JP3414090B2 - 液圧緩衝器のバルブ構造 - Google Patents
液圧緩衝器のバルブ構造Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液圧緩衝器のバルブ
構造に関し、特に、自動車のサスペンションに設置され
るショックアブソーバに適するバルブ構造に関する。 【0002】 【従来の技術】シリンダの内部を2つの液室に区画する
バルブボデーに前記2つの液室を連通する通路を設け、
この通路に2段の弁体を直列に配置した液圧緩衝器のバ
ルブ構造が提案されている(実開平2-48634 号公報)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記提案に係るバルブ
構造では、2段の弁体が通路に直列に配置されているた
め、一方の弁体と通路とからなる第1のバルブの減衰力
特性は、他方の弁体と通路とからなる第2のバルブの減
衰力特性から独立して定めることができず、第1のバル
ブの減衰力特性を変えると第2のバルブの減衰力特性に
影響が及ぼされる。そのため、バルブボデーがピストン
である場合、そのピストン速度の低速域では、操縦安定
性を確保するために、ピストン速度に対する減衰力の立
ち上りの急な特性を得るように設定し、ピストン速度の
中速域では、乗り心地を確保するために、ピストン速度
に対する減衰力の立ち上りの緩やかな特性を得るように
設定することが難しい。 【0004】本発明は、2つのバルブを並列に配置し、
これによって一方のバルブの減衰力特性を他方のバルブ
の減衰力特性とは関係なく独立的に設定できる、液圧緩
衝器のバルブ構造を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダの内
部に2つの液室を区画する仕切り部材を備える液圧緩衝
器のバルブ構造である。このバルブ構造は、前記仕切り
部材に設けられ、前記2つの液室を連通する第1の通路
と、この第1の通路の半径方向の外方に位置するように
前記仕切り部材に設けられ、前記2つの液室を連通する
第2の通路と、前記第1の通路を開閉するために前記2
つの液室のうちの一方に配置され、前記第1の通路を閉
じる方向に偏倚される第1の弁体と、前記第2の通路を
開閉するために前記一方の液室に配置され、前記第2の
通路を閉じる方向に偏倚される第2の弁体とを備え、前
記第2の通路は前記第1の通路に対して円周方向にずれ
た移相を持つ。 【0006】 【作用および効果】2つの液室のうちの他方、すなわち
第1の弁体及び第2の弁体が配置されていない液室から
一方の液室に向けて油その他の液体が流れると、第1の
弁体及び第2の弁体のうち、小さな偏倚力で偏倚されて
いるもの、実際には小さなばね定数のばね力を受けてい
る弁体がまず仕切り部材から離れ、これによって減衰力
が発生する。液体の流れがさらに速くなると、別の弁体
が仕切り部材から離れ、これによって減衰力が発生す
る。 【0007】第1の弁体と第1の通路とからなる第1の
バルブと、第2の弁体と第2の通路とからなる第2のバ
ルブとは、互いに他から独立しているため、一方のバル
ブの減衰力特性を他方のバルブの減衰力特性とは関係な
く定めることができる。したがって、たとえば、第1の
バルブをピストン速度の低速域、すなわち通路を通過す
る液体の流れの低速域に好ましい減衰力特性が得られる
ように、さらに、第2のバルブを液体の流れの中速域に
好ましい減衰力特性が得られるように設定することがで
きる。これは、特に、自動車のサスペンションに設置す
るショックアブソーバを本発明に係るバルブ構造に従っ
て形成するとき、優れた効果である。 【0008】各バルブの弁体に加えるべき偏倚力の大き
さ、実際には弁体に関連するばねのばね定数と、通路の
口径とは任意に選定できるため、簡単な構造で最適な減
衰力特性を有するバルブ構造を得ることができる。 【0009】 【発明の実施の形態】シリンダの内部に2つの液室を区
画する仕切り部材は、円筒状のピストンであり、また、
自動車のショックアブソーバの場合にシリンダの底部に
配置され、ベースバルブを構成する円筒状の底部材であ
る。ピストン若しくは底部材に、又は両者に第1の通路
と第2の通路とを設ける。第2の通路は第1の通路の半
径方向の外方に位置し、かつ、第1の通路に対して円周
