JP3418260B2 - 2サイクルエンジンの掃気装置 - Google Patents

2サイクルエンジンの掃気装置

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JP3418260B2
JP3418260B2 JP26978494A JP26978494A JP3418260B2 JP 3418260 B2 JP3418260 B2 JP 3418260B2 JP 26978494 A JP26978494 A JP 26978494A JP 26978494 A JP26978494 A JP 26978494A JP 3418260 B2 JP3418260 B2 JP 3418260B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は2サイクルエンジンの掃
気装置に関し、特に多気筒2サイクルエンジンにおける
ユニフロー掃気(単流掃気)方式の掃気装置に関するも
のである。 【0002】 【従来の技術】2サイクルエンジンの掃気方式の1つ
に、ユニフロー掃気方式がある。この種ユニフロー掃気
方式の多気筒2サイクルエンジンにおいては、複数のシ
リンダを直列に配設したシリンダブロックの上部に各シ
リンダの周囲を取り囲むように水冷ジャケットを形成
し、その下部に、図6に示すように、各シリンダ21の
周囲をそれぞれ取り囲むとともに互いに連通した単一室
から成る掃気室22を形成し、シリンダ周壁を形成する
シリンダライナ23に形成した複数の掃気孔24を通し
て掃気室22からシリンダ21内に新気を導入し、シリ
ンダヘッドに設けられた排気口から燃焼ガスを排出する
ように構成されている。 【0003】上記各掃気孔24は、シリンダ21内でス
ワールを形成させるために、図7に詳細に示すように、
その両側壁24aが掃気孔中心Oを通る半径方向の軸線
rに対して接線方向に同じ向きに適当な角度θ°傾斜さ
せて形成した平行壁面にて構成されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、掃気室22
の容積は限られており、掃気室22に供給された新気
は、掃気室22の内壁と複数のシリンダライナ23の外
壁との間に形成された複雑な形状で比較的狭い通路を通
って各シリンダ21の掃気孔24に新気が流れ込むた
め、各掃気孔24における掃気流の方向が全て掃気孔2
4の両側壁に沿った方向になることはなく、図6の例で
は両側のシリンダ21の一部の掃気孔24aにおいて、
矢印で示すように掃気流の方向が側壁の傾斜方向と大き
く外れている。この場合、図7に示すように、掃気口2
4の開口幅Wに対して、白抜き矢印で示す掃気流方向の
実効開口幅wが著しく小さくなり、その分ポンプロスが
増加して掃気効率が悪化するという問題があった。 【0005】なお、特開昭59−54730号公報、特
開昭61−215419号公報や実開昭63−1155
29号公報等には、掃気孔の形状を工夫したものが開示
されているが、それらの技術手段はこのような課題に対
するものではなく、上記課題を解決することもできな
い。 【0006】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、単一の掃気室から複数のシリンダに対して掃気を行
う場合に各シリンダでスワールを形成できるとともに掃
気効率を高くできる2サイクルエンジンの掃気装置を提
供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、複数のシリン
ダを直列に配設し、各シリンダの周囲をそれぞれ取り囲
むとともに互いに連通した単一室から成る掃気室を形成
し、掃気室からシリンダ周壁に形成した複数の掃気孔を
通してシリンダ内に新気を導入するようにした2サイク
ルエンジンの掃気装置において、前記掃気孔として、
本的な形状の掃気孔と、一部の前記基本的な形状を変形
した掃気孔とを有し、前記基本的な形状の掃気孔は、そ
の両側壁を掃気孔中心を通る半径方向の軸線に対して
じ向きで掃気流の流入方向に沿うように傾斜した平行壁
面で形成したものであり、前記基本的な形状を変形した
掃気孔は、掃気流の流入方向が前記平行壁面の傾斜方向
と大きく外れている箇所に設けられ、掃気流の流入に対
する実効開口面積を確保すべく、前記両側壁の内の半径
方向内側向きの側壁をその内周縁から略半径方向に沿う
面で切除してなるものであることを特徴とする。 【0008】 【作用】本発明によれば、比較的多くの掃気孔において
はその両側壁の傾斜方向に沿って掃気室からシリンダ内
に新気が流入することによりシリンダ内にスワールが形
成され、かつ掃気孔における掃気流の方向が側壁の傾斜
方向と大きく外れている一部の掃気孔においては、その
形状を新気がシリンダ内に流入するのを阻害して実効開
