JP3420375B2 - 成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板

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JP3420375B2
JP3420375B2 JP06409395A JP6409395A JP3420375B2 JP 3420375 B2 JP3420375 B2 JP 3420375B2 JP 06409395 A JP06409395 A JP 06409395A JP 6409395 A JP6409395 A JP 6409395A JP 3420375 B2 JP3420375 B2 JP 3420375B2
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好弘 矢沢
正之 笠井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性と耐二次加工脆
性に優れるフェライト系ステンレス鋼板(以下、鋼帯も
含む。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、表面が美麗で、耐食
性が優れているため、建築物の外装材や厨房材として幅
広く使用されている。とくに、フェライト系ステンレス
鋼板は、一般に、オーステナイト系ステンレス鋼板に比
べて、耐食性とくに耐応力腐食割れ性に優れるとともに
安価であるという利点を有している。しかしながら、従
来のフェライト系ステンレス鋼板は、加工性が十分では
なく、過酷なプレス成形を伴う厨房用品、自動車部品、
各種の装飾部品、建築用内外装部品などの用途に供する
ことが困難であった。
【0003】上記した、従来のフェライト系ステンレス
鋼板が抱えていた加工性とくにプレス成形性の欠点を改
善する試みとして、最近進歩が著しい鋼の高純度化技術
を適用したり、Bの添加とか、Tiと(C+N)量の適
正化をはかる提案などがある。例えば、高純度化技術を
適用するものとして、特公昭59-11659号公報、特公昭50
-23617号公報が、Tiと(C+N)量の適正化をはかる
ものものとして、特開昭54-11770号公報が、B添加また
はTiとBとを添加するものとして特公昭57-55787号公
報、特公平2-7391号公報などが挙げられる。
【0004】しかし、これらの技術では、それぞれプレ
ス成形性のうちの深絞り性、張出し性など特定の特性改
善については効果が見られるものの、深絞り性(r
値)、r値の面内異方性(以下単に「Δr」と略記す
る。)、伸び、張出し性等の成形加工特性の総合的なバ
ランスが十分ではなく、しかも耐二次加工脆性も劣ると
いう問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記既知
技術はいずれも、r値、伸び、張出し性、Δrなどの成
形性、さらに耐二次加工脆性を同時に満足させるもので
はないという共通した問題を抱えており、深絞り加工な
どの過酷なプレス成形を困難にしていた。
【0006】そこで、本発明の主たる目的は、上記既知
技術が抱えていた問題を解決し、成形性と耐二次加工脆
性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造技術を提
供することにある。この発明の具体的な目的は、r値:
1.5 以上、伸び:35%以上、Δr:0.2以下で、エリ
クセン値:10.0以上、耐二次加工脆性を示す割れ発生温
度:−70℃以下の特性を満たすフェライト系ステンレス
鋼板の製造技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、上掲の目的の実現
に向けて鋭意研究した結果、発明者らは、フェライト系
ステンレス鋼板の化学組成として、特に適正量のBe、N
b、Bなどの添加が、上記各特性の改善に著効をもたら
すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 (1) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以下、Mn:
1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、S:0.02wt%
以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05wt%以下、
Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5
(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt%を含
有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系
ステンレス鋼板。
【0009】(2) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性
に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
【0010】(3) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Ca:0.0003〜0.01wt%を含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなることを特徴とする成形性と耐二次加工
脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
【0011】(4) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt%を含
み、かつCu:1.0 wt%以下、 Ni:1.0 wt%以下お
よびCo:1.0 wt%以下のうちから選ばれる1種または2
