JP3422971B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

電磁クラッチ

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JP3422971B2
JP3422971B2 JP2000153993A JP2000153993A JP3422971B2 JP 3422971 B2 JP3422971 B2 JP 3422971B2 JP 2000153993 A JP2000153993 A JP 2000153993A JP 2000153993 A JP2000153993 A JP 2000153993A JP 3422971 B2 JP3422971 B2 JP 3422971B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用冷媒圧
縮機などに装着される電磁クラッチに関するものであ
り、特には、励磁コイルと直列に接続された温度ヒュー
ズが設けられた電磁クラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用冷媒圧縮機に装着される電磁ク
ラッチは、弾性部材により圧縮機の回転軸側に支持され
たアーマチュアと、このアーマチュアとエアギャップを
おいて対向し圧縮機のハウジングのノーズ部に回転自在
に支持されたロータと、弾性部材の弾性復帰力に抗して
アーマチュアをロータに磁気吸着するための磁束が発生
する励磁コイルが設けられている。また、励磁コイル
は、自己融着線からなるワイヤーを複数回巻いて固める
ことにより所定の外径寸法と所定の長さ寸法に形成され
ているとともに、巻途中にたるみ部を形成しそれを切断
することにより一対の切断端部が設けられている。また
更に、励磁コイルは、一方の端面側に嵌合されたボビン
本体と、他方の端面側に被せられたコイルカバーからな
るコイルボビンで保持されている。また、コイルカバー
には、励磁コイルの切断端部と温度ヒューズのリードが
端子で電気的に接続された接続部が設けられている。こ
のような構成からなる電磁クラッチとしては、特開平1
0−37978号公報(以下、先行発明1という)に記
載された電磁クラッチが代表的である。
【0003】先行発明1の電磁クラッチは、ヨークのコ
イル収容溝から露呈したコイルカバーの側面に、コイル
収容溝の開口方向に突出した周壁で囲まれコイルカバー
の周方向に延びた接続部が一体に形成されている。以
下、図12ないし図14により、コイルカバーの接続部
の構造を簡単に説明する。図12はヨークの一部分の平
面図、図13はコイルカバーの一部分の平面図、図14
は図13のA−A線断面図である。
【0004】先行発明1のコイルカバー1は、励磁コイ
ル7(切断端部7a、7bのみ図示されている。)に被
せられる環状溝1aが形成された合成樹脂材製の環状な
部材であり、ヨーク2のコイル収容溝2aに嵌合されて
いる。また、コイル収容溝2aから露呈したコイルカバ
ー1の側面1bには、その側面1bから突出した周壁
(側板3a、3b、3c、3d)により四方が囲まれた
接続部3が一体に形成されている。また更に、接続部3
には、温度ヒューズ8のケース8bが嵌合された保持溝
4aと、励磁コイル7の切断端部7a、7bが引き出さ
れる一対のコイル引出穴4bが形成されたヒューズ保持
部4と、このヒューズ保持部4の両側に設けられ、温度
ヒューズ8のリード8aが係入されるリード係入用の溝
5aと、励磁コイル7の切断端部7a、7bが係入され
るコイル係入用の溝5bと、これら溝5a、5bと直交
する端子係入用の一対の溝5cが形成された端子圧入部
5が設けられている。
【0005】このような構成の接続部3が設けられたコ
イルカバー1には、温度ヒューズ8が、リード8aを溝
5aに係入させながらケース8bを保持溝4aに嵌合す
