JP3426083B2 - 金属超微粒子融合体の製造方法と金属超薄膜の製造方法 - Google Patents

金属超微粒子融合体の製造方法と金属超薄膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、金属超微粒子融合体の製造方法
金属超薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属粒子や化合物粒子には、その粒径を
100nm以下というように超微粒子化すると、通常の粒子
(例えば 1μm 以上)とは異なる特性が出現する。この
ような超微粒子は、新しい表面現象の発見やその概略の
掌握等に適していたり、また通常のバルク等とは異なる
特性を各種分野に応用し得る可能性があるため、超微粒
子自体の物性や超微粒子の応用等に関する研究が進めら
れている。
【0003】従来、超微粒子は例えば以下に示すような
物理的方法や化学的方法で作製されている。すなわち、
物理的な超微粒子の製造方法としては、不活性ガス中で
金属等を蒸発させ、ガスとの衝突により冷却・凝縮させ
て超微粒子を生成するガス中蒸発法、蒸発源としてスパ
ッタ現象を利用するスパッタリング法、真空下で金属を
加熱し、蒸発した金属原子を有機溶剤と共に有機溶剤の
凝固点以下に冷却した基板上に共蒸着させて超微粒子を
得る金属蒸気合成法、オイル上に金属を蒸着させる流動
油上真空蒸発法等が挙げられる。
【0004】また、液相を利用した化学的な超微粒子の
製造方法としては、高分子界面活性剤を共存させたアル
コール中で貴金属塩を還流条件下で還元するコロイド
法、金属アルコキシドの加水分解を利用するアルコキシ
ド法、金属塩の混合液に沈殿剤を加えて沈殿粒子を得る
共沈法等が、さらに気相を利用した化学的な超微粒子の
製造方法としては、金属カルボニル化合物等の熱分解反
応により金属超微粒子を得る有機金属化合物の熱分解
法、金属塩化物を反応ガス気流中で還元・酸化または窒
化して超微粒子を得る金属塩化物の還元・酸化・窒化
法、酸化物・含水化物を水素気流中で加熱して還元する
水素中還元法、金属塩溶液をノズルより噴霧し熱風乾燥
させる溶媒蒸発法等が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の超微
粒子に対する研究や開発は、主として超微粒子の集合体
(超微粉体)に関するものであり、超微粒子単体に対す
る各種操作や制御に関する研究は十分に行われていると
は言えない。これは、上述した従来の超微粒子の製造方
法にも起因しており、従来の製造方法では超微粒子を粒
子単体として得ることが困難であったためである。この
ようなことから、超微粒子単体を出発材料として応用展
開を図るまでには至っていない。
【0006】例えば、超微粒子同士の融合等を制御され
た条件の下で実現することによって、超微細生成物、各
種デバイス、各種機能材料等の作製が可能となることが
予測されるが、超微粒子同士の融合制御等に関する研究
は十分に行われていないため、上記したような応用展開
を図るまでには至っていない。
【0007】このようなことから、超微粒子単体同士を
制御された条件下で融合することを可能にした技術が求
められており、さらには超微粒子同士の融合体を応用す
る上で重要となる超微粒子融合体の安定化技術等が望ま
れている。
【0008】本発明は、例えば金属超微粒子単体からの
応用展開等を可能にするためになされたもので、制御さ
れた条件下で金属超微粒子単体同士の融合を可能にする
と共に、金属超微粒子融合体の安定化を実現した金属
微粒子融合体の製造方法、およびそれを適用した金属超
薄膜の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の金属超微粒子融
合体の製造方法は、隣接する少なくとも2つの結晶性が
低い金属超微粒子に、1.0×10 20 e/cm 2 sec以上の強度を
有する電子線を照射して、前記少なくとも2つの金属超
微粒子の結晶性を高めつつ融合させ、対応粒界を有する
初期状態の金属超微粒子融合体を生成する工程と、前記
初期状態の金属超微粒子融合体に前記電子線をさらに照
射して、前記金属超微粒子融合体の前記対応粒界のΣ値
を低下させることによって、安定化された対応粒界を有
する金属超微粒子融合体を生成する工程とを具備するこ
とを特徴としている。
【0010】発明の金属超微粒子融合体の製造方法