方向にずれた位相を持つ。第1の弁体は板状のばね鋼で
形成し、それ自体のばね力で偏倚させる。これに対し、
第2の弁体は鋼板で形成し、別途設けるコイルばねのば
ね力で偏倚させる。 【0010】液圧緩衝器を自動車のサスペンションのシ
ョックアブソーバとして使用する場合、ピストンに連結
するピストンロッドの伸び時に、ピストンに設けた第1
の通路を通過する液体が第1の弁体と相まって減衰力を
発生し、さらに、ピストンに設けた第2の通路を通過す
る液体が第2の弁体と相まって減衰力を発生するよう
に、第1の弁体及び第2の弁体をピストンロッドが貫通
している液室とは別の液室に配置する。これに対して、
ショックアブソーバの底部材に第1の通路と第2の通路
とを設ける場合、ピストンロッドの縮み時に、第1の通
路及び第2の通路をそれぞれ通過する液体が関連する弁
体と相まって減衰力を発生するように、第1の弁体及び
第2の弁体を配置すべき液室を定める。 【0011】 【実施例】本発明に係るバルブ構造は、断面状態を示す
図1を参照すると、シリンダ10の内部に2つの液室1
2、14を区画する仕切り部材16を備える液圧緩衝器
のバルブ構造である。仕切り部材16は、図示の実施例
では、ピストンであり、シールリング17によって液密
状態に保持され、シリンダ10に対して滑動可能であ
る。 【0012】バルブ構造は、ピストン16に設けられ、
2つの液室12、14を連通する第1の通路18と、ピ
ストン16に設けられ、2つの液室12、14を連通す
る第2の通路20と、第1の弁体22と、第2の弁体2
4とを備える。 【0013】ピストン16を示す図2の実施例では、ピ
ストン16は全体に円柱状であり、4つの第1の通路1
8と、通路18の半径方向の外方となり、かつ、通路1
8に対して円周方向へ45°ずれた位相にある4つの第
2の通路20とを有する。4つの通路20の有効断面積
は、4つの通路18の有効断面積より大きくなるように
定めてある。 【0014】通路18の上側には環状の溝26があり、
溝26の半径方向の内方に環状のランド27がある。4
つの通路18は溝26にそれぞれ連通し、溝26を介し
て相互に連通している。通路18の下側には環状の溝2
8があり、溝28の半径方向の内方に環状のランド29
があり、さらに、溝28の半径方向の外方に環状のラン
ド30がある。2つのランド29、30のピストン16
の軸線方向への突出長さは同じである。4つの通路18
は溝28にそれぞれ連通し、溝28を介して相互に連通
している。 【0015】各通路20の上側には空間32がある。空
間32は、2つの第3の通路34の上側の開口を囲んで
いるランド35によって画定され、一方では液室12に
連通し(図1参照)、他方では溝26に連通している。
各通路20の下側の開口はランド33で囲まれている。
ランド33のピストン16の軸線方向への突出長さは、
ランド29、30の突出長さより長く、さらに、第3の
通路34の下側の開口を囲んでいるランド36の突出長
さより長い。ランド29、30の突出長さはランド36
の突出長さより短い。 【0016】第1の弁体22は、第1の通路18を開閉
するために2つの液室のうちの一方の液室14に配置さ
れている。図示の実施例では、ピストン16に連結さ
れ、シリンダ10から外部へ突出するピストンロッド3
8がピストン16の上方の液室12を貫通しており、液
室14はピストン16の下方の液室である。第1の弁体
22は環状の板状のばね鋼で形成されており、そのばね
力によって第1の通路18を閉じる方向に偏倚され、2
つのランド29、30に接している。 【0017】第2の弁体24は、第2の通路20を開閉
するために液室14に配置されている。図示の実施例で
は、第2の弁体24は環状の板状のばね鋼で形成されて
いる。弁体24は、さらに、コイルばね40のバネ力を
リテーナ42を介して受け、それ自体のばね力とコイル
ばねのばね力とによって第2の通路20を閉じる方向に
偏倚され、ランド33に接している。 【0018】前記部品は次のようにピストンロッド38
に組み付けられてバルブ構造を形成する。ピストンロッ
ド38の端部にストッパ44を固定すると共に、前記端
部に皿ばね46、スペーサ47、板状の弁体48、ピス
トン16、弁体22、弁体22より小径のスペーサ5
0、ストッパ52、弁体24、リテーナ42、コイルば
