JP3415608B2 - ヘテロバイポーラトランジスタ - Google Patents

ヘテロバイポーラトランジスタ

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JP3415608B2
JP3415608B2 JP2001271109A JP2001271109A JP3415608B2 JP 3415608 B2 JP3415608 B2 JP 3415608B2 JP 2001271109 A JP2001271109 A JP 2001271109A JP 2001271109 A JP2001271109 A JP 2001271109A JP 3415608 B2 JP3415608 B2 JP 3415608B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンを含む半
導体層を利用したヘテロバイポーラトランジスタに係
り、特に、低駆動電圧化対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エミッタ領域のバンドギャッ
プがベース領域よりも大きくなるように、エミッタ領域
とベース領域の組成を変化させることにより、エミッタ
の注入効率を大幅に向上させ、トランジスタの特性を向
上させるヘテロバイポーラトランジスタ(以下、HBT
という)は高機能素子として注目を集めている。このH
BTは、特に高周波特性が優れていることからマイクロ
波・ミリ波帯域でのデバイスとして用いられつつある。
HBTは、従来、III−V族化合物半導体であるGaA
sとAlGaAsとの組み合わせなどにより作製されて
いたが、近年、SiGe層からなるベース層のバンドギ
ャップがSiより小さいことを利用したSiGeHBT
の研究開発がさかんに進められている。
【0003】SiGeHBTは、Geのバンドギャップ
(室温時0.66eV)がSiのバンドギャップ(室温
時1.12eV)より小さく、SiGe混晶がSiより
バンドギャップが小さくなることを利用している。そし
て、エミッタ領域としてSi層をベース領域としてSi
Ge層をそれぞれ用い、エミッタ層に対してベース層の
バンドギャップを小さくすることで、ホモSiバイポー
ラトランジスタでの駆動電圧(約0.7V)より低い電
圧で駆動させることが可能となる。ここでの駆動電圧と
は、バイポーラトランジスタが能動領域において、ベー
ス・エミッタ間の電圧がベース・エミッタ間の拡散電位
に等しくなった状態を指す。つまり、NPNバイポーラ
トランジスタにおいては、エミッタ層とベース層との価
電子帯端のエネルギ差をある程度大きくして、ベース層
からエミッタ層への正孔の注入を抑制しつつ、エミッタ
層とベース層との伝導帯端のエネルギ差を小さくできる
ことから、駆動電圧を低電圧化することができる。
【0004】また、HBTでは、ベース領域のGe含有
率をエミッタ領域からコレクタ領域へ向かう方向に徐々
に増加させることにより、ベース領域のバンドギャップ
がエミッタ領域からコレクタ領域に向かう方向に徐々に
小さくする傾斜組成を構成することが可能になる。この
傾斜組成によって生じる電界により、ベース層中に注入
されたキャリアが加速されドリフト走行する。このドリ
フト電界によって、拡散によるキャリアの速度より高速
にできるため、ベース走行時間の短縮が図られ遮断周波
数(fT )を向上させることも可能となる。
【0005】しかし、Geの格子定数(5.65Å)が
Siの格子定数(5.43Å)と異なるので、Geの含
有率を大きくすると格子定数差による歪みに起因する転
位が発生し、電気的特性が劣化する。すなわち、より低
電圧駆動化を進めるには、SiGe層におけるGeの含
有率を大きくする必要があるが、上述のように、SiG
e層におけるGeの含有率を高くすると、Si層との格
子定数差がより大きくなるので、Geの含有率には上限
がある。そこで、C結晶の格子定数がSi結晶の格子定
数よりも小さいことに着目して、SiGe層にCを含有
させたSiGeC混晶では歪みを低減させることが可能
となる(L. D. Lanzerotti, A. St. Amour, C. W. Liu,
J. C. Strum, J. K. Watanabe and N. D. Theodore, I
EEE Electron Device Letters, Vol.17 No.7 334(199
6))。そして、Si層とSiGeC層との間のヘテロ
接合を利用したHBTが考えられるが、このHBTにお
いては、熱処理時にベース領域中に含まれる不純物がコ
レクタ領域側に拡散することにより、ベース・コレクタ
間にいわゆるパラスティックバリアが形成される問題が
ある(J. W. Slotboom, G. Streutker, A. Pruijmboom
and D. J. Gravesteijn, IEEE Electron Device Letter
s 12 p.p. 486 (1991))。そして、このパラスティッ
クバリアが形成されることで、電流増倍率(β)の低
下、アーリー電圧Vaや遮断周波数fT の劣化がおこ
る。これを解決するために、ベース・コレクタ間にアン
ドープのスペーサ層を介在する方法がある(E. J. Prin
z, P. M. Garone, P. V. Schwartz, X. Xiano and J.
