JP3425670B2 - 反応性を有するホスホニウム化合物と、それを用いた有機無機複合体、及び前記複合体を用いた複合化高分子材料、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
反応性を有するホスホニウム化合物と、それを用いた有機無機複合体、及び前記複合体を用いた複合化高分子材料、並びにそれらの製造方法Info
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Description
するホスホニウム化合物、該化合物を含有する有機無機
複合体、及び該有機無機複合体を高分子原料に添加し重
合して得られる複合化高分子材料に関する。
リマーの諸特性、特に機械的特性、耐熱性を改良するた
めに、炭酸カルシウム、粘土鉱物、雲母等の添加が行わ
れているが、無機質材料を混合・混練するだけでは無機
質材料が微細粒子となり難く分散しないため、満足すべ
き特性を有するものは得られていない。
系膨潤性粘土鉱物を化学処理して微粒子化を試み、有機
分子中への均一分散を狙った発明について多くの特許出
願がなされている。それらの例として、特開昭62-74957
号公報、特開平2-173160号公報、特開平3-7729号公報、
特開平3-41149号公報、特開平8-3310号公報、特開平8-5
9822号公報、特開平8-120071号公報、特開平8-134205号
公報が挙げられる。しかしながら、これらの手法で対処
しても、実際は充分満足すべき分散性が得られておら
ず、複合化するポリマー種の違いによって著しく影響を
受けているのが現状である。
潤性粘土鉱物に分散剤を添加して微粒子化を試み、有機
分子中への均一分散を狙った発明についても特許出願が
なされている。それらの例として、分散剤としてポリリ
ン酸塩と多核金属錯塩を用いた特開平10-168182号公報
や、分散剤としてピロリン酸カリウムを用いた特開平11
-180586号公報が挙げられる。
ッ素雲母のスラリーに臭化テトラブチルホスホニウムを
加えた有機化珪酸塩を原料にしたポリエステル複合材料
(PET)が開示されている。しかしこのPETは、層
状珪酸塩を含有しないPETに比べて機械的強度は10〜
20%程度しか向上していない。
を解決しようとするものであり、前記有機無機複合体を
高分子原料と混合した後、重合させることにより機械的
強度や耐熱性の優れた複合化高分子材料が得られる複合
材料を提供することを目的とする。
状珪酸塩の層間に特定の反応性を有するホスホニウム化
合物を挿入(インターカレート)し作成した有機無機複
合体を、高分子原料に添加し重合させるだけで、機械的
強度と耐熱性に優れた複合化高分子材料が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
内に有する、ホスホニウム化合物であって、次式
(I):
Aは芳香族基、Bは結合基、R1、R2及びR3は、同
一又は異なり、芳香族基又は脂肪族基を表す。)で示さ
れる陽イオンを陽性成分とするホスホニウム化合物。 (2)陰性成分がハロゲン基である前記(1)に記載の
ホスホニウム化合物。
Aは芳香族基、Bは結合基、Xはハロゲン基を表す。)
で示されるハロゲン化合物を次式(III):
族基又は脂肪族基を表す。)で示される3級リン化合物
と反応させることを含む、前記(1)又は(2)に記載
のホスホニウム化合物の製造方法。
(1)又は(2)に記載の反応性ホスホニウム化合物、
又は、該反応性ホスホニウム化合物及び触媒を挿入して
なる有機無機複合体。 (5)膨潤性層状珪酸塩が、膨潤性合成雲母である前記
(4)に記載の有機無機複合体。
無機複合体が高分子中に分散している複合化高分子材
料。 (7)高分子が芳香族ポリエステルである前記(6)に
記載の複合化高分子材料。 (8)前記(4)又は(5)に記載の有機無機複合体を
高分子原料に添加し、重合させることにより、該有機無
機複合体を高分子中に分散させることを特徴とする、前
記(6)又は(7)に記載の複合化高分子材料の製造方
法。
反応性官能基を有するホスホニウム化合物、(ii)前記ホ
スホニウム化合物を挿入(インターカレート)してなる
有機無機複合体、(iii)前記有機無機複合体が高分子中
に分散している複合化高分子材料、並びに (iv)前記ホ
スホニウム化合物及び前記複合化高分子材料の製造方法
に関する。
反応性官能基を有するホスホニウム化合物、膨潤性層
状珪酸塩、触媒及び高分子原料の詳細を下記に示
す。
物 本発明の反応性官能基を有するホスホニウム化合物は、