ね40をこの順で差し込み、ピストンロッド38の端部
にフランジ付ナット54をねじ込む。そうすると、弁体
22がランド29、30に接し、第1の通路18と第1
の弁体22とによって第1のバルブが形成される。そし
て、弁体24がランド33に接し、第2の通路20と第
2の弁体24とによって第2のバルブが形成される。実
施例では、さらに、弁体48がピストン16の上側のラ
ンド35に接し、第3の通路34と弁体48とによって
第3のバルブが形成されている。 【0019】前記第1のバルブと前記第2のバルブと
は、液室12から液室14に向けて液体が流れるときに
作動し、前記第3のバルブは、液室14から液室12に
向けて液体が流れるときに作動する。実施例では、さら
に、ピストン16の上側のランド35にオリフィス56
が形成されている。図示のバルブ構造は自動車のショッ
クアブソーバに適用したものであるため、前記第1のバ
ルブは、ピストン速度の低速域においてピストン速度に
対する減衰力の立ち上りが急になるように、前記第2の
バルブは、ピストン速度の中速域においてピストン速度
に対する減衰力の立ち上りが緩やかになるように設定し
てある。 【0020】図示のバルブ構造は次のように作用する。
ピストンロッド38が伸びるとき、ピストン16の速度
がゼロからわずかに動くと、液室12内の液体はオリフ
ィス56を通り、通路34から液室14に流れる。この
とき、通路34はオリフィス56に比べて十分に大きい
ため、流れのパターンは図3の60となり、減衰力特性
は図4のとなってオリフィス領域の特性を呈する。そ
の後、ピストン16の速度が速くなる低速域、すなわち
ピストン速度が0.1m/s以下の範囲では、液室12内の液
体は空間32、溝26から第1の通路18を通り、弁体
22の周縁部を押し下げて液室14に流れる。このとき
の流れのパターンは図3の62となり、減衰力特性は図
4のとなってバルブ領域の特性を呈する。 【0021】ピストン速度がさらに速くなる中速域、す
なわちピストン速度が0.1m/sより速くほぼ0.3m/sまでの
範囲では、液室12内の液体は空間32から第2の通路
20を通り、弁体24の周縁部を押し下げて液室14に
流れる。このとき、液体は第1の通路18をも通って流
れるが、通路20を通過する液体量が通路18を通過す
る液体量に比べて多くなるように設定してあるため、流
れのパターンは図3の64となり、減衰力特性は図4の
となってバルブ領域の特性を呈する。 【0022】図3から明らかであるように、通路18と
弁体22とからなる第1のバルブと、通路20と弁体2
4とからなる第2のバルブとが並列に配置されているた
め、第2のバルブの減衰力特性を第1のバルブの減衰力
特性とは関係なく、独立に設定することができる。その
結果、前記公報に記載された直列配置では、の領域の
特性が−1のように比較的高くなっていたが、本発明
では−2のように低い特性となるように設定できる。
したがって、斜線を施した範囲70は、中速域において
本発明に係るバルブ構造が乗り心地を向上した範囲であ
る、ということができる。 【0023】ピストン速度がさらに速くなり、ポート2
0、18を流れる液体量が多くなると、ポートを通過す
る液体の抵抗がバルブによる抵抗より大きくなり、減衰
力特性は図4のとなってポート領域の特性を呈する。 【0024】ピストンロッド38が縮むとき、液室14
内の液体は通路34を通り、弁体48を押し上げて液室
12に流れるが、皿ばね46のばね定数は小さいため、
通路34と弁体48とは減衰力を実質的に発生しない。
この場合、前記公報にも記載があるように、シリンダ1
0の底部に配置するベースバルブによって減衰力を発生
する。この構造自体は公知である。本発明は前記ベース
バルブのための底部材に適用することができることは、
当業者に明らかであろう。
構造に関し、特に、自動車のサスペンションに設置され
るショックアブソーバに適するバルブ構造に関する。 【0002】 【従来の技術】シリンダの内部を2つの液室に区画する
バルブボデーに前記2つの液室を連通する通路を設け、
この通路に2段の弁体を直列に配置した液圧緩衝器のバ
ルブ構造が提案されている(実開平2-48634 号公報)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記提案に係るバルブ