C. Strum, IEDM Technology Digitalp.p.853 (199
1))。Cは不純物拡散を抑制する効果がある(L. D. L
anzerotti, J. C. Strum, E. Stach, R. Hull, T. Buy
uklimanli and C. Magee, AppliedPhysics Letters 70
(23) 3125 (1997))。この効果により、ベース領域
のp型不純物であるボロンのプロファイルが維持され、
アーリー電圧Vaや遮断周波数fT などの特性が向上す
ることが期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
SiGeC/Siヘテロ接合を利用したSiGeC−H
BTにおいては、以下のような問題があった。
【0007】電流増倍率をより向上させるなどのため
に、SiGeC−HBTのベース領域であるSiGeC
層のバンドギャップをより小さくするには、Geの含有
率をより大きくしなければならない。このとき、上述の
ように、Ge含有率の増大に伴う格子歪みを低減するに
は、Cの含有率を大きくすればよい。しかるに、本発明
者達の行なった実験によると、例えば、Cの含有率が
0.8%以上であるSiGeC層をベース領域として用
いたHBTにおいて、ベース電流のn値が約2となるな
ど、Cの含有率を高くするとHBTの高周波特性が劣化
することがわかった。以下、本発明者達の行なった実験
結果について説明する。
【0008】図8(a),(b)は、それぞれ順に、S
iGe0.268 HBT,SiGe0.26 80.0091HBTの
ガンメルプロットを示す図である。図9(a),(b)
は、それぞ順に、SiGe0.268 HBT,SiGe
0.2680.0091HBTの電流増倍率(β)を示す図であ
る。ただし、本明細書において、「SiGe0.268 HB
T」,「SiGe0.2680.0091HBT」などと表記す
るときは、Siの組成率は、1から他の材料(Ge,C
など)の含有率を差し引いた値であることを意味する。
【0009】図8(a),(b)を比較するとわかるよ
うに、SiGe0.2680.0091HBTのベース電流Ib
のn値(傾き)は、SiGe0.268 HBTのn値に比べ
て著しく劣化している。また、図9(a),(b)を比
較するとわかるように、SiGe0.2680.0091HBT
の電流増倍率βは最大値でも50しかなく、SiGe
0.268 HBTの電流増倍率βの最大値が400であるの
に比べて劣化している。この原因は、SiGeC−HB
TにおいてCの含有率が1%に近くなると再結合電流が
増大することからn値が劣化し、このn値の劣化によっ
て、電流増倍率βが低下するものと思われる。
【0010】図10は、SiGe0.268 HBT,SiG
0.2680.0091HBTのエミッタ・ベース間のダイオ
ード特性の順方向の電流電圧特性の測定結果と、電子の
再結合電流と拡散電流の和の計算値の測定結果とのフィ
ッティングを調べるための図である。同図においては、
ダイオードの電子の再結合電流と拡散電流の和の計算値
をエミッタ・ベース間の空乏層中での再結合寿命(τr
)をパラメータとして測定結果とフィッティングさせ
ている。このダイオード特性の結果から分かるように、
Cの含有率が0%のSiGeC層(つまりSiGe層)
においては再結合寿命が約100nsecであるのに対
して、Cの含有率が0.91%のSiGeC層において
は再結合寿命が約400psecになる。このように、
Cの含有率が1%に近くなると再結合寿命が著しく小さ
くなって再結合電流が非常に大きくなる結果、特性の劣
化が生じているものと考えられる。
【0011】図11(a),(b)は、それぞれ順に、
ベース領域に均一にGeを含有しているSiGe0.268
HBTのベース領域における再結合寿命を1×10-5
ecから1×10-9secまで変化させてガンメルプロ
ット,電流増倍率をシミュレ−ションした結果を示す図
である。図11(a)からわかるように、再結合寿命が
小さくなると、コレクタ電流はあまり影響は受けないも
のの、ベ−ス電流の再結合電流が非常に大きくなること
によってn値が劣化することがわかる。また、図11
(b)からわかるように、再結合寿命が小さくなると、
上述のようにベ−ス電流の再結合電流が増加することに
よって電流増倍率βが大幅に低下する。このように、再
結合寿命が小さくなった場合、トランジスタの特性を劣
化させる原因となる。
【0012】Cの含有率が高いSiGeC−HBTにお
いて、再結合寿命が小さくなる原因の一つとして、Cの
含有率が高いSiGeC結晶の場合、結晶中の格子間位
置に存在するCの量が増加することが挙げられる。この
格子間位置に存在するCが再結合準位を構成し、再結合
電流を増加させると考えられる。
【0013】本発明の目的は、エミッタ・ベ−ス間の再
結合電流の減少と、低電圧駆動化,高周波特性の向上と
を併せて実現しうるヘテロバイポーラトランジスタを提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第1のヘテロバ
イポーラトランジスタは、基板上に設けられ、Siを含
む半導体材料からなる第1導電型のコレクタ領域と、上
記コレクタ領域の上に設けられ、C含有率およびGe含
有率が互いに異なる第2導電型のSi1-x-y Gexy
層(0<x<1,0<y<1)からなる第1ベース領域
および第2ベース領域を有する第2導電型のベース領域
と、上記ベース領域の上に設けられ、上記ベース領域と
の間でヘテロ接合を形成するSiを含む半導体材料から
なる第1導電型のエミッタ領域とを備え、上記第1ベー
ス領域は上記コレクタ領域に隣接する領域を含み、上記
第2ベース領域は上記エミッタ領域に隣接する領域を含
み、上記第1ベース領域のCの含有率が、上記第2ベー
ス領域のC含有率よりも大きく、上記第1ベース領域の