ることにより組み立てられる。また、励磁コイル7の切
断端部7a、7bは、このコイルカバー1を励磁コイル
7に被せるときにコイル引出穴4bから引き出されると
ともに、コイルカバー1の周方向に折り曲げられて溝5
bに係入される。また更に、端子6の側板部(図示され
ていない)を溝5cに係入することにより、励磁コイル
7と温度ヒューズ8が直列に接続される。
【0006】先行発明1の電磁クラッチは、圧縮機の回
転軸の負荷が大きくなって、その回転軸に連結されたア
ーマチュアとクランクプーリとベルト連結されたロータ
とのスリップ回転による摩擦熱が発生すると、接続部3
の周辺の温度が上昇し温度ヒューズ8が溶断される。ま
た、励磁コイル7への通電が断たれ磁束の磁気吸引力が
消滅して、アーマチュアがロータから離間する。したが
って、先行発明1の電磁クラッチは、ロータのベルト溝
に掛けられたベルトが切断されるなどの問題を解決する
ことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行発明1の電磁クラ
ッチは、接続部3にヒューズカバー(図示されていな
い)を被せて超音波溶着することにより、接続部3の中
に溶断設定温度が184℃の温度ヒューズ8を収容して
いた。しかしながら、吐出圧力・吐出量が大きな圧縮機
に装着される高負荷使用の電磁クラッチにおいては、搭
載される車両での使用環境も相俟って、圧縮機の正常な
運転中に温度ヒューズ8が作動(溶断)してしまうこと
もあると考えられた。また、例えば溶断設定温度が21
6℃の温度ヒューズを採用すると、接続部3の中では熱
の伝導性が好ましくなく、アーマチュアとロータとのス
リップ回転により周辺温度が上昇し始めてから温度ヒュ
ーズが溶断するまでの作動時間が長くなるので、電磁ク
ラッチによる動力伝達が遮断される前にベルトが切断さ
れるなどの危険性も考えられた。
【0008】このような課題を解決する手段としては、
特開平11−201190号公報(先行発明2)の電磁
クラッチのように、ヒューズカバーを被せないで温度ヒ
ューズのケースを外部に露呈することが知られている。
しかしながら、熱の伝導性が良好になり温度ヒューズの
応答性は向上するが、温度ヒューズのケースの防錆・防
蝕の問題があった。また、ケースの一部が絶縁されてい
ない温度ヒューズもあり、先行発明2の技術をそのまま
採用することはできなかった。
【0009】また、ケースの一部が絶縁されていない温
度ヒューズを採用する場合、先行発明1のコイルカバー
1は、温度ヒューズ8のケース8bを保持する保持溝4
aの端部近傍に、励磁コイル7の切断端部7a、7bを
引き出すためのコイル引出穴4bを形成していたので、
絶縁されていないケース8bと切断端部7a、7bが接
触しないように、それらを十分な間隔をおいて配設する
必要があった。
【0010】しかしながら、自動車用冷媒圧縮機に装着
される電磁クラッチにおいては、ヨーク2のコイル収容
溝2aの溝幅が、ロータの内周面に嵌合される軸受の寸
法とロータの外周面に設けられるベルト溝の寸法により
制限されるため、ケース8bを保持する保持溝4aと切
断端部7a、7bを引き出すためのコイル引出穴4bと
を、十分な間隔をおいて設計することができない。特
に、先行発明1の電磁クラッチは、ヨーク2の開口端面
に、コイル収容溝2aに励磁コイル7を保持するための
複数のカシメ片2bを、コイルカバー1の側面に喰い込
むようにプレス加工で形成するため、接続部3の側板3
bとヨーク2の開口端部とを近付けることができなかっ
た。
【0011】また、先行発明1のコイルカバー1は、励
磁コイル7の切断端部7a、7bを接続部3内に引き出
すための作業性を考え、コイル引出穴4bの切断端部7
a、7bの挿入口を円錐状(テーパ状)に加工してい
た。しかしながら、その挿入口は狭く、引き出す際に切
断端部7a、7bが角部分(図14において符号P、Q
