JP2004281702A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い電子移動度を有するために消費電力が低く、高性能のパワーアンプや高周波スイッチを形成しえる半導体装置の提供。
【解決手段】チャネル層5の上下にスペーサ層4,6を有するヘテロ接合型の半導体装置において、チャネル層5が一対のInGaAs51,52と、両InGaAs層51、52に挟まれた化合物半導体層GaAs又はInGaAsから挿入チャネル層を有する構造にする。電子供給層3,7はn型ドープのAlGaAs層又はInGaP層とする。n型ドープはプレーナドープでも良い。
【選択図】 図1
【解決手段】チャネル層5の上下にスペーサ層4,6を有するヘテロ接合型の半導体装置において、チャネル層5が一対のInGaAs51,52と、両InGaAs層51、52に挟まれた化合物半導体層GaAs又はInGaAsから挿入チャネル層を有する構造にする。電子供給層3,7はn型ドープのAlGaAs層又はInGaP層とする。n型ドープはプレーナドープでも良い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高電子移動度トランジスタ(HEMT)等の半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaAs基板上での化合物半導体のエピタキシャル成長により作製したAlGaAs/GaAs系のウエハや、AlGaAs/InGaAs系のウエハは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)等の電子デバイスに利用されている。
【0003】
図3は、ダブルヘテロ型HEMTに用いられる従来のエピタキシャルウエハの構成例を示す。このエピタキシャルウエハは、GaAs基板1上に、アンドープGaAs等からなるバッファ層2と、n型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる下側電子供給層3と、アンドープAlGaAsからなる下側スペーサ層4と、アンドープInGaAsからなるチャネル層5と、アンドープAlGaAsからなる上側スペーサ層6と、n−AlGaAsからなる電子供給層7と、アンドープAlGaAsからなるショットキー層8とをこの順に有している。このような構成のエピタキシャルウエハを使用するHEMTは電子移動度が大きいため、半導体デバイスに用いると動作時の抵抗を小さくすることができる。このため携帯電話のパワーアンプ、高周波スイッチ等に使用されているが、ウエハの電子移動度を向上することによりパワーアンプの効率や高周波スイッチの性能の大幅な向上、及び消費電力の低減が期待できるため、さらなる電子移動度の向上が望まれている。
【0004】
特開2001−244455号(特許文献1)は、基板表面に形成された下側電子供給層と、下側電子供給層の表面に形成されたチャネル層と、チャネル層上に形成された上側電子供給層とを具備し、下側電子供給層はAlGaAsからなり、上側電子供給層はInGaPからなる半導体ウエハを開示している。この半導体ウエハでは、結晶欠陥の少ないInGaPによりチャネル層の上側の電子供給層が構成されているので、チャネル層中に高移動度の電子ガスが発生し、電子移動度が向上している。しかしながらパワーアンプの効率や高周波スイッチの性能要求が高まるにつれ、更なる電子移動度の向上が要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−244455号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、高い電子移動度を有するために消費電力が低く、高性能のパワーアンプや高周波スイッチを形成し得る半導体装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、半導体装置のInGaAsチャネル層の間に、GaAs等の化合物半導体からなる挿入チャネル層を設けることにより、半導体装置の電子移動度が向上することを発見し、本発明に想到した。
【0008】
すなわち本発明の半導体装置は、チャネル層の上下に電子供給層を有するヘテロ接合型の構成を有し、前記チャネル層が一対のInGaAs層と、両InGaAs層に挟まれた化合物半導体からなる挿入チャネル層とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施態様として、以下のものが挙げられる。
(1) 前記挿入チャネル層がGaAs及び/又はInGaAsからなる半導体装置。
(2) 前記挿入チャネル層がGaAsからなる半導体装置。
(3) 前記挿入チャネル層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(4) 前記InGaAsチャネル層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(5) 前記電子供給層がn型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる半導体装置。
(6) 前記電子供給層がn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープAlGaAs層からなる半導体装置。