らに前記安定化された対応粒界を有する金属超微粒
子融合体にさらに前記電子線を照射して、前記安定化さ
れた金属超微粒子融合体を単結晶粒または多結晶粒とす
ると共に、前記単結晶粒または多結晶粒内の欠陥を減少
させる工程を具備することを特徴としている。
【0011】また、本発明の金属超薄膜の製造方法は、
基板上に分散配置された複数の結晶性が低い金属超微粒
子に対して同時に1.0×10 20 e/cm 2 sec以上の強度を有す
る電子線を照射して、隣接する2つ以上の前記金属超微
粒子の結晶性を高めつつ融合させ、初期状態の複数の金
属超微粒子融合体を生成する工程と、前記初期状態の
数の金属超微粒子融合体に前記電子線をさらに照射し
て、前記初期状態の金属超微粒子融合体のうち対応粒界
を有する金属超微粒子融合体のΣ値を低下させて安定化
させる工程と、前記安定化された複数の金属超微粒子融
合体にさらに前記電子線を照射して、前記安定化された
金属超微粒子融合体の単結晶粒化および前記複数の金属
超微粒子融合体間のさらなる融合による多結晶粒化を生
起し、前記金属超微粒子融合体の単結晶粒および多結晶
粒が混在すると共に、前記単結晶粒および多結晶粒内の
欠陥を減少させた金属超薄膜を生成する工程と具備
ることを特徴としている。
【0012】
【0013】すなわち本発明は、隣接する少なくとも 2
つの金属超微粒子に高エネルギービームを照射すること
によって、これら金属超微粒子を融合させることがで
き、得られた対応粒界を有する金属超微粒子融合体に高
エネルギービームをさらに照射することによって、金属
超微粒子融合体の融合界面における対応粒界のΣ値を低
下させたり、またさらに金属超微粒子融合体を単結晶粒
または多結晶粒化することができると共に、単結晶粒ま
たは多結晶粒内の欠陥を減少させることが可能であるこ
とを見出したことに基いて成されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0015】図1は、本発明による超微粒子融合体の製
造工程の一実施形態を模式的に示す図である。まず、図
1(a)に示すように、隣接する少なくとも 2つの金属
超微粒子1a、1bに高エネルギービーム2を照射す
る。
【0016】ここで、金属超微粒子1としては、Pt超
微粒子、Au超微粒子、Cu超微粒子等の対応粒界を形
成する金属超微粒子が挙げられ、その粒径は 2〜30nm程
度であることが好ましい。出発物質としての金属超微粒
子1の粒径が30nmを超えると、高エネルギービーム2を
照射しても融合現象を誘起することができないおそれが
あり、また粒径が 2nm未満の金属超微粒子1は作製自体
が困難である。また隣接する 2つの金属超微粒子1a、
1bの間隔は粒径程度であることが好ましい。なお、上
記したような出発物質として用いる金属超微粒子1は、
金属超微粒子単体として操作、制御が可能であれば作製
方法は特に限定されるものでなく、種々の金属超微粒子
の製造方法により得られたものを使用することができ
る。
【0017】また、金属超微粒子1に照射する高エネル
ギービーム2として、2つの金属超微粒子1a、1b
を融合し得るエネルギーを有する電子線、具体的には
度が1×10 20 e/cm2・sec以上の電子線が用いられる
【0018】高エネルギービーム2として用いる電子線
照射強度が1×10 20 e/cm2・sec未満であると、金属超微
粒子融合体を生成し得るほどに金属超微粒子1を活性化
できないおそれがある。言い換えると、1×10 20 e/cm2・s
ec以上の強度を有する電子線(2)は、金属超微粒子1
の活性化効果や局所加熱効果等をもたらし、これらによ
って金属超微粒子融合体の生成が可能となる
【0019】高エネルギービーム2の照射雰囲気は、使
用ビームに応じて設定される。電子線照射を適用する場
合の雰囲気は1×10-3Pa以下の真空雰囲気とすることが
好ましく、これによって残留ガス原子の吸着等を防ぐこ
とができる。また、高エネルギービームの照射は室温
ステージ上で実施することができる。
【0020】隣接する 2つの金属超微粒子1a、1bに
上記したような高エネルギービーム2を同時に照射する
と、金属超微粒子1a、1bが活性化して接近しはじ
め、ついには図1(b)に示すように、金属超微粒子1
a、1b同士が融合する。ここで、高エネルギービーム
2を照射する前の金属超微粒子1a、1bの結晶方位等
はランダムであるため、融合当初の金属超微粒子融合体
