JP3414266B2 - 2気筒内燃機関 - Google Patents

2気筒内燃機関

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JP3414266B2
JP3414266B2 JP20335298A JP20335298A JP3414266B2 JP 3414266 B2 JP3414266 B2 JP 3414266B2 JP 20335298 A JP20335298 A JP 20335298A JP 20335298 A JP20335298 A JP 20335298A JP 3414266 B2 JP3414266 B2 JP 3414266B2
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Kokusan Denki Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、点火装置を備えた
2気筒内燃機関に関するものである。 【0002】 【従来の技術】内燃機関を点火する点火装置として、点
火コイルの一次コイルに流しておいた一次電流を遮断す
ることにより点火用の高電圧を発生させる、電流遮断形
の点火装置が用いられている。 【0003】2気筒内燃機関を点火するこの種の点火装
置は、機関のクランク軸に取り付けられたフライホイー
ルの外周部に永久磁石を取り付けて磁石界磁を構成した
フライホイール磁石回転子と、該フライホイール磁石回
転子の磁石界磁に対向する磁極部をそれぞれ両端に有す
る鉄心に巻回された第1及び第2の点火コイルを有して
内燃機関のケースに取り付けられた第1及び第2の点火
用発電コイルと、第1及び第2の点火コイルの一次電流
をそれぞれ第1及び第2の気筒の点火位置で遮断するこ
とにより該第1及び第2の点火コイルの二次コイルに点
火用の高電圧を誘起させる第1及び第2の点火回路とで
構成され、第1及び第2の点火コイルの二次コイルに誘
起する高電圧がそれぞれ第1及び第2の気筒に取り付け
られた第1及び第2の点火プラグに印加される。 【0004】従来のこの種の2気筒内燃機関では、第1
の気筒の点火特性(機関の回転数に対する点火位置の変
化を示す特性)と第2の気筒の点火特性とが等しくなる
ように第1及び第2の点火回路が構成されている。第1
及び第2の点火回路により得られる点火特性は、機関に
要求される性能や、排気ガス規制の有無等により種々の
特性に設定されるが、コストの低減を図ることを優先し
た内燃機関では、負荷の状況に応じて複雑な制御を行な
うことなく、機関の回転数の変化に対して点火位置(点
火が行われる時の機関のクランク軸の回転角度位置)を
ほぼ一定に保つ特性を有する点火回路か、または機関の
回転数が設定値に達したときに点火位置をステップ状に
進角させる特性を有する点火回路が多く採用されてい
る。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】2気筒内燃機関におい
て、機関の回転数の変化に対して第1の気筒及び第2の
気筒の点火位置をそれぞれほぼ一定に保つように、第1
及び第2の点火回路の特性を設定した場合に、機関が中
高速領域で十分な出力を発生し得るように第1及び第2
の気筒の点火位置をともに上死点(ピストンが上死点に
達したときのクランク軸の回転角度位置)よりも充分に
進んだ位置に設定すると、機関の始動性が悪くなるのを
避けられない。また逆に、機関の始動性を良くするため
に第1及び第2の気筒の点火位置をともに遅れた位置に
設定すると、機関の中高速領域で十分な出力を得ること
ができなくなる。 【0006】これに対し、低速領域では第1及び第2の
気筒の点火位置をともに上死点に近い遅れ位置に設定
し、機関の回転数が設定値に達したときに第1及び第2
の気筒の点火位置をステップ状に進角させるように点火
特性を設定すると、機関の始動性を良くし、中高速領域
で十分な出力を得ることができる。しかしながら、この
