JP3426188B2 - エーテルの製造方法 - Google Patents

エーテルの製造方法

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JP3426188B2 JP2000104499A JP2000104499A JP3426188B2 JP 3426188 B2 JP3426188 B2 JP 3426188B2 JP 2000104499 A JP2000104499 A JP 2000104499A JP 2000104499 A JP2000104499 A JP 2000104499A JP 3426188 B2 JP3426188 B2 JP 3426188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、tert-アミルメチ
ルエーテル(tert-amyl-methyl-ether:TAME)やメチル-te
rt-ヘキシルエーテル(methyl-tert-hexyl-ether:MTHE)
等のエーテルの製造方法に関する。特に、本発明は、C
5及びC6イソオレフィンからTAMEやMTHEを高転化率に
て得るための、エーテル化リアクタや触媒蒸留(catalyt
ic distillation)を用いた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イソオレフィンをエーテルに転化
するための触媒蒸留方法として、多くの方法が知られて
おり、例えば、ヒッキー(Hickey)等に付与された米国特
許第5,431,888号や、タミネン(Tamminen)等に
付与された米国特許第5,536,886号、スミス(S
mith, Jr)等に付与された米国特許第5,313,00
5号、ジャベリン(Jarvelin)等に付与された米国特許第
5,689,013号等に開示される方法が挙げられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来法においては、イ
ソ-C5炭化水素とイソ-C6炭化水素の転化を一緒に行
うことは困難であった。加えて、従来の方法ではある程
度の転化率が得られているが、より転化率を高くするこ
とが求められている。
【0004】従って、本発明は、イソオレフィンからエ
ーテルへの転化率に優れた方法を提供することを目的と
する。
【0005】また、本発明は、C5及びC6イソオレフ
ィンを同時にTAME及びMTHEへと転化し、かつその転化率
が高いという方法を提供することを目的とする。
【0006】更に、本発明は、固定ベッドエーテル化リ
アクタと触媒蒸留との双方の利点が組み合わされて優れ
た結果が得られる方法を提供することを目的とする。
【0007】本発明の他の目的及び利点は以下に示され
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上述の
目的及び利点が容易に得られる。
【0009】本発明によれば、エーテルの製造方法が得
られ、この製造方法は、C5イソオレフィン、C6イソ
オレフィン及びこれらの混合物のうちから選択されたイ
ソオレフィンを含有する原料を用意するステップを有
し、上記原料をアルキルアルコールと混合して反応原料
を得るステップを有し、上記反応原料をリアクタゾーン
へと供給するステップを有し、このステップでは、上記
反応原料を第1のエーテル化触媒の存在下でリアクタゾ
ーンへと供給することで上記アルキルアルコールが上記
イソオレフィンと反応してアルキル-tert-アルキルエー
テルが形成され、これにより上記エーテルと未反応のイ
ソオレフィンとアルキルアルコールとを含有する中間原
料が得られ、上記中間原料を供給するステップを有し、
このステップでは、上記中間原料が、触媒ゾーンを形成
する第2のエーテル化触媒を有する触媒蒸留カラムへと
供給され、上記中間原料にアルキルアルコールを更に追
加して混合するステップを有し、このステップでは、上
記アルキルアルコールと上記未反応イソオレフィンの共
沸混合物が形成される一方で上記アルキルアルコールと
上記エーテルとの共沸混合物は形成されないように、上
記中間原料にアルキルアルコールを更に追加して混合
し、これにより上記触媒ゾーンは、実質的に上記エーテ
ルが存在しない状態となって上記未反応のイソオレフィ
ンが前記触媒ゾーン内で前記アルキルアルコールと反応
してアルキル-tert-アルキルエーテルが更に形成され
る。
【0010】なお、第1のエーテル化触媒としては、酸
性イオン交換樹脂を用いることができる。
【0011】また、第2のエーテル化触媒は、酸性マク
