JP3420245B2 - ペプチドp277類似体及びこれを含む糖尿病の治療又は診断のための薬剤組成物 - Google Patents

ペプチドp277類似体及びこれを含む糖尿病の治療又は診断のための薬剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明はヒト60kDa熱ショックタンパク質(hsp60)の
エピトープの変形である新規ペプチド、これを含む薬剤
組成物及びこのようなペプチドを用いたインシュリン依
存性糖尿病(IDDM)の診断及び治療方法に関する。
発明の背景 I型糖尿病、即ちIDDMは膵臓の小島に存在するインシ
ュリン生産性β−細胞を攻撃し、破壊するT細胞に起因
する自己免疫疾患である(カスタノ及びアイゼンバー
ス、1990年)。IDDMにおいて完結する自己免疫過程は症
状を発現することなく始まり、進行する。この疾患はβ
−細胞の累積的損失量がインシュリンを供給する残余β
−細胞の容量を越えた場合にのみ臨床的に表面化する。
実際、グルコース恒常性の破壊及び臨床的なIDDMは80−
90%のβ−細胞が免疫系により不活性化された後にのみ
生じると考えられている。従って、IDDMに罹患したと特
定することができる患者はβ−細胞の自己免疫による破
壊の進行した段階に至る。さらに、自己免疫マーカーに
よる初期の前臨床的な糖尿病の診断は自己免疫過程が開
始した後にのみ行うことができる。従って、治療法を探
索するということは、既に進行している自己免疫過程を
停止する安全、明確且つ有効な方法を見出すことであ
る。
以前、本発明者は、ヒトIDDMの忠実なモデルと考えら
れるNOD種のマウスに進行している自然発症性糖尿病の
研究によりこの問題を検討した(カスタノ及びアイゼン
バース、1990年)。NODマウスは生後約4週でインシュ
リン炎を発症し、これは小島周辺部の穏やかな浸潤とし
て開始し、重篤な小島内の炎症という過程をたどる。イ
ンシュリン不足を証明する高血糖症は本発明者のコロニ
ーのメスでは生後約14−17週で始まる。生後約35−40週
までに殆ど全てのメスNODマウスは重篤な糖尿病を発症
し、インシュリン療法を行わなかった場合殆ど死亡す
る。オスNODマウスは低い罹患率を示すがその理由は明
らかでない。NODマウスの糖尿病は自己免疫T細胞に起
因することが示されている(ベンデラックら、1987
年)。
種々の抗原に対するT細胞の反応性及び自己抗体は、
NODマウスの場合と同様に、ヒトIDDM患者においても検
出されており、可能な標的抗原に対する免疫がこの疾病
の主たる原因であるかは明らかではない。治療の問題は
因果関係の問題の背後にある。
NODマウスにおける自己免疫過程の開始は、糖尿病の
始まる前に、マウスを食事制限、ウイルス感染又は免疫
系の不特定な刺激のような種々の操作の対象とすること
により防止することができることが示されている(ボウ
マンら、1994年)。NOD糖尿病は、グルタミン酸デカル
ボキシラーゼ(GAD)抗原に対する免疫寛容を前糖尿病
マウスに誘発することにより防止される(カウフマン
ら、1993年;ティッシュら、1993年)。
以前、本発明者はNODマウスの糖尿病は、ヒトhsp60分
子のp277ペプチド配列に特異的なT細胞を用いたT細胞
のワクチン接種により防止されることを見出している
(エリアスら、1991年)。このタンパク質は以前はhsp6
5と称されていたが、現在は分子量に関するより正確な
情報を参照してhsp60と称されており、いずれの名称を
用いてもタンパク質は同一である。
IDDMに関与するヒトhsp60のエピトープであり、ヒトh
sp60の配列の位置437−460に対応するp277ペプチドは本
出願人のイスラエル特許出願第94241号及びエリアス及
びコーエン、1994年において最初に開示され、以下のよ
うな配列を有する。
インシュリン炎の開始時にp277ペプチドを投与する
と、おそらくNOD糖尿病に必須の抗−p277免疫の抑制す
るように規制することにより、糖尿病の進行を防止する
ことが示されている(エリアスら、1991年;イスラエル
特許出願第94241号)。最近の研究により、p277ペプチ
ドはβ−細胞自己免疫の段階の進行を逆転するために用
いることもできることが示されている(エリアス及びコ
ーエン、1994年)。
最近、本発明者の研究室は、かなり少量のβ−細胞毒
素であるストレプトゾトシン(STZ)の投与により、自
己免疫糖尿病の形態をマウスのC57BL/KsJ種に誘発する
ことができることを報告した(エリアスら、1994年)。
標準少量のSTZの40mg/kgを5日間投与すると通常3週間
以内に臨床的な糖尿病を誘発するが、30mg/kgを5日間
投与すると約3ヶ月の遅滞期間後にのみ臨床的な糖尿病
が誘発される。この誘発された糖尿病のモデルは、イン
シュリンに対する自己抗体、インシュリン自己抗体に対
する抗−イディオタイプ抗体及びhsp60に対する自己抗
体の前兆期間内の外観により標識される。また、マウス
もhsp60及びそのp277ペプチドに対する自然的なT−細
胞活性を明らかに示す(エリアスら、1994年)。従っ
て、STZの標準少量より少ない量の投与により、NODマウ
スにおいて進行する自然発症的な糖尿病において観察さ
れるものとは異なるものでなく、自己免疫過程の引き金
を引くということは明らかである(エリアスら、1990
年)。
本発明の目的は、ペプチドp277の変異体を提供するも
のであり、この変異体はIDDMの診断及び治療に有用であ
る。
発明の要約 ペプチドp277のフラグメント及び変異体の研究におい
て、単一のスレオニン残基がリジン残基に置換され及び
/又は1又は両方のシステイン残基がバリン残基により
置換されたペプチドは糖尿病の治療においてp277と同程
度の活性を有するということが思いがけなく見出され
た。セリン残基によるシステイン残基の置換は不活性な
ペプチドをもたらすので、これらの結果は驚くべきこと
であった。
即ち、本発明は配列Iを有するペプチドに関するもの
である。
(式中、X1及びX2は各々Cys又はVal残基であり、X3はTh
r又はLys残基であるが、X3がThr残基である場合、X1
びX2の両方がCysであることはできない。) 本発明の具体的実施例は、配列Iを有し、X1及びX2
両方がCysであり、X3はLysであるp277(Lys19)(配列
番号(SEQ ID NO):3)、X1がValであり、X2がCysで
あり、X3がThr又はLysであるp277(Va16)(配列番号
(SEQ ID NO):4)及びp277(Val6−Lys19)(配列番
号(SEQ ID NO):5)、X1がCysであり、X2がValであ