ように第1及び第2の気筒の点火特性を設定すると、機
関の回転数が設定値に達したときに第1及び第2の気筒
の点火位置がともに急激な変化を示すため、設定回転数
付近で機関の回転数の変動が大きくなり、安定した回転
が得られないという問題があった。 【0007】本発明の目的は、始動性が良好で、しかも
中高速領域で十分な出力を発生する上に、回転数の変動
が少なく、安定な動作を行なう2気筒内燃機関を提供す
ることにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、第1及び第2
の気筒を備えた2気筒内燃機関に係わるもので、本発明
に係わる内燃機関は、該内燃機関のクランク軸に取り付
けられたフライホイールの外周部に永久磁石を取り付け
て磁石界磁を構成したフライホイール磁石回転子と、第
1の気筒及び第2の気筒のそれぞれに対して設けられた
第1及び第2の固定子と、該第1及び第2の固定子とと
もに第1及び第2の点火装置を構成する第1及び第2の
点火回路とを備えている。 【0009】第1及び第2の固定子は、それぞれフライ
ホイール磁石回転子の磁石界磁に対向する磁極部を両端
に有する第1及び第2の鉄心と該第1及び第2の鉄心に
それぞれ巻回された第1及び第2の点火コイルとからな
っていて、第1の気筒の点火位置と第2の気筒の点火位
置との角度間隔に相応した角度間隔をもって配置され
て、内燃機関のケースに固定されている。 【0010】第1及び第2の点火回路はそれぞれ第1及
び第2の点火コイルの一次電流を遮断することにより該
第1及び第2の点火コイルの二次コイルに点火用高電圧
を誘起させる電流遮断形の回路からなっていて、第1及
び第2の点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電
圧が第1の気筒及び第2の気筒にそれぞれ取り付けられ
た第1及び第2の点火プラグに印加される。 【0011】本発明においては、第1の点火回路及び第
2の点火回路がそれぞれ異なる点火特性を有するように
構成する。即ち、第1の点火回路は、機関の回転数の変
化に対して点火位置がほぼ一定に保たれる特性を有する
ように構成し、第2の点火回路は、機関の回転数が設定
値に達したときに点火位置が進角する特性を有するよう
に構成する。 【0012】第1の点火回路及び第2の点火回路により
得られる点火特性を上記のように設定すると、機関の始
動時には、第2の点火回路により点火される第2の気筒
の点火位置を始動に適した遅れ位置とすることができる
ため、機関の始動を容易にすることができる。機関の回
転数が設定値を超える中高速領域では、第2の点火回路
により点火される第2の気筒の点火位置が進角した位置
となるので、中高速領域において十分な出力を得ること
ができる。 【0013】また、機関の回転数が設定値に達した時に
は、第2の点火回路により点火される第2の気筒の点火
位置がステップ状に変化するため、機関の回転数が変化
しようとするが、このとき第1の点火回路により点火さ
れる第1の気筒の点火位置は一定に保たれているため、
機関の回転数の変化が抑制される。そのため、設定回転
数の前後で機関の回転数が大きく変動するのを防ぐこと
ができ、設定回転数の前後における機関の動作を安定に
することができる。 【0014】上記第1の点火回路としては、第1の点火
コイルの一次コイルに一方の極性の半サイクルの電圧が
誘起したときに導通して該第1の点火コイルの一次コイ
ルを短絡するように設けられた固定点火用トランジスタ
と、該固定点火用トランジスタのコレクタエミッタ間の
電圧のピーク位置付近で固定点火用トランジスタを遮断
状態にするように制御する固定点火用トランジスタ遮断
回路とを備えたものを用いるのが好ましい。 【0015】また第2の点火回路としては、第2の点火
コイルの一次コイルに一方の極性の半サイクルの電圧が
誘起したときに導通して該第2の点火コイルの一次コイ
ルを短絡するように設けられた遅れ点火用トランジスタ
と、該遅れ点火用トランジスタのコレクタエミッタ間電