ロポーラス樹脂を用いることもできる。
【0012】本発明によれば、上述の原料には、好まし
くはC5イソオレフィン及びC6イソオレフィンの双方
が含有され、それぞれTAME及びMTHEに転化される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る方法の一実施
形態の概略説明図である添付図面を参照して本発明の好
適実施形態の詳細な説明を行う。
【0014】本発明は、エーテルの製造方法に関し、特
に分子量の大きいエーテル、例えばtert-アミルメチル
エーテル(TAME)やメチル-tert-ヘキシルエーテル(MTHE)
等の製造方法に関する。この方法では、固定ベッドエー
テル化リアクタと触媒蒸留との双方が組み合わされて、
C5イソオレフィンとC6イソオレフィンの双方におい
て優れた転化率が得られるという利点がある。
【0015】本発明に係る方法における原料は、好適に
はtert-C5イソオレフィン又はtert-C6イソオレフィ
ンのいずれかを含有し、好適には両者ともに含有する。
このようなオレフィンは、例えば流動接触分解(fluid c
atalytic cracking:FCC)やディレードコーク(delayed c
oker)プロセスあるいはスチームクラッキングプロセス
により得られる軽質ナフサ等の、オイル改質ストリーム
から得られる。典型的な原料のサンプルは、以下の実施
例に示される。
【0016】図1に、本発明の一実施形態に係る方法の
概略説明図が示される。この方法においては、最初に固
定ベッドエーテル化リアクタゾーン10で反応が行わ
れ、その後蒸留カラムゾーン12で反応が行われる。原
料14とアルキルアルコール16とが混合されて反応原
料が生成され、例えば図示されるようなリアクタゾーン
10へと供給される。
【0017】本発明に係る方法によれば、アルキルアル
コールと原料とは、最初にリアクタゾーン10で反応さ
れ、その後に蒸留カラムゾーン12で反応されて、C5
イソオレフィンまたはイソアミレン(2−メチル−1−
ブテンや2−メチル−2−ブテン)がメタノールと反応
してtertアミルメチルエーテル(TAME)が生成され、ま
た、C6イソオレフィン(2−メチル−1−ペンテン、
2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン
のシス体及びトランス体、2−エチル−1−ブテン、
2,3−ジメチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−2
−ブテン及び1−メチル−1−シクロペンタン)がメタ
ノールと反応して4種の相異なる異性体エーテルが生成
される。この4種の異性体は、メチル-tert-ヘキシルエ
ーテル(MTHE)グループと称される。これら4種の異性体
は、具体的には、2−メチル−2−メトキシペンタン(2
-methyl-2-methoxi-pentane)、3−メチル−3−メトキ
シペンタン(3-methyl-3-methoxi-pentane)、2,3−ジ
メチル−2−メトキシペンタン(2,3-dimethyl-2-methox
i-pentane)及び1−メチル−1−メトキシシクロペンタ
ン(1-methyl-1-methoxi-cyclopentane)である。これら
の反応は、ガソリン及び/または燃料用のブレンド成分
として有用な性質を有した所望のエーテルを得るために
好ましいものであり、本発明によって優れた転化率が得
られるという利点がある。
【0018】原料14とアルキルアルコール16とは、
好適には、アルキルアルコールが、原料14中のイソオ
レフィンに対してモル比が約1.05〜約1.6となるように
して供給される。このことは、アルキルアルコールのエ
ーテル化における化学量論比が過剰となり、一方でアル
キルアルコールがあまりに過剰にならない、ということ
を確実なものとするうえで望ましい。アルキルアルコー
ルが過剰になりすぎると、イソオレフィンの二量体化
や、ジメチルエーテル等の望ましからざる副生成物の生
成が促進されてしまう。
【0019】リアクタゾーン10は、適宜従来例の触媒
エーテル化固定ベッドを用いることもでき、好適には、
順次原料を処理するために直列に接続された第1のリア
クタ18や第2のリアクタ20を用いる。リアクタは、
図1ではアップフローリアクタとして示されており、各
リアクタ内に適切なエーテル化触媒を配置することが好
ましい。その他の構成も、本発明の範囲内で用いること
ができる。
【0020】適切なエーテル化触媒としては、酸性イオ
ン交換樹脂が挙げられ、従来の多孔性強酸性イオン交換
