JP3413109B2 - ピペリジン誘導体 - Google Patents

ピペリジン誘導体

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JP3413109B2
JP3413109B2 JP26949798A JP26949798A JP3413109B2 JP 3413109 B2 JP3413109 B2 JP 3413109B2 JP 26949798 A JP26949798 A JP 26949798A JP 26949798 A JP26949798 A JP 26949798A JP 3413109 B2 JP3413109 B2 JP 3413109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた抗ヒスタミ
ン作用及び抗ロイコトリエン作用を有し、広範なアレル
ギー疾患に対する医薬として有用なピペリジン誘導体又
はその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒスタミンは細胞膜のH1受容体と結合
することにより気管支平滑筋収縮作用や毛細血管透過性
亢進作用を示し、アレルギー疾患における重要なメディ
エイターである。すなわち、ヒスタミンは、気管支収縮
作用により喘息症状の悪化を引き起こしたり、毛細血管
透過性亢進により細胞間隙への血液成分の漏出を増大さ
せ、アレルギー性鼻炎や結膜炎等の浮腫形成などに関与
するものと考えられている。従って、これらアレルギー
性疾患の治療に抗ヒスタミン剤が用いられているが、従
来の抗ヒスタミン剤は脳内のH1受容体と結合すること
により、特に眠気などの中枢神経系に対する副作用が危
惧されている。また、近年、気管支喘息は好酸球性の気
道の慢性炎症として捉えられており、気管支粘膜への炎
症細胞の浸潤や粘膜の過剰分泌などにより喘息特有の気
道狭窄の症状を示す遅発相が問題になっている。
【0003】一方、ロイコトリエン(LT)は、喘息、
乾せん、リウマチ、炎症性大腸炎などほとんどの炎症性
疾患の病因に関与しており、細胞障害による炎症反応に
おいて重要な役割を果たしているものである。
【0004】このように、ロイコトリエンがアレルギー
や炎症の主要なメディエイターであることから、これら
の疾患の治療を目的にロイコトリエンの作用や合成を抑
制する多くの物質が発見されつつある(S.T.Hol
gate et al.:J.Allergy Cli
n.Immunol.98,1−13(1996))。
【0005】ロイコトリエンは5−リポキシゲナーゼ
(5−LO)により合成されるアラキドン酸代謝物であ
り、2種類のグループで構成される。そのひとつのグル
ープはLTB4であり、白血球に対する強い走化性を有
している。他のグループはシステインロイコトリエン
(CysLT)の総称で、LTC4、LTD4及びLTE
4が含まれ、これらは生物学的活性物質として、長い間
「slow−reacting substance
of anaphylaxis(SRS−A)」と呼ば
れていた。ヒトの組織においてCysLTは受容体と結
合することによりその作用を発揮する。選択的LTD4
受容体阻害剤がヒト肺組織においてLTC4及びLTD4
の収縮作用をともに抑制することが見出され、LTC4
はLTD4受容体の共通部位で結合することが示唆され
ている(Buckner C.K.et al.:An
n.NY Acad.Sci.1988,524;18
1−6、Aharony D.et al.:New
Trends in Lipid Mediators
Research,Basel:Karger 19
89;67−71)。LTE4もLTD4と同じ受容体を
介して作用すると考えられているが、活性が低く、部分
活性物質と言われている。
【0006】すなわち、喘息などのアレルギー疾患にお
いては、主にヒスタミンなどのメディエイターが関与す
る気管支収縮、浮腫形成などの即時相と、ロイコトリエ
ンなどが関与する細胞浸潤、粘液分泌、粘膜肥厚などに
よる気道狭窄の遅発相が病態形成に重要とされている。
また同様にアレルギー性鼻炎においても、くしゃみ、鼻
汁分泌亢進などの即時相におけるヒスタミンと、鼻粘膜
浮腫による鼻閉症状などの遅発相におけるロイコトリエ
ンが深く関与する二相反応として病態が理解されつつあ
る。従って、ヒスタミンH1受容体及びLTD4受容体の
両者に対して拮抗作用を有し、脳内移行性が少ない化合
物は、広範なアレルギー性疾患、特に喘息や鼻炎の即時
相から遅発相までの一連の症状を治療又は予防し、しか
も副作用の少ない薬剤になりうるものと考えられる。し
かしながら、即時相に関与するヒスタミンH1受容体及
び遅発相に関与するLTD4受容体の双方に対して充分
な拮抗作用を有する化合物は見出されていないのが現状
である。また、すでに開発中の多くのLTD4拮抗薬は
少なくとも一つの酸性基を有するため、極性が高く親水
性化合物であることから、吸入投与又は経口投与した際
の吸収性が充分でないことが避けられず、このことがこ
れら薬剤の投与量増大、ひいては副作用の発現につなが
