JP3429241B2 - 門型洗車機における車形検出方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車体を跨いで相対
移動可能に構成された門型フレームに洗浄用ノズルや乾
燥用ノズル等の洗車処理装置を昇降自在に配設し、その
洗車処理装置を車体の形状に応じて昇降させながら洗車
作業を実行する門型洗車機に関する。より詳しくは、そ
の洗車処理装置の昇降制御に用いられる車体の輪郭に関
する車形情報を検出するための車形検出手段の設置の仕
方に関する改良技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の門型洗車機の従来技術として、
門型フレームの進行方向前部に上下方向に配設した多数
の検出手段からなる車形検出手段を設置し、その車形検
出手段を構成する多数の検出手段からの上下各位置にお
ける検出情報を門型フレームを移動しながら時系列に記
憶して車形を認識するとともに、その車形に応じて洗浄
用ノズルや乾燥用ノズル等の洗車処理装置を昇降制御し
ながら洗車作業を実行するという技術手段が開示されて
いる（特許第２８３４３８５号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来技
術は、上下方向に配設した多数の検出手段からなる車形
検出手段によって車形を認識しながら洗車処理装置を昇
降制御して洗車作業を実行することにより、効率的な洗
車作業を可能にした点では優れているが、車形全体を認
識するには、前記車形検出手段と共に門型フレームを少
なくとも車体の全長分だけは移動させる必要があったた
め、門型洗車機としての設置スペースも大きくなる点で
は問題があった。本発明は、以上の従来技術の問題点に
鑑みて開発したもので、従来技術の優れた機能を維持し
ながら、門型洗車機としての設置スペースの縮小を可能
にした門型洗車機における車形検出技術を提供すること
を目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、各請求項の発明に共通の基本的構成として、車体を
跨いで相対移動される門型フレームに昇降自在に設けら
れた洗浄用ノズルや乾燥用ノズル等の洗車処理装置と、
上下方向に配設した多数の検出手段からなる車形検出手
段とを備え、その車形検出手段からの検出情報である車
形情報に基づいて前記洗車処理装置の昇降を制御するよ
うに構成した門型洗車機において、前記車形検出手段を
門型フレームに対して水平方向に移動可能に設けるとい
う構成を採用した。そして、請求項１及び請求項４にお
いては、前記門型フレームの車体に対する相対移動を行
う前に、車形検出手段を門型フレームに対して移動させ
ることにより、その門型フレーム内に進入させた車体の
一部の形状を検出するという技術手段を採用した。以上
により、車体と門型フレームとの相対移動を伴わずに、
車形検出手段のみを門型フレームに対して移動させるこ
とによって、車体の一部の形状が検出可能になることか
ら、その分、門型フレームの車体に対する相対移動量を
縮小することができ、延いては門型洗車機としての設置
スペースを縮小することが可能である。また、請求項２
及び請求項５の発明においては、門型フレームを往復動
させる門型洗車機において、その復動工程における洗車
工程前に前記車形検出手段を門型フレームに対して移動
させることにより車体の一部の形状を検出するという技
術手段を採用した。本発明によれば、復動工程における
門型フレームの車体に対する相対移動量の縮小も可能と
なることから、門型フレームの総移動量を更に縮小でき
る。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明は、車体を跨いで相対移動
しながら洗車を行う門型洗車機であれば、その門型フレ
ームの具体的形状や、洗浄用ノズル、乾燥用ノズル等の
洗車処理装置の具体的な設置形態等に関わらず広い適用
が可能である。例えば、主たる洗浄手段が洗浄用ノズル
からの噴射流の洗浄作用による形態だけでなく、回転ブ
ラシによる洗浄作用を用いる形態などにも広く適用でき
る。また、車形検出手段に関しても、上下方向に多数配
設された検出手段から車形を検出するものであれば、個
々の検出手段の具体的な種類や設置数に拘束されること
なく、場合に応じた適当な形態の選定が可能である。本
発明の適用形態としては、洗車工程における具体的な手
順等との関連から、往動時のみ、復動時のみあるいは往
動時及び復動時の双方に本発明を適用する形態が可能で
あり、さらに洗車作業が完了するまでの往復回数の選定
も可能である。また、門型フレーム側を移動させるか、
車体側を移動させるかは選択可能であり、車体と門型フ
レームとの間で相対移動するものであればよい。なお、
門型フレームに対する車体の進入方向は問わないことは
いうまでもない。