り、X3がThr又はLysであるp277(Val11)(配列番号(S
EQ、ID NO):6)及びp277(Val11−Lys19)(配列番号
SEQ ID NO):7)、X1とX2の両方がValであり、X3がTh
r又はLysであるp277(Val6−Val11)(配列番号(SEQ
ID NO):8)及びp277(Val6,11−Lys19)(配列番号
(SEQ ID NO):9)のペプチドからなる。p277(Val6
−Val11)はp277(V)と称する。
本発明の他の目的は本発明の配列Iのペプチドを用い
たIDDMの早期の診断方法及びキットを提供することであ
る。IDDMが進行する過程において、動物はhsp60分子又
はこれと交差反応する分子を発現し、これは動物の血液
又は尿にたどり着く。また、これらはこのような分子を
特異的に対象とする抗体及びT細胞を発現する。従っ
て、血液又は尿中のhsp60(又はこれと交差反応する分
子)又は抗体又はこれと特異的なT細胞は、β−細胞の
破壊が完結し、固体が生涯糖尿病を運命づけられる前に
IDDMの過程を検出するためのアッセイの目的にかなう。
患者中のIDDMの存在又は開始は、前記患者の血液又は
尿についてヒトhsp60と免疫学的に反応する抗−hsp60抗
体又はT細胞の存在を抗原としての本発明の配列Iのペ
プチドでテストすることにより診断することができる。
実際、ペプチドp277が使用可能であると従来より記述さ
れているいかなる方法、例えば、WO90/10449で国際公開
されているPCT国際出願に記載されている方法であっ
て、引用により本明細書に一体化される方法は、本発明
の配列Iのペプチドをp277の代用とする場合に使用する
ことができる。
従って、本発明は患者におけるIDDMの存在及び開始を
診断する方法であって、前記患者についてhsp60と免疫
反応する抗−hsp60抗体又はT細胞の存在をテストし
て、これによってhsp60と免疫的に反応する抗−hsp60抗
体又はT細胞の存在が陽性を示す結果がIDDMの存在又は
開始の可能性が高いことを示す方法を提供する。
IDDMの診断をするための方法においては、患者は抗−
hsp60抗体の存在がテストされ、このテスト法はラジオ
イムノアッセイ又はELISAテストを含むことができる。
患者はhsp60と免疫反応するT細胞の存在をテストさ
れることもできる。この形態の実施例においては、テス
ト方法はT細胞増殖テストを含み、このT細胞増殖テス
トは (i)患者から得られて血液サンプルからT細胞を含む
非核細胞フラクションを調製し、 (ii)前記非核細胞フラクションに請求項1記載のペプ
チドから選択された抗原を加え、 (iii)前記抗原の存在下で適切な時間、適切な培養条
件で前記細胞フラクションを培養し、 (iv)前記培養時間の終了前の適切な時点で(iii)の
培養された細胞のカルチャーに対し標識されたヌクレオ
チドを加え、前記標識されたヌクレオチドを増殖してい
るT細胞のDNAに取り込ませ、 (v)前記T細胞に取り込まれた標識されたヌクレオチ
ドの量を分析することにより増殖しているT細胞の量を
決定する工程を含む。
上記の工程(iv)においては、前記標識されたヌクレ
オチドは好ましくは3H−チミジンである。増殖している
T細胞の量の決定は標準的な方法でT細胞の刺激指数を
計算することにより行われる。
本発明のこの形態の他の実施例においては、テスト方
法はT−細胞サイトカイン応答テストを含み、これにお
いてはステップ(i)から(iii)は上記T細胞増殖テ
ストと同一であるが、ステップ(iv)において応答して
いるリンパ細胞により培地中に分泌されたIFN−γ、IL
−2、IL−4、IL−6、IL−10、TNFα又はTGFβのよう
なサイトカインが商業的に入手可能なキットで標準的な
方法で検出される。
他の形態においては、本発明は配列Iのペプチドから
選択される抗原が患者に皮下注射され、検出可能な皮膚
反応(DTH)の発生が観察されるインヴィヴォ系の方法
を提供する。
また、本発明はこのようなアッセイを実行するための
キットとともに、このようなアッセイを実行する手段を
提供する。キットは本発明を達成するために用いられる
種々のアッセイのいずれかを実行するために調製するこ
とができる。このようなキットの各々は単一のアッセイ
又は所定数のアッセイを実行するのに必要な全ての物質
を含む。例えば、抗−hsp60抗体の存在を決定するキッ
トは固相に固定された配列Iのペプチドと、標識された
抗−ヒトFabのような検出される抗−hsp60抗体の不変領
域を認識することができる標識された抗体とを含む。ま
た、キットはキットを使用するための説明書とキットの
物質を保持するための容器を含んでもよい。ラジオアイ
ソトープ、酵素、発色団又は発蛍光団のような従来から
ある標識を用いることができる。典型的なラジオアイソ
トープはヨウ素−125又はイオウ−35である。本目的の
ための典型的な酵素はホースラディッシュペルオキシダ
ーゼ、β−ガラクトシダーゼ及びアルカリホスファター
ゼを含む。
抗−hsp60抗体の存在をテストすることによりIDDMの
存在を診断するキットは、 (i)配列Iのペプチドから選択される抗原と、 (ii)検出される抗−hsp60抗体の不変領域を認識する
ことができる標識された抗体とを含む。
hsp60と免疫反応するT細胞の存在をテストすること
によりIDDMの存在を診断するキットは、 (i)配列Iのペプチドから選択される抗原と、 (ii)リンパ細胞(T細胞)の培養に適した培地と、 (iii)T細胞増殖テストのための標識されたヌクレオ
チド又はサイトカインテストのためのIFN−γ、IL−
2、IL−4、IL−6、IL−10、TNFα又はTGFβのような
サイトカインとアッセイキットのいずれかを含む。
インヴィヴォ系のテストのためにはキットは注射に適
した形態の配列Iのペプチドのみを含むことができる。
更に、本発明はIDDMの予防又は治療のための手段に関
する。本発明の配列Iの抗原ペプチドのワクチン接種は
抗原に対する自己免疫を下降調節し、IDDMの自己免疫過
程に対する抵抗性を有効に作り出す。このような抗原に
特異的なT細胞によるワクチン接種が、希釈化又は弱毒
化された形式による場合、抗原性を向上させるために処
理された後である場合、又はそのフラグメント又は活性
フラクションである場合でも同一である。患者が既にID
DMの前臨床的な開始段階にあると示されている場合、こ
のような抗原又はT細胞(又はフラクション)はこの抗
原に対する自己免疫を下降調節し、明確で恒久的な損失
が生じる前に自己免疫過程を抑止することができる。ま
た、ペプチドp277によるNODマウスの治療に関し本発明