っていると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、抗ヒスタミン作用と抗ロイコトリエン作用の両方を
有し、かつ脳内への移行が少なく、酸性基を有しない新
たな化合物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み、本発
明者は、抗ヒスタミン作用と抗ロイコトリエン作用を合
わせ持ち、かつ上記の如き問題点のない化合物を見出す
べく鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で表わさ
れる化合物が、このような条件を満足するものであるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】で表わされるピペリジン誘導体又はその塩
を提供するものである。
【0012】また本発明は、前記一般式(1)で表わさ
れるピペリジン誘導体又はその塩を有効成分とする医薬
を提供するものである。
【0013】更に本発明は、前記一般式(1)で表わさ
れるピペリジン誘導体又はその塩、及び薬学的に許容さ
れる担体を含有する医薬組成物を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】一般式(1)で表わされるピペリ
ジン誘導体において、式中、R1 で示されるハロゲン原
子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子が挙げられる。R1 としては水素原子が好ましい。
また、R2 、R4 及びR5 で示される低級アルキル基と
しては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のものが挙げら
れ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s
ec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基が例示されるが、メチル基が好ましい。
【0015】本発明化合物(1)の塩としては、薬理学
上許容される塩であれば特に制限されないが、例えば塩
酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸
塩のような鉱酸の酸付加塩、又は安息香酸塩、メタンス
ルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸
塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン
酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のような有機
酸の酸付加塩を挙げることができる。また、本発明化合
物(1)は、水和物に代表される溶媒和物の形態でも存
在し得るが、当該溶媒和物も本発明に包含される。ま
た、本発明化合物(1)は、ケト−エノールの互変異性
体の形態でも存在し得るが、当該異性体も本発明に包含
される。本発明化合物(1)は例えば次に示す方法によ
って製造される。
【0016】
【化3】
【0017】〔式中、R1 〜R3 、Y、Z、B、E及び
nは前記と同じものを示し、Xはハロゲン原子を示
す。〕
【0018】すなわち本発明化合物(1)は、ハロアル
キル化されたピペリジン誘導体(2)とフェノール体
(3)、あるいはピペリジン誘導体(4)とハロアルキ
ル化されたフェノール体(5)とを不活性ガス気流下、
無溶媒あるいはアセトン、2−ブタノン、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、ヘキサメチルホスホロアミド(HMPA)等の非
プロトン性溶媒中、加熱下(好ましくは100〜200
℃)で1〜24時間反応させることにより製造すること
ができる。
【0019】式(4)で示すようなピペリジン誘導体は
以下の合成ルートにより得ることができる。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】(式中、R1 、Xは前記と同じものを示
し、Phはフェニル基、Bocはt−ブトキシカルボニ
ル基を示す)
【0023】すなわち化合物(6)とトリフェニルホス
フィンとをトルエン、ベンゼン等の非極性溶媒中、0℃
から還流温度の間(好ましくは還流温度)にて一夜から
数日間反応させることにより、ホスホニウム塩(7)が
得られる。化合物(7)はテトラヒドロフラン、ジオキ
サン等の極性溶媒中−78℃から室温の間(好ましくは
0℃)でブチルリチウムを加え、更に化合物(8)を加
えた後に0℃から還流温度の間(好ましくは室温)で一
夜から数日間反応させることにより、化合物(9)とす
ることができる。化合物(9)は例えば酢酸エチルの塩
化水素溶液やトリフルオロ酢酸を用いて0℃から還流温
度の間(好ましくは室温)にて酸処理することにより化
合物(4a)となり、このものは更に水、メタノール、
エタノール等の極性溶媒中パラジウムなどの金属触媒存
在下、0℃から還流温度の間(好ましくは室温)にて水
素添加することにより、化合物(4b)となる。
【0024】またピペリジン環内部に不飽和結合を有す