【０００６】

【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例に関して
説明する。図１〜図３は本発明の一実施例の要部を概略
的に示したものである。図１は本実施例の全体的な動作
を示した概略動作説明図である。また、図２は門型フレ
ームの正面図であり、図３はそのＡ−Ａ断面図である。
図中、１は門型フレームで、図２に示したように、車体
２を跨いだ状態で、下方に設けた断面Ｖ溝状の車輪３を
介してガイドレール４に沿って移動し得るように構成さ
れている。また、図２及び図３に示したように、門型フ
レーム１の内部には、その両側部に対をなすように対向
して上下方向に配設された多数の検出手段５，６からな
る車形検出手段７が水平方向に移動可能に設けられてい
る。すなわち、それらの検出手段５，６は、本実施例で
は、それぞれ支持部材８を介して門型フレーム１側に設
けられた適宜の案内部材９，１０に移動可能に支持さ
れ、前記支持部材８側に設けられた雌ネジ部材１１にモ
ータ１２により回転駆動される送りネジ１３を螺合して
なる送り機構によって、門型フレーム１に対して水平方
向に相対的に移動し得るように構成されている。そし
て、上下方向に配設された多数からなる前記検出手段５
あるいは検出手段６の一方から検出用のビームを発生
し、他方の検出手段６あるいは検出手段５による受光の
有無を車形情報として時系列に記憶して車形を認識する
ように構成されている。図２中、１４は洗浄用ノズル、
１５は乾燥用ノズルであり、共に門型フレーム１に対し
て昇降可能かつ噴射方向を制御可能に装備され、洗車処
理装置を構成している。なお、洗浄用ノズル１４と乾燥
用ノズル１５とは別々に駆動されるように構成してもよ
いし、一体的に駆動されるように構成してもよい。

【０００７】洗車に際しては、図１に示したように、門
型フレーム１に対して車体２のフロント部あるいはリア
部の一部を進入させ、その状態において、先ず車形検出
手段７のみを水平方向に移動して車体２の一部の車形を
先読みする。しかる後、前記門型フレーム１をガイドレ
ール４に沿って移動させながら、洗浄用ノズル１４等の
洗車処理装置による洗車工程を実行するとともに、前記
車形検出手段７による車形の検出を継続する。この洗車
工程においては、前工程で車形検出手段７により先読み
された車形情報と本工程の車形情報に基づいて、洗浄用
ノズル１４等の洗車処理装置の高さや噴射角度、さらに
必要に応じて門型フレーム１の移動速度等を制御するこ
とになる。以上のように、本発明では、門型フレーム１
に車体２の一部を進入させた状態において車形検出手段
７のみを水平方向に移動して車体２の一部の車形を先読
みするという構成を採用したので、その分、門型フレー
ム１の移動距離、延いてはガイドレール部を含めた門型
洗車機としての設置スペースを縮小できる。

【０００８】次に、図４〜図８の概略動作説明図に基づ
いて、以上の実施例における洗車作業をその手順に従っ
て更に詳細に説明する。前述のように、洗車に際して
は、先ず図４に示したように車体２の一部を門型フレー
ム１の内部へ進入する。この状態では、前記車形検出手
段７は、車体２にかからない位置に待機するように制御
される。次に、先読み工程に移行し、前記モータ１２を
駆動して車形検出手段７のみを図４に示した位置から図
５に示した位置へ相対移動させながら、その車形検出手
段７を構成する多数の検出手段５，６からの車形情報を
逐次、時系列に記憶する。しかる後、洗車工程に移行
し、今度は門型フレーム１を図５に示した位置から図６
に示した位置に移動する。この場合、車形検出手段７が
少なくとも洗浄用ノズル１４の下方で、噴射される洗浄
液によって検出できない位置を通過するまでは門型フレ
ーム１は動かさず、この位置を過ぎれば、端部に到達す
る前に門型フレーム１を移動し始めてもよい。この門型
フレーム１の移動の際に、前記先読み工程で記憶した車
形情報及び本洗車工程で得られた車形情報に基づいて洗
浄用ノズル１４等の洗車処理装置の高さや噴射角度、さ
らに必要に応じて門型フレーム１の移動速度等を制御し
ながら洗浄作業を実行する。この場合、車形検出手段７
は洗浄用ノズル１４等の洗車処理装置より先行して離れ
た状態にあるので洗浄液などの影響を受けることが少な
い。なお、本実施例では、図６に示したように、洗浄用
ノズル１４による車体２の洗車作業が完了する位置まで
門型フレーム１を移動することにより往動工程が終了す
ることになるが、以上の往動工程のみで洗車作業を完了
することも可能である。