圧のピーク位置付近で遅れ点火用トランジスタを遮断状
態にするように制御する遅れ点火用トランジスタ遮断回
路と、第2の点火コイルの一次コイルに前記一方の極性
の半サイクルの電圧よりも位相が進んだ他方の極性の半
サイクルの電圧が誘起したときに導通して該第2の点火
コイルの一次コイルを短絡するように設けられた進み点
火用トランジスタと、該進み点火用トランジスタのコレ
クタエミッタ間の電圧が設定値に達したときに前記進み
点火用トランジスタを遮断状態にするように制御する進
み点火用トランジスタ遮断回路とを備えたものを用いる
のが好ましい。 【0016】上記のように第1及び第2の点火回路を構
成すると、機関の点火位置を定めるための信号を発生す
る信号発電機を別個に設けることなく、第1及び第2の
点火回路を構成できるので、点火装置の構成を簡単にす
ることができる。 【0017】 【発明の実施の形態】図1ないし図8を参照して、本発
明の実施の形態を説明する。 【0018】図1は、第1の気筒及び第2の気筒を備え
た2気筒内燃機関の例を示したもので、この例では第1
の気筒1と第2の気筒2とが90°の角度間隔をもって
配置されて、V型2気筒内燃機関が構成されている。 【0019】図1において、3は内燃機関のクランク軸
4の端部に取り付けられた鋳鉄製のフライホイール5の
外周部に永久磁石6を取り付けて磁石界磁を構成してな
るフライホイール磁石回転子、7及び7´は、第1の気
筒1及び第2の気筒2のそれぞれに対して設けられた第
1及び第2の固定子であり、第1及び第2の固定子7及
び7´は、第1の気筒1の点火位置と第2の気筒2の点
火位置との間の角度間隔に相応した角度間隔をもって配
置されている。 【0020】更に詳細に説明すると、第1の固定子7
は、図2に示したように、ほぼU字形に形成されて機関
のケースに固定された第1の鉄心9と、該第1の鉄心9
に巻回された第1の点火コイル10と、該第1の点火コ
イルの一次電流を制御する第1の点火回路11とを備え
たもので、第1の点火コイル10及び第1の点火回路1
1により第1の気筒1を点火するための点火用高電圧を
発生する第1の点火装置が構成されている。図示の例で
は、第1の鉄心9に巻回された第1の点火コイル10及
び第1の点火回路11が樹脂モールド部12により被覆
されている。 【0021】第1の鉄心9は、先端に磁極部9a,9b
を有していて、これらの磁極部がフライホイール5の外
周に形成された磁石界磁に所定のギャップを介して対向
させられている。第1の鉄心9に巻回された第1の点火
コイル10は、第1の点火用発電コイルを兼ねる一次コ
イル10aと該一次コイルよりも巻数が多い二次コイル
10bとからなっていて、フライホイール磁石回転子3
の回転に伴って鉄心9内で生じる磁束の変化により、一
次コイル(点火用発電コイル)に交流電圧が誘起するよ
うになっている。 【0022】第1の固定子7内に設けられた第1の点火
回路11は、内燃機関の点火位置で第1の点火コイル1
0の一次コイル10aを通して流れる一次電流に急激な
変化を生じさせるように制御する回路で、機関の回転数
の変化に対して点火位置を一定に保つ特性を有するよう
に構成される。 【0023】第1の点火回路により、第1の点火コイル
の一次電流に急激な変化が生じさせられると、該点火コ
イルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。この高
電圧は、高圧コード13を通して、第1の気筒1に取り
付けられた点火プラグ14に印加される。 【0024】第2の固定子7´は、ほぼU字形に形成さ
れて機関のケースに固定された第2の鉄心9´と、該第
2の鉄心9´に巻回された第2の点火コイルと、該第2
の点火コイルの一次電流を制御する第2の点火回路(図
示せず。)とにより、第1の固定子7と同様に構成さ
れ、第2の点火コイル及び第2の点火回路により第2の
気筒2を点火するための点火用高電圧を発生する第2の
点火装置が構成されている。第2の鉄心9´に巻回され