の部分)で擦られ傷つくこともあった。このような問題
は、図14に図示した角度Rを大きくしコイル引出穴4
bの挿入口を広くすることにより解決されるが、コイル
引出穴4bの周壁が薄く強度不足となり、切断端部7
a、7bを引き出すときにコイル引出穴4bの周壁が破
損しやすいのではないかと考えられた。
【0012】この発明は、温度ヒューズの応答性および
作動の信頼性を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、第1発明の電磁クラッチは、コイル収容溝に
コイルボビンに保持された励磁コイルが収容されたヨー
クと、側面から突出した周壁で囲まれ前記コイル収容溝
と同方向に開口するとともに引き出された励磁コイルの
切断端部と温度ヒューズのリードが端子で接続された前
記コイルボビンの接続部が設けられ、前記接続部に紫外
線硬化および湿気硬化性シリコーン樹脂を充填したこと
を特徴とする。
【0014】第2発明の電磁クラッチは、加熱されたコ
イルボビンの接続部に、紫外線硬化および湿気硬化性シ
リコーン樹脂を数回に分けて適量充填するとともに、前
記樹脂の表面に出現した気泡を微風により除去してから
紫外線を照射して放置することにより、前記接続部に充
填した前記樹脂を硬化したことを特徴とする。
【0015】第3発明の電磁クラッチは、コイルボビン
の接続部には、温度ヒューズのケースが保持される保持
溝が底部に形成されたヒューズ保持部と、平行に延びた
リード係入用の溝と切断端部係入用の溝、およびこれら
溝と直交した端子係入用の溝が形成され前記保持溝の長
手方向の両側に設けられた端子圧入部と、各端子圧入部
の前記ヒューズ保持部とは反対側に設けられ、励磁コイ
ルの切断端部が引き出されるコイル引出穴が形成された
コイル引出部が設けられ、前記励磁コイルの切断端部
は、前記端子圧入部側に折り曲げられ前記切断端部係入
用の溝に係入されていることを特徴とする。
【0016】第4発明の電磁クラッチは、コイル引出穴
に、コイル引出部の底部から突出した周壁で囲まれた引
出口を形成したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】図1ないし図11は、この発明の
実施の形態として図示された自動車用冷媒圧縮機に装着
される電磁クラッチである。図1は電磁クラッチの断面
図、図2は図1の励磁装置の平面図、図3ないし図5は
図2の要部のみを図示した平面図であり、図3は注型樹
脂と温度ヒューズ、端子を省略した要部平面図、図4は
注型樹脂と端子を省略した要部平面図、図5は図2の要
部平面図である。図6は端子であり、(a)は底面図、
(b)は側面図である。図7ないし図11はコイルカバ
ーであり、図7は図3のB−B線断面図、図8は図3の
C−C線断面図、図9は図3のD−D線断面図、図10
は図3のE−E線断面図、図11は図3のF−F線断面
図である。
【0018】自動車用冷媒圧縮機9に装着された電磁ク
ラッチ10は、圧縮機9の回転軸9aにスプライン嵌合
され当て板11とボルト12により一体に固定されたア
ーマチュア組立体と、圧縮機9のハウジング9bに形成
された円筒状のノーズ部9cに軸受13により回転自在
に支持されたロータ14と、圧縮機9のハウジング9b
に支持されたヨーク組立体が設けられている。
【0019】アーマチュア組立体は、回転軸9aがスプ
ライン嵌合されるスプライン穴が形成されたボス部15
aと、このボス部15aから半径方向外側に延びたフラ
ンジ部15bが形成されたハブ15と、このハブ15の
フランジ部15bに複数のリベット16で固定されたス
トッパプレート17と、同一円周上を数等分する位置に
形成されたストッパプレート17の貫通穴17aと、こ
の貫通穴17aと同中心となる貫通穴18aが底部に形
成され、貫通穴17aと貫通穴18aを位置合わせした
状態で、ストッパプレート17の外側面に溶着された複
数のゴムカバー18と、各ゴムカバー18の中に個々に