(以下、初期融合体と記す)3では、照射前の金属超微
粒子1a、1bの結晶方位や距離、および高エネルギー
ビーム2の強度等にもよるが、融合界面における対応粒
界のΣ値は大きい確率が高い。このような対応粒界のΣ
値が大きい初期融合体3は界面エネルギーが大きく、不
安定な状態であると言うことができる。
【0021】なお、上記したΣ値は、結晶構造および格
子常数が等しい 2つの結晶が結晶粒界を挟んで、どのよ
うな方位でどのような間隔の周期構造を生成しているか
等を示す指標である。すなわち、 2つの結晶がある界面
で接している状態を考えた場合、両結晶の貫通格子を想
定して、それらが特定の有理結晶軸の回りに回転関係に
あると仮定すると、回転角がある特定値をとるときに、
両結晶の一部の格子点が重なる。この重なった位置の作
る格子を対応格子(Coincidence Site Lattice:CSL)
と呼び、両結晶の格子点のうち1/Σの割合で格子点が一
致するとき、そのCSLをΣ値(常に奇数)で表示す
る。立方晶系における同一結晶を除く最も単純な対応格
子はΣ3 粒界である。
【0022】上記したような初期融合体3に対して、さ
らに高エネルギービーム2を照射すると、融合界面にお
いて界面エネルギーが減少するように、各金属超微粒子
1a、1bの原子配列が変化して、初期融合体3の対応
粒界のΣ値が低下する。すなわち、初期融合体3は高エ
ネルギービーム2のさらなる照射によって、図1(c)
に示すように、対応粒界のΣ値が例えば 3というように
小さい金属超微粒子融合体4となる。この金属超微粒子
融合体4は、対応粒界を有する融合体の中では最も安定
な状態(Σ値が最小)であることから、安定化された対
応粒界を有する金属超微粒子融合体(以下、準安定化融
合体と記す)と言うことができる。
【0023】また、上記した準安定化融合体4に対し
て、さらに高エネルギービーム2を照射すると、融合界
面における結晶面および結晶方位が同一となるように、
各金属超微粒子1a、1bの原子配列が変化して、例え
ば単結晶粒となる。この際、通常は結晶粒内に転位、回
位、点欠陥等の格子欠陥や亜粒界等が存在するが、これ
ら格子欠陥や亜粒界も原子配列の変化により減少、もし
くは消滅する。このように、準安定化融合体4への高エ
ネルギービーム2の照射は、融合粒子の単結晶粒化、お
よび単結晶粒内における格子欠陥や亜粒界の減少もしく
は消滅というような金属超微粒子融合体の安定化をもた
らす。
【0024】上述した初期融合体3から準安定化融合体
4への変化、および準安定化融合体4から単結晶粒等へ
の変化は、照射する高エネルギービーム2の強度や照射
時間、当初の金属超微粒子1a、1bの結晶方位や距離
等よって異なるため、必ずしも一定の状態が得られると
は限らず、例えば多結晶粒となる場合もあるが、高エネ
ルギービーム2の強度が大きいほど、あるいは照射時間
が長いほど、より安定な状態を再現性よく実現すること
ができる。このようなことから、高エネルギービーム2
としての電子線の強度は1×10 20 e/cm2・sec以上とするこ
とが好ましく、また照射時間は100秒以上とすることが
好ましい。
【0025】このように、隣接する少なくとも 2つの金
属超微粒子1a、1bに高エネルギービーム2を照射す
ることによって、金属超微粒子融合体(初期融合体)3
を得ることができ、この初期融合体3にさらに高エネル
ギービーム2を照射することによって、融合界面におけ
る対応粒界のΣ値を低下させたり、さらには融合粒子を
単結晶粒化した上で格子欠陥や亜粒界等を減少させる
等、金属超微粒子同士の融合体を安定化させることがで
きる。従って、例えば超微細生成物、各種デバイス、各
種機能材料等に応用する上で、各種状態において安定化
させた金属超微粒子融合体を提供することが可能とな
る。
【0026】また、上記実施形態では溶融状態を経てい
ない金属超微粒子同士の融合体、さらには安定化した金
属超微粒子融合体を室温ステージ上で形成することがで
きる。一般に、制御された加熱条件下で電子線等の高エ
ネルギービームを照射することは困難であるため、室温
ステージ上での金属超微粒子融合体の生成を可能にする
ことは意義が大きい。
【0027】ところで、図1では隣接する 2つの金属超
微粒子1a、1bのみを図示したが、金属超微粒子融合
体の出発物質としての金属超微粒子は、例えば図2に示
すように、基板5上に分散配置された多数の金属超微粒
