM12、RAM13を含むマイコンの制御の下に各種の処理を実行するように構成されている。CPU11は、この電子打楽器装置1全体の動作を制御するものである。ROM12は、CPU11が実行する各種プログラムや演奏に関連する各種データを格納している。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するものである。これらマイコンの構成要素はそれぞれデータ・バス14を介して接続されている。
【0011】
CPU11にはデータ・バス14を介して打撃検出部15が接続されており、さらにこの打撃検出部15には4つの打撃パッド16a〜16dからなる打撃パッド群16が接続されている。同じくバス14に接続されるユーザ・インターフェース部17のモード選択ボタン17aにて演奏者が適宜なモード選択を行うと、打撃検出部15は演奏者による打撃操作の入力待ち状態(手動演奏モード)になる。この状態において、演奏者が例えば打撃パッド16aを打撃操作すると、打撃検出部15はこの打撃パッド16aに対応する打撃信号を発生する。また、CPU11がデータ・バス14を介してこの打撃信号を検知すると、CPU11は打撃パッド16aに対応する所定の演奏データをROM12から読み出すとともに、読み出された演奏データに従って音響信号発生部18を駆動することで打撃パッド16aに割り当てられた打楽器の音響信号を発生する。この音響信号は、カラオケ装置2のミキシングアンプに送られて音響出力される。なお、ユーザ・インターフェース部17のボリューム調整ボタン17bにより演奏者が打撃音のボリュームを自由に調節することができる。さらに、ユーザ・インターフェース部17のビートマーク表示部17cが演奏者の打撃操作に合わせて光るように構成されている。以上が手動演奏である。
【0012】
===自動演奏の実行===
電子打楽器装置1は、MIDI方式の通信カラオケ装置2から出力されるリズム信号に合わせた自動演奏が可能である。そのために電子打楽器装置1は、そのリズム信号を受信するためのリズム信号受信部19を備えており、このリズム信号受信部19はデータ・バス14を介してCPU11に接続されている。この自動演奏のためにCPU11が行う処理を、図3に示したフローチャートに従って説明する。
【0013】
CPU11は、まずリズム信号受信部19において外部からリズム信号が入力されているかどうかを調べる(31)。カラオケ装置2はMIDIデータ化されたカラオケ伴奏音楽を演奏するとともに、そのMIDI楽曲データに適宜割り当てるメタイベント信号を前記リズム信号として出力する。
このリズム信号が入力されているならば、CPU11はそのリズム信号を時系列データ化する(32)。具体的には、このリズム信号に含まれる「強」「中強」「弱」などの組み合わせをこれらが検出された順にその検出時間とともにRAM13に記録していく。この強弱の識別は、例えば前記リズム信号の経時変化を監視することによって行う。
【0014】
つぎにRAM13に記録された時系列データから拍節構造を抽出する(33)。具体的には、「強」「中強」「弱」などの配列順およびこれらの検出の時間間隔Δt(テンポ)の遷移により繰り返しの最小単位を抽出することで拍節構造が特定される。拍節構造とは、アクセントの周期的反復によって時間的な流れを区切るものであり、その最小単位は1小節である。
つぎにこの拍節構造からリズム型を同定する(34)。具体的には、CPU11は所定のプログラムを実行して、対象となる拍節構造に最も近いリズム型をROM12内に用意された複数のリズム型の中から1つ選ぶ。このリズム型により拍節的リズムが一義的に定義される。
【0015】
なお、演奏者によって自動演奏の実行指令の操作入力がされる前であっても、CPU11は32〜34の処理を繰り返して実行する。これによりRAM13内には常に最新のリズム信号に対応するリズム型とテンポが格納されることになる。
【0016】
演奏者によって自動演奏の実行指令の操作入力があると、CPU11はROM12内に格納されている複数の演奏パターンデータの中から、ステップ34で同定されたリズム型に対応する演奏パターンデータをリズム信号に同期して読み出す(35)。演奏パターンデータは、複数種類のリズム型のそれぞれについて用意されている。またこの実施例では、図4に示すように、1つのリズム型につき4つの演奏パターンデータを用意して、それぞれの演奏パターンデータを4つの打撃パッド16a〜16dのいずれかに対応づけるようにした。例えば、リズム型として「リズム型2」が同定された状態にて演奏者が打撃パッド16cを打撃操作すると「2−c」の演奏パターンデータがリズム信号に同期して読み出される。なお、このときリズム信号が入力されていなければ、RAM13に記録された直前のリズム信号のテンポにて所定の演奏パターンデータが読み出される。
【0017】
これと同時にCPU11は読み出した演奏パターンデータに従って音響信号発生部18を駆動し、適宜な打楽器の音響信号を発生させる。この音響信号は、カラオケ装置2のミキシングアンプに送られて音響出力される。読み出した演奏パターンデータが前述した「2−c」の場合には、「リズム型2」で特定される拍節的リズムでかつ現在(または直前)のリズム信号のテンポに従って「カウベル」の演奏が開始される。なお、この自動演奏においても前述した手動演奏と同じようにボリューム調節ボタン17bにて演奏者が打楽器音のボリュームを自由に調節することができ、ビートマーク表示部17cが自動演奏のテンポに合わせて光るようになっている。
【0018】
===演奏モードの切り替え===
この実施例では、手動演奏から自動演奏、自動演奏から手動演奏への切り替えがとても簡単に行える。すなわち、ユーザ・インターフェース部17にあるブレイクパッド17dと、4つの打撃パッド16a〜16dのうちいずれかの打撃パッドとを同時に継続押圧操作することによってその打撃パッドに割り当てられている打楽器音で自動演奏が開始される(自動演奏モード)。ブレイクパッド17dまたは打撃パッドの継続押圧操作をやめると自動演奏が終了し、手動演奏モードになる。これにより、手動→自動→手動→自動といったような連続切り替えもスムーズに行えるため、各種楽曲や周りの雰囲気に合わせたメリハリのあるリズム演奏が可能である。