(7) (6)に記載の半導体装置において、アンドープAlGaAs電子供給層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(8) (5)〜(7)のいずれかに記載の半導体装置において、前記InGaAsチャネル層と前記電子供給層との間にアンドープのAlGaAs層を有する半導体装置。
(9) 前記電子供給層がn型ドープのAlGaP(n−AlGaP)からなる半導体装置。
(10) 前記電子供給層がn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープAlGaP層からなる半導体装置。
(11) (10)に記載の半導体装置において、アンドープAlGaP電子供給層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(12) (11)に記載の半導体装置において、前記InGaAsチャネル層と前記電子供給層との間にアンドープのAlGaP層を有する半導体装置。
(13) (1)〜(12)のいずれかに記載の半導体装置に使用するエピタキシャルウエハ。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す。このエピタキシャルウエハは、GaAs基板1上にバッファ層2を有しており、バッファ層2上にn型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる下側電子供給層3、アンドープAlGaAsからなる下側スペーサ層4、三層構造を有するチャネル層5、アンドープAlGaAsからなる上側スペーサ層6、n−AlGaAsからなる上側電子供給層7、アンドープAlGaAsからなるショットキー層8をこの順に有している。
【0011】
チャネル層5は、アンドープInGaAsからなる一対のチャネル層51,52の間に、アンドープGaAsからなる挿入チャネル層53が挟まれた構成となっている。InGaAsチャネル層51,52の不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の不純物濃度が1×1015 cm−3より大きいと、十分な電子移動度の向上が得られない。
【0012】
GaAs挿入チャネル層53の膜厚は1〜5nmであるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の膜厚が5nmより大きいとチャネル全体が厚くなり過ぎるために、電子密度が低下し過ぎ、電子移動度が低下し過ぎる。また1nmより小さいと電子移動度の向上効果が不十分である。各InGaAsチャネル層51,52の膜厚は、GaAs挿入チャネル層53の膜厚以上であるのが好ましい。各InGaAsチャネル層51,52がGaAs挿入チャネル層53より薄いと、量子準位が上がり過ぎるために電子が散乱を受け易くなり、電子移動度が低下し過ぎるという問題が生じる。なおInGaAsチャネル層51,52とGaAs挿入チャネル層53の膜厚の総和は10〜15 nmであるのが好ましい。
【0013】
InGaAsチャネル層51,52の間にGaAs挿入チャネル層53を設けることにより、半導体装置の電子移動度が増大する。これはInGaAs層中に挿入したGaAs層が、(1) InGaAs結晶の格子不整合による崩壊を防止するためであるか、(2) 二次元ポテンシャルに蓄積する電子の密度を向上し、不純物による電子の散乱を防止するためである、と考えられる。
【0014】
なお図1に示す例では、挿入チャネル層53はGaAsからなっているが、本発明はこれに限定されず、その他の化合物半導体からなる挿入チャネル層53を使用しても良い。例えば下側スペーサ層4とInGaAsチャネル層51とのエネルギー不連続量、及び上側スペーサ層6とInGaAsチャネル層52とのエネルギー不連続量より、InGaAsチャネル層51,52とのエネルギー不連続量が小さくなるような化合物半導体を使用することができる。このような化合物半導体の具体例としては、インジウムの混晶比がInGaAsチャネル層51,52より小さいInGaAs等が挙げられる。例えばInGaAsチャネル層51,52中のInの含有量が0.15〜0.25であれば、InGaAs挿入チャネル層53中のInの含有量は0.1以下であるのが好ましい。
【0015】
スペーサ層4,6を構成するアンドープAlGaAsの不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。
【0016】
電子供給層3,7はn−AlGaAsからなる単一の層に限定されず、複数の層からなっていても良い。例えばアンドープAlGaAs層中にn型不純物のプレーナドープ層を有するものが好適である。プレーナドープ層を有する電子供給層3,7を作製するには、バッファ層2又はスペーサ層6表面にAl、Ga等を供給してAlGaAs層を成長させた後で、これらの供給を一時停止して、Si等の不純物のみを供給すればよい。プレーナドープ法により、AlGaAs層の中に一般的なドープ法より高濃度に不純物を入れることができる。
【0017】
バッファ層2としては特に限定されず、一般的な高抵抗バッファ層及び/又はP−型ドープバッファ層を使用することができる。バッファ層2は単層からなっていても良いし、複数の層からなっていても良い。高抵抗バッファ層を使用する場合、特開2001−044418号等に記載のもの等が好適である。P−型ドープバッファ層としては、P<1×1016 cm−3のGaAs層、AlGaAs層等が好ましい。