次式(I)で示される陽イオンを陽性成分とするホスホニ
ウム化合物である。
であり、高分子原料と重合時に結合しうる官能基であれ
ば特に限定されず、カルボキシル基又はアルコキシカル
ボニル基(COOR基)であることが好ましく、COO
R基のR(アルキル基)は、置換基(例えば、水酸基、
ハロゲン基)を有するアルキル基であってもよいが、特
にCmH2m+1−(mは1〜10の整数)である直鎖
又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキ
ル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、
t-ブチル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
nは1〜5の整数で表され、2であることが好ましい。
Aは芳香族基、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、メ
チルベンゼン環であり、ベンゼン環が好ましい。Bは結
合基であり、特に制限はないが、例えば鎖員1〜35の
もの、好ましくは鎖員2〜21のものが挙げられる。前
記結合基としては、通常、芳香族基、脂肪族基及びエー
テル結合のうち少なくとも一種の構造を有するものが挙
げられ、一つのエーテル結合を含む直鎖又は分岐アルキ
レン基であることが好ましく、特に一つのエーテル結合
を含む炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ま
しく、一つのエーテル結合を含む炭素数3〜20のアル
キレン基が最も好ましい。R1、R2及びR3は、同一
でも異なっていてもよく、芳香族基又は脂肪族基であ
る。前記芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチ
ル基、トリル基、メトキシフェニル基が挙げられ、前記
脂肪族基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基
等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で
ある。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル
基、t-ブチル基等が挙げられる。R1、R2及びR3と
しては、置換又は無置換の芳香族基、例えばフェニル
基、ナフチル基、トリル基が好ましく、無置換の芳香族
基、例えばフェニル基、ナフチル基が更に好ましく、フ
ェニル基が最も好ましい。
しては、前記式(I)で示される陽性成分とホスホニウ
ム塩又はホスホニウム塩基を形成し得るものであれば、
特に制限はなく、例えばハロゲン基、水酸基が挙げられ
る。本発明の反応性官能基を有するホスホニウム化合物
の製法を以下に述べるが、本発明の趣旨が逸脱されない
限り、本発明はこの製法に限定されるものではない。本
発明の反応性官能基を有するホスホニウム化合物のう
ち、Bで表される結合基の末端にエーテル結合を有する
化合物は、次のようにして得ることができる。
るフェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、次式
(2):
一種の構造を有する結合基であって、末端以外の部分に
エーテル結合を有していてもよい。)で示されるα,ω
−ブロモアルコールとを塩基性条件下で反応させてエー
テル結合を形成させ、次式(3):
示される中間体1を得る。
基を有する芳香族化合物としては、例えば、フェノール
性水酸基を有する芳香族ジエステル化合物(具体的には
5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル等)が挙げられ
る。前記式(2)で示されるα,ω−ブロモアルコール
としては、例えば3−ブロモ−1−プロパノール、10
−ブロモ−1−デカノールが挙げられる。次いで、中間
体1の末端水酸基を、例えば、ハロゲン化炭素(例え
ば、四臭化炭素、四塩化炭素)及び3級リン化合物(例
えば、トリフェニルホスフィン)で処理することにより
ハロゲン化し、次式(4):
る。)で示される中間体2を得る。
示される3級リン化合物(例えば、トリフェニルホスフ
ィン)とを混合加熱し、ホスホニウム塩を形成させるこ
とによって、本発明の反応性を有するホスホニウム化合
物を得ることができる。また、本発明のホスホニウム化
合物のうち、Bで表される結合基の末端にエーテル結合
を有しない化合物は、次のようにして得ることができ
る。
