JP3416347B2 - 水素吸蔵合金電極の作製方法 - Google Patents
水素吸蔵合金電極の作製方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金電極
を作製する方法に関し、より具体的には、簡略化された
方法により、所定の初期活性度を具えた水素吸蔵合金電
極を作製する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】水素吸蔵合金の水素吸蔵/放出の特性を
利用して、水素吸蔵合金粉末を焼結、又は結着剤と混合
して加圧成形して水素吸蔵合金電極を作製し、該電極を
負極として用いたニッケル−水素化物蓄電池等の金属−
水素化物蓄電池が知られている。水素吸蔵合金は、可逆
的に水素を吸蔵/放出することができ、又、水素化反応
速度も速く、高密度に水素を貯蔵できるため、これら特
性を最大限に利用した大電気容量の蓄電池の開発が望ま
れている。 【0003】ところで、水素吸蔵合金電極を負極として
用いたニッケル−水素化物蓄電池を市場に出荷する際、
該蓄電池は使用開始時より所定の容量を有する必要があ
る。電池作製時にこの所定容量に達しない場合は、所定
容量に達するまで充電/放電を繰り返す工程を経た後に
出荷される。この充電/放電を繰り返す工程は、電池作
製の全工程に対して占める割合が大きく、大掛りな設備
が必要であり、この工程を削減することは電池作製時
間、コストの低減による生産性の向上という点で非常に
重要である。このため酸処理等の処理を行ない活性度を
高めた水素吸蔵合金粉末を用いて、初期活性度の高い電
極を作製し、出荷前の充電/放電工程を低減することが
行なわれている。ここで電極の初期活性度は、充電/放
電開始後の最大放電容量に対する初期の放電容量として
示される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、水素吸蔵合金
粉末は、例えば、同一組成の合金から同一の方法で作製
しても、保存状況等によって、活性度が異なることがあ
る。この様な粉末を用いて、水素吸蔵合金電極を作製す
ると所望の活性度を得られないことがあり、電池の初期
容量がばらつく可能性がある。従って、水素吸蔵合金電
極を作製する前に、電極活性度を反映する水素吸蔵合金
粉末の特性を測定し、合金粉末を管理することは、電池
の品質管理上非常に重要である。又、水素吸蔵合金電極
を作製する前に電極活性度を知ることができれば、所望
の活性度に満たない場合、合金粉末の状態で再び活性化
処理を行なうことができ、電極あるいは電池として組み
立てた後の活性化処理に比べ、設備的にも有利となる。 【0005】本発明は、電極形成の直前に、合金粉末の
物理的特性値を測定して電極完成後の初期活性度を推定
するようにしたもので、電極作製後の活性化処理を不要
にする電極の製造方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、水素吸蔵合金電極の初期活性度の指標となる水素吸
蔵合金粉末の水素ガス吸収時間の測定を、水素吸蔵合金
粉末調製後、電極を作製する前に行ない、所望の値が得
られたことを確認してから電極を形成するようにしたも
ので、所望の特性値を満たさない粉末は、活性化処理を
行なって粉末の活性度を高める等の処置を施すことがで
きる。水素吸蔵合金粉末の水素ガス吸収時間の測定は、
電極を作製する直前に行なうことが望ましい。測定後の
粉末の保存状況によっては、粉末の表面の活性状態が変
化する虞れがあるからである。 【0007】水素吸蔵合金電極の初期活性度の指標とし
て合金粉末の水素吸収時間を用いるのは、水素吸収時間
が合金の水素化反応速度を直接反映し、又、電極の活性
度と密接な関係を有しているからである。 【0008】 【実施例】以下、実施例を掲げて、本発明の水素吸蔵合
金電極の作製方法について詳しく説明する。本発明の方
法は、水素吸蔵合金粉末を電極作製前、即ち粉末の状態
で、水素ガス吸収時間を測定し、その特性値から電極の
初期活性度を推定し、評価することを特徴とするもので
ある。 【0009】実施例1 この実施例は、特定の水素吸蔵合金粉末の水素ガス吸収
時間の測定値と、その水素吸蔵合金粉末から作製した電
極の初期活性度との対応関係を調べるものである。 【0010】[粉末の調製] 市販のミッシュメタルと、Ni、Co、Al、Mnをモル比1.