【0019】
===自動演奏の継続処理===
電子打楽器装置1は、自動演奏中にリズム信号受信部19で受信中のリズム信号が途絶えても、直前の演奏状態を継続して自動演奏することができる。具体的には、図3のフローチャートに示すように、ステップ31で外部からのリズム信号が入力されていないと判断されたとき、32〜34の処理を省略して、ステップ35の処理を行う。RAM13に記録されたリズム型とテンポは、リズム信号が途絶える直前まで更新されているので、ステップ35の処理によって必然的にリズム信号が途絶える直前の演奏状態が継続されることになる。
【0020】
また、自動演奏されてない場合であっても、リズム信号が途絶えてから一定時間内に自動演奏の実行指令の操作入力があった場合には、前述と同じ手順にて自動演奏が開始される。これにより、例えばカラオケで誰かが歌い終わったときに聞き手が喚声をあげてその雰囲気を持続させるような状況下でも自動演奏を開始でき、その余韻を楽しめる。
【0021】
===その他===
前記リズム信号が、演奏開始を起点とするタイミング規定データ、および「強拍と弱拍のみ」の識別データとで構成される場合は、つぎのような簡単な構成で自動演奏が継続できる。すなわち、強拍信号を受信すると計時用のタイマーをスタートして次の信号を受信するまでの時間Δtを計時し、受信した信号が弱拍信号であれば計時結果Δtを1番目の枠に記録する。さらに計時をつづけて次も弱泊信号であればそのΔtを2番目の枠に記録する。これを強拍信号が受信されるまで繰り返す。そして強拍信号を受信した場合は、Δtを所定の枠に記録した後、その次の枠に0(リターンマーク)を記録して1番目の枠のΔtの計時に戻る。これを繰り返していればリズム信号が途絶えたときにその寸前の記録が残る。自動演奏は枠内に記録されたΔtにもとづくテンポにて実行される。
なお、前述の実施例においては音楽演奏装置をカラオケ装置としたがこれに限るものではない。
【0022】
【発明の効果】
この発明の電子打楽器装置は、その自動演奏において、外部の音楽演奏装置から与えられるリズム信号の推移からその拍節構造を解析してリズム型を同定し、その同定されたリズム型に対応する演奏パターンデータに従って音響信号を発生するので、刻々と変化する演奏状況下においても適切なリズムで自動演奏ができる。
【0023】
また、自動演奏中に音楽演奏装置からのリズム信号が途絶えたときにおいても自動演奏状態を継続させることができるので、例えば複数の楽曲を演奏する場合にその楽曲間において演奏が途絶えることがない。また直前の演奏状態がそのまま継続されるのでその場の雰囲気を損なうことがない。
【0024】
また、異なる打楽器音に対応づけられる複数個の打撃パッドを有しており、いずれかの打撃パッドを打撃操作することでその打撃パッドに割り当てられている打撃音が出力されるので、バラエティに富んだ打楽器演奏が可能である。しかも、いずれかの打撃パッドを継続押圧操作しながら自動演奏の実行を指令する操作入力をするだけで、その打撃パッドに割り当てられている打楽器音で自動演奏が開始されるので、手動演奏から自動演奏への切り替えがスムーズに行える。これにより、各種楽曲や周りの雰囲気に合わせたメリハリのあるリズム演奏が可能である。
【0025】
さらにまた、自動演奏が実行されていない間もリズム型とテンポが記憶されつづけているので、リズム信号が途絶えてから一定時間内に自動演奏の実行指令の操作入力があった場合には、前記リズム信号が途絶える直前に検出されていたリズム型とテンポに従って自動演奏を行う。これにより、例えばカラオケで誰かが歌い終わったときに聞き手が喚声をあげてその雰囲気を持続させるような状況下でも自動演奏を開始でき、その余韻を楽しめる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による一実施例の電子打楽器装置の外観図である。
【図2】同上の電子打楽器装置のブロック図である。
【図3】同上の電子打楽器装置の自動演奏に関するフローチャートである。
【図4】この発明による一実施例に関するリズム型と演奏パターンデータの関係を示した図である。
【符号の説明】
1 電子打楽器装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
18 音響信号発生部
19 リズム信号受信部
2 カラオケ装置
Claims (2)
- 演奏者による打撃操作を検出する打撃検出手段と、この打撃検出手段からの打撃信号に応動して適宜な打楽器の音響信号を発生する音響信号発生手段とを備えた電子打楽器装置において、
外部の音楽演奏装置から与えられるリズム信号を受信するリズム受信手段と、この手段により受信したリズム信号の推移からその拍節構造を解析してリズム型を同定するリズム型解析手段と、複数種類のリズム型のそれぞれについて拍節的リズムの演奏パターンデータを記憶した演奏パターン記憶手段と、前記解析手段により同定されたリズム型に対応する演奏パターンデータに従って前記音響信号発生手段を駆動することで拍節的リズムの打楽器の音響信号を出力する自動演奏制御手段と、この自動演奏制御手段による自動演奏中に前記受信手段で受信する前記リズム信号が途絶えたときに直前の自動演奏状態を継続する自動演奏継続手段とを備えたことを特徴とする電子打楽器装置。 - 請求項1において、前記打撃検出手段は前記音響信号発生手段の異なる打楽器音に対応づけられる複数個の打撃パッドを有し、前記自動演奏の実行を指令する操作入力と前記打撃パッドの継続押圧操作とによってその打撃パッドに割り当てられている打楽器音で自動演奏が行われることを特徴とする電子打楽器装置。
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