た第2の点火コイル及び第2の点火回路は樹脂モールド
部12´により被覆されている。 【0025】第2の鉄心9´は、先端に磁極部9a´,
9b´を有していて、これらの磁極部がフライホイール
5の外周に形成された磁石界磁に所定のギャップを介し
て対向させられている。第2の鉄心9´に巻回された第
2の点火コイルは第2の点火用発電コイルを兼ねる一次
コイルと該一次コイルよりも巻数が多い二次コイルとか
らなっていて、フライホイール5の回転に伴って鉄心9
´内で生じる磁束の変化により、一次コイル(点火用発
電コイル)に交流電圧が誘起するようになっている。 【0026】第2の点火コイルとともに第2の点火装置
を構成する第2の点火回路としては、機関の回転数が設
定値に達したときに点火位置をステップ状に進角させる
ように構成された電流遮断形の回路を用いる。第2の点
火コイルの二次コイルから得られる高電圧は、高圧コー
ド13´を通して、第2の気筒2に取り付けられた点火
プラグ14´に印加されている。 【0027】図2に示すように、フライホイール磁石回
転子3の磁石界磁を構成する永久磁石6は、フライホイ
ール5の外周部に形成された凹部5a内に配置されてい
る。永久磁石6はフライホイールの径方向に着磁されて
いて、該磁石6の外側の磁極に磁極片17が当接され、
磁極片17及び磁石6は、両者を貫通してフライホイー
ルの周壁部にねじ込まれた図示しないネジと、接着剤と
によりフライホイール5に対して固定されている。磁極
片17に現れる磁石6の一方の磁極m2 (図示の例では
N極)と、凹部16の両側のフライホイール周壁部にそ
れぞれ現れる磁石6の他方の磁極m1 及びm3 (図示の
例ではS極)とにより、フライホイール5の外周部に3
極の磁石界磁が構成されている。 【0028】フライホイール磁石回転子3が回転する
と、該フライホイール磁石回転子の磁石界磁の磁極m1
〜m3 が第1の点火用発電子7の磁極部9a,9bの位
置を通過する際及び第2の点火用発電子7´の磁極部9
a´,9b´の位置を通過する際に、それぞれ第1の点
火コイルの一次コイル及び第2の点火コイルの一次コイ
ルに交互に極性が異なる3つの半波を有する一次電圧V
1 が誘起する(図4A参照)。 【0029】上記第1の点火回路としては、第1の点火
コイル10の一次コイルに一方の極性の半サイクルの電
圧が誘起したときに導通して該第1の点火コイルの一次
コイルを短絡するように設けられた固定点火用トランジ
スタと、該固定点火用トランジスタのコレクタエミッタ
間の電圧のピーク位置付近で固定点火用トランジスタを
遮断状態にするように制御する固定点火用トランジスタ
遮断回路とを備えたものを用いるのが好ましい。 【0030】図3は、第1の点火コイル10と第1の点
火回路とにより構成される第1の点火装置の構成例を示
したもので、図示の第1の点火回路11は、一端が接地
された第1の点火コイルの一次コイル10aの両端間に
コレクタ・エミッタ間回路が並列に接続されて一次電流
通電回路を形成する固定点火用トランジスタT1 と、該
固定点火用トランジスタのコレクタ・ベース間に接続さ
れて該トランジスタのベース電流の通電路を構成する抵
抗R1 及びR2 の直列回路と、トランジスタT2 ないし
T5 と、ダイオードD1 及びD2 と、コンデンサC1
と、抵抗R3 ないしR7 とからなっていて、固定点火用
トランジスタT1 のコレクタエミッタ間の電圧のピーク
位置付近で固定点火用トランジスタT1 のベース電流を
側路することにより該トランジスタを遮断状態にする固
定点火用トランジスタ遮断制御回路11aとによって構
成されている。 【0031】図3の点火装置の動作を説明すると次の通
りである。内燃機関が回転すると、第1の点火コイルの
一次コイル10aに図示の破線矢印方向の負の極性の第
1の半波と図示の実線矢印方向の正の極性の第2の半波
と図示の破線矢印方向の負の極性の第3の半波とが連続
して現れる一次電圧V1 が誘起する。図4(A)は一次
コイル10aに誘起する一次電圧V1 の波形の一例を示
