JP3412339B2 - 自発光指針式計器 - Google Patents

自発光指針式計器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の速度計等に使
用される計器に関し、特に、指針内に発光ダイオード
(LED)等の発光素子を配設し、その発光素子により
指針を発光させて指示する自発光指針式の計器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種の自発光指針式計器は、回転動作
する指針軸上に固定された指針上にLEDが配置される
ため、これらのLEDへ通電するためのリード線を、回
転を許容して配線する必要がある。このため、従来の自
発光指針式計器では、一般に、指針軸の周囲に配設され
た細い渦巻きばね(ヘアスプリング)をリード線として
使用し、その渦巻きばねを介してLEDへの通電を行っ
ていた。
【0003】しかし、LEDの両側端子に接続するため
に、2本の細い渦巻きばねを指針軸の周囲に上下2段に
配置し、その間に絶縁用のインシュレータ板を配設する
必要があり、指針軸周辺のスペースを確保するために
は、指針軸の長さをある程度長くしなければならい。こ
のため、指針軸が長くなることにより、計器全体の厚さ
が増大して計器の扁平化が阻害されると共に、指針軸の
軸受にかかる荷重が増大し、軸受と指針軸間の摩擦力の
増大によって、指針の指示ヒステリシスが大きくなり、
計器の指示精度が低下する問題があった。
【0004】また、金属製の渦巻きばねでは、指針の回
転時に渦巻きばねの一部が振動し、隣接するばねが相互
に衝突し合って、ばねの衝突音が異音として発生する問
題があった。
【0005】そこで、本発明者らは、特開平6−666
01号公報において、指針軸の周囲を渦巻くように渦巻
状可撓性プリント配線板(以下渦巻状FPCと言う)を
配設し、渦巻状FPCを自発光素子のリード線として使
用する自発光指針式計器を提案した。
【0006】この計器は、指針軸が回転駆動され、指針
が指示角度まで回転する際、ムーブメントの駆動トルク
と、渦巻状FPCの制動トルク及びムーブメント内の渦
巻ばねの制動トルクがつり合った角度が指示角度となる
が、通電用の渦巻状FPCのヤング率は渦巻ばねのそれ
に比べ非常に小さいため、指針の指示精度に影響を与え
ずに、指針を従来と同様な駆動トルクで回転させること
ができる。
【0007】また、渦巻状FPCを使用した場合、従来
の渦巻きばねとインシュレータ板を使用した場合に比
べ、1本の渦巻状FPCを指針軸の周囲に配設すればよ
いため、指針軸の周囲のスペースを狭くし、軸長を短く
することができ、計器全体の厚さを薄く扁平化すること
ができる。また、軸長の短縮化により、指針の重心位置
が軸受部に近づくために、その軸受部にかかる荷重が小
さくなり、軸と軸受部間の摩擦力の低下により、指針の
指示ヒステリシスを低下させ、指針の指示精度をより向
上させることができる等の利点が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の渦巻
状FPCをリード線に使用する従来の自発光指針式計器
では、指針軸の周囲の空間に渦巻状FPCを配置し、そ
の外側端部をムーブメント上の端子板に接続・固定した
だけの構造であるため、計器に振動が加わった場合、渦
巻状FPCが指針軸の軸方向に跳ね上がるように揺動
し、FPCの渦巻形状が壊れやすく、指針の指示精度に
悪影響を与えやすい問題があった。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、振動発生時にも、指針軸の周囲を渦巻くように配設
された渦巻状FPCの渦巻形状を良好に保持し、良好な
指針の指示精度を確保することができる自発光指針式計
器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の自発光指針式計器は、指針軸の先端に固定
された自発光指針内に発光素子を配設してなる自発光指
針式計器において、指針軸の周囲を渦巻くように渦巻状