−アルケニルアルコールと、次式(6):
ち少なくとも一種の構造を有し、Xはハロゲン基であ
る。)で示される酸ハロゲン化物又は酸無水物とを反応
させることによってエステル結合を形成させ、アルコー
ル基(水酸基)が保護された、次式(7):
中間体3を得る。
ルアルコールとしては、例えばアリルアルコール、9−
デセン−1−オール等が挙げられる。前記式(6)で示
される酸ハロゲン化物としては塩化アセチル、ベンジル
ブロミド等が挙げられ、酸無水物としては無水酢酸、無
水安息香酸等が挙げられる。
るブロモ基を有する芳香族化合物とを、例えば酢酸パラ
ジウム及び3級リン化合物(例えば、トリフェニルホス
フィン)を触媒として、塩基存在下でカップリングさせ
ることにより、次式(9):
る。)で示される中間体4を得る。
芳香族化合物としては、例えば、ブロモ基を有する芳香
族ジエステル化合物(具体的には2−ブロモテレフタル
酸ジメチル、4−ブロモイソフタル酸ジメチル等)が挙
げられる。
(例えば、B2H6、BH3・THF錯体、9−ボラビ
シクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)、テキシル
ボラン等)で還元処理することにより、次式(10):
示される中間体5を得る。
ン化し、次いで、前記式(III)で示される3級リン化
合物と混合加熱し、ホスホニウム塩を形成させることに
より、本発明のホスホニウム化合物のうち、Bで表され
る結合基の末端にエーテル結合を有しない化合物を得る
ことができる。また、本発明の反応性官能基を有するホ
スホニウム化合物のうち、陰性成分が水酸基である化合
物、即ちホスホニウム塩基は、陰性成分がヨウ素基等の
ハロゲン基であるホスホニウム塩を水酸化銀で処理する
ことによって得ることができる。
晶層間に水又は有機溶媒が進入して膨潤する意味であ
り、主要構成層を構成する元素と層間物質を構成する元
素の種類により膨潤度に差を生じ、所謂自由膨潤又は限
定膨潤になるもので、本発明ではいずれも使用できる。
それらの膨潤性層状珪酸塩は水中で薄片状の微結晶とな
って分散する。
造は、四面体シート(A)と八面体シート(B)が、
A:B=2:1の割合で組み合わされた主要構成層
(2:1層)と、電荷バランスをとるためにそれらの層
間にある陽イオンよりなる層間物質とよりなるものであ
る。また、本発明で用いる膨潤性層状珪酸塩は、平均粒
径0.1〜50μmのものが好ましく、粒径が大きい場
合には粉砕した方が好ましい。
としては、例えば、天然又は合成のヘクトライト、サポ
ナイト、スティーブンサイト、バイデライト、モンモリ
ロナイト、ノントロナイト、ベントナイト等のスメクタ
イト族粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、
Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオラ
イト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母族粘土鉱
物及びバーミキュライト、又はこれらの置換体や誘導
体、或いはこれらの混合物が挙げられる。
オン又はLiイオンの一部がKイオンで置換されているも
の、四面体シートのSiイオンの一部がMgイオンで置換さ
れているものが含まれる。膨潤性層状珪酸塩の市販品と
しては、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクト
ライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合
成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル
社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA-1(クニ
ミネ工業(株)製サポナイト類似物質)、ベンゲル(豊順
洋行(株)販売の天然モンモリロナイト)、クニピアF
(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビ
ーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライ
ト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の膨潤性合成雲
母)、ソマシフ(ME、コープケミカル(株)製の膨潤性合
成雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタ
イト)、SWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイ
ト)等が挙げられる。
ケイフッ化アルカリの混合物を加熱処理して得られる膨
潤性合成雲母が好ましく、タルクとケイフッ化ナトリウ
ム及び/又はケイフッ化リチウムとを混合した微粉末を6
00〜1200℃に加熱処理して得られるものが更に好まし
い。このような膨潤性合成雲母としては、具体的には、
下記の式(A)で示される膨潤性合成雲母(例えば、ソ
マシフ(ME、コープケミカル(株)製))が挙げられる。
3.0-bは八面体シートを形成している配位数6の陽イオン
であり、Siは四面体シートを形成している配位数4の陽
イオンであり、(F2.0-c, OHd, Oe)中のF、OH、Oは陰イ
オンとして八面体シートに存在する。なお、“,”は
“及び/又は”を表す。また、a〜eの記号は下記の数値
を表す。 0.2≦a≦1.0 ; 0≦b≦0.5 ; c=d+2e≦1.0 ; 0≦d≦1.0
; 0≦e≦0.5]
の重合が促進されるものであれば特に限定されず、具体
的には、金属系触媒が挙げられる。金属は、遷移金属が
好ましく、特に周期律表第IV〜VIII族に属する遷移金属
が好ましい。具体的には、ゲルマニウム塩、アンチモン
塩、チタンのアルコキシド等が挙げられ、特にアンチモ
ン塩、三酸化アンチモン、アンチモンのアルコキシドが
好ましい。これらの触媒は、複合化高分子材料の製造時
に、高分子原料と混合してもよく、また、予め、有機無
機複合体の製造時に、膨潤性層状珪酸塩の層間に、反応
性ホスホニウム化合物と共に挿入してもよい。
が高分子中に分散しているものであり、例えば、該有機
無機複合体を高分子原料に添加し重合させることにより
得ることができる。前記高分子原料としては、複合化高
分子材料を形成できるものであれば特にその形態は限定
されず、具体的には、モノマー、オリゴマー及びポリマ
ーのいずれも使用可能である。
樹脂の原料を使用することが好ましく、具体的には、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエ
ーテル、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、アクリ
ル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリオレフィン(ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)等の高分子
原料が挙げられる。好ましくは、ポリエステルの高分子
原料である。
アミノ-n-カプロン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノ
酸、ヘキサメチレンジアミンのアジピン酸塩等のナイロ
ン塩、ε-カプロラプタム、ブチロラクタム、バレロラ
クタム、カプリルラクタム、ドデカノラクタム等のラク
タム等が挙げられる。
ジカルボン酸又はそのジエステルとしてアジピン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレ
フタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホ
イソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,4-
シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、ジメチ
ルテレフタレート、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタ
レート(BHET)等;また、ジオール(グリコール)
として、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シク
ロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジ
エチレングリコール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げ
られる。
述べるが、本発明の趣旨が逸脱されない限り、本発明は
この製法に限定されるものではない。本発明の複合化高
分子材料は、本発明の有機無機複合体が高分子中に分散
している複合化高分子材料である。該有機無機複合体
は、高分子中に微細で均一に分散していることが好まし
い。本発明の有機無機複合体は、好ましくは、膨潤性層