嵌合された複数のダンパーゴム19と、このダンパーゴ
ム19の中心に形成された貫通穴から挿入され貫通穴1
8aと貫通穴17aを貫通した複数の有頭筒状のトルク
伝達ピン20と、ストッパプレート17の内側面に配設
され、トルク伝達ピン20の先端に形成された小径筒部
をカシメ加工することによりトルク伝達ピン20に連結
されたアーマチュア21が設けられている。なお、符号
21aは、アーマチュア21に円周方向間隔をおいて形
成された磁束迂回用の円弧状長穴である。
【0020】ロータ14は、軸受13が嵌合され抜け止
めされた内側の円筒部14aと、外周面にベルト溝22
が形成された外側の円筒部14bと、これら円筒部14
a、14bの端部を連結し、外側面をアーマチュア21
の摩擦面とエアギャップGをおいて対向する摩擦面とし
た円板部14cが設けられ、ハウジング9b側に開口し
た環状溝14dが形成されている。なお、符号14e
は、円板部14cに円周方向間隔をおいて形成された磁
束迂回用の円弧状長穴である。
【0021】ヨーク組立体は、ヨーク23の背面に溶着
された取付板24をハウジング9bの側面に固定するこ
とにより圧縮機9に一体に装着されている。また、ヨー
ク23は、ロータ14の円板部14c側に開口した環状
なコイル収容溝23aが形成されロータの14の環状溝
14dに挿入されている。また更に、コイル収容溝23
aの内側の周壁となる内極部の端面23bと、コイル収
容溝23aの外側の周壁となる外極部の端面23cがロ
ータ14の円板部14cの内側面と間隔をおいて対向し
ており、コイル収容溝23aの開口部と円板部14cと
の間に環状なスペースSが設けられている。
【0022】ヨーク23のコイル収容溝23aには、ボ
ビン本体25とコイルカバー26からなるコイルボビン
で保持された励磁コイル27が収容されている。ボビン
本体25は、励磁コイル27の一方の端面側が嵌合され
た環状溝が形成され、底部にはヨーク23の底部に形成
された貫通穴を貫通する端子係入部が形成されている。
図示されてはいないが、その端子係入部に引き出された
励磁コイル27の巻始め端部と巻終わり端部が、端子係
入部に圧入される端子ハウジング28の端子と電気的に
接続されている。なお、このような励磁コイル27の巻
端部と端子の接続構造は、特開平10−231860号
公報や特開平11−311264号公報などに記載され
ている構造が採用される。
【0023】コイルカバー26は、図3および図7ない
し図11などに図示した形状である。すなわち、コイル
カバー26は、励磁コイル27の一方の端面側に被せら
れる環状溝26aが形成された樹脂材製の環状な部材で
あり、環状溝26aの開口方向とは反対となる側面に
は、コイルカバー26の任意な基準円(図示せぬ)の接
線方向に延び、側面から突出した側板26b、26c、
26d、26eで形成された周壁で囲まれた接続部29
が一体に形成されている。接続部29は、図1のように
コイル収容溝23aからスペースSに突出して、その開
口部がロータ14の円板部14cの内側面に近接してい
る。
【0024】また、接続部29には、長手方向の中央に
位置するヒューズ保持部30と、このヒューズ保持部3
0の両側に形成された端子圧入部31と、各端子圧入部
31のヒューズ保持部30とは反対側に形成されたコイ
ル引出部32が設けられている。ヒューズ保持部30の
底部には、温度ヒューズ33の円筒状のケース33aが
載置される半円柱状の保持溝30aが形成されている。
また、各端子圧入部31には、間隔をおいて保持溝30
aの長手方向に延びた切断端部係入用の溝31aとリー
ド係入用の溝31b、およびこれら溝31a、31bと
直交するように間隔をおいて形成された端子係入用の溝
31cが形成されている。
【0025】また更に、接続部29の両端部に設けたコ
イル引出部32には、励磁コイル27の巻途中の切断端