可撓性プリント配線板(以下渦巻状FPCと言う)が配
設され、渦巻状FPCが発光素子のリード線として接続
され、渦巻状FPCの上面と下面がカバーと取付板によ
り覆われていることを特徴とする。
【0011】ここで、カバーはその中央が取付板のボズ
部上に嵌着され、渦巻状FPCの内側端部が取付板のボ
ス部近傍に固定され、渦巻状FPCが取付板とカバーと
の間に収容され、カバーと取付板が指針軸上に嵌着され
るように構成することができる。
【0012】また、取付板とカバーはボス部を介して一
体成形することもできる。さらに、渦巻状FPCの接続
については、取付板のボス部近傍に端子部材が渦巻状F
PCの内側端の端子部に接続して取付けられ、自発光指
針内の発光素子の端子片をその端子部材に接続すること
ができる。
【0013】
【作用・効果】このように構成された自発光指針式計器
では、ムーブメント(指針駆動装置)の動作により指針
軸が回転駆動され、指針が指示角度まで回転する。この
場合、ムーブメントの駆動トルクと、渦巻状FPCの制
動トルク及びムーブメント内の渦巻ばねの制動トルクが
つり合った角度が指示角度となる。通電用の渦巻状FP
Cのヤング率は渦巻ばねのそれに比べ非常に小さいた
め、指針の指示精度に影響を与えずに、指針を通常の駆
動トルクで回転させることができる。
【0014】一方、電源回路から渦巻状FPCを通して
自発光指針内の発光素子に通電が行われ、発光素子の点
灯により指針の前面が発光し、観者は発光する指針によ
って計器の指示値を明確に視認することができる。
【0015】計器に振動が加わった場合、渦巻状FPC
は指針軸の軸方向につまりその上下に跳ね上がるように
変形揺動しやすいが、渦巻状FPCの上面と下面にカバ
ーと取付板が覆うように設けられているため、カバーと
取付板によって渦巻状FPCの変形揺動が防止され、渦
巻形状が壊れず、指針の指示精度に良好に保持すること
ができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0017】図1は自発光指針式計器の分解斜視図を示
している。この自発光指針式計器は、基本的には、図示
しないメータケースに固定されるムーブメント(指針駆
動装置)2と、ムーブメント2上に取付けられる取付台
6と、ムーブメント2から上方に突設された指針軸3
と、指針軸3上に固定される自発光指針1と、自発光指
針1内のLED(発光ダイオード)に通電するために、
取付板7上で指針軸3の外周を渦巻状に巻回して保持さ
れる渦巻状FPC5と、取付台6上に固定される文字板
4とから構成される。
【0018】ムーブメント2は、例えば交差コイル式の
ものが使用され、入力信号に応じて指針軸3に回転トル
クが付与される。ムーブメント2内にはヘアスプリング
9が指針軸3に一端を固定して配設され、回転トルクと
ヘアスプリング9と渦巻状FPC5の弾性力との均衡点
で指針軸3を静止させる。
【0019】ムーブメント2上には取付台6がねじによ
り固定される。取付台6は、渦巻状FPC等を収容する
ための略円形の薄い凹部をその上部に有すると共に、中
央に開口部を有し、その開口部からムーブメント2の指
針軸3を上方に突出させる。また、取付台6の縁部には
FPC5の外側端部を接続するための2つの接続端子部
18、19が取付けられる。
【0020】自発光指針1は、カバー体11内にLED
13を配設し、導光体製の指針本体12の元部をカバー
体11内に挿入・固定して構成される。カバー体11の
下部にはLED13に接続された2つの端子片14が突
出し、さらに、指針軸3を嵌込むためのボス部15が下
部中央に突設される。
【0021】自発光指針のLED13に電力を供給する
リード線として、渦巻状FPC5が指針軸の周囲を渦巻
くように取付板7上に配設される。渦巻状FPC5は、
ポリイミド樹脂等からなるベースフィルム上に銅箔等の
2本の導電パターンを形成し、絶縁膜でその上を被覆し
て一体成形されたものであり、それが取付板7上で渦巻
状に巻回して配設される。
【0022】取付板7は、図2、図3に示すように、合