【０００９】次に、図７及び図８により復動工程に関し
て説明する。以上の前半の往動工程が終了して後半の復
動工程に移行した場合には、先ず前述の図６の状態から
前記モータ１２を駆動して車形検出手段７のみを図７に
示したように相対移動して、車形検出手段７が洗浄用ノ
ズル１４等の洗車処理装置より前に出るように位置関係
を入替えながら車体２の一部の車形を先読みする。この
場合、往動工程時の車形情報を使用してもよいが、復動
工程で先読みすることによって、ガイドレール４に対す
る門型フレーム１のスリップ等によるずれや流れ気味の
データを補正することができる。そして、さらに洗車工
程に移行すると、今度は門型フレーム１を図８の状態に
向けて相対移動して、先行する車形検出手段７による車
形の検出を継続しながら、乾燥用ノズル１５による乾燥
作業等の所定の洗車工程を実行する。すなわち、先読み
した車形情報及び門型フレーム１の相対移動に伴って検
出される車形情報に基づいて、例えば前記乾燥用ノズル
１５の高さや噴射方向、さらに必要に応じて門型フレー
ム１の移動速度等を制御しながら乾燥作業等の所定の洗
車工程が実行される。なお、この復動工程においても、
車形検出手段７は洗浄用ノズル１４等の洗車処理装置か
ら離れた状態にあることから、洗浄液などの影響を受け
ることは少ない。以上により復動工程は終了し、前述の
往動工程と合わせて往復工程が完了することになる。

【００１０】なお、以上の往復両工程と具体的な洗車工
程の形態との組合せに関しては種々の選択が可能であ
り、以上のように往動工程において洗浄作業を実行し、
復動工程において乾燥作業を実行するという１往復から
なる形態のほか、例えば１回目の往動工程において洗剤
を用いた洗浄作業を実行し、その復動工程においてワッ
クス入りの水を用いた洗浄作業を実行し、さらに２回目
の往動工程において水だけを用いた洗浄作業を実行し、
最後の復動工程において乾燥作業を実行するという２往
復からなる形態も可能である。また、１回目の往動工程
において洗剤を用いた洗浄作業を実行し、その復動工程
は無作業とし、さらに２回目の往動工程においてワック
ス入りの水を用いた洗浄作業を実行し、最後の復動工程
において乾燥作業を実行するという２往復形態も可能で
ある。なお、洗剤噴射作業の後に自動的な洗車作業を停
止させて、途中に手洗い作業を挿入するようにしてもよ
い。また、往動工程のみからなる洗車工程の形態とし
て、洗剤噴射作業のみを自動的実行し、あとは手洗い作
業により行うという形態も可能である。

【００１１】図９は本発明の他の実施例における洗浄作
業を示した概略動作説明図である。前述の実施例では門
型フレーム１側を移動するように構成したの対して、本
実施例は、車体２側を移動するように構成した点で特徴
を有するものである。本実施例における門型フレーム１
６は固定式に構成され、その内部には前述の実施例と同
様に、両側部に対をなすように対向して上下方向に配設
された多数の検出手段５，６からなる車形検出手段７が
水平方向に移動可能に設けられている。また、ほぼ中央
部には洗浄用ノズル１４が配設され、適当な間隔をあけ
て乾燥用ノズル１５が配設されており、双方とも車形検
出手段７からの車形情報に基づいて昇降制御されながら
洗車作業を実行するように構成されている。なお、車体
２の移動の仕方に関しては、コンベヤ等の搬送手段１７
が設けられている。