樹脂を用いることが可能であり、例えば、ベイヤー(Bay
er)社製のK2631樹脂、ロームアンドハース社(Rohm
and Haas)製のA-15樹脂及びA-35樹脂を用いることがで
きる。
【0021】原料にかなりの量のジオレフィンが含有さ
れる場合、第1のリアクタ18に、少量の貴金属、例え
ばパラジウムにドープされたエーテル化触媒を配置する
ことが好ましい。この貴金属は、オレフィンをある程度
二重結合異性化するだけでなく、水素化によるジオレフ
ィン成分のオレフィン化を促進するように作用する。こ
のことは、ジオレフィンによる触媒の汚染やファウリン
グを抑えること点で、また、本発明によりエーテルに転
化される反応性オレフィンの量をある程度増加させると
いう点で好ましい。第1のリアクタ18内でのジオレフ
ィン転化が望まれる場合、第1のリアクタ18内に水素
ストリーム19を供給することもまた望ましい。本発明
のこの実施形態を以下に述べる。
【0022】本発明の方法において、TAMEやMTHEを製造
するために加えられる適切な反応アルキルアルコール
は、メタノールである。他のエーテルの製造が望まれる
場合には、その他のアルキルアルコールを適宜用いるこ
とができる。
【0023】望ましいエーテル化反応すべて発熱反応で
あり、中間的な温度及び圧力で、液相で生じる。従っ
て、リアクタ18、20は、好適には、約0.1MPa〜約3
MPa(約1barg〜約30barg)、好適には約10bargで動
作し、温度は約50℃〜約95℃、好適には第1のリア
クタ18内を約70℃〜約85℃、第2のリアクタ20
内を約65℃とする。
【0024】リアクタ18,20内で行われる液相エー
テル化反応は、熱力学的に限定されており、通常、第2
のリアクタ20の吐出口付近で転化が均衡状態に近づく
こととなる。従って、第2のリアクタ20の出口から出
てくる部分的に処理された中間原料は、通常、C5イソ
オレフィンからTAMEへの転化率が少なくとも約50wt
%、好適には約65wt%〜約70wt%で、C6イソオレフ
ィン〜MTHEへの転化率は少なくとも約25wt%で、好適
には約30wt%〜約40wt%である。中間生成物の残部に
は、未反応のC5イソオレフィン、C6イソオレフィン
及び残存しているメタノールが、もとの原料に含まれて
いるその他の無反応性成分とともに含まれる。本発明に
より動作される蒸留カラムゾーン12は、未反応のC5
イソオレフィンからTAMEへの転化が少なくとも更に10
wt%行われ、また、未反応のC6イソオレフィンからMTH
Eへの転化が少なくとも更に20wt%行われるという利点
がある。
【0025】この中間原料は、その後に蒸留カラムゾー
ン12に供給され、本発明によれば、既に製造されたエ
ーテルが未反応のイソオレフィンやアルキルアルコール
から注意深く分離され、これにより、追加されたエーテ
ル化触媒の存在下で、未反応のイソオレフィンが更に転
化されてTAMEやMTHEが更に得られる。注意深く分離を行
って製造されたエーテルが存在しない状態に触媒ゾーン
を維持することで、総転化率が優れた値となる。
【0026】図1に示されるように、蒸留カラムゾーン
12は、流入口24と、底部流出口26と、蒸気等のた
めの流出口28とを備えた蒸留カラム22を有する。ま
た、カラム22には、好適にはエーテル化触媒が設けら
れている。このエーテル化触媒は、適宜、表面を透過性
として内部に触媒材が配された触媒パッキング構造等の
形態で用いられる。典型的な触媒パッキング材は、一般
に「ベイル(bales)」と称され、好適には、触媒材を、
例えばロームアンドハース(Rohm and Haas)社製のA−
35のような強酸性マクロポーラス樹脂として有してい
る。この触媒パッキングは、好適には、ゾーン30のカ
ラム22内に配されており、このゾーン30では、液相
反応物が、更に所望のエーテル化反応を促進するように
処理される。カラム22の残りは、適宜、非触媒ランダ
ムパッキング又は非触媒構造パッキングによりパッキン
グされ、これらはソルザー社(Solzer)、コー社(Koch)、
ジャガー社(Jaeger)、グリッチ社(Glitsch)及びノート
ン社(Norton)により供給されている。非触媒セクション
では、パッキングの代わりにトレイを用いることもで
き、例えばシーブトレイ、バルブ11、及びバブルキャ
ップ11を用いることができる。
【0027】また、蒸留カラムゾーン12を2つの別個
のカラムとして設けることが好ましい。この構成では、
リアクタ20からの中間原料は、最初に、非触媒パッキ
ングによりパックされたカラムに供給され、その後に、