0:3.2:0.9:0.2:0.6で混合し、アルゴン雰囲気のア
ーク溶解炉で溶解させた後、自然放冷して、組成式MmNi
3.2Co0.9Al0.2Mn0.6で示される水素吸蔵合金鋳塊を作製
した。この水素吸蔵合金鋳塊を空気中で粉砕し、平均粒
径80μmに調整した合金粉末Aを得た。又、合金粉末A
を特開平5−225975号公報に記載されている塩酸
浸漬処理方法(1規定、合金/溶液重量比=1/2、室
温にて30分攪拌)にて酸処理し、吸引瀘過の後、水洗、
乾燥して酸処理合金粉末Bを得た。 【0011】[粉末の特性の測定] 上記方法により作製された粉末A、粉末Bを夫々10ロッ
トずつ、水素ガス吸収時間の測定を行なった。水素ガス
吸収時間の測定は、粉末5gをステンレス製の容器に充
填し、室温にて1時間真空排気し、20atmの水素ガスと
接触させることにより行なった。接触開始から合金の水
素吸収反応が平衡に達するまでの時間を測定した。表
1、表2に測定結果とその標準偏差を示す。 【0012】[電極の作製] 粉末A、粉末Bを夫々用いた水素吸蔵合金電極を作製
し、試験セルによって電極の初期活性度を測定した。粉
末A0.5gを結着剤PTFE0.1gと混合した混合粉末
を、発泡ニッケル多孔体に充填して、1.2ton/cm2で加圧
成形し、直径20mm、厚さ2mmの円板状の水素吸蔵合金電
極Aを作製した。粉末Bについても同様の方法で水素吸
蔵合金電極Bを作製した。 【0013】[試験セルの作製と放電容量の測定] 作製された水素吸蔵合金電極A、水素吸蔵合金電極Bを
負極に用いた試験セルを組み立てて、各試験セルの放電
容量を測定した。試験セル(2)は、図1に示す如く、円
筒状の密閉容器(21)と、該密閉容器(21)の内部に吊り下
げ支持されている正極(3)(後述する)、参照極(32)及び
負極(4)と、密閉容器(21)の上部に配備された圧力計
(5)及びリリーフバルブ(逃し弁)(6)からなるリリーフ
管(7)とから構成される。密閉容器(21)は絶縁性であ
り、内部に電極(3)(32)(4)が浸漬するよう30重量%の
水酸化カリウム水溶液Lが充填されている。水酸化カリ
ウム水溶液Lの上方空間には、窒素ガスが充満されてお
り、容器(21)内の内圧が常に5kgf/cm2となるように圧
力計(5)とリリーフバルブ(6)により調節されている。 【0014】正極(3)は、負極(4)である水素吸蔵合金
電極よりも十分に理論容量の大きな公知の円筒状の焼結
式ニッケル正極であって、密閉容器(21)のほぼ中央にリ
ード線(31)によって吊り下げ支持されている。負極(水
素吸蔵合金電極)(4)は、正極(3)の円筒中心とほぼ一
致する位置にリード線(41)によって吊り下げ支持されて
いる。又、参照極(32)として板状の焼結ニッケル極がリ
ード線(33)によって吊り下げ支持されている。 【0015】水素吸蔵合金電極A、水素吸蔵合金電極B
を具えた各試験セル(2)について、常温(25℃)の下で、
50mA/gで8時間充填を行なった後、1時間休止させ、50
mA/gで放電終止電圧0.9Vとなるまで放電し、再度1時
間休止させる工程を1サイクルとし、このサイクルを繰
り返す。各サイクル毎に試験セル(2)の放電容量(mAh/
g)を測定し、放電容量が最大値を越えた時点でサイクル
を終了し、各電極の初期活性度を調べた。初期活性度
は、電極の初期放電容量(1サイクル目の放電容量)と、
最大放電容量との比、つまり(初期放電容量)/(最大放
電容量)によって求めた。水素吸蔵合金粉末A、水素吸
蔵合金粉末Bからなる各電極の初期活性度及びその標準
偏差を表1、表2に示している。 【0016】 【表1】 【0017】 【表2】 【0018】例えば、表1より粉末Aの初期活性度の測
定値は59%であり、その標準偏差は2であることが分か
る。表1、表2から明らかなように、水素吸蔵合金粉末
A、Bについて、水素吸収時間は殆どばらつきがなく、