【0018】
各層の形成方法は特に限定されず、固相成長法、液相成長法、気相成長法等の一般的な方法を用いることができる。なかでも各層の品質及び均一性の観点から気相成長法がより好ましい。具体的には有機金属を使用した気相成長法(MOVPE法)、分子線成長法(MBE法)等が好ましい。
【0019】
図2は、本発明の第二の態様における半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す。図2に示す例は、チャネル層5の上部にアンドープInGaPからなるスペーサ層9を介してn−InGaPからなる電子供給層10が形成されている以外、図1に示す例と同じであるので、相違点のみ説明する。
【0020】
アンドープInGaPスペーサ層9の不純物濃度は1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。またn−InGaP電子供給層10のドーパント(キャリア)濃度は1×1018 cm−3以上、特に1×1019 cm−3以上が好ましい。n−InGaP電子供給層10のドーパントとしてはSi、Se、Te等が挙げられる。なお図2に示す例では電子供給層10はn−InGaPからなっているが、本発明はこれに限定されず、例えばn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープInGaP層でも良い。
【0021】
n−AlGaAsはDXセンタと呼ばれる電気的な結晶欠陥を内在しているため、キャリアの活性化率が低く、キャリアの高濃度化が難しいという問題を有しているのに対し、n−InGaPにはこのような欠陥が少ない。このため、InGaAsチャネル層51,52の間にGaAs挿入チャネル層53を設けた上で、n−InGaPを電子供給層10に適用することにより、高移動度かつ高密度の二次元電子ガスの発生が可能となり、エピタキシャルウエハの電子移動度はさらに向上する。
【0022】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の半導体装置を評価するため、半導体装置に使用するエピタキシャルウエハを作製し、シートキャリア濃度及び電子移動度を測定した。
【0024】
実施例1
図1に示すエピタキシャルウエハを以下のとおり作製した。各層の形成にはMOVPE法を用いた。GaAs基板(厚さ600 nm)1の表面に、アンドープGaAsからなる膜厚500 nmのバッファ層2を形成し、次に下側電子供給層3として膜厚3nmのn型Al0.25Ga0.75As(2×1018 cm−3Siドープ)を成膜した。さらにアンドープのAl0.25Ga0.75Asを膜厚2nmとなるように成膜して下側スペーサ層4とした。
【0025】
下側スペーサ層4の表面に、チャネル層51としてアンドープIn0.2Ga0.8Asを膜厚5.5 nmとなるように成膜した後で、挿入チャネル層53としてアンドープGaAsを膜厚5nmとなるように成膜し、さらに膜厚5.5 nmのアンドープIn0.2Ga0.8Asチャネル層52を成膜した。さらに膜厚2nmのアンドープAl0.25Ga0.75Asからなる上側スペーサ層6、及び膜厚6nmのn型Al0.25Ga0.75As(2×1018 cm−3Siドープ)からなる上側電子供給層7を順に形成した後で、上側電子供給層7の表面に膜厚30
nmのアンドープAl0.25Ga0.75Asを成膜し、ショットキー層8とした。
【0026】
このエピタキシャルウエハのシートキャリア濃度及び電子移動度を、それぞれシート法及びパウ法により測定した。結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
下側スペーサ層4と上側スペーサ層6の間に、膜厚16 nmのアンドープIn0.2Ga0.8Asからなる単層のチャネル層5を成膜した以外、実施例1と同様にして、図3に示す構成のエピタキシャルウエハを作製した。
【0028】
このエピタキシャルウエハのシートキャリア濃度及び電子移動度を、それぞれシート法及びパウ法により測定した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から明らかなように、実施例1のエピタキシャルウエハは比較例1のものと比較して、電子移動度が大幅に向上している。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、エピタキシャルウエハのチャネル層を一対のInGaAsチャネル層と、その間のGaAs等の化合物半導体からなる挿入チャネル層により形成することにより、電子移動度が向上する。このため、このような構成を有するエピタキシャルウエハを用いることにより、デバイス特性が向上し、かつ消費電力が低下した半導体装置を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の別の例を示す図である。
【図3】従来の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・半絶縁性GaAs基板
2・・・バッファ層
3・・・下側電子供給層
4・・・下側スペーサ層
5・・・チャネル層
51、52・・・InGaAsチャネル層
53・・・GaAs挿入チャネル層
6、9・・・上側スペーサ層
7、10・・・上側電子供給層
8・・・ショットキー層
【発明の属する技術分野】