る化合物(4c)は次のようにして調製される。化合物
(10)はテトラヒドロフラン、ジオキサン等の極性溶
媒中−78℃から室温の間(好ましくは0℃)でブチル
リチウムを加え、更に化合物(8)を加えた後に0℃か
ら還流温度の間(好ましくは室温)で一夜から数日間反
応させることにより、化合物(11)とすることができ
る。このものはテトラヒドロフラン、ジオキサン等の極
性溶媒中0℃から還流温度の間(好ましくは室温)に
て、メタンスルホニルクロリドやトルエンスルホニルク
ロリドなどの塩化スルホニルと数時間から数日間反応さ
せ、続いてトルエン、ベンゼン等の非極性溶媒中で1,
8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン
(DBU)などの塩基と0℃から還流温度の間(好まし
くは室温)にて一夜から数日間反応させることにより、
ピペリジン環内部に不飽和結合を有する化合物(12)
と前出の化合物(9)とを得る。化合物(12)は例え
ば酢酸エチルの塩化水素溶液やトリフルオロ酢酸を用い
て0℃から還流温度の間(好ましくは室温)にて酸処理
することにより化合物(4c)とすることができる。
【0025】化合物(2)及び化合物(5)は、化合物
(4)又は化合物(3)をそれぞれ直鎖のアルカンのジ
ハロゲン化合物とアセトン、2−ブタノン、DMF、D
MSO、HMPA等の非プロトン性溶媒中、0℃から還
流温度の間(好ましくは還流温度)にて1〜24時間反
応させることで得られる。
【0026】なお化合物(3)、化合物(6)、化合物
(8)及び化合物(10)としては公知の化合物を用い
るか、あるいは公知の方法、例えば〔Musser,J
ohn H.et al.;J.Med.Chem.3
3(1),240─245,1990、Iemura,
Ryuichi et al.;J.Heterocy
clic.Chem.24(1),31−37,198
7、Mathes,W.,Schuly,H:Ange
w.Chem.75,235−240,1963、La
mbourne,H.et al.;J.Chem.S
oc.119,1294−1300,1921〕等に記
載の方法により製造したものを用いることができる。
【0027】本発明化合物は常法に従って反応混合物を
処理することによって得られ、更に必要に応じて再結
晶、カラムクロマトグラフィーなどの通常の精製手段を
用いて精製することができる。また、必要に応じて、常
法によって前記した所望の塩にすることもできる。
【0028】かくして得られる本発明化合物(1)又は
その塩は、後記実施例に示すように優れた抗ロイコトリ
エン作用と抗ヒスタミン作用を有し、また、テルフェナ
ジンと比較しても中枢への移行性が少なく、喘息、アレ
ルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性皮膚
炎、アレルギー性結膜炎、じんましん、乾せん、リウマ
チ、炎症性大腸炎等の広範なアレルギー性疾患、脳虚
血、脳卒中に対する医薬として有用である。
【0029】本発明の医薬は、前記化合物(1)、その
塩又は水和物を有効成分とするものであり、この投与形
態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、
シロップ剤などによる経口投与又は静脈内注射剤、筋肉
注射剤、坐薬、吸入薬、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤な
どによる非経口投与が挙げられる。また、このような種
々の剤形の医薬製剤を調製するにあたっては、この有効
成分を単独で、又は他の薬学的に許容される担体、例え
ば賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢
剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、
担体、希釈剤等を適宜組合わせて用いることができる。
【0030】本発明の医薬の投与量は年令、体重、症
状、投与形態及び投与回数などによって異なるが、通常
は成人に対して1日1〜1000mgを1回又は数回に分
けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
【0031】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではな
い。
【0032】製造例1 1−tert−ブトキシカルボニル−4−ケトピペリジ
ンの合成:4−ケトピペリジン塩酸塩(48.3g)と
ジ−tert−ブチルジカルボネート(93.2g)を
ジオキサン−水の等量混合物(1000ml)に溶解し、
トリエチルアミン(119ml)を加えた。混合物を室温
で5時間攪拌し、減圧濃縮、残渣に水と酢酸エチルを加
えた。有機層を分離後、飽和硫酸水素カリウムと水で洗
浄、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し減圧濃縮し、標題化
合物を無色固体として得た。
【0033】収量:59.4g(81%) NMR(CDCl3):δ 1.49(9H,s), 2.44(4H,t,J=6.