触媒パッキング及び触媒ゾーンを備えたカラムに供給さ
れる。図1の実施形態では、中間原料の供給と、メタノ
ールの追加は、蒸留カラムの動作条件と共に、本発明に
従って行われ、触媒ゾーンがエーテルが実際上存在しな
い状態で動作するようにされている。上述したように、
このことは、アルキルアルコールの中間原料に対する比
率を監視して、アルキルアルコールが原料中のC5イソ
オレフィン及びC6イソオレフィンと共沸混合物を形成
するに十分な量存在し、製造されたエーテルとは共沸混
合物を形成しないようにすることで達成される。これに
よって、イソオレフィン/アルキルアルコール共沸混合
物が蒸発して触媒ゾーンに達するという利点が得られ、
この触媒ゾーンで更なる反応が生じる一方で、製造され
たエーテルは、蒸発カラムゾーン12から流出する。
【0028】本発明によれば、蒸発カラム22内で、ア
ルキルアルコールの未反応イソオレフィンに対する比率
をコントロールして、アルキルアルコールがC5イソオ
レフィン及びC6イソオレフィンとのみ共沸混合物を形
成し、かつ、既に生成されているエーテルとは共沸混合
物を形成しないようにすることが非常に重要である。こ
れにより、触媒ゾーン30は、エーテルフリー、即ちエ
ーテルが存在しない状態に維持されるという利点が得ら
れる。上述したように、エーテル化反応は、熱力学的に
制限された反応であり、触媒ゾーン30内のエーテル
は、従って、更なるエーテル化反応を制限してしまうと
いう望ましくない作用をする。極端な場合、エーテルか
らイソオレフィンへの逆反応を起こすこともある。蒸留
カラム22内のアルキルアルコール量を適切に維持する
ことで、図中のライン32に示されるように、追加され
るアルキルアルコールは、直接中間原料24と混合され
るか、あるいは、図中のライン34に示されるように、
触媒ゾーン30に直接供給される。勿論、追加されるア
ルキルアルコールを、その他の部位から供給することも
可能である。
【0029】蒸留カラム22内の生成物の状態及び比率
を注意深く監視することで、C5イソオレフィン及びC
6イソオレフィンからそれぞれTAME及びMTHEへの更なる
転化が優れた転化率で行われるようになる。蒸留カラム
内の動作条件は、下記表1のように維持することが好ま
しい。
【0030】
【表1】 圧力=20〜60psig (1.5〜4.0 barg)、(トップ) リボイラー温度=120〜170℃ 還流比=0.7〜2.5(vol/vol) メタノール/イソオレフィン比 (カラム流入口)=2.5〜6.0(mol/mol) 触媒セクション温度=60〜90℃ 触媒セクションの液相におけるメタノール量=15〜50wt
%
【0031】蒸留カラム22において上述の条件を維持
することで、反応性C5イソオレフィンからTAMEへの総
転化率は、少なくとも約70wt%、好適には少なくとも
約80wt%とすることができ、C6イソオレフィンからM
THEへの総転化率は、少なくとも約55wt%、好適には少
なくとも約65wt%とすることができる。本発明に係る
プロセスにより動作された場合、カラム22の吐出口2
6では、転化されたエーテルを90%あるいはそれ以上
を含有する生成物ストリームが得られ、一方、吐出口2
8からの上部ストリームは、通常、不活性化合物、過剰
メタノール及び非常に少量の未反応ではあるが反応性の
イソオレフィンを含有する。
【0032】上述したように、リアクタゾーン10内の
貴金属にドープされた触媒との反応のために、水素スト
リーム19をリアクタ18へ供給することが好ましい。
これにより、望ましからざるジオレフィンが除去される
という利点が得られる。このようにしない場合、リアク
タゾーン10内の触媒が汚染されるおそれがある。
【0033】また、カラムのそれまでの動作履歴あるい
はスタートアップ処理は、内部条件に影響を与え、原料
や動作条件を所望の範囲内に維持した場合であっても、
望ましからざる共沸混合物が形成されるおそれがあるこ
とがわかった。このことは、それまでにカラムがどのよ
うに動作されたかに依存して、何らかの定常状態が発生
してしまうことを意味している。例えば、それまでの動
作条件に起因して、カラムの内部メタノール濃度が高い
場合、望ましからざるTAME-MeOH共沸混合物が形成さ
れ、これにより、たとえ原料のメタノール含有量が低く
かつその他の条件がエーテルへの高い転化率を与えると
いう動作条件下であったとしても、イソアミレンからTA
MEへの転化率が非常に低くなるという可能性が非常に高
くなる。カラムにメタノールが充満した状態で起動され
た場合、このことが非常に明確となる。メタノールと炭