Ge含有率が、上記第2ベース領域のGe含有率よりも
大きく、上記第1ベース領域のGe含有率は、上記エミ
ッタ領域から上記コレクタ領域に向かう方向に増大して
いる一方、上記第1ベース領域のC含有率は一定であ
る。
【0015】これにより、ベース領域のうちエミッタ領
域に隣接する領域では比較的C含有率が低いので、エミ
ッタ・ベース接合部に形成される空乏層にはC含有率の
高い領域が少なくなり、空乏層における再結合中心の数
を低減することができる。よって、再結合中心が空乏層
に存在することに起因する再結合電流を抑制することが
できる。すなわち、SiGeC層からなるベース領域を
利用したヘテロ接合を利用して、低駆動電圧化を図りつ
つ、電流増倍率や高周波特性などの電気的特性の改善を
図ることができる。
【0016】上記第2ベース領域のC含有率が0.8%
未満であることが好ましい。
【0017】上記第2ベース領域のC含有率が0.01
%以上であることにより、ベース領域におけるバンド構
造の調整を微細に行なうことが可能になる。
【0018】エミッタ・ベース接合部に形成される空乏
層が、上記第2ベース領域内に収まっていることによ
り、再結合電流をより効果的に抑制することが可能にな
る。
【0019】上記第2ベース領域のGe含有率が一定で
あることにより、拡散層の深さ位置がばらついても、エ
ミッタベース接合の拡散電位がほぼ一定なので、動作電
圧をほぼ一定に保持することができる。
【0020】
【0021】上記第2ベース領域の厚みが、5nm以上
であることが好ましく、10nm以上であることがより
好ましい。
【0022】上記第1ベース領域では、上記エミッタ領
域から上記コレクタ領域に向かう方向にバンドギャップ
が小さくなるように構成されていることにより、キャリ
アのベース領域における走行を加速して、高周波特性の
向上を図ることができる。
【0023】
【0024】上記第2のベース領域と接する第1ベース
領域の端部のバンドギャップが上記第2ベース領域のバ
ンドギャップと等しいか小さいことにより、特に低駆動
電圧化を著しく図ることができる。
【0025】その場合、上記第2ベース領域と接する上
記第1のベース領域の端部におけるGeの含有率と、上
記第2ベース領域におけるGeの含有率の差をΔxと
し、上記第2ベース領域と接する上記第1のベース領域
の端部におけるCの含有率と、上記第2ベース領域にお
けるCの含有率の差をΔxとしたときに、Δx≧4.2
88Δyの関係があることが好ましい。
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】各実施形態について説明する前
に、Si,Ge及びCを含む三元混晶半導体であるSi
GeC層によってヘテロバイポーラトランジスタのベー
ス層を構成したヘテロバイポーラトランジスタの基本的
な利点について説明する。
【0029】図1は、SiGeC三元混晶半導体におけ
るGe及びCの含有率とバンドギャップ,格子歪みの関
係を示す状態図である。同図において、横軸はGe含有
率を表し縦軸はC含有率を表し、かつ、歪み量(圧縮歪
み及び引っ張り歪みを含む),バンドギャップがそれぞ
れ一定となる組成条件を直線によって示している。図1
中、ドットハッチングを施した領域は、Si層上のSi
GeC層における格子歪み量が1.0%以内で、かつバ
ンドギャップが従来の実用的なSiGe(Ge含有率が
約10%)のバンドギャップよりも小さくできる領域で
ある。この領域は、Si1-x-y Gexy とあらわされ
るSiGeCにおいて、Geの含有率をx、Cの含有率
をyとした場合、次の4つの直線 直線 :y=0.122x−0.032 直線 :y=0.1245x+0.028 直線 :y=0.2332x−0.0233(Ge含
有率が22%以下) 直線 :y=0.0622x+0.0127(Ge含
有率が22%以下) によって囲まれる領域である。なお、図中、格子歪みが
0%と記された直線上の組成を有するSiGeC層は、
下地のSi層と格子整合している。
【0030】したがって、エミッタ層、ベース層、コレ
クタ層からなるヘテロバイポーラトランジスタにおい
て、ベース層を図1のドットハッチングで示された領域
の組成からなるSiGeCによって構成することで、格
子歪みによつ不具合を招くことなくナローバンドギャッ
プベースを実現することができる。
【0031】つまり、ベース層にバンドギャップが小さ
く、かつ格子歪み量が小さくなる材料としてSiGeC
三元混晶半導体材料を選択することにより、信頼性が高
く、低電圧動作、高速動作が可能なヘテロバイポーラト
ランジスタを実現することができる。
【0032】なお、図1は、SiGeC層の下地層がS
i単一組成を有する場合の状態図であるが、下地層がS
iにGeやCを多少含む場合であっても、SiGeC層
の格子歪みが1.0%以下で、かつ、下地層とSiGe
C層とバンドギャップの差を大きく確保できる限り、同
様の効果を発揮することができる。
【0033】図2は、本発明の各実施形態に共通するヘ
テロバイポーラトランジスタ(HBT)の断面図であ
る。同図に示すように、本実施形態のHBTは、p型不
純物を含むSi基板10と、Si基板10にn型不純物
(例えばリン)を導入して形成されたSiコレクタ埋め
込み層11と、Siコレクタ埋め込み層11の上に設け
られたC含有率の高いSiGeC層からなる第1ベース
領域12と、第1ベース領域12の上に設けられたC含
有率の低いSiGeC層又はSiGe層からなる第2ベ
ース領域13と、第2ベース領域13の上に設けられた
Siキャップ層14と、Siキャップ層14の上に設け
られたポリシリコン膜からなるエミッタ電極15とを備
えている。
【0034】次に、このHBTの製造方法について説明
する。まず、Si基板10の表面部にイオン注入法など
を用いてn型の不純物となるリン(p)を濃度が約2×