2Hz),3.71(4H,t,J=6.2Hz) mp 74〜75℃
【0034】製造例2 2−キノリルメチルトリフェニルホスホニウムクロリド
の合成:2−クロロメチルキノリン塩酸塩(10.7
g)を水(50ml)に溶解し、炭酸カリウムを加え中和
した。酢酸エチルにて抽出し、有機層を飽和食塩水にて
洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮し
た。得られた油状物をトルエン(50ml)に溶解し、ト
リフェニルホスフィン(13.1g)を加え、一夜加熱
還流した。放冷後析出結晶を濾取し、結晶をトルエンで
洗浄した。標題化合物を無色粉末として得た。このもの
はさらなる精製を行うことなく、次の反応に用いた。
【0035】収量:18.44g(83%) NMR(DMSO):δ 5.71(2H,d,J=5.1Hz), 7.53-7.
61(3H,m),7.66-7.75(7H,m), 7.80-7.96(10H,m),8.34(1
H,d,J=8.3Hz) mp 230℃以上
【0036】製造例3 1−tert−ブトキシカルボニル−4−(2−キノリ
ルメチレン)ピペリジンの合成:アルゴン雰囲気中2−
キノリルメチルトリフェニルホスホニウムクロリド
(8.72g)を無水THF(60ml)に溶解し、氷冷
下1.6Nブチルリチウム(15ml)を20分間で滴下
し、その後室温で10分間攪拌した。氷冷下1−ter
t−ブトキシカルボニル−4−ケトピペリジン(4.2
9g)の無水THF(24ml)溶液を15分間で滴下
し、氷冷下で30分間更に室温で一夜攪拌した。反応液
に水(200ml)を加え、エーテルにて抽出した。有機
層から1N塩酸にて逆抽出し、水層を飽和炭酸水素ナト
リウムにて中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、減
圧濃縮し標題化合物を固体として得た。このものは精製
することなく次の反応に用いた。
【0037】収量5.19g(80%) NMR(CDCl3):δ 1.48(9H,s), 2.43(2H,t,J=5.
7Hz),2.94(2H,t,J=5.7Hz), 3.48(2H,t,J=5.7Hz),3.55(2
H,t,J=5.7Hz),6.58(1H,s),7.29(1H,d,J=8.5Hz), 7.45-
7.52(1H,m),7.65-7.11(1H,m), 7.77(1H,dd,J=8.0,1.3H
z),8.03(1H,dd,J=8.0,0.7Hz), 8.09(1H,d,J=8.3Hz), mp 72〜73℃
【0038】製造例4 4−(2−キノリルメチレン)ピペリジンの合成:1−
tert−ブトキシカルボニル−4−(2−キノリルメ
チレン)ピペリジン(17.6g)をジクロロメタン
(60ml)に溶解し、氷冷下TFA(60ml)を加え
た。混合物を室温に戻し2.5時間攪拌し減圧濃縮。残
渣に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、中和、クロロホル
ムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、減圧濃縮後エーテル−ヘキサンより標題化合物を白
色粉末として得た。このものもさらなる精製を行うこと
なく、次の反応に用いた。
【0039】収量 9.62g(89%) NMR(CDCl3):δ 2.65(2H,t,J=5.4Hz), 3.13-
3.33(6H,m),6.57(1H,s), 7.27(1H,d,J=8.5Hz),7.47-7.5
4(1H,m), 7.65-7.73(1H,m),7.77(1H,dd,J=8.0,1.0Hz),