又、作製された電極の初期活性度にも殆んどばらつきが
ないことがわかる。また、合金粉末の水素吸収時間が所
定の値のとき、電極の初期活性度も所定の値を有するこ
とがわかる。従って、水素吸蔵合金粉末のこれら特性
を、電極の初期活性度の指標として適用できることがわ
かる。 【0019】実施例2 この実施例では、水素吸蔵合金の供試粉末の水素吸収時
間と、その供試粉末から作製した電極の初期活性度との
関係を調べた。まず、実施例1と同様の方法で、組成式
MmNi3.2Co0.9Al0.2Mn0.6で示される水素吸蔵合金鋳塊を
作製した。この合金鋳塊を空気中(粉末C)、空気中窒素
フロー(粉末D)、空気中アルゴンフロー(粉末E)、アル
ゴン中(粉末F)、窒素中(粉末G)の各雰囲気で粉砕し、
平均粒径80μmに調整した5種類の水素吸蔵合金粉末を
得た。又、合金鋳塊を空気中にて粉砕し、平均粒径80μ
mに調整した粉末を、2種類の異なる塩酸浸漬処理条件
((1規定、合金/溶液重量比=1/1、室温30分攪拌:
粉末H)と、(1規定、合金/溶液重量比=1/2、室温
30分攪拌:粉末I))にて酸処理し、吸引瀘過の後水洗、
乾燥した2種類の酸処理合金粉末を得た。更に、合金鋳
塊を水素化粉砕して、粒径80μmの合金粉末(粉末J)を
得た。 【0020】これら供試粉末について、実施例1と同様
の方法で水素吸収時間を測定した。又、実施例1と同様
の方法で、これら粉末から水素吸蔵合金電極を作製し、
試験セルにおける各電極の初期放電容量と最大放電容量
を測定し、初期活性度を求めた。水素吸収時間と電極の
初期活性度の関係を図2に示す。 【0021】図2は、水素吸収時間と電極の初期活性度
との間には、所定の関係を有することを示しており、水
素吸蔵合金粉末の水素吸収時間を、電極の初期活性度の
指標となる特性として利用できることがわかる。図2の
グラフを利用して、所定の初期活性度を有する電極を作
製することができる。例えば、初期活性度が70%以上の
水素吸蔵合金電極(合金組成はMmNi3.2Co0.9Al0.2Mn0.6)
を作製したい場合、粉体の水素吸蔵時間が約10分以内で
あることを確認してから、電極を作製すればよい。粉体
の電気抵抗値が約10分よりも大きいときは、電極作製前
に、それら粉末の活性化処理を行なえばよい。このよう
に、電極作製前の粉末の状態で、電極の初期活性度を知
ることができるので、電極作製後に、電極内の水素吸蔵
合金粉末の活性化処理を行なう必要性はなくなる。 【0022】上記実施例では、水素吸蔵合金として、Mm
Ni3.2Co0.9Al0.2Mn0.6を用いたが、使用する水素吸蔵合
金は、これに限定されるものでない。また、電極の作製
は、上記例に限定されず、例えば、混合粉末に導電材を
加えたり、混合粉末を焼結して電極を作製してもよい。 【0023】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。 【0024】 【発明の効果】水素吸蔵合金粉末の粉体水素吸収時間を
測定することにより、作製される水素吸蔵合金電極の初
期活性度を評価することができ、又、特性値が指標を満
足していない場合には、粉末の状態で活性化処理を行な
い、指標を満足する状態としてから電極を作製できる。
従って、水素吸蔵合金粉末から初期活性度の高い水素吸
蔵合金電極を安定して作製することができる。又、従来
の様に初期活性度を測定に、電極の完成品を使用する必
要がなく、又、粉体の状態で活性化処理が行なえること
から、従来の様に電極を作製し、初期活性度を測定して
から活性化処理を行なうための大掛りな設備を削減する
ことができ、電池の生産性向上とコストダウンが図れ
る。
を作製する方法に関し、より具体的には、簡略化された
方法により、所定の初期活性度を具えた水素吸蔵合金電
極を作製する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】水素吸蔵合金の水素吸蔵/放出の特性を