化水素との混合物がその後にカラムに供給されると、実
際的には、望ましからざる共沸混合物の生成は避けられ
なくなる。一方、カラムにメタノールがない状態で使用
開始されると、共沸混合物の生成は、主に原料組成(メ
タノール/炭化水素比)及び動作条件に依存するように
なる。
【0034】以下の実施例に、本発明にかかる方法にお
けるプロセスパラメータの重要性が示される。
【0035】実施例 この実施例では、図1に示したものと実質的に同様の構
成を有するパイロットプラントを用いた。第1の固定ベ
ッドリアクタに、3g/lのパラジウムがドープされた強酸
性マクロポーラス樹脂250cc(92.5g)を配置した。これ
は、ベイヤー社(Bayer)からK2631として入手できる触媒
である。このドープされた樹脂は、リアクタの底部に配
置され、一方、第1のリアクタの頂部には、パラジウム
を含有しない強酸性マクロポーラス樹脂125cc(46.25g)
が配置された。この触媒は、上述のベイヤー社からK263
1として入手できる。第2の固定ベッドリアクタは、こ
れと同じドープされていない触媒であるK2631を375cc(1
38.7g)有する。蒸留カラムゾーンには、2つのカラム
が設けられ、それぞれ直径2.54cm、高さ8mであった。
第1のカラムには、非触媒ランダムパッキング(4mmプロ
パック、サイエンティフィックディベロプメント社製:
4mm Propack、Scientific Developement Co.)が悲哀値
された。第2のカラムでは、底部から6メートルの高さ
まで触媒蒸留パッキングが配置された。この触媒蒸留パ
ッキングは、強酸性マクロポーラス樹脂(ロームアンド
ハース社製A-35)329gを有する。一方、第2のカラムの
頂部2メートルには、同じ4mmプロパック非触媒パッキ
ングが配置された。
【0036】原料としては、流動接触分解装置によって
得られた軽質接触分解ナフサ(lightcatalytic cracking
naphtha:LCCN)を改質あるいは分解して得られたC5/
C6炭化水素を用いた。表2に、この実施例での3回の
個別の処理における3つの別個の原料の組成を示す。こ
の原料は、純度99.9wt%のメタノールと混合され、純度9
9.9wt%の水素を、第1のリアクタへの流入口からこの原
料に供給した。
【0037】
【表2】 (数値単位はすべてwt%) 処理1 処理2 処理3 非反応性C4炭化水素 9.96 12.90 13.98 非反応性C5炭化水素 31.35 32.26 30.82 2-メチル-ブテン-1 5.05 5.00 5.15 2-メチル-ブテン-2 9.75 9.42 5.27 3-メチル-ブテン-1 0.89 0.94 1.51 非反応性C6炭化水素 32.96 27.78 28.63 4-メチル/3-メチル-ペンテン-1 1.07 1.03 1.05 2,3-ジ-メチル-ブテン-1 0.67 0.64 0.65 4-メチル-シス-ペンテン-2 0.37 0.37 0.37 4-メチル-トランス-ペンテン-2 1.14 1.12 1.19 2-メチル-ペンテン-1 1.86 1.92 1.81 2-エチル-ブテン-1 0.52 0.58 0.52 2-メチル-ペンテン-2 2.18 2.33 2.45 3-メチル-シス-ペンテン-2 1.35 1.43 1.60 3-メチル-トランス-ペンテン-2 1.32 1.37 2.08 1-メチル-シクロ-ペンテン 0.23 0.25 1.63 C7以上の炭化水素 0.65 0.66 1.29 反応性C5イソオレフィン総量 15.69 15.36 11.93 反応性C6イソオレフィン総量 9.39 11.04 13.35
【0038】一般に、第2のリアクタからの流出物は、
所望により第2のメタノールと混合され、これにより得
られる中間反応物は、第一のカラムの中間セクションへ
と送られた。この第1のカラムでは、初期リアクタゾー
ン又は第2の蒸留カラムで生成されたエーテルが、リボ
イラーへと流出する底部ストリームとして分離される。
また、このストリームには、メタノールと未反応炭化水
素が少量含まれる。第1のカラムの頂部から流出する蒸
気は、直接第2のカラムの底部に供給されて、触媒パッ
キングと接触し、所望のエーテル化反応が生じる。第2
のカラムの底部からの液体は、第1のカラムの頂部へと
循環されて更なる蒸留が行われる。第2のカラムからの
蒸気は、主に未反応のC5炭化水素及びC6炭化水素と
メタノールを含有する。これらの蒸気は、凝縮され、そ
の一部は第2のカラムの頂部に還流として戻され、残部
を頂部生成物として得る。
【0039】第2のカラムは、第2のカラムに備え付け