の発明者が最近示したように(エリアス及びコーエン、
1994年)、ペプチドは自己免疫過程がはるかに進行した
後であってもこれを停止するための治療剤として用いる
ことができる。
従って、本発明はインシュリン依存性糖尿病(IDDM)
の予防又は治療のための調製物を提供するものであり、
この調製物は(a)ヒトhsp60のp277配列の特異性を明
らかにし、配列Iのペプチドの存在下で培養されること
により活性化されるヒトT細胞、(b)放射されさもな
ければ希釈された前記ヒトT細胞、(c)水圧による圧
力処理、化学架橋剤による処理及び/又は細胞骨格架橋
剤による処理を受けた前記ヒトT細胞、(d)上記
(a)(b)又は(c)のT細胞のフラグメント又は
(a)(b)又は(c)のT細胞から得られた表面タン
パク質又は(e)前記タンパク質、その塩、機能的誘導
体、前駆体又は活性フラクションに特異的な(a)のリ
セプターの可変領域からなるペプチドから成る群から選
択されるT細胞生産物を含む。
この発明の好ましい実施例においては、調製物は処置
されるIDDM患者から得られた同原T細胞であり、このT
細胞は配列Iの前記ペプチドとインヴィトロ系で接触さ
せることにより活性化される。このような特異的で活性
化されたT細胞は、細胞を得た同一の患者に投与され
る。
また、本発明は薬剤学的に許容可能な担体と、有効量
の主剤としての配列Iのペプチド、その塩又はその作用
的誘導体とを含むIDDMを予防又は治療するための薬剤組
成物を提供する。薬剤学的に許容可能な担体とは、好ま
しくは、不完全フロインドアジュバント(IFA)として
知られるミネラルオイルのエマルジョンのようなオイル
担体である。しかしながら、IFAは、完全フロインドア
ジュバント(CFA;マイコバクテリアの死滅した組織を含
むミネラルオイルの調製物)と同様、ヒトに対する使用
は認められない。その理由はミネラルオイルは代謝可能
でなく、身体により分解されることができないからであ
る。
本発明者は、ヒトの患者に対し静脈内栄養として永年
使用されてきた特定の脂肪エマルジョンが本発明のペプ
チドを用いたペプチド療法の担体として機能することが
できることを見出した。このようなエマルジョンの例
は、イントラリピッド及びリポフンディンとして知られ
ている商業的に入手可能な脂肪エマルジョンである。
“イントラリピッド”は静脈内栄養のための脂肪エマル
ジョンに対するスウェーデンのカビ・ファーマシアの登
録商標であり、米国特許第3,169,094号に記載されてい
る。リポフンディンはドイツのビー・ブラウン・メルシ
ュンゲンの登録商標である。両方とも脂肪としてダイズ
油(蒸留水1000ml中各々100又は200g、各々10%又は20
%)を含む。卵黄リン脂質はイントラリピッド中で乳化
剤として用いられており(12g/l蒸留水)、卵黄レシチ
ンはリポフンディン中で用いられている(12g/l蒸留
水)。イントラリピッド及びリポフンディンの両方にお
いて、等張性はグリセロール(25g/l)の添加による。
更に、本発明はIDDMの予防又は治療方法に関し、この
方法は配列Iのペプチドを含む薬剤組成物又は本発明の
配列Iのペプチドに対し特異性を発現するT細胞を含む
調製物をこれを必要とする患者に投与することを含む。
図面の簡単な説明 図1はp277及びp277(Val6−Val11)の安定性を示す
グラフである。黒塗りの円はp277を用いた結果を示し、
白抜きの円はp277(Val6−Val11)を用いた結果を示
す。大きい円は1週間の貯蔵後の結果を示し、中間の大
きさの円は9週後を示し、最も小さい円は20週後を示
す。
図2は糖尿病誘発性クローンC9のNODのT細胞がペプ
チドp277(黒塗りの円)及びp277(Val6−Val11)(白
抜きの円)に応答して増殖することを示す。
図3はNOD脾臓細胞がペプチドp277(Lys19)存在下で
増殖することを示す。5匹のメスマウスの脾臓が各々の
月齢のグループでペプチドp277(Lys19)(黒塗りの
円)、p277(白抜きの円)及びコントロールペプチドp2
78(黒塗りの四角形)に応答したT細胞の増殖がテスト
された。
図4は糖尿病誘発性クローンC9のNODのT細胞がペプ
チドp277に応答して増殖することを示す。
図5はSTZ誘発性糖尿病の予防においてコントロール
の処置又はGADp34による処置と比較してIFA中のp277
(V)による前処置の有効性を示すグラフである。
発明の詳細な説明 本発明において“配列Iのペプチド”という場合、ペ
プチドの糖尿病に対する生物活性が維持される限り、そ
の塩及び作用的誘導体も意味する。
本発明で意味するペプチドIの“塩”は生理学的に許
容され得る有機及び無機塩である。
本明細書中で用いられるペプチドIの“作用的誘導
体”は、残基又はN−又はC−末端の側鎖として現れる
官能基から公知の手段により調製されることができる誘
導体を含み、これは薬剤的に許容可能である、即ち、p2
77の公知の活性の類似性に関する限りペプチドの活性を
破壊せず、これを含む組成物に毒性を与えず、その抗原
性に不利な影響を与えない限り、本発明に含まれる。こ
のような“作用的誘導体”は1個のアミノ酸を他に有効
に変換する変化を含むものと意図されない。
上記の資質を前提として、これらの誘導体は、例え
ば、カルボキシル基の脂肪酸エステル、アンモニア又は
第1級又は第2級アミンとの反応により生産されるカル
ボキシル基のアミド、アシル部分(例えば、アルカノイ
ル又はカルボサイクリックアロイル基)との反応により
形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘
導体又はアシル部分との反応により形成される遊離ヒド
ロキシル基(例えば、セリル又はスレオニル残基のそ
れ)のO−アシル誘導体を含む。
本発明の配列Iのペプチドは、IDDMの診断のための診
断用組成物における抗原と同様に、薬剤組成物における
免疫原、特にIDDMの軽減又は治療のためのワクチンとし
て用いることができる。これらの薬剤及び診断用組成物
は、本技術分野における公知の方法により調製すること
ができるものであるが、本発明の一部をなす。
治療のための処置のため又は予防ワクチンとして用い
られる場合、本発明のペプチドは自己免疫T細胞のTH1
→TH2のシフトを促進する生物活性を有する担体ととも
に投与されることが好ましい。CD4ヘルパー型のT細胞
は活性化された場合に分泌するサイトカインにより2つ
のグループに分類される(モスマン及びコフマン、1989
年)。TH1細胞はIL−2及びIFN−γを分泌し、TH2細胞
はIL−4及びIL−10を分泌する。このような担体は10−
20%の植物及び/又は動物起源のトリグリセライド、1.