構造では、2段の弁体が通路に直列に配置されているた
め、一方の弁体と通路とからなる第1のバルブの減衰力
特性は、他方の弁体と通路とからなる第2のバルブの減
衰力特性から独立して定めることができず、第1のバル
ブの減衰力特性を変えると第2のバルブの減衰力特性に
影響が及ぼされる。そのため、バルブボデーがピストン
である場合、そのピストン速度の低速域では、操縦安定
性を確保するために、ピストン速度に対する減衰力の立
ち上りの急な特性を得るように設定し、ピストン速度の
中速域では、乗り心地を確保するために、ピストン速度
に対する減衰力の立ち上りの緩やかな特性を得るように
設定することが難しい。 【0004】本発明は、2つのバルブを並列に配置し、
これによって一方のバルブの減衰力特性を他方のバルブ
の減衰力特性とは関係なく独立的に設定できる、液圧緩
衝器のバルブ構造を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダの内
部に2つの液室を区画する仕切り部材を備える液圧緩衝
器のバルブ構造である。このバルブ構造は、前記仕切り
部材に設けられ、前記2つの液室を連通する第1の通路
と、この第1の通路の半径方向の外方に位置するように
前記仕切り部材に設けられ、前記2つの液室を連通する
第2の通路と、前記第1の通路を開閉するために前記2
つの液室のうちの一方に配置され、前記第1の通路を閉
じる方向に偏倚される第1の弁体と、前記第2の通路を
開閉するために前記一方の液室に配置され、前記第2の
通路を閉じる方向に偏倚される第2の弁体とを備え、前
記第2の通路は前記第1の通路に対して円周方向にずれ
た移相を持つ。 【0006】 【作用および効果】2つの液室のうちの他方、すなわち
第1の弁体及び第2の弁体が配置されていない液室から
一方の液室に向けて油その他の液体が流れると、第1の
弁体及び第2の弁体のうち、小さな偏倚力で偏倚されて
いるもの、実際には小さなばね定数のばね力を受けてい
る弁体がまず仕切り部材から離れ、これによって減衰力
が発生する。液体の流れがさらに速くなると、別の弁体
が仕切り部材から離れ、これによって減衰力が発生す
る。 【0007】第1の弁体と第1の通路とからなる第1の
バルブと、第2の弁体と第2の通路とからなる第2のバ
ルブとは、互いに他から独立しているため、一方のバル
ブの減衰力特性を他方のバルブの減衰力特性とは関係な
く定めることができる。したがって、たとえば、第1の
バルブをピストン速度の低速域、すなわち通路を通過す
る液体の流れの低速域に好ましい減衰力特性が得られる
ように、さらに、第2のバルブを液体の流れの中速域に
好ましい減衰力特性が得られるように設定することがで
きる。これは、特に、自動車のサスペンションに設置す
るショックアブソーバを本発明に係るバルブ構造に従っ
て形成するとき、優れた効果である。 【0008】各バルブの弁体に加えるべき偏倚力の大き
さ、実際には弁体に関連するばねのばね定数と、通路の
口径とは任意に選定できるため、簡単な構造で最適な減
衰力特性を有するバルブ構造を得ることができる。 【0009】 【発明の実施の形態】シリンダの内部に2つの液室を区
画する仕切り部材は、円筒状のピストンであり、また、
自動車のショックアブソーバの場合にシリンダの底部に
配置され、ベースバルブを構成する円筒状の底部材であ
る。ピストン若しくは底部材に、又は両者に第1の通路
と第2の通路とを設ける。第2の通路は第1の通路の半
径方向の外方に位置し、かつ、第1の通路に対して円周
方向にずれた位相を持つ。第1の弁体は板状のばね鋼で
形成し、それ自体のばね力で偏倚させる。これに対し、
第2の弁体は鋼板で形成し、別途設けるコイルばねのば
ね力で偏倚させる。 【0010】液圧緩衝器を自動車のサスペンションのシ
ョックアブソーバとして使用する場合、ピストンに連結
するピストンロッドの伸び時に、ピストンに設けた第1
の通路を通過する液体が第1の弁体と相まって減衰力を
発生し、さらに、ピストンに設けた第2の通路を通過す
る液体が第2の弁体と相まって減衰力を発生するよう
に、第1の弁体及び第2の弁体をピストンロッドが貫通
している液室とは別の液室に配置する。これに対して、
ショックアブソーバの底部材に第1の通路と第2の通路
とを設ける場合、ピストンロッドの縮み時に、第1の通