種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
ることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフ
ェライト系ステンレス鋼板。
【0012】(5) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下、 Ca:0.0003〜0.01wt%を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ス
テンレス鋼板。
【0013】(6) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下を含み、かつCu:1.0 wt%以下、
Ni:1.0 wt%以下およびCo:1.0 wt%以下のうちから
選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする成形性と耐二
次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
【0014】(7) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt%Ca:
0.0003〜0.01wt%を含み、かつCu:1.0 wt%以下、
Ni:1.0 wt%以下およびCo:1.0 wt%以下のうちから
選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする成形性と耐二
次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
【0015】(8) C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt
%以下、Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、
S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、N:0.05
wt%以下、 Cr:11〜50wt%、Be:0.0002〜0.0040
wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt%、Nb:0.0030〜0.050 wt
%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下、 Ca:0.0003〜0.01wt%を含
み、かつCu:1.0 wt%以下、 Ni:1.0 wt%以下お
よびCo:1.0 wt%以下のうちから選ばれる1種または2
種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
ることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフ
ェライト系ステンレス鋼板。
【0016】(9) 上記(1) 〜(8) に記載の鋼組成のもの
に、さらにZr:0.5 wt%以下、 W:0.5 wt%以
下、Ta:0.5 wt%以下および V:0.5 wt%以下のうち
から選ばれる1種または2種以上を含有させることを特
徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系
ステンレス鋼板。
【0017】
【作用】次に、本発明において、化学組成を上記要旨構
成のとおりに限定した理由について説明する。
【0018】C:0.03wt%以下 Cは、r値および伸びを低下させるとともに、耐食性に
も有害な元素である。0.03wt%を超えると、特にその影
響が顕著になるので0.03wt%以下にする必要がある。好
ましいCの含有量は、0.010 wt%以下の範囲がよい。な
お、含有量が低いほど良好な特性が得られるので、下限
については特に定める必要はないが、製造の容易さの上
からすれば0.0005wt%程度とするのが実際的である。
【0019】Si:1.0 wt%以下 Siは、脱酸のために有効な元素であるが、過剰の添加は
冷間加工性の低下や延性の低下を招くので、その添加範
囲は1.0 wt%以下とする。なお、好ましい含有量は0.03
〜0.5 wt%とするのがよい。
【0020】Mn:1.0 wt%以下 Mnは、鋼中に存在するSを析出固定し、熱間圧延性を保
つために有効な元素であるが、過剰の添加は冷間加工性
の低下、耐食性の低下を招くので、その添加範囲は1.0
wt%以下、好ましくは0.5 wt%以下とする。
【0021】P:0.08wt%以下 Pは、熱間加工性および食孔の発生、初期錆の点で有害
な元素である。含有量が0.08wt%を超えると、特にその
影響が顕著になるので0.08wt%以下、好ましくは0.04wt
%以下とする。
【0022】S:0.02wt%以下 Sは、Mnと結合してMnSを形成して初錆の起点になると
ともに、結晶粒界に偏析し、粒界脆化を促進する有害な
元素である。含有量が0.02wt%を超えるとその影響が顕
著になるので0.02wt%以下、好ましくは0.008 wt%以下
とする。
【0023】Al:0.30wt%以下 Alは、脱酸のために有効な元素であるが、過剰に添加す
るとAl系介在物の増加により、表面きずを招く原因とな
るので、0.30wt%以下、好ましくは0.10wt%以下の範囲
で添加する。
【0024】N:0.05wt%以下 Nは、Cと同様に、r値および伸びを低下させ、耐食性
にも有害な元素である。とくに、0.05wt%を超えるとそ
の影響が顕著になるので0.05wt%以下とする必要があ
る。Nの好ましい範囲は0.02wt%以下である。なお、含
有量が低いほど良好な特性が得られるので、下限につい
ては特に定める必要はないが、製造の容易さの上からす
れば0.0010wt%程度とするのが実際的である。
【0025】Cr:11〜50wt% Crは、耐食性を改善するためには不可欠な元素である。
その量が11wt%未満では十分な耐食性が得られず、一方