2−2.4%の植物及び/又は動物起源のリン脂質、2.25−
4.5%の浸透圧調整剤、0−0.5%の抗酸化剤及び100%
までの蒸留水を含む脂肪エマルジョンでることが好まし
い。このような担体はイントラリピッド又はリポフンデ
ィンであることが最も好ましい。このような担体の使用
は、本発明についてのイスラエル特許出願(出願人の参
照番号9451Aにより特定される)と同日に本出願と同一
の出願人により出願人されたイスラエル特許出願(出願
人の参照番号9523により特定される)に記載されてお
り、この内容は全体として本明細書中に一体化される。
本発明による治療用の組成物は経口的に又は皮下、筋
肉内、静脈内、鼻腔内などのように非経口的に投与する
ことができる。
本明細書中の実施例はヒトIDDMの科学的に受け入れら
れる動物モデルにおいて本発明の化合物及び組成物によ
る治療上の処置の有効性を確立するものである。
発明の実施の形態 物質及び方法 (i)マウス NOD/Lt種のインブレトメスマウスは、イ
スラエル、レホヴォトのウィズマンインスティチュート
オブサイエンスのアニマルブリーディングセンターより
提供された。これらのマウスは生後14から17週でヒトの
IDDMに類似する自己免疫性糖尿病を自然発症する。
(ii)ペプチド ペプチドはABIMED合成器(FRG)を用
いた標準フェモック化学により合成され、逆相クロマト
グラフィーによりHPLCで精製された。配列はアミノ酸分
析により確認された。以下のようなペプチドが合成され
た。p277ペプチド;配列:Asn−Glu−Asp−Gln−Lys−Il
e−Gly−Ile−Glu−Ile−Ile−Lys−Arg−Thr−Leu−Ly
s−Ile(配列番号(SEQ ID NO):10)のコントロール
ペプチドp278、ヒトhsp60分子の458−474の位置に対応;
p277のフラグメント:p277のアミノハーフ(p277.N)、p
277のカルボキシハーフ(p277.C)、及びp278と結合し
ているp277C(p277.C−p278);ペプチドp277(Ly
s19);配列中の2つのシステイン残基が種々のアミノ
酸で置換されたペプチドp277は以下の通りである:−SH
基で架橋されたp277(p277(Cys−Cys架橋));両方の
システイン残基がバリンで置換されたp277(p277(Val6
−Val11))又はセリンで置換されたp277(p277(Ser6
−Ser11))。
(iii)処置及び追跡 マウスは、p277、他のペプチド
又はウシ血清アルブミン(BSA,USA,MO,セントルイスの
シグマから購入)のエマルジョン0.1mlを背中に皮下注
射するにより処置された。抗原はPBS中で希釈され、同
量のミネラルオイル(不完全フロインドアジュバント
(IFA);シグマ)又は10%のイントラリピッド中で乳
化された。マウスの血中グルコースレベルはエリアス
ら、1991年に記載されているように、10A.M.の非絶食状
態、治療時(生後7、12、15又は17週)及び生き残った
マウスについては生後40週でテストされた。グルコース
濃度が11.1mM/L以上の場合に明確な高血糖症であるとさ
れた。その理由は、この濃度の血中グルコースは100匹
の健康なマウスで測定された平均血中グルコース濃度よ
り高い3つの標準偏差だからである(示さず)。脾臓の
小島の組織学的検査はヘマトキシリン及びエオシンで着
色された部分について行われた。この部分は群の特性を
知らない2人の観察者により別個に評価された。種々の
処置の統計的な差異を明らかにするためχテストが用
いられた。
(iv)T−細胞増殖アッセイ メスNODマウスから得ら
れたクローンC9細胞及び脾臓細胞のサスペンションが前
述のように(エリアスら、1991年)T−細胞増殖が試験
された。簡単に言うと、1×105個クローン細胞/ml又は
1×106個脾臓細胞/mlが、5μg/mlの種々の抗原の存在
下又は不存在下で、マイクロタイターウェル中の0.2ml
の培養培地中で72時間4組にわたって培養された。増殖
は、培養の最後の12時間の[3H]−チミジンのDNAへの
取り込みにより測定された。結果は刺激指数、即ち抗原
存在下における平均テストcpmの抗原不存在下における
平均バックグラウンドcpmに対する比として計算され
た。4組のサンプル間における標準偏差は常に平均cpm
の<10%であった。脾臓細胞の実験におけるバックグラ
ウンドは<1000cpmであり、C9細胞については<200cpm
であった。各々のマウスの脾臓は別々にテストされた。
各々のグループのマウスの結果は平均±SDとして示され
ている。
実施例1 p277又はこのフラグメントによるNODマウスの治療 p277ペプチドの2つの12−アミノ酸ハーフのいずれか
が、単独であるいは結合して、p277のようにNODマウス
において有効であるかどうかをテストするため、メスNO
Dマウスは生後7週の時点で、オイル中の種々のペプチ
ド50μgを皮下接種することにより治療された。生後40
週までのマウスの状態が決定された。
結果を表1に示す。コントロールhsp60ペプチドp278
は糖尿病の進行に効果を有しなかったことが分かる。即
ち、治療された40匹のマウス中、全てが糖尿病であり、
90%が生後40週までに死亡した。これに対して、p277ペ
プチドは死亡を完全に防止し、20匹の処置したマウスの
60%を治癒した。p277のフラグメントはそれほど有効で
はなかった。即ち、p277のアミノハーフ(p277.N)、p2
77のカルボキシハーフ(p277.C)及びこれらの混合物
(p277.N,p277.C)は、完全なp277の約半分の作用を果
たした。ペプチドp277.Cはペプチドp278に結合して合成
され、長いペプチドを生産する。しかしながら、p277.C
−p278はp277.C単独よりも良い結果を示さなかった。従
って、完全な治療上の効果を得るためには完全な、p277
ペプチドが必要であると結論することができる。
実施例2 p277置換ペプチドによるNODマウスの治療 以下のペプチドがNODマウスでテストされた。p277、p
277(Cys−Cys架橋)、p277(Val6−Val11)及びp277
(Ser6−Ser11)。
NODメスマウスはミネラルオイルのエマルジョン(IF
A)0.2cc中の100μgのペプチドを皮下投与することに
より治療された。マウスは生後12週で処置され、糖尿病
の罹病率が生後30週の時点で決定された。
表2に示すように、p277(Val6−Val11)は糖尿病の
治療においてp277と同じように有効であり、未処置のマ
ウスの糖尿病の罹病率は80%であるが、p277及びp277
(Val6−Val11)で処置されたマウスは各々22%及び23
%の罹病率を示した。一方、p277(Cys−Cys架橋)また
はp277(Ser6−Ser11)のいずれも治療上の効果を奏し
なかった。位置6及び11におけるシステイン残基がアラ
ニン又はγ−アミノブチル酸残基で置換された2つの追
加のp277の変異体もまたクローンC9細胞及びNOD脾臓T
−細胞の双方でインヴィトロでテストした場合有効でな
かった。これらの2つのペプチドは抗−p277特異的T細
胞(示さず)により認識されなかったので、これらは治
療効果のためのインヴヴィヴォテストには供されなかっ
た。
実施例3 p277(Val6−Val11)の安定性 システインを置換する理由は、p277ペプチドの安定性
の問題であったので、p277(Val6−Val11)の安定性が
合成後のいくつかの時点でテストされた。p277ペプチド
は不安定であり、厳格な条件(真空中の凍結乾燥パウダ
ー、−20℃)においても悪化する。
p277の安定性をそのp277(Val6−Val11)類似体と比
較するため、両方のペプチドが同時に合成され、乾燥粉