10 17/cm3 で導入して、コレクタ埋め込み層11を
形成する。そして、コレクタ埋め込み層11の上に、U
HV−CVD法などにより、Cの含有率の高いSiGe
C層からなる第1ベ−ス領域12と、第1ベース領域1
2よりもCの含有率の低いSiGeC層又はSiGe層
からなる第2ベース領域13とを、順にエピタキシャル
成長させる。ここで、第2ベース領域13の少なくとも
エミッタ領域側端部(Siキャップ層側端部)において
は、C含有率を0.8%未満とする。このとき、エピタ
キシャル成長のソースとして、Siの原料にはシランや
ジシランを用い、Geの原料にはゲルマンを用い、Cの
原料にはメチルシランやメチルゲルマンなどを用いる。
第1,第2ベ−ス領域12,13には、例えばp型不純
物となるボロン(B)を約4×1018/cm3 の濃度で
ド−ピングし、第1ベ−ス領域12の膜厚は約35nm
程度と第2ベ−ス領域13の膜厚は約25nm程度(合
計膜厚が約60nm)とする。その後、第2ベース領域
13の上にSi層からなるSiキャップ層14をエピタ
キシャル成長させる。Siキャップ層14には不純物を
ド−ピングせず、Siキャップ層14の膜厚は約10n
m程度とする。さらに、Siキャップ層14の上に、一
部だけを開口させたシリコン酸化膜16を形成し、その
開口部及びシリコン酸化膜16の上に、砒素(As)や
リン(P)などのn型不純物を含むn+ 型ポリシリコン
膜からなるエミッタ電極15を形成する。このエミッタ
電極15には、砒素(又はリン)が約1×1020/cm
3 以上の高濃度でドープされており、熱処理によってS
iキャップ層14内にn型不純物を拡散させて、Siキ
ャップ層14内にエミッタ領域14aを形成する。
【0035】つまり、Cの含有率が高い第1ベース領域
12とエミッタ層14aとの間にCの含有率の低い第2
ベース領域13を介在させ、かつ、第2ベース領域13
の少なくともエミッタ領域側端部におけるC含有率を
0.8%未満とすることにより、第1ベース領域12に
おいてCの含有率が高いことによって発生する再結合中
心を、エミッタ・ベ−ス間の空乏層の外方になるように
構成されている。そして、このように構成することによ
り、ベ−ス電流のn値の改善やリ−ク電流の減少を図
り、図8(b),図9(b)等に示す不具合を抑制する
ことができる。一方、Cの含有率が高い第1ベース領域
12を設けることにより、従来のSi/SiGeCヘテ
ロ接合を利用したHBTと同様に、格子歪みの発生を抑
制しながら低電圧駆動化を図ることができる。これが、
本発明の基本的な効果である。
【0036】図2においては、便宜上第1ベース領域1
2と第2ベース領域13とに分けているが、本発明は、
第1ベース領域と第2ベース領域とに分けられないもの
にも適用することができる。例えば、ベース層を構成す
るSi1-x-y Gexy の成分比がベース層全体で連続
的に変化するような場合であってもよい。すなわち、ベ
ース層のうちエミッタ層に隣接する領域におけるC含有
率が、ベース層のコレクタ層に隣接する領域におけるC
含有率よりも小さければ、本発明の基本的な効果を発揮
することができるからである。
【0037】(第1の実施形態)図3(a),(b)
は、第1の実施形態における第1ベース領域及び第2ベ
ース領域のC及びGe含有率と不純物であるボロン
(B)の濃度とを示す図、及び電圧印加時におけるエミ
ッタ領域−ベース領域−コレクタ領域のエネルギーバン
ド図である。なお、図3(a)において、n型不純物の
濃度の図示は省略されている。
【0038】図3(a)に示すように、本実施形態にお
いては、第1ベース領域12及び第2ベース領域13に
亘って、Ge含有率は一定(例えば26.8%)とす
る。一方、Cの含有率は、第1ベース領域12において
は0.91%で、第2ベース領域13においては0.3
5%であるとする。つまり、第1ベース領域12はSi
Ge0.2680.0091層からなり、第2ベース領域13は
SiGe0.2680.0035層からなっている。
【0039】このとき、SiGe0.2680.0091層のバ
ンドギャップは約0.95eVであり、Ge0.268
0.0035層のバンドギャップは約0.92eVである。こ
のように、Ge含有率が同じ2つのSiGeC層が積層
されている場合、Cの含有率が高い方のバンドギャップ
が大きくなるため、図3(b)に示すように、エミッタ
領域14aとC含有率の高い第1ベース領域12との間
に、Cの含有率の低いSiGeC層(第2ベース領域1
3)を介在させることにより、エミッタ・ベ−ス接合部
に障壁が生じにくくなる。したがって、C含有率の低い
第2ベース領域13の存在は、HBTの駆動電圧を高く
するような悪影響を与えない。一方、上述のように、C
含有率の低い第2ベース領域13がエミッタ領域14a
と第1ベース領域12との間に介在することで、エミッ
タ・ベ−ス間の空乏層(図3(b)に示す領域Rdp)中
の再結合電流を低減することができる。つまり、HBT
において再結合電流の増大に起因するn値の劣化や電流
増倍率の低減を抑制しつつ、いっそうの低電圧駆動化を
進めることができる。
【0040】なお、第1ベース領域12及び第2ベース
領域13との境界がなくベース層を2つの層に分けられ
ない場合や、ベース層を3つ以上の層に分けられる場
合、例えば、ベース層を構成するSi1-x-y Gexy
の成分比がベース層全体で連続的に変化するような場合
であっても、ベース層のうちエミッタ層に隣接する部分
でC含有率が十分小さければ、エミッタ・ベース接合部
に形成される空乏層における再結合電流の抑制効果を発
揮することができる。
【0041】−第1の実施形態に関する実験データ− 図12は、本発明の効果確認のための実験に用いたサン
プルの各パラメータを表にして示す図である。図12に
おいては、Siキャップ層14の厚みをSと表示し、第
1ベース層12の厚みをD1と表示し、第2ベース層1