路及び第2の通路をそれぞれ通過する液体が関連する弁
体と相まって減衰力を発生するように、第1の弁体及び
第2の弁体を配置すべき液室を定める。 【0011】 【実施例】本発明に係るバルブ構造は、断面状態を示す
図1を参照すると、シリンダ10の内部に2つの液室1
2、14を区画する仕切り部材16を備える液圧緩衝器
のバルブ構造である。仕切り部材16は、図示の実施例
では、ピストンであり、シールリング17によって液密
状態に保持され、シリンダ10に対して滑動可能であ
る。 【0012】バルブ構造は、ピストン16に設けられ、
2つの液室12、14を連通する第1の通路18と、ピ
ストン16に設けられ、2つの液室12、14を連通す
る第2の通路20と、第1の弁体22と、第2の弁体2
4とを備える。 【0013】ピストン16を示す図2の実施例では、ピ
ストン16は全体に円柱状であり、4つの第1の通路1
8と、通路18の半径方向の外方となり、かつ、通路1
8に対して円周方向へ45°ずれた位相にある4つの第
2の通路20とを有する。4つの通路20の有効断面積
は、4つの通路18の有効断面積より大きくなるように
定めてある。 【0014】通路18の上側には環状の溝26があり、
溝26の半径方向の内方に環状のランド27がある。4
つの通路18は溝26にそれぞれ連通し、溝26を介し
て相互に連通している。通路18の下側には環状の溝2
8があり、溝28の半径方向の内方に環状のランド29
があり、さらに、溝28の半径方向の外方に環状のラン
ド30がある。2つのランド29、30のピストン16
の軸線方向への突出長さは同じである。4つの通路18
は溝28にそれぞれ連通し、溝28を介して相互に連通
している。 【0015】各通路20の上側には空間32がある。空
間32は、2つの第3の通路34の上側の開口を囲んで
いるランド35によって画定され、一方では液室12に
連通し(図1参照)、他方では溝26に連通している。
各通路20の下側の開口はランド33で囲まれている。
ランド33のピストン16の軸線方向への突出長さは、
ランド29、30の突出長さより長く、さらに、第3の
通路34の下側の開口を囲んでいるランド36の突出長
さより長い。ランド29、30の突出長さはランド36
の突出長さより短い。 【0016】第1の弁体22は、第1の通路18を開閉
するために2つの液室のうちの一方の液室14に配置さ
れている。図示の実施例では、ピストン16に連結さ
れ、シリンダ10から外部へ突出するピストンロッド3
8がピストン16の上方の液室12を貫通しており、液
室14はピストン16の下方の液室である。第1の弁体
22は環状の板状のばね鋼で形成されており、そのばね
力によって第1の通路18を閉じる方向に偏倚され、2
つのランド29、30に接している。 【0017】第2の弁体24は、第2の通路20を開閉
するために液室14に配置されている。図示の実施例で
は、第2の弁体24は環状の板状のばね鋼で形成されて
いる。弁体24は、さらに、コイルばね40のバネ力を
リテーナ42を介して受け、それ自体のばね力とコイル
ばねのばね力とによって第2の通路20を閉じる方向に
偏倚され、ランド33に接している。 【0018】前記部品は次のようにピストンロッド38
に組み付けられてバルブ構造を形成する。ピストンロッ
ド38の端部にストッパ44を固定すると共に、前記端
部に皿ばね46、スペーサ47、板状の弁体48、ピス
トン16、弁体22、弁体22より小径のスペーサ5
0、ストッパ52、弁体24、リテーナ42、コイルば
ね40をこの順で差し込み、ピストンロッド38の端部
にフランジ付ナット54をねじ込む。そうすると、弁体
22がランド29、30に接し、第1の通路18と第1
の弁体22とによって第1のバルブが形成される。そし
て、弁体24がランド33に接し、第2の通路20と第
2の弁体24とによって第2のバルブが形成される。実
施例では、さらに、弁体48がピストン16の上側のラ
ンド35に接し、第3の通路34と弁体48とによって
第3のバルブが形成されている。 【0019】前記第1のバルブと前記第2のバルブと
は、液室12から液室14に向けて液体が流れるときに
作動し、前記第3のバルブは、液室14から液室12に
向けて液体が流れるときに作動する。実施例では、さら
に、ピストン16の上側のランド35にオリフィス56