50wt%を超えて添加すると冷間加工性を低下させるの
で、添加範囲は11〜50wt%、好ましくは11〜40wt%とす
る。
【0026】Be:0.0002〜0.0040wt% Beは、本発明の化学成分のうちで特に重要な元素であ
る。Beを適正に添加することにより、加工性、とくに延
性、r値が著しく改善される。それらの効果は、0.0002
wt%未満の添加では明確に現れず、一方、0.0040wt%を
超える添加では、かえってこれらの特性を劣化させる。
したがって、Beの添加量は、0.0002〜0.0040wt%とす
る。なお、好ましくは0.0005〜0.001 wt%である。
【0027】Ti:5(C+N)〜0.5 wt%; Tiは、溶接時や熱処理時におけるCr炭窒化物の粒界析出
を抑制して、耐食性を改善するために有用な元素であ
る。また、鋼中の固溶C,Nを炭窒化物として固定して
延性、加工性の向上にも有用な元素である。それらの効
果は、5(C+N)wt%未満では得られず、一方0.5wt %を超
えて添加すると、これらの特性を低下させるほか、特に
溶接部の加工性を劣化させる。したがって、Tiの添加量
は、5(C+N)〜0.5 wt%、好ましくは4(C+N)〜0.3 wt%と
する。
【0028】Nb:0.0030〜0.050 wt% Nbは、Ti、Bとの複合添加により深絞り性と二次加工脆
性とを同時に改善するために有用な元素である。それら
の効果は、0.0030wt%未満では得られず、一方0.050 wt
%を超えて添加すると、成形加工性を劣化させる。した
がって、Nbの添加量は、0.0030〜0.050 wt%、好ましく
は0.0040〜0.020 wt%とする。
【0029】B:0.0002〜0.005 wt% Bは、深絞り成形後の耐二次加工脆性を改善するために
有用な元素である。その効果は、0.0002wt%未満では得
られず、一方0.005 wt%を超えて添加すると、深絞り成
形性を劣化させる。したがって、Bの添加量は、0.0002
〜0.005 wt%、好ましくは0.0003〜0.003 wt%とする。
【0030】Mo:6.0 wt%以下 Moは、耐食性、耐錆性を改善するのに有効な元素である
が、6.0 wt%を超えて添加すると、これらの効果が飽和
するのみではなく、σ相やχ相の析出を助長し、耐食性
や加工性を低下させることになるので、6.0 wt%以下の
範囲で添加する。なお、好ましいMoの添加量は、0.1 〜
3.0 wt%である。
【0031】Ca:0.0003〜0.01wt% Caは、溶鋼鋳造時におけるTi系介在物によるノズル詰ま
りを抑制するのに有用な元素であるが、過剰に添加する
と破壊の起点の原因になるCa系介在物を形成するので、
0.0003〜0.01wt%、好ましくは0.0005〜0.005 wt%の範
囲で添加する。
【0032】Cu:1.0 wt%以下、Ni:1.0 wt%以下、C
o:1.0 wt%以下 Cu、NiおよびCoは、いずれも、耐食性とくに酸に対する
耐食性、耐隙間腐食性を改善するので、建材や厨房器具
などに用いる場合には特に有用な元素である。しかし、
過剰に添加すると、高温割れなどの悪影響をもたらすの
で、これら元素の添加範囲は、いずれも1.0 wt%以下と
する。なお、これら元素の好ましい添加範囲は、Cu+Ni
+Coにして0.01〜2.0 wt%である。すなわち、0.01wt%
未満では上記の効果が少なく、2.0 wt%超えでは効果の
飽和のほかに、加工性の低下を招くからである。
【0033】Zr:0.5 wt%以下、W:0.5 wt%以下、T
a:0.5 wt%以下、V:0.5 wt%以下 Zr、W、TaおよびVは、いずれも、耐食性および加工性
を改善する有用な元素である。しかし、過剰に添加する
と、加工性を低下させるので、これら元素の添加範囲
は、いずれも0.5 wt%以下とする。なお、これら元素の
好ましい添加範囲は、それぞれ0.2 wt%以下である。
【0034】本発明鋼板の製造工程は、上記の成分組成
からなる鋼を転炉、電気炉等の通常の製鋼炉で溶製し、
連続鋳造法または造塊法で鋼片とした後、熱間圧延−
(熱延板焼鈍)−酸洗−冷間圧延−冷延板焼鈍−酸洗、
必要に応じて、さらに冷間圧延−焼鈍−酸洗を繰り返し
行う方法によればよい。
【0035】
【実施例】表1、2に示す化学組成の鋼を転炉、二次精
錬にて溶製し、鋼片とした後、1250℃に加熱後、熱間圧
延により板厚4.0mm の熱延板とした。この熱延板を、熱
延板焼鈍(850 〜1025℃)一酸洗一冷延一冷延板焼鈍
(800 〜975 ℃)一酸洗により板厚0.6 mmの冷延鋼板と
した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記方法により得られた鋼板を供試材とし
て、深絞り成形性(r値、Δr)、伸び、張出し成形性
(エリクセン値)、耐二次加工脆性を測定した。それぞ
れの測定方法は、下記により行った。 ・伸び JIS13号B試験片による引張試験における破断伸び
を測定して求めた。 ・r値、Δr 鋼板の圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方
向に対して90°の各方向からJIS13号B試験片を採
取し、この試験片に5〜15%の単軸引張予歪を与えた時
の横ひずみおよび板厚ひずみの比から各方向のランクフ
ォード値を測定し、その平均値を次式によって求めた。 r=(rL +2rD +rT )/4 Δr=(rL −2rD + rT )/2 ただし、rL 、rD およびrT は、それぞれ圧延方向、
圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対して90°の
方向のランクフォード値を表す。 ・エリクセン値 JISZ2247に準拠し、グラファイトグリースを塗
布して測定した、 ・二次加工脆性 絞り比2.0 で深絞りしたカップ状の試験片を−100 〜20
℃の特定温度で保持したのち、落重(重り5kg、落差1.