口面積を小さくしている側壁を、略半径方向に沿う面で
切除したものとすることにより、実効開口面積が増加
し、ポンプロスが低減して掃気効率が向上する。 【0009】 【実施例】以下、本発明の第1実施例を図1〜図4を参
照して説明する。 【0010】図1、図2において、1はユニフロータイ
プの掃気方式の多気筒2サイクルエンジンのシリンダブ
ロックであり、その上部のシリンダ配置部2には複数
(図では3つ)のシリンダ3が直列に配設されている。
シリンダ配置部2の上部には各シリンダ3の周囲を取り
囲むように水冷ジャケット4が形成され、その下部に各
シリンダ3の周囲をそれぞれ取り囲むとともに互いに連
通した単一室から成る掃気室5が形成されている。ま
た、シリンダブロック1の上部一側面には掃気室5に連
通する掃気導入開口部6が一側外方に突出させて形成さ
れている。この掃気導入開口部6は、シリンダ3の配列
方向にはシリンダブロック1の両端部を除いて長く形成
されるとともに、上下方向の高さ寸法も掃気室5よりも
大きく形成され、サージタンクとして機能するように成
されている。 【0011】各シリンダ3の内周には、図1に仮想線で
示すように、シリンダ壁を構成するシリンダライナ7が
嵌着されている。このシリンダライナ7には、図3に詳
細に示すように、掃気室5の上部に対応する位置に掃気
室5に開口する掃気口8が周方向に適当間隔置きに複数
形成されている。これら各シリンダライナ7における掃
気孔8の両側壁は、図6で説明したように、掃気孔8の
中心Oを通る半径方向の軸線rに対して同じ向きに接線
方向に傾斜した平行壁面にて形成されているが、掃気孔
8における掃気流の方向(図3に矢印で示す)が掃気孔
8の側壁の傾斜方向と大きく外れている一部の掃気孔8
aにおいては、図4に詳細に示すように、掃気流の流入
にとって障害となっている内側向きの一側壁8bがその
内周縁から略半径方向に沿う面18で切除されている。 【0012】尚、図1において、シリンダライナ7内に
上下摺動自在にピストン9が嵌合されている。また、シ
リンダブロック1の下部にはクランク室10を構成する
スカート部11が形成されている。そして、クランク室
10からシリンダブロック1の上端面に向けて貫通する
ブローバイガス通路12が、掃気導入開口部6における
シリンダ孔3、3間に対向する位置を上下に貫通して形
成されている。又、図2に仮想線で示すように、掃気導
入開口部6には掃気ポンプ13が接続され、掃気流を供
給するように構成されている。また、図示していない
が、シリンダブロック1の上面には、排気弁や燃料噴射
弁を装着したシリンダヘッドが接合される。 【0013】以上の構成において、掃気ポンプ13から
掃気導入開口部6を経て掃気室5に掃気流が圧送されて
いる状態で、ピストン9が下降して掃気口8、8aが開
口し、シリンダヘッドに設けられた排気弁が開口するこ
とにより、排気口から燃焼ガスが排出されるとともにシ
リンダ3内に掃気流が流入して掃気が行われる。 【0014】その際、比較的多くの掃気孔8においては
その両側壁の傾斜方向に沿って掃気室5からシリンダ3
内に新気が流入することにより各シリンダ3内に確実に
スワールが形成される。それと同時に、掃気孔8におけ
る掃気流の方向が側壁の傾斜方向と大きく外れている一
部の掃気孔8aにおいては、新気がシリンダ3内に流入
するのを阻害している側壁8bを略半径方向に沿う面1
8で切除していることによって、掃気流が通過する実効
開口面積が、図4にW’として示すように増加している
ため、ポンプロスを低減できて掃気効率が向上し、従っ
て各シリンダ3で確実にスワールを形成できるとともに
掃気効率を高くできる。 【0015】また、掃気室5と掃気導入開口部6がサー
ジタンクとして機能することにより、各シリンダ3間で
タイミングをずらせて掃気が行われることによる吸気脈
動を吸収でき、円滑で均一な掃気が安定して行われる。
また、クランク室10に流出した掃気はブローバイガス
通路12を通りシリンダヘッドを経て掃気中に還流され
る。 【0016】次に、本発明の第2実施例について、図5
を参照しながら説明する。なお、上記第1実施例と共通
の構成要素については、同一参照番号を付して説明を省
略し、異なる構成要素についてのみ説明する。 【0017】上記第1実施例では、掃気流の方向が掃気
孔8の側壁の傾斜方向と大きく外れている一部の掃気孔
8aについてのみその側壁8bを略半径方向に沿う面1
8で切除しているが、掃気室6における掃気流の方向は
必ずしも常に一定とは限らず、エンジンの運転状態によ
って変化するため、掃気流の方向が掃気孔8の側壁の傾
斜方向と大きく外れる掃気孔8aは必ずしも一定してい
ない。そこで、この実施例では各掃気孔8において、そ
の一側壁19は掃気孔中心を通る半径方向の軸線に対し
て接線方向に同じ向き傾斜した外向きの壁面にて形成
し、他側壁20はその内周縁から略半径方向に沿う壁面