している。同図に実線で示した波形(V11,V12,V1
3)は機関の回転数Nが低速(N1 )のときの波形を示
し、破線で示した波形(V11´,V12´,V13´)は回
転数Nが高速(N2 )のときの波形を示している。 【0032】機関の低速時(例えばN1 のとき)には、
一次コイル10aに図示の実線矢印方向の正の電圧V1,
2 が誘起したときに、抵抗R1 及びR2 を通して固定点
火用トランジスタT1 にベース電流が流れて該トランジ
スタが導通状態となり、一次コイル10a及びトランジ
スタT1 のコレクタ・エミッタ間を通して図4(B)に
実線で示す波形の一次電流I12が流れる。同時に、トラ
ンジスタT1 のコレクタ・エミッタ電圧により抵抗R3
、抵抗R6 、コンデンサC1 及びトランジスタT5 の
ベース・エミッタを通して電流が流れて、コンデンサC
1 が図示の極性に充電される。コンデンサC1 に充電電
流が流れている間はトランジスタT5 及びトランジスタ
T4 が導通状態になり、トランジスタT2 が遮断状態に
保持される。一次電流I12が上昇して機関の回転角度位
置θ1 で一定値I1sよりは低いピーク値に達するとトラ
ンジスタT1 のコレクタ・エミッタ間電圧もピーク値に
達し、コンデンサC1 の充電電流が流れなくなる。その
ためトランジスタT5 及びT4 が遮断され、抵抗R3 及
びトランジスタT3 を通してトランジスタT2 にベース
電流が供給されて該トランジスタT2 が導通する。トラ
ンジスタT2 が導通するとトランジスタT1 のベース電
流はトランジスタT2 を通して側路されるので、角度位
置θ1 でトランジスタT1 が非導通状態になって一次電
流I12が遮断され、その際に第1の点火コイルの二次コ
イル10bに点火用高電圧が誘起して第1の点火プラグ
14に火花が飛ぶ。従って、機関の低速時には固定点火
用トランジスタのコレクタエミッタ間電圧がピーク値に
達したときに点火コイル10の一次電流が遮断されて点
火動作が行われるので、点火位置は一定になり、また一
次電流の大きさが一定値I1sより小さい機関の低速時に
も点火用高電圧を発生させることができる。 【0033】内燃機関の回転数が高く(例えばN2 )な
り、点火コイルの一次電流が増大してトランジスタT1
のコレクタ・エミッタ間電圧が高い値を示すようになる
と、一次電流I12´がピーク値に達する前に一定値I1s
に達するようになる。このときトランジスタT4 及びT
5 が導通状態であっても、トランジスタT1 のコレクタ
・エミッタ間電圧を抵抗R5 とR7 で分圧して得られる
トランジスタT2 のベース電圧が該トランジスタT2 を
導通させる値に達するので、図4(C)に示すように一
次電流I12´が機関の回転角度位置θ1 ´(低速時の点
火位置θ1 とほぼ同じ)で一次電流I12´が一定値I1s
に達したときに遮断されて点火動作が行われる。 【0034】従って、内燃機関の第1の気筒1を点火す
る第1の点火装置では、図5に示すように、点火位置θ
が機関の回転数Nの変化に対してほぼ一定に保たれる。 【0035】内燃機関の第2の気筒2の点火を行う第2
の点火装置は、機関の回転数が設定値に達した時に点火
位置をステップ状に進角させるように構成される。この
第2の点火装置は、第2の点火コイルの一次コイルに一
方の極性の半サイクルの電圧が誘起したときに導通して
該第2の点火コイルの一次コイルを短絡するように設け
られた遅れ点火用トランジスタと、該遅れ点火用トラン
ジスタのコレクタエミッタ間電圧のピーク位置付近で遅
れ点火用トランジスタを遮断状態にするように制御する
遅れ点火用トランジスタ遮断回路と、第2の点火コイル
の一次コイルに前記一方の極性の半サイクルの電圧より
も位相が進んだ他方の極性の半サイクルの電圧が誘起し
たときに導通して該第2の点火コイルの一次コイルを短
絡するように設けられた進み点火用トランジスタと、該
進み点火用トランジスタのコレクタエミッタ間の電圧が
設定値に達したときに前記進み点火用トランジスタを遮