部27a、27bが引き出されるコイル引出穴32aが
形成されている。コイル引出穴32aは、環状溝26a
側に開口した段付き円錐状の挿入口32bと、底部から
突出した環状な周壁32cで形成された引出口32dが
設けられている。
【0026】このような構造からなる接続部29には、
コイル引出穴32aから引き出された励磁コイル27の
一対の切断端部27a、27bが切断端部係入用の溝3
1aに係入されている。また、接続部29には、ヒュー
ズ保持溝30aにケース33aが嵌合された温度ヒュー
ズ33の各リード33bがリード係入用の溝31bに係
入されている。また更に、接続部29には、励磁コイル
27の切断端部27a、27bと温度ヒューズ33のリ
ード33bとを電気的に接続する端子34が圧入されて
いる。
【0027】図6に図示されているように、端子34
は、コ字状に折り曲げられ対向した一対の側板34a、
34bが形成されている。各側板34a、34bには、
励磁コイル27の切断端部27a、27bの絶縁被膜を
破り芯線に喰い込む溝幅からなる溝34cと、温度ヒュ
ーズ33のリード33bと電気的な接続が可能な溝幅か
らなる溝34dが形成されている。また、各側板34
a、34bの端面には、端子係入用の溝31cに圧入し
たときに溝31cの壁面に喰い込む係止爪34eが形成
されている。したがって、切断端部27a、27bを溝
34cに圧入しながら、またリード33bを溝34dに
圧入しながら、端子34の側板34a、34bを端子係
入用の溝31cに係入することにより、励磁コイル27
と温度ヒューズ33は直列に接続される。また、端子3
4の係止爪34eが端子係入用の溝31cの壁面に喰い
込む。
【0028】温度ヒューズ33が接続された励磁コイル
27は、ヨーク23の内外極端面23b、23cをカシ
メ加工することにより形成された複数のカシメ片23d
で、ヨーク23のコイル収容溝23aに保持されてい
る。また、コイルカバー26の接続部29には、無色透
明な紫外線硬化および湿気硬化性シリコーン樹脂(株式
会社スリーボンド製スリーボンド(登録商標)316
1、以下、シリコーン樹脂という)が充填され、樹脂被
膜層35が形成されている。
【0029】シリコーン樹脂の注型(充填硬化)作業
は、ヨーク組立体の組立工程における最終工程で行わ
れ、主な工程として、予備加熱工程、仮充填工程、本充
填工程、気泡除去工程、紫外線照射工程がある。予備加
熱工程においては、接続部29に樹脂が充填されていな
いヨーク組立体に温風が吹きかけられ接続部29が暖め
られる。この予備加熱工程は、充填工程において、切断
端部係入用の溝31aやリード係入用の溝31bおよび
端子係入用の溝31c、更に温度ヒューズ33のケース
33aと保持溝30aとの間など、狭い隙間にもシリコ
ーン樹脂が良好に流れ込むように、シリコーン樹脂の流
動性を良好にするための工程である。
【0030】仮充填工程は、予備加熱した接続部29に
シリコーン樹脂を適量充填する工程であり、シリコーン
樹脂を流し込みエアーを気泡として出現させることによ
り、狭い隙間のエアー抜きを行う工程である。すなわ
ち、一度にシリコーン樹脂を接続部29内に充填する
と、樹脂内部に気泡が残り、その状態でシリコーン樹脂
を硬化すると、気泡が破裂して温度ヒューズ33のケー
ス33aが露呈するからである。
【0031】本充填工程は、仮充填工程においてエアー
抜きが行われた接続部29内に、温度ヒューズ33のケ
ース33aが隠れるまでシリコーン樹脂を適量充填する
工程である。
【0032】気泡除去工程は、樹脂表面に出現した気泡
を、微風を吹きかけることにより除去する工程である。
【0033】紫外線照射工程は、紫外線照射ランプから
照射される紫外線を接続部29に充填したシリコーン樹
脂に約1.5分間照射することにより、シリコーン樹脂
を光化学変化させて硬化する工程である。なお、接続部
29内においては紫外線が照射されない影の部分がある