られた電気炉を用いて断熱状態に維持され、この電気炉
は、カラムとカラム外部との実質的な熱交換量が0とな
ることが確実となるように調整して運転された。
【0040】パイロットプラントで個別に3回行われた
運転例における運転条件を、運転結果と共に表3に示
す。
【0041】
【表3】 運転例1 運転例2 運転例3 固定ベッドリアクタ内圧力(barg) 20.0 20.0 20.0 蒸留カラム内圧力(barg) 2.1 1.7 3.5 第1の固定ベッドリアクタ平均温度(℃) 76.2 76.8 80.9 第2の固定ベッドリアクタ平均温度(℃) 63.5 63.1 --- 第2のカラムの触媒温度(℃) 82.8 82.8 95.1 第1のカラムの底部温度(℃) 140.4 121.8 165.2 C5/C6原料ストリームフロー(gr/hr) 270.3 307.1 414.5 主メタノールフロー(gr/hr) 53.3 78.2 110.7 追加メタノールフロー(gr/hr) 26.1 0.0 0.0 メタノール/カラムへの(C4+C5+C6) (wt/wt) 0.14 0.16 0.32 メタノール/カラムへのイソオレフィン (mol/mol) 5.3 2.8 3.7 カラム原料のメタノール成分(wt%) 9.3 10.6 21.1 カラム頂部生成物のメタノール成分(wt%) 17.9 18.0 18.1 第2のカラムの触媒セクション底部 からの液体におけるメタノール成分(wt%) 26.0 32.8 50.1 第2のカラムの触媒セクション底部 からの液体におけるTAME成分(wt%) 1.0 7.6 12.3 第2のカラムの触媒セクション底部 からの液体におけるMTHE成分(wt%) 0.0 1.5 1.9 イソアミレン転化率(TAME収率) 主固定ベッドリアクタ(%) 80.0 71.2 44.0 触媒蒸留セクション(%) 28.3 -20.2 -13.8 総合(%) 85.7 65.4 36.0 C6イソオレフィン転化率(MTHE収率) 主固定ベッドリアクタ(%) 38.5 35.6 23.9 触媒蒸留セクション(%) 55.5 33.8 30.1 総合(%) 70.6 57.4 46.8
【0042】運転例1は、本発明に係るプロセスを表
す。この運転例1では、触媒カラムは、すべての追加メ
タノールがカラムから排出されるという適切な手法で起
動された。原料中のメタノール量は、その濃度が、エー
テル化反応に適するようC5,C6化合物を上昇させる
に十分な量となり、かつ、エーテルとの共沸混合物の形
成を防ぐように非常に注意深くコントロールされた。エ
ーテルとメタノールとの共沸混合物は、カラムの触媒ゾ
ーンにエーテルを存在させるように作用してしまうから
である。このような条件下で、蒸留カラムの触媒ゾーン
におけるTAMEの濃度は1wt%であり、MTHEは存在しなか
った。表3に示される条件下で、触媒蒸留カラムでは、
残存イソアミレンからTAMEへの転化が更に28%行わ
れ、残存C6イソオレフィンからMTHEへの55%の転化
が行われた。これにより、オレフィンからTAME、MTHEへ
の総転化率は、それぞれ86%、71%となった。この
結果は、従来法と比較すると、非常にすぐれたものとな
っている。
【0043】運転例2では、カラムにメタノールをフル
に満たした状態で、プロセスが開始された。原料中のメ
タノール量は、運転例1と非常に似通った値となってお
り、メタノールのC5炭化水素及びC6炭化水素に対す
る比率も、同様にほぼ同じ値となっている。このカラム
は、運転例1の運転条件と同様の一定条件で、定常状態
に至ったことが明らかとなるまで連続運転された。この
定常状態では、蒸留カラムの触媒ゾーンに高濃度のTAME
が存在し(7.6wt%)、また、中程度の濃度のMTHE(1.5wt%)
が存在することが示された。触媒ゾーン内におけるこれ
らの高濃度のエーテルは、反応の進行を阻害した。この
反応は、熱力学的平衡に進むからである。このため、蒸
留カラム内での更なる転化率は非常に低くなった。実
際、C5炭化水素イソアミレンへの逆反応が20%生じ
たことが示され、これにより、TAMEが実際に蒸留カラム
内の触媒ゾーンで、TAMEがイソアミレンへと分解されて
しまっていた。従って、このプロセスでのイソオレフィ
ン総転化率は、TAMEでは64%、MTHEでは57%であり、本
発明に係る運転例1のプロセスと比較すると、非常に引
く結果となった。
【0044】このような悪い結果を引き起こした原因
は、エーテルとメタノールとの共沸混合物の生成を防ぐ
ことができなかったことにある。このような共沸混合物