3の厚みをD2と表示し、第1ベース層12におけるG
e含有率,C含有率,ボロン濃度をそれぞれNG1
C1,NB1と表示し、第2ベース層13におけるGe含
有率,C含有率,ボロン濃度をそれぞれNG2,NC2,N
B2と表示している。
【0042】図13は、図12に示すサンプルについて
測定したバイアス電圧−電流特性のデータを示す図であ
る。同図に示すように、C含有率の低い層(第2ベース
領域)を設けないサンプル(No.1)では、電圧−電
流特性の傾きが緩やかであることから、再結合電流が大
きいことがわかる。また、C濃度の低い第2ベース領域
13の厚みが10nmのサンプル(No.2)では、サ
ンプル(No.1)に比べると電圧−電流特性の傾きが
やや立ち上がり若干の再結合電流低減効果はみられるも
のの,その効果は小さい。また、C濃度の低い第2ベー
ス領域13の厚みが20nmのサンプル(No.3)で
は電流の傾きがやや急峻となり、再結合電流の低減効果
がはっきりと現れている。さらに、第2ベース層13の
厚みが30nmのサンプル(No.4)では、電圧−電
流特性の傾きが急峻になり、再結合電流の低減効果が非
常に大きくなっている。
【0043】なお、この実験で用いたサンプルにおいて
は、第1,第2ベース領域12,13における不純物
(ボロン)の濃度を2×1018cm-3であり、標準的な
ヘテロバイポーラトランジスタのベース領域における不
純物濃度1×1019cm-3に比べるとかなり低い。その
ために、エミッタ・ベース接合における空乏層が広がっ
ているものと考えられる。すなわち、ベース領域におけ
る不純物濃度を1×10 19cm-3程度にした場合には、
この実験で用いたサンプルよりもエミッタ・ベース接合
における空乏層の広がりが狭いので、第2ベース領域1
3の厚みが5nm程度以上であれば、再結合電流の低減
効果が得られる。
【0044】(第2の実施形態)図4(a),(b)
は、第2の実施形態における第1ベース領域及び第2ベ
ース領域のC及びGe含有率と不純物であるボロン
(B)の濃度とを示す図、及び電圧印加時におけるエミ
ッタ領域−ベース領域−コレクタ領域のエネルギーバン
ド図である。なお、図4(a)において、n型不純物の
濃度の図示は省略されている。
【0045】本実施形態においては、第1ベース領域1
2と第2ベース領域13とのバンドギャップが等しくな
るように、2つの領域12,13のGe,C含有率を調
整している点が特徴である。そのためには、Ge含有率
を第1,第2ベース領域で同じ値とせずに、第1ベース
領域12におけるGe含有率を第2ベース領域13より
も高くすればよい。そして、SiGeC層における組成
を一般式Si1-x-y Gexy で表し、第1ベース領域
12と第2ベース領域13とにおけるC含有率の差をΔ
yとしたときに、第1ベース領域12と第2ベース領域
13とにおけるGe含有率の差Δxを下記式(1) Δx=4.288Δy (1) に基づき決定する。なお、第1ベース領域12,第2ベ
ース領域13のいずれにおいても、Si層に対して圧縮
歪みを受ける組成となっている。
【0046】図4(a)に示すように、本実施形態にお
いては、第1ベース領域12のGe含有率は高めの一定
値(例えば31.3%)とし、第2ベース領域13のG
e含有率を低い一定値(例えば26.8%)とする。一
方、Cの含有率は、第1ベース領域12においては1.
4%で、第2ベース領域13においては0.35%であ
るとする。つまり、第1ベース領域12はSiGe
0.3130.014 層からなり、第2ベース領域13はSi
Ge0.2680.0035層からなっている。
【0047】このとき、SiGe0.3130.014 層のバ
ンドギャップは約0.92eVであり、Ge0.268
0.0035層のバンドギャップも約0.92eVであって、
図4(b)に示すように、2つのベース領域12,13
における伝導帯端はフラットになる。このように、バン
ドギャップが同じ2つのSiGeC層が積層されている
場合、よりいっそうの低電圧駆動化を図ることができ
る。そして、上述のように、C含有率の低い第2ベース
領域13がエミッタ領域14aと第1ベース領域12と
の間に介在することで、エミッタ・ベ−ス間の空乏層
(図4(b)に示す領域Rdp)中の再結合電流を低減す
ることができる。つまり、HBTにおいて再結合電流の
増大に起因するn値の劣化や電流増倍率の低減を抑制し
つつ、特に著しい低電圧駆動化を進めることができる。
【0048】また、2つのベース領域12,13におけ
る伝導帯端がフラットであることにより、キャリアの走
行の障害となるヘテロ障壁が存在しなくなるので、ヘテ
ロバイポーラトランジスタの動作の高速化を図ることが
できる。
【0049】(第3の実施形態)図5(a),(b)
は、第3の実施形態における第1ベース領域及び第2ベ
ース領域のC及びGe含有率と不純物であるボロン
(B)の濃度とを示す図、及び電圧印加時におけるエミ
ッタ領域−ベース領域−コレクタ領域のエネルギーバン
ド図である。なお、図5(a)において、n型不純物の
濃度の図示は省略されている。
【0050】本実施形態においては、第1ベース領域1
2と第2ベース領域13の境界部おける両者のバンドギ
ャップを等しくし、第1ベース領域12のバンドギャッ
プがベース走行電子を加速する方向に変化するように、
第1,第2ベース領域12,13のGe,C含有率を調
整している点が特徴である。そのために、SiGeC層
における組成を一般式Si1-x-y Gexy で表し、第
1ベース領域12の第2ベース領域側端部と第2ベース
領域13とにおけるC含有率の差をΔyとしたときに、
第1ベース領域12の第2ベース領域側端部と第2ベー
ス領域13とにおけるGe含有率の差Δxを上記式
(1)に基づき決定する。そして、第1ベース領域12
におけるGe含有率を、第2ベース領域側端部からコレ
クタ埋め込み層11に向かう方向に増大させる。