利用して、水素吸蔵合金粉末を焼結、又は結着剤と混合
して加圧成形して水素吸蔵合金電極を作製し、該電極を
負極として用いたニッケル−水素化物蓄電池等の金属−
水素化物蓄電池が知られている。水素吸蔵合金は、可逆
的に水素を吸蔵/放出することができ、又、水素化反応
速度も速く、高密度に水素を貯蔵できるため、これら特
性を最大限に利用した大電気容量の蓄電池の開発が望ま
れている。 【0003】ところで、水素吸蔵合金電極を負極として
用いたニッケル−水素化物蓄電池を市場に出荷する際、
該蓄電池は使用開始時より所定の容量を有する必要があ
る。電池作製時にこの所定容量に達しない場合は、所定
容量に達するまで充電/放電を繰り返す工程を経た後に
出荷される。この充電/放電を繰り返す工程は、電池作
製の全工程に対して占める割合が大きく、大掛りな設備
が必要であり、この工程を削減することは電池作製時
間、コストの低減による生産性の向上という点で非常に
重要である。このため酸処理等の処理を行ない活性度を
高めた水素吸蔵合金粉末を用いて、初期活性度の高い電
極を作製し、出荷前の充電/放電工程を低減することが
行なわれている。ここで電極の初期活性度は、充電/放
電開始後の最大放電容量に対する初期の放電容量として
示される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、水素吸蔵合金
粉末は、例えば、同一組成の合金から同一の方法で作製
しても、保存状況等によって、活性度が異なることがあ
る。この様な粉末を用いて、水素吸蔵合金電極を作製す
ると所望の活性度を得られないことがあり、電池の初期
容量がばらつく可能性がある。従って、水素吸蔵合金電
極を作製する前に、電極活性度を反映する水素吸蔵合金
粉末の特性を測定し、合金粉末を管理することは、電池
の品質管理上非常に重要である。又、水素吸蔵合金電極
を作製する前に電極活性度を知ることができれば、所望
の活性度に満たない場合、合金粉末の状態で再び活性化
処理を行なうことができ、電極あるいは電池として組み
立てた後の活性化処理に比べ、設備的にも有利となる。 【0005】本発明は、電極形成の直前に、合金粉末の
物理的特性値を測定して電極完成後の初期活性度を推定
するようにしたもので、電極作製後の活性化処理を不要
にする電極の製造方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、水素吸蔵合金電極の初期活性度の指標となる水素吸
蔵合金粉末の水素ガス吸収時間の測定を、水素吸蔵合金
粉末調製後、電極を作製する前に行ない、所望の値が得
られたことを確認してから電極を形成するようにしたも
ので、所望の特性値を満たさない粉末は、活性化処理を
行なって粉末の活性度を高める等の処置を施すことがで
きる。水素吸蔵合金粉末の水素ガス吸収時間の測定は、
電極を作製する直前に行なうことが望ましい。測定後の
粉末の保存状況によっては、粉末の表面の活性状態が変
化する虞れがあるからである。 【0007】水素吸蔵合金電極の初期活性度の指標とし
て合金粉末の水素吸収時間を用いるのは、水素吸収時間
が合金の水素化反応速度を直接反映し、又、電極の活性
度と密接な関係を有しているからである。 【0008】 【実施例】以下、実施例を掲げて、本発明の水素吸蔵合
金電極の作製方法について詳しく説明する。本発明の方
法は、水素吸蔵合金粉末を電極作製前、即ち粉末の状態
で、水素ガス吸収時間を測定し、その特性値から電極の
初期活性度を推定し、評価することを特徴とするもので
ある。 【0009】実施例1 この実施例は、特定の水素吸蔵合金粉末の水素ガス吸収
時間の測定値と、その水素吸蔵合金粉末から作製した電
極の初期活性度との対応関係を調べるものである。 【0010】[粉末の調製] 市販のミッシュメタルと、Ni、Co、Al、Mnをモル比1.