子1であってもよい。このような場合に、多数の金属超
微粒子1に同時に高エネルギービーム2を照射すると、
隣接する 2つ以上の金属超微粒子1、1…が融合して、
複数の金属超微粒子融合体が生成する。
【0028】このような複数の金属超微粒子融合体のう
ち、対応粒界を有する金属超微粒子融合体のΣ値は、高
エネルギービーム2を照射する前の金属超微粒子1の結
晶方位や距離、および高エネルギービーム2の強度等に
よって異なるが、例えば高エネルギービーム2の照射時
間に応じて対応粒界のΣ値が小さい、例えばΣ3 粒界を
有する金属超微粒子融合体が増加する。すなわち、複数
の金属超微粒子融合体全体として見た場合に、金属超微
粒子融合体の安定化が進む。
【0029】上記した複数の金属超微粒子融合体の安定
化、すなわち対応粒界のΣ値が小さい融合体の増加は、
照射する高エネルギービーム2の強度が大きいほど短時
間で実現することができる。言い換えると、高エネルギ
ービーム2の照射時間が同一である場合には、高エネル
ギービーム2の強度が大きいほど、対応粒界のΣ値が小
さい金属超微粒子融合体の数が多くなり、複数の金属超
微粒子融合体全体として見た場合により安定化すること
ができる。
【0030】また、上記安定化した複数の金属超微粒子
融合体に対して、さらに高エネルギービーム2を照射す
ると、各融合体粒子の単結晶粒化や複数の融合体粒子の
さらなる融合等が起こり、単結晶粒および多結晶粒が混
在する金属超薄膜が得られる。この際、前述した実施形
態と同様に、結晶粒内の格子欠陥や亜粒界等も減少もし
くは消滅し、より安定な状態となる。
【0031】このように、多数の金属超微粒子1に同時
に高エネルギービーム2を照射することによって、複数
の金属超微粒子融合体全体として見た場合に、金属超微
粒子融合体を安定化させることができ、さらには単結晶
粒および多結晶粒が混在する金属超薄膜を得ることがで
きる。
【0032】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0033】実施例1 まず、超微粒子融合体の製造に用いたPt超微粒子の作
製例について述べる。すなわち、図3に示すように支持
部材11上に基板として炭素フィルム12を配置し、こ
の炭素フィルム12上にPt超微粒子の出発原料となる
Ptメッシュ13(厚さ:200μm)を配置した。このPt
メッシュ13はターゲット材であり、直径 100μm の細
孔14を多数有している。
【0034】これらを真空室内の室温ステージ上にセッ
トし、炭素フィルム12をPtメッシュ13と共に 2rp
m で回転させながら、Ptメッシュ13の細孔内壁14
aに加速電圧 3.0kV、ビーム電流0.25mAのArイオンビ
ーム15を斜め方向から 180秒間照射した。Arイオン
ビーム15の入射角θは40°とした。また、Arイオン
ビーム照射時の雰囲気は 1×10-3Pa程度の真空(Arを
含む)とした。
【0035】上記したArイオンビーム15の照射後
に、炭素フィルム12上をTEM観察したところ、炭素
フィルム12上のPtメッシュ13の細孔14に対応し
た位置に、Pt超微粒子16がそれぞれ形成されている
ことが確認された。図4にそのTEM観察結果を模式的
に示す。図4に示されるように、炭素フィルム上にPt
超微粒子が分離した状態で多数存在していた。これらP
t超微粒子の直径は 5nm程度である。なお、図5に作製
直後のPt超微粒子の電子線回折パターンを模式的に示
す。図5から形成直後のPt超微粒子は結晶性の低い粒
子であることが分かる。
【0036】このようにして得た多数のPt超微粒子に
対して、 1×10-5Paの真空雰囲気中で 1.0×1020e/cm2
・sec の電子線を照射した。図6に上記電子線を 240秒
照射した段階のPt超微粒子の電子線回折パターンを模
式的に示す。図6からPt超微粒子の結晶性が向上して
いることが分かる。
【0037】図7に上記電子線を 700秒照射した後のT
EM観察結果を模式的に示す。図7から、電子線の照射
によりPt超微粒子同士が融合してPt超微粒子融合体
が生成していることが分かる。また、図8は図7の実線
で囲んだ領域のHETRMイメージを模式的に示す図で
ある。図8から、隣接して多数配置されたPt超微粒子
に 1.0×1020e/cm2 ・sec の電子線を 700秒照射するこ
とによって、Σ3(111)の対応粒界、Σ11(113) の対応粒