【0051】図5(a)に示すように、本実施形態にお
いては、第1ベース領域12の第2ベース領域側端部に
おけるGe含有率を高めの値(例えば20.0%)と
し、第1ベース領域12のコレクタ埋め込み層側端部に
おけるGe含有率をさらに高めの値(例えば30%)と
し、第2ベース領域13のGe含有率は低い一定値(例
えば15.2%)とする。一方、Cの含有率は、第1ベ
ース領域12においては高めの一定値(例えば1.4
%)で、第2ベース領域13においては低めの一定値
(例えば0.3%)であるとする。つまり、第1ベース
領域12の第2ベース領域側端部はSiGe0.20
0.014 層からなり、第1ベース領域12のコレクタ埋め
込み層側端部はSiGe0.300.014 層からなり、第2
ベース領域13はSiGe0.1520.003 層からなって
いる。
【0052】このとき、Ge0.200.014 層のバンドギ
ャップは約1.02eVであり、SiGe0.152
0.003 層のバンドギャップも約1.02eVであって、
図5(b)に示すように、2つのベース領域12,13
の境界部におけるバンドギャップは等しい。一方、第1
ベース領域12のコレクタ埋め込み層側端部におけるバ
ンドギャップは約0.93eVである。したがって、第
1ベース領域12において、バンドギャップが第2ベー
ス領域側端部からコレクタ埋め込み層11に向かう方向
に徐々に小さくなるように変化しているので、第1ベー
ス領域12における電子がドリフト電界により加速され
て、電子の走行時間が短縮され、ヘテロバイポーラトラ
ンジスタの高周波特性が向上する。また、境界部におい
てバンドギャップが同じ2つのSiGeC層が積層され
ている場合、上記第2の実施形態と同様に、よりいっそ
うの低電圧駆動化を図ることができる。そして、上述の
ように、C含有率の低い第2ベース領域13がエミッタ
領域14aと第1ベース領域12との間に介在すること
で、エミッタ・ベ−ス間の空乏層(図5(b)に示す領
域Rdp)中の再結合電流を低減することができる。
【0053】すなわち、本実施形態においては、上記第
2の実施形態と同じ効果に加えて、ヘテロバイポーラト
ランジスタの高周波特性の改善を図ることができる。
【0054】(第4の実施形態)図6(a),(b)
は、第4の実施形態における第1ベース領域及び第2ベ
ース領域のC及びGe含有率と不純物であるボロン
(B)の濃度とを示す図、及び電圧印加時におけるエミ
ッタ領域−ベース領域−コレクタ領域のエネルギーバン
ド図である。なお、図6(a)において、n型不純物の
濃度の図示は省略されている。
【0055】本実施形態においては、第1ベース領域1
2と第2ベース領域13との両者のバンドギャップが等
しくなり、かつ、第1,第2ベース領域12,13の境
界部における格子歪みができるだけ小さくなるように、
第1,第2ベース領域12,13のGe,C含有率を調
整している点が特徴である。そのために、第1ベース領
域12の第2ベース領域側端部におけるGe及びC含有
率は第2ベース領域13と同じとしつつ、第1ベース領
域12におけるGe含有率及びC含有率を、第2ベース
領域側端部からコレクタ埋め込み層11に向かう方向に
増大させる。その際、SiGeC層における組成を一般
式Si1-x-y Gexy で表し、第1ベース領域12の
第1ベース領域側端部を除く領域と第2ベース領域13
とにおけるC含有率の差をΔyとしたときに、第1ベー
ス領域12の第1ベース領域側端部を除く領域と第2ベ
ース領域13とにおけるGe含有率の差Δxを上記式
(1)に基づき決定する。
【0056】図6(a)に示すように、本実施形態にお
いては、第2ベース領域13と第1ベース領域12の第
2ベース領域側端部とにおけるGe含有率を共通の値
(例えば26.8%)とし、第1ベース領域12のコレ
クタ埋め込み層側端部におけるGe含有率を高めの値
(例えば31.3%)とする。一方、Cの含有率は、第
2ベース領域13と第1ベース領域12の第2ベース領
域側端部とにおいては共通の値(例えば0.35%)
で、第1ベース領域12のコレクタ埋め込み層側端部に
おいてはより高めの値(例えば1.4%)であるとす
る。つまり、第2ベース領域13と第1ベース領域12
の第2ベース領域側端部とはSiGe0.2680. 0035
からなり、第1ベース領域12のコレクタ埋め込み層側
端部はSiGe0. 3130.014 層からなっている。
【0057】このとき、SiGe0.2680.0035層のバ
ンドギャップは約0.93eVであり、SiGe0.313
0.014 層のバンドギャップは約0.93eVであっ
て、図6(b)に示すように、2つのベース領域12,
13におけるバンドギャップは等しい。そして、第1,
第2ベース領域12,13の境界部におけるGe,C含
有率がともに等しいので、境界部における格子定数の急
激な変化がないことで、ベース領域全体としての格子歪
みをできるだけ小さくすることができる。よって、格子
歪みによる転位などの欠陥の発生を抑制することができ
るので、ヘテロバイポーラトランジスタの電気的特性の
向上を図ることができる。
【0058】一方、バンドギャップが同じ2つのSiG
eC層が積層されている場合、上記第2の実施形態と同
様に、よりいっそうの低電圧駆動化を図ることができ
る。そして、上述のように、C含有率の低い第2ベース
領域13がエミッタ領域14aと第1ベース領域12と
の間に介在することで、エミッタ・ベ−ス間の空乏層
(図6(b)に示す領域Rdp)中の再結合電流を低減す
ることができる。
【0059】すなわち、本実施形態においては、上記第
2の実施形態と同じ効果に加えて、欠陥の発生の抑制に
よりヘテロバイポーラトランジスタの電気的特性の改善
を図ることができる。
【0060】(第5の実施形態)図7(a),(b)
は、第5の実施形態における第1ベース領域及び第2ベ
ース領域のC及びGe含有率と不純物であるボロン