0m)により頭部に衝撃荷重を負荷し、カップ側壁部にお
ける脆化割れの有無から、割れ発生温度を求めた。いず
れの鋼についても、温度は5℃間隔、繰り返し2個づつ
で試験し、割れが1個でも発生するもっとも高い温度を
割れ発生温度とした。
【0039】
【表3】
【0040】表3から、本発明鋼板は、伸び:35%以
上、r値:1.5 以上、Δr:0.2 以下で、エリクセン
値:10.0以上、を示す割れ発生温度:-70 ℃以下の特性
を示し、いずれも比較例に比べて優れた成形性と耐二次
加工脆性を有していることがわかる。
【0041】
【発明の効果】上述したように、本発明法によれば、成
形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス
鋼板の製造が可能となる。また、本発明法によれば、伸
びが35%以上、r値が 1.5以上、Δrが 0.2以下、エ
リクセン値が10.0以上の特性を満たし、しかも耐二次加
工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造が可
能となる。したがって、本発明法によれば、従来オース
テナイト系ステンレス鋼板が用いられていた部材にフェ
ライト系ステンレス鋼板を使用することが可能になるの
でその工業的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所 内 (72)発明者 大和 康二 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所 内 (56)参考文献 特許2933826(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt%を含
    有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特
    徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系
    ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性
    に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
  3. 【請求項3】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Ca:0.0003〜0.01wt%を含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなることを特徴とする成形性と耐二次加工
    脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
  4. 【請求項4】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt%を含
    み、かつCu:1.0 wt%以下、 Ni:1.0 wt%以下お
    よびCo:1.0 wt%以下のうちから選ばれる1種または2
    種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    ることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフ
    ェライト系ステンレス鋼板。
  5. 【請求項5】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下、 Ca:0.0003〜0.01wt%を含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴
    とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ス
    テンレス鋼板。
  6. 【請求項6】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下を含み、かつCu:1.0 wt%以下、
    Ni:1.0 wt%以下およびCo:1.0 wt%以下のうちから
    選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび
    不可避的不純物からなることを特徴とする成形性と耐二
    次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
  7. 【請求項7】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt% Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Ca:0.0003〜0.01wt%を含み、かつCu:1.0 wt%以下、
    Ni:1.0 wt%以下およびCo:1.0 wt%以下のうち
    から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeお
    よび不可避的不純物からなることを特徴とする成形性と
    耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板。
  8. 【請求項8】C:0.03wt%以下、 Si:1.0 wt%以
    下、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.08wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.30wt%以下、 N:0.05wt%以下、 Cr:11〜50wt%、 Be:0.0002〜0.0040wt%、Ti:5(C+N)〜0.5 wt%、 Nb:0.0030〜0.050 wt%、B:0.0002〜0.005 wt% Mo:6.0 wt%以下、 Ca:0.0003〜0.01wt%を含
    み、かつCu:1.0 wt%以下、 Ni:1.0 wt%以下お
    よびCo:1.0 wt%以下のうちから選ばれる1種または2
    種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    ることを特徴とする成形性と耐二次加工脆性に優れるフ
    ェライト系ステンレス鋼板。
  9. 【請求項9】請求項1〜8に記載の鋼組成のものに、さ
    らに Zr:0.5 wt%以下、 W:0.5 wt%以下、 Ta:0.5 wt%以下および V:0.5 wt%以下のうちから
    選ばれる1種または2種以上を含有させることを特徴と
    する成形性と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステ
    ンレス鋼板。
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