が形成されている。図示のバルブ構造は自動車のショッ
クアブソーバに適用したものであるため、前記第1のバ
ルブは、ピストン速度の低速域においてピストン速度に
対する減衰力の立ち上りが急になるように、前記第2の
バルブは、ピストン速度の中速域においてピストン速度
に対する減衰力の立ち上りが緩やかになるように設定し
てある。 【0020】図示のバルブ構造は次のように作用する。
ピストンロッド38が伸びるとき、ピストン16の速度
がゼロからわずかに動くと、液室12内の液体はオリフ
ィス56を通り、通路34から液室14に流れる。この
とき、通路34はオリフィス56に比べて十分に大きい
ため、流れのパターンは図3の60となり、減衰力特性
は図4のとなってオリフィス領域の特性を呈する。そ
の後、ピストン16の速度が速くなる低速域、すなわち
ピストン速度が0.1m/s以下の範囲では、液室12内の液
体は空間32、溝26から第1の通路18を通り、弁体
22の周縁部を押し下げて液室14に流れる。このとき
の流れのパターンは図3の62となり、減衰力特性は図
4のとなってバルブ領域の特性を呈する。 【0021】ピストン速度がさらに速くなる中速域、す
なわちピストン速度が0.1m/sより速くほぼ0.3m/sまでの
範囲では、液室12内の液体は空間32から第2の通路
20を通り、弁体24の周縁部を押し下げて液室14に
流れる。このとき、液体は第1の通路18をも通って流
れるが、通路20を通過する液体量が通路18を通過す
る液体量に比べて多くなるように設定してあるため、流
れのパターンは図3の64となり、減衰力特性は図4の
となってバルブ領域の特性を呈する。 【0022】図3から明らかであるように、通路18と
弁体22とからなる第1のバルブと、通路20と弁体2
4とからなる第2のバルブとが並列に配置されているた
め、第2のバルブの減衰力特性を第1のバルブの減衰力
特性とは関係なく、独立に設定することができる。その
結果、前記公報に記載された直列配置では、の領域の
特性が−1のように比較的高くなっていたが、本発明
では−2のように低い特性となるように設定できる。
したがって、斜線を施した範囲70は、中速域において
本発明に係るバルブ構造が乗り心地を向上した範囲であ
る、ということができる。 【0023】ピストン速度がさらに速くなり、ポート2
0、18を流れる液体量が多くなると、ポートを通過す
る液体の抵抗がバルブによる抵抗より大きくなり、減衰
力特性は図4のとなってポート領域の特性を呈する。 【0024】ピストンロッド38が縮むとき、液室14
内の液体は通路34を通り、弁体48を押し上げて液室
12に流れるが、皿ばね46のばね定数は小さいため、
通路34と弁体48とは減衰力を実質的に発生しない。
この場合、前記公報にも記載があるように、シリンダ1
0の底部に配置するベースバルブによって減衰力を発生
する。この構造自体は公知である。本発明は前記ベース
バルブのための底部材に適用することができることは、
当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液圧緩衝器のバルブ構造の実施例
の要部を示す断面図である。 【図2】図1のバルブ構造に使用しているピストンを示
すもので、(a)は平面図、(b)は(a)及び(c)
のA−O−B−C−Dに沿って切断した断面図、(c)
は底面図である。 【図3】本発明に係る液圧緩衝器のバルブ構造の作用を
示す模式図である。 【図4】ピストン速度と減衰力との関係を示す特性図で
ある。 【符号の説明】 10 シリンダ 12、14 液室 16 ピストン(仕切り部材) 18 第1の通路 20 第2の通路 22 第1の弁体 24 第2の弁体 38 ピストンロッド
の要部を示す断面図である。 【図2】図1のバルブ構造に使用しているピストンを示
すもので、(a)は平面図、(b)は(a)及び(c)
のA−O−B−C−Dに沿って切断した断面図、(c)
は底面図である。 【図3】本発明に係る液圧緩衝器のバルブ構造の作用を
示す模式図である。 【図4】ピストン速度と減衰力との関係を示す特性図で
ある。 【符号の説明】 10 シリンダ 12、14 液室 16 ピストン(仕切り部材) 18 第1の通路 20 第2の通路 22 第1の弁体 24 第2の弁体 38 ピストンロッド