末として−20℃で貯蔵された。合成日の1、9及び20週
後、アリクウォットが計量され、溶解され、テストされ
た。ペプチドの安定性はT細胞クローンC9を刺激する能
力により評価された。図1は実験の結果を示す。元のp2
77は合成後9週間以内にほとんどの効果を失い、20週ま
でに全ての効果を失うが、p277(Val6−Val11)は20週
間の貯蔵の後でも変化しないことが分かる。
p277の不安定性はシステイン残基に起因すると考えら
れるので、p277の生物活性を保持する本発明の全ての類
似体は、p277(Val6−Val11)の例で示されたのと同様
の方法で、p277よりも優れた安定性を有することが期待
される。
実施例4 p277又はp277(Val6−Val11)によるNODメスマウスの治
療はインシュリン炎を逆転する NODメスマウスは、生後12週で、ミネラルオイルのエ
マルジョン(不完全フロイントアジュバント)0.1cc中
の改変されていないp277又はp277(Val6−Val11)を100
μg/マウスだけ皮下投与することにより治療された。コ
ントロールマウスはPBS及びミネラルオイルのエマルジ
ョンを投与された。生後6ヶ月で各々の群の5匹のマウ
スが犠牲にされ、脾臓が摘出され、ブワン固定液中で固
定され、その部分がヘマトキシリン、エオシンで着色さ
れた。インシュリン炎はブラインド法で評価された。コ
ントロールマウスでは重篤な糖尿病が進行したので、こ
れらのマウスは生後5ヶ月で犠牲にされた。その時まで
に、コントロールマウスの血中グルコースレベルは29−
48mmol/Lの範囲であった。結果を表3に示す。
生後12週、即ち処置の時点において、未処置のマウス
の小島の約60%が小島内のインシュリン炎を示し、約20
%の小島が小島周辺部のインシュリン炎を有し、約20%
の小島はインシュリン炎を示さなかった。小島内の浸潤
はβ細胞の作用の欠如に関連したインシュリン炎の重篤
の形態であると考えられる。表3に示すように、小島部
の外観の顕著な分岐は、オイル単独で処置されたコント
ロールマウスと比較して処置された2つの群において発
達した。オイルで処置を受けたマウス(コントロール)
では影響を受けなかった小島部の比率が斬新的に下降
し、生後22週、即ち全てのマウスが明らかな糖尿病とな
る時点までには、わずか10%の正常な小島部を観察する
ことができるだけであった。小島部の約67%は22週の時
点で小島内のインシュリン炎を示し、残りの23%の小島
部は小島周辺部のインシュリン炎を示した。対照的に、
p277又はp277(Val6−Val11)で処置されたマウスは正
常な小島の数の上昇(25%から52%の間)及び小島内に
インシュリン炎を有する小島の数の下降(6%から17%
の間)を示した。小島周辺部のインシュリン炎を起こし
ている小島は約31%−69%にまで上昇した。従って、p2
77及びp277(Val6−Val11)による治療は、治療後3ヶ
月以上持続するインシュリン炎の程度の逆転と関連する
組織学上の描写の改善に関連する。
メスNODマウスにおけるp277(V)の使用の他の結果 15の他の実験が行われ、これにおいては10匹のNODメ
スマウスの群の各々が生後12−15週でオイル中のp277
(V)又はオイル単独で処置された。オイル単独で処置
された150匹のマウスの総数の内、90%で糖尿病が進行
し、85%が生後32週まで死亡した。対照的に、p277(V
で処置されたマウスはわずか50%(p<0.01)の罹病率
を示しただけであり、わずか20%が重篤な糖尿病で死亡
しただけであった(p<0.01)。従って、p277(V)に
よる後期の治療は致命的な糖尿病の進行を停止させるの
に有効であった。
実施例5 油性エマルジョン中のp277(Val6−Val11)を用いたI
型糖尿病のペプチド療法 膵臓のインシュリン生産性β−細胞の自己免疫による
破壊はT−リンパ球により行われる。炎症性浸潤は生後
5−8週で膵臓の小島周辺部で発達し、インシュリン欠
乏症及び完全な糖尿病をもたらすβ細胞の破壊は生後14
−20週で認められるようになり、生後35−40週までには
ほとんど100%のメスNODマウスは影響を与える。
NODメスマウスは、PBS、又は10%の大豆オイル、1.2
%の卵リン脂質及び2.25%のグリセロールからなる10%
の油性エマルジョン(イントラリピッド、カビファーマ
シアAB、スウェーデン)0.1ml中の100μgのペプチドp2
77(Val6−Val11)をマウスごとに皮下投与することに
より処置された。
生後6ヶ月での糖尿病の罹病率及び抗−p277(Val6
Val11)抗体の生産は以下の通りであった。糖尿病は持
続的な高血糖症、即ちベックマングルコースアナライザ
ーIIで1週間の間隔をおいて少なくとも2回11.1mmol/L
以上の血中グルコースレベルが測定された場合に診断さ
れた。ペプチド療法は、正常な血中グルコース濃度(1
1.1mmol/L以下)が維持された場合、膵臓の小島内の炎
症(インシュリン炎)が軽減された場合及びTH2型の免
疫応答のインディケーターとして治療に用いるペプチド
に対する抗体が誘発された場合に成功したと判断され
た。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、イントラリピッド中で投与
された本発明のペプチドによる処置は糖尿病の罹病率及
び死亡率を低下するのに有効であった。一方、PBS中で
投与された処置は無効であった。
実施例6 ペプチドp277及びp277(Val6−Val11)は免疫学的に交
差反応性である 前糖尿病のNODマウスから単離されたT−細胞クロー
ンC9の細胞はペプチドp277(黒塗りの円)、p277(Val6
−Val11)(白抜きの円)、p277(Ser6−Ser11)(黒塗
りの四角形)及びp277(Cys−Cys架橋)(白抜きの菱
形)と共に培養された。結果を図2に示す。クローンC9
はペプチドp277及びp277(Val6−Val11)に対してのみ
陽性の増殖応答を示すことが見出された。これはp277及
びp277(Val6−Val11)が交差反応性であり、ペプチドp
277(Ser6−Ser11)及びp277(Cys−Cys架橋)は治療上
は有効でなく、免疫学的に交差反応性でないことを示
す。
実施例7 新しくIDDMと診断された患者はp277及びp277(Val6−Va
l11)の両方に対してT−細胞増殖応答を示す 新しくIDDMと診断された患者(2−4週)が増殖アッ
セイでテストされた。末梢血のリンパ球がヘパリンを加
えた全血からフィコール−ハイパーク法で単離され、イ
ンヴィトロ系で増殖がスクリーニングされ、これは3H−
チミジンの取り込みとして測定され、hsp60ペプチドP27
7、P277(Val60−Val11)及びコントロールペプチドp27
8により誘発された。T細胞増殖応答は刺激指数(S
I)、即ち、ペプチドで刺激されたチミジン取り込みの
量とT細胞によるチミジンのバックグラウンド(抗原が
加えられていない)の取り込み量との割合として表され
る。
表5に示されるように、新しくIDDMと診断された患者
は、p277ペプチドと同様に、p277(Val6−Val11)に対
して応答する。従って、p277(Val6−Val11)は免疫学
的にp277と均等である。p277の治療上の効果は、免疫学
上の認識により達成されるので、p277(Val6−Val11
がp277と免疫学的に交差反応性であるという事実は、p2
77(Val6−Val11)は糖尿病の治療においてp277の代り
に用いることができるということを示している。
実施例8 hsp60及びIDDM及び健康な個体中のペプチドに対するT
細胞の応答 21人のIDDM患者及び14人の健康な血液ドナーが実施例
7の増殖アッセイにより抗−hsp60及びp277(V)のス