状珪酸塩の層間に、前記反応性ホスホニウム化合物、又
は、該反応性ホスホニウム化合物及び触媒を挿入してな
る。
前記記載の反応性官能基を有するホスホニウム化合
物、前記記載の膨潤性層状珪酸塩及び前記記載の触
媒を、水及び/又は有機溶媒に、溶解又は懸濁した後、
乾燥させることにより、更に好ましくは、前記記載の
反応性官能基を有するホスホニウム化合物及び前記記
載の膨潤性層状珪酸塩を、水及び/又は有機溶媒に、溶
解又は懸濁した後、乾燥させることにより得られる。
有するホスホニウム化合物を溶解するものであれば特に
限定されず、例えば、アルコール類(メタノール、エタ
ノール、プロパノール等の低級アルコール等)やグリコ
ール類などの多価アルコール類が挙げられる。膨潤性層
状珪酸塩は、通常、水及び/又は有機溶媒に分散させた
懸濁液として用いられ、該懸濁液中の膨潤性層状珪酸塩
の濃度は、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量
%である。
は、溶媒(水及び/又は有機溶媒)に溶解させたものが
好ましく、その添加量は種類により異なるが、膨潤性層
状珪酸塩に対して、通常0.1〜120(meq/100g)、好ましく
は12〜120(meq/100g)、更に好ましくは60〜120(meq/100
g)である。
を溶媒に溶解させた溶液、又はホスホニウム化合物と触
媒とを共に溶媒に溶解させた溶液に、膨潤性層状珪酸
塩、又は膨潤性層状珪酸塩を水に分散させた分散液を添
加し混合する。その後、乾燥することにより、本発明の
有機無機複合体が得られる。
が、膨潤性層状珪酸塩に対して通常0.1〜10重量%、好
ましくは0.3〜2重量%である。本発明の複合化高分子材
料は、得られた有機無機複合体に高分子原料を添加し重
合することにより得られる。
塩の添加量は、通常0.1〜20重量%、好ましくは2〜10重
量%である。このようにして得られる本発明の複合化高
分子材料は、機械的強度と耐熱性に優れたものである。
が、本発明の趣旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
ニウム化合物の合成] 〔中間体1の合成〕乾燥アセトンに5−ヒドロキシイソ
フタル酸ジメチル、10−ブロモ−1−デカノール及び
炭酸カリウムをモル比1:1.05:2の割合で溶解させ、こ
れを24時間還流させ、室温に冷却後、沈殿物を濾過して
除去し、濾液を濃縮した。析出した固体をトルエンから
再結晶し、中間体1を得た(シリカゲルカラムクロマト
グラフィーによる精製後の収率83%)。構造は1H−
NMR(CDCl3)及びIRスペクトル(KBr:1
724cm−1)により確認した。以下に、中間体1の
構造と1H−NMRスペクトルの帰属を示す。
ンに中間体1と四臭化炭素をモル比1:1.1の割合で溶解
し、溶液を0℃に冷却した。この溶液に窒素気流下でト
リフェニルホスフィン1.1(モル比)を徐々に添加し、
添加終了後、1時間撹拌した。反応溶液にテトラヒドロ
フランと同量の水を加え、有機物をジクロロメタンで抽
出した。ジクロロメタン抽出液を濃縮し、析出した固体
をメタノールから再結晶して精製し、中間体2を得た
(シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製後の
収率70%)。構造は1H−NMR(CDCl3)及び
IRスペクトル(KBr:1721cm −1)により確
認した。以下に、中間体2の構造と1H−NMRスペク
トルの帰属を示す。
中間体2とトリフェニルホスフィンを等モル溶解し、11
0℃で15時間加熱した。冷却して析出した固体をメタノ
ール−メチル-tert-ブチルエーテルから再結晶し、ホス
ホニウム化合物を得た。構造は1H−NMR(CDCl
3)及びIRスペクトル(NaCl:1724c
m−1)により確認した。以下に、ホスホニウム化合物
の構造と1H−NMRスペクトルの帰属を示す。
(ME-100,コープケミカル(株)製の合成雲母、平均
粒径6μm)8gと純水92 gとをミキサーで混合し、ME
の8 重量%分散液を得た。ME8 重量%分散液50 g(M
E4 g)と純水350 gを混合し、1時間撹拌して、MEの1
重量%分散液400 gを得た。実施例1で作成したホスホ
ニウム化合物3.32 g (120 meq/100g ME)を純水400 mL、
メタノール270 mLの混合溶媒に溶解し、ここにMEの1
重量%分散液400 g(ME4 g)を滴下後、一昼夜撹拌し
た。反応液を遠心分離(6000 rpm、20分)して、上澄み