0:3.2:0.9:0.2:0.6で混合し、アルゴン雰囲気のア
ーク溶解炉で溶解させた後、自然放冷して、組成式MmNi
3.2Co0.9Al0.2Mn0.6で示される水素吸蔵合金鋳塊を作製
した。この水素吸蔵合金鋳塊を空気中で粉砕し、平均粒
径80μmに調整した合金粉末Aを得た。又、合金粉末A
を特開平5−225975号公報に記載されている塩酸
浸漬処理方法(1規定、合金/溶液重量比=1/2、室
温にて30分攪拌)にて酸処理し、吸引瀘過の後、水洗、
乾燥して酸処理合金粉末Bを得た。 【0011】[粉末の特性の測定] 上記方法により作製された粉末A、粉末Bを夫々10ロッ
トずつ、水素ガス吸収時間の測定を行なった。水素ガス
吸収時間の測定は、粉末5gをステンレス製の容器に充
填し、室温にて1時間真空排気し、20atmの水素ガスと
接触させることにより行なった。接触開始から合金の水
素吸収反応が平衡に達するまでの時間を測定した。表
1、表2に測定結果とその標準偏差を示す。 【0012】[電極の作製] 粉末A、粉末Bを夫々用いた水素吸蔵合金電極を作製
し、試験セルによって電極の初期活性度を測定した。粉
末A0.5gを結着剤PTFE0.1gと混合した混合粉末
を、発泡ニッケル多孔体に充填して、1.2ton/cm2で加圧
成形し、直径20mm、厚さ2mmの円板状の水素吸蔵合金電
極Aを作製した。粉末Bについても同様の方法で水素吸
蔵合金電極Bを作製した。 【0013】[試験セルの作製と放電容量の測定] 作製された水素吸蔵合金電極A、水素吸蔵合金電極Bを
負極に用いた試験セルを組み立てて、各試験セルの放電
容量を測定した。試験セル(2)は、図1に示す如く、円
筒状の密閉容器(21)と、該密閉容器(21)の内部に吊り下
げ支持されている正極(3)(後述する)、参照極(32)及び
負極(4)と、密閉容器(21)の上部に配備された圧力計
(5)及びリリーフバルブ(逃し弁)(6)からなるリリーフ
管(7)とから構成される。密閉容器(21)は絶縁性であ
り、内部に電極(3)(32)(4)が浸漬するよう30重量%の
水酸化カリウム水溶液Lが充填されている。水酸化カリ
ウム水溶液Lの上方空間には、窒素ガスが充満されてお
り、容器(21)内の内圧が常に5kgf/cm2となるように圧
力計(5)とリリーフバルブ(6)により調節されている。 【0014】正極(3)は、負極(4)である水素吸蔵合金
電極よりも十分に理論容量の大きな公知の円筒状の焼結
式ニッケル正極であって、密閉容器(21)のほぼ中央にリ
ード線(31)によって吊り下げ支持されている。負極(水
素吸蔵合金電極)(4)は、正極(3)の円筒中心とほぼ一
致する位置にリード線(41)によって吊り下げ支持されて
いる。又、参照極(32)として板状の焼結ニッケル極がリ
ード線(33)によって吊り下げ支持されている。 【0015】水素吸蔵合金電極A、水素吸蔵合金電極B
を具えた各試験セル(2)について、常温(25℃)の下で、
50mA/gで8時間充填を行なった後、1時間休止させ、50
mA/gで放電終止電圧0.9Vとなるまで放電し、再度1時
間休止させる工程を1サイクルとし、このサイクルを繰
り返す。各サイクル毎に試験セル(2)の放電容量(mAh/
g)を測定し、放電容量が最大値を越えた時点でサイクル
を終了し、各電極の初期活性度を調べた。初期活性度
は、電極の初期放電容量(1サイクル目の放電容量)と、
最大放電容量との比、つまり(初期放電容量)/(最大放
電容量)によって求めた。水素吸蔵合金粉末A、水素吸
蔵合金粉末Bからなる各電極の初期活性度及びその標準
偏差を表1、表2に示している。 【0016】 【表1】 【0017】 【表2】 【0018】例えば、表1より粉末Aの初期活性度の測
定値は59%であり、その標準偏差は2であることが分か
る。表1、表2から明らかなように、水素吸蔵合金粉末
A、Bについて、水素吸収時間は殆どばらつきがなく、
又、作製された電極の初期活性度にも殆んどばらつきが
ないことがわかる。また、合金粉末の水素吸収時間が所
定の値のとき、電極の初期活性度も所定の値を有するこ
とがわかる。従って、水素吸蔵合金粉末のこれら特性
を、電極の初期活性度の指標として適用できることがわ
かる。 【0019】実施例2 この実施例では、水素吸蔵合金の供試粉末の水素吸収時
間と、その供試粉末から作製した電極の初期活性度との
関係を調べた。まず、実施例1と同様の方法で、組成式
MmNi3.2Co0.9Al0.2Mn0.6で示される水素吸蔵合金鋳塊を
作製した。この合金鋳塊を空気中(粉末C)、空気中窒素
フロー(粉末D)、空気中アルゴンフロー(粉末E)、アル
ゴン中(粉末F)、窒素中(粉末G)の各雰囲気で粉砕し、
平均粒径80μmに調整した5種類の水素吸蔵合金粉末を
得た。又、合金鋳塊を空気中にて粉砕し、平均粒径80μ
mに調整した粉末を、2種類の異なる塩酸浸漬処理条件
((1規定、合金/溶液重量比=1/1、室温30分攪拌:
粉末H)と、(1規定、合金/溶液重量比=1/2、室温
30分攪拌:粉末I))にて酸処理し、吸引瀘過の後水洗、
乾燥した2種類の酸処理合金粉末を得た。更に、合金鋳
塊を水素化粉砕して、粒径80μmの合金粉末(粉末J)を
得た。 【0020】これら供試粉末について、実施例1と同様
の方法で水素吸収時間を測定した。又、実施例1と同様
の方法で、これら粉末から水素吸蔵合金電極を作製し、
試験セルにおける各電極の初期放電容量と最大放電容量
を測定し、初期活性度を求めた。水素吸収時間と電極の
初期活性度の関係を図2に示す。 【0021】図2は、水素吸収時間と電極の初期活性度
との間には、所定の関係を有することを示しており、水
素吸蔵合金粉末の水素吸収時間を、電極の初期活性度の
指標となる特性として利用できることがわかる。図2の
グラフを利用して、所定の初期活性度を有する電極を作
製することができる。例えば、初期活性度が70%以上の