8.02(1H,dd,J=8.0,0.7Hz), 8.10(1H,d,J=8.3Hz), mp 131〜132℃
【0040】製造例5 4−(2−キノリルメチル)ピペリジンの合成:4−
(2−キノリルメチレン)ピペリジン(9.62g)を
エタノール(500ml)に溶解し、10%パラジウム炭
素(1.9g)を加え、水素気流下室温にて90分間攪
拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮。標題化合物を
無色固体として得た。
【0041】収量 9.02g(92%) NMR(CDCl3):δ 1.70(2H,dd,J=13.5,4.0Hz),
1.89(2H,br d,J=13.5Hz), 2.19-2.36(1H,m),2.86(2H,d
t,J=13.5,3.0Hz),2.95(2H,d,J=7.3Hz), 3.39(2H,br d,J
=13.5Hz),7.23(1H,d,J=8.3Hz),7.48-7.54(1H,m), 7.67-
7.74(1H,m),7.80(1H,dd,J=8.0,1.0Hz),8.03(1H,d,J=8.5
Hz), 8.09(1H,d,J=8.3Hz) mp 166〜167℃
【0042】製造例6 1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−
4−(2−キノリルメチル)ピペリジンの合成:2−メ
チルキノリン塩酸塩(7.14g)を水(50ml)に溶
解し、飽和炭酸カリウムで中和した。酢酸エチルで抽出
後、有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上
で乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を無水THF(1
20ml)に溶解し、氷冷下1.6Nブチルリチウム(3
0ml)を20分間で滴下し、その後室温で10分間攪拌
した。氷冷下1−tert−ブトキシカルボニル−4−
ケトピペリジン(9.97g)の無水THF(50ml)
溶液を15分間で滴下し、氷冷下で30分間更に室温で
1.5時間攪拌した。反応液に水(400ml)を加え、
エーテルにて抽出した。有機層から1N塩酸にて逆抽出
し、水層を飽和炭酸水素ナトリウムにて中和し、酢酸エ
チルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸ナトリウム上で乾燥、減圧濃縮し残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開液:エーテル−ヘキサ
ン(1:1))で精製し、標題化合物を白色粉末として
得た。
【0043】収量5.95g(34%) NMR(CDCl3):δ 1.45(9H,s), 1.50-1.68(4H,
m), 3.07(2H,s),3.26(2H,br t,J=10.0Hz),3.82(2H,br
d,J=10.0Hz), 7.23(1H,d,J=8.5Hz),7.49-7.56(1H,m),
7.68-7.75(1H,m),7.81(1H,d,J=8.3Hz), 8.00(1H,d,J=8.
5Hz),8.12(1H,d,J=8.3Hz) mp 119〜121℃
【0044】製造例7 1−tert−ブトキシカルボニル−4−(2−キノリ
ルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジンの
合成:1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロ
キシ−4−(2−キノリルメチル)ピペリジン(5.9
5g)を無水THF(50ml)に溶解し、メタンスルホ
ニルクロリド(2.99g)とトリエチルアミン(7.