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F16F 9/32
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シリンダの内部に2つの液室を区画する
仕切り部材を備える液圧緩衝器のバルブ構造であって、
前記仕切り部材に設けられ、前記2つの液室を連通する
第1の通路と、該第1の通路の半径方向の外方に位置す
るように前記仕切り部材に設けられ、前記2つの液室を
連通する第2の通路と、前記第1の通路を開閉するため
に前記2つの液室のうちの一方に配置され、前記第1の
通路を閉じる方向に偏倚される第1の弁体と、前記第2
の通路を開閉するために前記一方の液室に配置され、前
記第2の通路を閉じる方向に偏倚される第2の弁体とを
備え、前記第2の通路は前記第1の通路に対して円周方
向にずれた移相を持つ、液圧緩衝器のバルブ構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32357495A JP3414090B2 (ja) | 1995-11-20 | 1995-11-20 | 液圧緩衝器のバルブ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32357495A JP3414090B2 (ja) | 1995-11-20 | 1995-11-20 | 液圧緩衝器のバルブ構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09144799A JPH09144799A (ja) | 1997-06-03 |
JP3414090B2 true JP3414090B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
ID=18156232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32357495A Expired - Fee Related JP3414090B2 (ja) | 1995-11-20 | 1995-11-20 | 液圧緩衝器のバルブ構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3414090B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018021136A1 (ja) * | 2016-07-26 | 2018-02-01 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 緩衝器 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6382372B1 (en) * | 2000-01-03 | 2002-05-07 | Tenneco Automotive Inc. | Ported disc variable bleed orifice |
KR20010093000A (ko) * | 2000-03-28 | 2001-10-27 | 밍 루 | 피스톤밸브구조가 변경된 가스스프링 |
JP5695507B2 (ja) * | 2011-06-08 | 2015-04-08 | カヤバ工業株式会社 | バルブ構造 |
JP6487804B2 (ja) * | 2015-08-07 | 2019-03-20 | Kyb株式会社 | 緩衝器のバルブ構造 |
-
1995
- 1995-11-20 JP JP32357495A patent/JP3414090B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018021136A1 (ja) * | 2016-07-26 | 2018-02-01 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 緩衝器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09144799A (ja) | 1997-06-03 |
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