成樹脂等により円板状に成形され、円板の略中央上にボ
ス部7aを設け、ボス部7aの周囲に後述のカバー8の
ボス部を嵌入する嵌合凹部7bを設け、さらに、その側
部に2個の端子部材16、17を嵌込むための2個の嵌
合孔7cを設けて構成される。
【0023】端子部材16、17は、リン青銅等の導電
性でばね状金属により上記LED13の端子片14を上
から差し込んで挟持する構造に形成され、図3に示す如
く、取付板7上の嵌合孔7c内に差し込まれたとき開く
逆止片16a,17aが設けられると共に、ボス部7a
との間に圧入されるFPC5の末端部に当接する突起部
が設けられる。
【0024】渦巻状FPC5の内側端部には、図5に示
すように、2本の導電パターンの端部が拡大する形態
で、被覆のない端子部5a,5bが形成される。この端
子部5a,5bは嵌合孔7c内で各々端子部材16、1
7と圧接し接続される。
【0025】図4の取付板7上には、渦巻状FPC5を
巻装した状態で、その上から円板状のカバー8が覆うよ
うに取付けられる。円形のカバー8の中央には、軸孔が
穿設されると共に、下側に嵌合凸部8aが突設され、こ
の嵌合凸部8aは、上記取付板7上の嵌合凹部7bに対
応した形状に形成され、この嵌合凸部8aを嵌合凹部7
bに嵌込むことにより、カバー8が取付板7上に固定さ
れる。また、カバー8の略中央には、端子部材16、1
7を通すための開口部8bが設けられる。
【0026】渦巻状FPC5の外側端部には、図1に示
すように、直角に曲折する前部と後部に導電パターンを
拡大した形態の端子部5c,5dが被覆を除去して形成
される。
【0027】製造時、上記構成の自発光指針式計器を組
み付ける場合、先ず、取付台6の縁部上の所定箇所に接
続端子部18、19を差し込み固定し、取付台6をムー
ブメント2の上に固定ねじにより締付け固定する。
【0028】次に、FPC5の内側端を取付板7のボス
部に仮固定し、そこにFPC5を巻き付ける。そして、
図5のように、FPC内側端の端子部5a,5bを、取
付板7上の2つの嵌合孔7c内に各々挿入すると共に、
端子部材16、17を嵌合孔7cに挿入し、仮固定を外
す。さらに、カバー8の嵌合凸部8aを取付板7の嵌合
凹部7bに嵌込むことにより、取付板7上にカバー8を
嵌着する。
【0029】次に、取付台6上に突出した指針軸3を、
上記のように組み立てた取付板7、渦巻状FPC5、カ
バー8の組立体の軸孔に挿通して嵌着し、FPC5の外
側端部の端子部5c,5dを取付台6上の接続端子部1
8、19に差し込み、半田付け等により接続・固定す
る。
【0030】そして、文字板4を取付台6上に固定する
と共に、文字板4の中央孔から露出する指針軸3の先端
に、自発光指針1のボス部15を嵌入すると共に、その
近傍の端子片14をカバー8の開口部8bから露出する
端子部材16、17に差し込み接続し、これで組立てが
完了する。
【0031】次に、上記構成の自発光指針式計器の動作
を説明する。
【0032】ムーブメント2内の交差コイルに入力信号
が印加されると、入力信号に応じて指針軸3が回転駆動
され、自発光指針1が指示角度まで回転する。このと
き、ムーブメント2の駆動トルクと、渦巻状FPC5の
制動トルク及びムーブメント2内のヘアスプリング9の
制動トルクがつり合った角度が指示角度となる。しか
し、通電用の渦巻状FPC5のヤング率はヘアスプリン
グ9のそれに比べ非常に小さいため、自発光指針1の指
示精度に影響を与えずに、指針を従来と同様な駆動トル
クで回転させることができる。
【0033】また、指針軸3の回転動作に伴ない、渦巻
状FPC5が動くが、そのFPCの導電パターンは絶縁
膜で被覆されているため、相互に接触しても問題はな
く、FPC同志が指針の回転時に衝突したとしても、異
音は殆ど発生せず、使用者に対し異音による不快感を与
えることはない。
【0034】また、渦巻状FPC5は、その上下をカバ
ー8と取付板7により包囲されるため、計器に振動が加
わり、渦巻状FPC5が揺動したとしても、渦巻状FP
C5は跳ね上がるように変形揺動することはなく、良好
な渦巻形状を保持し、指針の指示精度に悪影響を与える