が、実施形態のシリコーン樹脂は湿気でも硬化する特性
があり、ヨーク組立体を数時間放置することにより十分
な硬度が得られる。
【0034】このような樹脂注型作業により、温度ヒュ
ーズ33を樹脂被膜層35により外部から保護したヨー
ク組立体は、取付板24をノーズ部9cに嵌合してハウ
ジング9bの側面に固定することにより圧縮機9に装着
される。また、ロータ14は、内側の円筒部14aに嵌
合された軸受13をノーズ部9cに嵌合することによ
り、圧縮機9に回転自在に支持される。また更に、アー
マチュア組立体は、ハブ15のボス部15aを回転軸9
aにスプライン嵌合するとともに、当て板11を回転軸
9aに突き当てた状態でボルト12を回転軸9aのねじ
穴に螺合することにより、回転軸9aに一体に装着され
る。また、圧縮機9に装着された電磁クラッチ10は、
車両に搭載されロータ14のベルト溝22に図示せぬベ
ルトが掛けられる。
【0035】車両に搭載された電磁クラッチ10は、励
磁コイル27に通電することにより、アーマチュア21
が、ダンパゴム19の弾性復帰力に抗してロータ14に
磁気吸着されるので、圧縮機9に動力が伝達される。ま
た、電磁コイル27への通電中において、圧縮機9の故
障により回転軸9aがロック状態になると、アーマチュ
ア21とロータ14がスリップ回転して摩擦熱が発生す
る。したがって、温度ヒューズ33を配設した周辺の温
度も上昇して温度ヒューズ33が溶断されるので、励磁
コイル27への通電が断たれ、圧縮機9への動力伝達は
遮断される。
【0036】以上、この発明の実施の形態として、自動
車用冷媒圧縮機に装着される電磁クラッチを説明した
が、この発明は、車両以外の動力伝達経路に配設される
電磁クラッチにも適用することができる。また、コイル
ボビンをボビン本体とコイルカバーで構成したが、コイ
ルボビンの形状や構成は実施の形態で説明したものに限
定されない。
【0037】
【発明の効果】第1発明の電磁クラッチは、コイルボビ
ンの接続部にヒューズカバーを被せて固着する作業が省
ける。また、ヒューズカバーが不要になった分、接続部
の周壁を高くすることができ、ケースの外径寸法が大き
な温度ヒューズも採用することができる。また更に、ヒ
ューズカバーで閉塞された接続部内に温度ヒューズを配
設した場合に較べ、紫外線硬化および湿気硬化性シリコ
ーン樹脂は熱の伝導性が良好であり、温度ヒューズの応
答性および作動の信頼性が向上する。また、紫外線照射
および湿気により硬化する樹脂を採用したので、エポキ
シ樹脂などの熱硬化性樹脂の注型(充填硬化)作業に較
べその作業が容易であり、電磁クラッチの生産性向上が
図られる。
【0038】第2発明の電磁クラッチは、充填した樹脂
の内部に気泡が残りそれが硬化時に破裂するといった注
型不良を防止することができる。したがって、励磁コイ
ルと温度ヒューズの接続部分を確実に保護することがで
きる。
【0039】第3発明の電磁クラッチは、励磁コイルの
切断端部を温度ヒューズのリードの先端側からコイル係
入用の溝に導くようにしたので、ヒューズ保持部のスペ
ースが有効に使えケースの外径寸法が大きな温度ヒュー
ズも採用することができる。
【0040】第4発明の電磁クラッチは、コイル引出穴
の引出口周辺の強度を高めることができ、切断端部を引
き出すときの引出口周辺の破損を防止することができ
る。したがって、接続部に充填した硬化前の樹脂が破損
したコイル引出穴から励磁コイル側に漏洩するといった
注型不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態として図示した電磁クラ
ッチの断面図である。
【図2】図1の励磁装置の平面図である。
【図3】注型樹脂と温度ヒューズ、端子を省略した図2
の要部平面図である。
【図4】注型樹脂と端子を省略した図2の要部平面図で
ある。
【図5】図2の要部平面図である。