本発明は高電子移動度トランジスタ(HEMT)等の半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaAs基板上での化合物半導体のエピタキシャル成長により作製したAlGaAs/GaAs系のウエハや、AlGaAs/InGaAs系のウエハは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)等の電子デバイスに利用されている。
【0003】
図3は、ダブルヘテロ型HEMTに用いられる従来のエピタキシャルウエハの構成例を示す。このエピタキシャルウエハは、GaAs基板1上に、アンドープGaAs等からなるバッファ層2と、n型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる下側電子供給層3と、アンドープAlGaAsからなる下側スペーサ層4と、アンドープInGaAsからなるチャネル層5と、アンドープAlGaAsからなる上側スペーサ層6と、n−AlGaAsからなる電子供給層7と、アンドープAlGaAsからなるショットキー層8とをこの順に有している。このような構成のエピタキシャルウエハを使用するHEMTは電子移動度が大きいため、半導体デバイスに用いると動作時の抵抗を小さくすることができる。このため携帯電話のパワーアンプ、高周波スイッチ等に使用されているが、ウエハの電子移動度を向上することによりパワーアンプの効率や高周波スイッチの性能の大幅な向上、及び消費電力の低減が期待できるため、さらなる電子移動度の向上が望まれている。
【0004】
特開2001−244455号(特許文献1)は、基板表面に形成された下側電子供給層と、下側電子供給層の表面に形成されたチャネル層と、チャネル層上に形成された上側電子供給層とを具備し、下側電子供給層はAlGaAsからなり、上側電子供給層はInGaPからなる半導体ウエハを開示している。この半導体ウエハでは、結晶欠陥の少ないInGaPによりチャネル層の上側の電子供給層が構成されているので、チャネル層中に高移動度の電子ガスが発生し、電子移動度が向上している。しかしながらパワーアンプの効率や高周波スイッチの性能要求が高まるにつれ、更なる電子移動度の向上が要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−244455号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、高い電子移動度を有するために消費電力が低く、高性能のパワーアンプや高周波スイッチを形成し得る半導体装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、半導体装置のInGaAsチャネル層の間に、GaAs等の化合物半導体からなる挿入チャネル層を設けることにより、半導体装置の電子移動度が向上することを発見し、本発明に想到した。
【0008】
すなわち本発明の半導体装置は、チャネル層の上下に電子供給層を有するヘテロ接合型の構成を有し、前記チャネル層が一対のInGaAs層と、両InGaAs層に挟まれた化合物半導体からなる挿入チャネル層とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施態様として、以下のものが挙げられる。
(1) 前記挿入チャネル層がGaAs及び/又はInGaAsからなる半導体装置。
(2) 前記挿入チャネル層がGaAsからなる半導体装置。
(3) 前記挿入チャネル層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(4) 前記InGaAsチャネル層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(5) 前記電子供給層がn型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる半導体装置。
(6) 前記電子供給層がn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープAlGaAs層からなる半導体装置。
(7) (6)に記載の半導体装置において、アンドープAlGaAs電子供給層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(8) (5)〜(7)のいずれかに記載の半導体装置において、前記InGaAsチャネル層と前記電子供給層との間にアンドープのAlGaAs層を有する半導体装置。
(9) 前記電子供給層がn型ドープのAlGaP(n−AlGaP)からなる半導体装置。
(10) 前記電子供給層がn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープAlGaP層からなる半導体装置。
(11) (10)に記載の半導体装置において、アンドープAlGaP電子供給層の不純物濃度が1×1015 cm−3以下である半導体装置。
(12) (11)に記載の半導体装置において、前記InGaAsチャネル層と前記電子供給層との間にアンドープのAlGaP層を有する半導体装置。