界、Σ19(331) の対応粒界を有するPt超微粒子融合体
がそれぞれ得られていることが分かる。この段階では、
まだΣ19というように対応粒界のΣ値が大きいPt超微
粒子融合体の割合が多く、Pt超微粒子融合体全体とし
て見た場合に、十分に安定化されているとは言えない。
【0038】そこで、図7および図8に示した状態のP
t超微粒子融合体に、さらに同一条件の電子線を 300秒
間照射したところ、対応粒界のΣ値が小さい、例えばΣ
3 粒界を有するPt超微粒子融合体が増加した。このよ
うに、Pt超微粒子融合体にさらに電子線を照射するこ
とによって、Pt超微粒子融合体を安定化することがで
きる。
【0039】一方、上記実施例と同様にして得た多数の
Pt超微粒子に対して、 2.1×1020e/cm2 ・sec の電子
線を 700秒間照射した。この電子線照射後のTEM観察
結果を図9に模式的に示す。図9からは、 1.0×1020e/
cm2 ・sec の電子線を照射した場合に比べて、より多く
のΣ3 粒界(図中、矢印で示す)を有するPt超微粒子
融合体が得られていることが分かる。このように、Pt
超微粒子に照射する電子線の強度を大きくすることによ
って、短時間でPt超微粒子融合体の安定化を図ること
ができる。
【0040】実施例2 実施例1と同様にして得た多数のPt超微粒子に対し
て、 1×10-5Paの真空雰囲気中で 3.3×1020e/cm2 ・se
c の電子線を照射した。電子線照射前のTEM観察結果
の模式図を図10に、電子線を 300秒照射した段階のT
EM観察結果の模式図を図11に、また1000秒照射後の
TEM観察結果の模式図を図12示す。
【0041】図10および図11から、電子線の照射に
よりPt超微粒子同士の融合が起こることが分かる。ま
た、電子線をさらに照射することによって、対応粒界の
Σ値が小さい、例えばΣ3 粒界を有するPt超微粒子融
合体が増加することも確認された。図13に、上記実施
例1の 2つの電子線強度および実施例2の電子線強度に
おいて、電子線を 700秒照射した後の各Σ値を有する超
微粒子融合体の比率を比較して示す。図13からPt超
微粒子に照射する電子線の強度を大きくすることによっ
て、対応粒界のΣ値が小さい、例えばΣ3 粒界を有する
Pt超微粒子融合体がより多く得られ、Pt超微粒子融
合体の安定化を短時間で実現できることが分かる。
【0042】また図12からは、融合体の生成およびΣ
値の低下を行った後に、さらに電子線を照射し続けるこ
とによって、単結晶粒および多結晶粒が混在するPt超
薄膜を得ることが分かる。さらに、上記電子線を 700秒
照射した段階のTEM観察結果からは、結晶粒内の転位
は少なく、またほとんどそのバーガースベクトルがa/3
〈11(バー)1 〉になり、さらには電子線照射により転
位等が生じて欠陥が減少することが確認された。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超微粒子
融合体の製造方法によれば、融合界面等の安定性に優れ
る超微粒子融合体を制御された条件下で再現性よく得る
ことができる。このように、本発明によれば融合界面等
の安定性を制御できることから、金属超微粒子単体から
の応用展開等に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による超微粒子融合体の製造工程の一
実施形態を模式的に示す図である。
【図2】 本発明の超微粒子融合体の製造方法で出発物
質として用いる金属超微粒子の他の形態を模式的に示す
図である。
【図3】 本発明の実施例で超微粒子融合体の出発物質
として用いたPt金属超微粒子の製造例を模式的に示す
図である。
【図4】 本発明の実施例1で超微粒子融合体の出発物
質として用いたPt金属超微粒子のTEM観察結果を模
式的に示す図である。
【図5】 図4に示すPt超微粒子の形成直後の電子線
回折結果を模式的に示す図である。
【図6】 図4に示すPt超微粒子に 1.0×1020e/cm2
・sec の電子線を 240秒照射した後の電子線回折結果を
模式的に示す図である。
【図7】 図4に示すPt超微粒子に 1.0×1020e/cm2
・sec の電子線を 700秒照射した後のTEM観察結果を
模式的に示す図である。
【図8】 図7に示すPt超微粒子の一部のHETRM
イメージを模式的に示す図である。
【図9】 本発明の実施例1でPt金属超微粒子に 2.1