ことはない。
【0035】一方、図示しない電源回路から、接続端子
部18、19、渦巻状FPC5、及び端子部材16、1
7を通して、自発光指針1内のLED13に通電が行わ
れ、LED13が点灯する。LEDの点灯により指針本
体12内に光が導光され、その底面に設けた拡散部から
光が前面に放射され、指針本体12が発光する。
【0036】図6は他の実施例の渦巻状FPCとその周
辺の断面図を示し、この図に示すように、取付板とカバ
ーを一体に成形することもできる。図6において、27
はカバー付き取付板であり、このカバー付き取付板27
は、取付板部28とカバー部29とがボス部30を介し
て一体成形される。ボス部30には指針軸3を挿入する
ための軸孔、及び上記渦巻状FPC5の端子部5a,5
bと端子部材16、17を挿入するための嵌合孔30a
が設けられる。渦巻状FPC5はこのカバー付き取付板
27の内部空間に巻装されるため、このようなカバー付
き取付板27によっても、上記と同様に渦巻状FPC5
の渦巻形状を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す自発光式計器の分解斜
視図である。
【図2】取付板上に渦巻状FPCを装着した状態の平面
図である。
【図3】取付板上に渦巻状FPCを装着した状態の断面
図である。
【図4】取付板上に渦巻状FPC、カバーを装着した状
態の断面図である。
【図5】端子部材、渦巻状FPC、取付板のボス部の分
解斜視図である。
【図6】他の実施例のカバー付き取付板と渦巻状FPC
の断面図である。
【符号の説明】
1−自発光指針、 2−ムーブメント、 3−指針軸、 5−渦巻状FPC、 7−取付板、 8−カバー、 13−LED。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−204323(JP,A) 特開 平8−128867(JP,A) 特開 平6−50776(JP,A) 特開 昭59−90015(JP,A) 実開 昭49−67938(JP,U) 実公 昭9−12649(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01D 13/28 G01D 11/00 G01D 11/18 G01D 11/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 指針軸の先端に固定された自発光指針内
    に発光素子を配設してなる自発光指針式計器において、 該指針軸の周囲を渦巻くように渦巻状可撓性プリント配
    線板が配設され、該渦巻状可撓性プリント配線板が前記
    発光素子のリード線として接続され、該渦巻状可撓性プ
    リント配線板の上面と下面がカバーと取付板により覆わ
    れていることを特徴とする自発光指針式計器。
  2. 【請求項2】 前記カバーの中央が取付板のボズ部上に
    嵌着され、該渦巻状可撓性プリント配線板の内側端部が
    該取付板の該ボス部近傍に固定され、該渦巻状可撓性プ
    リント配線板が該取付板と該カバーとの間に収容され、
    該カバーと該取付板が前記指針軸上に嵌着されたことを
    特徴とする請求項1記載の自発光指針式計器。
  3. 【請求項3】 前記取付板と前記カバーがボス部を介し
    て一体に成形され、該渦巻状可撓性プリント配線板の内
    側端部が該ボス部に固定され、該渦巻状可撓性プリント
    配線板が該取付板と該カバーとの間に収容され、該ボス
    部が前記指針軸上に嵌着されたことを特徴とする請求項
    1記載の自発光指針式計器。
  4. 【請求項4】 前記取付板のボス部近傍に端子部材が該
    渦巻状可撓性プリント配線板の内側端の端子部に接続し
    て取付けられ、前記自発光指針内の発光素子の端子片が
    該端子部材に接続されたことを特徴とする請求項2又は
    3記載の自発光指針式計器。
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