【００１２】しかして、洗車に際しては、先ず、図示の
ように門型フレーム１６に対して車体２のフロント部あ
るいはリア部の一部を進入させ、その状態において車形
検出手段７のみを水平方向に移動して車体２の一部の車
形を先読みする。しかる後、今度は車体２を移動させな
がら、前記車形検出手段７による車形の検出を継続する
とともに、前工程で先読みした車形情報と本工程で継続
的に得られる車形情報に基づいて洗浄用ノズル１４や乾
燥用ノズル１５等の洗車処理装置の高さや噴射方向、さ
らに必要に応じて門型フレームの移動速度等を制御しな
がら所定の洗車工程を実行する。そして、本実施例の場
合には、車体２が門型フレーム１６内を通り抜けること
により洗車作業が終了することになる。なお、本実施例
の場合にも、車形検出手段７は、洗浄作業時には洗浄用
ノズル１４から離れた状態にあることから、洗浄液など
の影響を受けることは少ない。また、洗車工程の具体的
形態に応じて、例えば洗浄用ノズル１４と乾燥用ノズル
１５との間にワックス液の噴射用ノズルを加えるなどの
変形が可能である。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、車体と門型フレームと
の相対移動は伴わずに、車形検出手段のみを相対移動す
ることにより、車体の一部の形状を検出する先読み工程
が可能なことから、その分、門型フレームの車体に対す
る相対移動量を縮小でき、延いてはガイドレール又は搬
送手段を含めた門型洗車機としての設置スペースの縮小
が可能になる。復動工程に対しても適用すれば、往復両
工程における門型フレームの車体に対する相対移動量の
縮小が可能である。また、洗浄作業時には、車形検出手
段を洗浄用ノズルから離した状態におくことが可能なこ
とから、車形検出手段に対する洗浄液などの影響を軽減
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例の全体的な動作を示した概略
動作説明図である。

【図２】 門型フレームの正面図である。

【図３】 図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】 前記実施例の動作を示した概略動作説明図で
ある。

【図５】 同実施例の動作を示した概略動作説明図であ
る。

【図６】 同実施例の動作を示した概略動作説明図であ
る。

【図７】 同実施例の動作を示した概略動作説明図であ
る。

【図８】 同実施例の動作を示した概略動作説明図であ
る。

【図９】 本発明の他の実施例の動作を示した概略動作
説明図である。

【符号の説明】

１…門型フレーム、２…車体、３…車輪、４…ガイドレ
ール、５，６…検出手段、７…車形検出手段、８…支持
部材、９，１０…案内部材、１１…雌ネジ部材、１２…
モータ、１３…送りネジ、１４…洗浄用ノズル、１５…
乾燥用ノズル、１６…門型フレーム、１７…搬送手段

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体を跨いで相対移動される門型フレー
   ムに昇降自在に設けられた洗浄用ノズルや乾燥用ノズル
   等の洗車処理装置と、上下方向に配設した多数の検出手
   段からなる車形検出手段とを備え、その車形検出手段か
   らの検出情報に基づいて前記洗車処理装置の昇降を制御
   するように構成した門型洗車機において、前記車形検出
   手段を門型フレームに対して水平方向に移動可能に設
   け、門型フレームの車体に対する相対移動を行う前に、
   前記車形検出手段を門型フレームに対して移動させるこ
   とにより、その門型フレーム内に進入させた車体の一部
   の形状を検出するようにしたことを特徴とする門型洗車
   機における車形検出方法。
2. 【請求項２】 門型フレームを往復動させる門型洗車機
   において、その復動工程における洗車工程前に、前記車
   形検出手段を門型フレームに対して移動させることによ
   り車体の一部の形状を検出するようにした請求項１記載
   の門型洗車機における車形検出方法。
3. 【請求項３】 車体を跨いで相対移動される門型フレー
   ムに昇降自在に設けられた洗浄用ノズルや乾燥用ノズル
   等の洗車処理装置と、上下方向に配設した多数の検出手
   段からなる車形検出手段とを備え、その車形検出手段か
   らの検出情報に基づいて前記洗車処理装置の昇降を制御
   するように構成した門型洗車機において、前記車形検出
   手段を門型フレームに対して水平方向に移動可能に設け
   たことを特徴とする門型洗車機における車形検出装置。
4. 【請求項４】 門型フレームの車体に対する相対移動を
   行う前に、前記車形検出手段を門型フレームに対して移
   動させることにより、その門型フレーム内に進入させた
   車体の一部の形状を検出し得るように構成した請求項３
   記載の門型洗車機における車形検出装置。
5. 【請求項５】 門型フレームを往復動可能に構成すると
   ともに、その復動工程における洗車工程前に、前記車形
   検出手段を門型フレームに対して移動させることにより
   車体の一部の形状を検出し得るように構成した請求項３
   又は４記載の門型洗車機における車形検出装置。