を除去し、固形分を減圧乾燥して本発明の有機無機複合
体Aを得た。
ホスホニウム化合物の分量を120 (meq/100g ME)から60
(meq/100gME)に変更した以外は実施例2と同様にして有
機無機複合体Bを得た。
T)の合成]実施例2で作成した本発明の有機無機複合
体Aを2.77 g(ME換算1.6 g相当)、ビス(ヒドロキ
シエチル)テレフタレート(以下BHET)20 g(7.9×1
0-2mol)及び三酸化アンチモン5.7 mg(アンチモン触媒
3.9×10-5 mol)を混合し、減圧下加熱することにより
(275 ℃、0.1 torr以下、3時間)、本発明の複合化高
分子材料Aを得た。
T)の合成]実施例3で作成した本発明の有機無機複合
体Bを用いて、実施例4と同様にして複合化高分子材料
Bを得た。
の合成]BHETを原料に、公知の方法(BHET法:
東洋紡績に依頼)で重合して、比較PET A(ブラン
ク)を得た。 [比較例2 比較PET B(ME含有)の合成]ME
8重量部をBHET100重量部に添加し、十分に混合した
後、公知の方法(BHET法)で重合を行い、比較PE
T B(ME含有)を得た。
定]実施例4〜5及び比較例1〜2で合成した複合化高
分子材料(PET)A〜B及び比較PET A〜Bを、
射出成形法により下記の大きさの試験片に加工して、機
械的物性[曲げ弾性率 : Ef (kgf/cm2)]を測定した。
4及び比較例2で合成した複合化高分子材料A及び比較
PET Bを偏光顕微鏡(倍率100倍)により直交ニコ
ル下、280℃で観察した。結果を図1に示す。
は、ブランクの比較PET Aに対して、1.5〜1.9倍近
い曲げ弾性率が得られた。また、公知の方法でMEを含
有させた比較PETBに対しても1.5〜1.7倍の優れた曲
げ弾性率が得られた(表4参照)。本発明の複合化高分
子材料Aは、同量のMEを含有する比較PET Bに比
べて、偏光顕微鏡で観察される凝集体の割合が非常に減
少しており、MEの分散性が非常に高くなっている(図
1参照)。
ウム化合物は、有機無機複合体を作成することにより、
それを添加して重合した複合化高分子材料の機械的強
度、耐熱性等の向上に有用である。
ており、また品質が安定しているため、接着剤、塗料、
各種プラスチック製品、繊維製品やこれらを製造する工
業プロセスの原料として有用であり、特に機械的強度と
耐熱性に優れた複合化高分子材料の原料として有用であ
る。本発明の有機無機複合体と高分子原料を添加し重合
して得られる複合化高分子材料は、機械的強度、耐熱性
に優れている。
Claims (8)
- 【請求項1】 エステル形成官能基とホスホニウム基を
同一分子内に有する、ホスホニウム化合物であって、次
式(I): 【化1】 (D)n−A−B−P+R1R2R3 (I) (式中、Dはエステル形成官能基、nは1〜5の整数、
Aは芳香族基、Bは結合基、R1、R2及びR3は、同
一又は異なり、芳香族基又は脂肪族基を表す。)で示さ
れる陽イオンを陽性成分とするホスホニウム化合物。 - 【請求項2】 陰性成分がハロゲン基である請求項1記
載のホスホニウム化合物。 - 【請求項3】 次式(II): 【化2】(D)n−A−B−X (式中、Dはエステル形成官能基、nは1〜5の整数、
Aは芳香族基、Bは結合基、Xはハロゲン基を表す。)
で示されるハロゲン化合物を次式(III): 【化3】PR1R2R3 (III) (式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なり、芳香
族基又は脂肪族基を表す。)で示される3級リン化合物
と反応させることを含む、請求項1又は2記載のホスホ
ニウム化合物の製造方法。 - 【請求項4】 膨潤性層状珪酸塩の層間に、請求項1又
は2記載の反応性ホスホニウム化合物、又は、該反応性
ホスホニウム化合物及び触媒を挿入してなる有機無機複
合体。 - 【請求項5】 膨潤性層状珪酸塩が、膨潤性合成雲母で
ある請求項4記載の有機無機複合体。 - 【請求項6】 請求項4又は5記載の有機無機複合体が
高分子中に分散している複合化高分子材料。 - 【請求項7】 高分子が芳香族ポリエステルである請求
項6記載の複合化高分子材料。 - 【請求項8】 請求項4又は5記載の有機無機複合体を
高分子原料に添加し、重合させることにより、該有機無
機複合体を高分子中に分散させることを特徴とする、請
求項6又は7記載の複合化高分子材料の製造方法。
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