3ml)を加えて室温で2時間攪拌した。混合物を減圧濃
縮後、水と酢酸エチルを加えて有機層を分離、有機層は
更に飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウム上で乾燥、
減圧濃縮した。残渣をトルエン(50ml)に溶解てDB
U(5.30g)を加えて60℃で3時間攪拌した。混
合物を減圧濃縮後、水と酢酸エチルを加えて有機層を分
離、飽和食塩水で洗浄後無水硫酸ナトリウム上で乾燥し
減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開液:ヘキサン−酢酸エチル(1:
1))に付し、標題化合物をヘキサンより結晶化した。
【0045】収量2.59g(45%) NMR(CDCl3):δ 1.44(9H,s), 2.10(2H,br s),
3.43(2H,t,J=5.7Hz), 3.70(2H,s),3.90(2H,br s), 5.45
(1H,br s),7.31(1H,d,J=8.5Hz), 7.47-7.54(1H,m),7.66
-7.73(1H,m), 7.79(1H,dd,J=8.0,1.2Hz),8.06(1H,dd,J=
7.8,0.5Hz),8.09(1H,d,J=8.0Hz)
【0046】製造例8 4−(2−キノリルメチル)−1,2,5,6−テトラ
ヒドロピリジンの合成:1−tert−ブトキシカルボ
ニル−4−(2−キノリルメチル)−1,2,5,6−
テトラヒドロピリジン(1.98g)をジクロロメタン
(5ml)に溶解し、氷冷下TFA(5ml)を加えた。混
合物を室温に戻し2.5時間攪拌し減圧濃縮。残渣に飽
和炭酸水素ナトリウムを加え中和、クロロホルムで抽出
した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃
縮後エーテル−ヘキサンより標題化合物を白色粉末とし
て得た。このものもさらなる精製を行うことなく、次の
反応に用いた。
【0047】収量 1.07g(78%) NMR(CDCl3):δ 1.99-2.12(3H,m), 2.94(2H,
t,J=5.7Hz),3.36(2H,s), 3.66(2H,s), 5.54(1H,s),7.34
(1H,d,J=8.55Hz), 7.47-7.54(1H,m),7.65-7.73(1H,m),
7.79(1H,d,J=8.1Hz),8.06(1H,d,J=8.3Hz), 8.07(1H,d,J
=8.3Hz)
【0048】実施例1 4−〔3−〔4−(2−キノリルメチレン)ピペリジ
ノ〕プロポキシ〕−3,3,7−トリメチル−2,3−
ジヒドロ−1H−インドール−2−オンの合成:4−
(3−クロロプロポキシ)−3,3,7−トリメチル−
2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−オン(26
8mg)と4−(2−キノリルメチレン)ピペリジン(2
24mg)をDMF(10ml)に溶解し、炭酸カリウム
(145mg)とヨウ化カリウム(173mg)を加えた。
混合物をアルゴン雰囲気下、100℃で90分間攪拌し
た。減圧濃縮後、残渣にクロロホルムを加え、水で洗浄
し無水硫酸マグネシウム上で乾燥、減圧濃縮した。残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロ
ロホルム−メタノール(20:1))に付し、標題化合
物を得た。
【0049】収量 298mg(65%) NMR(CDCl3):δ 1.46(6H,s), 1.97-2.09(2H,
m), 2.18(3H,s),2.48-2.68(8H,m), 3.01(2H,t,J=5.4H
z),4.06(2H,t,J=6.0Hz), 6.49(1H,d,J=8.0Hz),6.52(1H,
s), 6.94(1H,d,J=8.0Hz),7.31(1H,d,J=8.0Hz), 7.44-7.
51(1H,m),7.56(1H,br s), 7.64-7.71(1H,m),7.76(1H,d
d,J=8.0,1.0Hz),8.03(1H,d,J=8.5Hz), 8.7(1H,d,J=8.7H
z) mp 186〜190℃
【0050】実施例2〜14 実施例1と同様の方法で下記表1の化合物を得た。
【0051】
【表1】
【0052】実施例15 4−〔3−〔4−(2−キノリルメチル)ピペリジノ〕
プロポキシ〕−3,3,7−トリメチル−2,3−ジヒ
ドロ−1H−インドール−2−オンの合成:4−(3−
クロロプロポキシ)−3,3,7−トリメチル−2,3
−ジヒドロ−1H−インドール−2−オン(268mg)
と4−(2−キノリルメチル)ピペリジン(226mg)
を実施例1と同様の方法で処理し、標題化合物を白色粉
末として得た。
【0053】収量 544mg(59%) NMR(CDCl3):δ 1.45(6H,m), 1.34-1.63(2H,
m), 1.63-1.76(2H,m),1.84-2.05(5H,m), 2.19(3H,s),2.