(13) (1)〜(12)のいずれかに記載の半導体装置に使用するエピタキシャルウエハ。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す。このエピタキシャルウエハは、GaAs基板1上にバッファ層2を有しており、バッファ層2上にn型ドープのAlGaAs(n−AlGaAs)からなる下側電子供給層3、アンドープAlGaAsからなる下側スペーサ層4、三層構造を有するチャネル層5、アンドープAlGaAsからなる上側スペーサ層6、n−AlGaAsからなる上側電子供給層7、アンドープAlGaAsからなるショットキー層8をこの順に有している。
【0011】
チャネル層5は、アンドープInGaAsからなる一対のチャネル層51,52の間に、アンドープGaAsからなる挿入チャネル層53が挟まれた構成となっている。InGaAsチャネル層51,52の不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の不純物濃度が1×1015 cm−3より大きいと、十分な電子移動度の向上が得られない。
【0012】
GaAs挿入チャネル層53の膜厚は1〜5nmであるのが好ましい。GaAs挿入チャネル層53の膜厚が5nmより大きいとチャネル全体が厚くなり過ぎるために、電子密度が低下し過ぎ、電子移動度が低下し過ぎる。また1nmより小さいと電子移動度の向上効果が不十分である。各InGaAsチャネル層51,52の膜厚は、GaAs挿入チャネル層53の膜厚以上であるのが好ましい。各InGaAsチャネル層51,52がGaAs挿入チャネル層53より薄いと、量子準位が上がり過ぎるために電子が散乱を受け易くなり、電子移動度が低下し過ぎるという問題が生じる。なおInGaAsチャネル層51,52とGaAs挿入チャネル層53の膜厚の総和は10〜15 nmであるのが好ましい。
【0013】
InGaAsチャネル層51,52の間にGaAs挿入チャネル層53を設けることにより、半導体装置の電子移動度が増大する。これはInGaAs層中に挿入したGaAs層が、(1) InGaAs結晶の格子不整合による崩壊を防止するためであるか、(2) 二次元ポテンシャルに蓄積する電子の密度を向上し、不純物による電子の散乱を防止するためである、と考えられる。
【0014】
なお図1に示す例では、挿入チャネル層53はGaAsからなっているが、本発明はこれに限定されず、その他の化合物半導体からなる挿入チャネル層53を使用しても良い。例えば下側スペーサ層4とInGaAsチャネル層51とのエネルギー不連続量、及び上側スペーサ層6とInGaAsチャネル層52とのエネルギー不連続量より、InGaAsチャネル層51,52とのエネルギー不連続量が小さくなるような化合物半導体を使用することができる。このような化合物半導体の具体例としては、インジウムの混晶比がInGaAsチャネル層51,52より小さいInGaAs等が挙げられる。例えばInGaAsチャネル層51,52中のInの含有量が0.15〜0.25であれば、InGaAs挿入チャネル層53中のInの含有量は0.1以下であるのが好ましい。
【0015】
スペーサ層4,6を構成するアンドープAlGaAsの不純物濃度は、1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。
【0016】
電子供給層3,7はn−AlGaAsからなる単一の層に限定されず、複数の層からなっていても良い。例えばアンドープAlGaAs層中にn型不純物のプレーナドープ層を有するものが好適である。プレーナドープ層を有する電子供給層3,7を作製するには、バッファ層2又はスペーサ層6表面にAl、Ga等を供給してAlGaAs層を成長させた後で、これらの供給を一時停止して、Si等の不純物のみを供給すればよい。プレーナドープ法により、AlGaAs層の中に一般的なドープ法より高濃度に不純物を入れることができる。
【0017】
バッファ層2としては特に限定されず、一般的な高抵抗バッファ層及び/又はP−型ドープバッファ層を使用することができる。バッファ層2は単層からなっていても良いし、複数の層からなっていても良い。高抵抗バッファ層を使用する場合、特開2001−044418号等に記載のもの等が好適である。P−型ドープバッファ層としては、P<1×1016 cm−3のGaAs層、AlGaAs層等が好ましい。
【0018】
各層の形成方法は特に限定されず、固相成長法、液相成長法、気相成長法等の一般的な方法を用いることができる。なかでも各層の品質及び均一性の観点から気相成長法がより好ましい。具体的には有機金属を使用した気相成長法(MOVPE法)、分子線成長法(MBE法)等が好ましい。
【0019】
図2は、本発明の第二の態様における半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す。図2に示す例は、チャネル層5の上部にアンドープInGaPからなるスペーサ層9を介してn−InGaPからなる電子供給層10が形成されている以外、図1に示す例と同じであるので、相違点のみ説明する。
【0020】
アンドープInGaPスペーサ層9の不純物濃度は1×1015 cm−3以下であるのが好ましい。またn−InGaP電子供給層10のドーパント(キャリア)濃度は1×1018 cm−3以上、特に1×1019 cm−3以上が好ましい。n−InGaP電子供給層10のドーパントとしてはSi、Se、Te等が挙げられる。なお図2に示す例では電子供給層10はn−InGaPからなっているが、本発明はこれに限定されず、例えばn型不純物のプレーナドープ層を有するアンドープInGaP層でも良い。
【0021】