断状態にするように制御する進み点火用トランジスタ遮
断回路とを備えたものを用いるのが好ましい。 【0036】図6はこのような構成を有する第2の点火
装置の構成例を示したもので、図6に示した第2の点火
回路11´は、第2の点火コイル10´の図示の実線矢
印方向の一次電流を通す向きのダイオードD3 を介して
一次コイル10a´に接続された遅れ点火用点火回路1
1A´と、図示の破線矢印方向の一次電流を通す向きの
ダイオードD4 を介して一次コイル10a´に接続され
た進み点火用点火回路11B´とを有している。 【0037】遅れ点火用点火回路11A´は、コレクタ
エミッタ間回路がダイオードD3 を通して点火コイル1
0´の一次コイルの両端に並列接続された遅れ点火用ト
ランジスタT1 ´と、図3に示した第1の点火回路11
の固定点火用トランジスタ遮断回路11aと同様に構成
された遅れ点火用トランジスタ遮断回路11a´とによ
り構成されている。 【0038】進み点火用点火回路11B´は、コレクタ
・エミッタ間回路がダイオードD4を介して点火コイル
の一次コイル10aの両端間に並列接続された進み点火
用主トランジスタT6 と、該進み点火用トランジスタT
6 のベース電流の通路を構成する抵抗R8 ,R9 と、ト
ランジスタT7 及び抵抗R10,R11からなる進み点火用
トランジスタ遮断制御回路11C´とによって構成され
ている。 【0039】図6に示した第2の点火回路の動作は以下
の通りである。内燃機関が回転すると、フライホイール
磁石回転子3の磁極が第2の固定子7´の磁極部9a
´,9b´の位置を通過する際に、第2の点火コイルの
一次コイル10a´に図4(A)に示した波形と同様な
波形の交流電圧が誘起する。 【0040】機関の回転数が設定値Ns よりも低いとき
(例えばN1 のとき)には、第2の点火コイル10´の
一次コイル10a´に図6に破線矢印で示した方向の
(負極性の)第1の半波の電圧が誘起する。この電圧に
より進み点火用点火回路11B´の抵抗R8 及びR9 を
通して進み点火用トランジスタT6 にベース電流が供給
されて該トランジスタが導通状態になり、一次コイル1
0a´に図7(A)に示す一次電流I11が流れる。機関
の回転数が設定値Ns より低く、一次電流I11の大きさ
が小さい状態では、進み点火用トランジスタT6 のコレ
クタ・エミッタ間電圧も低いので、トランジスタT7 の
ベース電圧が低く、該トランジスタは遮断状態に保たれ
る。このときトランジスタT6 も導通状態に保持される
ため、点火コイル10´の一次電流I11は遮断されな
い。 【0041】次いで、一次コイル10a´に図示の実線
矢印方向の正極性の第2半波の電圧が誘起すると、遅れ
点火用点火回路11A´が既述の図3の点火装置の動作
と同様の動作を行い、遅れ点火用トランジスタT1 を通
して図7(A)に示す一次電流I12が流れる。この一次
電流I12が遅れ点火位置θ2 で遮断された時に、点火コ
イル10´の二次コイル10b´に点火用高電圧が誘起
する。従って、機関の回転数が設定値Ns より低い低速
時には、第2の気筒2は遅れ点火位置θ2 で点火され
る。 【0042】機関の回転数が上昇して設定値Ns に達す
ると、進み点火用トランジスタT6のコレクタ・エミッ
タ間電圧も高くなってトランジスタT7 が導通し得る状
態になる。従って、回転数が設定値Ns 以上のとき(例
えば回転数がN2 のとき)には、一次コイル10a´の
図示の破線矢印方向の電圧によって進み点火用トランジ
スタT6 を通して流れる一次電流I11´(図7B参照)
が一定値I1s´に達する角度位置θ3 ´でトランジスタ
T7 が導通し、これにより進み点火用トランジスタT6
が遮断状態にされて、一次電流I11´が遮断される。従
って、機関の回転数が設定値Ns 以上の中高速領域で
は、進み点火位置θ3 ´で点火用高電圧が発生して第2
の気筒2が点火される。次いで一次コイル10a´に図
示の実線矢印方向の第2半波の電圧が誘起すると、遅れ