(B)の濃度とを示す図、及び電圧印加時におけるエミ
ッタ領域−ベース領域−コレクタ領域のエネルギーバン
ド図である。なお、図7(a)において、n型不純物の
濃度の図示は省略されている。
【0061】本実施形態においては、第1ベース領域1
2と第2ベース領域13の境界部おける両者のバンドギ
ャップを等しくし、第1ベース領域12のバンドギャッ
プがベース走行電子を加速する方向に変化させるととも
に、第1,第2ベース領域12,13の境界部における
格子歪みができるだけ小さくなるように、第1,第2ベ
ース領域12,13のGe,C含有率を調整している点
が特徴である。そのために、第1ベース領域12の第2
ベース領域側端部におけるGe及びC含有率は第2ベー
ス領域13と同じとしつつ、第1ベース領域12におけ
るC含有率及びGe含有率を、第2ベース領域側端部か
らコレクタ埋め込み層11に向かう方向に増大させる。
【0062】図7(a)に示すように、本実施形態にお
いては、第2ベース領域13と第1ベース領域12の第
2ベース領域側端部とにおけるGe含有率を共通の値
(例えば15.2%)とし、第1ベース領域12のコレ
クタ埋め込み層側端部におけるGe含有率を高めの値
(例えば30%)とする。一方、Cの含有率は、第2ベ
ース領域13と第1ベース領域12の第2ベース領域側
端部とにおいては共通の値(例えば0.3%)で、第1
ベース領域12のコレクタ埋め込み層側端部においては
より高めの値(例えば1.4%)であるとする。つま
り、第2ベース領域13と第1ベース領域12の第2ベ
ース領域側端部とはSiGe0.1520.003層からな
り、第1ベース領域12のコレクタ埋め込み層側端部は
SiGe0.300. 014 層からなっている。
【0063】このとき、SiGe0.1520.003層のバ
ンドギャップは約1.02eVであり、SiGe0.30
0.014 層バンドギャップは約0.93eVである。した
がって、第1ベース領域12において、バンドギャップ
が第2ベース領域側端部からコレクタ埋め込み層11に
向かう方向に徐々に小さくなるように変化しているの
で、第1ベース領域12における電子がドリフト電界に
より加速されて、電子の走行時間が短縮され、ヘテロバ
イポーラトランジスタの高周波特性が向上する。そし
て、第1,第2ベース領域12,13の境界部における
Ge,C含有率がともに等しいので、境界部における格
子定数の急激な変化がないことで、ベース領域全体とし
ての格子歪みをできるだけ小さくすることができる。よ
って、格子歪みによる転位などの欠陥の発生を抑制する
ことができるので、ヘテロバイポーラトランジスタの電
気的特性の向上を図ることができる。
【0064】また、境界部においてバンドギャップが同
じ2つのSiGeC層が積層されている場合、上記第2
の実施形態と同様に、よりいっそうの低電圧駆動化を図
ることができる。そして、上述のように、C含有率の低
い第2ベース領域13がエミッタ領域14aと第1ベー
ス領域12との間に介在することで、エミッタ・ベ−ス
間の空乏層(図7(b)に示す領域Rdp)中の再結合電
流を低減することができる。
【0065】すなわち、本実施形態においては、上記第
3の実施形態と第4の実施形態の効果を併せて発揮する
ことができる。
【0066】(その他の実施形態)なお、上記各実施形
態においては、第2ベース領域13がSiGeC層であ
る場合のみについて説明したが、上記各実施形態は、第
2ベース領域13がSiGe層によって構成されている
ものについても適用することができる。
【0067】
【発明の効果】本発明のヘテロバイポーラトランジスタ
によれば、SiGeC層からなるベース領域のうちエミ
ッタ領域に隣接する領域のC含有率を、コレクタ領域に
隣接領域のC含有率よりも小さくしたので、再結合電流
の抑制により、低駆動電圧化を図りつつ、電流増倍率や
高周波特性などの電気的特性の改善を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】SiGeC三元混晶半導体におけるGe及びC
の含有率とバンドギャップ,格子歪みの関係を示す状態
図である。
【図2】本発明の各実施形態に共通するヘテロバイポー
ラトランジスタ(HBT)の断面図である。
【図3】(a),(b)は、第1の実施形態におけるH
BTのC,Ge含有率とボロン濃度とを示す図、及び電
圧印加時におけるエネルギーバンド図である。
【図4】(a),(b)は、第2の実施形態におけるH
BTのC,Ge含有率とボロン濃度とを示す図、及び電
圧印加時におけるエネルギーバンド図である。
【図5】(a),(b)は、第3の実施形態におけるH
BTのC,Ge含有率とボロン濃度とを示す図、及び電
圧印加時におけるエネルギーバンド図である。
【図6】(a),(b)は、第4の実施形態におけるH
BTのC,Ge含有率とボロン濃度とを示す図、及び電
圧印加時におけるエネルギーバンド図である。
【図7】(a),(b)は、第5の実施形態におけるH
BTのC,Ge含有率とボロン濃度とを示す図、及び電
圧印加時におけるエネルギーバンド図である。
【図8】(a),(b)は、それぞれ順に、SiGe
0.268 HBT,SiGe0.268 0.0091HBTのガンメ
ルプロットを示す図である。
【図9】(a),(b)は、それぞ順に、SiGe
0.268 HBT,SiGe0.2680. 0091HBTの電流増
倍率(β)を示す図である。
【図10】SiGe0.268 HBT,SiGe0.268
0.0091HBTのエミッタ・ベース間のダイオード特性の
順方向の電流電圧特性の測定結果と、電子の再結合電流
と拡散電流の和の計算値の測定結果とのフィッティング
を調べるための図である。
【図11】(a),(b)は、それぞれ順に、ベース領
域に均一にGeを含有しているSiGe0.268 HBTの
ベース領域における再結合寿命を変化させてガンメルプ