の生成は望ましくなく、共沸混合物がカラムの触媒セク
ションに存在することで、所望のエーテル化反応とは逆
反応が生じた。
【0045】運転例3では、蒸留カラムへの原料供給
は、メタノールを追加混合して、その濃度が、運転例
1,2のメタノール濃度の約2倍となるようにして行わ
れた。このカラムは、適切に起動された。つまり、メタ
ノールを予め除去したうえで、原料の供給を行った。
【0046】メタノール濃度が高いことから、メタノー
ルとエーテルとの共沸混合物が形成され、触媒ゾーンに
は、TAMEが12.3wt%、MTHEは2.0wt%存在していた。この
ため、触媒ゾーンでの反応は、実際には、TAMEからイソ
アミレンへと戻る反応となり、転化率は-14%となっ
て、TAMEの総収率は36%に減少した。従って、メタノ
ール量を、本発明に係るプロセスでの運転条件内に維持
することが非常に重要であることが示される。
【0047】本発明は、その趣旨及び本質的特徴を逸脱
することなく上述した形態とは異なる形態でも実施可能
である。従って、上述の実施形態は、単に例示的なもの
と解すべきものであり、本発明の特許請求の範囲に記載
された範囲を何ら制限するものではない。等価とみなさ
れる範囲内の変更は、すべて特許請求の範囲に包含され
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方法の一実施形態の概略説明図。
【符号の説明】
10 リアクタゾーン 12 蒸留カラムゾーン 14 原料 16 アルキルアルコール 18 第1のリアクタ 19 水素ストリーム 20 第2のリアクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホセ カストル ゴンザレス ヴェネズエラ,サン アントニオ デ ロス アルトス,レス. エル ピカー チョ, アプト. 38, シー. エル ピカーチョ (72)発明者 ツァイダ ヘルナンデス ヴェネズエラ,エスタド ミランダ, カレ エル ラーゴ #258−エイ, コリナス デ カリツァル (56)参考文献 特開 平6−40983(JP,A) 特開 昭54−59209(JP,A) 特表 平7−504907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 41/06 C07C 43/04

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エーテルの製造方法であって、 C5イソオレフィン、C6イソオレフィン及びこれらの
    混合物のうちから選択されたイソオレフィンを含有する
    原料を用意するステップを有し、 前記原料をアルキルアルコールと混合して反応原料を得
    るステップを有し、 前記反応原料をリアクタゾーンへと供給するステップを
    有し、このステップでは、前記反応原料を第1のエーテ
    ル化触媒の存在下でリアクタゾーンへと供給することで
    前記アルキルアルコールが前記イソオレフィンと反応し
    てアルキル-tert-アルキルエーテルが形成され、これに
    より前記エーテルと未反応のイソオレフィンとアルキル
    アルコールとを含有する中間原料が得られ、 前記中間原料を供給するステップを有し、このステップ
    では、前記中間原料が、触媒ゾーンを形成する第2のエ
    ーテル化触媒を有する触媒蒸留カラムへと供給され、 前記中間原料にアルキルアルコールを更に追加して混合
    するステップを有し、このステップでは、前記アルキル
    アルコールと前記未反応イソオレフィンの共沸混合物が
    形成される一方で前記アルキルアルコールと前記エーテ
    ルとの共沸混合物は形成されないように、前記中間原料
    にアルキルアルコールを更に追加して混合し、これによ
    り前記触媒ゾーンは、実質的に前記エーテルが存在しな
    い状態となって前記未反応のイソオレフィンが前記触媒
    ゾーン内で前記アルキルアルコールと反応してアルキル
    -tert-アルキルエーテルが更に形成されることを特徴と
    する方法。
  2. 【請求項2】 前記中間原料を供給するステップと、前
    記原料をアルキルアルコールと混合して反応原料を得る
    ステップと、前記中間原料にアルキルアルコールを更に
    追加して混合するステップとは、総アルキルアルコール
    の前記未反応イソオレフィンに対する比が2.5〜6.
    0となるように行われることを特徴とする請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 前記中間原料を供給するステップと、前