n−AlGaAsはDXセンタと呼ばれる電気的な結晶欠陥を内在しているため、キャリアの活性化率が低く、キャリアの高濃度化が難しいという問題を有しているのに対し、n−InGaPにはこのような欠陥が少ない。このため、InGaAsチャネル層51,52の間にGaAs挿入チャネル層53を設けた上で、n−InGaPを電子供給層10に適用することにより、高移動度かつ高密度の二次元電子ガスの発生が可能となり、エピタキシャルウエハの電子移動度はさらに向上する。
【0022】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の半導体装置を評価するため、半導体装置に使用するエピタキシャルウエハを作製し、シートキャリア濃度及び電子移動度を測定した。
【0024】
実施例1
図1に示すエピタキシャルウエハを以下のとおり作製した。各層の形成にはMOVPE法を用いた。GaAs基板(厚さ600 nm)1の表面に、アンドープGaAsからなる膜厚500 nmのバッファ層2を形成し、次に下側電子供給層3として膜厚3nmのn型Al0.25Ga0.75As(2×1018 cm−3Siドープ)を成膜した。さらにアンドープのAl0.25Ga0.75Asを膜厚2nmとなるように成膜して下側スペーサ層4とした。
【0025】
下側スペーサ層4の表面に、チャネル層51としてアンドープIn0.2Ga0.8Asを膜厚5.5 nmとなるように成膜した後で、挿入チャネル層53としてアンドープGaAsを膜厚5nmとなるように成膜し、さらに膜厚5.5 nmのアンドープIn0.2Ga0.8Asチャネル層52を成膜した。さらに膜厚2nmのアンドープAl0.25Ga0.75Asからなる上側スペーサ層6、及び膜厚6nmのn型Al0.25Ga0.75As(2×1018 cm−3Siドープ)からなる上側電子供給層7を順に形成した後で、上側電子供給層7の表面に膜厚30
nmのアンドープAl0.25Ga0.75Asを成膜し、ショットキー層8とした。
【0026】
このエピタキシャルウエハのシートキャリア濃度及び電子移動度を、それぞれシート法及びパウ法により測定した。結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
下側スペーサ層4と上側スペーサ層6の間に、膜厚16 nmのアンドープIn0.2Ga0.8Asからなる単層のチャネル層5を成膜した以外、実施例1と同様にして、図3に示す構成のエピタキシャルウエハを作製した。
【0028】
このエピタキシャルウエハのシートキャリア濃度及び電子移動度を、それぞれシート法及びパウ法により測定した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から明らかなように、実施例1のエピタキシャルウエハは比較例1のものと比較して、電子移動度が大幅に向上している。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、エピタキシャルウエハのチャネル層を一対のInGaAsチャネル層と、その間のGaAs等の化合物半導体からなる挿入チャネル層により形成することにより、電子移動度が向上する。このため、このような構成を有するエピタキシャルウエハを用いることにより、デバイス特性が向上し、かつ消費電力が低下した半導体装置を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の別の例を示す図である。
【図3】従来の半導体装置に用いるエピタキシャルウエハの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・半絶縁性GaAs基板
2・・・バッファ層
3・・・下側電子供給層
4・・・下側スペーサ層
5・・・チャネル層
51、52・・・InGaAsチャネル層
53・・・GaAs挿入チャネル層
6、9・・・上側スペーサ層
7、10・・・上側電子供給層
8・・・ショットキー層
Claims (5)
- チャネル層の上下に電子供給層を有するヘテロ接合型の半導体装置において、前記チャネル層が一対のInGaAs層と、両InGaAs層に挟まれた化合物半導体からなる挿入チャネル層とからなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載の半導体装置において、前記挿入チャネル層がGaAs及び/又はInGaAsからなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項2に記載の半導体装置において、前記挿入チャネル層がGaAsからなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置において、前記電子供給層がn型ドープのAlGaAsからなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置において、前記InGaAsチャネル層と前記電子供給層との間にアンドープのAlGaAs層を有することを特徴とする半導体装置。
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-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003070765A patent/JP2004281702A/ja active Pending
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