又は一側壁19とは反対向きに傾斜した壁面にて構成し
ている。 【0018】本実施例によれば、すべての掃気孔8につ
いて一側壁19はスワールの流れ方向に沿わせて傾斜さ
せ、他側壁20は略半径方向に沿わせ又は逆方向に傾斜
させているので、実際の運転状態によって新気の流れ方
向が変わるようなことがあっても、全ての掃気孔8にお
いて常に実効開口面積を最大限確保でき、あらゆる運転
状態においてポンプロスを低減して掃気効率を向上でき
る。しかも多くの掃気孔8においては掃気室6からシリ
ンダ7内に流れる新気が一側壁19の傾斜方向に沿って
流れることによりスワール形成作用に支障を来すような
こともなく、確実にスワールを形成することができる。
なお、他側壁20を一側壁19に対して反対方向に傾斜
させた場合には、略半径方向に沿わせた場合よりも実効
開口面積が増加し、スワール形成効果が弱まる傾向があ
り、エンジンの運転条件等によって適宜に設計すればよ
い。 【0019】 【発明の効果】本発明の2サイクルエンジンの掃気装置
によれば、以上のように比較的多くの掃気孔においては
その両側壁の傾斜方向に沿って掃気室からシリンダ内に
新気が流入することによりシリンダ内に確実にスワール
を形成することができ、かつ掃気孔における掃気流の方
向が側壁の傾斜方向と大きく外れている一部の掃気孔に
おいては、その形状を新気がシリンダ内に流入するのを
阻害し、実効開口面積を小さくしている一側壁を略半径
方向に沿う面で切除したものとすることによって実効開
口面積が増加してポンプロスを低減でき、掃気効率を向
上することができる。 【0020】従って、本発明によれば各シリンダで確実
にスワールを形成できるとともに掃気効率を高くでき
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施例における2サイクルエンジ
ンのシリンダブロックの縦断側面図である。 【図2】図1のA−A矢視横断平面図である。 【図3】同実施例における各シリンダの掃気孔の詳細を
示す横断平面図である。 【図4】同実施例の要部の掃気孔の拡大横断平面図であ
る。 【図5】本発明の第2実施例における2サイクルエンジ
ンのシリンダブロックの各シリンダの掃気孔の詳細を示
す横断平面図である。 【図6】従来例における各シリンダの掃気孔の詳細を示
す横断平面図である。 【図7】従来例の掃気孔の拡大横断平面図である。 【符号の説明】 3 シリンダ 5 掃気室 7 シリンダライナ 8 掃気孔 8a 掃気孔 18 略半径方向に沿う面 19 一側壁 20 他側壁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−280415(JP,A) 特開 平6−159067(JP,A) 実開 平4−71737(JP,U) 実開 昭55−142629(JP,U) 実開 昭55−140716(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02F 1/00 F02F 1/22 F02B 25/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数のシリンダを直列に配設し、各シリ
    ンダの周囲をそれぞれ取り囲むとともに互いに連通した
    単一室から成る掃気室を形成し、掃気室からシリンダ周
    壁に形成した複数の掃気孔を通してシリンダ内に新気を
    導入するようにした2サイクルエンジンの掃気装置にお
    いて、前記掃気孔として、基本的な形状の掃気孔と、一
    部の前記基本的な形状を変形した掃気孔とを有し、前記
    基本的な形状の掃気孔は、その両側壁を掃気孔中心を通
    る半径方向の軸線に対して同じ向きで掃気流の流入方向
    に沿うように傾斜した平行壁面で形成したものであり、
    前記基本的な形状を変形した掃気孔は、掃気流の流入方
    向が前記平行壁面の傾斜方向と大きく外れている箇所に
    設けられ、掃気流の流入に対する実効開口面積を確保す
    べく、前記両側壁の内の半径方向内側向きの側壁をその
    内周縁から略半径方向に沿う面で切除してなるものであ
    ことを特徴とする2サイクルエンジンの掃気装置。
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US9551220B2 (en) * 2014-05-21 2017-01-24 Achates Power, Inc. Open intake and exhaust chamber constructions for an air handling system of an opposed-piston engine

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