51(2H,t,J=6.8Hz), 2.86-2.97(4H,m),4.01(2H,t,J=5.9H
z), 6.47(1H,d,J=8.3Hz),6.92(1H,d,J=8.3Hz), 7.26(1
H,d,J=8.3Hz),7.49(1H,t,J=6.8Hz), 7.64-7.74(1H,m,Ar
-H),7.78(1H,d,J=8.3Hz), 8.02-8.12(3H,m) mp 150〜151℃
【0054】実施例16〜28 実施例15と同様の方法で下記表2の化合物を得た。
【0055】
【表2】
【0056】実施例29 シュウ酸7−〔3−〔4−(2−キノリルメチル)−
1,2,5,6−テトラヒドロピリジル〕プロポキシ〕
−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2−オンの
合成:7−(3−クロロプロポキシ)−1,2,3,4
−テトラヒドロキノリン−2−オン(240mg)と4−
(2−キノリルメチル)−1,2,5,6−テトラヒド
ロピリジン(226mg)を実施例1と同様の方法で処理
し、標題化合物を白色粉末として得た。
【0057】収量 284mg(66%) NMR(DMSO−d6):δ 2.03-2.16(2H,m), 2.29-
2.38(2H,m),2.41(2H,dd,J=8.0,6.2Hz),2.79(2H,t,J=8.0
Hz), 3.14-3.32(4H,m),3.64-3.76(4H,m), 3.96(2H,t,J=
5.5Hz),5.55(1H,br s), 6.42(1H,d,J=2.5Hz),6.48(1H,d
d,J=8.3,2.5Hz),7.04(1H,d,J=8.3Hz), 7.45(1H,d,J=8.3
Hz),7.53-7.61(1H,m), 7.69-7.77(1H,m),7.95(2H,d,J=
8.5Hz), 8.31(1H,d,J=8.5Hz),10.0(1H,s) mp 117℃(分解)
【0058】試験例1 抗ヒスタミン作用及び抗LTD4作用(イン ビトロ試
験):モルモットの摘出回腸を約2cmに切り取り、タイ
ロード緩衝液を満たした20mlの容器内に懸垂し、ヒス
タミン又はロイコトリエンD4による等張性の収縮反応
を記録計に記した。タイロード緩衝液は30℃に保温
し、混合ガス(95%O 2−5%CO2)を通気した。抗
ヒスタミン作用の試験は、ヒスタミン10-8〜10-4
を器官浴槽に添加し用量反応を測定した。緩衝液で数回
洗浄後、一定濃度の試験化合物を添加し30分インキュ
ベートした後、再びヒスタミンの用量反応を測定した。
抗ロイコトリエン作用の試験は、LTD410-8Mの収
縮反応に対する試験化合物10-5M添加による影響を調
べた。表3において抗ヒスタミン作用に関してはpA2
又はpD'2で示した。抗ロイコトリエン作用に関して
は、試験化合物10-5Mでの抑制率又はIC50で示し
た。
【0059】
【表3】
【0060】試験例2 H1受容体結合阻害試験 0.3nM〔3H〕メピラミン(活性22Ci/mmo
l)、モルモット脳膜タンパク質及び試験化合物を含む
50mMリン酸緩衝液(pH7.5)1mlを37℃で30分
間インキュベートした。氷冷したリン酸緩衝液を添加し
反応を停止し、ただちにワットマンCF/Cフィルター
にて濾過した。フィルターを氷冷した緩衝液20mlで2
回洗浄し、残渣の放射活性を液体シンチレーションカウ
ンターで測定した。試験化合物を加えないときの測定値
と各種濃度の試験化合物を加えたときの測定値より、試
験化合物の抑制作用の用量反応を測定し、50%抑制濃
度(IC50)を求め、IC50からチェン−プルゾフ(C
heng−Prusoff)式を用いて解離定数
(KD)を計算し表4に示した。飽和実験では10-4
のR(−)−ジメチンデンを非特異的結合量の測定に用
いた。飽和実験から、受容体は一種類で、飽和結合量
(Bmax)が278±24fmol/mg protein
であることが判明した。また、〔3H〕メピラミン解離
定数(KD)は3.30±0.26×10-9Mであり、
ヒルプロットで解析したときのその傾きは1.005で
あった。
【0061】試験例3 LTD4受容体結合阻害試験 0.2nM〔3H〕ロイコトリエンD4、モルモット肺タン
パク質及び試験化合物を含む10mMピペラジンN,N′
−ビス(2−エタンスルホン酸)緩衝液(pH7.5)
0.3mlを22℃で30分間インキュベートした。氷冷
したトリス塩酸/塩化ナトリウム緩衝液(10mM/10
0mM,pH7.5)を添加し反応を停止し、ただちにワッ