水素吸蔵合金電極(合金組成はMmNi3.2Co0.9Al0.2Mn0.6)
を作製したい場合、粉体の水素吸蔵時間が約10分以内で
あることを確認してから、電極を作製すればよい。粉体
の電気抵抗値が約10分よりも大きいときは、電極作製前
に、それら粉末の活性化処理を行なえばよい。このよう
に、電極作製前の粉末の状態で、電極の初期活性度を知
ることができるので、電極作製後に、電極内の水素吸蔵
合金粉末の活性化処理を行なう必要性はなくなる。 【0022】上記実施例では、水素吸蔵合金として、Mm
Ni3.2Co0.9Al0.2Mn0.6を用いたが、使用する水素吸蔵合
金は、これに限定されるものでない。また、電極の作製
は、上記例に限定されず、例えば、混合粉末に導電材を
加えたり、混合粉末を焼結して電極を作製してもよい。 【0023】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。 【0024】 【発明の効果】水素吸蔵合金粉末の粉体水素吸収時間を
測定することにより、作製される水素吸蔵合金電極の初
期活性度を評価することができ、又、特性値が指標を満
足していない場合には、粉末の状態で活性化処理を行な
い、指標を満足する状態としてから電極を作製できる。
従って、水素吸蔵合金粉末から初期活性度の高い水素吸
蔵合金電極を安定して作製することができる。又、従来
の様に初期活性度を測定に、電極の完成品を使用する必
要がなく、又、粉体の状態で活性化処理が行なえること
から、従来の様に電極を作製し、初期活性度を測定して
から活性化処理を行なうための大掛りな設備を削減する
ことができ、電池の生産性向上とコストダウンが図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験セルの斜視図である。
【図2】電極の初期活性度と水素吸収時間との関係を示
すグラフである。 【符号の説明】 (10) 測定用治具 (11) 測定用治具 (2) 試験セル (3) 正極 (4)負極
すグラフである。 【符号の説明】 (10) 測定用治具 (11) 測定用治具 (2) 試験セル (3) 正極 (4)負極
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(72)発明者 井本 輝彦
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 礒野 隆博
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 藤谷 伸
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 米津 育郎
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(56)参考文献 特開 平7−111152(JP,A)
特開 平5−144435(JP,A)
特開 平5−314973(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01M 4/26
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】【請求項1】 水素吸蔵合金粉末から水素吸蔵合金電極
を作製する方法であって、水素吸蔵合金粉末の調製後、
水素吸蔵合金電極を作製する前に、電極の初期活性度の
指標となる水素吸蔵合金粉末の水素ガス吸収時間を測定
する工程を有することを特徴とする水素吸蔵合金電極の
作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19640095A JP3416347B2 (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 水素吸蔵合金電極の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19640095A JP3416347B2 (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 水素吸蔵合金電極の作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0945319A JPH0945319A (ja) | 1997-02-14 |
JP3416347B2 true JP3416347B2 (ja) | 2003-06-16 |
Family
ID=16357245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19640095A Expired - Fee Related JP3416347B2 (ja) | 1995-08-01 | 1995-08-01 | 水素吸蔵合金電極の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3416347B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3598873B2 (ja) | 1998-08-10 | 2004-12-08 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池の状態判定方法及び状態判定装置、並びに二次電池の再生方法 |
-
1995
- 1995-08-01 JP JP19640095A patent/JP3416347B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0945319A (ja) | 1997-02-14 |
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