点火用点火回路11A´のトランジスタT1 が導通して
一次電流I12´が流れ、該一次電流I12´が遅れ点火位
置θ2 ´で遮断される。この一次電流の遮断により、二
次コイル10b´に再び点火用高電圧が誘起するが、第
2の気筒2は既に進み点火位置θ3 ´で点火が完了して
いるので、この点火用高電圧によって機関が点火される
ことはない。 【0043】上記のように、第2の気筒2を点火する第
2の点火装置では、内燃機関の回転数が設定値Ns より
低い低速時に遅れ点火用点火回路11A´により遅れ点
火位置θ2 で点火動作が行われ、機関の回転数が設定値
Ns 以上になる超高速領域では、進み点火用点火回路1
1B´により進み点火位置θ3 ´で点火動作が行われ
る。従って、第2の気筒2の点火位置は、図8に示すよ
うに、機関の回転数が設定値Ns に達したときにステッ
プ状に進角する特性を有する。このステップ進角の進角
幅(θ3 ´−θ2 )は、第2の固定子7´の磁極部9a
´,9b´間の角度間隔及び対応するフライホイール磁
石回転子3の磁極の角度間隔により定まる。また、ステ
ップ進角が生ずる回転数の設定値Ns は、進み点火用点
火回路11B´の抵抗R10及びR11の抵抗値の選定によ
り調整できる。 【0044】第2の点火装置における遅れ点火位置θ2
は内燃機関の始動性を良好にするために適した角度位置
に設定され、進み点火位置θ3 ´は、内燃機関の中高速
領域での機関の出力を増大させるために適した角度位置
に設定される。 【0045】機関の回転数の変化に対してほぼ一定に保
たれる第1の気筒1の点火位置(上死点から進角側に測
った角度)は、第1の気筒1の点火特性と第2の気筒2
の点火特性とにより定まる機関全体の始動性及び中高速
領域での機関全体の出力特性を勘案して適切な角度位置
に設定する。 【0046】上記の2気筒内燃機関では、機関の始動時
には少なくとも第2の気筒2の点火位置が遅れ点火位置
になっているので機関の始動を容易に行うことができ、
また機関の回転数が設定値Ns 以上の中高速では少なく
とも第2の気筒2の点火位置が進み点火位置になってい
るので、中高速領域での機関の出力を向上させることが
できる。また、機関の回転数が設定値Ns に達したとき
に第2の気筒2の点火位置が急変するが、第1の気筒1
の点火位置は回転数の変化に対してほぼ一定に保たれて
いるので、この第1の気筒における燃焼により機関の回
転数が設定値Ns の前後で変動するのを抑制して機関の
運転が不安定になるのを防ぐことができる。 【0047】上記の例では、第1の気筒と第2の気筒と
が90°の角度間隔で配置されたV型2気筒内燃機関を
例にとったが、他の形式の2気筒内燃機関、例えば第1
の気筒と第2の気筒とが60°の角度間隔で配置される
V型2気筒内燃機関や、両気筒が180°の角度間隔で
配置される水平対向2気筒内燃機関に対しても本発明を
適用できるのは勿論である。 【0048】上記の例では、第1及び第2の固定子7及
び7´内に第1及び第2の点火コイルとともに第1及び
第2の点火回路を設けるようにしたが、第1及び第2の
点火回路は固定子7及び7´の外部に設けることもでき
る。 【0049】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、第1の
気筒の点火位置を機関の回転数の変化に対してほぼ一定
に保ち、第2の気筒の点火位置は、機関の回転数が設定
値に達したときにステップ状に進角させるようにしたの
で、始動性が良好で、しかも中高速領域で十分な出力を
発生する上に、回転数の変動が少なく、安定な動作を行
なう2気筒内燃機関を得ることができる。 【0050】また第1の点火回路は、機関の回転数の変
化に対して点火位置を一定に保つ簡単な点火特性を得る
ことができるものであればよく、第2の点火回路は、回
転数が設定値に達したときに点火位置がステップ状に進
角する特性を有するものであればよいため、いずれの点
火回路も複雑な点火位置の制御を必要としない。従っ