トマンCF/Cフィルターにて濾過した。フィルターを
氷冷した緩衝液20mlで2回洗浄し、残渣の放射活性を
液体シンチレーションカウンターで測定した。H1受容
体と同様の方法で試験化合物IC50を求め、解離定数
(KD)を算出し表4に示した。飽和実験では2μMの
ロイコトリエンD4を非特異的総合量の測定に用いた。
飽和実験から、受容体は一種類で、飽和結合量(Bma
x)が988fmol/mgproteinであることが判明
した。また、〔3H〕ロイコトリエンD4の解離定数(K
D)は2.616×10-10Mであり、ヒルプロットで解
析したときのその傾きは0.99であった。なお表4に
おける数値は解離定数KD(M)を示す。
【0062】
【表4】
【0063】試験例4 脳内移行性試験 Zang.MQらの方法〔J.Med.Chem.,3
8、2472−2477、1995〕に基づいて行っ
た。すなわち20gから23gのマウスに、ある濃度の
検体を腹腔内投与した。投与から1時間後、マウスを致
死せしめ、脳組織を取り出し、40ml/g wet w
eightとなるように30mM Na,Kリン酸緩衝液
(pH7.5)を加えホモジェネートした。このホモジェ
ネートを試験管3本(900μl)に分け、〔3H〕メ
ピラミン溶液100μl(最終濃度0.5nM)を加え
た。37℃で50分間インキュベーションした後、氷冷
したリン酸緩衝液を添加し反応を停止し、ただちにワッ
トマンCF/Cフィルターにて濾過した。フィルターを
氷冷した緩衝液20mlで2回洗浄し、残渣の放射活性を
液体シンチレーションカウンターで測定した。検体を投
与していない時の測定値と各用量の検体を投与したとき
の測定値より、検体の抑制反応の用量反応を測定し50
%抑制用量(IC50)を求めた。脳内移行性の指標であ
るBPindcxは以下の式より算出した。結果を表5
に示す。
【0064】
【数1】BPindex=IC50(mg/kg)/H1結合
阻害解離定数(nM)
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】本発明のピペリジン誘導体又はその塩
は、抗ヒスタミン作用と抗ロイコトリエン作用を有し、
脳内移行が少なく眠気等の副作用が少ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 9/00 A61P 9/00 37/08 37/08 43/00 43/00 C07D 401/06 C07D 401/06 417/14 417/14 487/04 153 487/04 153 (72)発明者 小野木 和弘 埼玉県入間市扇台6−2−7 (72)発明者 高橋 良男 埼玉県入間市豊岡5−3−33 アーデン 408 (72)発明者 田村 正宏 東京都東村山市野口町2−17−43 東村 山荘104 (72)発明者 當間 勉 東京都東村山市本町2−14−10 (72)発明者 和田 靖史 東京都立川市砂川町6−29−31 (72)発明者 松本 次郎 埼玉県狭山市狭山台4−21−25 (72)発明者 菅家 徹 東京都東村山市野口町2−17−43 東村 山寮 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 401/14 C07D 401/06 C07D 417/14 C07D 487/04 153 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 で表わされるピペリジン誘導体又はその塩。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のピペリジン誘導体又はそ
    の塩を有効成分とする医薬。
  3. 【請求項3】 アレルギー疾患の予防又は治療薬である
    請求項2記載の医薬。
  4. 【請求項4】 喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性
    結膜炎、アトピー性皮膚炎、じんましん、乾せん、リウ
    マチ、炎症性大腸炎、脳虚血及び脳卒中から選ばれる疾
    患の予防又は治療薬である請求項2記載の医薬。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のピペリジン誘導体又はそ
    の塩、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成
    物。
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