    記原料をアルキルアルコールと混合して反応原料を得る
    ステップと、前記中間原料にアルキルアルコールを更に
    追加して混合するステップとは、前記触媒ゾーン内のメ
    タノール成分が、前記触媒ゾーン内の液相に対して重量
    で15%〜50%となるように行われることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒蒸留カラムは、1.5barg
    .0bargの圧力で動作されることを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記触媒蒸留カラムは、リボイラー温度
    を120℃〜170℃として動作されることを特徴とす
    る請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記触媒蒸留カラムは、還流比を体積比
    で0.7〜2.5として動作されることを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記触媒蒸留カラムは、前記触媒ゾーン
    の温度を60℃〜90℃として動作されることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記アルキルアルコールはメタノールで
    あることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記イソオレフィンは、イソ−C5炭化
    水素及びイソ−C6炭化水素を含み、前記エーテルは、
    tert-アミル−メチル−エーテル(TAME)とメチル−ター
    ト−ヘキシル−エーテル(MTHE)と含むことを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記第1のエーテル化触媒は、酸性イ
    オン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 前記リアクタゾーンは、第1のゾーン
    と、少なくとも一つの追加ゾーンと、をそれぞれ含む複
    数のリアクタゾーンを含み、前記第1のゾーンと追加ゾ
    ーンには、それぞれエーテル化触媒が配されており、か
    つ、前記第1のゾーンに配された前記エーテル化触媒に
    は、貴金属がドープされていることを特徴とする請求項
    10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記原料を前記アルキルアルコールと
    混合して反応原料を得るステップは、前記反応原料を前
    記リアクタゾーンに対して、アルキルアルコールのイソ
    オレフィンに対するモル比を1.05〜1.6として供
    給することを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第2のエーテル化触媒は、酸性マ
    クロポーラス樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 前記原料は、軽質接触分解ナフサ(LCC
    N)を改質して得られるC5/C6炭化水素であることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記触媒蒸留カラムは、前記未反応C
    5イソオレフィンの少なくとも10wt%をtert-アミルメ
    チルエーテル(TAME)へと転化させることを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記触媒蒸留カラムは、前記C6イソ
    オレフィンの少なくとも20wt%をメチル-tert-ヘキシ
    ルエーテル(MTHE)へと転化させることを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記原料は、イソ−C5炭化水素とイ
    ソ−C6炭化水素とを含み、前記リアクタゾーン及び前
    記触媒蒸留カラムによって、前記イソ−C5炭化水素か
    らtert-アミルメチルエーテル(TAME)への総転化率が少
    なくとも70wt%となり、かつ、イソ−C6炭化水素か
    らメチル-tert-ヘキシルエーテル(MTHE)への総転化率が
    少なくとも55wt%となることを特徴とする請求項1記
    載の方法。
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