ロット,電流増倍率をシミュレ−ションした結果を示す
図である。
【図12】本発明の効果確認のための実験に用いたサン
プルのパラメータを表にして示す図である。
【図13】図12に示すサンプルについて測定したバイ
アス電圧−電流特性のデータを示す図である。
【符号の説明】
10 Si基板 11 コレクタ埋め込み層 12 第1ベース領域 13 第2ベース領域 14 Siキャップ層 14a エミッタ領域 15 エミッタ電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 照人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 久保 実 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−106980(JP,A) 特開 平2−309644(JP,A) 特開 平9−260397(JP,A) 特開 平1−231371(JP,A) 特開 平7−193078(JP,A) 特開 平5−182980(JP,A) 特開 昭64−2360(JP,A) 特開2002−64105(JP,A) 国際公開98/026457(WO,A1) T.Kakagi,Reductio n of Neutral Base Recombination in N arrow Band−gap SiG eC Heterojunction Bipolar Transistor s,Proceedings of t he 2000 BIPOLAR/BiCM OS Circuits and Te chnolgy Meetings, 2000年,pp.114−117 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/33 - 21/331 H01L 29/68 - 29/737 H01L 21/205

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられ、Siを含む半導体材
    料からなる第1導電型のコレクタ領域と、 上記コレクタ領域の上に設けられ、C含有率およびGe
    含有率が互いに異なる第2導電型のSi1-x-y Gex
    y 層(0<x<1,0<y<1)からなる第1ベース領
    域および第2ベース領域を有する第2導電型のベース領
    域と、 上記ベース領域の上に設けられ、上記ベース領域との間
    でヘテロ接合を形成するSiを含む半導体材料からなる
    第1導電型のエミッタ領域とを備え、上記第1ベース領域は上記コレクタ領域に隣接する領域
    を含み、 上記第2ベース領域は上記エミッタ領域に隣接する領域
    を含み、 上記第1ベース領域のCの含有率が、上記第2ベース領
    域のC含有率よりも大きく、 上記第1ベース領域のGe含有率が、上記第2のベース
    領域のGe含有率よりも大きく、 上記第1ベース領域のGe含有率は、上記エミッタ領域
    から上記コレクタ領域に向かう方向に増大している一
    方、上記第1ベース領域のC含有率は一定である、 ヘテ
    ロバイポーラトランジスタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域の C含有率が0.8%未満である、
    テロバイポーラトランジスタ。
  3. 【請求項3】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域の C含有率が0.01%以上であ
    る、ヘテロバイポーラトランジスタ。
  4. 【請求項4】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、 エミッタ・ベース接合部に形成される空乏層が、上記第
    2ベース領域内に収まっている、ヘテロバイポーラトラ
    ンジスタ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域の Ge含有率が一定である、ヘテロ
    バイポーラトランジスタ。
  6. 【請求項6】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域の 厚みが、5nm以上である、ヘ
    ロバイポーラトランジスタ。
  7. 【請求項7】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域の 厚みが、10nm以上である、ヘ
    テロバイポーラトランジスタ。
  8. 【請求項8】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第1ベース領域では 、上記エミッタ領域から上記コ
    レクタ領域に向かう方向にバンドギャップが小さくなる
    ように構成されている、ヘテロバイポーラトランジス
    タ。
  9. 【請求項9】 請求項に記載のヘテロバイポーラトラ
    ンジスタにおいて、上記第2ベース領域と接する上記第1ベース領域の端部
    バンドギャップが、上記第2ベース領域のバンドギャ
    ップと等しいか小さい、ヘテロバイポーラトランジス
    タ。
  10. 【請求項10】 請求項に記載のヘテロバイポーラト
    ランジスタにおいて、上記第2ベース領域と接する上記第1のベース領域の端
    部におけるGeの含有率と、上記第2ベース領域におけ
    Geの含有率の差をΔxとし、上記第2ベース領域と接する上記第1のベース領域の端
    部におけるCの含有率と、上記第2ベース領域における
    Cの含有率の差をΔxとしたときに、 Δx≧4.288Δy の関係がある、ヘテロバイポーラトランジスタ。
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