て、第1及び第2の点火装置として、マイクロコンピュ
ータなどを用いない構成が簡単な安価なものを採用する
ことができ、機関のコストの大幅な上昇を招くことな
く、始動性及び出力特性が共に優れた2気筒内燃機関を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係わる2気筒内燃機関の外観を示す正
面図である。 【図2】本発明に係わる内燃機関で用いるフライホイー
ル磁石回転子の要部と第1の固定子とを示した断面図で
ある。 【図3】本発明に係わる内燃機関で用いる第1の点火装
置の電気回路の一例を示した回路図である。 【図4】図3に示した点火装置の動作を説明する波形図
である。 【図5】図3に示した点火装置により得られる第1の気
筒の点火位置の回転数に対する特性を示した点火特性曲
線である。 【図6】本発明に係わる内燃機関で用いる第2の点火装
置の電気回路の一例を示す回路図である。 【図7】図6の点火装置の動作を説明するための波形図
である。 【図8】図6に示した点火装置により得られる第2の気
筒の点火位置の回転数に対する特性を示す点火特性曲線
である。 【符号の説明】 1 第1の気筒 2 第2の気筒 3 フライホイール磁石回転子 4 クランク軸 5 フライホイール 6 永久磁石 7 第1の固定子 7´ 第2の固定子 9 第1の鉄心 9´ 第2の鉄心 10 第1の点火コイル 10´ 第2の点火コイル 11 第1の点火回路 11´ 第2の点火回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−275573(JP,A) 特開 昭62−63172(JP,A) 特開 昭56−101068(JP,A) 特開 平5−195928(JP,A) 特開 平3−253766(JP,A) 特開 平9−126105(JP,A) 特開 昭55−51957(JP,A) 特開 平9−126107(JP,A) 実開 昭63−40587(JP,U) 実開 昭61−59878(JP,U) 特公 昭49−17972(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1及び第2の気筒を備えた2気筒内燃
    機関において、 内燃機関のクランク軸に取り付けられたフライホイール
    の外周部に永久磁石を取り付けて磁石界磁を構成してな
    るフライホイール磁石回転子と、 前記第1の気筒及び第2の気筒のそれぞれに対して設け
    られた第1及び第2の固定子と、前記第1及び第2の固
    定子とともに第1及び第2の点火装置を構成する第1及
    び第2の点火回路とを備え、 前記第1及び第2の固定子はそれぞれ、前記フライホイ
    ール磁石回転子の磁石界磁に対向する磁極部を両端に有
    する第1及び第2の鉄心と、該第1及び第2の鉄心にそ
    れぞれ巻回された第1及び第2の点火コイルとからなっ
    ていて、前記第1の気筒の点火位置と第2の気筒の点火
    位置との間の角度間隔に相応した角度間隔をもって配置
    されて前記内燃機関のケースに対して固定され、 前記第1及び第2の点火回路はそれぞれ、前記第1及び
    第2の点火コイルの一次電流を遮断することにより、該
    第1及び第2の点火コイルの二次コイルに点火用高電圧
    を誘起させる電流遮断形の回路からなっていて、第1及
    び第2の点火コイルの二次コイルに誘起する点火用高電
    圧が前記第1の気筒及び第2の気筒にそれぞれ取り付け
    られた第1及び第2の点火プラグに印加され、 前記第1の点火回路は、機関の回転数の変化に対して点
    火位置がほぼ一定に保たれる特性を有するように構成さ
    れ、 前記第2の点火回路は、機関の回転数が設定値に達した
    ときに点火位置が進角する特性を有するように構成され
    ていることを特徴とする2気筒内燃機関。
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