クリーニングを受けた。表6及び表7はコントロール抗
原(コントロールAg)、即ち破傷風毒素及びテキサス株
のインフルエンザウィルス及び全体の遺伝子組み替え型
hsp60及びp277(V)に対する各々の個体のT細胞の増
殖応答(刺激指数;SI)を示す。3又はそれ以上のSI値
は陽性と考えられた。
表8は、86%及び52%の患者がhsp60及びp277(V)
に対し応答したのに対し、21%及び14%がコントロール
に応答したこと(p<0.05)を示す表である。従って、
IDDM群はhsp60及びp277(V)に対する応答が明らかに
陽性であった。これによって、IDDM患者ではhsp60及びp
277(V)に反応する個体の割合は健康人よりも高いと
いう結論が導かれる。
実施例9 p277(Lys19)に対するNODのT−細胞増殖 p277(Lys19)ペプチドは1個のアミノ酸がp277と異
なる。p277(Lys19)がNODのIDDMにおける自己抗原であ
ることを確認するため、ペプチドp277及びペプチドp277
(Lys19)に対するT−細胞の増殖を比較した。図3は
メスNOD脾臓のT細胞がp277と同一の程度p277(Lys19
に対して増殖したことを示す。コントロールペプチドp2
78に対する応答は存在しなかった。
上記の結果は、クローンC9、即ちヒトペプチドp277に
対して応答することが知られている糖尿病誘発性のNOD
のT−細胞クローンを使用することで確認された(エリ
アスら、1991年)。C9細胞はp277ペプチドと同程度p277
(Lys19)ペプチドに対して増殖することが見出された
(図4)。
実施例10 p277(Lys19)によるNODメスマウスの治療 以前、本発明者は、生後3ヶ月のメスNODマウスに現
れる進行したインシュリン炎はヒトp277の単一注射で処
置することで停止することができ、処置されたマウスで
は臨床的に完全な糖尿病の罹病率及び重篤な高血糖症に
よる死亡率が低下することを報告した。ペプチドp277
(Lys19)、即ちマウスの自己p277ペプチドが有効であ
るかどうかテストするため、本発明者は生後3ヶ月のメ
スNODマウスをIFA中のヒトp277又はp277(Lys19)100μ
gで処置した。
リン酸緩衝食塩水(PBS)中の2mg/mlの濃度のペプチ
ドp277又はp277(Lys19)は同量の不完全フロインドア
ジュバント(IFA)で乳化された。10匹の生後3ヶ月の
メスNODマウスの群はいずれかのペプチドを含むエマル
ジョン0.1ml(ペプチド100μg)が皮下注射された。コ
ントロールマウスはPBS及びIFAのエマルジョンが注射さ
れた。マウスは4週毎に採血され、血中グルコースレベ
ルがベックマングルコースアナライザーIIで求められ
た。高血糖症の罹病率及び糖尿病による死亡率は、生後
6ヶ月で評価された。マウスは血中グルコースが11mmol
/Lより大きい場合に糖尿病と診断された。
結果を表9に示す。生後6ヶ月で、90%のコントロー
ルマウスが完全な高血糖症となり、60%が糖尿病により
死亡した。これに対して、p277又はp277(Lys19)によ
る処置により糖尿病(各々40%及び50%の罹病率)及び
死亡(各々10及び20%の死亡率)が防止された。従っ
て、マウスの自己ペプチドp277(Lys19)は進行したイ
ンシュリン炎の治療に異種p277として有効であると思わ
れる。
これらの結果は、ヒトhsp60分子及びそのp277ペプチ
ドを用いて検出されたNODのT細胞の増殖応答は、マウ
スhsp60及マウスp277(Lys19)配列に対する自己免疫応
答と均等であることを示す。これは前糖尿病マウスの脾
臓において進行している自然応答と同様、糖尿病誘発性
C9T細胞クローンについても示された。さらに、p277(L
ys19)はNODマウスの糖尿病の治療にp277と同程度有効
であった。月齢及び性別が一致する他の種類のマウスの
脾臓T細胞はp277に対する自然的なT−細胞の増殖応答
を示さなかった(示さず)。
糖尿病誘発性T細胞により標的されるマウスhsp60配
列に対する自己免疫性の発見は、IDDMが自己免疫過程に
起因するという一般的な考え方を支持するものである。
実施例11 p277(V)によるSTZ誘発性糖尿病の治療 ストレプトゾトシン(STZ)は、200mg/kgの容量が注
射されると、24−48時間以内にβ−細胞を破壊すること
により中毒性糖尿病を引き起こすことができるβ−細胞
特異性毒素である。これを少量投与すると糖尿病に結び
つく遺伝的なマウスのインシュリン炎を誘発する。炎症
過程はSTZの容量により、20−30日かかる。STZ誘発性糖
尿病のための通常のプロトコールは体重1kgに対し200mg
のSTZを連日40mg/kgの容量を5回投与することであり
(ライク及びロジニ、1976年)、このモデルは低量STZ
と呼ばれている。全量が150mg/kg(30mg/kg X 5)に減
量されると、糖尿病は80−100日以内に発現するという
ことが見出されている。このSTZ誘発性糖尿病の穏やか
な進行形態はおそらくヒトにおける自己免疫性糖尿病と
類似し、NODマウスの自然発症的な糖尿病の前臨床的段
階と同一の期間持続する(カスタノ及びアイゼンバー
ス、1990年)。さらに、急性の毒素効果は容量が減少す
ると減少する。
60kDa熱ショック蛋白質(hsp60)はNOD(エリアス
ら、1990年)及びSTZ誘発性(エリアスら、1994年)糖
尿病の両方において役割を果たしている。完全な糖尿病
が始まる前に、hsp60に対する抗体及びT細胞増殖応答
が生じていることが示されている。hsp60に特異的なT
細胞クローンは前糖尿病NODマウスに由来し、若いNOD
(エリアスら、1991年)又はτγιδNODマウスにイン
シュリン炎及び高血糖症を養子免疫伝達することができ
る。NOD糖尿病誘発性T細胞クローンはp277と呼ばれるh
sp60配列437−460の24個のアミノ酸からなる長いペプチ
ドを認識する。誘発性糖尿病は前臨床段階で抗−p277T
細胞応答を伴う。
上記実施例はp277(Val6−Val11)ペプチドはNODマウ
スを保護することを示した。本実験は低量STZモデルに
おけるp277(V)療法の有効性をテストするものであ
る。
10匹のオスマウスからなる群は1日あたり30mg/kgのS
TZで5日間治療された。1週間後、マウスはオイル中の
100μgのp277(V)、カウフマンらが1993年にNODマウ
スの糖尿病に関連すると記載したグルタミン酸デカルボ
キシラーゼ(GADp34)のペプチド又はオイル単独で処置
された。この処置は、85日間繰り返された。100日目に
マウスは採血され、その血液が高血糖症かどうかテスト
された(15mmol/L以上のグルコース濃度)。結果を図5
に示す。GADp34で処置されたマウス又は処置されなかっ
たマウスの平均血中グルコースは高血糖症の範囲にある
ことが分かる。反対に、p277(V)で処置されたマウス
の平均血中グルコースは正常の範囲内であった。従っ
て、p277(V)は遺伝的に異なるメスNODマウスで自然
的に進行した糖尿病と同様STZにオスC57BL/ksjマウスに
誘発された糖尿病の治療においても有効である。p277
(V)療法の適用性は、1の原因又は1の遺伝子型又は
性別の糖尿病に限定されない。
本明細書中に引用された参照文献は雑誌、記事若しく
は要約、又は公開された若しくは対応する米国若しくは
外国出願、発行された米国又は外国出願、更には他の参
照文献を含むものであるが、全体として本明細書に一体
化され、これは、引用された文献中の全てのデータ、
表、数値及びテキストを含む。更に、ここに引用した参
照文献中で引用されている参照文献の全体の内容もまた
本明細書に一体化される。
公知の方法のステップ、従来の方法のステップ、公知