×1020e/cm2 ・sec の電子線を 700秒照射した後のTE
M観察結果を模式的に示す図である。
【図10】 本発明の実施例2で超微粒子融合体の出発
物質として用いたPt金属超微粒子のTEM観察結果を
模式的に示す図である。
【図11】 図10に示すPt超微粒子に 3.3×1020e/
cm2 ・sec の電子線を300秒照射した後のTEM観察結
果を模式的に示す図である。
【図12】 図10に示すPt超微粒子に 3.3×1020e/
cm2 ・sec の電子線を1000秒照射した後のTEM観察結
果を模式的に示す図である。
【図13】 本発明の各実施例で電子線を 700秒照射し
た後の各Σ値を有する超微粒子融合体の比率を比較して
示す図である。
【符号の説明】
1……金属超微粒子 2……高エネルギービーム 3……金属超微粒子融合体(初期融合体) 4……金属超微粒子融合体(準安定化融合体)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−54005(JP,A) 特開 昭63−45197(JP,A) 特開 昭63−97226(JP,A) 特開 昭63−227766(JP,A) 特開 平3−13510(JP,A) 特開 平4−161247(JP,A) 特開 平5−294800(JP,A) 特開 平8−217419(JP,A) 特開 平8−218163(JP,A) 特開 平9−278598(JP,A) 田中俊一郎,固体融合における界面形 成素過程の研究,SYMPOSIUM ON INTERFACE’95 PRO CEEDINGS,1995年,2nd,p p.18−23 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 B01J 19/00 B22F 1/00 EUROPAT(QUESTEL) JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣接する少なくとも2つの結晶性が低い
    金属超微粒子に、1.0×10 20 e/cm 2 sec以上の強度を有す
    る電子線を照射して、前記少なくとも2つの金属超微粒
    の結晶性を高めつつ融合させ、対応粒界を有する初期
    状態の金属超微粒子融合体を生成する工程と、 前記初期状態の金属超微粒子融合体に前記電子線をさら
    に照射して、前記金属超微粒子融合体の前記対応粒界の
    Σ値を低下させることによって、安定化された対応粒界
    を有する金属超微粒子融合体を生成する工程とを具備
    ることを特徴とする金属超微粒子融合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項記載の金属超微粒子融合体の製
    造方法において、前記安定化された対応粒界を有する金
    属超微粒子融合体にさらに前記電子線を照射して、前記
    安定化された金属超微粒子融合体を単結晶粒または多結
    晶粒とすると共に、前記単結晶粒または多結晶粒内の欠
    陥を減少させる工程を具備することを特徴とする金属
    微粒子融合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に分散配置された複数の結晶性が
    低い金属超微粒子に対して同時に1.0×10 20 e/cm 2 sec以
    上の強度を有する電子線を照射して、隣接する2つ以上
    の前記金属超微粒子の結晶性を高めつつ融合させ、初期
    状態の複数の金属超微粒子融合体を生成する工程と、 前記初期状態の複数の金属超微粒子融合体に前記電子線
    をさらに照射して、前記初期状態の金属超微粒子融合体
    のうち対応粒界を有する金属超微粒子融合体のΣ値を低
    下させて安定化させる工程と 前記安定化された複数の金属超微粒子融合体にさらに前
    記電子線を照射して、前記安定化された金属超微粒子融
    合体の単結晶粒化および前記複数の金属超微粒子融合体
    間のさらなる融合による多結晶粒化を生起し、前記金属
    超微粒子融合体の単結晶粒および多結晶粒が混在すると
    共に、前記単結晶粒および多結晶粒内の欠陥を減少させ
    た金属超薄膜を生成する工程と具備することを特徴と
    する金属超薄膜の製造方法。
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