【図6】端子であり、(a)は底面図、(b)は側面図
である。
【図7】コイルカバーのみを図示した図3のB−B線断
面図である。
【図8】コイルカバーのみを図示した図3のC−C線断
面図である。
【図9】コイルカバーのみを図示した図3のD−D線断
面図である。
【図10】コイルカバーのみを図示した図3のE−E線
断面図である。
【図11】コイルカバーのみを図示した図3のF−F線
断面図である。
【図12】従来のヨークの要部のみの平面図である。
【図13】従来のコイルカバーの要部のみの平面図であ
る。
【図14】図13のA−A線断面図である。
【符号の説明】 23 ヨーク 25 ボビン本体 26 コイルカバー 27 励磁コイル 27a 切断端部 27b 切断端部 30 ヒューズ保持部 30a 保持溝 31 端子圧入部 31a 切断端部係入用の溝 31b リード係入用の溝 31c 端子係入用の溝 32 コイル引出部 32a コイル引出穴 32b 挿入口 32c 周壁 32d 引出口 33 温度ヒューズ 33a ケース 33b リード 34 端子 35 樹脂被膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−41133(JP,A) 特開 平9−196087(JP,A) 特開 昭56−138529(JP,A) 特開 平7−127663(JP,A) 特開 平10−37978(JP,A) 特開 平6−215928(JP,A) 特開 平11−201190(JP,A) 特開 平10−231860(JP,A) 特開 平11−311264(JP,A) 実開 昭56−149129(JP,U) 実開 昭62−165778(JP,U) 実開 昭62−120309(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 27/10 H01F 7/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コイル収容溝にコイルボビンに保持され
    た励磁コイルが収容されたヨークと、側面から突出した
    周壁で囲まれ前記コイル収容溝と同方向に開口するとと
    もに引き出された励磁コイルの切断端部と温度ヒューズ
    のリードが端子で接続された前記コイルボビンの接続部
    が設けられ、前記接続部に紫外線硬化および湿気硬化性
    シリコーン樹脂を充填したことを特徴とする電磁クラッ
    チ。
  2. 【請求項2】 加熱されたコイルボビンの接続部に、紫
    外線硬化および湿気硬化性シリコーン樹脂を数回に分け
    て適量充填するとともに、前記樹脂の表面に出現した気
    泡を微風により除去してから紫外線を照射して放置する
    ことにより、前記接続部に充填した前記樹脂を硬化した
    ことを特徴とする請求項1記載の電磁クラッチ。
  3. 【請求項3】 コイルボビンの接続部には、温度ヒュー
    ズのケースが保持される保持溝が底部に形成されたヒュ
    ーズ保持部と、平行に延びたリード係入用の溝と切断端
    部係入用の溝、およびこれら溝と直交した端子係入用の
    溝が形成され前記保持溝の長手方向の両側に設けられた
    端子圧入部と、各端子圧入部の前記ヒューズ保持部とは
    反対側に設けられ、励磁コイルの切断端部が引き出され
    るコイル引出穴が形成されたコイル引出部が設けられ、
    前記励磁コイルの切断端部は、前記端子圧入部側に折り
    曲げられ前記切断端部係入用の溝に係入されていること
    を特徴とする請求項1、2記載の電磁クラッチ。
  4. 【請求項4】 コイル引出穴に、コイル引出部の底部か
    ら突出した周壁で囲まれた引出口を形成したことを特徴
    とする請求項3記載の電磁クラッチ。
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