の方法又は従来の方法への参照は、本発明の観点、説明
及び実施例が関連技術において開示、教示又は示唆され
ていることを認めるものではない。
上述の実施例の説明は本発明の一般的性質を明らかに
しているので、本技術の属する分野の通常の知識を適用
することにより(ここに引用した参照文献の内容を含
む)、不必要な実験を行うことなく、本発明の一般的概
念から離れることなく、容易に実施例の変更及び/又は
応用を行うことができる。従って、このような変更及び
応用は、本明細書中における教示及び指導に基づき、実
施例と均等の意味及び範囲内であると意図される。本明
細書中で用いられた用語は発明の説明のためのものであ
り、発明を限定するものではないので、本明細書の用語
は本明細書の開示及び教示を参照して、発明の属する技
術の分野における通常の知識を有する者の知識と組み合
わせることにより、通常の知識を有する者により解釈さ
れなければならない。
参照文献 ベンデラック(Bendelac A)、カルナウド(Carnaud
C)、バッハ(Bach JF)、(1987)、糖尿病NODマウス
から健康な新生児への自己免疫糖尿病の親縁移転:L3T4
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althy neonates.Requirement for both L3T4+ and Ly
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フーバー(Forsthuber T)、ティング(Ting GSP)、ロ
ビンソン(Robinson P)、アトキンソン(Atkinson M
A)、セルカルツ(Sercarz EE)、トビン(Tobin A
J)、レーマン(Lehmann PV)、(1993)、ムリンイン
シュリン依存性糖尿病におけるグルタミン酸デカルボキ
シラーゼに対するT−細胞寛容の自然損失(Spontaneou
s loss of T−cell tolerance to glutamic acid decar
boxylase in murine insulin−dependent diabetes)、
Nature,366:69−72 ライク(Like AA)、ロジニ(Rossini AA)、(197
6)、ストレプトゾトシン誘発性膵臓インシュリン炎:
糖尿病の新規モデル(Streptozotocin−induced pancre
atic insulitis:new model of diabetes mellitus)、S
cience,193:415−417 モスマン(Mosmann T.R.)及びコフマン(Coffman R.
I.)、(1989)、Ann Rev Immunol,7:145−173 ティッシュ(Tisch R)、ヤング(Yang XD)、シンガ
ー(Singer SM)、リブラヴ(Liblav RS)、フガー(Fu
ggar L)、マクデヴィット(McDevitt HO)、(199
3)、グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する免疫応
答は非肥満性糖尿病マウスにおいてインシュリンと相互
関連する(Immune response to glutamic acid decarbo
xylase correlates with insulitis in non−obese dia
betic mice)、Nature,366:72−75 配列表 (1)一般情報: (i)出願人: (A)氏名:イェダ リサーチ アンド ディヴェ
ロップメントカンパニー、リミテッド (B)番地:P.O.Box 95 (C)町名:レホヴォト (E)国名:イスラエル (F)郵便番号(ZIP):76100 (A)氏名:コーエン、イルン アール (B)番地:ハンキン ストリート 11 (C)都市名:レホヴォト (E)国名:イスラエル (F)郵便番号(ZIP):76354 (A)氏名:エリアス、ダナ (B)番地:デレチ ヤヴネ 57 (C)都市名:レホヴォト (E)国名:イスラエル (F)郵便番号(ZIP):76344 (A)氏名:フリドキン、マティチャフ (B)番地:ミラー ストリート 23 (C)都市名:レホヴォト (E)国名:イスラエル (F)郵便番号(ZIP):76284 (ii)発明の名称:ペプチドp277類似体及びこれを含
む糖尿病の治療又は診断のための薬剤組成物 (iii)配列の数:10 (iv)コンピューター判読: (A)媒体の種類:フロッピーディスク (B)コンピューター:IBM PC compatible (C)オペレイティングシステム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:パテントイン リリース #
1.0、バージョン1.30(EPO) (vi)前出願の情報 (A)出願番号:IL 112094 (B)出願日:1994年12月21日 (vi)前出願の情報 (A)出願番号:IL 114460 (B)出願日:1995年7月5日 (2)配列番号(SEQ ID NO):1の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):1: (2)配列番号(SEQ ID NO):2の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (ix)特徴 (A)名前/キー:ペプチド (B)位置:6、11、19 (D)他の情報:位置6/11のXaaはCys又はValであ
り、位置19のXaaはThr又はLysであり、位置19のXaaがTh
rである場合、位置6/11のXaaの両方がCysでない。
(xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):2: (2)配列番号(SEQ ID NO):3の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):3: (2)配列番号(SEQ ID NO):4の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (ix)特徴 (A)名前/キー:ペプチド (B)位置:19 (D)他の情報:位置19のXaaはThr又はLysであ
る。
(xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):4: (2)配列番号(SEQ ID NO):5の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):5: (2)配列番号(SEQ ID NO):6の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (ix)特徴 (A)名前/キー:ペプチド (B)位置:19 (D)他の情報:位置19のXaaはThr又はLysであ
る。
(xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):6: (2)配列番号(SEQ ID NO):7の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):7: (2)配列番号(SEQ ID NO):8の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (ix)特徴 (A)名前/キー:ペプチド (B)位置:19 (D)他の情報:位置19のXaaはThr又はLysであ
る。
(xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):8: (2)配列番号(SEQ ID NO):9の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸24個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):9: (2)配列番号(SEQ ID NO):10の情報 (i)配列の特徴 (A)長さ:アミノ酸17個 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列の記載:配列番号(SEQ ID NO):10:
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/53 A61K 37/02 (72)発明者 フリドキン、マティチャフ イスラエル、レホヴォト 76284、ミラ ーストリート 23 (56)参考文献 米国特許5114844(US,A) THE LANCET(1994),Vo l.343,No.8899,p.704−706 Proc.Natl.Acad.Sc i,U.S.A.(1991),Vol. 88,No.8,p.3088−3091 Cell(1989),Vol.59,N o.2,p.257−271 Eur.J.Immunol.(1995 Oct),Vol.25,No.10, p.2851−2857 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/47 A61K 35/00 A61K 38/00 A61K 49/00 C07K 16/18 G01N 33/53 CA(STN) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/MEDLINE/WPID S(STN)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のアミノ酸配列からなるペプチド、そ
    の塩、又はアミノ酸残基の側鎖上もしくはN−あるいは
    C−末端上の官能基から調製されるその機能性誘導体。 (式中、X1及びX2はVal残基であり、X3はThr残基であ
    る。)
  2. 【請求項2】患者からの血液もしくは尿サンプル中の、
    インシュリン依存性糖尿病(以下、IDDMという。)の存
    在もしくは開始を示す、ヒトhsp60と免疫学的に反応す
    る抗体もしくはT細胞の存在を検出するための請求項1
    記載のペプチドの使用。
  3. 【請求項3】患者からの血液もしくは尿サンプル中の、
    IDDMの存在又は開始を示す、ヒトhsp60と免疫学的に反
    応する抗体もしくはT細胞の存在を検出する方法であっ
    て、前記患者からの血液又は尿サンプルについて前記抗
    体又はT細胞の存在を抗原としての請求項1記載のペプ
    チドでテストする方法。
  4. 【請求項4】前記サンプルについてhsp60と免疫反応す
    る抗−hsp60抗体又はT細胞の存在をテストして、これ
    によってhsp60と免疫的に反応する抗−hsp60抗体又はT
    細胞の存在が陽性を示す結果がIDDMの存在又は開始の可
    能性が高いことを示す請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】前記サンプルは抗−hsp60抗体の存在がテ
    ストされる請求項3又は4記載の方法。
  6. 【請求項6】テスト方法はラジオイムノアッセイを含む
    請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】テスト方法はELISAテストを含む請求項6
    記載の方法。
  8. 【請求項8】請求項3から7のいずれか1項記載の方法
    に従って抗−hsp60抗体の存在をテストすることによりI
    DDMの存在を診断するためのキットであって、 (i)請求項1のペプチドである抗原と、 (ii)検出される前記抗−hsp60抗体の不変領域を認識
    することができる標識された抗体とを含むキット。
  9. 【請求項9】前記抗原は固相に固定されている請求項8
    記載のキット。
  10. 【請求項10】IDDMの診断においてキットの使用のため
    のインストラクションを含む請求項8又は9記載のキッ
    ト。
  11. 【請求項11】標識はラジオアイソトープ、酵素、発色
    団及び発蛍光団からなる群から選択される請求項8から
    10のいずれか1項記載のキット。
  12. 【請求項12】前記サンプルはhsp60と免疫反応するT
    細胞の存在がテストされる請求項3又は4記載の方法。
  13. 【請求項13】テスト方法はT細胞増殖テストを含む請
    求項12記載の方法であって、このT細胞増殖テストは (i)患者から得られた血液サンプルからT細胞を含む
    非核細胞フラクションを調製し、 (ii)前記非核細胞フラクションに請求項1記載のペプ
    チドから選択された抗原を加え、 (iii)前記抗原の存在下で適切な時間、適切な培養条
    件で前記細胞フラクションを培養し、 (iv)前記培養時間の終了前の適切な時点で(iii)の
    培養された細胞のカルチャーに対し標識されたヌクレオ
    チドを加え、前記標識されたヌクレオチドを増殖してい
    るT細胞のDNAに取り込ませ、 (v)前記T細胞に取り込まれた標識されたヌクレオチ
    ドの量を分析することにより増殖しているT細胞の量を
    決定する 工程を含む方法。
  14. 【請求項14】テスト方法はT細胞サイトカイン応答テ
    ストを含む請求項12記載の方法であって、このサイトカ
    イン応答テストは、 (i)患者から得られた血液サンプルからT細胞を含む
    非核細胞フラクションを調製し、 (ii)前記非核細胞フラクションに請求項1記載のペプ
    チドから選択された抗原を加え、 (iii)前記抗原の存在下で適切な時間、適切な培養条
    件で前記抗原の存在の下で前記細胞フラクションを培養
    し、 (iv)応答しているリンパ細胞により培地中に分泌され
    たサイトカインの存在を測定する 工程を含む方法。
  15. 【請求項15】サイトカインはIFN−γ、IL−2、IL−
    4、IL−6、IL−10、TNF−α又はTGFβである請求項14
    記載の方法。
  16. 【請求項16】請求項3、4又は13項記載の方法により
    hsp60と免疫反応するT細胞の存在をテストすることに
    よりIDDMの存在を診断するためのキットであって、 (i)請求項1のペプチドの抗原と、 (ii)標識されたヌクレオチドと、 (iii)リンパ球の培養のために適した培地 とを含むキット。
  17. 【請求項17】請求項3、4、14又は15項記載の方法に
    よりhsp60と免疫反応するT細胞の存在をテストするこ
    とによりIDDMの存在を診断するためのキットであって、 (i)請求項1のペプチドの抗原と、 (ii)リンパ細胞の培養に適した培地と、 (iii)応答しているリンパ細胞により培地中に分泌さ
    れたサイトカインの存在を測定するためのキット とを含むキット。
  18. 【請求項18】IDDMの診断においてキットの使用のため
    のインストラクションを含む請求項14から17のいずれか
    1項記載のキット。
  19. 【請求項19】請求項1のペプチドと薬剤学的に許容さ
    れる担体とを含む薬剤組成物。
  20. 【請求項20】IDDMの予防又は治療のための請求項19記
    載の薬剤組成物。
  21. 【請求項21】IDDMを治療するための薬剤組成物を調製
    するための請求項1記載のペプチドの使用。
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